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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109923
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】カテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087648
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2023109682の分割
【原出願日】2018-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2017057566
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017205325
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌弘
(57)【要約】      (修正有)
【課題】輸液や輸血等を行う場合に使用されるカテーテル組立体を提供する。
【解決手段】内針12と、内針が離脱可能に挿通されるルーメンを有するカテーテル30と、カテーテルを介して内針を支持することにより内針の撓みを抑制する撓み抑制機構90と、を備えるカテーテル組立体10であって、カテーテルには、1以上のカテーテル側部開口が形成され、撓み抑制機構は、カテーテルが内針に対して前進する際にカテーテルと接触可能な接触支え部を有し、接触支え部は、1以上のカテーテル側部開口のうち最も先端側にあるカテーテル側部開口の先端部よりも基端側、又はカテーテルに設けられた段差部の先端部よりも基端側を支持可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内針と、
前記内針が離脱可能に挿通されるルーメンを有するカテーテルと、
前記カテーテルを介して前記内針を支持することにより前記内針の撓みを抑制する撓み抑制機構と、を備えるカテーテル組立体であって、
前記カテーテルには、1以上のカテーテル側部開口が形成され、
前記撓み抑制機構は、前記カテーテルが前記内針に対して前進する際に前記カテーテルと接触可能な接触支え部を有し、
前記接触支え部は、前記1以上のカテーテル側部開口のうち最も先端側にある前記カテーテル側部開口の先端部よりも基端側、又は前記カテーテルに設けられた段差部の先端部よりも基端側を支持可能である、カテーテル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、輸液や輸血等を行う場合に使用されるカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
輸液や輸血の導入部を患者に構築する際には、例えば、特許文献1に開示されているように、カテーテル(外針)内に内針を挿通した多重構造針を有するカテーテル組立体が使用される。このカテーテル組立体の使用において、ユーザは、多重構造針を患者に穿刺し、カテーテルを内針に対し相対的に進出させて血管内に挿入し、さらにカテーテルから内針を離脱させることで、カテーテルを留置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-43445号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、内針と、前記内針が離脱可能に挿通されるルーメンを有するカテーテルと、前記カテーテルを介して前記内針を支持することにより前記内針の撓みを抑制する撓み抑制機構と、を備えるカテーテル組立体であって、前記カテーテルには、1以上のカテーテル側部開口が形成され、前記撓み抑制機構は、前記カテーテルが前記内針に対して前進する際に前記カテーテルと接触可能な接触支え部を有し、前記接触支え部は、前記1以上のカテーテル側部開口のうち最も先端側にある前記カテーテル側部開口の先端部よりも基端側、又は前記カテーテルに設けられた段差部の先端部よりも基端側を支持可能である、カテーテル組立体である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の第1実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図2図1のカテーテル、カテーテルハブ及び内針を示す側面断面図である。
図3】第2実施形態に係るカテーテル組立体のカテーテル、カテーテルハブ及び内針を示す側面断面図である。
図4】第3実施形態に係るカテーテル組立体のカテーテル、カテーテルハブ及び内針を示す側面断面図である。
図5】第4実施形態に係るカテーテル組立体のカテーテル、カテーテルハブ及び内針を示す平面断面図である。
図6図6A図6Fは、第1~第6構成例に係るカテーテル及び内針の断面図である。
図7図7Aは、第7構成例に係るカテーテル及び内針の断面図であり、図7Bは、第8構成例に係るカテーテル及び内針の断面図である。
図8】第5実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図9図8のカテーテル、内針及び撓み抑制機構を示す側面断面図である。
図10図8のカテーテル組立体の動作を示す斜視図である。
図11】第6実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図12図12Aは、図11の多重管構造の断面図である。図12Bは、カテーテルによる液体の流動時の動作を示す断面図である。
図13】第7実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図14】第8実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図15図14の撓み抑制機構を示す部分断面図である。
図16】第9実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す概略側面図である。
図17】第10実施形態に係るカテーテル組立体の全体構成を示す斜視図である。
図18図17の撓み抑制機構を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明に係るカテーテル組立体について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0007】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係るカテーテル組立体10は、患者(生体)に輸液や輸血等を行う場合に用いられ、カテーテル30を患者の体内に穿刺、挿入及び留置して、液体(薬液や血液)の入出部を構築する医療機器である。このカテーテル組立体10は、末梢静脈カテーテルよりも長さが長いカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)を挿入するように構成される。なお、カテーテル組立体10は、中心静脈カテーテルよりも短い末梢静脈カテーテルを挿入するものでもよい。また、カテーテル組立体10は、静脈用カテーテルに限らず、末梢動脈カテーテル等の動脈用カテーテルを挿入するものでもよい。
【0008】
図1に示すように、カテーテル組立体10は、内針12と、内針12を固定保持するハウジング20(内針ハブ)と、内針12の外側に配置されるカテーテル30と、カテーテル30を固定保持するカテーテルハブ50とを備える。さらに、カテーテル組立体10は、カテーテル30及びカテーテルハブ50の進退移動を操作するカテーテル操作部材60と、カテーテル30の進出を案内するガイドワイヤ70及びガイドワイヤ操作部材80とを備える。
【0009】
また、本実施形態に係るカテーテル30は、複数(本実施形態では2つ)のルーメン31を内部に有するマルチルーメンタイプに構成されている(図2も参照)。そして、カテーテル組立体10は、使用前の組立状態(穿刺前状態)で、複数のルーメン31のうちの1つのメインルーメン34に内針12を挿通及び配置し、また内針12の内部にガイドワイヤ70を収容して、多重構造針11を形成している。
【0010】
この多重構造針11は、穿刺前状態において、内針12の針先13がカテーテル30の先端よりも突出する一方で、ガイドワイヤ70を内針12内に配置している。そして、ハウジング20は、多重構造針11の基端側を内部に収容すると共に、カテーテルハブ50、カテーテル操作部材60及びガイドワイヤ操作部材80を併せて収容している。
【0011】
医師や看護師等のユーザは、このカテーテル組立体10の使用において、ハウジング20を把持操作して、患者の体内に多重構造針11を穿刺する。さらに、穿刺状態を維持しつつ、ガイドワイヤ70を内針12から血管内に送出し、このガイドワイヤ70に沿ってカテーテル30を血管内に挿入していく。そして、カテーテル30に対し内針12を後退及び抜去することで、カテーテル30が血管内に留置される。カテーテル30は、留置状態において、2つのルーメン31を血管内に連通させていることにより、複数種類の薬剤を別々に投与する、又は薬剤を投与しつつ採血する等の処置を実施可能とする。以下、このカテーテル組立体10の各構成について詳述していく。
【0012】
図1及び図2に示すように、内針12は、生体の皮膚を穿刺可能な剛性を有する中空管に構成され、その先端に鋭利な針先13を備える。内針12の内部には、軸方向に沿って中空部12aが設けられている。なお、内針12は、中空部12aを備えない中実状の構造でもよい。
【0013】
針先13は、円筒状の管を斜めにカットすることにより、内針12の軸心に対して所定角度傾斜した刃面15を有している。刃面15は、中空部12aに連通する先端開口15aを囲う楕円状を呈している。カテーテル組立体10の使用時に、刃面15は、ユーザを臨む方向(患者の体表を下側とした場合に上方向)に向けられる。これにより穿刺時には、刃面15のエッジが皮膚を切り裂いて体内へ刺入される。
【0014】
以下では、特に指示のない限り、刃面15の向きを基準にカテーテル組立体10の各構成の方向や位置を説明する(図1中の矢印方向も参照)。特に、カテーテル30の複数のルーメン31同士の配置は、刃面15との関係で述べるものとする。
【0015】
なお図1及び図2中では、内針12の軸心に対し単純に斜めにカットした刃面15を例示しているが、刃面15の形状は、特に限定されるものではない。例えば、針先13は、傾斜する左右2つの刃面15が幅方向中心に切っ先(峰)を形成したランセット型に構成されてもよく、また刃面15の反対側をカットしたバックカット型に構成されてもよい。
【0016】
また、内針12には、中空部12aと外面を貫通する孔部14が設けられている。つまり、内針12は、先端開口15a、中空部12a、孔部14によって、多重構造針11の穿刺時に血液のフラッシュバック確認用の導入路を構成している。
【0017】
内針12の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、或いは硬質樹脂、セラミックス等があげられる。内針12は、融着、接着、インサート成形等の適宜の固着手段により、ハウジング20に強固に固定される。
【0018】
カテーテル組立体10のハウジング20は、内針12を固定保持して、この内針12と一体的に移動する内針ハブ19であり、ユーザに把持されるグリップ部分を構成している。このハウジング20は、全体的に細長い椀状を呈しており、ユーザが把持し易くなるように、適度なサイズ(太さ及び長さ)に設計されている。
【0019】
ハウジング20には、カテーテルハブ50、カテーテル操作部材60、ガイドワイヤ操作部材80を収容する収容空間20aが設けられている。収容空間20aを挟む一対の側壁21は、長手方向に平行に延び、基端側よりも高く形成された先端側の内面に溝状のレール部21aを有している。一対のレール部21aは、カテーテル操作部材60の側縁61aを摺動自在に収容する。一対の側壁21のうちの一方(図1中の左方向の側壁21)の先端側は、幅方向外側に膨出する膨出部22を有する。この膨出部22の配置用凹部22aには、撓み抑制機構90である支持部材91が取り付けられる。
【0020】
支持部材91は、回転自在に側壁21に軸支され、ハウジング20の収容空間20aを右方向に突出する摺接支え部92を有する。この摺接支え部92は、カテーテル操作部材60に保持されたカテーテル30(多重構造針11)が前進する際にカテーテル30と擦れ合う。この摺接支え部92は、カテーテル30の使用前やハウジング20に対するカテーテル30の相対移動時において、カテーテル30に接触していなくてもよい。また、支持部材91は、カテーテル操作部材60がハウジング20内に収容されている状態で、カテーテル操作部材60の側縁61aを収容する図示しない溝部を上端部に有する。そしてこの溝部に側縁61aが存在することで、回転が規制されてカテーテル30を支持可能に待機する。一方、カテーテル操作部材60が進出する際に、支持部材91は、側縁61aが溝部から抜けることで回転可能となり、さらにカテーテル操作部材60が接触することで側壁21の外側に向かって回転する。これにより、支持部材91(摺接支え部92)がハウジング20に残留したまま、カテーテルハブ50、カテーテル操作部材60がハウジング20からスムーズに送出する。
【0021】
また、ハウジング20は、収容空間20aの軸方向中間位置に内針12を保持するブロック状の針保持部24を備える。ハウジング20の針保持部24よりも基端側には、ガイドワイヤ操作部材80の摺動をガイドすると共に、ガイドワイヤ操作部材80の離脱を規制するガイド機構(不図示)が設けられている。さらに、ハウジング20の最も基端側には、収容空間20aを閉じる後壁25が設けられている。
【0022】
ハウジング20の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂を適用するとよい。なお、図示例においてハウジング20は、収容空間20aの上面を露出した構成としているが、ハウジング20は、収容空間20aを上壁で覆う等した角筒状に形成されてもよい。
【0023】
一方、カテーテル組立体10のカテーテル30は、軸方向に直交する断面視で正円形状に形成され、軸方向に沿って適宜の長さで延びている。カテーテル30の長さは、特に限定されず用途や諸条件等に応じて適宜設計可能であり、例えば、14~500mm程度に設定される。
【0024】
また図2に示すように、カテーテル30は、その軸方向の大部分を構成する本体部32と、本体部32の先端に設けられ本体部32よりも軟質なソフトチップ33(柔軟部)とで構成されている。本体部32とソフトチップ33は、熱融着や接着等の適宜の固着方法によって強固に固着され、相互の外周面同士は一連に連続形成される。また、本体部32とソフトチップ33の連結境界部は、相互にテーパ状に重なり合うことで、カテーテル30の物性を徐々に変化させる。
【0025】
そして、カテーテル30内の複数のルーメン31は、穿刺前状態で内針12が挿通配置されるメインルーメン34(第1ルーメン)と、メインルーメン34と平行に延在するサブルーメン41(第2ルーメン)とを含む。メインルーメン34とサブルーメン41は、カテーテル30の軸に直交する断面視で、それぞれ正円形状に形成されている。
【0026】
メインルーメン34は、カテーテル30の軸方向全長にわたって設けられ、カテーテル30の先端に形成された第1先端開口34a(メイン開口)と、カテーテル30の基端に形成された第1基端開口34bとに連通している。第1先端開口34aは、内針12の針先13を露出する。
