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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010993
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】印字装置及び印字包装装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20240118BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20240118BHJP
   B41J 21/17 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B41J5/30 B
B65B51/14
B41J21/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112636
(22)【出願日】2022-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 令和4年4月18日~令和4年6月11日 公開場所 株式会社虎昭産業北関東もおか工場(栃木県真岡市鬼怒ヶ丘1-6-1) 〔刊行物等〕 展示日 令和4年6月7日~令和4年6月10日 展示会名、開催場所 FOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展) 東京都江東区有明3-11-1東京ビッグサイト 東1~8ホール
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】駒井 直毅
(72)【発明者】
【氏名】平田 耕亮
(72)【発明者】
【氏名】北山 友裕
(72)【発明者】
【氏名】信重 労
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 知彦
(72)【発明者】
【氏名】津川 透乃
(72)【発明者】
【氏名】河村 涼一
(72)【発明者】
【氏名】大森 桂太
【テーマコード(参考)】
2C187
3E094
【Fターム(参考)】
2C187AC05
2C187AD20
2C187BG39
2C187BH18
2C187BH23
2C187CC04
2C187CD04
2C187CD08
3E094AA01
3E094BA11
3E094CA06
3E094DA01
3E094EA01
3E094FA14
3E094HA10
(57)【要約】
【課題】外観品位を損ねることなく容器に溶着することができる、感熱フィルムに商品情報が印字された印字済みフィルムを発行できる、フィルム印字装置及び印字包装装置を提供する。
【解決手段】フィルム印字装置5は、感熱発色すると共に感熱発色前は光を透過させる印字可能領域PAが一部に形成されたフィルムFに印字する。フィルム印字装置5は、印字可能領域PAに熱を付与して印字させる印字機構75と、印字機構75を制御する制御装置7と、を備える。制御装置7は、印字可能領域PAの少なくとも一部を印字領域PCとして印字の設定を行い、商品に関する商品情報を印字機構75に印字させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱発色すると共に感熱発色前は光を透過させる印字可能領域が一部に形成されたフィルムに印字する印字装置であって、
前記印字可能領域に熱を付与して印字させる印字部と、
前記印字部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記印字可能領域の少なくとも一部を印字領域として印字の設定を行い、商品に関する商品情報を前記印字部に印字させる、印字装置。
【請求項2】
前記フィルムにおける前記印字可能領域の表面の前記印字部に対する摩擦度合は、前記印字可能領域以外の表面の前記摩擦度合に比べて大きく、
前記制御部は、少なくとも前記フィルムに印字を行うときは前記印字部を前記フィルムに圧着させる、請求項1記載の印字装置。
【請求項3】
前記印字可能領域は、前記印字可能領域を画定する外形の一部に円弧が含まれており、
前記制御部は、前記円弧の形状に沿うように設定された前記印字領域に前記商品情報を印字させる、請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項4】
前記商品情報は、商品ごとにそれぞれ設定されている、請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記商品情報の設定を受け付け可能、かつ、前記印字可能領域以外の領域を前記印字領域として設定できないように構成されている、請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項6】
前記印字部は、前記フィルムに圧着する第一状態と、前記フィルムから離間する第二状態と、を切替可能に設けられており、
