IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-モータジェネレータ装置 図1
  • 特開-モータジェネレータ装置 図2
  • 特開-モータジェネレータ装置 図3
  • 特開-モータジェネレータ装置 図4
  • 特開-モータジェネレータ装置 図5
  • 特開-モータジェネレータ装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110009
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】モータジェネレータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/193 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
H02K9/193
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021100220
(22)【出願日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】中川 大路
(72)【発明者】
【氏名】堀部 晋佑
(72)【発明者】
【氏名】東谷 洸平
(72)【発明者】
【氏名】白石 克郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健斗
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP01
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609RR01
5H609RR68
5H609SS07
5H609SS21
(57)【要約】
【課題】ブリーザ周辺の冷却媒体による汚損および冷却媒体の損失を抑制する。
【解決手段】第1内部空間S1および第2内部空間S2を連通する連通管24を設け、連通管24に圧力調整を行なうブリーザ26を設けたので、第1内部空間S1および第2内部空間S2全体の圧力と大気圧とに差が生じたときにブリーザ26を介して空気が流通することで第1内部空間S1および第2内部空間S2全体の圧力の調整がなされる。従来のように第1ハウジング20および第2ハウジング22のそれぞれにブリーザ26を設けた場合に比較して、ブリーザ26から放出される冷却媒体12(オイルミスト)の低減を図り、ブリーザ26周辺が冷却媒体12により汚損されることを抑制する上で、また、冷却媒体12の損失を抑制する上で有利となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングにより形成される第1内部空間に収容されたモータと、
前記第1ハウジングとは別体の第2ハウジングにより形成される第2内部空間に収容されたジェネレータと、
前記第1内部空間と前記第2内部空間とを連通する連通管と、
冷却媒体を第1内部空間および第2内部空間に供給し前記モータおよび前記ジェネレータを冷却して循環させる冷却装置とを備え、
車両に搭載されるモータジェネレータ装置であって、
前記連通管に前記連通管内の圧力調整を行なうブリーザが設けられている、
ことを特徴とするモータジェネレータ装置。
【請求項2】
前記連通管から分岐する分岐管部が設けられ、
前記ブリーザは、前記分岐管部の先端に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のモータジェネレータ装置。
【請求項3】
前記モータジェネレータ装置が動作することによって、前記連通管内で前記第1内部空間寄りの箇所または前記第2内部空間寄りの箇所のうちの一方が大気圧よりも低い負圧となり、他方が大気圧よりも高い正圧となった状態で、前記連通管内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に前記ブリーザが設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のモータジェネレータ装置。
【請求項4】
前記連通管の一方の端部は他方の端部よりも高い箇所に位置し、
前記一方の端部から前記他方の端部まで前記連通管の高さが単調に低下している、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のモータジェネレータ装置。
【請求項5】
前記ジェネレータは、水平方向に延在する回転軸を有するロータを備え、
前記第2ハウジングは、前記回転軸の軸方向で対向し前記ロータを挟んで設けられた一対の側壁を備え、
前記一対の側壁のうちの一方の側壁の上部に前記連通管が接続されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載のモータジェネレータ装置。
【請求項6】
前記連通管は複数の屈曲部を含んで構成され、