【0027】
そして、メインルーメン34を構成するカテーテル30の内周面は、軸方向上の所定位置Pを基点に、内針12の外周面16との間の間隔がゼロ(狭い)の先端内周面36と、内針12の外周面16との間で隙間39を形成する基本内周面38とに分けられる。また、基本内周面38の先端には、先端内周面36と基本内周面38を繋ぐテーパ内周面37が形成されている。
【0028】
先端内周面36は、その直径が内針12の外周面16の外径と一致している又は若干小さいことで、内針12の外周面16に密着する密着部35を形成し、基本内周面38の隙間39を閉じている。従って、先端内周面36の直径は、内針12の外径に応じて設計されるとよく、例えば、0.3mm~1.8mmの範囲であるとよい。また、先端内周面36の長手方向(軸方向)の長さは、カテーテル30の先端を良好に挿入するため、例えば、0.1mm~4.0mmの範囲であるとよい。
【0029】
上述のソフトチップ33は、本体部32と共にカテーテル30の先端を構成し、その内側は先端内周面36(密着部35)を形成している。そして、ソフトチップ33の先端内周面36の最先端が第1先端開口34aを形成している。またソフトチップ33の外周面側の最先端は、例えば、針先13の刃面15の傾斜と一致する傾き(或いは刃面15よりも緩い傾き)の先端先細り部40に形成されている。
【0030】
メインルーメン34のテーパ内周面37は、軸方向の短い範囲において、先端方向(先端内周面36)に向かって直径が漸減している。一方、基本外周面44は、メインルーメン34の軸方向の大部分の内周面を構成している。
【0031】
基本内周面38の直径は、内針12の外周面16の外径よりも大きい、つまり先端内周面36の間隔よりも大きく形成されている。これにより内針12とカテーテル30を良好に摺動させることができる。また、内針12の孔部14は、穿刺前状態で、基本内周面38に対向して基本内周面38の隙間39に連通している。従って、内針12とカテーテル30の隙間に血液を良好にフラッシュバックさせることが可能である。基本内周面38の直径は、例えば、先端内周面36の直径の1.02~1.33倍程度に設計されるとよい。
【0032】
サブルーメン41は、カテーテル30の軸方向に沿ってメインルーメン34と隔てて設けられている。つまり、メインルーメン34とサブルーメン41は、カテーテル30内を互いに平行な軸に沿って延在している。サブルーメン41は、カテーテル30の先端側の途中位置で、径方向外側に屈曲しカテーテル30の外周面(側方)に形成された第2横開口41a(サブ開口)に連通している。
【0033】
第2横開口41aは、第1先端開口34aよりも基端側位置に設けられる。第1先端開口34aと第2横開口41aとの間隔は、17mm以上離間していることが好ましい。
【0034】
カテーテル組立体10は、第1先端開口34aと第2横開口41aの間隔が17mm以上離間していることで、第1先端開口34a又は第2横開口41aのうち一方から流出する薬剤が血管内で血液と混合された後に、他方から流出する薬剤と混合される。つまり、配合禁忌薬同士を1つのカテーテル30で良好に投与することができる。なお、サブルーメン41の基端側は、第2基端開口41bに連通し、この第2基端開口41bは第1基端開口34bに隣接している。
【0035】
また、サブルーメン41の内周面の直径は、本実施形態においてメインルーメン34の内周面(先端内周面36)の直径よりも小さい寸法に設定されている。すなわち、複数のルーメン31は、内針12が配置される大径のメインルーメン34と、何も配置されない小径のサブルーメン41とで構成される。さらに、メインルーメン34の直径が軸方向に沿って変化するのに対し、サブルーメン41の内接円径は、カテーテル30の軸方向に沿って一定となっている。サブルーメン41の直径は、第2基端開口41bから薬剤を流入して、第2横開口41aに薬剤を導くことが可能であれば特に限定されず、例えば、0.3~1.2mmの範囲であるとよい。
【0036】
一方、カテーテル30の外周面は、先端から所定位置Pまでの範囲が、小さな外径の先端外周面42に形成されている。例えば、先端外周面42は、内針12に対して一回り大きい程度の外径である。また、カテーテル30の外周面は、所定位置Pから基端方向に向かって太くなるテーパ外周面43と、テーパ外周面43の基端に連なり先端外周面42よりも太い基本外周面44と、を有する。基本外周面44は、サブルーメン41の形成位置に設けられている。
【0037】
以上のカテーテル30は、その軸方向上において、先端内周面36と先端外周面42が重なり、テーパ内周面37とテーパ外周面43が重なり、基本内周面38と基本外周面44とが重なる。そのため、所定位置P付近では、本体部32自体の肉厚が変化しない、換言すれば本体部32の形状が細くなってもその肉厚が一定のまま連続する構成となっている。また、サブルーメン41の形成分だけ外径が太くなる位置には、テーパ外周面43に連続して傾斜し、基本外周面44に連なる連続傾斜面45が設けられている。
【0038】
本体部32の構成材料は、特に限定されるものではないが、軟質樹脂材料が好適であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等があげられる。ソフトチップ33の構成材料も、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン等の樹脂材料を適用するとよい。
【0039】
また、カテーテル30は、透明性を有する材料で形成されることが好ましく、これによりメインルーメン34及びサブルーメン41に流入した血液のフラッシュバックをユーザが良好に視認することができる。なお、カテーテル30は、メインルーメン34を構成する肉部が透明性を有し、サブルーメン41を構成する肉部が不透明性を有する構成でもよい。血液が隙間39に回り込むことで、ユーザが視認できるからである。逆に、サブルーメン41を構成する肉部が透明性を有し、メインルーメン34を構成する肉部が不透明性を有する構成でもよい。また、カテーテル組立体10は、内針12に孔部14(ノッチ)を有していない構成でも、内針12に対するカテーテル30の相対的な進出に伴い、内針12の先端側とカテーテル30のメインルーメン34の内周面との接触がなくなった段階で、メインルーメン34に血液が流れ込むので、フラッシュバックを確認することができる。
【0040】
カテーテル30の基端部は、かしめ、融着、接着等の適宜の固着手段によってカテーテルハブ50内の先端部に固着される。カテーテルハブ50は、カテーテル30が患者の血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル30と共に留置される。カテーテルハブ50を構成する材料は、特に限定されず、例えば、ハウジング20であげた材料を適宜採用するとよい。
【0041】
図1及び図2に示すように、カテーテルハブ50は、先端方向に先細りの筒状に形成されるメインハブ51(第1カテーテルハブ)と、メインハブ51の側面に連結されるサブハブ52(第2カテーテルハブ)とを有する。メインハブ51は、輸液等において2種類の薬剤のうち一方を流入させるメインポートを構成しており、サブハブ52は、2種類の薬剤のうち他方を流入させるサブポートを構成している。
【0042】
メインハブ51は、その先端部においてカテーテル30を固定保持し、固定部分の基端側にメイン空間部51a(第1空間部)を備える。メイン空間部51aは、メインルーメン34に連通し、穿刺前状態で内針12が挿通される。またメインハブ51の内部には、カテーテル30のサブルーメン41に連通すると共に、サブハブ52内のサブ空間部52aに連通する流路53が設けられている。サブ空間部52a及び流路53は、サブルーメン41に連通する連通路55を構成している。
【0043】
サブハブ52は、サブ空間部52aを内部に有する筒状に形成され、カテーテル30のメインルーメン34とサブルーメン41の配置関係に対応して、メイン空間部51aの上方に設けられている。これにより、メインハブ51において流路53とメイン空間部51aを分離させた形状に簡単に製造することができる。また、ハウジング20を幅方向に細く構成することが可能となり、ユーザは、穿刺時にハウジング20を容易に把持操作することができる。
【0044】
メインハブ51及びサブハブ52は、輸液チューブのコネクタを接続可能な接続部となっている(例えば、径方向外側に突出するフランジ部54を基端に備える、或いはメイン空間部51a又はサブ空間部52aの内周面をルアーテーパに形成する等)。なお、メインハブ51のメイン空間部51a及びサブハブ52のサブ空間部52aには、血液の逆流を防ぐ図示しない止血弁、及び輸液チューブのコネクタの挿入に伴い止血弁を貫通して輸液を可能とする図示しないプラグ等が収容されてもよい。
【0045】
以上のカテーテル30及びカテーテルハブ50は、図1に示すように、カテーテル操作部材60によって内針12及びハウジング20との相対移動が操作される。カテーテル操作部材60は、カテーテル30を直接保持すると共に、カテーテルハブ50を収容保持する。このカテーテル操作部材60は、ハウジング20の長手方向に延びる操作板部61と、操作板部61の基端に連なりカテーテルハブ50を収納するハブ収納部62とを有する。
【0046】
操作板部61は、ユーザの指が当てられて進退操作がなされる部位である。操作板部61の一対の側縁61aは、穿刺前状態で、ハウジング20の一対のレール部21aと、一対の側壁21の上面とに配置される。また、操作板部61の下面には、一対の突片(不図示)からなるカテーテル保持部が長手方向に沿って1以上設けられ、各箇所でカテーテル30を咥え込んでいる。
【0047】
つまり、図1及び図2に示すように、多重構造針11(カテーテル30)は、上述した支持部材91と操作板部61とで構成された撓み抑制機構90により、軸方向途中位置が支えられる。支持部材91(撓み抑制機構90)による支持箇所は、テーパ外周面43や連続傾斜面45よりも基端側、且つ第2横開口41aよりも基端側に位置している。支持部材91は、該支持部材91よりも先端側且つ最も近い第2横開口41a付近でカテーテル30を支持可能である。
【0048】
より具体的には、支持部材91は、該支持部材91よりも先端側且つ最も近い第2横開口41aから5mm以下の位置でカテーテル30を支持可能である。ここで、撓み抑制機構90は、内針12及びカテーテル30の先端側の撓みを抑制するという観点から可及的に先端側に設けられることが好ましい。一方、メインルーメン34及びサブルーメン41を有するカテーテル30は、それぞれの開口から吐出する薬液が血液中で混合するように、ある程度距離をとって各開口を設ける必要がある。しかしながら第2横開口41aよりも先端側に撓み抑制機構90が存在すると、撓み抑制機構90が第2横開口41a付近のカテーテル30に接触して破損等を生じさせる可能性がある。従って、各開口から吐出された薬液が血中で混合するぎりぎりの距離であり、且つ、第2横開口41a付近に撓み抑制機構90を設けることで、血中での混合と撓み抑制を両立することができる。
【0049】
ハブ収納部62は、操作板部61に連なる上板63と、図示しない一対の側板とでカテーテルハブ50を収納する収納室を構成している。上板63には、カテーテルハブ50の形状に応じて略二等辺三角形状に切り欠かれ、サブハブ52を突出させる配置穴63aが設けられている。そして、ハブ収納部62は、一対の側板と、基端側で円弧状に架橋するアーチ部64とによって、カテーテルハブ50のフランジ部54を適度な摩擦力で分離可能に保持している。
【0050】
また図1及び図2に示すように、カテーテル組立体10のガイドワイヤ70は、内針12の中空部12aに配置され、内針12の軸方向に沿って延在している。このガイドワイヤ70は、内針12の基端開口(不図示)から延出してガイドワイヤ操作部材80に固着されている。ガイドワイヤ70は、内針12よりも軸方向に長く形成され、適度な剛性及び可撓性を有する。
【0051】
ガイドワイヤ70は、穿刺前状態で、その先端が内針12の孔部14よりも基端側に配置されている。これにより、内針12の穿刺時に血管から中空部12a内に流入した血液が孔部14を介して内針12の外側に良好に流出し、ユーザにフラッシュバックを視認させることができる。そして、ガイドワイヤ70は、内針12の穿刺状態で、ユーザによるガイドワイヤ操作部材80の操作下に、内針12の先端開口15aから送出されることで血管内に進出する。
【0052】
図1に戻り、カテーテル組立体10のガイドワイヤ操作部材80は、ハウジング20の基端側にてガイドワイヤ70を固定保持する保持ブロック81と、保持ブロック81から先端方向に延在する操作アーム82とを有する。操作アーム82の先端部は、ユーザが直接接触して操作する操作突起83を備え、ガイドワイヤ操作部材80の平坦状の上面に対しスライド可能に載置される。つまり、操作アーム82の進出操作に連れて保持ブロック81が進出することにより、ガイドワイヤ70を先端方向に押し出す。そして、ガイドワイヤ操作部材80の進出量に応じて、ガイドワイヤ70は、内針12の先端開口15aから送出される。
【0053】
第1実施形態に係るカテーテル組立体10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その作用効果について説明する。
【0054】
カテーテル組立体10は、上述したように、患者への輸液の導入部を構築する際に用いられる。使用において、ユーザは、ハウジング20を把持操作して多重構造針11を患者に穿刺する。この際、ハウジング20の支持部材91は、カテーテル30の基本外周面44(複数のルーメン31の延在箇所)を支持して、カテーテル30の直線性を良好に確保している。そして穿刺時には、刃面15によって皮膚や血管を切り裂くことで内針12が先に刺入され、続いてカテーテル30が体内に挿入される。
【0055】
図2に示すように、カテーテル30は、挿入時に、充分に細い先端外周面42を最初に挿入するため、充分に低い刺通抵抗を受ける。また、ソフトチップ33を含む先端内周面36は、内針12に密着しているので径方向内側に撓むことがない。これにより、カテーテル30の先端が軸方向に縮むことも抑制され、カテーテル30が容易に挿入される。特に、メインルーメン34に配置される内針12は、太いものを採用することができるので、カテーテル30の撓みがより少なくなる。
【0056】
さらに血管に穿刺した際には、ガイドワイヤ70の先端が孔部14の基端側に位置しているため、内針12の中空部12aに流入した血液が孔部14を通してカテーテル30のメインルーメン34(基本内周面38の隙間39)に流動する。これによりユーザは、血液のフラッシュバックを視認して、メインルーメン34が血管を確保したことを確認することができる。
【0057】
カテーテル30をさらに挿入すると、所定位置Pからテーパ外周面43に移行する。この際、生体組織が拡がるが、テーパ外周面43に沿ってカテーテル30を円滑に挿入することが可能であり、また連続傾斜面45に至ってもその傾斜によりカテーテル30の円滑な挿入を継続することができる。特に、サブルーメン41が小径であり、先端外周面42に対する基本外周面44の外径の変化率も小さいため、カテーテル30の刺通抵抗が大幅に抑制される。従って、基本外周面44までカテーテル30を円滑に挿入することができる。
【0058】