前記制御部は、前記フィルムに印字をしないときは前記印字部を前記第二状態に切り替える、請求項1又は2記載の印字装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の印字装置と、
物品が収容された容器に前記印字装置によって印字された印字済みフィルムを溶着させる溶着部と、を備え、
前記溶着部は、前記印字済みフィルムを前記容器に溶着させるときに前記印字可能領域に接触しないように設けられている、印字包装装置。
【請求項8】
前記溶着部は、前記印字可能領域を囲う枠状に形成されている、請求項7記載の印字包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、印字装置及び印字包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品が開口部を有する容器に収容され、開口部が透明のフィルムによって封止された商品が知られている。このような商品では、例えば製造年月日等の商品情報をフィルムに印字し、商品情報が印字されたフィルムで開口を封止することがある。フィルムへの印字は、特許文献1に示されるように、インクリボンを用いたフィルムへの印字が一般的である。しかしながら、インクリボンの交換に手間がかかったり、使用済みのインクリボン等を廃棄する必要があることから環境に負荷をかけたりする等の問題がある。そこで、感熱層を有するフィルム(以下、「感熱フィルム」とも称する)を用いて印字をしたいという要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-283633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、溶着によってフィルムを封止する場合には、溶着部分及びその周囲が発色することがある。特に、物品の視認性を高めるために用いられる光透過性のフィルムにおいて溶着部分及びその周囲が発色した場合、外観品位に乏しい商品となってしまう。
【0005】
そこで、本発明の一側面の目的は、外観品位を損ねることなく容器に溶着することができる、感熱フィルムに商品情報が印字された印字済みフィルムを発行できる、フィルム印字装置及び印字包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一側面に係る印字装置は、感熱発色すると共に感熱発色前は光を透過させる印字可能領域が一部に形成されたフィルムに印字する印字装置であって、印字可能領域に熱を付与して印字させる印字部と、印字部を制御する制御部と、を備え、制御部は、印字可能領域の少なくとも一部を印字領域として印字の設定を行い、商品に関する商品情報を印字部に印字させる。
【0007】
この構成では、印字可能領域がフィルム全体の一部に形成されている感熱フィルムに印字する場合であっても、フィルムに印字される商品情報は、印字可能領域の少なくとも一部を印字領域として印字するように設定されているので、商品情報が確実にフィルムに印字される。これにより、外観品位を損ねることなく容器にフィルムを溶着することができる、商品情報が印字された印字済みフィルムを発行できる。なお、フィルムにおいて印字可能領域以外の部分を容器に溶着すれば、その溶着部分が発色することもないので、上述したような外観品位を損ねることもない。
【0008】
(2)上記(1)記載の印字装置において、フィルムにおける印字可能領域の表面の印字部に対する摩擦度合は、印字可能領域以外の表面の摩擦度合に比べて大きく、制御部は、少なくともフィルムに印字を行うときは印字部をフィルムに圧着させてもよい。この構成では、印字部の交換頻度を低減させることができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)記載の印字装置において、印字可能領域は、印字可能領域を画定する外形の一部に円弧が含まれており、制御部は、円弧の形状に沿うように設定された印字領域に商品情報を印字させてもよい。この構成では、外形形状が円弧部分を有する印字可能領域が一部に形成されているフィルム使用する場合において、印字可能領域に合わせて商品情報を印字することができる。
【0010】
(4)上記(1)~(3)の何れか一項記載の印字装置において、商品情報は、商品ごとにそれぞれ設定されていてもよい。この構成では、商品ごとに最適に商品情報を印字することができる。
【0011】
(5)上記(1)~(4)の何れか一項記載の印字装置において、制御部は、商品情報の設定を受け付け可能、かつ、印字可能領域以外の領域を印字領域として設定できないように構成されてもよい。この構成では、商品ごとに商品情報を印字する場合であっても、印字可能領域に商品情報を印字できる。
【0012】
