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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024109974
(43)【公開日】2024-08-14
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/11 20060101AFI20240806BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240806BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
H04M1/11 C
B60R11/02 W
H05K5/02 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090019
(22)【出願日】2024-06-03
(62)【分割の表示】P 2022108226の分割
【原出願日】2018-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2017109387
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 崇史
(72)【発明者】
【氏名】重田 浩典
(72)【発明者】
【氏名】松村 博史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被保持物によって背面側の機器が隠れることを抑制する保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置1において、保持機構10がスマートフォン5の画面の面直方向に沿った回動軸から離れた位置まで移動可能であることで、所定幅を有するスマートフォン5を保持した際に、挟持方向におけるスマートフォン5の中央部と、スマートフォン5の画面の面直方向に沿った回動軸と、が略一致し、チルト部12の保持部を回動させてスマートフォン5の向きを変更する際に、スマートフォン5が車幅方向(左右方向)や上下方向に移動しにくく、保持機構10側においても背面側に設けられた機器が隠れにくい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保持物を保持する保持機構と、該保持機構を取付対象に取り付ける装置本体と、を備えた保持装置であって、
保持機構は、前記装置本体に突没スライド自在に支持されるスライド部と、起立角度を変更可能なように前記スライド部に支持されるチルト部と、を備え、
前記チルト部は、互いに近づくように付勢されて前記被保持物を挟持する一対の挟持部を有し、突没スライド方向に沿うように倒れた際に、挟持方向と突没スライド方向とが一致し、前記装置本体に収納されることを特徴とする保持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画面を有する被保持物を保持する保持機構として、車両にスマートフォン等の携帯機器を設置するための携帯機器ホルダが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された従来の携帯機器ホルダは、ダッシュボードに装着される取付部と、取付部から延びるアーム部と、アーム部の先端に設けられて携帯機器を保持する保持部と、を備え、保持部が回動することにより、携帯機器の向きが変更可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-256240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の携帯機器ホルダでは、弾性突起を有する一対の挟持アームによって携帯機器を挟み込んでいる。このとき、様々なサイズの携帯機器に対応させるために、一対の挟持アームを移動可能にするとともに、一対の挟持アームを互いに近づけるように付勢する構成が考えられる。このような構成では、両方の挟持アームが移動するため、携帯機器の中央部と回動中心とを一致させることができるものの、サイズの大きい携帯機器を保持した際に、その背面側に配置された表示機器等の機器が隠れてしまう可能性がある。
【0005】
したがって、本発明の課題は、被保持物によって背面側の機器が隠れることを抑制することができる保持装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の保持装置は、被保持物を保持する保持機構と、該保持機構を取付対象に取り付ける装置本体と、を備えた保持装置であって、保持機構は、前記装置本体に突没スライド自在に支持されるスライド部と、起立角度を変更可能なように前記スライド部に支持されるチルト部と、を備え、前記チルト部は、互いに近づくように付勢されて前記被保持物を挟持する一対の挟持部を有し、突没スライド方向に沿うように倒れた際に、挟持方向と突没スライド方向とが一致し、前記装置本体に収納されることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例に係る保持装置を示す正面図である。
