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  • 特開-粉体充填ホッパの制御方法 図1
  • 特開-粉体充填ホッパの制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109939
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】粉体充填ホッパの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/18 20060101AFI20240806BHJP
   B65B 3/28 20060101ALI20240806BHJP
   B65B 39/00 20060101ALI20240806BHJP
   B65B 39/04 20060101ALI20240806BHJP
   B65B 37/10 20060101ALN20240806BHJP
   B65B 1/12 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
B65B3/18
B65B3/28
B65B39/00 A
B65B39/04
B65B37/10
B65B1/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024088015
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2020087186の分割
【原出願日】2020-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】砂田 徹
(72)【発明者】
【氏名】原田 史紀
(72)【発明者】
【氏名】檀上 豊
(72)【発明者】
【氏名】森 英二
(57)【要約】      (修正有)
【課題】粉体の飛散が少なく、しかも外表面に粉塵の付着も少ない粉体充填ホッパの制御方法を提供する。
【解決手段】粉体充填ホッパAを下降させ、充填口3の下端部の突出口3aは、粉体が充填できるよう包装袋10内に位置し、吸引口S3は、包装袋の袋口の開口部上方に位置するように設定するステップと、弁機構の弁を全開にして吸気量を最大にし、吸引口から外気を吸引すると共に包装袋内の発塵した粉塵を吸引しながら包装袋に充填口から粉体を予定充填量手前まで充填するステップと、粉体が予定充填量手前まで充填されると、弁機構の弁を絞って、充填口からの粉体が発塵しない程度に少量ずつ予定充填量まで粉体を充填するステップと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の上部に粉体を充填する充填機構を備え、前記本体部の下部のテーパ部に粉体を吐出する充填口を備えた漏斗状のホッパ本体と、前記ホッパ本体のテーパ部と突出口を除いた充填口を外部から覆うカバー体と、前記カバー体とテーパ部との間の隙間と前記カバー体と充填口との間のエアー通路とを連通させ、前記エアー通路の下端の吸引口からエアーを吸引するためのエアー吸引管と、前記エアー吸引管に取り付けられ、前記吸引口からの吸気量を調整する弁機構と、を備え、ロードセル等の計量器で粉体を計量しながら充填する粉体充填ホッパの制御方法であって、
粉体を充填するための包装袋を前記ロードセル等の計量器に持ち替えるステップと、
前記充填口の下端部の突出口は、粉体が充填できるよう包装袋内に位置し、エアー通路の下端の前記吸引口は、包装袋の袋口の開口部上方に位置するように設定するステップと、
前記吸気量を調整する弁機構の弁を全開にして吸気量を最大にし、前記吸引口から外気を吸引すると共に包装袋内の発塵した粉塵を吸引しながら前記包装袋に充填口から粉体を予定充填量手前まで充填するステップと、
粉体が予定充填量手前まで充填されると、前記弁機構の弁を絞って、充填口からの粉体が発塵しない程度に少量ずつ予定充填量まで粉体を充填するステップと、
を有することを特徴とする特徴とする粉体充填ホッパの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を充填するための粉体充填ホッパの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に粉体を充填するホッパは、作動時に粉塵が発生してホッパ周囲の作業環境を悪くし、さらには粉塵が装置に付着して装置の機能に悪影響を及ぼすことがある。
【0003】
従って、このようなホッパには、粉塵を集塵するための集塵装置が一体に設けられている。例えば、特許文献1のように、粉体落下管の下端部に設けられたダンパーにより落下した粉体を一旦受けた後、前記ダンパーを開いて、漏斗状のホッパ(特許文献1では粉体シュート)の下部から容器内に粉体を落下供給している。この時、粉塵が周囲に飛散しないように、前記粉体シュートの下部外周をスカート状の筒で覆い、容器から飛散した粉体を、吸引パイプを介して、前記スカート状の筒内に飛散する粉塵を吸引除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3005326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1では、箱状の容器に粉体を落下供給するので問題はないが、プラスチックフィルム製の包装袋に粉体を充填する場合に、粉塵を吸引する前記スカート状の筒が邪魔になることがある。即ち、前記プラスチックフィルム製の包装袋の場合、袋口を開口するために、棒状のヘラを袋口に挿入して開口を維持しなければならないが、前記ヘラがスカート状の筒と干渉しないようにするためには、スカート状の筒を短く設計変更をしなければならない。さらに、袋口から飛散した粉塵を上方で吸引するために筒の径を大きくすると共に、集塵風量を強くしなければならない。