(6)上記(1)~(5)の何れか一項記載の印字装置において、印字部は、フィルムに圧着する第一状態と、フィルムから離間する第二状態と、を切替可能に設けられており、制御部は、フィルムに印字をしないときは印字部を第二状態に切り替えてもよい。この構成では、印字部の交換頻度を低減させることができる。
【0013】
(7)上記(1)~(6)の何れか一項記載の印字装置と、物品が収容された容器に印字装置によって印字された印字済みフィルムを溶着させる溶着部と、を備え、溶着部は、印字済みフィルムを容器に溶着させるときに印字可能領域に接触しないように設けられている印字包装装置であってもよい。この構成では、印字可能領域を避けて容器にフィルムを溶着するので溶着部分が発色することはない。これにより、外観品位に優れた商品を提供することができる。
【0014】
(8)上記(7)記載の印字包装装置において、溶着部は、印字可能領域を囲う枠状に形成されてもよい。この構成では、印字可能領域の外側の印字可能領域以外の部分に熱が付与されるので、溶着時にフィルムが発色することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、外観品位を損ねることなく容器に溶着することができる、感熱フィルムに商品情報が印字された印字済みフィルムを発行できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係る印字包装装置の概略構成を示した正面図である。
図2図2(a)~(c)は、封止機構における動作を説明する平面図である。
図3図3は、印字包装装置の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、フィルムの構成を示す図である。
図5図5は、フィルムによって包装された商品を示す上面図である。
図6図6(a)は、変形例に係るフィルムによって包装された商品を示す上面図である。図6(b)は、図6(a)のフィルムの一部を拡大して示した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一側面の好適な一実施形態である印字包装装置1を説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1及び図2においては、説明の便宜のため、互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を設定する。本実施形態では、フィルム包装装置3における容器10の搬送方向D1(図1参照)とX方向とが一致し、フィルム包装装置3の幅方向とY方向とが一致し、鉛直方向とZ方向とが一致する。
【0018】
図1に示されるように、印字包装装置1は、フィルム包装装置3と、フィルム印字装置5と、制御装置(制御部)7と、表示操作部9と、を備えている。フィルム包装装置3は、有底筒状の容器10の開口部10aをフィルムFで覆うと共に密封して、容器10に入れられた物品A(図5参照)を包装する。フィルム印字装置5は、容器10を覆うフィルムFに商品名、消費期限及び原材料等を印字(印刷)する。制御装置7は、フィルム包装装置3及びフィルム印字装置5の各種動作を制御する。
【0019】
図1図3に示されるように、フィルム包装装置3は、搬入コンベヤ21と、載替機構23と、搬出コンベヤ27と、封止機構30と、を備えている。搬入コンベヤ21は、物品Aを収容した容器10(商品P)を、封止機構30の上流側に隣接する第一位置P1にまで搬送する。搬入コンベヤ21は、例えばベルトコンベヤである。搬入コンベヤ21は、制御装置7によって制御される。
【0020】
載替機構23は、搬送方向D1における上流側に配置される第一載替機構23Aと搬送方向D1における下流側に配置される第二載替機構23Bと、を有している。第一載替機構23A及び第二載替機構23Bのそれぞれは、Y方向に移動可能に設けられた一対の挟持部24,24を有している。第一載替機構23A及び第二載替機構23Bは、一体的にX方向に沿って移動可能に設けられている。一対の挟持部24.24は、Y方向に移動することによって複数(例えば四つ)の容器10を挟持し、挟持した容器10を第一位置P1から封止機構30に向けてX方向に移動させると共に、挟持した容器10を封止機構30から封止機構30の下流側に配置される搬出コンベヤ27の第二位置P2に向けてX方向に移動させる。載替機構23は、制御装置7によって制御される。
【0021】
搬出コンベヤ27は、封止機構30においてフィルムFによって封止された容器10を、搬送方向D1において封止機構30の下流側に隣接する第二位置P2から下流側に向けて搬送する。搬出コンベヤ27は、例えばベルトコンベヤである。搬出コンベヤ27は、制御装置7によって制御される。
【0022】
封止機構30は、搬送方向D1において、搬入コンベヤ21と搬出コンベヤ27との間に配置されている。封止機構30は、搬入コンベヤ21から複数(例えば4個)の容器10を受け取り、フィルム印字装置5によって印字されたフィルムFを各容器10の鍔部10bに溶着し、開口部10aを封止する。すなわち、封止機構30は、一回の包装動作で、複数の容器10内の物品Aを個別に包装する。封止機構30は、制御装置7によって制御される。
