(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109930
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】再生制御装置、再生制御システム、並びに再生制御方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
G10K15/04 302F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087787
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2022144379の分割
【原出願日】2016-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502196463
【氏名又は名称】株式会社テック・エキスパーツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 剛
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡祐
(72)【発明者】
【氏名】釣 愛
(72)【発明者】
【氏名】太田 英治
(57)【要約】
【課題】
コンテンツの再生時に人を混乱させたり不快にさせたりすることを防止し、かつ音声認識入力に対応した機器が誤作動することを防止することが可能な再生制御装置及びシステム、並びに再生制御方法、プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】
音源の再生を制御する再生制御部10と、前記音源内から特定音を検出する特定音検出部17と、を含み、前記再生制御部は、前記特定音が前記音源内から検出された場合、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音源の再生を制御する再生制御部と、
前記音源内から特定音を検出する特定音検出部と、を含み、
前記再生制御部は、前記特定音が前記音源内から検出された場合、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すことを特徴とする再生制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲等のコンテンツの再生制御装置、再生制御システム、並びに再生制御方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポータブルオーディオプレーヤー内に重複する楽曲が保存されていることが検出された場合に、当該楽曲を解析し、より音質のよい楽曲のみを残すこと処理を行うことが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
楽曲または動画等、音声を含むコンテンツには、日常の生活中で耳にする、救急車あるいはパトカー等のサイレン音等の環境音、警告音もしくはモールス信号のSOS音等の非常時に発せられる音、急ブレーキ音もしくは銃撃音等の人が危険を感じる音、またはセリフ等の人の声が含まれ得る。
【0005】
例えば、コンテンツの再生時に、コンテンツに含まれるこれらの音を聞いたユーザは、当該音が現実世界の音なのかコンテンツ内の音なのか判断が付かず混乱したり不快になったりすることがある。また、例えばコンテンツ内の音が、音声認識入力に対応した機器によって拾われて、当該機器が誤作動してしまう可能性も考えられる。
【0006】
例えば、コンテンツ内にセリフが含まれており、当該セリフが機器によって拾われてしまい、意図しない機能が立ち上がったりすることが考えられる。また、コンテンツ内にサイレンが含まれており、当該サイレンを拾った機器が、緊急車両が接近している旨の誤表示を行ってしまう可能性も一例として考えられる。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、コンテンツの再生時に人を混乱させたり不快にさせたりすることを防止し、かつ音声認識入力に対応した機器が誤作動することを防止することが可能な再生制御装置及びシステム、並びに再生制御方法、プログラム及び記録媒体を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載の発明は、再生制御装置は、音源の再生を制御する再生制御部と、前記音源内から特定音を検出する特定音検出部と、を含み、前記再生制御部は、前記特定音が前記音源内から検出された場合、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すことを特徴とする再生制御装置である。
【0009】
