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特開2024-110025インクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法
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  • 特開-インクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法 図1
  • 特開-インクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110025
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014324
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】原島 正治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC28
2C056FD20
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】媒体の搬送速度を上昇させても、活性エネルギー照射空間の不活性ガス濃度の低下を防ぐことができる。
【解決手段】インクジェットプリンタ100は、不活性ガスが充満される空間10を形成する仕切部3と、空間10に搬送された記録媒体Pの表面4に、ラジカル硬化性インクを硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部1と、空間10の内部から、搬送路Sの上流側と仕切部3との隙間20に対して、不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された記録媒体の表面に、ラジカル硬化性インクを硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備えるインクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記不活性ガス吹出部は、
前記記録媒体の搬送方向に対して斜め上方から、前記不活性ガスを吹き付ける、
請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記空間は、
前記活性エネルギー線照射部側から前記記録媒体の搬送面に向けて拡がっている、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記不活性ガス吹出部は、
前記空間を形成する前記搬送路の下流側上方に配置される、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記不活性ガス吹出部は、
活性エネルギー線を透過する材料で形成され、
前記隙間の直前に、当該不活性ガス吹出部の先端が配置される、
請求項4に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記不活性ガス吹出部が吹き付ける不活性ガスを前記隙間に導くガイド部材を、さらに備え、
前記ガイド部材は、
活性エネルギー線を透過する材料で形成される、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項7】
前記不活性ガス吹出部は、
前記空間を形成する前記搬送路の上流側上方に配置され、
前記隙間の直前に、当該不活性ガス吹出部の先端が配置されるとともに、前記先端までの経路が湾曲している、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項8】
前記不活性ガス吹出部は、
前記不活性ガスを吹き付ける供給量を調整する供給量調整部を、さらに備える、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項9】
前記不活性ガス吹出部は、
前記不活性ガスを吹き付ける角度を調整する角度調整部を、さらに備える、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項10】
前記仕切部の前記空間側は、
鏡面で形成されている、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項11】
前記記録媒体を搬送する搬送装置と、
前記記録媒体に前記ラジカル硬化性インクを付着させるインクジェットヘッドを有する画像形成部と、
前記搬送路の上流に設置された遮蔽板と、さらに備え、
前記遮蔽板は、
前記仕切部と前記画像形成部の間に配置される、
請求項1または2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項12】
不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備える活性エネルギー線照射装置。
【請求項13】
不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備える不活性ガス吹付け装置。
【請求項14】
仕切部によって形成された空間の内部から、記録媒体の搬送路と前記仕切部との隙間に対して、不活性ガスを吹き付けるステップと、
前記記録媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射するステップと、
を実行する不活性ガス吹付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UV(ultraviolet)インク(例えば、ラジカルUVインク)は、紫外線が照射されることで硬化する。一方、UVインクは、ある一定の積算光量を与えないと硬化しない、という性質を有している。そのため、近年、紫外線の照射時に光量を増加させる取り組みが、種々、検討されている。
【0003】
また、UVインクの種類によっては、紫外線照射時に酸素があると硬化の妨げになり、十分に硬化しないことがある(所謂、酸素阻害)。そこで、酸素を除去する技術として、例えば、窒素パージに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の要約書には、「ラジカル硬化性インクが付着された記録媒体101が搬入され活性エネルギー線を照射する照射部2と、照射部2に搬入される前の記録媒体101の表面に気流を吹き付ける噴気部3とを備え、気流は、記録媒体101の表面において、搬入方向Aに対する垂直方向の流速成分V⊥が、搬入速度vtの1.5倍以上である。」と、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-209651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された活性エネルギー線照射装置およびインクジェットは、記録媒体の表面に吹き付ける気流により記録媒体の表面付近に形成される層流(空気層)を破壊する。これにより、特許文献1の活性エネルギー線照射装置およびインクジェットは、活性エネルギー線照射時の酸素阻害を回避している。
【0007】
