(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109926
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】移動度測定装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240806BHJP
G01R 27/08 20060101ALI20240806BHJP
G01R 33/07 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L21/66 L
G01R27/08
G01R33/07
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087678
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2020220051の分割
【原出願日】2020-12-22
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】514326982
【氏名又は名称】ユニークチップス合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】小林 正輝
(72)【発明者】
【氏名】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 大助
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体基板などの導電性基板または表面に形成された導電層のシート抵抗、その導電層内のキャリアである電子・正孔などの移動度、その導電層内のキャリア濃度などを測定する際に金属針への通電電流を制限することで金属針の融解を防ぎ、測定試料の変性を生じさせない方法及び測定装置を提供する。
【解決手段】圧電体を用いる高電圧発生機構と、4端子プローブとで測定する方法であって、2方向切替スイッチ9をすべて、2X4マトリックス・スイッチ8側の2X4マトリックス・スイッチの出力端子A1~A4に倒し、金属針13~16に通電してオーミック形成し、各金属針のオーミック形成が完了した後、2方向切替スイッチ9を、金属針13~16が4X4マトリックス・スイッチ10が接続される2方向切替スイッチの測定側への切替側端子B1~B4に倒し、電流源11と電圧計12に接続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック圧電素子の2つの電極に接続された金属針を半導体または導電性薄膜に接触させ、前記圧電素子に応力または打撃を加えることで前記金属針に高電圧かつ微小電流を印加することにより、前記金属針と半導体または導電性薄膜と電気的コンタクトを形成する方法。
【請求項2】
セラミック圧電素子の2つの電極に接続された金属針を半導体または導電性薄膜に接触させ、前記圧電素子に応力または打撃を加えることで前記金属針に高電圧かつ微小電流を印加した後、圧電素子の電極を反転させ、前記素子に複数回の応力または打撃を加えることで金属針に高電圧かつ微小電流を印加することにより、金属針と半導体または導電性薄膜と電気的コンタクトを形成する方法。
【請求項3】
直線状かつ等間隔に4本配列された金属針を半導体または導電性薄膜に接触し、請求項1および2に記載されたセラミック圧電素子を最外側の2本の金属針に接続し、請求項1および2に記載される方法で半導体または導電性薄膜と電気的コンタクトを形成した後、最外側の2本の金属針に電流源を接続し、最内側2本の金属針間の電圧を計測することにより前記半導体または導電性薄膜のシート抵抗を測定することを特徴とする測定装置。
【請求項4】
4辺形の頂点に配置された4本の金属針を接触させた半導体または導電性薄膜に対して、請求項1および2に記載される方法で、4本の金属針全てに電気的コンタクトを形成し、半導体または導電性薄膜に法線方向から磁場を印加し、対角する2本の金属針に電流源を接続し、直交方向の2本の金属針間の電圧を測定することを特徴とするホール効果測定装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成されたショットキー接合またはMIS(金属・絶縁体・半導体)接合領域と、前記領域外に複数の金属針を半導体基板と接触させて、請求項1および2に記載された方法で電気的コンタクトを形成した電極と、ショットキー接合またはMIS(金属・絶縁体・半導体)接合領域に接触させた電極間において、容量・電圧特性(CV特性)を測定することを特徴とする半導体特性測定装置。
【請求項6】
請求項1,2、3,4、5における、セラミック圧電素子による電気的コンタクトを形成する構成部および接続の切替部を共用して使用することを特徴とする電気特性測定装置。
【請求項7】