また、本願請求項6に記載の発明は、音源を読み込む音源読込部と、当該読み込まれた音源内から前記特定音を検出する特定音検出部と、前記音源の再生を制御する再生制御部と、を有し、前記再生制御部は、前記特定音が前記音源内から検出された場合、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すことを特徴とする再生制御システムである。
【0010】
また、本願請求項7に記載の発明は、再生制御部が音源の再生を制御するステップと、特定音検出部が前記音源内から特定音を検出するステップと、前記再生制御部が前記特定音が前記音源内から検出された場合に、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すステップと、を含むことを特徴とする方法である。
また、本願請求項8に記載の発明は、コンピュータに、音源の再生を制御するステップと、前記音源内から特定音を検出するステップと、前記特定音が前記音源内から検出された場合に、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すステップと、を実行させるための再生制御プログラムである。
【0011】
また、本願請求項9に記載の発明は、コンピュータに、音源の再生を制御するステップと、前記音源内から特定音を検出するステップと、前記特定音が前記音源内から検出された場合、前記音源のうちの少なくとも前記特定音を含む部分に音響処理を施すステップと、を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の再生制御装置の機能ブロック図である。
【
図6】ユーザインタフェース画面表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下においては、本発明の好適な実施例について説明する。しかし、これらを適宜改変し、組み合わせてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
【実施例0014】
以下に、本発明の実施例1である再生制御装置10について、添付の図面を参照して説明する。再生制御装置10は、例えば、CDプレーヤー等の光ディスクプレーヤーもしくはデジタルオーディオプレーヤー等のオーディオプレーヤー、音響再生が可能な携帯電話、タブレット、スマートフォン等の情報端末機器、またはカーナビゲーションシステムに搭載されている。
【0015】
図1は、実施例1の再生制御装置10の各機能部を示すブロック図である。音源読込部としての音源データ読込再生部11は、例えばCDメディア、DVDメディア、フラッシュメモリ、磁気記憶媒体、搬送波等の音源担持媒体に記録された楽曲または動画等のコンテンツに含まれる音源データを読み込んで再生する。
【0016】
音源読込部としての音源データ読込再生部11は、例えば、CDもしくはDVD等の光ディスクの読込装置(光ディスクドライブ等)自体でも良いし、またはこれらと通信可能に接続されていてもよい。また、例えば、USB端子、またはWi-Fi通信装置もしくはブルートゥース(登録商標)通信装置等の無線通信装置等、デジタルメディアとのインタフェースを有していてもよい。
【0017】
音源記憶部13は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の記憶装置または当該装置内部の記憶領域の一部である。音源記憶部13は、音源データ再生部11によって再生された音源データを保存する。なお、音源データ読込再生部11が音源記憶部13に音源データそのものを送信して、音源記憶部13が当該データを記憶することも可能である。
【0018】
特定音記憶部15は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、SSD等の記憶装置または当該装置内部の記憶領域の一部である。特定音記憶部15には、楽曲または動画等の音響を含むコンテンツの再生時に発せられるとユーザが混乱する恐れがある音、ユーザが不快になる恐れがある音、または音声認識入力に対応した機器が誤作動する恐れがある音(例えばセリフ等の音声)としての特定音を含む特定音情報が保存されている。
【0019】
特定音としては、日常の生活中で耳にする、電話の着信音、救急車もしくはパトカー等のサイレン音等の環境音、または警告音もしくはモールス信号のSOS音等の非常時に発せられる音等が含まれてもよい。また、急ブレーキ音、衝撃音、爆発音もしくは銃撃音等の人が危険を感じる音が含まれてもよい。また、人の叫び声またはセリフ等の人が発する音声が含まれてもよい。
【0020】
特定音記憶部15は、特定音情報が保存されている外部データベースDBと通信可能である。従って、特定音記憶部15は、外部データベースDBにアクセスして外部データベースDB内の特定音情報を取得することが可能である。例えば、外部データベースDB内の特定音情報は絶えず更新されており、特定音記憶部13は、外部データベースDB内の特定音情報に基づいて、自身の特定音情報を更新することが可能である。
【0021】