多重構造針11を血管にある程度挿入した段階で、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材80を進出操作して、ガイドワイヤ70を内針12の先端開口15aから送出させる。その後ユーザは、カテーテル操作部材60を進出操作して、カテーテル30及びカテーテルハブ50を、ガイドワイヤ70に沿って進出させる。この際、メインルーメン34の基本内周面38が内針12との間で隙間39を形成していることで、内針12とカテーテル30の間の摺動抵抗が低くなっており、内針12に対しカテーテル30を円滑に相対移動させていくことができる。
【0059】
また、多重構造針11を血管にある程度挿入した段階では、第2横開口41aからサブルーメン41に血液が流入するようになる。これによりユーザは、サブルーメン41が血管を確保したことも良好に認識することができる。
【0060】
特に、内針12の針先13がカテーテル30の基本内周面38よりも基端側に移動すると、カテーテル30と相対的に内針12を容易に後退させることが可能となる。カテーテル30及びカテーテルハブ50は、内針12及びハウジング20から送出されると、患者に留置される。留置時には、メインハブ51とサブハブ52のそれぞれに輸液チューブを接続する。これにより、メイン空間部51a及びメインルーメン34を介して第1薬剤が患者に投与され、サブ空間部52a、流路53及びサブルーメン41を介して第2薬剤が患者に投与される。
【0061】
以上のように、第1実施形態に係るカテーテル組立体10は、メインルーメン34の先端側の先端内周面36が内針12の外周面16に密着する一方で、先端内周面36よりも基端側の基本内周面38と内針12の外周面16との間に隙間39を形成している。従って、先端内周面36の形成位置では、穿刺時に生体組織から圧迫を受けてもカテーテル30が内針12に確実に支持されて、カテーテル30の撓みや縮み等が抑制される。よって、カテーテル30の先端が体内に円滑に挿入される。また、基本内周面38の隙間39は、カテーテル30と内針12の間の摺動抵抗を抑えて内針12とカテーテル30の相対移動を円滑化させ、カテーテル30の挿入及び留置時における操作性を向上させる。さらに孔部14が配置されることで、血管の確保をユーザに良好に認識させることができる。すなわち、カテーテル組立体10は、複数のルーメン31を有するカテーテル30を容易に挿入可能とし、複数種類の薬剤の投与、又は採血等の様々な処置を良好に実施させることができる。
【0062】
また、先端内周面36が内針12との間で密着部35を形成することで、カテーテル30の先端側は、外形をより細く形成することが可能であり、また内針12に一層確実に支持される。よって、カテーテル30の挿入性能が大幅に高められる。そして、カテーテル30は、先端外周面42が基本外周面44よりも細いため、先端から血管内に容易に挿入することができる。また、先端外周面42に続いてテーパ外周面43が挿入され、その後に基本外周面44が挿入されるので、太い基本外周面44を容易に挿入することが可能となる。
【0063】
さらに、ソフトチップ33を有するカテーテル30は、血管内への挿入時に、血管壁に接触したソフトチップ33が簡単に撓んで血管に沿って湾曲するようになり、血管壁に対する炎症や損傷の発生を大幅に低減することができる。特に、カテーテル30は、先端内周面36が内針12に支持されるので、血管に達する前の刺入中においてソフトチップ33の撓みや縮みの発生を効果的に抑制することができる。
【0064】
またさらに、カテーテル組立体10は、サブルーメン41の第2横開口41aが孔部14よりも基端側に位置することで、カテーテル30の先端付近をより細くすることができ、挿入性を向上させることができる。またメインルーメン34に流入する血液を素早く確認することができる。サブルーメン41の第2横開口41aは、複数種類の薬剤を血管に投与した際に直ぐに薬剤同士が混じることを抑制することができる。
【0065】
また、カテーテル組立体10は、第2横開口41aより基端側に撓み抑制機構90(支持部材91、カテーテル操作部材60の保持部)を有している。これにより、カテーテル30を前進させた際の撓み抑制機構90に対するカテーテル30の摺動抵抗を低下させることができる。また、撓み抑制機構90は、カテーテル30のテーパ外周面43や連続傾斜面45よりも基端側においてカテーテル30を支持している。これにより、カテーテル30を前進させた際の撓み抑制機構90に対するカテーテル30の摺動抵抗をより低減することができる。さらに、撓み抑制機構90が第2横開口41aやテーパ外周面43に当たって傷つけることを防止し、撓み抑制機構90の接触箇所及び接触予定箇所に第2横開口41aやテーパ外周面43による段差をなくすことで、一定の力で内針12の撓みを防止することができる。
【0066】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、発明の要旨に沿って種々の改変が可能である。
【0067】
例えば、上述の実施形態では、カテーテル30の挿入を補助する挿入補助機構としてガイドワイヤ70を適用した例を説明した。挿入補助機構は、これに限定されず、種々の構成を採用してよい。例えば、挿入補助機構は、内針12の基端開口を内針ハブ19から露出することで、ガイドワイヤ70を後付で使用することが可能な構成でもよい。さらに、挿入補助機構は、針先13から露出されたガイドワイヤ70を中空部12a内に自動的に引き込み可能な構成としてもよい。或いは、カテーテル組立体10は、ガイドワイヤ70及びガイドワイヤ操作部材80を備えない構成でもよい。
【0068】
挿入補助機構は、ガイドワイヤ操作部材80の操作量に対し、ガイドワイヤ70を2倍以上延出させる構成でもよい。例えば、この種の構造としては、ハウジング20内でガイドワイヤ70を折り返し、ガイドワイヤ操作部材80がこの折り返し部を進退させる構成とすればよい。
【0069】
また、カテーテル組立体10は、内針12の抜去時に内針12の誤刺を防止するための図示しないセーフティ機構を備えていてもよい。例えば、セーフティ機構は、内針12の抜去時に内針ハブ19から筒状部材(テレスコープ型等)を突出させ、内針12を内部に収容するフルカバータイプのものを適用し得る。またセーフティ機構は、内針12の針先13及びその周辺部を部分的に覆う被覆部材でもよい。さらにセーフティ機構は、内針12の抜去時に、ハウジング20(内針ハブ19)内に内針12を自動又は手動で引き込むタイプでもよい。
【0070】
或いは、セーフティ機構は、内針12の抜去時に、皮膚に刺さり難い先端を有する鈍針を、針先13から突出させる構成でもよい。この鈍針は、カテーテル30を内針12に対して前進させる際に針先13から突出させる構成とすれば、カテーテル30に内針12が刺さることを防止することもできる。
【0071】
カテーテル組立体10は、患者から逆血した血液の漏れを防止する図示しない止血機構を備えていてもよい。例えば、止血機構としては、カテーテルハブ50内に収容した止血弁があげられる。また、止血弁は、カテーテルハブ50の基端に離脱可能に取り付けられるキャップタイプでもよい。或いは、止血機構は、内針12の所定位置(基端等)に取り付けられ、気体を透過する一方で、液体を透過しないエアベント部材でもよい。
【0072】
カテーテル組立体10は、多重構造針11の穿刺前に、内針12へのカテーテル30のはりつきを解消するため、カテーテルハブ50を内針12に対して回転可能とする図示しないカテーテルハブ回転機構を備えていてもよい。例えば、カテーテルハブ回転機構は、ハウジング20及びカテーテル操作部材60の軸方向上のうち、穿刺前状態でサブハブ52に対応する位置の左右方向の少なくとも一方に切り欠きを形成することで構成し得る。
【0073】
また、カテーテル30は、ソフトチップ33による柔軟性機構の他にも、種々の機構を採用してよい。例えば、カテーテル30内にリング状、メッシュ状又はコイル状の補強素材、或いはブレード等を埋め込むことで、カテーテル30の潰れを防止する剛性機構を適用し得る。
【0074】
さらに、カテーテル組立体10は、カテーテル30のキンクを防止する図示しないキンク防止機構を適用してよい。例えば、キンク防止機構としては、カテーテルハブ50の先端部分を変形可能に構成することがあげられる。
【0075】
カテーテル組立体10は、本実施形態において、カテーテルハブ50が内針12から離脱した際に、カテーテルハブ50とカテーテル操作部材60とが分離する分離機構(別部材)によって構成されている。しかしながら、カテーテル組立体10は、カテーテルハブ50とカテーテル操作部材60を分離不能とし一体的に留置可能とする構成(非分離機構)でもよい。
【0076】
さらに、メインルーメン34の先端内周面36は、基本内周面38よりも小径であればよく、内針12の外周面16との間隔がゼロとなっていない(つまり密着部35を形成していない)構成でもよい。この構成でも穿刺時には、内側に圧迫されたカテーテル30を内針12が良好に支持することができるからである。
【0077】
また、本発明の他の実施形態及び他の構成例について、図3図18を参照して説明する。なお、以降の説明において、同一の構成又は同一の機能を有する構成には、同一の符号を付して、その詳細な説明については省略する。また、以降の実施形態や構成例でも、上述したカテーテル組立体の機構(挿入補助機構、セーフティ機構、止血機構、カテーテルハブ回転機構、柔軟性機構、剛性機構、キンク防止機構、分離機構、非分離機構)を適宜採用し得ることは勿論である。
【0078】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るカテーテル組立体110は、図3に示すように、多重構造針111(内針112及びカテーテル130)の構造が第1実施形態に係るカテーテル組立体10と異なる。具体的には、カテーテル130は、内針112が挿通及び配置されるメインルーメン134の直径よりもサブルーメン141の直径のほうが大きく形成され、このメインルーメン134に対応して内針112が細く形成されている。
【0079】
また、内針112は、血液のフラッシュバックを実現する導入路として、刃面15から基端方向に向かって所定長さ切り欠いた溝部113を有する。そして、溝部113の基端部が、内針112の外周面116とメインルーメン134の内周面(基本内周面138)により構成される隙間139に連通している。
【0080】
一方、カテーテル130は、第1実施形態と同様に、本体部132と、本体部132の先端に設けられたソフトチップ133(柔軟部)によって構成される。ただし、ソフトチップ133がメインルーメン134の先端からサブルーメン141の先端(第2先端開口141a)よりも若干基端側までの範囲に設けられている。そして、サブルーメン141には、スタイレット170が配置されている。
【0081】
カテーテル130のメインルーメン134には、内針112の外径と同程度の直径の先端内周面136と、テーパ内周面137を含み内針112の外径(先端内周面136の直径)よりも若干大径な直径の基本内周面138とが設けられる。先端内周面136は、溝部113以外の内針112の外周面116との間で密着部135を形成している(間隔をゼロとしている)。基本内周面138は、内針112の外周面116との間に隙間139を形成している。
【0082】
一方、サブルーメン141は、刃面15が臨む方向(上方方向)に位置している。このサブルーメン141は、カテーテル130の軸方向に沿って(メインルーメン134と平行に)延在し、メインルーメン134の第1先端開口134aよりも基端側位置に設けられた第2先端開口141aに連通している。
【0083】
カテーテル130の外周面は、先端内周面136に重なる位置に先端外周面142、基本内周面138と重なる位置にサブルーメン141に応じた外径の基本外周面144を有する。基本外周面144の先端は、カテーテル130の軸心に対し傾斜した傾斜端面145に連なっている。そして、傾斜端面145に第2先端開口141aが形成されると共に、傾斜端面145の先端がテーパ外周面143の基端に連なっている。
【0084】
サブルーメン141に配置されるスタイレット170は、内針112よりも大径に形成された中実の棒状部材であり、カテーテル130全体にコシを与えて生体へのカテーテル130の挿入性能を高める。スタイレット170の先端は、カテーテル130の傾斜端面145と同程度に傾斜しており、穿刺前状態で第2先端開口141aよりも僅かに基端側に配置される。これにより、スタイレット170の先端は、生体組織片がサブルーメン141に詰まることを抑制する。
【0085】
また、スタイレット170は、サブルーメン141内を延在して、サブルーメン141から、メインハブ151(カテーテルハブ150)に連結されたサブハブ152のサブ空間部152aに、連通路153を介して挿通されている。そして、スタイレット170の基端は、サブハブ152の突出端に取り付けられるスタイレット保持部材171に固定保持されている。このため、カテーテル130をある程度血管内に挿入した段階で、ユーザは、スタイレット保持部材171を把持操作することで、スタイレット170をカテーテル130から抜去することができる。
【0086】
スタイレット170の外面とサブルーメン141の内面には適度な隙間が設けられており、スタイレット170をカテーテル130に対し摺動可能である。また、スタイレット170とサブルーメン141の隙間に血液が流入することで、サブルーメン141先端が血管内に挿入されたことを知ることができる。スタイレット170の断面はサブルーメン141を相似形に小さくした形状でもよいが、溝を設置することにより、より良好にフラッシュバックを確認することができる。また、スタイレット170は、中空の透明の素材で構成されてもよく、この構成によってもフラッシュバックを良好に確認することができる。
【0087】
以上のように、第2実施形態に係るカテーテル組立体110でも、第1実施形態に係るカテーテル組立体10と同様の効果を得ることができる。すなわち、カテーテル130は、その先端が内針112の外周面116に支持されることで撓みや縮みが抑制されるので、体内に円滑に挿入することができる。特に、内針112を細く形成した場合には、内針112の穿刺時に患者の傷口を小さくすることができ、誤穿刺した場合の止血が容易となる。
【0088】
また、カテーテル130の先端方向を臨むサブルーメン141の第2先端開口141aは、血管内の留置状態で血管壁に閉塞されることが抑制される。従って、サブルーメン141の第2先端開口141aから血液を良好に吸引することができる。さらに、カテーテル組立体110は、サブルーメン141にスタイレット170が離脱可能に配置されていることで、スタイレット170によってカテーテル130の剛性や直進性を向上させることができる。
【0089】
〔第3実施形態〕
第3実施形態に係るカテーテル組立体210は、図4に示すように、多重構造針211(カテーテル230)及びカテーテルハブ250の構造が、第1及び第2実施形態に係るカテーテル組立体10、110と異なる。具体的には、カテーテル230の側面断面視で、内針12が挿通及び配置されるメインルーメン234がサブルーメン241の上方向側に設けられている。また第3実施形態では、メインルーメン234(基本内周面238)の直径のほうがサブルーメン241の直径よりも大きく形成されている。なお、カテーテル230を構成する本体部及びソフトチップ(柔軟部)は、第2実施形態と同様の構成を採っており、ソフトチップがカテーテル230の先端から基本外周面244までの範囲に設けられている。
【0090】