直線状かつ等間隔に配列された4本の金属針列1と直交して配置された同様の4本の金属針列2を備え、金属針列1の最内側の2本の金属針が金属針列2の最内側の2本の金属針が正四辺形を構成し、請求項1および2に記載される方法で、両列の8本の金属針全てに電気的コンタクトを形成し、金属針列1の最外側の2本に電流源を接続し、同列最内側の2本の金属針の電圧Vsを測定した後、半導体または導電性薄膜に垂直から磁場を印加し、金属針列2の最内側の2本の金属針の電圧VHを測定することを特徴とするホール効果測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体基板などの導電性基板または表面に形成された導電層のシート抵抗、その導電層内のキャリアである電子・正孔などの移動度、その導電層内のキャリア濃度などを測定する方法と測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
GaAs半導体や、AlGaNを表面層に有するGaN半導体は、MOCVD法などを用いた結晶成長やイオン注入を用いて電気導電層を形成した基板にデバイス作成を行う。このためデバイス作成前に基板の電気導電層のシート抵抗測定やキャリア移動度の測定を行うことが必要である。然しながら、GaAs半導体やAlGaNを表面層に有するGaN半導体に対して金属針を半導体表面に直接接触させると金属針と半導体間にショットキー接合が形成されるため、通電させることができない。このため、金属をリソグラフィーによりパターニングし、高温アニールで合金化させるなどして通電可能なオーミック性の電気的コンタクトを形成する。これはオーミック形成プロセスと呼ばれ、測定試料を作成するには多大な時間を要する。半導体などの電気特性の測定として一般的なシート抵抗測定、ホール測定、CV測定などの電気特性の評価には、このようなオーミック電極作成は必須となっている。
【0003】
シート抵抗測定には、4端子プローブ法が用いられている。これは直線状に配列された4本の金属針を半導体に接触させ、外側2本の金属針に電流源を接続し、内側の2本の金属針間に発生する電圧を測定することでシート抵抗を測定できるものであるが、金属針と半導体がショットキー・ダイオードとなる接合となるGaAsやGaNなどの半導体に対しては通電することができないため、4端子プローブ法は適用できなかった。
【0004】
別の方法として、交流磁場印加により電気伝導層で発生する渦電流をインピーダンスとして測定することによって、シート抵抗を測定する装置が実用化されているが、シリコンなどの導電性基板を用いた場合は、合成されたシート抵抗を測定することになり、正確な測定ができない。また、市販されている非接触渦電流によるシート抵抗測定器は、高抵抗の基板では渦電流が小さくなるため、広範囲での測定ができない問題がある。
【0005】
更に、キャリア移動度を測定するためにホール効果を測定する場合においても、オーミック性の電気的コンタクト形成が必要である。このために、サンプル表面に部分的にIn半田を接着し、加熱してオーミック形成を行うことが一般的である。この工程はサンプルを切り出して行う場合が多く、時間を要するものである。
【0006】
また、キャリア濃度を測定するためには、CV測定(容量・電圧測定)を行うことが一般的である。これは、面積の決まったショットキー・ダイオードに逆方向電圧を印加して容量値を測定するものである。当然ながら、ショットキー・ダイオードの片側は、オーミック性の電気的コンタクトが必要である。このため半導体表面にショットキー電極とは別の電極パターンを形成し、熱処理によってオーミック・コンタクトを作成しておくことが必要になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014-29946 (P2014-29946A)(号公報)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】カタログNo:B10-4500 株式会社ナリカ 小型圧電素子A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体表面に接触させた金属針に強制的に電気通電することで電気的コンタクトを得る方法が知られているが、半導体表面に薄い酸化被膜や汚れが付着している場合には有効性が知られている。然しながら、GaN半導体などのワイドバンドギャップ半導体では金属針の先端に形成されるショットキー・ダイオードの耐圧が極めて高いため、大体100V以下の電圧印加ではショットキー接合を破壊することはできない。高電圧発生装法として知られるコッククロフト・ウォルトロン回路やパルストランスを用いれば発生電圧の制限はないが、高耐圧部品を使用するため高価であり、取り扱いに危険性があった。また、例えショットキー接合を破壊させることができたとしても、測定試料そのものを破壊・変性させてしまう問題がある。
【0010】
また、通電電流が大きければ、金属針の先端が溶融する現象が生じる。金属針への通電電流を制限することで金属針の融解を防ぎ、測定試料の変性を生じさせない方法が求められる。
【課題を解決する手段】
【0011】