前記分岐管部は前記屈曲部で挟まれた前記連通管の上面の箇所から上方に突出されている、
ことを特徴とする請求項2または請求項2を引用する請求項3から5の何れか1項記載のモータジェネレータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータジェネレータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とする電動車などの車両に搭載されるモータジェネレータ装置が提供されている(特許文献1参照)。
上記モータジェネレータ装置は、第1ハウジングにより形成される第1内部空間に収容されたモータと、第1ハウジングとは別体の第2ハウジングにより形成される第2内部空間に収容されたジェネレータと、冷却媒体を冷却媒体用通路を介して第1内部空間および第2内部空間に供給しモータおよびジェネレータを冷却する冷却装置とを備えている。
このモータジェネレータ装置では、第1ハウジングおよび第2ハウジングにそれぞれブリーザを設け、第1内部空間と大気圧との圧力差、および、第2内部空間と大気圧との圧力差を低減することで、第1ハウジングおよび第2ハウジングに設けられたシール部の破損を抑制するようにしている。
また、モータジェネレータ装置では、その動作中におけるモータおよびジェネレータの温度差に起因して第1内部空間と第2内部空間との間で圧力差を生じ、この圧力差が大きくなると、冷却媒体用通路を流れる冷却媒体の流れが滞ることが懸念されることから、第1内部空間と第2内部空間とを連通する連通管を設け、上記圧力差を低減することで冷却媒体の流れが円滑になされるように図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5978954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のモータジェネレータ装置では、各ブリーザを介して第1、第2内部空間から外部にオイルミストを含んだ空気が流出することでオイルミストが外部に放出されるため、ブリーザ周辺がオイルミストで汚れやすく、また、オイルミストが外部に放出されることにより冷却媒体の損失が生じるという不利がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ブリーザ周辺の冷却媒体による汚損および冷却媒体の損失を抑制する上で有利なモータジェネレータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施形態は、第1ハウジングにより形成される第1内部空間に収容されたモータと、前記第1ハウジングとは別体の第2ハウジングにより形成される第2内部空間に収容されたジェネレータと、前記第1内部空間と前記第2内部空間とを連通する連通管と、冷却媒体を第1内部空間および第2内部空間に供給し前記モータおよび前記ジェネレータを冷却して循環させる冷却装置とを備え、車両に搭載されるモータジェネレータ装置であって、前記連通管に前記連通管内の圧力調整を行なうブリーザが設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施形態は、前記連通管から分岐する分岐管部が設けられ、前記ブリーザは、前記分岐管部の先端に設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施形態は、前記モータジェネレータ装置が動作することによって、前記連通管内で前記第1内部空間寄りの箇所または前記第2内部空間寄りの箇所のうちの一方が大気圧よりも低い負圧となり、他方が大気圧よりも高い正圧となった状態で、前記連通管内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に前記ブリーザが設けられていることを特徴とする。
本発明の一実施形態は、前記連通管の一方の端部は他方の端部よりも高い箇所に位置し、前記一方の端部から前記他方の端部まで前記連通管の高さが単調に低下していることを特徴とする。
本発明の一実施形態は、前記ジェネレータは、水平方向に延在する回転軸を有するロータを備え、前記第2ハウジングは、前記回転軸の軸方向で対向し前記ロータを挟んで設けられた一対の側壁を備え、前記一対の側壁のうちの一方の側壁の上部に前記連通管が接続されていることを特徴とする。
本発明の一実施形態は、前記連通管は複数の屈曲部を含んで構成され、前記分岐管部は前記屈曲部で挟まれた前記連通管の上面の箇所から上方に突出されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、第1内部空間および第2内部空間全体の圧力と大気圧とに差が生じたときに連通管に設けたブリーザを介して空気が流通することで第1内部空間および第2内部空間全体の圧力の調整がなされる。