【0006】
しかし、前記スカート状の筒を短くすると、落下供給した粉体を包装袋に導く漏斗状の粉体シュートの広い下部外周面に粉体が付着する。しかも、粉体の帯電浮遊もあり、大量の粉体が付着する。その大量に付着した粉体の付着物が剥離落下することにより、計量オーバーになり、しかも付着物が落下する際に、袋口に粉体が付着してシール不良をきたすおそれがあった。
【0007】
本発明は前記のような課題を解決するためになされたもので、粉体の飛散が少なく、しかも外表面に粉塵の付着も少ない粉体充填ホッパの制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
粉体充填ホッパの制御方法は、本体部の上部に粉体を充填する充填機構を備え、前記本体部の下部のテーパ部に粉体を吐出する充填口を備えた漏斗状のホッパ本体と、前記ホッパ本体のテーパ部と突出口を除いた充填口を外部から覆うカバー体と、前記カバー体とテーパ部との間の隙間と前記カバー体と充填口との間のエアー通路とを連通させ、前記エアー通路の下端の吸引口からエアーを吸引するためのエアー吸引管と、前記エアー吸引管に取り付けられ、前記吸引口からの吸気量を調整する弁機構と、を備え、ロードセル等の計量器で粉体を計量しながら充填する粉体充填ホッパの制御方法であって、
粉体を充填するための包装袋を前記ロードセル等の計量器に持ち替えるステップと、前記充填口の下端部の突出口は、粉体が充填できるよう包装袋内に位置し、エアー通路の下端の前記吸引口は、包装袋の袋口の開口部上方に位置するように設定するステップと、前記吸気量を調整する弁機構の弁を全開にして吸気量を最大にし、前記吸引口から外気を吸引すると共に包装袋内の発塵した粉塵を吸引しながら前記包装袋に充填口から粉体を予定充填量手前まで充填するステップと、粉体が予定充填量手前まで充填されると、前記弁機構の弁を絞って、充填口からの粉体が発塵しない程度に少量ずつ予定充填量まで粉体を充填するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の粉体充填ホッパの制御方法は、前記構成により、粉体を予定充填量手前まで充填した後、包装袋内に粉体を充填しながら計量する場合、弁機構の弁を絞って充填口から粉体を少量ずつ予定充填量まで充填すれば、吸引口からの粉塵の吸引に伴う風の影響が少なく、計量器の重量検知に影響を与えることが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の粉体充填ホッパの正面図
図2】本発明の粉体充填ホッパの側面図
図3】本発明の粉体充填ホッパの平面図
図4】本発明の粉体充填ホッパの吸引管の要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の粉体充填ホッパAは、本体部1の上部に粉体を充填する充填機構(例えば、オーガ)Bを備え、前記本体部1の下部のテーパ部2に粉体を吐出する充填口3を備えた漏斗状のホッパ本体4と、前記ホッパ本体4のテーパ部2と充填口3とを外部から覆い、前記テーパ部2との間に空隙S1が形成され、前記充填口3との間には前記空隙S1と連通する狭いエアー通路S2が形成され、前記充填口3の突出口3aが下部から突出したカバー体5と、前記テーパ部2との間の空隙S1や充填口3との間のエアー通路S2と連通し、前記エアー通路S2の下端の吸引口S3からエアーを吸引するエアー吸引管6と、を備える。
【0012】
前記ホッパ本体4の本体部1は、円筒形状をしており、上部天板に充填機構であるオーガBが取り付けられている。前記オーガBは、図示していないが内部に回転するスクリューが設けられ、下端部に受皿7が取り付けられている。前記スクリューが回転して粉体を下部に送り、受皿7からホッパ本体4内に落下させる。なお、オーガBは、ホッパ本体4のテーパ部2まで垂下している。
【0013】
前記本体部1の下部にテーパ部2が設けられ、このテーパ部2の下部に狭径で筒状の充填口3が設けられている。ホッパ本体4は、前記本体部1とテーパ部2と充填口3から構成され、全体は漏斗状をしている。
【0014】
前記テーパ部2と充填口3とを外部からカバー体5が覆っている。ホッパ本体4のテーパ部2は、短寸の上筒51と逆円錐台形状部52とで覆われており、テーパ部2外面と、上筒51及び逆円錐台形状部52との間は、断面が三角形状の広い空隙S1が開けられている。充填口3は、突出口3aを除き、外周を充填口3と同心の筒状の下部筒53で覆われている。従って、充填口3とカバー体5との間は狭いエアー通路S2が形成され、このエアー通路S2と前記空隙S1とは連通している。
【0015】
前記空隙S1にエアー吸引管6が接続しており、図示しない真空吸引装置により空隙S1内のエアーが吸引される。空隙S1内のエアーが吸引されると、空隙S1と連通するエアー通路S2を介して、エアー通路S2下端部の吸引口S3から外気(エアー)を吸引すると共に、発塵した粉塵を吸引する。広い空隙S1から狭いエアー通路S2を介して外気を吸引するので、吸引速度は速くなり吸引力も強くなる。
【0016】