本発明に関わる電気的コンタクトを形成する手段は半導体などに接触させた金属針に圧電素子を用いて高電圧を印加するものである。圧電素子は着火器として広く実用化されている。この原理は、圧電素子に外部応力を印加するか打撃を加えることで高電圧のインパルス発生を行うものである。圧電素子は電子回路を使わないため、コンパクトでありながら、数KV程度の電圧発生を得ることができる。放出される電荷量は圧電体の分極量で決まるため、高電圧であっても、分極変化の時間積分である電流量は極めて小さい。このため、圧電素子を用いる高電圧発生器は、電極針の溶融を生じさせることなく、測定試料の変性を生じさせることなく、ショットキー接合障壁を破壊することができる。このオーミック性の電気的コンタクトの作成方法は、測定時の安全性が高い。
【0012】
本発明における課題解決の手段について
図1を用いて説明する。
圧電素子はPZTなどの強誘電体セラミックスである。このような圧電素子1を上部電極3とベース電極2で挟み込まれた構造とし、バネ7に固定された打撃棒4が、ストッパ5が外れた際に、上部電極を瞬間的に打撃する。この結果、上部電極とベース電極間に電圧を発生する。これは原理的なものであり、圧電素子の機械的構造には様々なものが考案・実用化されており、本発明にはそのような市販の圧電素子を用いることが出来る。
【0013】
圧電素子の出力は2X4マトリックス・スイッチ8に接続される。マトリックス・スイッチとは垂直配線と水平配線の接点(交点)に設置されたリレー・アレイであり、接点において、短絡、開放を行う機能のものである。これにより、圧電素子1で発生した高電圧の出力先をA1からA4の任意の端子へ選択配分を行うことができる。
2方向切替スイッチ9は金属針13、14、15、16を極にして高電圧側と測定側の4X4マトリックス・スイッチ10の2方向に切り替えるためのものである。2X4マトリックス・スイッチ8のS11とS24を短絡させ、2方向切替スイッチ9を全て高電圧発生側(図内上側)に倒した状態で、圧電素子に打撃を与えると金属針13と金属針16に高電圧が印加される。
【0014】
4本の金属針13、14、15、16をアンドープAlGaN半導体層17に接触させると、金属針13~16との間にD1,D2,D3,D4で表されるショットキー・ダイオードが形成される。金属針13と金属針16間にはバック・トゥー・バックに接続されたショットキー・ダイオードが形成されるため、どちらか一方が逆バイアスになるため、通電できない。このショットキー・ダイオードに対して圧電体から発生した高電圧が印加されるが、金属針13が金属針16に対して正電圧であれば、金属針13下のショットキー・ダイオードD1は順方向バイアスされ、金属針16下のショットキー・ダイオードD4は逆方向バイアスされる。
【0015】
ショットキー・ダイオードD4の逆方向耐圧を越えて電流が流れれば、D4のショットキー障壁は破壊されるが、D1は破壊されない場合がある。これは2つのショットキー・ダイオードで発生するエネルギー消費、即ち発熱の差があるからである。消費エネルギーは電流と電圧の積であるので、逆バイアス印加のショットキー・ダイオードD4は順バイアスのショットキー・ダイオードD1よりも、大きく発熱する。この結果、D4のショットキー障壁が破壊され、D4には電気的コンタクトが取れる。発生された高電圧パルスの極性は圧電体の分極方向できまる。このため、オーミック性の電気コンタクト得るためには、更に極性を反転させた高電圧パルスを印加する必要がある。このため、2X4マトリックス・スイッチ8のS21とS14を短絡させる。これによっての金属針13で形成されたD1のショットキー障壁に対しても電気的コンタクトが取れる。この手順により、2X4マトリックス・スイッチ8の短絡箇所を選択することで任意の金属針に対して、電気的コンタクトを実現することが出来る。
【0016】
図2はシリコン基板19上にアンドープGaNエピ層18とアンドープAlGaNエピ層17を成長させた試料に対して、高電圧パルスを印加前と印加後および極性を切り替えた時の電極針間の電流・電圧特性を実測したものである。高電圧パルス印加によって良好なオーミック性が得られている。半導体基板表面の変性も生じない。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、これまで測定試料に対して電極のパターニングやアニールによる合金化などによるオーミック形成を必要としてきた試料作成の工程を短縮するものである。本発明によりオンウェハーで電気的コンタクトを形成し、その金属針を用いて電気特性を測定できる。これにより、4端子プローブによるシート抵抗測定法、ホール測定法、CV測定法などの半導体電気特性の迅速な測定を可能になる。
【0018】
再掲になるが、高電圧パルス印加によってオーミック・コンタクトを形成する方法として、高電圧発生回路を用いず、圧電素子を用いることで通電電流を極めて小さくすることができるため、電極針の溶融が生じない。特に金属針をGaNなどのワイドバンドギャップ半導体に接触させた場合に形成される極めて高い降伏電圧を有するショットキー接合においても、容易に破壊してオーミック電極とすることができる。
実験の結果、AlGaN,GaN層によるヘテロ接合界面の二次元電子ガス層のシート抵抗の測定も可能であることを確認した。p型GaN半導体層に対しても、ショットキー・ダイオード極性がフォワード・トゥー・フォワード接続になるが、同様の方法で電気的コンタクトを取ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】圧電体を用いる高電圧発生機構と4端子プローブ測定の構成図