したがって、従来のように第1ハウジングおよび第2ハウジングのそれぞれにブリーザを設けた場合に比較して、ブリーザから放出される冷却媒体の低減を図り、ブリーザ周辺が冷却媒体により汚損されることを抑制する上で、また、冷却媒体の損失を抑制する上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、ブリーザを連通管の中間箇所から分岐する分岐管部の先端に設けたので、連通管から離れた箇所にブリーザを配置できることから、ブリーザを冷却媒体にさらされにくくでき、ブリーザのオイル詰まりやブリーザから冷却媒体が放出されることを抑制し、また、冷却媒体の損失を抑制する上でより有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、連通管内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所にブリーザが設けられているので、ブリーザで流通する空気量を抑制する上で有利となり、ブリーザから冷却媒体が放出されることを抑制し、また、冷却媒体の損失を抑制する上でより有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、一方の端部から他方の端部まで連通管の高さが単調に低下しているため、連通管を流通する空気に含まれる冷却媒体が油滴となって連通管の谷部に溜まって連通管による空気の流通が阻害されない。そのため、冷却媒体の流れを円滑にしモータおよびジェネレータを効率よく冷却する上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、ジェネレータを収容する第2ハウジングの一方の側壁に連通管を接続したので、連通管に冷却媒体が侵入しにくくなり、冷却媒体の流れを円滑にしモータおよびジェネレータを効率よく冷却する上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態によれば、ブリーザが設けられた分岐管部は、屈曲部で挟まれた連通管の長手方向の中間部に設けられているので、オイルミストを含む空気は屈曲部において進路変更され、オイルミストは連通管の壁面に付着しやすくなる。そのため、オイルミストが分岐管部に到達しにくくなり、オイルミストの外部への放出を防止する上で有利となり、また、冷却媒体の損失を抑制する上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態のモータジェネレータ装置の構成を模式的に示す説明図である。
図2】本実施の形態のモータジェネレータ装置の正面図である。
図3図2のA矢視図である。
図4図2のB矢視図である。
図5】本実施の形態の連通管の正面図である。
図6図5のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明が適用される車両がバッテリから供給される電力によって駆動されるモータのみを駆動源とし、回生ブレーキによりジェネレータで発電された電力でバッテリを充電する電気自動車である場合について説明する。なお、本発明は、電気自動車に限定されるものではなくエンジンおよびモータの双方を駆動源とし外部電源によるバッテリの充電を行なうプラグインハイブリッド自動車、外部電源によるバッテリの充電を行わないハイブリッド車にも無論適用される。
【0009】
図1に示すように、車両のエンジンルーム(モータルーム)には、本実施の形態のモータジェネレータ装置10が搭載されている。
図1において、実線矢印は冷却媒体12(冷却油)の流れを示し、白矢印は冷却媒体12のミスト(オイルミスト)を含む空気の流れを示している。
モータジェネレータ装置10は、モータ14と、ジェネレータ16と、冷却装置18と、第1ハウジング20と、第2ハウジング22と、連通管24と、ブリーザ26とを含んで構成されている。
なお、以下の説明では、各部材の上下方向および上下方向の位置関係は、モータジェネレータ装置10が車両に搭載された状態で規定するものとする。また、以下の図面において符号UPは上方を示す。
エンジンルームに第1ハウジング20と、第1ハウジング20とは別体での第2ハウジング22と、冷却媒体12循環用のポンプ28とが配置され、第2ハウジング22は第1ハウジング20よりも低い箇所に配置されている。
モータ14は、第1ハウジング20に形成された第1内部空間S1に不図示のブラケットを介して回転軸1402(図2参照)を水平方向に延在させて配置されている。
図2から図4に示すように、第1ハウジング20は、モータ14の回転軸1402の軸方向において互いに対向する一対の側壁2002と、それら側壁2002を接続する周壁2004とを含んで構成されている。
側壁2002には、モータ14の回転軸1402との隙間をシールする不図示のシール部材が設けられている。
周壁2004の上部には、後述する連通管24の一端が連結される第1連結口2006が設けられている。
【0010】
図1に示すように、ジェネレータ16は、第2ハウジング22に形成された第2内部空間S2に不図示のブラケットを介してモータ14よりも低い箇所に配置されている。
