IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コイズミ照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図1
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図2
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図3
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図4
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図5
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図6
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図7
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図8
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図9
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図10
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図11
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図12
  • 特開-埋込型器具の取付構造 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011000
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】埋込型器具の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/04 20060101AFI20240118BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F21V21/04 310
F21V21/34 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112646
(22)【出願日】2022-07-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1-1)発行日 令和4年4月21日 (1-2)刊行物 あかり専科vol.41,2022-2023 第A18頁,第A62頁,第A12 6頁 (1-3)公開者 コイズミ照明株式会社 (2-1)ウェブサイトの掲載日 令和4年5月11日 (2-2)ウェブサイトのアドレス https://webcatalog.koizumi-lt.co.jp/iportal/CatalogViewInterfaceStartUpAction.do?method=startUp&mode=PAGE&volumeID=DIGICATA&catalogId=6928250000&_ga=2.40709220.719138479.1652227721-955407306.1602222539 等 (2-3)公開者 コイズミ照明株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 竜男
(57)【要約】
【課題】挿入した状態で仮止めされ、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができる作業性を向上させた埋込型器具の取付構造を提供する。
【解決手段】器具本体11と、器具本体11を被取付部Cに設けられた埋込孔Caに埋め込んだ状態で天井に取り付けるための取付具12と、を備え、取付具12は、取付時において、埋込孔Caの上縁部に係止するように回転可能な回転部材51と、取付時において、前記埋込孔Caに埋め込まれて被取付部Cに仮止めする取付バネ52と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
前記器具本体を被取付部材に設けられた埋込孔に埋め込んだ状態で天井に取り付けるための取付具と、を備え、
前記取付具は、取付時において、前記埋込孔の上縁部に係止するように回転可能な回転部材と、
取付時において、前記埋込孔に埋め込まれて前記被取付部材に仮止めする取付バネと、を有する、
ことを特徴とする埋込型器具の取付構造。
【請求項2】
前記器具本体は、長尺に構成されており、
前記回転部材は、少なくとも長手方向に沿って二列以上設けられており、
前記取付バネは、前記器具本体の長手方向において最も外側に設けられた前記回転部材の列よりも内側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項3】
前記器具本体は、長手方向に沿って複数個配置されており、
前記器具本体の互いの端部を連結する連結部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項4】
前記器具本体は、短手方向両端部に、他の部分よりも低く構成された段差部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の埋込型器具の取付構造。