【0023】
封止機構30は、載置部32と、リフト機構34と、溶着切断部36と、を有している。後段にて詳述するフィルム搬送装置50によって搬送されるフィルムFは、容器10が載置される載置部32の商品載置部32aと、載置部32の商品載置部32aと対向する溶着切断部36の対向面36aとの間を搬送される。載置部32は、商品載置部32aと、商品囲み部32bと、を有している(図2(a)参照)。商品囲み部32bは、リフト機構34によってZ方向に移動可能に設けられている。これにより、商品載置部32aに容器10を載置した状態において、商品囲み部32bを商品載置部32aと同じ高さ位置からZ方向に上昇させると、容器10の鍔部10bを下方から支持した状態で容器10を上方に移動させることができる。
【0024】
リフト機構34は、載置部32における商品囲み部32bを、溶着切断部36に接近する方向及び溶着切断部36から離反する方向に移動させる機構である。リフト機構34の例には、空気圧シリンダ、油圧シリンダ及びモータ等が含まれる。溶着切断部36は、容器10における鍔部10bの上面にフィルムFを溶着させると共に、溶着されたフィルムFの外側を切断する。溶着切断部36は、溶着部38と切断部39とを有する。
【0025】
溶着部38は、フィルムFを容器10に溶着可能な温度に発熱する発熱体である。より詳細には、溶着部38は、商品囲み部32bの上昇によって一体的に移動する容器10における鍔部10bの上面がフィルムFを介して接触する位置に設けられている。言い替えれば、溶着部38は、印字済みフィルムFを容器10に溶着させるときに印字可能領域PAに接触しないように設けられている。溶着部38は、下方から見たときに、鍔部10bの形状に対応して枠状に形成されている。これにより、溶着部38が作動した状態において、鍔部10bの上面をフィルムFを介して溶着部38に接触させれば、フィルムFが容器10の鍔部10bに溶着される。
【0026】
切断部39は、長尺状のフィルムFから容器10に封止された部分を切断するカッタである。より詳細には、切断部39は、商品囲み部32bの上昇によって一体的に移動する容器10における鍔部10bの上面がフィルムFを介して接触する位置の外側を囲むように設けられている。下方から見たときに、切断部39は、溶着部38を囲むように、枠状に設けられている。これにより、鍔部10bの上面をフィルムFを介して溶着部38に接触させれば、容器10を封止したフィルムF部分が、長尺状のフィルムFから切り離される。長尺状のフィルムFから容器10を封止したフィルムF部分が切り離されたフィルムFは、切り離された部分が開口する使用済みフィルムFとなる。
【0027】
図1に示されるように、フィルム印字装置5は、フィルム搬送装置50と、印字機構(印字部)75と、を備えている。フィルム搬送装置50は、ガイドローラ57と、繰出機構51と、印字搬送機構60と、貯留搬送機構80と、シール搬送機構90と、を備えている。ガイドローラ57は、フィルムFの搬送経路を構成する。ガイドローラ57は、図示するガイドローラ57以外にも配置されていてもよい。
【0028】
繰出機構51は、フィルムFが巻回されたフィルムロールRを支持すると共に搬送方向下流側にフィルムFを送り出す。フィルムFは、光を透過させる部材の一部に感熱剤が塗布された感熱フィルムである。感熱剤が塗布された感熱フィルムは、印字ヘッド77から熱が付与されることによって発色する。感熱剤が塗布された部分(以下、「印字可能領域PA」と称する。)は、光透過可能な部分として形成されてもよいし、光透過不能な部分として形成されてもよい。物品Aが収容された容器10に、商品情報を印字済みのフィルムFを溶着した場合、物品Aは、少なくとも印字可能領域PA以外の印字不能領域PB越しに視認される。
【0029】
図4に示されるように、印字可能領域PAは、フィルムFにおいて一部に形成されている。また、フィルムFにおいて、印字可能領域PAは、物品A(商品P)ごと、すなわち一つの容器10に溶着される部分(容器対応領域PL)ごとに形成されている。フィルムFにおける印字可能領域PAの表面の印字ヘッド77に対する摩擦係数(摩擦度合)は、印字可能領域PA以外の印字不能領域PBの表面の摩擦係数に比べて大きい。
【0030】
なお、印字可能領域PA及び印字不能領域PBには、文字、数字、記号、柄、模様、画像、バーコード等の情報が予め印刷されていてもよい。このような情報が予め印刷されたフィルムFに印字ヘッド77は、商品情報を印字してもよい。
【0031】
図1に示されるように、繰出機構51は、支持部53と、駆動モータ55と、を有している。支持部53は、フィルムロールRを支持すると共に、駆動モータ55によって回転可能に設けられている。これにより、フィルムロールRが回転する。駆動モータ55は、支持部53を回転させる。駆動モータ55は、制御装置7によって制御される。
【0032】