カテーテル230のメインルーメン234は、第1実施形態のメインルーメン34と同様に、先端内周面236、テーパ内周面237を含む基本内周面238を有する。そして、カテーテル230の外周面は、先端外周面242、テーパ外周面243及び基本外周面244を有するが、サブルーメン241が基本外周面244から、テーパ外周面243及び先端外周面242の形成範囲にまで延在している。また、サブルーメン241は、内針12の刃面15が臨む方向と反対側の下方向に設けられている。サブルーメン241の第2先端開口241aは、メインルーメン234の第1先端開口234aと軸方向上の略同位置に配置している。
【0091】
このため、カテーテル230の外形は、全体的に太くなるが、先端の第1先端開口234aの下部側(サブルーメン241の形成側)が先端先細り部40に連なる傾斜端面245に形成されている。傾斜端面245は、内針12の刃面15の下側において適度な角度で傾斜していることで、カテーテル230の先端(先端外周面242)の挿入を円滑化する。第2先端開口241aはこの傾斜端面245に設けられている。また、図示しないがサブルーメン241の先端部内径を小径にすることで、カテーテル230の先端の挿入をより良好に円滑化することができる。
【0092】
一方、カテーテルハブ250のメインハブ251は、カテーテル230の上部のメインルーメン234に連通するように第1空間部251aを形成している。また、メインハブ251は、カテーテル230の下部側に設けられたサブルーメン241と、メインハブ251の上部側に連結しているサブハブ252の第2空間部252aとを連通させる迂回連通路253を有している。迂回連通路253は、メインハブ251の第1空間部251aを囲う周壁内において回り込むように設けられて、第2空間部252aに連通している。
【0093】
以上のように、第3実施形態に係るカテーテル組立体210でも、カテーテル組立体10と同様の効果を得ることができる。特に、カテーテル組立体210は、サブルーメン241の第2先端開口241aが内針12の孔部14よりも先端側に位置することで、サブルーメン241に血液が流入したことを素早く確認することが可能である。
【0094】
〔第4実施形態〕
第4実施形態に係るカテーテル組立体310は、図5に示すように、多重構造針311(カテーテル330)及びカテーテルハブ350の構造が、第1~第3実施形態に係るカテーテル組立体10、110、210と異なる。具体的には、カテーテル330の平面断面視で、サブルーメン341がメインルーメン334の横方向(図5中の右方向)に隣接して、相互に平行に延在している。そしてメインルーメン334に内針12が挿通及び配置されている一方で、サブルーメン341にガイドワイヤ70が摺動可能に配置されている。
【0095】
なお、第4実施形態では、メインルーメン334の直径がサブルーメン341の直径よりも大きく設定されている。カテーテル330を構成する本体部及びソフトチップ(柔軟部)は、第2実施形態と同様の構成を採っており、ソフトチップがカテーテル330の先端から基本外周面344までの範囲に設けられている。
【0096】
カテーテル330のメインルーメン334は、第1実施形態のメインルーメン34と同様に、先端開口334aに連通し、先端内周面336、テーパ内周面337を含む基本内周面338を有する。また、カテーテル330の外周面は、先端外周面342、テーパ外周面343及び基本外周面344を有する。
【0097】
サブルーメン341は、基本外周面344の形成箇所に設けられる。サブルーメン341の直径は、ガイドワイヤ70の外径に応じて適宜の寸法に設定されている。この基本外周面344の先端には、テーパ外周面343に連なる傾斜端面345が形成され、この傾斜端面345に第2先端開口341aが形成されている。
【0098】
一方、カテーテルハブ350は、メインハブ351とサブハブ352とを有し、サブハブ352がメインハブ351の側方に連結されている。このメインハブ351は、メインルーメン334に連通する第1空間部350aを有し、またサブハブ352の第2空間部352aに連通する連通路353を有している。すなわち、ガイドワイヤ70は、第2空間部352a、連通路353を介してサブルーメン341に対し摺動自在に挿入される。
【0099】
以上のように、第4実施形態に係るカテーテル組立体310でも、カテーテル組立体10と同様の効果を得ることができる。特に、カテーテル組立体310は、サブルーメン341にガイドワイヤ70を摺動自在に配置することで、多重構造針311の挿入時にガイドワイヤ70がカテーテル330を補強して、カテーテル330の挿入性能を高めることができる。そして、ガイドワイヤ70は、サブルーメン341から血管内に挿入されることでカテーテル330の挿入を良好にガイドすることができる。
【0100】
上述したカテーテル組立体10、110、210、310、及び後述するカテーテル組立体510、610、710、810、910、1010は、メインルーメンとサブルーメンの配置関係について、特に限定されるものではない。つまり図6A図6Fに示す第1~第6構成例に係るカテーテル430A~430Fにおける、メインルーメンαとサブルーメンβの配置関係を全て採用することができる。
【0101】
具体的に図6Aに示すカテーテル430Aは、第1実施形態で説明したメインルーメン34とサブルーメン41の配置関係である。すなわち、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも大きく、且つメインルーメンαの上部にサブルーメンβが配置されている。なお、カテーテル430Aの軸方向に直交する断面形状は、図6A中に示す楕円形状以外の形状でもよく、例えば、正円形状に形成されてもよい。他のカテーテル430B~430Fも同様である。
【0102】
なお、メインルーメンαとサブルーメンβの配置位置は、メインルーメンαに配置される内針12の刃面15を指標として説明する。すなわち上述したように、内針12の刃面15は、穿刺時に患者の体表を下側とした場合に上方向を臨むように姿勢が操作される。従って、メインルーメンαよりも上方向にサブルーメンβがあるとは、カテーテル430Aの周方向のうち、刃面15が臨む上方向にサブルーメンβが位置することである。
【0103】
図6Aに示すカテーテル430Aは、サブルーメンβを利用してフラッシュバックを確認することができる。また、このカテーテル430Aは、血管の挿入時に、サブルーメンβの先端(傾斜端面)の形成箇所が、血管内の刺入箇所と反対側の血管壁に引っ掛かって移動が邪魔されることが抑制される。従って、血管壁に炎症や損傷が生じることも抑制することができる。またさらに、サブルーメンβの第2先端開口が血管壁に閉じられて、流量が低下するのを抑えることができる。
【0104】
図6Bに示すカテーテル430Bは、第4実施形態で説明したメインルーメン334とサブルーメン341の配置関係である。すなわち、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも大きく、且つカテーテル430Bの周方向のうち、メインルーメンαの横方向(刃面15が臨む方向と直交する方向)にサブルーメンβが配置されている。このように構成することで、図6Aに示す配置関係と同様の効果を得ることができ、しかもメインルーメンαのフラッシュバックも良好に確認することができる。
【0105】
図6Cに示すカテーテル430Cは、第3実施形態で説明したメインルーメン234とサブルーメン241の配置関係である。すなわち、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも大きく、且つカテーテル430Cの周方向のうちメインルーメンαの下側(刃面15が臨む方向の反対方向)にサブルーメンβが配置されている。このように構成することで、メインルーメンαのフラッシュバックをより良好に確認することが可能となる。
【0106】
図6Dに示すカテーテル430Dは、第2実施形態で説明したメインルーメン134とサブルーメン141の配置関係である。すなわち、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも小さく、且つカテーテル430Dの周方向のうちメインルーメンαの上側にサブルーメンβが配置されている。また、図6Eに示すカテーテル430Eは、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも小さく、且つメインルーメンαの横方向にサブルーメンβが配置されている。さらに、図6Fに示すカテーテル430Fは、メインルーメンαの直径がサブルーメンβの直径よりも小さく、且つメインルーメンαの下側にサブルーメンβが配置されている。これら図6D図6Fのカテーテル430D~430Fでも、上記のカテーテル430A~430Cと同様に、充分な効果を得ることができる。
【0107】
また、図6A図6F中では、メインルーメンα及びサブルーメンβの断面形状を正円形状に形成しているが、これらルーメンの断面形状も特に限定されるものではない。一例として、流路断面積が小さい方のルーメン(例えば、サブルーメン)は、メインルーメンαの周方向外側の一部分を囲うような形状(C字状、U字状、楕円、多角形状等)に形成されていてもよい。これにより、カテーテル430A~430F全体の外径をより小さくすることができる。
【0108】
また、図7A及び図7Bに示す第7及び第8構成例に係るカテーテル430G、430Hのように、カテーテル組立体は、3以上のルーメン431を有する構成でもよい。具体的には、図7Aに示すカテーテル430Gは、メインルーメンαの上方に第1及び第2サブルーメンβ1、β2を幅方向(刃面15が臨む方向と直交する方向)に並べて配置している。図7Bに示すカテーテル430Hは、メインルーメンαをカテーテル430Hの軸心部に配置し、その上側(刃面15が臨む方向)に第1サブルーメンβ1を配置し、下側(刃面15が臨む方向の反対方向)に第2サブルーメンβ2を配置している。
【0109】
また、カテーテル組立体は、各フラッシュバック流路径や長さを適切に設定することで、フラッシュバックをメインルーメンα、サブルーメンβの順に確認可能な構成としてもよい。これにより、先端に開口部があるルーメンのフラッシュバックを先に確認できるため、ユーザに違和感が生じ難くなる。或いは、カテーテル組立体は、各フラッシュバック流路径や長さを適切に設定することで、フラッシュバックをサブルーメンβ、メインルーメンαの順に確認可能な構成としてもよい。これにより、サブルーメンβが血管に入っていれば、メインルーメンαが当然に血管に入っていると考えるユーザにとって使用し易いものとなる。
【0110】
〔第5実施形態〕
図8図10に示すように、第5実施形態に係るカテーテル組立体510は、第7及び第8構成例と同様に3つのルーメン531を有するカテーテル530を含み、また内針ハブ519の撓み抑制機構590により多重構造針511を支持可能とした構成となっている。詳細には、カテーテル530は、軸方向に沿った側面断面視で、メインルーメン534を下側に、第1サブルーメン540を中間に、第2サブルーメン545を上側に配置している。
【0111】
カテーテル組立体510の内針ハブ519は、幅方向の中心の基部521から二叉に分かれた一対の延出部520を有する。この内針ハブ519は、カテーテルハブ550を上下に露出した状態で保持している。なお、内針ハブ519は、一対の延出部520の下側や上側に覆いを付けてハウジング状にしてもよい。上側に覆いを付ける場合は、タブをハウジングから露出させ、操作できるようにするために、上側の覆いにスリットを設けるとよい。
【0112】
撓み抑制機構590は、開閉可能な一対の支持アーム591と、一対の支持アーム591を閉じた状態に拘束可能であり且つ拘束を解除可能な拘束部592とを有する。一対の支持アーム591は、一対の支持ピン593に軸支され、内針ハブ519の一対の延出部520に対し左右方向に開閉可能となっている。
【0113】
各支持アーム591には、閉じた状態で内針12を保持するための支持溝591aが設けられている。一対の支持溝591aは、多重構造針511を支持する支持孔594を構成する。カテーテル組立体510の初期状態において、支持孔594を構成する壁面は、カテーテル530が内針12に対して前進する際にカテーテル530と擦れ合う摺接支え部595として機能する。穿刺前状態で、カテーテル530の外面と摺接支え部595の内面との間には、若干の隙間が形成されている。また、摺接支え部595は、カテーテル530の周方向全周を接触可能に囲っている。
【0114】
そして、各支持アーム591には、閉じた状態における正面視で、屈曲した係合溝591bが設けられる。一方、拘束部592は、この一対の係合溝591bを連ねた形状に対応する頭部592aを有し、穿刺前状態で相互に係合し合うことにより、各支持アーム591を閉じている。そしてカテーテルハブ550の前進に伴ってカテーテルハブ550に押されることで、一対の支持アーム591に対する拘束を解除する。
【0115】
一方、メインルーメン534、第1サブルーメン540、第2サブルーメン545は、カテーテル530の内部において互いに平行に延在している。またカテーテル530の先端側では、メインルーメン534、第1サブルーメン540、第2サブルーメン545が段状に重なっている。
【0116】
具体的には、メインルーメン534は、第1及び第2サブルーメン540、545よりも長く形成されており、カテーテル530の最先端の第1先端開口534a(メイン開口)と、カテーテル530の最基端の第1基端開口(不図示)に連通している。またカテーテル530は、第1先端開口534aに向かってその外径が漸減する第1テーパ外周面535を有している。カテーテル530の途中位置(第1テーパ外周面535と後述する第2先端開口540aとの間)には、メインルーメン534に連通する第1横開口534b(メイン開口)が設けられている。
【0117】
第1サブルーメン540は、メインルーメン534より短く第2サブルーメン545よりも長く形成されている。ここで、カテーテル530の先端側は、メインルーメン534に対して第1サブルーメン540が重なることで太さ(外径)が増しており、第1サブルーメン540の最先端に、段差部を構成する第2テーパ外周面541(テーパ部)を有している。第1サブルーメン540は、この第2テーパ外周面541に形成された第2先端開口540a(サブ開口)に連通している。また第1サブルーメン540は、カテーテル530の最基端の(第1基端開口と同軸上位置にある)第2基端開口(不図示)に連通している。カテーテル530の第2テーパ外周面541と後述する第3先端開口545aとの間には、第1サブルーメン540に連通する第2横開口540b(サブ開口)が設けられている。
【0118】
第2サブルーメン545は、最も短く形成されている。カテーテル530の先端側は、メインルーメン534及び第1サブルーメン540に対して第2サブルーメン545が重なることで太さ(外径)がさらに増しており、第2サブルーメン545の最先端に、段差部を構成する第3テーパ外周面546(テーパ部)を有している。第2サブルーメン545は、この第3テーパ外周面546に形成された第3先端開口545a(サブ開口)に連通している。また第2サブルーメン545は、カテーテル530の最基端の(第1基端開口と同軸上位置にある)第3基端開口(不図示)に連通している。カテーテル530の第3テーパ外周面546の基端側には、第2サブルーメン545に連通する第3横開口545b(サブ開口)が設けられている。