【請求項5】
前記回転部材は、前記段差部の上面に配置される回転軸を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の埋込型器具の取付構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井等の被取付面に形成した取付穴内に埋設して、被取付面に取り付けてなる埋込型器具の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された埋込型の照明器具が用いられている。特許文献1では、ボルト止めではなく、天井内面に設置するように回転可能な取付具によって器具本体を天井に装着する埋込型器具が公知となっている。
特許文献1の取付具は、一対の装着端部と装着端部を回転可能に支持する回転軸を有する。装着端部は装着前には器具本体の側面部近傍の外形寸法内に位置し、装着後には、天井内面に設置されることで器具本体を天井に装着するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-204655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の取付構造の場合、施工者は、器具本体を天井の埋込孔に挿入して天井に取り付けるとき、器具本体を手で支えた状態で、取付具を回転させる作業を行わなければならなかった。したがって、取付作業が煩雑となり、作業性が低下していた。そこで、器具本体の取付時に、挿入した状態で仮止めされ、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができる作業性を向上させた埋込型器具の取付構造が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、挿入した状態で仮止めされ、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができる作業性を向上させた埋込型器具の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
すなわち、本願に開示する埋込型器具の取付構造は、器具本体と、前記器具本体を被取付部材に設けられた埋込孔に埋め込んだ状態で天井に取り付けるための取付具と、を備え、前記取付具は、取付時において、前記埋込孔の上縁部に係止するように回転可能な回転部材と、取付時において、前記埋込孔に埋め込まれて前記被取付部材に仮止めする取付バネと、を有するものである。
【0008】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記器具本体は、長尺に構成されており、前記回転部材は、少なくとも長手方向に沿って二列以上設けられており、前記取付バネは、前記器具本体の長手方向において最も外側に設けられた前記回転部材の列よりも内側に設けられることが好ましい。
【0009】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記器具本体は、長手方向に沿って複数個配置されており、前記器具本体の互いの端部を連結する連結部を有することが好ましい。
【0010】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記器具本体は、短手方向両端部に、他の部分よりも低く構成された段差部を有することが好ましい。
【0011】
本願に開示する埋込型器具の取付構造において、前記回転部材は、前記段差部の上面に配置される回転軸を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができる作業性を向上させた埋込型器具の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る埋込型器具を示す正面図。
図2】同じく埋込型器具を示す平面図。
図3】同じく埋込型器具の内部を示すA-A線断面図。
図4】同じく取付時の埋込型照明具の内部を示すA-A線断面図。
図5】同じく器具主体を示す側面断面図。
図6】同じく連結した埋込型器具を示す底面図。
図7】同じく連結した埋込型器具を示す正面断面図。
図8】同じく連結した埋込型器具を示す底面拡大図。
図9】同じく連結した埋込型器具を示す正面拡大断面図。
図10】同じく埋込型器具を示す斜視図。
図11】同じく埋込型器具を示す分解斜視図。
図12】同じく埋込型器具の連結を説明する斜視図。
図13】同じく回転部材の動作を示す図2におけるB部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る埋込型器具について、図1から図4を用いて説明する。本発明の実施形態に係る埋込型器具1の形状は、図1および図2に示すように、短手方向の長さに対して長手方向の長さの比率が大きい細長い長尺形状で構成されている。埋込型器具1は、図4に示すように天井等に配置された被取付部Cに埋め込まれて設置される。被取付部Cには、埋込孔Caが設けられている。なお、本実施形態の埋込型器具1は、照明器具13を着脱自在且つ移動自在に取り付け可能な、受電構造を有するダクトレール41を有する埋込型配線ダクトである。
【0015】
図1および図2に示すように、埋込型器具1は、器具本体11と、埋込孔Caに埋め込んだ状態で被取付部Cに取り付けるための取付具12と、を備えている。