特定音検出部17は、音源データ読込再生部によって再生された音源データ内から、特定音記憶部15内に保存されている特定音を検出する。この検出は、例えば、特定音と同一または類似の周波数成分を有する音が音源データ内に含まれているかを検出することで行ってもよい。また、音源データ内にセリフ等の音声データが含まれる場合には、音声認識を行って文字列に起こし、当該文字列内に特定音に含まれるセリフ等の音声と同一の音声があるか検出してもよい。
【0022】
特定音検出部17は、音源データ内に特定音を検出すると、当該音源データ内の当該特定音の再生位置を解析して、特定音及び当該特定音の位置情報を含む特定音検出情報を生成して音源記憶部13に保存する。特定音の位置情報には、例えば、特定音が含まれる音源データ名、特定音が含まれる楽曲の名前(楽曲名)及び当該楽曲内での特定音が含まれる再生位置の開始時点及び終了時点(楽曲の再生開始からの経過時間)が含まれる。この特定音検出情報は対応する音源データ(特定音検出情報内の特定音の検出対象となった音源データ)とセットで保存されていてもよい。
【0023】
再生制御部または判定部としての制御部19は、音源データの再生及び音源データに関する情報の表示を行う機能部である。制御部19は、スピーカーS及びタッチパネル等の操作表示部Dに通信可能に接続されている。制御部19は、音源記憶部13から音源データを取得して、これを再生し、音響信号をスピーカーSに出力する。
【0024】
また、制御部19は、例えば、操作表示部Dからの操作入力に応じて音源データの再生を制御する。例えば、制御部19は、操作表示部Dからの操作入力に応じて、音源データの再生、一時停止または停止を制御してもよいし、出力する音響信号の音量を調整してもよい。
【0025】
制御部19は、音源データを再生する際、当該音源データに対応する特定音検出情報を音源記憶部13から取得する。制御部19は、当該取得した特定音検出情報に基づいて、音源データの再生を制御する。例えば、制御部19は、音源データの再生時に、特定音検出情報に基づいて、音源データ内の特定音を含む楽曲の再生を行わない。
【0026】
また、例えば、制御部19は、音源データの再生時に、特定音部分の音を消音(ミュート)するか音量を小さくする等、調整して音響信号の出力を行ってもよい。また、特定音部分の音に音響効果を加える等の加工を行い、ユーザに影響を与えない音に変化させて出力を行ってもよい。すなわち、制御部19は、特定音が音源内から検出された場合、特定音を含む楽曲を再生しないことも含め特定音を含む部分に音響処理を施す。
【0027】
また、制御部19は、音源データの再生中に操作表示部Dからの入力に応じて、音源データ内の一部を切り出して、当該一部に含まれる音を特定音として特定音記憶部15に保存することが可能であってもよい。また、制御部19に接続されたマイク(図示せず)から音の入力を受け付けて当該受け付けた音を特定音として特定音記憶部15に保存することが可能であってもよい。
[特定音検出ルーチン]
以下に、特定音検出部17において実行される、特定音を検出する際のルーチンについて説明する。
図2に、特定音を検出する際に実行されるルーチンの一例である特定音検出ルーチンR1を示す。特定音検出ルーチンR1は、例えば、再生制御装置10に電源が供給された際に開始する。
【0028】
ルーチンR1が開始されると、特定音検出部17は、まず、音源記憶部13への録音のために、音源データが再生されているかを判定する(ステップS1)。この判定は、音源データ読込再生部11から音源再生データ(または信号)が到来しているか否かを判定することで行われてもよい。
【0029】
音源データが再生されている際には、当該音源データそのもの、または再生されている音源データの音響を再度データ化処理されたものが音源記憶部13に保存される。例えば、音源データが圧縮データの場合には、音源読込再生部11での再生の際に、当該圧縮データがそのまま音源記憶部13に保存されてもよい。また、音源データが非圧縮状態にされて再生され、当該非圧縮データもしくは当該非圧縮データを再度圧縮した圧縮データが、音源記憶部13に保存されてもよい。
【0030】
この音源データが1または複数の楽曲を含む場合には、音源データと共に音源データが含む楽曲をリスト化した楽曲リストが生成されて音源データと共に保存されてもよい。
【0031】
特定音検出部17が音源データが再生されていないと判定する(ステップS1:NO)と、その後ルーチンは終了する。特定音検出部17が、音源データが再生されていると判定すると、特定音検出処理が開始される(ステップS2)。
【0032】
この検出処理は、特定音記憶部15上述したように、例えば、特定音と同一または類似の周波数成分を有する音が音源データ内に含まれているかを検出することで行ってもよい。また、音源データ内にセリフ等の音声データが含まれる場合には、音声認識を行って文字列に起こし、当該文字列内に特定音に含まれるセリフ等の音声と同一の音声があるか検出してもよい。特定音検出処理が開始されると、ステップS3において、特定音を検出したか否かが判定される(ステップS3)。この判定は、上記検出処理において、特定音が検出されたか否かを判定することで行われてもよい。