【0119】
また、第1横開口534bと第2先端開口540aとの間は、17mm以上離間した位置に設定されている。同様に、第2横開口540bと第3先端開口545aとの間も、17mm以上離間した位置に設定されている。
【0120】
そして、本実施形態において、撓み抑制機構590の摺接支え部595は、穿刺前状態で、カテーテル530の第3横開口545bよりも基端側に位置している。より具体的には、摺接支え部595は、2つのサブルーメン540、545のうち最も基端側のサブ開口である第3横開口545b付近(基端側に例えば、5mm以下)の位置を支持可能に設けられている。
【0121】
なお、カテーテル組立体510の初期状態で、摺接支え部595は、第2サブルーメン545の第3先端開口545aよりも先端側に設けられていてもよい(図9中の2点鎖線参照)。具体的には、摺接支え部595は、第2先端開口540a(2つのサブルーメン540、545のうち最も先端側のサブ開口)よりも基端側を支持可能となっている。このように撓み抑制機構590が第3先端開口545aよりも先端側を支持する構成でも、第1サブルーメン540の第2先端開口540a、第2テーパ外周面541の損傷等を抑制することができ、しかも、内針12の撓み抑制効果が向上する。
【0122】
カテーテル組立体510のカテーテルハブ550は、メインルーメン534のポートとして機能するメインハブ551を有する。さらにカテーテルハブ550は、第1サブルーメン540のポートとして機能する第1サブポート552、及び第2サブルーメン545のポートとして機能する第2サブポート553を有する。メインハブ551の先端には、ユーザが指をかけるハブ操作部551aが設けられ、このハブ操作部551aは、上述した拘束部592を押し出す面を有している。ハブ操作部551aはメインハブ551から取り外し可能に構成してもよい。
【0123】
第1及び第2サブポート552、553の各々は、メインハブ551の連結部分と、この連結部分に固定される軟質な柔軟チューブ554(軟質部)と、柔軟チューブ554の基端に連なるサブハブ555と、を有する。サブハブ555は、医療機器が接続されるコネクタとして構成されている。第1サブポート552(メインハブ551、柔軟チューブ554、サブハブ555)の内部には、第1サブルーメン540に連通する第1連通路552aが形成されている。同様に、第2サブポート553の内部には、第2サブルーメン545に連通する第2連通路553aが形成されている。
【0124】
第5実施形態に係るカテーテル組立体510は、基本的には以上のように構成される。カテーテル組立体510は、多重構造針511の穿刺時に、第3横開口545bの基端近傍位置を撓み抑制機構590が支持する。このため、内針12の撓みを良好に抑制して、多重構造針511の穿刺を行うことができる。
【0125】
そして、多重構造針511の穿刺後は、図10に示すように、ユーザがカテーテルハブ550を前進して、内針12と相対的にカテーテル530を進出させる。この際、撓み抑制機構590は、第2サブルーメン545の第3横開口545bの基端側を支持しているので、カテーテル530が引っ掛かることなくスムーズに進出させることができる。また、カテーテルハブ550は、前進時に拘束部592を押し出すことにより、一対の支持アーム591が左右方向に開放する。これにより、撓み抑制機構590による多重構造針511の支持を簡単に解除して、カテーテル530及びカテーテルハブ550を内針12から離脱することができる。
【0126】
このように、カテーテル組立体510でも、カテーテル組立体10と同様の効果を得ることができる。例えば、カテーテル組立体510は、カテーテル530の留置時に、メインハブ551、サブハブ555に対して医療機器を接続することで、メインルーメン534、第1及び第2サブルーメン540、545に薬液や血液を簡単に供給することができる。さらに、カテーテル530の留置後には、相互に平行に延在しているメインルーメン534、第1及び第2サブルーメン540、545により、異なる種類の薬液を良好に流動して血管内に投与することができる。
【0127】
また、カテーテル組立体510は、メインルーメン534、第1及び第2サブルーメン540、545という複数のルーメンを有する構成でも、撓み抑制機構590が第2先端開口540a(最先端のサブ開口)の基端側を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、またカテーテル530の損傷を低減することができる。
【0128】
すなわち、内針12の撓みを抑制するためには、撓み抑制機構590が内針12の針先13に近い箇所を支持することが好ましいが、仮に、撓み抑制機構590が複数のサブ開口よりも先端側を支持する構成であると、カテーテル530の移動時にサブ開口に接触してカテーテル530を損傷する可能性が高まる。これに対し、本実施形態に係るカテーテル組立体510は、サブ開口の形成位置と撓み抑制機構590の支持位置とを適切に配置することにより、内針12の撓み防止とカテーテルの移動性を両立することができる。
【0129】
しかも、このカテーテル組立体510は、第3横開口545b(最も基端側にあるサブ開口)よりも基端側を撓み抑制機構590が支持することで、カテーテル530の損傷を一層確実に防止することが可能となる。さらに、撓み抑制機構590が第3テーパ外周面546よりも基端側を支持していることで、撓み抑制機構590が第3テーパ外周面546に引っ掛かることを防止することができる。従って、カテーテル530の移動性をより一層高めることが可能となる。
【0130】
また、カテーテル組立体510は、サブ開口が第2及び第3横開口540b、545bを含むことで、第1及び第2サブルーメン540、545を流動した薬液や血液を良好に血管に吐出することができる。しかも、撓み抑制機構590が第3横開口545bよりも基端側に位置するので、第3横開口545b付近の損傷も抑えられる。
【0131】
ここで、カテーテル組立体510は、第1先端開口534aと第2先端開口540aの間隔が17mm以上離間していることで、第1先端開口534aから流出する薬液と第2先端開口540aから流出する薬液を血管内で混合させることができる。つまり、配合禁忌薬同士を1つのカテーテル530で良好に投与することができる。
【0132】
そして、カテーテル組立体510は、第3横開口545bの基端側の5mm以下の位置を撓み抑制機構590が支持可能であることで、内針12の針先13から撓み抑制機構590までの距離が短くなる。よって内針12の撓みをより強固に抑制することができる。
【0133】
さらに、カテーテル組立体510は、カテーテル530の周方向全周を囲う撓み抑制機構590により、内針12の上下及び左右方向のぶれ(撓み抑制機構590からの逸脱や内針12の撓み等)を確実に抑止することができる。
【0134】
またさらに、カテーテル組立体510は、サブハブ555及び柔軟チューブ554を含む第1及び第2サブポート552、553を備えることで、サブハブ555を自由な位置や姿勢に配することができる。従って、ユーザは、多重構造針511の穿刺やカテーテル530の挿入を良好に行うことができる。
【0135】
なお、メインルーメン534が連通するメイン開口、第1及び第2サブルーメン540、545が連通するサブ開口は、上記構成(第1先端開口534a、第1横開口534b、第2先端開口540a、第2横開口540b、第3先端開口545a、第3横開口545b)に限定されず、種々の構成を採用し得る。例えば、メイン開口は、第1先端開口534aのみで構成してよい。
【0136】
第1サブルーメン540のサブ開口は、第2先端開口540a、第2横開口540bのうちいずれか一方のみでよい。同様に、第2サブルーメン545のサブ開口も、第3先端開口545a、第3横開口545bのうちいずれか一方のみでよい。
【0137】
例えば、第1及び第2サブルーメン540、545のサブ開口をそれぞれ第2横開口540b、第3横開口545bのみで構成した場合は、第2テーパ外周面541、第3テーパ外周面546は閉塞したカテーテル530の段差部を構成する。この構成において、撓み抑制機構590は、第2テーパ外周面541や第3テーパ外周面546の基端近傍位置を支持する構成でもよい。この構成でも、第2テーパ外周面541や第3テーパ外周面546に対する撓み抑制機構590の引っ掛かりを良好に回避できるからである。
【0138】
また、撓み抑制機構590も、種々の構成を採用してよく、例えば摺接支え部595を構成する支持孔594の内面は、先端方向に向かって先細りとなるテーパ状に形成されていてもよい。これにより、カテーテル530のようにテーパ部(例えば、第3テーパ外周面546)を有し、その先端側に摺接支え部595を有する構成でも、摺接支え部595に対する第3テーパ外周面546の引っ掛かりを低減することができる。
【0139】
なお、上記のようなカテーテル530におけるサブルーメンの構成(テーパ部を含む)と、撓み抑制機構590の構成は、後述する実施形態でも適用可能であることは勿論である。
【0140】
〔第6実施形態〕
図11図12A及び図12Bに示すように、第6実施形態に係るカテーテル組立体610のカテーテル630は、メインルーメン634及びサブルーメン641を上下に配置し、2つのルーメンを隔壁640により区画した構成となっている。この隔壁640は、メインルーメン634及びサブルーメン641の圧力に応じて変形可能に構成されている。
【0141】
具体的には、カテーテル630のメインルーメン634は、カテーテル630の先端に形成された先端開口634aに連通すると共に、カテーテル630の基端に形成された基端開口(不図示)に連通している。このメインルーメン634には、穿刺前状態で、内針12が離脱可能に配置される。
【0142】
カテーテル630のサブルーメン641は、メインルーメン634の下側に位置して、このメインルーメン634と平行に延在している。サブルーメン641は、カテーテル630の下側の途中位置に形成された横開口641aに連通している。
【0143】
隔壁640は、カテーテル630の軸方向に沿って延び、メインルーメン634とサブルーメン641とを隔てている。この隔壁640は、カテーテル630の軸方向に直交する断面視で、カテーテル630の管状の壁部639に対し略180°位相がずれる位置に連結されているが、管状の壁部639の直径よりも長く(余裕代をもって)形成されている。しかも、隔壁640は、管状の壁部639に比べて柔軟に構成されており、薬液から所定以上の陽圧を受けることで変形することが可能である。
【0144】
例えば図12Aに示すように、隔壁640は、メインルーメン634に内針12が挿通された状態で、下方向に広がって内針12を良好に配置することができる。また例えば、図12Bに示すように、隔壁640は、メインルーメン634に多量に薬液を流動させる場合は、メインルーメン634の流路断面積を大きくする。その一方で、サブルーメン641に多量の薬液を流動させる場合は、図示例の2点鎖線で示すようにサブルーメン641の流路断面積を大きくする。
【0145】
図11に戻り、カテーテル組立体610は、カテーテル630の基端をカテーテルハブ650により固定保持している。このカテーテルハブ650は、第1実施形態と同様に、メインハブ651から上方に突出するサブハブ652を有する。
【0146】
カテーテル操作部材660は、長尺な内針12及びカテーテル630(多重構造針611)に対応して長板に形成され、カテーテルハブ650に対し回動可能に固定されている。カテーテル操作部材660は、カテーテル630の基端と先端との間の部位を押し付けることができる押圧部661を有する。押圧部661は、撓み抑制機構690の一部を構成する。またカテーテル操作部材660は、その上面に間隔を置いて設けられた滑り止め用の複数のリブ662を有する。
【0147】
カテーテル組立体610のハウジング620は、細長い椀状に形成され、多重構造針611の基端側を収容し、またカテーテルハブ650を移動可能に収容している。ハウジング620は、底板621と、底板の左右両側から上方に延出した左右の側壁622とを有しており、上方及び先端側が開放している。底板621の先端部は、カテーテル630が内針12に対して前進する際にカテーテル630と擦れ合う摺接支え部691である。
【0148】
摺接支え部691は、押圧部661と共に撓み抑制機構690を構成する。撓み抑制機構690は、カテーテル630が内針12に対して前進する際に、摺接支え部691と、押圧部661との間で内針12及びカテーテル630(多重構造針611)を支持可能となっている。そして、摺接支え部691は、穿刺前状態において、カテーテル630の横開口641aよりも基端側を支持可能な位置に配置されている。
【0149】
第6実施形態に係るカテーテル組立体610は、基本的には以上のように構成される。カテーテル組立体610の使用時に、ユーザは、一方の手の人差し指でカテーテル操作部材660の先端部を押圧しつつ、カテーテル組立体610の先端部(内針12が挿通されたカテーテル630の先端部)を患者に押し当てるようにして穿刺する。カテーテル操作部材660(押圧部661)でカテーテル630の途中部位を押し付けた状態で、カテーテル630が押圧部661とハウジング620の先端部(摺接支え部691)との間に挟まれて支持される。この結果、多重構造針611の撓みが抑制される。
【0150】
そして、カテーテル操作部材660を内針12及びハウジング620と相対的に進出することで、カテーテル630の先端を血管内の目標位置まで挿入する。カテーテル630が内針12に対して先端方向に移動する際、カテーテル630は、摺接支え部691に対して摺動する。その後、カテーテル操作部材660を他方の手で押さえつつ、ハウジング620を基端方向に引っ張る。これにより、カテーテルハブ650から内針12が離脱して、カテーテル操作部材660を取り外すことで、カテーテル630及びカテーテルハブ650を患者に留置することができる。
【0151】
以上のカテーテル組立体610は、上述した他の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち撓み抑制機構690がサブルーメン641の横開口641a(最先端のサブ開口)の基端側近傍位置(例えば5mm以下の基端位置)を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、カテーテル630の損傷を低減することができる。
【0152】
特に、このカテーテル組立体610は、圧力に応じて変形可能な隔壁640によりメインルーメン634とサブルーメン641を区画していることで、穿刺前状態ではメインルーメン634を大きくして、内針12とカテーテル630の相対移動を簡単化することができる。そして、隔壁640は、薬剤や血液の投与時にその流動圧によって適切に変形する。例えば、メインルーメン634の薬液に対しサブルーメン641の薬液を相対的に多量に流動させる場合でも、流路断面積を容易に確保することが可能となる。
【0153】
〔第7実施形態〕
図13に示すように、第7実施形態に係るカテーテル組立体710のカテーテル730は、第1実施形態のカテーテル30と同様に構成され、その内部にメインルーメン734及びサブルーメン741を有する。そしてカテーテル組立体710の先端側には、内針12及びカテーテル730(多重構造針711)の撓みを抑制する撓み抑制機構790が設けられている。
【0154】