【0016】
器具本体11は、断面視略「凸」字状の長尺部材であり、図3および図4に示すように、内部に照明器具13を配置する空間を有している。より詳細には、器具本体11の断面形状は上面中央部21が他の部分よりも上側に突出した形状となっており、上面の断面視左右両外側には、取付具12および端子台14を配置する段差部22が確保されている。上面中央部21の上側を構成する面を第1面25、器具本体11の上面両側端部の面を第2面26・26、第1面25および第2面26を連結する上下方向に延びる面を連結面27とする。段差部22は、第2面26および連結面27で区画された部分である。
【0017】
器具本体11は、長尺に構成されており、長手方向の長さは、複数種類の所定長に構成されている。所定長は、例えば、最も短いもので900mmであり、最も長いもので1500mmである。
【0018】
器具本体11は、器具主体31、端板部32、枠部34を有している。器具主体31、端板部32および枠部34は、放熱性および強度を考慮し、熱伝導性を有するアルミニウム等の金属素材を用いて形成されている。器具主体31は、押し出し材により形成されている。器具主体31は、図3図4および図5に示すように、断面視「凸」字状の外壁部31aと、この外壁部「凸」字状の内部に形成される反射板部31bを有している。
【0019】
外壁部31aの下部外側面には、枠部34を差し込んで保持させる下部溝部31cが対向して形成されている。枠部34を、下部溝部31cに係合させることにより、器具主体31の下端に固定する。枠部34は、後述する回転部材51および取付バネ52との間に被取付部Cを挟むことで、埋込型器具1の上下方向の移動を規制することができる。枠部34の取付面側には、弾性部材16が配置される。弾性部材16は、枠部34と被取付部Cとの間に配置され、室内と被取付部Cとの間の気密性を高める。なお、枠部34は、器具主体31と一体的に形成してもよい。器具主体31と枠部34を別体で形成する場合には、枠部34を任意の色に形成し、器具主体31を共通化させることができる。これにより、器具主体31と枠部34部分の色の塗分け作業を行わずに、所望の色の枠部34を備える埋込型器具1を実現する。
また、器具主体31の両側面には、取付具12(具体的には、回転部材51の軸支承部51bおよび取付バネ52)を固定するための保持部31dが設けられている。
【0020】
端板部32は、図1および図2に示すように、器具主体31の長手方向両端部に取り付けられて、器具主体31の両端部の開放された部分を閉塞するものである。端板部32は、器具主体31の断面と同様に略「凸」字状に形成されている。
端板部32は、器具主体31の溝部31eに対応する位置に貫通孔32aを有する。溝部31eと貫通孔32aが長手方向に沿う側面視で重なるように、端板部32を器具主体31に配置する。貫通孔32aを介して溝部31eに対してネジ36を固定することで、器具主体31に端板部32を取り付けることができる。
なお、器具主体31、端板部32および枠部34は、熱伝導性を有する材料であれば金属部材やアルミニウムに限定されない。また、器具主体31は、熱伝導性を有する材料で形成されていることが好ましいが、熱伝導性を有することは必須ではない。
【0021】
また、端板部32と交換可能な連結部材33を器具主体31の長手方向両端部に装着することもできる。連結部材33は、器具主体31の互いの端部を連結する連結部となる金具である。連結部材33によって器具主体31を固定することにより、図6および図7に示すように、器具本体11を直列に配置した埋込型部材1を構成することが可能となる。本実施形態の連結部材33は、器具主体31の段差部22(第1面25、第2面26及び連結面27)に沿うように凸状に形成され、器具主体31の上面側に配置可能である。連結部材33は、第2面26の長手方向端部の挿入孔31gと対応する位置に貫通孔(図示せず)を有する。
【0022】
図8および図9に示すように、連結部材33の第2面26を被覆する部分にネジ35を挿入し、第2面26の長手方向端部に設けられた挿入孔31gを貫通して固定することにより器具主体31の互いの端部を連結する。
【0023】
複数の埋込型器具1の連結方法について、具体的に説明する。図12に示すように、まず連結させる埋込型器具1A・1Bの連結させる側の端板部32を固定するネジ35を解除し、器具主体31から端板部32を取り外す。端子台14とは長手方向反対側の端板部32を外した器具主体31の端部に、ネジ35を用いて連結部材33を取り付ける。連結部材33を取り付けた埋込型器具1Aの端子台14に商用電源の電線(図示せず)及び送り用電線59を接続し、送り用電線59の接続端子が連結部材33側になるように配置する。埋込型器具1Aを被取付部Cの埋込孔Caに挿入し、後述する取付バネ52を用いて仮固定する。ドライバー等の工具を用いて回転部材51を回転させて埋込型器具1Aを被取付部Cに取り付ける。埋込型器具1Bの端子台14に送り用電線59の端子を接続した後、埋込型器具1Aと隣接するように埋込孔Caに埋込型器具1Bを挿入し、取付バネ52を用いて埋込型器具1Bを仮固定する。埋込型器具1Aに取り付けられている連結部材33の貫通孔と埋込型器具1Bの挿入孔31gを重なるように配置し、ネジ35を用いて埋込型器具1Bの器具主体31と連結部材33とを締結する。このとき、埋込型器具1Bは仮固定状態であるため、埋込型器具1Aに対する位置ズレを調整しながら連結部材33と器具主体31とを締結することができる。埋込型器具1Bの回転部材51を回転させて、埋込型器具1Bを被取付部Cに取り付ける。埋込型器具1Aおよび埋込型器具1Bの隣接する器具主体31・31の隙間を埋めるようにシール部材71を貼り付ける。シール部材71を貼り付けることで、部屋と被取付部Cとの間の気密性を高めることができる。