【0033】
特定音検出部17は、ステップS3において、特定音を検出したと判定する(ステップS3:YES)と、当該検出した特定音の位置情報を音源記憶部13に保存する(ステップS4)。この特定音の位置情報は、上述のように、例えば、特定音が含まれる音源データ名、特定音が含まれる楽曲の名前(楽曲名)及び当該楽曲内での特定音の開始時点及び終了時点が含まれる。
【0034】
特定音検出部17は、ステップS3において特定音を検出しなかったと判定する(ステップS3:NO)かまたはステップS4の実行後、再生されている音源データが最後まで再生されたか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、再生されている音源データの最後まで、特定音の検出処理が行われたか否かを判定する。この判定は、例えば、音源データの最後を示すデータを受信したか否か、または音源データ読込再生部11から音源再生データ(または信号)が未だに到来しているか否かを判定することで行われてもよい。
【0035】
特定音検出部17は、ステップS5において、音源データが最後まで再生されていないと判定する(ステップS5;NO)と、特定音検出処理を継続し、ステップS3を再度実行する。
【0036】
特定音検出部17は、ステップS5において、音源データが最後まで再生されたと判定する(ステップS5:YES)と、特定音検出処理を終了し(ステップS6)、その後、ルーチンは終了する。
[再生制御ルーチン1]
以下に、制御部19において実行される、音源記憶部13に保存された音源データを再生する際のルーチンについて説明する。
図3に、1または複数の楽曲を含む音源データを再生する際のルーチンの一例として再生処理ルーチンR2を示す。再生処理ルーチンR2は、特定音を含む楽曲を再生しない場合のルーチンの一例である。再生処理ルーチンR2は、例えば、再生制御装置10に電源が供給された際に開始する。
【0037】
ルーチンR2が開始されると、制御部19は、再生開始操作を受け付けたかを判定する(ステップS1)。この判定は、例えば、操作表示部Dにおいて、ユーザからの再生開始操作を受け付けたか否かを判定することで行われてもよい。
【0038】
制御部19が、ステップS1において再生開始操作を受けていないと判定する(ステップS1:NO)と、その後ルーチンは終了する。制御部19は、ステップS1において再生開始操作を受け付けたと判定する(ステップS1:YES)と、音源記憶部13に保存されている音源データの再生処理を開始する(ステップS2)。
【0039】
制御部19は、ステップS2の実行後、再生しようとする楽曲が、特定音が含まれる楽曲か否かを判定する。この判定は、音源記憶部13に保存されている特定音検出情報であって、現在再生されている再生データに対応する特定音検出情報を参照することで行われてもよい。
【0040】
制御部19は、ステップS3において、再生しようとする楽曲が、特定音が含まれる楽曲であると判定する(ステップS3:YES)と、当該楽曲を再生せず、当該楽曲が音源データ内の最後の楽曲か否かを判定する(ステップS4)。すなわち、音源データ内にまだ再生されていない楽曲があるか否かを判定する。この判定は、例えば、音源データの保存時に作成されて音源データと共に音源記憶部13に記憶される楽曲リストを参照して行われてもよい。
【0041】
ステップS4において、制御部19が再生しようとしていた楽曲が最後の楽曲であると判定する(ステップS4:YES)と、制御部19は再生処理を終了し(ステップS5)、その後ルーチンは終了する。
【0042】
ステップS4において、制御部19が再生しようとしていた楽曲が最後の楽曲ではないと判定する(ステップS4:NO)と、制御部19は、次に再生すべき楽曲を検索し(ステップS6)、その後、当該次に再生すべき楽曲についてステップS3が再度実行される。
【0043】
ステップS3において、制御部11は、再生しようとする楽曲が、特定音が含まれる楽曲ではないと判定する(ステップS3:NO)と、当該楽曲を再生する(ステップS7)。
【0044】
制御部11は、ステップS7の実行後、当該再生している楽曲が終了したか否かを判定する(ステップS8)。制御部11は、ステップS8において、再生している楽曲が終了していないと判定する(ステップS8:NO)と、楽曲の再生を継続し、例えば一定時間経過後に再度ステップS8を実行する。
【0045】
制御部11は、ステップS8において、再生している楽曲が終了したと判定すると、ステップS4を実行し、再生していた楽曲が音源データ内の最後の楽曲か否かを判定する。
[再生制御ルーチン2]
以下に、制御部19において実行される、音源記憶部13に保存された音源データを再生する際ルーチンについて説明する。