前記のように充填口3の突出口3aは、カバー体5の下部筒53から僅かに突出している。粉体充填ホッパAから粉体を充填する場合、下部筒53から突出した突出口3aが包装袋10内に位置するようにし、下部筒53の下端の吸引口S3が包装袋10の袋口の開口上方に位置するように設定する。包装袋10内で発塵した粉塵は吸引口S3から強力に吸引される。
【0017】
前記吸引口S3により、粉塵が強力に吸引されるので、充填口3の下端部の突出口3aの外面に付着する粉体の付着物も少なくなり、仮に付着物が付着しても突出口3aの面積が小さいため、付着物が剥離して包装袋10内の落下による計量ミスを最小限に押さえることができる。しかも、袋口の内面に粉体が付着して袋口のシール不良の発生を最小限に押さえることができる。
【0018】
前記カバー体5は、ホッパ本体4に着脱自在に構成さており、作業終了後にカバー体5とホッパ本体4とを連結する連結具(図示せず)をはずし、カバー体5を取り外して容易に清掃できるような構造になっている。なお、エアー吸引管6を接続する接続部5Aがカバー体5の上部の対称位置に一体に取り付けられ、この接続部5Aにエアー吸引管6が接続している。
【0019】
図4に示すように、前記吸引管6の途中には、外気(エアー)の吸気量を調整する弁機構(バタフライ弁9A、アクチュエータ9B)9が設けられ、吸引口S3から吸引する空気量を調整できる。図4の符号9Bはバタフライ弁9Aを操作するアクチュエータを示し、図示していない制御装置によりバタフライ弁9Aの弁開度を制御する。9Cは手動式の操作ハンドルを示す。
【0020】
次に、この粉体充填ホッパAの非計量時の使用方法の一例を説明する。
包装袋10の上部両側を給袋包装機のクランプ11により挟持する。給袋包装機の充填セクションの手前から、包装袋10の袋口をヘラ12により大きく広げる。
【0021】
給袋包装機の充填セクションの上部に配置されている粉体充填ホッパAを昇降機構により下降させ、下部筒53から突出した突出口3aが包装袋10内に位置するようにし、エアー通路S2の下端の吸引口S3が包装袋10の袋口の開口上方に位置するように操作する。なお、カバー体5の下部筒53と充填口3の突出口3aは径も小さく、ヘラ12との干渉も起きない。
【0022】
オーガBを作動して受皿7から粉体をホッパ本体4に供給を開始すると同時に、弁機構9の弁(バタフライ弁9A)を全開にしてエアー吸引管6からエアーを吸引する。ホッパ本体4に落下供給された粉体は充填口3から包装袋10内に落下供給される。落下供給に伴う発塵した粉塵はカバー体5の下端部の吸引口S3から吸引され、エアー通路S2、空隙S1、エアー吸引管6を経て図示しない集塵機で集塵される。オーガBのスクリューが所定の回転数に達すれば充填は終了し、粉体が充填された包装袋10は次のセクションに搬送される。
【0023】
次に粉体を計量充填する場合の粉体充填ホッパAの制御方法について説明する。前記の充填方法では、クランプ11により包装袋10を挟持したまま、粉体を投入供給したが、計量充填する場合は、給袋包装機の充填セクションで、包装袋10をクランプ11からロードセル等の計量器(図示しない)に持ち替える。
【0024】
計量器に持ち替えられた包装袋10の袋口はヘラ12により開いておく。前記の充填方法と同様、給袋包装機の充填セクションの上部に配置されている粉体充填ホッパAを昇降機構により下降させ、下部筒53から突出した突出口3aが包装袋10内に位置するようにし、下部筒53の下端の吸引口S3が包装袋10の袋口の開口上方に位置するように操作する。粉体充填ホッパAがセットされると前記のヘラ12は退避する。
【0025】
前記吸気量を調整する弁機構9の弁を全開にして吸気量を最大にしながら、計量器に持ち替えられた前記包装袋10に充填口3から粉体を予定充填量手前まで充填する。前記の充填方法と同様、ホッパ本体4から落下供給された粉体は充填口3から包装袋10内に落下供給され、落下供給に伴う発塵した粉塵はカバー体5の下端部の吸引口S3から吸引され、エアー通路S2、空隙S1、エアー吸引管6を経て集塵機で集塵される。
【0026】
計量器が粉体を予定充填量手前まで充填されたと計量すると、吸引口S3からの外気の吸引により、計量器の重量検知に影響を与えないよう前記弁機構9の弁を絞ると共に、オーガBの出力を絞り、充填口3からの粉体の充填を少量ずつとし、予定充填量まで正確に充填する。
【0027】
計量器による計量の際、充填口3の突出口3aが包装袋10内に位置し、カバー体5の下部の吸引口が包装袋10の袋口の開口部上方に位置するので、包装袋10内には吸引による風の影響が少なくなる。このため、正確な計量が達成できる。
【0028】
正確に粉体が包装袋10内に充填された後は、計量器から前記クランプ11に包装袋10が持ち替えられ次のステップに搬送される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、発塵して粉塵が飛散する粉体を包装袋に充填する場合の粉体充填ホッパに広く応用可能である。
【符号の説明】
【0030】
A 粉体充填ホッパ
B 充填機構(オーガ)
1 本体部
2 テーパ部
3 充填口
3a 突出口
4 ホッパ本体
5 カバー体
5A 接続部
51 上筒
52 逆円錐台形状部
53 下部筒
6 エアー吸引管
7 受皿
9 弁機構
9A バタフライ弁
9B アクチュエータ
9C 操作ハンドル
10 包装袋
11 クランプ
12 ヘラ
S1 空隙
S2 エアー通路
S3 吸引口
図1
図2
図3
図4