【0024】
このように構成することにより、所定長に構成された器具主体31を連結して施工することができ、所望の長さの埋込型器具1を提供することが可能となる。
【0025】
図4図6図8および図9に示すように、器具本体11の内部に設けられた空間は、ダクトレール41が設けられる第1空間S1と、ダクトレール41に取り付けられた照明器具13の少なくとも一部が配置される第2空間S2と、を有する。
【0026】
ダクトレール41は、器具本体11の第1空間S1内に器具本体11の長手方向と平行に配置されている。ダクトレール41は、端部にダクトレール封止部材42およびフィードイン43をそれぞれ有する。ダクトレール41は、段差部22に配置された端子台14とフィードイン43を電気的に接続し、フィードイン43と接続するレール部材に商用電源からの電力を引き込む。ダクトレール41の下部には、照明器具13の上部に設けられる係合部(図示せず)と係合するためのレール係合部41aが設けられている。また、ダクトレール41のフィードイン43とは異なる他端には、ダクトレール封止部材42が設けられている。照明器具13を配置する際には、ダクトレール41のダクトレール封止部材42とフィードイン43間のレール係合部41aと照明器具13の係合部が係合するように配置する。これにより、照明器具13は、ダクトレール41上の任意の位置に係止されることとなる。
【0027】
取付具12は、回転部材51と、取付バネ52とを有する。図3および図4に示すように、回転部材51は、器具本体11の取付時において、器具本体11を埋込孔Caの上縁部に係止する。取付バネ52は、器具本体11の取付時において、埋込孔Caに埋め込まれた状態で、器具本体11を被取付部Cに仮止めする。
【0028】
図1図2図3図4図10図11および図12に示すように、器具本体11の第2面26および器具主体31の側面側には複数の取付具12が設けられている。回転部材51の一部は、器具本体11の断面視において両側に設けられた第2面26の上に配置される。すなわち、回転部材51の一部は器具本体11の段差部22に取り付けられている。
【0029】
また、図1図2図10および図11に示すように、回転部材51は、少なくとも器具本体11の長手方向に沿って二列以上設けられている。本実施形態において、回転部材51は、長手方向において三列、短手方向において各列両側二か所に設けられており、計6個設けられている。また、取付バネ52は、器具本体11の長手方向において最も外側に設けられた回転部材51の列よりも内側に設けられる。取付バネ52は、長手方向にいて二列、短手方向において各列両側二か所に設けられており、計4個設けられている。
【0030】
回転部材51は、図3図4図10および図13に示すように、段差部22の上面(第2面26)に配置される回転軸51aと回転軸51aを軸支する軸支承部51bとを備える。回転軸51aには、薄い板状の上面51cが固着され、上面51cから下方に延伸する係止部51dが設けられている。係止部51dの下端は屈曲部51eが設けられており、下端面が鋭利にならないように構成されている。上面51cは回転軸51aと相対回転不能に固着されている。したがって、回転軸51aを軸支承部51bで軸支して回転させた場合、回転軸51aと連動して上面51c、係止部51d、および屈曲部51eが軸回りに回転する。
【0031】
回転軸51aのねじ頭51fは、照射面側に露出しており、器具本体11を被取付部Cの埋込孔Ca内に挿入した後に、ねじ頭51fを工具で回動させることで、上面51c、係止部51d、および屈曲部51eが回動する。回動後の屈曲部51eは、被取付部Cの上面と当接する。具体的には、図13に示すように、回転部材51の初期位置は、初期上面51c0のように配置されている。初期上面51c0の係止部51d0は、器具主体31の側面に沿うように配置される。これにより、被取付部Cの埋込孔Ca内に接触することなく器具本体11を所定の位置まで埋め込むことができる。初期上面51c0から回転軸51aを中心に略60度回転させて、上面51cの位置まで回動させることができる。このとき、係止部51dは、器具主体31の側面によって規制されるため、作業者は適切な位置まで係止部51dを回動させることができる。
【0032】
取付バネ52は、器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに埋め込んで取り付けるための固定手段である。取付バネ52は、ステンレス素材等の板状金属材の中途部を複数箇所屈曲および湾曲させて形成された板バネである。取付バネ52は、図3および図4に示すように、断面略V字状の板バネであり、基端部となる当接部61が器具本体11側部に当接して固定されるとともに、自由端部となる壁面押圧部62が器具本体11側方に延出されるものである。本実施形態の板バネ52は、器具主体31の保持部31dにネジ57を用いて当接部61が取り付けられる。取付バネ52は、当接部61側に設けられる係止部63、および壁面押圧部62側に設けられ、係止部63に係脱する被係止部64からなる仮止め機構と、前記被係止部64を係止部63に係合した際に器具本体11の側方に屈曲状に突出形成される突出部65と、を有する。