図2】前記保持装置に被保持物を保持させた様子を示す斜視図である。
図3】前記保持装置を示す分解斜視図である。
図4】前記保持装置の動作を示す斜視図である。
図5】前記保持装置の保持機構を示す正面図である。
図6】前記保持機構の保持部を回動させた様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の実施形態に係る保持機構は、長方形板状の被保持物を短辺方向から挟持する保持部と、保持部を回動自在に支持する基部と、を備える。保持部は、被保持物の背面に位置する保持板部と、保持板部の一辺に配置された固定挟持部と、固定挟持部に近づくように付勢された移動挟持部と、を有する。移動挟持部は、非挟持状態において固定挟持部よりも保持部の回動中心の近くに配置され、固定挟持部よりも回動中心から離れた位置まで移動可能である。
【0009】
固定挟持部と移動挟持部とによって被保持物を挟持することで、挟持方向寸法の大きい被保持物を挟持しても、固定挟持部が移動せず、被保持物の背面側且つ固定挟持部側に設けられた機器が被保持物によって隠れにくい。また、移動挟持部が固定挟持部よりも回動中心から離れた位置まで移動可能であることで、所定の挟持方向寸法(固定挟持部と回動中心との間の距離の2倍)を有する被保持物を保持した際に、挟持方向における被保持物の中央部と、回動中心と、が略一致する。従って、保持部を回動させて被保持物の向きを変更する際に、被保持物が左右方向や上下方向に移動しにくい。また、非挟持状態において移動挟持部が固定挟持部よりも回動中心の近くに配置されていることで、上記の所定の挟持方向寸法以下の幅を有する被保持物を保持した際に、移動挟持部側において背面側に設けられた機器が隠れにくい。尚、「固定挟持部」とは、挟持方向において移動不能であることを意味し、他の方向には移動可能であってもよい。
【0010】
保持部の回動中心は、水平方向において基部の中央部に配置され、固定挟持部は、被保持物を水平方向から挟持する際に、基部における水平方向の一方側の端縁に重なるように配置されていることが好ましい。それにより、被保持物を縦向きに保持する際に、一方側において被保持物によって背面側の機器が隠れにくい。さらに、基部と同程度の幅を有する被保持物を縦向きに保持する際に、移動挟持部が基部の他方側の端縁に重なる。従って、水平方向の両側において基部と被保持物との端縁同士が揃い、意匠性を向上させることができる。
【0011】
固定挟持部は、被保持物を上下方向から挟持する際に、基部の下端又は上端と略同一高さに配置されていることが好ましい。それにより、被保持物の一辺を基部の下端又は上端に沿って配置することができ、基部より下方又は上方に配置された機器が被保持物によって隠れにくい。
【0012】
保持部の回動中心は、挟持方向との直交方向において、保持板部の中央部に配置されるとともに、挟持方向において、保持板部の直交方向寸法の半分以上、固定挟持部から離れていることが好ましい。それにより、上下方向から被保持物を挟持した保持部を、水平方向から挟持する状態となるように回動させる際、固定挟持部が上方に向かって移動する場合には、回動後の保持板部の下端が回動前の固定挟持部よりも下方に位置しない。また、回動時に固定挟持部が下方に向かって移動する場合には、回動後の保持板部の上端が回動前の固定挟持部よりも上方に位置しない。従って、保持板部の下方又は上方に配置された機器が保持板部によって隠れにくい。
【0013】
固定挟持部及び移動挟持部のうち少なくとも一方は、被保持物の端縁に沿ってスライド自在に設けられた複数の当接部を有することが好ましい。それにより、被保持物の寸法に応じて当接部をスライドさせることにより、被保持物を安定して挟持させることができる。
【0014】
保持部は、被保持物として携帯機器を保持してもよい。尚、ここにいう携帯機器とは、使用者によって携帯される電子機器であって、スマートフォンやタブレット端末やゲーム機器等が一例として挙げられる。
【0015】
本発明の実施形態に係る保持装置は、保持機構と、保持機構を取付対象に取り付けるための装置本体と、を備えた保持装置である。保持機構は、装置本体に突没スライド自在に支持されるスライド部を備え、基部は、保持部の起立角度を変更可能なようにスライド部に支持される。基部は、突没スライド方向に沿うように倒れた際に、挟持方向と突没スライド方向とが一致して装置本体に収納されてもよいし、挟持方向と突没スライド方向とが直交して装置本体に収納されてもよい。