印字搬送機構60は、印字機構75においてフィルムFを貯留搬送機構80に向けて送り出す。印字搬送機構60は、印字ローラ61と、駆動モータ63と、挟持ローラ67と、を有している。印字ローラ61は、印字ヘッド77の下方に配置されている。印字ローラ61は、挟持ローラ67との間で挟持されるフィルムFを下流側に送り出す。印字ローラ61の回転軸には、タイミングプーリ61Aが取り付けられている。駆動モータ63の駆動軸にはタイミングプーリ63Aが取り付けられている。二つのタイミングプーリ61A,63Aには、タイミングベルト65が巻き掛けられている。このような構成によって、駆動モータ63の回転力を、印字ローラ61の回転軸に伝達させ、印字ローラ61を回転駆動させる。駆動モータ69は、サーボモータ、DCブラシレスモータ又はACモータ等が用いられる。駆動モータ69は、制御装置7によって制御される。
【0033】
貯留搬送機構80は、固定ローラ81と、可動ローラ83と、図示しない位置センサ及びローラ駆動部と、を含む。
【0034】
固定ローラ81は、フィルムFが巻き掛けられ、フィルムFをガイドするローラである。可動ローラ83は、フィルムFの搬送経路長を変更するように、位置を変更可能なローラである。可動ローラ83については、移動方向を限定するものではないが、本実施形態では、可動ローラ83は、図1において実線で示された位置と破線で示された位置との間を上下方向に移動可能に設けられている。貯留搬送機構80は、三つの固定ローラ81,81,81と、二つの可動ローラ83,83と、を有している。なお、固定ローラ81及び可動ローラ83の数は、上記記載のとおりではなく適宜選択され得る。
【0035】
貯留搬送機構80は、印字機構75によって商品情報を印字済みのフィルムFを一時的に貯留できる。なお、貯留搬送機構80は、少なくとも封止機構30において一回の包装(封止)動作に利用される長さのフィルムFが貯留可能であることが好ましい。本実施形態では、貯留搬送機構80には、封止機構30において一回に包装される四個の容器10に対応するフィルムFが少なくとも貯留可能であることが好ましい。
【0036】
位置センサは、可動ローラ83の位置を検知する。位置センサの例は、例えば可動ローラを支持する図示しないアームの回動量を検知するエンコーダ、光電センサ等である。ローラ駆動部は、可動ローラ83を駆動する。ローラ駆動部の例には、エアシリンダ及びモータ等が含まれる。
【0037】
シール搬送機構90は、駆動ローラ91と、従動ローラ93と、駆動モータ95と、巻取機構97と、を有している。駆動ローラ91は、駆動モータ95によって駆動される。シール搬送機構90は、駆動ローラ91と従動ローラ93とでフィルムFを挟持し、フィルムFをフィルム包装装置3の封止機構30に向けて送り出す。シール搬送機構90は、封止機構30に向けてフィルムFを間欠的に送り出す。より詳細には、シール搬送機構90は、搬送方向下流側のフィルム包装装置3における封止機構30が要求するフィルムFの供給タイミングに合わせてフィルムFを供給する。駆動モータ95は、制御装置7によって制御される。言い換えれば、封止機構30へのフィルムFの供給タイミングは、制御装置7によって制御される。巻取機構97は、容器10に封止された部分が切り取られた穴あき状のフィルムFを巻き取る。
【0038】
印字機構75は、印字ヘッド77と、切替機構79と、を有している。印字ヘッド77は、フィルムFに熱を供給することによって各種情報を印字する。なお、印字ヘッド77は、文字、数字、記号等の情報だけでなく、柄、模様、画像、バーコード等を印字(印刷)してもよい。印字ヘッド77における印字は、制御装置7によって制御される。印字ヘッド77は、印字ローラ61に接するフィルムFに圧着して印字する(第一状態)。なお、印字ヘッド77は、印字しないときには、印字ローラ61に接するフィルムFから離間する(第二状態)。
【0039】
切替機構79は、印字ヘッド77が印字ローラ61に接するフィルムFに圧着する状態(第一状態)と、印字ヘッド77が印字ローラ61に接するフィルムFから離間する状態(第二状態)と、を切り替える。切替機構79は、例えば、印字ヘッド77を揺動させることによって、第一状態と第二状態とを切り替える。切替機構79は、制御装置7によって制御される。言い換えれば、切替機構79における状態の切替は、印字ヘッド77による印字タイミングに合わせて制御装置7によって制御される。
【0040】
制御装置7は、図5に示されるように、印字包装装置1の各部の動作を制御する。制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されている。制御装置7は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。制御装置7は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。制御装置7は、フィルム包装装置3、フィルム印字装置5及び表示操作部9と通信可能に設けられている。なお、制御装置7は、フィルム包装装置3、フィルム印字装置5及び表示操作部9と一体的に構成されることは必須ではなく、フィルム包装装置3、フィルム印字装置5及び表示操作部9と通信可能に設けられておれば設置位置は問わない。