ジェネレータ16は、回転軸1602(図2参照)を水平方向に延在させて回転可能に支持された不図示のロータと、ロータの周囲に配置された不図示のステータとを含んで構成されている。
図2から図4に示すように、第2ハウジング22は、ロータの回転軸1602の軸方向において互いに対向する一対の側壁2202と、それら側壁2202を接続する周壁2204とを含んで構成され、第2ハウジング22は第1ハウジング20よりも低い箇所に配置されている。
一対の側壁2202のうちの一方の側壁2202の上部には、後述する連通管24の他端が連結される第2連結口2206が設けられている。第2連結口2206は第1連結口2006よりも低い箇所に設けられている。
第2ハウジング22の側壁2202にはジェネレータ16の回転軸1602との隙間をシールする不図示のシール部材が設けられている。
【0011】
図1に示すように、モータ14およびジェネレータ16を冷却する冷却装置18は、冷却媒体12用通路30およびポンプ28を含んで構成されている。
ポンプ28の吐出口2802と第1内部空間S1の上部および第2内部空間S2の上部とは冷却媒体12用通路30の往路3002を介して接続され、第1内部空間S1の底部と第2内部空間S2の下部とポンプ28の吸い込み口2804とは冷却媒体12用通路30の復路3004A、3004Bを介して接続されている。
ポンプ28の吸い込み口2804から冷却媒体12が往路3002を介して第1内部空間S1の上部に供給されモータ14を冷却し、また、冷却媒体12が往路3002を介して第2内部空間S2の上部に供給されジェネレータ16を冷却する。
モータ14を冷却した冷却媒体12は、第1内部空間S1の底部から第1復路3004Aを介して第2内部空間S2の底部に至り、ジェネレータ16を冷却した冷却媒体12は、モータ14を冷却した冷却媒体12と共に第2復路3004Bを介して第2内部空間S2の底部からポンプ28の吸い込み口2804に戻される。
【0012】
連通管24は、図2から図4に示すように、第1内部空間S1と第2内部空間S2とを連通している。
連通管24は、第1内部空間S1の圧力と第2内部空間S2の圧力とをほぼ同じ圧力にするものである。これにより、冷却通路30を流れる冷却媒体12の流れが円滑になるように図られている。
図5に示すように、連通管24は、長手方向の中間部を構成する金属管32と、金属管32の長手方向の両端に連結された第1ゴムホース部34と第2ゴムホース部36とを含んで構成されている。
図3図4に示すように、連通管24の長手方向の一端を構成する第1ゴムホース部34の端部は、第1ハウジング20の第1連結口2006に連結されている。
また、連通管24の長手方向の他端を構成する第2ゴムホース部36の端部は、第2ハウジング22の第2連結口2206に連結されている。
第1連結口2006は第2連結口2206よりも高い箇所に位置しているため、連通管24の長手方向の一端は長手方向の他端よりも高い箇所に位置している。
【0013】
図2図3に示すように、連通管24の長手方向に間隔をおいた複数箇所は、本実施の形態では金属管32の第1ゴムホース部34側の端部と、金属管32の長手方向の中間部は、クランプ38により第1ハウジング20に取り付けられている。
そして、図2図4に示すように、連通管24の長手方向の一端から他端まで連通管24の高さは上昇することなく単調に低下している。
なお、本明細書において、単調に低下しているとは、低下したのち上昇することがないという意味であり、したがって、連通管24の中間箇所に谷部が形成されていないことを意味する。
また、図6に示すように、連通管24の長手方向の一端と他端の間の連通管24の箇所には複数の屈曲部K1-K6が設けられている。
本実施の形態では屈曲部K1-K6は、金属管32と第1ゴムホース部34と第2ゴムホース部36とにそれぞれ設けられている。
【0014】
なお、連通管24全体をゴムホースで形成する場合に比較して、連通管24の中間部分を金属管32とし、連通管24の両端部分を第1、第2ゴムホース部34、36とすることで以下の効果が奏される。
1)金属管32の部分で後述する分岐管部40を容易に設ける上で有利となる。
2)振動を第1、第2ゴムホース部34、36で吸収し、振動によって連通管24がずれることを抑制する上で有利となる。
【0015】
ブリーザ26は、図5に示すように、分岐管部40を介して連通管24に設けられている。
分岐管部40は、連通管24の長手方向の中間部に設けられている。
図5図6に示すように、分岐管部40の第1連結口2006側に3つの屈曲部K1、K2、K3が位置し、分岐管部40の第2連結口2202側に3つの屈曲部K4、K5、K6が位置し、したがって、分岐管部40は複数の屈曲部で挟まれた連通管24の長手方向の中間部に設けられている。
分岐管部40は、連通管24の上面から上方に向けて突出している。
ブリーザ26は、連通管24内と外部との間で空気を流通させることで連通管24内の圧力調整を行なうものである。