【
図2】AlGaN/GaNヘテロ接合を形成されたエピ表面に2本のタングステン針を接触させた場合の初期電流・電圧特性と、圧電体を用いた高電圧印加後の電流・電圧特性図
【
図3】四辺形の頂点位置に金属針を配置したプローブによるホール効果の測定装置の構成図
【
図4】GaNエピ層にショットキー電極を形成した後、前記電極周辺に3本の金属針を接触させてCV測定を行う測定装置の構成図
【
図5】円筒容器内に保持したイオン液体を半導体表面に接触させて得られるイオン液体によるショットキー接合と、前記接合周囲に3本の金属針を配置して形成されたオーミック接合間のCV測定を行う測定装置の構成図
【
図6】4端子シート抵抗測定、ホール効果測定、CV測定において共通となる測定プラットフォーム構成図
【
図7】2つの直交する金属針列を用いてホール効果の測定を行う測定方法の構成図。ただし、オーミック電極形成やスイッチ類などは
図6の構成を使用している。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
本発明の実施する第一の形態について
図1を用いて説明する。本実施例では市販されている圧電素子(ナリカ小型圧電素子B10-4500)を用いた(非特許文献1)。発生した高電圧は2X4マトリックス・スイッチ8の水平方向の2線で供給され、垂直方向の出力線は交点に設けられたリレーの短絡、開放の組み合わせで出力端子A1からA4の4本に出力され、2方向切替スイッチ9に接続される。本構成では、交点の短絡と開放を行うマトリックス・スイッチ8の接点S11~S14およびS21~S24は絶縁耐圧10KV以上のリレーとしてオムロン社G4Wを採用した。
【0021】
2方向切替スイッチ9は金属針に通電する場合は全て図内上方側に倒される。発生される高電圧波形は圧電体の振動や配線のインダクタンスにより減衰振動になる。従って最初のパルスがオーミック形成において最も有効であるため、電極針に接続する圧電素子の接続を切替えることで、点接触で形成される2つのダイオード障壁を交互に破壊し、双方向の電気的コンタクトを実現できる。ここで流れる電流量は圧電体の分極変化によるものであるため、極めて小さいため、複数回、この高電圧印加を行っても金属針の溶融や測定試料の劣化を生じることがない。
【0022】
各金属針のオーミック形成が完了した後、2方向切替スイッチ9を図内下方に倒して、金属針13~16をB1~B4に接続された4X4マトリックス・スイッチ10を介して電流源11と電圧計12に接続する。
なお、2方向切替スイッチ9は単極双投(SPDT)スイッチ4個(SPDT1~SPDT4)から構成され、金属針を軸(単極)に高電圧側端子A1~A4と測定端子B1~B4を全て同時に切り替えるものである。また2方向切替スイッチ内のSPDTスイッチには絶縁耐圧10KV以上のナイフスイッチを用いた。この構成に依れば、誤って高電圧発生源を測定機器に接続して破損させる心配がない。
【0023】
4X4マトリックス・スイッチ10内の交点には短絡、開放を行うリレーが設置されている。W11とW42を短絡させることで、金属針13と16に電流源11が接続され、W23とW34を短絡させることでの金属針14と15に電圧計12が接続される。
この測定電圧と設定電流値から、通常の4端子プローブ法で説明される原理でシート抵抗を測定できる。シート抵抗測定の原理についてはシート抵抗RSは電流Iと測定電圧Vから下式を用いる場合が多い。
RS=(4.5324)V/I・・・・・・(1)
【0024】
使用する電圧計が高入力インピーダンスであれば、電極2と電極3に対する電気的コンタクト形成は必ずしも必要でないが、電極2と電極3に対しても先の手順で電気的コンタクトを形成しておくことで測定精度を高められることは言うまでもない。
【0025】
シリコン基板19上に成膜されたGaNエピ層18とAlGaN層17上に接触させた電極針はAlGaN層とショットキー・ダイオードを形成するため、シート抵抗を測定できない。特に、AlGaN層とGaN層の界面に発生する二次元電子ガスのシート抵抗測定では金属針のショットキー・ダイオードの耐圧が高いため、これまで4端子測定法は使用できないと思われてきたが、圧電素子はダイオードの降伏電圧以上に高い電圧を印加できるため、その場でオーミック性の電気的コンタクトを形成して、4端子測定法の使用を可能とすることができた。
更に磁石の方向を変えることで、精度を高めることが出来る。ネオジウム磁石は磁束密度が0.4Tの市販のものを使用したが、上下を反転させて測定試料をS極上に置けば、発生するホール起電力は逆になる。これを利用し、更に平均化を行うことで精度を高めることが出来る。
測定されたホール起電力は測定試料の形状によって異なる。また、磁束密度は最表面のものであるため、試料の測定位置における磁束密度とは若干の差異がある。ホール起電力の形状依存性については、ホール起電力とキャリアの移動度との関係で言えば、ホール起電力は磁束密度と流れる電流量に比例し、移動度に比例することが知られているので、標準となる試料を準備し、通常のホール効果測定によって予め計測された移動度を基準に校正係数を求めておけば、測定試料に前記係数を掛けて算出することができる。