【0016】
保持装置は、車両のインストルメントパネルに設けられてもよい。
【実施例0017】
以下、本発明の実施例について図を参照して具体的に説明する。本実施例の保持装置は、車載機器であって、車両の運転席におけるインストルメントパネルに搭載されて使用される。また、本実施例の保持装置は、保持対象の長方形板状の被保持物として、携帯機器の一例であるスマートフォンを保持する。
【0018】
本実施例の保持装置1は、図1~3に示すように、スマートフォン5の保持機構10と、インストルメントパネルに搭載される矩形箱状の装置本体20と、を備えている。
【0019】
保持機構10は、装置本体20に突没自在に保持される。また、保持機構10は、装置本体20に、突没スライド自在に支持されるスライド部11と、このスライド部11に軸支されてスマートフォン5を保持するチルト部12と、を備えている。保持機構10は、スマートフォン5を保持させる際には、装置本体20から図3に示されている突没方向D11における突出方向D111にスライド部11が引き出され、チルト部12が図2示されている回動方向D12における起立方向D121に立てられる。チルト部12は、後述するように基部3及び保持部4を有しており、保持部4の起立角度を変更可能なようにスライド部11に支持されている。そして、この立てられたチルト部12にスマートフォン5を保持させるように構成されている。
【0020】
装置本体20は、矩形箱状の装置本体20における上壁と一対の側壁とをなす上シャーシ21と、下壁をなす下シャーシ22と、を備えている。上述の保持機構10のスライド部11は、上シャーシ21の上壁に突没スライド自在に支持されている。下シャーシ22には、矩形箱状の装置本体20における背面側の一端辺に、この装置本体20における背面壁をなす長方形状の背面基板221が立設されている。この背面基板221には、外部機器との各種接続コネクタや、スマートフォン5との間で、例えばブルートゥース(登録商標)規格等に則った短距離通信を行うためのアンテナ等が搭載されている。また、下シャーシ22の内面には、背面基板221と電気的に接続された内面基板222が取り付けられている。
【0021】
また、装置本体20は、装置本体20における正面壁をなして使用者インタフェースの役割を担う長方形板状の着脱可能なフロントパネル部23と、このフロントパネル部23を着脱自在、かつ、回動自在に保持するパネル部24と、を備えている。パネル部24は、上シャーシ21及び下シャーシ22に固定される。このパネル部24は、上シャーシ21に支持される保持機構10と干渉しないように切欠きが設けられた形状に形成されている。フロントパネル部23の長手方向の両端には、回動軸をなす一対の軸突起231が設けられ、これら一対の軸突起231が、パネル部24における一対の保持アーム241に、着脱自在かつ回動自在に保持される。
【0022】
本実施例の保持装置1では、上シャーシ21に支持される保持機構10と、パネル部24と、のそれぞれが、下シャーシ22の内面基板222に、ケーブル223で電気的に接続されている。本実施例では、図2に示されているように保持されたスマートフォン5に対するタッチ操作や、フロントパネル部23に対するボタン操作により、例えばスマートフォン5の画面上への地図情報の表示や、車載オーディオ機器からの音楽の再生等を行うことができる。また、保持したスマートフォン5に対する充電を、保持機構10と内面基板222とを繋ぐケーブル223と、スマートフォン5から延伸して保持機構10に接続した充電ケーブルと、を介して行うこともできる。
【0023】
以上に説明した保持装置1には、次のような手順によってスマートフォン5を保持させる。
【0024】
図4は、図1図3に示されている保持装置にスマートフォンを保持させるための一例の手順を示す模式図である。尚、この図4では、図を見易くするために、装置本体20については、上シャーシ21のみが示されている。以下に説明する手順は、使用者の手作業によって行われる。
【0025】
まず、ステップS11及びステップS12において、装置本体20から突出方向D111に保持機構10が引き出される。このとき、本実施例では、フロントパネル部23は、保持機構10の動きの邪魔とならないように、図3に示されている軸突起231を回動中心として回動されて前方に倒されるか、パネル部24から取り外される。またこのとき、保持機構10において、後述する保持爪421、431が引き出し方向に対向して(即ち並んで)いる。即ち、保持機構10の挟持方向と、スライド部11の突没スライド方向と、が一致した状態で保持機構10が装置本体20に収納されるようになっている。
【0026】