【0041】
制御装置7は、印字可能領域PAの少なくとも一部を印字領域PCとして印字するように設定された商品Pに関する商品情報を、印字機構75に印字させる。本実施形態では、印字可能領域PAの全部が印字領域PCとして設定されている。制御装置7は、少なくともフィルムFに印字を行うときは印字ヘッド77をフィルムFに圧着させる(すなわち第一状態にする)。制御装置7は、フィルムFに印字をしないときは印字ヘッド77を第二状態に切り替える。また、制御装置7において商品情報は、商品Pごとにそれぞれ設定されている。商品情報は、制御装置7の一部を構成するROM等に記憶されていてもよいし、図示しないHDD(Hard Disk Drive)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0042】
表示操作部9は、各種情報を表示すると共に、外部から各種条件の入力操作を受け付ける。表示操作部9は、例えば、液晶ディスプレイであり、タッチパネルとしての操作画面を表示する。この場合、オペレータは、表示操作部9を介して、例えば、これから印字包装しようとする商品P(又は商品Pの呼出番号)の入力を受け付けたり、商品情報(印字内容、印字領域PC等)の設定を受け付けたりすることができる。
【0043】
制御装置7は、繰出機構51の支持部53に取り付けられたフィルムロールRの製品情報を記憶している。製品情報の例には、フィルムFにおける印字可能領域PAの位置に関する情報が含まれている。表示操作部9は、商品情報の設定を受け付けるとき、印字可能領域PA以外の印字不能領域PBを印字領域PCとして設定できないように構成されている。具体的には、制御装置7は、フィルムFにおける印字可能領域PAの位置に関する情報に基づいて、例えば、表示操作部9において入力可能な情報(数値範囲)を制限したり、作業者によって入力された情報(数値範囲)に対してエラー表示をしたりする。
【0044】
次に、上記実施形態の印字包装装置1の動作について説明する。印字包装装置1では、フィルム包装装置3におけるフィルムFの封止に先がけて、フィルム印字装置5は、一サイクル分のフィルムFの印字可能領域PAである印字領域PCに印字を行う。フィルム搬送装置50は、フィルムFの送り出しを開始する。具体的には、繰出機構51によってフィルムFの繰り出しが開始され、同時に印字ローラ61の駆動が開始される。これにより、フィルムロールRに巻回されたフィルムFが搬送方向D2に送り出される。印字機構75は、搬送されてくるフィルムFの印字可能領域PA(図6参照)に印字を行う。具体的には、印字ヘッド77は、印字ローラ61に接触するフィルムFに圧着するように揺動して、フィルムFに熱を供給する。これにより、フィルムFの印字可能領域PA(すなわち印字領域PC)に文字等からなる商品情報が印字される。
【0045】
繰出機構51と印字機構75との間には、フィルムFに予め印字されたアイマーク(図示せず)を検知するアイマークセンサ(図示せず)が設けられてもよい。アイマークセンサは、アイマークを検知するとその検知情報を制御装置7に出力する。また、制御装置7は、印字ローラ61を駆動させる駆動モータ69の回転数を取得するエンコーダ(図示せず)から回転情報を取得する。制御装置7は、当該検知情報と回転情報とに基づいて、印字可能領域PA(印字領域PC)が近づいてきたことを検知し、印字可能領域PA(印字領域PC)に商品情報を印字する。
【0046】
印字機構75によって印字されたフィルムF(印字済みフィルムF)は、印字搬送機構60における印字ローラ61の駆動によって下流方向に送り出される。より詳細には、一サイクル分のフィルム長のフィルムF(四つの容器10を封止ためのフィルム長のフィルムF)が印字され、貯留搬送機構80に向かって送り出される。印字搬送機構60によって一サイクル分のフィルム長のフィルムFが送り出されると、繰出機構51及び印字搬送機構60の駆動が停止する。これにより、繰出機構51及び印字搬送機構60によるフィルムFの送り出しが停止する。
【0047】
貯留搬送機構80は、印字搬送機構60から送り出されてくる印字済みのフィルムFを貯留する。具体的には、可動ローラ83を鉛直下方向に移動させて、固定ローラ81,81,81間のフィルムFの長さを調整することによってフィルムFを貯留する。
【0048】