図4に、1または複数の楽曲を含む音源データを再生する際ルーチンの一例として再生処理ルーチンR3を示す。再生処理ルーチンR3は、楽曲内の特定音を含む部分の音を消して再生する場合のルーチンの一例である。再生処理ルーチンR3は、例えば、再生制御装置10に電源が供給された際に開始する。
【0046】
ルーチンR3が開始されると、制御部19は、再生開始操作を受け付けたかを判定する(ステップS1)。この判定は、例えば、操作表示部Dにおいて、ユーザからの再生開始操作を受け付けたか否かを判定することで行われてもよい。
【0047】
制御部19が、ステップS1において再生開始操作を受けていないと判定する(ステップS1:NO)と、その後ルーチンは終了する。制御部19は、ステップS1において再生開始操作を受け付けたと判定する(ステップS1:YES)と、音源記憶部13に保存されている音源データの再生処理を開始する(ステップS2)。
【0048】
制御部19は、ステップS2を実行した後、再生を終了するか否かを判定する(ステップS3)。この判定は、例えば、操作表示部Dにおいて、ユーザから再生終了(再生停止)操作を受け付けたか否かを判定することで行われてもよい。また、例えば、この判定は、再生されている音源の最後まで再生し終わったか否かを判定することで行われてもよい。
【0049】
制御部19が再生を終了すると判定する(ステップS3:YES)と、その後ルーチンは終了する。制御部19は、再生を終了しないと判定する(ステップS3:NO)と、現在の再生時点が特定音部分、すなわち特定音が含まれている部分の始点か否かを判定する(ステップS4)。すなわち、特定音部分が開始したか否かを判定する。制御部19は、現在の再生時点が特定音部分の始点ではないと判定する(ステップS4)と、再度ステップS3を実行して、再生を終了するか否かを判定する。
【0050】
制御部19は、現在の再生時点が特定音部分の始点であると判定する(ステップS4:YES)と、再生されている音源の音響信号の出力を停止するかまたは音響信号の音量をミュート(0に)する(ステップS5)。すなわち、スピーカーSから音が出ないように音響信号の出力を制御する。
【0051】
なお、特定音部分を再生する際に音量を小さくする等の音量調整をして音響信号の出力を行ってもよい。また、特定音部分の音に音響効果を加える等の加工を行い、ユーザに影響を与えない音に変化させて出力を行ってもよい。すなわち、制御部19は、特定音が音源内から検出された場合、特定音を含む部分に音響処理を施してもよい。
【0052】
例えば、サイレン等の特定音部分の音をユーザが驚かないようなまたはユーザの耳障りに鳴らないような音となるように、周波数成分を変更することとしてもよい。
【0053】
制御部19は、ステップS5を実行した後、現在の再生時点が特定音部分の終点であるか否かを判定する(ステップS6)。すなわち、特定音部分が終了したか否かを判定する。制御部19は、現在の再生時点が特定音部分の終点ではないと判定する(ステップS6:NO)と、特定音部分の終点が到来するまで繰り返しステップS6を実行する。
【0054】
制御部19は、現在の再生時点が特定音部分の終点であると判定する(ステップS6:YES)と、ミュートを解除して(ステップS7)、再度ステップS3を実行する。
【0055】
本実施例の再生制御装置によれば、音源内に聞いている人を混乱させるかもしくは不快にさせる恐れがある音、または音声認識入力に対応した機器が誤作動する恐れがある音等である特定音が含まれている場合に、スピーカー等から当該特定音が発せられることを防止することが可能である。
【0056】
これにより、音源を聞いているユーザが、混乱したり不快になったりすることを未然に防ぐことが可能である。また、音源の再生時に当該音源の再生音が出力されるスピーカーの近傍においてある音声認識入力に対応した機器が誤作動することを防止することが可能である。
[他の実施例等]
-音源データを読み込みつつの再生
上記実施例においては、外部から音源データを読み込んで、当該読み込んだ音源全体を一旦音源記憶部13に保存し、その後に当該保存された音源を再生して、再生音の音響信号をスピーカーSに出力する場合を例に説明した。しかし、外部からの音源データを読み込んで、当該読み込んだ音源記憶部13に保存しながら音源を再生して、再生音の音響信号をスピーカーSに出力する場合もあり得る。
【0057】
この場合、音源データ読込再生部11から読み込まれた音源データは、所定長さ分音源記憶部13でバッファされて、当該バッファ部分について特定音検出部17による特定音の検出及び特定音検出情報の保存が行われる。その後、制御部19は、当該バッファ部分の音源データ及び当該バッファ部分の特定音検出情報に基づいて、上述した再生制御ルーチンR2またはR3のような再生制御を行い、特定音を除外しつつの音源再生及び再生音の音響信号の出力を行ってもよい。
【0058】