具体的には、内針ハブ719は、上ハウジング720と下ハウジング721とを有し、穿刺前状態で、上ハウジング720と下ハウジング721が上下に重なっている。上ハウジング720と下ハウジング721の各先端部720a、721aは、後述するガイドワイヤ操作部材780に抱きかかえられるように保持されることで、上下方向の拡開が規制されている。内針ハブ719の左右側部には、上ハウジング720と下ハウジング721との間に、長手方向に延びるスリット722が形成されている。上ハウジング720は、スリット722に対して斜めに傾斜した一対の側方把持部720bを有しており、多重構造針711の穿刺時に、この一対の側方把持部720bをユーザに把持させる。
【0155】
撓み抑制機構790は、上ハウジング720の先端部720aと、下ハウジング721の先端部721aとにより構成されている。上ハウジング720及び下ハウジング721の先端部720a、721aの対向面には、断面半円形状の保持溝723が形成されている。保持溝723を構成する壁部により、カテーテル730が内針12に対して前進する際にカテーテル730と擦れ合う孔状の摺接支え部791が構成される。カテーテル組立体710の初期状態で、カテーテル730の外面と摺接支え部791との間には若干の隙間が形成されている。
【0156】
カテーテル730は、その先端にメインルーメン734に連通する先端開口734aを有し、先端開口734aから所定間隔(例えば、17mm以上)離れた位置にサブルーメン741の横開口741aを有する。またカテーテル730は、カテーテルハブ750に固定保持されている。
【0157】
カテーテルハブ750は、メインルーメン734に連通するメインハブ751と、メインハブ751の側面に設けられるサブポート752と、を含む。この場合、サブポート752は、医療機器を接続可能なサブハブ753と、メインハブ751に連設され内針ハブ719の外側に突出する硬質管754と、硬質管754とサブハブ753の間を延在し硬質管754よりも軟質な軟質チューブ755(軟質管)と、を有する。サブポート752は、メインハブ751の硬質管754が横方向に突出して、内針ハブ719のスリット722を介して外部に露出されている。
【0158】
カテーテルハブ750におけるサブポート752よりも基端側には、カテーテル操作部材760が取り付けられる。カテーテル操作部材760は、カテーテルハブ750の基端部に離脱可能に接続された中央基部761と、中央基部761から左右方向両側に延出した一対の指掛け部762とを有する。穿刺前状態で、中央基部761は内針ハブ719内に収容され、指掛け部762は、スリット722を介して左右方向外側に突出している。
【0159】
そして、カテーテル組立体710は、穿刺前状態で、サブルーメン741の横開口741aよりも基端側に撓み抑制機構790(摺接支え部791)が位置する。摺接支え部791は、最も先端側に位置する横開口741aよりも基端側に設けられている。
【0160】
ガイドワイヤ770は、内針12内を軸方向に延在して、内針12の基端開口(不図示)から突出し、内針ハブ719内に配置された図示しない連結部を介して、ガイドワイヤ操作部材780の基端部に連結されている。ガイドワイヤ操作部材780は、内針ハブ719に対して前後方向に変位可能に設けられている。また、ガイドワイヤ操作部材780は、穿刺前状態で、内針ハブ719の先端部を抱え込む一対の規制アーム781を有する。また、ガイドワイヤ操作部材780は、指掛け用のタブ782及び滑り止め用の複数のリブ783を有する。
【0161】
以上のように構成されたカテーテル組立体710は、使用において、ユーザにより多重構造針711(内針12、カテーテル730)を患者に穿刺する。この際、撓み抑制機構790は、多重構造針711を支持して撓みを抑制する。次に、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材780を先端方向に操作して、ガイドワイヤ770を内針12の先端から突出させ、血管内に挿入していく。ガイドワイヤ操作部材780の先端方向への移動に伴い、一対の規制アーム781が内針ハブ719の先端部よりも先端側に移動すると、上ハウジング720の先端部と下ハウジング721の先端部の上下方向の拡開規制が解除される。
【0162】
次に、ユーザは、カテーテル操作部材760を先端方向に操作してカテーテル730及びカテーテルハブ750を前進させる。この移動時に、上ハウジング720は、一対の側方把持部720bがカテーテルハブ750の硬質管754に接触し上方に押されることで、下ハウジング721に対して開く。これにより、カテーテル操作部材760の先端方向への移動が許容され、カテーテル730を血管内に良好に挿入することができる。
【0163】
そして、ユーザは、カテーテル730及びカテーテルハブ750に対し、内針ハブ719を基端方向に引っ張ることでカテーテル730から内針12を抜去する。これにより、カテーテル730及びカテーテルハブ750が患者側に留置される。
【0164】
以上のように、第7実施形態に係るカテーテル組立体710でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、撓み抑制機構790がサブルーメン741の横開口741a(最先端のサブ開口)の基端側を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、またカテーテル730の損傷を低減することができる。
【0165】
また、カテーテル組立体710は、内針ハブ719がスリット722を有することで、カテーテルハブ750にサブポート752を設けた構成でも、サブポート752がスリット722に沿って簡単に移動することになる。すなわち、内針12に対するカテーテル730の移動を円滑に行うことができる。特に、カテーテル組立体710は、サブポート752が内針ハブ719の横方向に突出していることで、多重構造針711の穿刺時等に、サブポート752が邪魔になることを抑制して、ユーザの作業を容易化することができる。さらに、カテーテル組立体710のサブポート752は、内針ハブ719に接触する位置に硬質管754を配することで、カテーテルハブ750の移動をスムーズに実施させることができる。
【0166】
〔第8実施形態〕
図14及び図15に示すように、第8実施形態に係るカテーテル組立体810は、カテーテル操作部材860よりも基端側に、カテーテルハブ850を延出させ、このカテーテルハブ850の延出部分にサブポート852を設けた構成としている。なお、カテーテル830は、第1実施形態と同様に、メインルーメン834及びサブルーメン841を有し、穿刺前状態で、内針12を収容することで多重構造針811を構成している。そして、カテーテル830は、メインルーメン834に連通する先端開口834aを先端に有し、また先端開口834aから所定間隔(例えば、17mm以上)離れた位置にサブルーメン841に連通する横開口841aを有する。
【0167】
また、カテーテルハブ850のサブポート852は、サブハブ853と、メインハブ851とサブハブ853の間を連結する軟質チューブ855と、を有する。
【0168】
また、カテーテル組立体810の内針ハブ819は、第7実施形態と同様に、上下に重なる上ハウジング820と下ハウジング821とを有し、穿刺前状態で相互の先端部820a、821aを閉じている。上ハウジング820と下ハウジング821との間には、内針ハブ819の長手方向に延びるスリット822が形成されている。また、下ハウジング821の先端部821aは、右側先端部823Rと左側先端部823Lとを有し、左右方向に拡開可能に構成されている。
【0169】
上ハウジング820の先端部820aは、穿刺前状態で、下ハウジング821の右側先端部823R及び左側先端部823Lが左右方向に開くことを規制する規制部824を有する。規制部824は、右側先端部823R及び左側先端部823Lの左右両側を一対の板部(不図示)によりホールドすると共に、一対の板部(不図示)の上側を架橋部により連結した構成としている。
【0170】
カテーテル組立体810は、右側先端部823R及び左側先端部823Lにより、撓み抑制機構890を構成している。右側先端部823R及び左側先端部823Lにはそれぞれ保持溝825が形成されている。2つの保持溝825を構成する壁部により、カテーテル830が内針12に対して前進する際にカテーテル830と擦れ合う孔状の摺接支え部891が構成されている。カテーテル組立体810の初期状態で、カテーテル830の外面と摺接支え部891の内面との間には若干の隙間が形成されている。また、摺接支え部891(撓み抑制機構890)は、サブルーメン841の横開口841a(最も先端側に位置するサブ開口)よりも基端側を支持する。
【0171】
さらに、上ハウジング820には、長手方向に延在するガイド通路826が設けられている。カテーテルハブ850のサブポート852(軟質チューブ855)は、このガイド通路826を介して上ハウジング820の内側から外側に露出されている。
【0172】
カテーテル操作部材860は、カテーテルハブ850の基端部に離脱可能に接続された中央基部861と、中央基部861から左右方向両側に延出した一対の指掛け部862とを有する。一対の指掛け部862は、左右方向外側に向かって上方に傾斜している。指掛け部862の下面には滑り止め用の複数の突起862aが設けられている。
【0173】
またカテーテル組立体810は、ガイドワイヤ870、ガイドワイヤ操作部材880を有している。ガイドワイヤ操作部材880の上面には、指掛け用の複数のリブ881が設けられている。ガイドワイヤ操作部材880は、内針ハブ819内に配置された図示しない中間連結部を介して、ガイドワイヤ870の基端部に連結されている。ガイドワイヤ操作部材880は、上ハウジング820に対して前後方向に変位可能に設けられている。
【0174】
以上のように構成されたカテーテル組立体810は、使用において、ユーザにより多重構造針811(内針12、カテーテル830)を患者に穿刺する。この際、撓み抑制機構890は、多重構造針811を支持して撓みを抑制する。次に、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材880を先端方向に操作して、ガイドワイヤ870を内針12の先端から突出させ、血管内に挿入していく。
【0175】
そして、ユーザは、カテーテル操作部材860を先端方向に操作してカテーテル830及びカテーテルハブ850を前進させる。この移動時に、上ハウジング820は、カテーテル操作部材860により上方に押されることで、下ハウジング821に対して開く。上ハウジング820の離脱により、下ハウジング821の右側先端部823R、左側先端部823Lがさらに相互に左右方向に離間可能となる。これにより、カテーテル操作部材860の先端方向への移動が許容され、カテーテル830を血管内に良好に挿入することができる。
【0176】
そして、ユーザは、カテーテル830及びカテーテルハブ850に対し、内針ハブ819を基端方向に引っ張ることでカテーテル830から内針12を抜去する。これにより、カテーテル830及びカテーテルハブ850が患者側に留置される。
【0177】
以上のように、第8実施形態に係るカテーテル組立体810でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち撓み抑制機構890がサブルーメン841の横開口841a(最先端のサブ開口)の基端側を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、またカテーテル830の損傷を低減することができる。
【0178】
さらに、このカテーテル組立体810は、サブポート852が上ハウジング820の上方向に突出している。これにより、内針ハブ819の把持が簡単化して、ユーザによる操作性を高めることができる。
【0179】
〔第9実施形態〕
図16に示すように、第9実施形態に係るカテーテル組立体910は、基本的には、第8実施形態に係るカテーテル組立体810と同様に構成され、内針12、内針ハブ919、カテーテル930、カテーテルハブ950、カテーテル操作部材960、ガイドワイヤ970、ガイドワイヤ操作部材980及び撓み抑制機構990を備える。
【0180】
カテーテル930は、メインルーメン934及びサブルーメン941を有し、穿刺前状態で、内針12を収容することで多重構造針911を構成する。そしてカテーテル930は、メインルーメン934に連通する先端開口934aを先端に有し、また先端開口934aから所定間隔(例えば、17mm以上)離れた位置にサブルーメン941に連通する横開口941aを有する。
【0181】
カテーテルハブ950は、カテーテル操作部材960よりも基端側に配置され、メインハブ951と、メインハブ951の延出部分にサブポート952を設けた構成としている。サブポート952は、サブハブ953と、メインハブ951とサブハブ953の間を連結する軟質チューブ955と、を有する。
【0182】
カテーテル組立体910の内針ハブ919は、上下に重なる上ハウジング920と下ハウジング921とを有し、穿刺前状態で相互の先端部920a、921aを閉じている。上ハウジング920と下ハウジング921との間には、内針ハブ919の長手方向に延びるスリット922が形成されている。本実施形態においてスリット922は、穿刺前状態で、カテーテル操作部材960の初期位置よりも基端側に延在している。
【0183】
下ハウジング921は、上ハウジング920との分離に伴い、左右外側に離間可能な右側先端部及び左側先端部を有し、撓み抑制機構990は、この右側先端部及び左側先端部により構成されている。撓み抑制機構990は、第8実施形態と同様に、右側先端部及び左側先端部の図示しない保持溝により摺接支え部991を構成している。また、撓み抑制機構990は、最も先端側に位置する横開口941aよりも基端側に位置している。
【0184】
カテーテル操作部材960は、内針ハブ919の上ハウジング920に前後方向にスライド可能に支持されている。カテーテル操作部材960の上面には、指掛け用の突起961が設けられている。ガイドワイヤ操作部材980は、上ハウジング920に対して変位可能であり、内針ハブ919内に配置された図示しない中間連結部を介して、ガイドワイヤ970の基端部に連結されている。ガイドワイヤ操作部材980の上面には、指掛け用の複数のリブ981が設けられている。
【0185】
ここで、カテーテル組立体910は、内針ハブ919の先端からカテーテル操作部材960の突起961までの距離Xa、突起961からリブ981までの距離Xb、リブ981から内針ハブ919の基端までの距離Xcが、Xa<Xb<Xcに設定されている。これにより、カテーテル組立体910は、ユーザが片手で操作する際に、各操作部材に対し指の位置を良好に配置することができる。
【0186】
以上のように構成されたカテーテル組立体910は、使用において、ユーザにより多重構造針911(内針12、カテーテル930)を患者に穿刺する。この際、撓み抑制機構990は、多重構造針911を支持して撓みを抑制する。次に、ユーザは、ガイドワイヤ操作部材980を先端方向に操作して、ガイドワイヤ970を内針12の先端から突出させ、血管内に挿入していく。
【0187】
そして、ユーザは、カテーテル操作部材960を先端方向に操作してカテーテル930及びカテーテルハブ950を前進させる。この移動時に、上ハウジング920は、カテーテル操作部材960により上方に押されることで、下ハウジング921に対して開く。上ハウジング920の離脱により、下ハウジング921の右側先端部、左側先端部がさらに相互に左右方向に離間可能となる。これにより、カテーテル操作部材960の先端方向への移動が許容され、カテーテル930を血管内に良好に挿入することができる。