ブリーザ26による圧力調整により、ブリーザ26および連通管24を介して第1内部空間S1および第2内部空間S2全体の圧力と大気圧との圧力差が低減され、第1ハウジングおよび第2ハウジングに設けられたシール部材の破損が抑制される。
図1に示すように、ブリーザ26には、水や泥の侵入を防止しつつ通気を妨げないブリーザキャップ42が取り付けられている。
【0016】
ここで、ブリーザ26の取り付け位置について説明する。
図1に示すように、モータジェネレータ装置10が動作することによって、モータ14およびジェネレータ16が発熱し、冷却装置18によって冷却媒体12がモータ14およびジェネレータ16に供給され、モータ14およびジェネレータ16が冷却される。
本実施の形態の場合、モータ14の発熱量はジェネレータ16の発熱量よりも高くなりがちであることから、モータ14を収容する第1内部空間S1の空気は、モータ14を冷却し高温となった冷却媒体12に気泡として混入しやすく、第1内部空間S1の圧力が大気圧よりも低い負圧になりやすい。
気泡が混入した高温の冷却媒体12が、第1復路3004Aを介して第1内部空間S1の底部から第2内部空間S2の底部へ流入すると、第2内部空間S2の底部に流入した高温の冷却媒体12の気泡が破裂してオイルミストを含む空気が第2内部空間S2の空気に加わる。
このような現象により第1内部空間S1の圧力が大気圧よりも低い負圧となる一方、第2内部空間S2の圧力が大気圧よりも高い正圧となる。
したがって、第1内部空間S1と第2内部空間S2を連通する連通管24内で第1内部空間S1寄りの箇所が大気圧よりも低い負圧となり、連通管24内で第2内部空間S2寄りの箇所が大気圧よりも高い正圧となる。
このような状態で、連通管24内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に分岐管部40が分岐され、分岐管部40の先端にブリーザ26が設けられている。
【0017】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、第1内部空間S1および第2内部空間S2を連通する連通管24を設け、連通管24に圧力調整を行なうブリーザ26を設けたので、第1内部空間S1および第2内部空間S2全体の圧力と大気圧とに差が生じたときにブリーザ26を介して空気が流通することで第1内部空間S1および第2内部空間S2全体の圧力の調整がなされる。
したがって、従来のように第1ハウジング20および第2ハウジング22のそれぞれにブリーザ26を設けた場合に比較して、ブリーザ26から放出される冷却媒体12(オイルミスト)の低減を図り、ブリーザ26周辺が冷却媒体12により汚損されることを抑制する上で、また、冷却媒体12の損失を抑制する上で有利となる。
また、従来のように第1ハウジング20および第2ハウジング22のそれぞれにブリーザ26を設ける場合には、ブリーザ26に水や泥がかからない箇所にブリーザ26を設ける必要があり、ブリーザ26のレイアウトの自由度が制約を受けていた。
これに対し本実施の形態では、連通管24にブリーザ26を設けるため、連通管24の形状や位置を工夫することで、水や泥がかからない位置にブリーザ26を容易にレイアウトすることができ、ブリーザ26のレイアウトの自由度を確保する上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態では、連通管24は、第1内部空間S1と第2内部空間S2とを連通する連通管24と、連通管24の中間箇所から分岐する分岐管部40とを備え、ブリーザ26を分岐管部40の先端に設けた。
したがって、連通管24からブリーザ26を離れた箇所に配置できるので、連通管24を流通する空気に含まれるオイルミストがブリーザ26に届きにくくなることから、ブリーザ26を冷却媒体12(オイルミスト)にさらされにくくできる。そのため、ブリーザ26のオイル詰まりやブリーザ26から冷却媒体12(オイルミスト)が放出されることを抑制でき、また、冷却媒体12の損失を抑制する上で有利となる。
また、本実施の形態では、分岐管部40は連通管24の中間箇所の上面から上方に向けて分岐されており、分岐管部40の先端にブリーザ26に取り付けられているので、ブリーザ26のオイル詰まりやブリーザ26から冷却媒体12(オイルミスト)が放出されることを抑制でき、また、冷却媒体12の損失を抑制する上でより有利となる。
【0019】
また、本実施の形態では、モータジェネレータ装置10が動作することによって、連通管24内のうち第1内部空間S1寄りの箇所が大気圧よりも低い負圧となり、連通管24内のうち第2内部空間S2寄りの箇所が大気圧よりも高い正圧となった状態で、連通管24内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に対応する連通管24の部分にブリーザ26を設けた。