続くステップS13では、保持機構10において、チルト部12がスライド部11に対して起立方向D121に立てられる。このとき、チルト部12は、スライド部11に軸支された基部3と、基部3によって回動自在に支持される保持部4と、を備え、保持部4において、計3本の保持爪421、431によってチャッキング機構46が構成されている。本実施例では、このステップS13でチルト部12が立てられた状態では、チャッキング機構46は、1本の保持爪431が上部側に位置し、2本の保持爪421が下部側に位置する姿勢となっている。また、チャッキング機構46では、上部側となる1本の保持爪431が、下部側となる2本の保持爪421に向かってバネ付勢されている。
【0027】
ステップS14では、このチャッキング機構46におけるバネ付勢に抗して上部側の保持爪431が引上げ方向D131に引き上げられる。
【0028】
そして、ステップS15において、上記のように引き上げられた上部側の保持爪431と、下部側の保持爪421と、の間に、スマートフォン5が、その長手方向が水平方向を向く横向きで配置される。使用者が上部側の保持爪431を離すと、上記のバネ付勢により上部側の保持爪431が下降方向D132に動く。これにより、上部側の保持爪431と、下部側の保持爪421と、でスマートフォン5が挟持される。
【0029】
ここで、本実施例では、チルト部12において、チャッキング機構46を有する保持部4が、スマートフォン5の画面の面直方向に沿った回動軸O1を中心とした回動方向D14に回動自在に取り付けられている。上記のようにステップS15の段階では、スマートフォン5は横向き(その長手方向が水平方向を向いた状態)で保持されている。使用者が、このスマートフォン5を縦向き(その長手方向が上下方向を向いた状態)にして表示画面を見たいと考えた場合、次のステップS16によって、スマートフォン5を縦向きとすることができる。即ち、ステップS16では、スマートフォン5ごと、チャッキング機構46が、回動軸O1を中心として図中の時計回りに90°回動される。この回動によりスマートフォン5が縦向きとなる。また、この後、使用者が、スマートフォン5を横向きにして表示画面を見たいと考えた場合には、チャッキング機構46が図中の反時計回りに90°戻されて、スマートフォン5が横向きとされる。
【0030】
また、本実施例では、使用者は、保持機構10を引き出した後の任意のタイミングでフロントパネル部23を戻す。その結果、スマートフォン5の保持を行なった後の外観が、例えば図2示されているような外観となる。スマートフォン5が外されて保持機構10が装置本体20に収納される際には、図4に示されている手順とは逆の手順によって、保持機構10の収納が行われる。
【0031】
ここで、保持部4の詳細な形状について説明する。以下では、車両の前後方向(進行方向)をX方向とし、車幅方向(左右方向)をY方向とし、上下方向をZ方向とし、保持装置1は、スマートフォン5をX方向後方側に向けて(即ち画面がYZ平面に沿うように)保持するものとする。また、長方形状のスマートフォン5の短辺方向を幅方向とする。
【0032】
保持部4は、図5に示すように、スマートフォン5の背面に位置してYZ平面に沿って延びる矩形板状の保持板部41と、保持板部41の一辺に配置された固定挟持部42と、保持板部41の背面に重ねられるとともに保持爪431を有する移動挟持部43と、移動挟持部43を固定挟持部42に近づけるように付勢する付勢手段と、を有する。尚、図5は、スマートフォン5を保持していない状態(上記のステップS13の状態)を示しており、各部の寸法および位置関係については、特に説明がない限りこの状態を基準とする。
【0033】
固定挟持部42は、2つの保持爪421によって構成されている。2つの保持爪421は、保持板部41の外縁に沿って並ぶとともにスライド自在に設けられており、スマートフォン5の端縁に沿ってスライドして当接部として機能する。また、2つの保持爪421は、それぞれ範囲A1、A2においてスライド自在となっており、最接近状態において互いに所定の間隔をあけるとともに、最離隔状態において、保持板部41の隅部に位置する。また、固定挟持部42は、図5に示す状態において、基部3の下端31と略同一高さ(同程度の高さ又はやや上方)に配置されている。
【0034】
保持部4が基部3によって軸支される回動軸(回動中心)O1は、矩形板状の基部3のY方向中央部に配置されている。また、スマートフォン5を保持しない非挟持状態において、回動軸O1は、固定挟持部42よりも移動挟持部43の近くに配置されている。また、回動軸O1は、挟持部42、43による挟持方向(Z方向)との直交方向(Y方向)において、保持板部41の中央部に配置される。ここで、上記の直交方向における保持板部41の寸法の半分(即ち、回動軸O1からY方向における保持板部41の端縁411までの距離)をL1とし、Z方向における回動軸O1から固定挟持部42までの距離をL2とする。本実施例では、距離L2が距離L1よりも長い。また、距離L2は、所定寸法(例えば5インチ)のスマートフォン5の幅の略半分であるとともに、基部3のY方向寸法の略半分である。即ち、基部3のY方向寸法は、所定寸法のスマートフォン5の幅と略等しい。