【0188】
そして、ユーザは、カテーテル930及びカテーテルハブ950に対し、内針ハブ919を基端方向に引っ張ることでカテーテル930から内針12を抜去する。これにより、カテーテル930及びカテーテルハブ950が患者側に留置される。
【0189】
以上のように、第8実施形態に係るカテーテル組立体910でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち撓み抑制機構990がサブルーメン941の横開口941a(最先端のサブ開口)の基端側を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、またカテーテル930の損傷を低減することができる。
【0190】
〔第10実施形態〕
図17に示すように、第10実施形態に係るカテーテル組立体1010は、内針12と、カテーテル1030と、カテーテル1030に接続されたカテーテルハブ1050と、カテーテルハブ1050を先端方向に移動させるカテーテル操作部材1060と、内針12に接続された内針ハブ1019と、内針12に挿通されたガイドワイヤ(不図示)と、ガイドワイヤに接続されたガイドワイヤ操作部材1080と、穿刺時の内針12の撓みを抑制する撓み抑制機構1090とを備える。そして、内針12とカテーテル1030は、穿刺前状態で、多重構造針1011を形成している。
【0191】
カテーテル1030は、第5実施形態と同様に構成されている。すなわち、メインルーメン1034、第1サブルーメン1040及び第2サブルーメン1045を有する。メインルーメン1034は、カテーテル1030の先端側において第1先端開口1034a、第1横開口1034bに連通し、カテーテル1030の基端の基端開口(不図示)に連通している。第1サブルーメン1040は、カテーテル1030の先端側において第2先端開口1040a、第2横開口1040bに連通し、カテーテル1030の基端の基端開口(不図示)に連通している。第2サブルーメン1045は、カテーテル1030の先端側において第3先端開口1045a、第3横開口1045bに連通し、カテーテル1030の基端の基端開口(不図示)に連通している。
【0192】
カテーテルハブ1050は、カテーテル1030の基端部に固定されている。カテーテルハブ1050は、カテーテル組立体1010の穿刺前状態で、内針ハブ1019内に収容されている。カテーテルハブ1050は、カテーテル1030に接続されたメインハブ1051と、メインハブ1051から横方向(メインハブ1051の軸に垂直な水平方向)に突出した第1サイドポート1052と第2サイドポート1053とを有する。第1及び第2サイドポート1052、1053は、メインハブ1051に対し硬質管1051aを介して接続される軟質チューブ1054と、軟質チューブ1054の他端に接続されるサブハブ1055とを有する。軟質チューブ1054には、軟質チューブ1054内の連通路を開閉可能なクランプ1056が取り付けられている。
【0193】
また、カテーテル組立体1010は、ハウジング1020(下側延出部1022)に沿ってカテーテルハブ1050と一体的にスライド移動するスライド部材1057を有する。スライド部材1057は、カテーテルハブ1050をハウジング1020から離脱する際に、ユーザに把持される一対の保持突部1057aを有する。
【0194】
また、スライド部材1057は、カテーテルハブ1050の先端側を収容する収容溝1057bを有する。特に、本実施形態に係るカテーテルハブ1050は、先端側の外周面から幅方向外側に延出する一対のウイング1058を有しており、収容溝1057bは、一対のウイング1058を収納可能な形状に形成されている。ウイング1058には、小孔(不図示)が設けられており、この小孔には収容溝1057bに設けられた凸部(不図示)が挿入される。また、収容溝1057bは、上方に開放しており、カテーテルハブ1050を上方向に離脱させることが可能である。
【0195】
カテーテル操作部材1060は、内針ハブ1019の後述するハウジング1020の先端部に前後方向にスライド可能に支持された環状部材である。カテーテル操作部材1060には、フランジ状に突出した指掛け部1061が設けられている。カテーテル操作部材1060のサイド壁1062には、先端方向に開口した凹部1063が設けられている。凹部1063を介してカテーテルハブ1050の第2サイドポート1053が横方向に突出している。
【0196】
内針ハブ1019は、ユーザが把持する把持部として機能するハウジング1020と、ハウジング1020の先端部から先端方向に互いに平行に延出する上側延出部1021及び下側延出部1022とを有する。カテーテル組立体1010の穿刺前状態で、上側延出部1021と下側延出部1022との間にカテーテル1030及びカテーテルハブ1050が配置されている。
【0197】
撓み抑制機構1090は、内針ハブ1019の先端部に設けられている。具体的に、撓み抑制機構1090は、上側延出部1021に左右方向の軸を中心に回動可能に支持された支持部材1091を備える。支持部材1091は、カテーテル1030が内針12に対して前進する際にカテーテル1030と擦れ合う摺接支え部1092を有する。支持部材1091の上部1091uには軸部1093が設けられている。軸部1093は上側延出部1021に軸支されている。また、ガイドワイヤ操作部材1080の先端部は、支持部材1091の上部1091uよりも先端側に位置する。このため、支持部材1091は、ガイドワイヤ操作部材1080によって上方への回動が規制されている。
【0198】
図18に示すように、摺接支え部1092は、カテーテル1030を上方から支持可能な上支え部1094と、カテーテル1030を横方向から支持可能な左右の横支え部1095とを有する。横支え部1095は、上支え部1094の左右両端部から下方に突出している。従って、摺接支え部1092は、カテーテル組立体1010の長手方向から見て、逆U字状に形成されている。穿刺前状態で、カテーテル1030の外面と摺接支え部1092との間には若干の隙間が形成されている。
【0199】
図17に示すように、カテーテル組立体1010の初期状態で、摺接支え部1092は、最も先端側に位置する第3横開口1045bよりも基端側を支持している。
【0200】
ガイドワイヤ操作部材1080は、カテーテル1030を患者の血管内に挿入する操作に先行して、ガイドワイヤを血管内に挿入する操作を行うための操作部である。ガイドワイヤ操作部材1080の先端には指掛け用の突起1081が設けられると共に、滑り止め用の複数のリブ1082が設けられている。ガイドワイヤ操作部材1080は、上側延出部1021の上面に前後方向にスライド可能に支持されている。ガイドワイヤは、その一端部が内針12の先端近傍に配置され、その他端部がガイドワイヤ操作部材1080に接続され、その中間部がハウジング1020内で折り返されている。
【0201】
カテーテル組立体1010の使用においては、カテーテル組立体1010を患者の皮膚に穿刺する穿刺操作が行われる。ユーザは、図17に示す穿刺前状態のハウジング1020を把持しつつ、カテーテル組立体1010の先端部を患者に押し当てるようにして、穿刺目標の血管に向かって皮膚に穿刺する。これにより、内針12及びカテーテル1030の各先端部が皮膚に穿刺される。
【0202】
次に、ユーザがガイドワイヤ操作部材1080を基端方向に移動させると、ハウジング1020内で中間部が折り返されたガイドワイヤは、内針12内で先端方向に移動する。これにより、ガイドワイヤは、内針12の先端から突出し、血管内に挿入される。ガイドワイヤ操作部材1080の基端方向への移動に伴い、ガイドワイヤ操作部材1080の先端部は、支持部材1091の上部よりも基端方向に移動する。これにより、ガイドワイヤ操作部材1080による支持部材1091の上方への回動規制が解除される。
【0203】
ガイドワイヤの先端を血管内の目標位置まで挿入したら、次に、ユーザは、内針ハブ1019の位置を固定しつつ、カテーテル操作部材1060を先端方向に操作してカテーテル1030、カテーテルハブ1050及びスライド部材1057を前進させる。これによりカテーテル1030を血管内の目標位置まで挿入する。その際、支持部材1091は、先端方向に移動するスライド部材1057により押されることで、上方に回動する。これにより、内針ハブ1019からのカテーテル1030の先端方向への離脱が許容される。
【0204】
次に、ユーザは、スライド部材1057の一対の保持突部1057aを押さえて、カテーテル1030、カテーテルハブ1050及びスライド部材1057の位置を保持しつつ、ハウジング1020を基端方向に引っ張る。これにより、カテーテル1030、カテーテルハブ1050及びスライド部材1057が内針ハブ1019から完全に出ると共に、内針12がカテーテル1030から基端方向に抜去される。その後、スライド部材1057からカテーテルハブ1050を外す。そしてカテーテルハブ1050の一対のウイング1058に図示しないテープ等を貼付することで、カテーテル1030及びカテーテルハブ1050が患者の血管に留置される。
【0205】
以上のように第10実施形態に係るカテーテル組立体1010でも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち撓み抑制機構1090が第2サブルーメン1045の第3横開口1045b(最基端のサブ開口)の基端側を支持する。これにより、内針12の撓みを抑えつつ、またカテーテル1030の損傷を低減することができる。
【0206】
特に、摺接支え部1092は、カテーテル1030を上方から支持可能な上支え部1094と、カテーテル1030を横方向から支持可能な横支え部1095とを有し(図18)、第3横開口1045bは、カテーテル1030の上部及び横部のいずれかの箇所に設けられている。この構成により、カテーテル1030が前進する際の第3横開口1045bの損傷及び摺動抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
【0207】
なお、本発明は、その技術思想に逸脱しない範囲で、第1~第10実施形態及び第1~第8構成例であげた各構成の一部分を取り出して、他の実施形態や他の構成例に適用し得る。
【0208】
以上の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0209】
上記実施形態は、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテルと、前記第1ルーメンに挿通された内針と、を備え、前記内針には、前記カテーテルと内針との間に血液を流動可能なフラッシュバック確認用の導入路が設けられ、前記カテーテルの先端に連なる前記第1ルーメンの先端内周面と前記内針の外周面との間隔は、前記先端内周面の基端側で前記第1ルーメンの内周面の大部分を構成する基本内周面と前記内針の外周面との間隔よりも狭いことを特徴とするカテーテル組立体を開示している。
【0210】
このような構成によれば、カテーテル組立体のカテーテルは、第1ルーメンの先端内周面が内針の外周面に密着又は近接する一方で、第1ルーメンの基本内周面が内針の外周面との間に隙間を形成する。従って、先端内周面の位置では、穿刺時に生体組織から圧迫を受けてもカテーテルが内針に確実に支持されて、カテーテルの撓みや縮み等が抑制される。これによりカテーテルの先端が体内に円滑に挿入される。また、第1ルーメンの隙間は、カテーテルと内針の間の摺動抵抗を抑え、内針とカテーテルの相対移動を円滑化するので、カテーテルの挿入時及び内針の抜去時における操作性が向上する。さらに、導入路は、内針を血管まで到達させた際に、血液を流動させて、血管の確保をユーザに良好に認識させることができる。すなわち、カテーテル組立体は、複数のルーメンを有するカテーテルを容易に挿入可能とし、複数種類の薬剤の投与、又は採血等の様々な処置を良好に実施させることができる。
【0211】
上記のカテーテル組立体において、前記先端内周面は、前記内針の外周面と密着する密着部を形成することにより、前記基本内周面と前記内針の外周面との間に形成される隙間を閉塞していてもよい。
【0212】
このような構成によれば、カテーテルの先端側は、先端内周面が内針との間で密着部を形成することで、外形をより細く形成することが可能であり、また内針に一層確実に支持される。よって、カテーテルの挿入性能が大幅に高められる。
【0213】
上記のカテーテル組立体において、前記カテーテルの外周面は、前記基本内周面の形成箇所に位置する基本外周面と、前記先端内周面の形成箇所に位置し前記基本外周面よりも細い外径の先端外周面と、前記基本外周面から前記先端外周面に向かって先細りとなるテーパ外周面と、を備えてもよい。
【0214】
このような構成によれば、カテーテルは、先端外周面が基本外周面よりも細いため、先端から血管内に容易に挿入することができる。また、先端外周面に続いてテーパ外周面が挿入され、その後に基本外周面が挿入されるので、太く形成される基本外周面を容易に挿入することが可能となる。
【0215】
上記のカテーテル組立体において、前記カテーテルは、軸方向の大部分を構成する本体部と、前記本体部の先端に設けられ前記本体部よりも柔軟に構成された柔軟部と、を有してもよい。
【0216】
このような構成によれば、柔軟部を有するカテーテルは、血管内への挿入時に、血管壁に接触した柔軟部が簡単に撓んで血管に沿って湾曲するようになり、血管挿入性が向上すると共に、血管壁に対する炎症や損傷の発生を大幅に低減することができる。また、カテーテルは、先端内周面が内針に支持されるので、血管に達する前の刺入中において柔軟部の撓みや縮みの発生を効果的に抑制することができる。
【0217】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンの先端側の開口は、前記カテーテルの軸方向上において、前記導入路の基端よりも先端側に位置してもよい。
【0218】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、第2ルーメンの先端側の開口が導入路の基端よりも先端側に位置することで、第2ルーメンに血液が流入したことを素早く確認することができる。
【0219】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンの先端側の開口は、前記カテーテルの軸方向上において前記導入路の基端よりも基端側に位置していてもよい。
【0220】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、第2ルーメンの先端側の開口が導入路の基端よりも基端側に位置することで、カテーテルの先端付近をより細くすることができ、挿入性を向上させることができる。また第1ルーメンに流入する血液を素早く確認することができる。
【0221】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンの先端側の開口は、前記カテーテルの側方を臨むように設けられた構成とすることができる。
【0222】
このような構成によれば、第2ルーメンの先端側の開口がカテーテルの側方を臨むことで、刺通抵抗を低減できる。
【0223】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンの先端側の開口は、前記カテーテルの先端方向を臨むように設けられてもよい。