したがって、ブリーザ26が設けられた連通管24の箇所の圧力が大気圧に近い値となるため、ブリーザ26で流通する空気量を抑制する上で有利となり、ブリーザ26のオイル詰まりやブリーザ26から冷却媒体12(オイルミスト)が放出されることを抑制し、また、冷却媒体12の損失を抑制する上でより有利となる。
【0020】
なお、本実施の形態では、第2ハウジング22が第1ハウジング20よりも低い箇所に配置され、ジェネレータ16を冷却した冷却媒体12が第1内部空間S1の底部からモータ14を収容する第2内部空間S2の底部に流れ、かつ、モータ14の発熱量がジェネレータ16の発熱量よりも高くなる場合について説明した。
しかしながら、上記とは逆に第1ハウジング20が第2ハウジング22よりも低い箇所に配置されモータ14を冷却した冷却媒体12が第2内部空間S2の底部からジェネレータ16を収容する第1内部空間S1の底部に流れ、かつ、ジェネレータ16の発熱量がモータ14の発熱量よりも高くなる場合は第1内部空間S1および第2内部空間S2の圧力の高低の関係が上記の場合と逆になる。
この場合は、第1内部空間S1と第2内部空間S2を連通する連通管24内で第2内部空間S2寄りの箇所が大気圧よりも低い負圧となり、連通管24内で第1内部空間S1寄りの箇所が大気圧よりも高い正圧となる。
この場合においても、上記の場合と同様に、連通管24内のうち大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に対応する連通管24の部分にブリーザ26が設けられ、したがって、分岐管部40の先端にブリーザ26が設けられる。
このような場合においても上記と同様の効果が奏される。
すなわち、モータジェネレータ装置10が動作することによって、連通管24内で第1内部空間S1寄りの箇所または第2内部空間S2寄りの箇所の一方が大気圧よりも低い負圧となり、他方が大気圧よりも高い正圧となった状態で、連通管24内で大気圧とほぼ等しい圧力となる箇所に対応する連通管24の部分にブリーザ26を設ければよい。
【0021】
また、本実施の形態によれば、連通管24の一方の端部は他方の端部よりも高い箇所に位置し、一方の端部から他方の端部まで連通管24の高さが単調に低下しているものとした。
したがって、連通管24に局所的に高さが低下する谷部が形成されないため、連通管24を流通する空気に含まれる冷却媒体12(オイルミスト)が油滴となって連通管24の谷部に溜まって連通管24による空気の流通が阻害されることを抑制する上で有利となる。
そのため、連通管24による空気の流通が阻害されないので、冷却媒体12の流れを円滑にしモータ14およびジェネレータ16を効率よく冷却する上で有利となる。
【0022】
また、本実施の形態によれば、ジェネレータ16は、回転軸1402を水平方向に向けて回転可能に支持されたロータを備え、第2ハウジング22は、ロータの回転軸1602方向で対向しロータを挟んで設けられた一対の側壁2202を備えている。
ここで、ロータに供給された冷却媒体12は、ロータの回転に伴いロータの半径方向外方に飛散するため、飛散した冷却媒体12は、一対の側壁2202には到達しにくくなっている。
本実施の形態では、一対の側壁2202のうちの一方の側壁2202に連通管24を接続したので、連通管24に冷却媒体12が侵入しにくくなり、連通管24に油滴が溜まって連通管24による空気の流通が阻害されることを抑制する上で有利となる。
そのため、連通管24による空気の流通が阻害されないので、冷却媒体12の流れを円滑にしモータ14およびジェネレータ16を効率よく冷却する上で有利となる。
【0023】
また、ブリーザ26が設けられた分岐管部40は、屈曲部で挟まれた連通管24の長手方向の中間部に設けられている。
そのため、第2内部空間S2で発生したオイルミストを含む空気が連通管24を介して第1内部空間S1に流れる際に、オイルミストを含む空気は屈曲部において進路変更され、オイルミストは連通管24の壁面に付着しやすくなり、オイルミストが分岐管部40に到達しにくくなる。
したがって、第2内部空間S2で発生し連通管24を流れる空気に混在したオイルミストの外部への放出を防止する上で有利となり、冷却媒体12の損失を抑制する上でより有利となる。
【符号の説明】
【0024】
10 モータジェネレータ装置
12 冷却媒体(冷却油)
14 モータ
1402 回転軸
16 ジェネレータ
1602 回転軸
18 冷却装置
20 第1ハウジング
2002 側壁
2004 周壁
2006 第1連結口
22 第2ハウジング
2202 側壁
2204 周壁
2206 第2連結口
24 連通管
26 ブリーザ
28 ポンプ
2802 吐出口
2804 吸い込み口
30 冷却媒体用通路
3002 往路
3004A 第1復路
3004B 第2復路
32 金属管
34 第1ゴムホース部
36 第2ゴムホース部
38 クランプ
40 分岐管部
42 ブリーザキャップ
S1 第1内部空間
S2 第2内部空間
K1-K6 屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6