この際、上記所定長さ分のバッファが及び特定音の検出が終了すると、さらに次の所定長さ分のバッファ及び特定音の検出が行われ、これが音源の最後に至るまで繰り返される。なお、読み込まれた音源データを音源記憶部13に保存しておく必要がない場合には、バッファ部分が制御部19によって再生されると、当該バッファ部分はその後削除されることとしてもよい。また、バッファ部分の単位は、所定長さ単位であってもよいし、楽曲単位であってもよい。
-楽曲リスト
制御部19は、音源データを再生する際に、当該再生される音源データに含まれる楽曲のリストである楽曲リストを操作表示部D表示させてもよい。
図5に、楽曲リスト画面表示の一例を示す。
図5に示すように、楽曲リストにおいては、楽曲(トラック)が再生される順に上から下に並べられて表示され得る。この表示において、例えば、トラック3に特定音が含まれる場合には、そのことを、トラック3を網掛け表示とすることで操作表示部Dを介してユーザに告知してもよい。
【0059】
なお、上述のように、外部からの音源データを読み込んで、当該読み込んだ音源記憶部13に保存しながら音源を再生して、再生音の音響信号をスピーカーSに出力する場合には、再生開始の際には音源に含まれる楽曲の一部しか特定音の有無が判明していない。このような場合には、楽曲に特定音が含まれることが判明し次第、当該楽曲の表示を網掛け表示とすることで、特定音が含まれることをユーザに告知してもよい。
-特定音の追加
上記実施例においては、特定音記憶部15が外部データベースDBの情報に基づいて特定音を更新可能である場合を例に説明したが、再生制御装置10においてユーザからの入力で特定音を追加可能であってもよい。
【0060】
例えば、制御部11に接続されているマイク(図示せず)を介してユーザが音を入力して、当該音を特定音として特定音記憶部15に保存可能としてもよい。例えば、このように入力される音としては、ユーザの携帯電話やスマートフォンなどの着信音等が例としてあげられる。
【0061】
また、音源データを再生している際に、再生音を聞いているユーザが、混乱するまたは不快だと思う部分があった場合に、ユーザがその部分を切り取って、当該切り取った部分を特定音として特定音記憶部15に保存可能としてもよい。このようにする場合のユーザインタフェース画面の例を
図6に示す。
【0062】
図6に示すように、操作表示部Dに表示されるユーザインタフェース画面(特定音登録画面)には、例えば、楽曲のタイトル及びアーティスト名が表示される楽曲表示部31が含まれる。また、ユーザインタフェース画面には、「再生ボタン」、「一時停止ボタン」及び「停止ボタン」が表示されている操作ボタン表示部33が含まれる。また、ユーザインタフェース画面には、楽曲の開始からの経過時間が表示されている経過時間表示部35、並びに楽曲全体の時間を示すシークバー37及び再生時間の経過と共にシークバー37に沿って移動するスライダ37Aが含まれる。また、ユーザが特定音として保存したい部分の切り出し操作をする際に用いられる、切り出しボタン39も含まれる。
【0063】
ユーザによる特定音の切り出しは、例えば、音源を再生中、特定音として切り出したい音が鳴り終わった際に、すなわち特定音の終点において、切り出しボタン39を押すことで行われてもよい。この場合、例えば、切り出しボタンを押している間、音源が早戻しされ、ユーザが特定音として切り出したい音の始点において切り出しボタンを放すことで、当該部分を特定音として保存することが可能である。
【0064】
また、単に、特定音として保存したい音の始点においてユーザが切り出しボタン39を押し、当該音の終点においてユーザが再度切り出しボタン39を押すことで、当該始点と終点の間の音が特定音として保存されることとしてもよい。
【0065】
また、ユーザによって保存された特定音を、外部データベースDBにアップロード可能とし、当該特定音を複数のユーザで共有可能としてもよい。
-クラウド化
上記実施例においては、再生制御装置10内に、特定音記憶部15及び特定音検出部17が含まれている例について説明したが、特定音記憶部15または特定音検出部17が外部のサーバ等に設けられていてもよい。
【0066】
この場合、音源データ読込再生部11において読み込まれて再生される音源データが、当該外部サーバに送信され、外部サーバにおいて、特定音検出部による特定音の検出が行われることとしてもよい。そして、その検出結果が再生制御装置10に送信されて、音源記憶部13に保存されることとしてもよい。すなわち、上述の実施例において説明した再生制御装置10内の機能部のうちの1または複数は、再生制御装置10外に設けられていても良く、上述した機能部が全体として再生制御システムを構築していてもよい。
【0067】
このようにすることで、再生制御装置10において行われる処理が少なくなり、再生制御装置10の簡略化、必要スペック要求の低減、及び消費電力の低減を達成することが可能である。
【0068】
上述した実施例における種々の構成、ルーチン等は例示に過ぎず、用途等に応じて適宜選択または組み合わせることができる。