【0224】
このような構成によれば、第2ルーメンの先端側の開口がカテーテルの先端方向を臨むことで、血管内の留置状態で開口が血管壁に閉塞されることが抑制される。特に第2ルーメンの開口から、血液を良好に吸引することができる。
【0225】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンの直径は、前記カテーテルの軸方向全長にわたって一定であってもよい。
【0226】
このような構成によれば、カテーテルは、第2ルーメンの直径が一定であることで、薬剤を安定的に流動させ、またガイドワイヤやスタイレットを摺動自在に配置することができる。
【0227】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンには、軸方向に長尺な棒状部材が離脱可能に配置されていてもよい。
【0228】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、第2ルーメンに棒状部材が離脱可能に配置されていることで、棒状部材によってカテーテルの剛性や直進性を向上させることができ、カテーテルをより良好に挿入させることができる。
【0229】
上記のカテーテル組立体において、前記第1ルーメンの前記基本内周面の直径が前記第2ルーメンの内周面の直径よりも大きくてもよい。
【0230】
上記のカテーテル組立体において、前記第1ルーメンの前記基本内周面の直径が前記第2ルーメンの内周面の直径よりも小さくてもよい。
【0231】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンは、前記カテーテルの周方向のうち、前記第1ルーメンから露出される前記内針の刃面が臨む方向に形成されていてもよい。
【0232】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンは、前記カテーテルの周方向のうち、前記第1ルーメンから露出される前記内針の刃面が臨む方向と直交する方向に形成されていてもよい。
【0233】
上記のカテーテル組立体において、前記第2ルーメンは、前記カテーテルの周方向のうち、前記第1ルーメンから露出される前記内針の刃面が臨む方向と反対方向に形成されていてもよい。
【0234】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、カテーテルの挿入性、血管への影響、フラッシュバックの視認性等の要素を勘案して、第1ルーメンと第2ルーメンの大きさや配置関係について適切に設計することができる。
【0235】
上記のカテーテル組立体において、前記カテーテルを固定保持し、前記第1ルーメンに連通する第1空間部を有する第1カテーテルハブと、前記第1カテーテルハブに連結され、前記第2ルーメンに連通する第2空間部を有する第2カテーテルハブと、を備え、前記第1カテーテルハブ内には、前記第1空間部を迂回して前記第2ルーメンと前記第2空間部を連通する連通路が設けられてもよい。
【0236】
このような構成によれば、第1及び第2カテーテルハブは、輸液や輸血用のチューブのコネクタとの接続性を高めることができる。特に連通路により、第2カテーテルハブの第2空間部とカテーテルの第2ルーメンを連通させているので、薬剤や血液を良好に流動させることができる。
【0237】
上記のカテーテル組立体において、当該カテーテル組立体は、前記カテーテルを支える撓み抑制機構を備え、前記第2ルーメンの先端側の開口は、組立状態において前記撓み抑制機構よりも先端側にあってもよい。
【0238】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、第2ルーメンの先端側の開口が撓み抑制機構よりも先端側にあることで、カテーテルを前進させた際の撓み抑制機構に対する摺動抵抗を、基端側にある場合よりも低下させることができる。また、撓み抑制機構がカテーテルの移動時に第2ルーメンの開口に当たって、カテーテルを傷つけることを防止することができる。
【0239】
上記のカテーテル組立体において、当該カテーテル組立体は、前記カテーテルを支える撓み抑制機構を備え、前記カテーテルは、該カテーテルの先端と所定間隔離れた位置から基端方向に向かって外径が大きくなるテーパ部を備え、前記テーパ部は、組立状態において前記撓み抑制機構よりも先端側にあってもよい。
【0240】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、テーパ部が撓み抑制機構よりも先端側にあることで、上記と同様に、カテーテルの摺動抵抗を低下させ、また撓み抑制機構がテーパ部に当たって、カテーテルを傷つけることを防止し、さらに段差をなくして内針の撓みを防止することができる。またカテーテルの前進中は、撓み抑制機構がカテーテルの細径部ではなくカテーテルの太径部を保持することになり、内針の撓みを効果的に防止することができる。
【0241】
上記実施形態は、内針と、前記内針が離脱可能に挿通されるメインルーメン、及び前記メインルーメンと隔てて設けられる1以上のサブルーメンを有するカテーテルと、前記カテーテルを介して前記内針を支持することにより前記内針の撓みを抑制する撓み抑制機構と、を備えるカテーテル組立体であって、前記1以上のサブルーメンは、前記カテーテルに形成された1以上のサブ開口の各々に連通しており、前記撓み抑制機構は、前記カテーテルが前記内針に対して前進する際に前記カテーテルと擦れ合う摺接支え部を有し、前記摺接支え部は、前記1以上のサブ開口のうち最も先端側にある前記サブ開口よりも基端側、又は前記サブルーメンの形成に伴い前記カテーテルに生じる段差部よりも基端側を支持可能であることを特徴とするカテーテル組立体を開示している。
【0242】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、メインルーメンと1以上のサブルーメンという複数のルーメンを有する構成でも、撓み抑制機構が最先端のサブ開口の基端側を支持することで、内針の撓みを抑えつつ、しかもカテーテルの損傷を低減することができる。すなわち、カテーテル組立体は、サブ開口の形成位置と撓み抑制機構の支持位置とを適切に配置することにより、内針の撓み防止とカテーテルの移動性を両立することができる。従って、複数のルーメンを有するカテーテルを容易に挿入することができ、これにより複数種類の薬剤の投与、又は採血等の様々な処置が良好に実施可能となる。
【0243】
上記のカテーテル組立体において、前記撓み抑制機構は、前記1以上のサブ開口のうち最も基端側にある前記サブ開口よりも基端側を支持可能であってもよい。
【0244】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、最も基端側にあるサブ開口よりも基端側を支持することで、撓み抑制機構によるカテーテルの損傷を一層確実に防止することが可能となる。
【0245】
上記のカテーテル組立体において、前記メインルーメンと前記1以上のサブルーメンは、前記カテーテル内で互いに平行に延在していてもよい。
【0246】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、相互に平行に延在しているメインルーメンとサブルーメンにより、異なる種類の薬液を良好に流動して血管内に投与することができる。
【0247】
上記のカテーテル組立体において、前記段差部は、先端方向に向かって外径が漸減するテーパ部であり、前記1以上のサブ開口は、前記テーパ部に設けられ、前記撓み抑制機構は、前記テーパ部よりも基端側を支持可能であってもよい。
【0248】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、撓み抑制機構がテーパ部よりも基端側を支持することで、撓み抑制機構がテーパ部に引っ掛かることを防止することができる。従って、カテーテルの移動性をより一層高めることが可能となる。
【0249】
上記のカテーテル組立体において、前記1以上のサブ開口は、前記カテーテルの外周面に設けられた横開口を含み、前記撓み抑制機構は、前記横開口よりも基端側を支持可能であってもよい。
【0250】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、サブ開口が横開口を含むことで、サブルーメンを流動した薬液や血液を良好に血管に吐出することができる。しかも、撓み抑制機構がサブ開口よりも基端側に位置するので、横開口の損傷も抑えられる。
【0251】
上記のカテーテル組立体において、前記メインルーメンは、前記カテーテルに形成されたメイン開口に連通しており、前記メイン開口と前記1以上のサブ開口との間隔が17mm以上離間していてもよい。
【0252】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、メイン開口と1以上のサブ開口の間隔が17mm以上離間していることで、サブ開口から流出する薬剤が血管内で血液と混合された後に、メイン開口から流出する薬剤と混合される。つまり、配合禁忌薬同士を1つのカテーテルで良好に投与することができる。
【0253】
上記のカテーテル組立体において、前記撓み抑制機構は、該撓み抑制機構よりも先端側で且つ最も近い前記1以上のサブ開口に対し5mm以下の位置を支持可能であってもよい。
【0254】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、サブ開口の基端側の5mm以下の位置を撓み抑制機構が支持可能であることで、内針の針先から撓み抑制機構までの距離を短くすることができ、内針の撓みをより強固に抑制することができる。すなわち、撓み抑制機構は、内針及びカテーテルの先端側の撓みを抑制するという観点から可及的に先端側に設けられることが好ましい。一方、複数のルーメンを有するカテーテルは、それぞれの開口から吐出する薬液が血液中で混合するように、ある程度距離をとって各開口を設ける必要がある。しかしながら、開口よりも先端側に撓み抑制機構が存在すると、撓み抑制機構が開口付近のカテーテルに接触して破損等を生じさせる可能性がある。従って、本特徴事項のように、各開口から吐出された薬液が血中で混合するぎりぎりの距離であり、且つ、開口付近に撓み抑制機構を設けることで、血中での混合と撓み抑制を両立することができる。
【0255】
上記のカテーテル組立体において、前記メインルーメンと前記1以上のサブルーメンは、圧力に応じて変形可能な隔壁により区画されていてもよい。
【0256】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、圧力に応じて変形可能な隔壁によりメインルーメンと1以上のサブルーメンを区画していることで、カテーテル挿入前の内針の挿通状態ではメインルーメンを大きくして、内針とカテーテルの相対移動を簡単化することができる。そして、隔壁は、薬剤や血液の投与時にその流動圧によって適切に変形する。例えば、メインルーメンの薬液に対しサブルーメンの薬液を相対的に多量に流動させる場合でも、流路断面積を容易に確保することが可能となる。
【0257】
上記のカテーテル組立体において、前記撓み抑制機構は、前記カテーテルの周方向全周を接触可能に囲っていてもよい。
【0258】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、カテーテルの周方向全周を囲う撓み抑制機構により、内針の上下及び左右方向のぶれ(撓み抑制機構からの逸脱や内針の撓み等)を確実に抑止することができる。
【0259】
上記のカテーテル組立体において、前記カテーテルを固定保持するカテーテルハブと、前記内針を固定保持する内針ハブと、を有し、前記1以上のサブルーメンは、前記カテーテルハブに設けられた1以上のポートの連通路に連通し、前記ポートは、医療機器と接続可能なコネクタとして構成されていてもよい。
【0260】
このような構成によれば、ポートに対して医療機器を接続することで、1以上のサブルーメンに薬液や血液を簡単に供給することができる。
【0261】
上記のカテーテル組立体において、前記内針ハブは、前記カテーテルハブを移動可能に収容するハウジングとして構成され、前記ハウジングは、その内部から外部に前記ポートを露出させるスリットを有してもよい。
【0262】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、ハウジングがスリットを有することで、カテーテルハブにポートを設けた構成でも、ポートがスリットに沿って簡単に移動することとなる。すなわち、内針に対するカテーテルの移動を円滑に行うことができる。
【0263】
上記のカテーテル組立体において、前記ハウジングは、上下に分離可能であり、前記スリットは、上下に分離される前記ハウジングの境界の一部を構成し、前記ポートは、前記ハウジングの横方向に突出していてもよい。
【0264】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、ポートをハウジングの横方向に突出していることで、内針及びカテーテルの穿刺時等に、ポートが邪魔になることを抑制して、ユーザの作業を容易化することができる。
【0265】
上記のカテーテル組立体において、前記ポートは、前記内針ハブの上方向に突出していてもよい。
【0266】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、ポートがハウジングの上方向に突出していることで、ハウジングの把持を簡単化し、ユーザによる操作性を高めることができる。
【0267】
上記のカテーテル組立体において、前記ポートは、前記医療機器を接続可能な接続部と、前記カテーテルハブと前記接続部の間を延在し、前記接続部よりも軟質な軟質管と、を有してもよい。
【0268】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、接続部及び軟質管を含むポートを備えることで、接続部を自由な位置や姿勢に配して、ユーザによる穿刺やカテーテルの挿入を行うことができる。
【0269】
上記のカテーテル組立体において、前記ポートは、前記医療機器を接続可能な接続部と、前記カテーテルハブに連設される前記内針ハブの外側に突出する硬質管と、前記硬質管と前記接続部の間を延在し前記接続部よりも軟質な軟質管と、を有してもよい。
【0270】
このような構成によれば、カテーテル組立体は、接続部、硬質管、軟質管によりポートを構成することで、内針ハブに接触する位置に硬質管を配することができ、カテーテルハブの移動をスムーズに実施させることができる。
【符号の説明】
【0271】
10、110、210、310、510、610、710、810、910、1010…カテーテル組立体
12…内針
30、130、230、330、430A~430H、530、630、730、830、930、1030…カテーテル
34、134、234、334、α、534、634、734、834、934、1034…メインルーメン
41、141、241、341、β、β1、β2、540、545、641、741、841、941…サブルーメン
90、590、690、790、890、990、1090…撓み抑制機構
92、595、691、791、891、991、1092…摺接支え部(接触支え部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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