【0035】
移動挟持部43は、所定幅(距離L2の2倍)を有するスマートフォン5を挟持可能な移動範囲を有しており、固定挟持部42よりも回動軸O1から離れた位置まで移動可能となっている。即ち、非挟持状態において、固定挟持部42と回動軸O1との間隔が、移動挟持部43と回動軸O1との間隔よりも大きく、且つ、移動挟持部43は、回動軸O1との間隔が、固定挟持部42と回動軸O1との間隔よりも大きくなるように移動可能となっている。また、挟持部42、43によって所定幅を有するスマートフォン5を挟持した際、挟持方向におけるスマートフォン5の中央部と、回動軸O1と、が略一致する。
【0036】
このような保持部4によって所定寸法のスマートフォン5を挟持するために移動挟持部43を移動させると、固定挟持部42と移動挟持部43との中間に回動軸O1が位置し、スマートフォン5の幅方向中央部と、回動軸O1と、が略一致する。
【0037】
ここで、図5に示す状態から、保持部4を略90°回動させた様子(上記のステップS16の状態)を図6に示す。このとき、固定挟持部42は、基部3のY方向一方側の端縁32に重なる。さらに、距離L2が距離L1よりも長いことから、回動後の保持板部41の端縁411は、回動前の固定挟持部42よりもZ方向において上方に位置する。
【0038】
図6に示す状態において、距離L2がスマートフォン5の幅の略半分であり、回動軸O1がY方向において基部3の中央部に配置され、固定挟持部42が基部3の端縁32に重なっていることから、所定寸法のスマートフォン5を挟持した際、移動挟持部43が他方側の端縁33に重なり、スマートフォン5及び基部3のY方向中央部同士が略一致する。また、所定寸法のスマートフォン5及び基部3のY方向両側の端縁同士が揃う。
【0039】
上記の構成により、固定挟持部42と移動挟持部43とによってスマートフォン5を挟持することで、挟持方向寸法の大きいスマートフォンを挟持しても、固定挟持部42が移動せず、スマートフォン5の背面側且つ固定挟持部42側に設けられた機器がスマートフォン5によって隠れにくい。また、移動挟持部43が固定挟持部42よりも回動軸O1から離れた位置まで移動可能であることで、所定幅(距離L2の2倍)を有するスマートフォン5を保持することができる。このようなスマートフォン5を保持することにより、挟持方向におけるスマートフォン5の中央部と、回動軸O1と、が略一致する。一方、例えばスマートフォンが上下方向から挟持されて横向きに保持されている際に、スマートフォンの中央部が回動軸よりも下方に位置している場合、スマートフォンを時計回りに回動させて縦向きにしようとすると、スマートフォン全体が左側に移動してしまう。本実施例によれば、挟持方向におけるスマートフォン5の中央部と、回動軸O1と、が略一致していることで、保持部4を回動させてスマートフォン5の向きを変更する際に、スマートフォン5がY方向やZ方向に移動しにくい。
【0040】
また、非挟持状態において移動挟持部43が固定挟持部42よりも回動軸O1の近くに配置されていることで、距離L2の2倍以下の幅を有するスマートフォンを保持した際に、移動挟持部43側において背面側に設けられた機器が隠れにくい。
【0041】
さらに、回動軸O1がY方向において基部3の中央部に配置され、スマートフォン5をY方向から挟持する際に固定挟持部42が基部3の端縁32に重なることから、スマートフォン5を縦向きに保持する際に、端縁32側においてスマートフォン5によって背面側の機器が隠れにくい。さらに、基部3と同程度の幅を有するスマートフォン5を縦向きに保持する際に、Y方向の両側において基部3とスマートフォン5との端縁同士が揃い、意匠性を向上させることができる。
【0042】
また、固定挟持部42が、スマートフォン5をZ方向から挟持する際に基部3の下端31と略同一高さに配置されていることで、スマートフォン5の一辺を基部3の下端31に沿って配置することができ、基部3より下方に配置された機器(フロントパネル部23)が、スマートフォン5によって隠れにくい。
【0043】
さらに、回動軸O1がY方向において保持板部41の中央部に配置されるとともに、距離L2が距離L1よりも長いことで、回動後の保持板部41の端縁411が回動前の固定挟持部42よりもZ方向において上方に位置し、保持板部41の下方に配置された機器が保持板部41によって隠れにくい。