なお、本実施形態における突出部65は、屈曲状であるが特に限定するものではなく、湾曲状であってもよい。
【0033】
取付バネ52は、器具主体31の長手方向に配設された保持部31dに取り付けられ、取付バネ52の側部において側方に延出するように配置される。図9に示すように、器具本体11を埋込孔Caに埋め込んだ状態において、壁面押圧部62は、被取付部Cの上面を押圧し、器具本体11を被取付部Cに仮止めする。壁面押圧部62は、当接部61の下端より延設され、壁面押圧部62の先端部には、鉤状に折り曲げられた抜止め66が形成されている。また、壁面押圧部62の中途部には、突起状の被係止部64がパンチ加工により設けられている。
なお、取付バネ52の取付位置、本数等については、本実施形態のものに限定されるものではない。
【0034】
当接部61は、保持部31dにネジ57によって器具主体31側面に固定される部分である。当接部61の上部には、取付バネ52を器具主体31の保持部31dにネジ57で取り付けるためのネジ孔が設けられている。また、当接部61は、保持部31fと対向する面に係止片61aを有している。係止片61aを器具本体11の保持部31fに係止することにより、当接部61が器具主体31側面に沿うように係止される。
【0035】
さらに、当接部61の上端には、壁面押圧部62が有する被係止部64と係脱自在である係止部63が設けられている。壁面押圧部62を90度屈曲して壁面押圧部62の被係止部64を係止部63に係止することにより、壁面押圧部62は、当接部61に仮止めされる。
【0036】
取付バネ52を器具本体11に取り付ける場合は、先ず、取付バネ52の当接部61を器具主体31の外壁部31aに当接させるとともに、当接部61の係止片61aを保持部31fに差し入れる。さらに、取付バネ52は、ネジ57を用いてに固定される。
【0037】
次に、上記のように構成された埋込型器具1の取り付け方法について説明する。まず、図3および図4を用いて、埋込型器具1を取り付ける際の取付バネ52の仮止め方法について説明する。
【0038】
埋込型器具1の器具本体11を被取付部Cの下方側から被取付部Cの埋込孔Caに入れて取り付けるために、まず、壁面押圧部62の被係止部64を、当接部61の係止部63に係止させる。被係止部64を係止部63に係止させるには、自由端側である壁面押圧部62を、壁面押圧部62の弾性に抗して下方側から押し上げるようにして器具本体11側に撓ませ、被係止部64を係止部63に係止させる。この際、壁面押圧部62の突出部65は器具本体11から突出する方向に屈曲される。
【0039】
このように壁面押圧部62を器具本体11側に固定した状態で、器具本体11を、後面側から被取付部Cの埋込孔Caに挿入していく。さらに、器具本体11を埋込孔Ca内に挿入していくと、上述したように突出部65と埋込孔Caの周縁下部とが当接する。さらに、その当接状態から器具本体11を上方に押圧すると突出部65が埋込孔Caから押圧力を受け、被係止部64が上方に押し上げられ、被係止部64が係止部63から外れる。
【0040】
被係止部64と係止部63との仮止めが解除された後は、図4に示すように壁面押圧部62が自身の形状復元力により元の状態に戻ろうとして、埋込孔Caの内側面を外側に押圧する。これにより、器具本体11は、下方向への移動が容易にできなくなるため、被取付部Cの埋込孔Caに安定して仮止めされる。
【0041】
以上のようにして、器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに入れる際には、被係止部64と係止部63を仮止めして取付バネ52を埋込孔Caの下方側から上方側に入れれば良い。特に、本実施形態の横長の埋込型器具1のように取付バネ52を長手方向に複数設けたような場合でも、取付作業を容易に行うことができる。また、埋込型器具1を被取付部Cに仮止めできるため、作業者は器具本体11を手で支えずに回転部材51を操作することができるため、取付作業が容易になる。また、取付バネ52で器具本体11を仮止めすることで、埋込孔Caに対して器具本体11を短手方向における略中央に誘導することができる。そのため、器具本体11が埋込孔Caに対して一方側に偏った位置に配置されにくくなり、回転部材51の取付不良を抑止する。
【0042】
また、取付バネ52は、器具本体11の長手方向において最も外側に設けられた回転部材51の列よりも内側に設けられている。このように構成することにより、仮止めされている部分が横長の埋込型器具1において、両端部は、仮止めではなく、回転部材51による完全な固定を行うことができる。そのため、埋込型器具1の取り付け後のぐらつきを抑えることができる。
【0043】
次に、埋込型器具1を取り付ける際の回転部材51による取付方法について図3図4および図13を用いて説明する。
埋込型器具1の器具本体11を被取付部Cの下方側から被取付部Cの埋込孔Caに入れて取り付けるために、まず、回転部材51の係止部51dが器具本体11の側面に沿うように、回転部材51を回転させる(図13における係止部51d0の位置)。このとき、埋込型器具1の短手方向に向かい合う回転部材51の係止部51dの間隔は、埋込孔Caの短手方向の寸法よりも小さくなる。これにより、埋込孔Caに対して係止部51dが当接することなく、被取付部Cよりも上方に挿入することが可能となる。