搬入コンベヤ21は、第一位置P1にまで容器10を搬送する。載替機構23は、第一位置P1に搬送されてきた四つの容器10を第三位置P3に位置する封止機構30の載置部32に移動させる。載置部32は、四つの容器10を上方向にリフトアップして、シール搬送機構90によって載置部32の上方に送り出されてきたフィルムFに容器10を近づける。封止機構30は、四つの容器10のそれぞれの鍔部10bにフィルムFを溶着させて、容器10の開口部10aを封止する。溶着部38が加熱された状態において、リフト機構34によって載置部32を上昇させ、容器10の鍔部10bにフィルムFを介して溶着部38を接触させることによって、フィルムFと容器10の鍔部10bとを溶着する。
【0049】
載置部32は、フィルムFによって封止された四つの容器10を第三位置P3にリフトダウンさせる。載替機構23は、第三位置P3にリフトダウンされた四つの容器10を第二位置P2に位置する搬出コンベヤ27に移動させる。搬出コンベヤ27は、下流工程に容器10を搬送する。容器10の鍔部10bに封止されたフィルムFは、切断部39によって鍔部10bの外縁に沿って切断される。巻取機構97は、容器10に封止された部分が切り取られたフィルムFを巻き取る。
【0050】
上記実施形態の印字包装装置1における作用効果について説明する。上記実施形態の印字包装装置1では、印字可能領域PAがフィルムF全体の一部に形成されている感熱フィルムに印字する場合であっても、フィルムFに印字される商品情報は、印字可能領域PAの少なくとも一部を印字領域PCとして印字するように設定されているので、商品情報が確実にフィルムFに印字される。これにより、外観品位を損ねることなく容器10にフィルムFを溶着することができる、商品情報が印字された印字済みフィルムFを発行できる。なお、フィルムFにおいて印字可能領域PA以外の部分を容器10に溶着すれば、その溶着部分が発色することもないので、上述したような外観品位を損ねることもない。
【0051】
上記実施形態の印字包装装置1では、制御装置7は、フィルムFに印字をしないときは印字ヘッド77をフィルムFから離間する第二状態に切り替える。これにより、印字ヘッド77の交換頻度を低減させることができる。
【0052】
上記実施形態の印字包装装置1では、商品情報は、物品Aごとにそれぞれ設定されているので、物品Aごとに最適に商品情報を印字することができる。
【0053】
上記実施形態の印字包装装置1では、制御装置7は、商品情報の設定を受け付け可能、かつ、印字可能領域PA以外の領域を印字領域PCとして設定できないように構成されている。これにより、物品Aごとに商品情報を印字する場合であっても、印字可能領域PAに商品情報を印字できる。
【0054】
上記実施形態の印字包装装置1では、溶着部38は、印字済みフィルムFを容器10に溶着させるときに印字可能領域PAに接触しないように設けられている。これにより、印字可能領域PAを避けて容器10にフィルムFを溶着するので溶着部分が発色することはない。これにより、外観品位に優れた商品Pを提供することができる。
【0055】
上記実施形態の印字包装装置1では、溶着部38は、印字可能領域PAを囲う枠状に形成されている。これにより、印字可能領域PAの外側の印字不能領域PBに熱が付与されるので、溶着時にフィルムFが発色することを防止できる。
【0056】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、矩形の印字可能領域PAが形成されたフィルムFに商品情報を印字する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、図5に示されるような矩形の印字可能領域PAに代えて、印字可能領域PAを画定する外形の一部に、図6(a)に示されるような円弧Arが含まれるフィルムFに商品情報を印字してもよい。制御装置7は、円弧Ar形状に沿うように設定された、図6(b)に示されるような印字領域PCに商品情報を印字してもよい。この構成では、外形形状が円弧Ar部分を有する印字可能領域PAが一部に形成されているフィルムFを使用する場合において、印字可能領域PAに合わせて商品情報を印字することができる。これにより、印字可能領域PAに見栄え良く、商品情報を印字することができる。
【0058】
また、上記実施形態では、一つの物品Aに関する商品情報について、印字可能領域PAの全てが印字領域PCとして設定されている例を挙げて説明したが、例えば、上記一つの物品Aとは異なる他の物品に関する商品情報は、図6(b)に示されるように、印字可能領域PAの全てではなくその一部が印字領域PCとして設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…印字包装装置、3…フィルム包装装置、5…フィルム印字装置、7…制御装置(制御部)、9…表示操作部、10…容器、10a…開口部、10b…鍔部、30…封止機構、36…溶着切断部、38…溶着部、39…切断部、50…フィルム搬送装置、60…印字搬送機構、75…印字機構、77…印字ヘッド、79…切替機構、A…物品、Ar…円弧、F…フィルム、PA…印字可能領域、PB…印字不能領域、PC…印字領域、R…フィルムロール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6