【0044】
さらに、固定挟持部42が、スマートフォン5の端縁に沿って並ぶとともにスライド自在に設けられた2つの保持爪421によって構成されていることで、スマートフォン5の寸法に応じて保持爪421をスライドさせることにより、スマートフォン5を安定して挟持させることができる。さらに、2つの保持爪421のそれぞれがスライド移動により位置調整可能であることから、スマートフォン5の側面に存在する音量ボタンや電源ボタン等の操作ボタンや、側面に接続する充電コネクタなどを避けるように2つの保持爪421を移動させ、スマートフォン5を挟持することができる。
【0045】
また、基部3が、突没スライド方向に沿うように倒れた際に挟持方向と突没スライド方向とが一致し、装置本体20に収納されることで、装置本体20からスライド部11及びチルト部12を引き出して起立角度を変更させることにより、スマートフォン5を上下方向から挟持可能な状態となる。従って、使用者はスマートフォン5を固定挟持部42と移動挟持部43との間に挟持させやすい。
【0046】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0047】
例えば、前記実施例では、スマートフォン5をY方向から挟持して縦向きに保持する際に、固定挟持部42が基部3の端縁32に重なるように配置されているものとしたが、このような構成に限定されない。即ち、基部3のY方向寸法とスマートフォンの幅とは一致していなくてもよく、固定挟持部42は、縦向きに保持する際に、所定幅のスマートフォンの中央部と基部3の中央部とが略一致するような位置に配置されればよい。
【0048】
また、前記実施例では、スマートフォン5を横向きに保持する際に、固定挟持部42が基部3の下端31と略同一高さに配置されているものとしたが、固定挟持部は、下端31よりも充分に高い位置に配置されていてもよく、このような構成でも同様に、背面側の機器が隠れにくい。また、チルト部が、引き出された後に下向きに倒されてスマートフォンを保持する場合には、固定挟持部が基部の上端と略同一高さ又は低い位置に配置されていれば、背面側の機器が隠れにくい。
【0049】
また、前記実施例では、回動軸O1が挟持方向との直交方向において保持板部41の中央部に配置されるとともに、距離L2が距離L1よりも長いものとしたが、距離L2と距離L2とが略等しくてもよい。また例えば、保持板部41の下方に配置された機器とスマートフォン5とが同時に表示しない場合には、距離L2が距離L1未満であってもよい。
【0050】
また、前記実施例では、固定挟持部42がスライド自在な2つの保持爪421によって構成されるものとしたが、移動挟持部がスライド可能な複数の保持爪を有していてもよい。また、例えば保持爪の幅(スマートフォン5の端縁に沿った方向)が充分に大きい場合や、充分な数の保持爪が設けられている場合等、様々な寸法のスマートフォンを保持可能に構成されている場合、保持爪はスライド不能であってもよい。
【0051】
また、前記実施例では、基部3が、突没スライド方向に沿うように倒れた際に挟持方向と突没スライド方向とが一致し、装置本体20に収納されるものとしたが、挟持方向と突没スライド方向とが直交するように基部が装置本体に収納されてもよい。このような構成によれば、複数の保持爪が挟持方向との直交方向に並んでいる場合、保持爪同士が突没スライド方向に並ぶこととなり、装置本体20に設けられた他の部材との干渉を抑制することができる。
【0052】
また、前記実施例では、保持装置1がスマートフォンを保持するものとしたが、保持対象である被保持物は、長方形板状に形成された物であればよい。即ち、例えば通信機能を有しておらず単に記録媒体に記憶された映像等を再生する再生機器であってもよいし、画面を有していないものであってもよい。また、被保持物が携帯機器である場合、その携帯機器は、本実施例のようにスマートフォンに限るものでもなく、例えばタブレット端末やゲーム機器等であってもよい。
【0053】
また、前記実施例では、保持装置が車両のインストルメントパネルに設けられるものとしたが、保持装置は、船舶や航空機等、車両以外の移動体に設けられてもよいし、建物内の壁や家具等に設けられてもよい。
【0054】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施例に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 保持装置
10 保持機構
11 スライド部
20 装置本体
3 基部
31 下端
32 端縁
4 保持部
41 保持板部
42 固定挟持部
421 保持爪(当接部)
43 移動挟持部
5 スマートフォン(被保持物)
O1 回動軸(回動中心)
図1
図2
図3
図4
図5
図6