【0044】
このように回転部材51を器具本体11側に回転した状態で、器具本体11を、端子台14が設けられている側から被取付部Cの埋込孔Caに挿入していく。器具本体11を埋込孔Ca内に挿入し、取付バネ52による仮止めが完了した後、作業者は、照射面側に露出したねじ頭51fに工具を差し入れて回動することにより、回転部材51を回転させて係止部51dを被取付部Cの上面へ移動させる(図13における係止部51dの位置)。図4に示すように、屈曲部51eが被取付部Cの上面に当接することにより、器具本体11の下方向への移動を禁止して、被取付部Cの埋込孔Caに固定する。
【0045】
以上のようにして、埋込型器具1を被取付部Cの埋込孔Caに取り付ける際には、器具本体11を、取付バネ52によって被取付部Cの埋込孔Caに仮止めし、下方向への移動を規制したうえで、ねじ頭51fに工具を差し入れて回動し、回転部材51を用いて器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに固定する。特に、本実施形態の横長の埋込型器具1のように取付バネ52を長手方向に複数設けたような場合でも、取り付け作業を容易に行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態の器具本体11の形状は一例であり、本実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、器具本体11の外形が丸型、その他の形状である場合には、その形状に応じて取付バネ52、回転部材51を取り付ければよい。
また、本実施形態では、埋込型器具を一例として挙げたが、少なくとも天井や壁などに埋め込むことができれば、照明器具に限定されない。本実施形態の構成は、例えば埋込型の照明器具や火災報知機やスピーカーなどに適用が可能である。
【0047】
以上説明した本実施形態の埋込型器具1の取付構造によれば、器具本体11と、器具本体11を被取付部Cに設けられた埋込孔Caに埋め込んだ状態で天井に取り付けるための取付具12と、を備え、取付具12は、取付時において、埋込孔Caの上縁部に係止するように回転可能な回転部材51と、取付時において、埋込孔Caに埋め込まれて被取付部Cに仮止めする取付バネ52と、を有する。
これにより、器具本体11を、取付バネ52によって被取付部Cの埋込孔Caに仮止めし、下方向への移動を規制したうえで、回転部材51を用いて器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに固定することができるので、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができ、作業性の向上を図ることができた。
【0048】
また、器具本体11を、取付バネ52によって被取付部Cの埋込孔Caに仮止めし、下方向への移動を規制したうえで、ねじ頭51fに工具を差し入れて回動し、回転部材51を用いて器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに固定する。
これにより、器具本体11を、取付バネ52によって被取付部Cの埋込孔Caに仮止めし、下方向への移動を規制したうえで、ねじ頭51fに工具を差し入れて回動し、回転部材51を用いて器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに固定することができるので、手を離した状態で取付具の取付作業を行うことができ、作業性の向上を図ることができた。
【0049】
また、器具本体11は、長尺に構成されており、回転部材51は、少なくとも長手方向に沿って二列以上設けられており、取付バネ52は、器具本体11の長手方向において最も外側に設けられた回転部材51の列よりも内側に設けられる。
これにより、長尺に構成された器具本体11の中央部付近を、数の少ない取付バネ52で効率的に仮止めすることができ、器具本体11の端部付近を、数の多い回転部材51によって完全に固定することができるので、がたつき等を低減することができる。
【0050】
また、器具本体11は、長手方向に沿って複数個配置されており、器具本体11の互いの端部を連結する連結部材33を有する。
これにより、連結部材33を介して器具本体11は長手方向に沿って複数個配置される。また、所定長に構成された器具主体31を連結して施工することができ、所望の長さの埋込型器具1を提供することが可能となる。
【0051】
また、器具本体11は、短手方向両端部に、他の部分よりも低く構成された段差部22を有する。
これにより、回転部材51の一部を段差部22に収納することができるので、器具本体11を被取付部Cの埋込孔Caに埋め込んで取り付ける際にスムーズに埋込孔Caに埋め込むことができる。また、回転部材51の一部を器具本体11の段差部22に配置することにより、埋込型器具1を低背化することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 埋込型器具
11 器具本体
12 取付具
13 照明器具
14 端子台
16 封止部材
21 上面中央部
22 段差部
25 第1面
26 第2面
27 連結面
31 器具主体
32 端板部
33 連結部材
41 ダクトレール
51 回転部材
52 取付バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13