しかしながら、記録媒体の搬送速度を上昇させると、記録媒体の表面付近の層流の流量も増加する。そのため、搬送路の上流では、窒素濃度が低下する。したがって、搬送速度を上昇させると、搬送路の上流に窒素の供給量を増やす必要が生じる。搬送路の上流において、窒素の供給量を増やすためには、窒素を供給する供給装置を大型化する必要があり、コストが上がってしまう。
【0008】
このような課題に関し、本発明では、媒体の搬送速度を上昇させても活性エネルギー照射空間の不活性ガス濃度の低下を防ぐインクジェットプリンタ、活性エネルギー線照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の上記課題は、下記の構成により解決される。
(1)不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された記録媒体の表面に、ラジカル硬化性インクを硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備えるインクジェットプリンタ。
【0010】
(2) 前記不活性ガス吹出部は、
前記記録媒体の搬送方向に対して斜め上方から、前記不活性ガスを吹き付ける、
(1)に記載のインクジェットプリンタ。
【0011】
(3) 前記空間は、
前記活性エネルギー線照射部側から前記記録媒体の搬送面に向けて拡がっている、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0012】
(4) 前記不活性ガス吹出部は、
前記空間を形成する前記搬送路の下流側上方に配置される、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0013】
(5) 前記不活性ガス吹出部は、
活性エネルギー線を透過する材料で形成され、
前記隙間の直前に、当該不活性ガス吹出部の先端が配置される、
(4)に記載のインクジェットプリンタ。
【0014】
(6) 前記不活性ガス吹出部が吹き付ける不活性ガスを前記隙間に導くガイド部材を、さらに備え、
前記ガイド部材は、
活性エネルギー線を透過する材料で形成される、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0015】
(7) 前記不活性ガス吹出部は、
前記空間を形成する前記搬送路の上流側上方に配置され、
前記隙間の直前に、当該不活性ガス吹出部の先端が配置されるとともに、前記先端までの経路が湾曲している、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0016】
(8) 前記不活性ガス吹出部は、
前記不活性ガスを吹き付ける供給量を調整する供給量調整部を、さらに備える、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0017】
(9) 前記不活性ガス吹出部は、
前記不活性ガスを吹き付ける角度を調整する角度調整部を、さらに備える、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0018】
(10) 前記仕切部の前記空間側は、
鏡面で形成されている、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0019】
(11) 前記記録媒体を搬送する搬送装置と、
前記記録媒体に前記ラジカル硬化性インクを付着させるインクジェットヘッドを有する画像形成部と、
前記搬送路の上流に設置された遮蔽板と、さらに備え、
前記遮蔽板は、
前記仕切部と前記画像形成部の間に配置される、
(1)または(2)に記載のインクジェットプリンタ。
【0020】
(12) 不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備える活性エネルギー線照射装置。
【0021】
(13) 不活性ガスが充満される空間を形成する仕切部と、
前記空間に搬送された媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射部と、
前記空間の内部から、搬送路の上流側と前記仕切部との隙間に対して、前記不活性ガスを吹き付ける不活性ガス吹出部と、
を備える不活性ガス吹付け装置。
【0022】
(14) 仕切部によって形成された空間の内部から、記録媒体の搬送路と前記仕切部との隙間に対して、不活性ガスを吹き付けるステップと、
前記記録媒体の表面に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射するステップと、
を実行する不活性ガス吹付け方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、媒体の搬送速度を上昇させても、活性エネルギー照射空間の不活性ガス濃度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図2】不活性ガス吹出部が、隙間に対して不活性ガスを吹き付ける吹付け角度を説明するための説明図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第6実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第7実施形態に係るインクジェットプリンタの全体構成の概略構成を示すブロック図である。
図9】不活性ガス吹出部の外観を示す斜視図である。
図10】不活性ガス吹出部が取り付けられた仕切部を側面視した図である。
図11】不活性ガス吹出部が取り付けられた仕切部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実現するための一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正または変更されるべきものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、同一の構成については同一の符号を付し、説明を適宜、省略する。
【0026】
<第1実施形態>
インクジェットプリンタ100は、記録媒体Pの表面に付着したラジカル硬化性インク(UV:UltraVioletインク)に活性エネルギーを照射することで、ラジカル硬化性インクを硬化させる。これにより、インクジェットプリンタ100は、UVプリンタとして機能する。以降、本発明を実施するための実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
なお、第1実施形態から第7実施形態では、インクジェットプリンタに適用した場合について説明するが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、変形例として後述するように、媒体としての基材のガラスやフィルムにUV硬化樹脂を塗布し、UV照射する活性エネルギー照射装置、不活性ガス吹付け装置および不活性ガス吹付け方法としても適用することができる。
【0028】
[インクジェットプリンタの構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ100の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ100は、活性エネルギー線照射部1、不活性ガス吹出部2、仕切部3、搬送装置30および画像形成部40を備えている。
【0030】
画像形成部40は、インクジェットヘッド41~44を備え、記録媒体Pに画像形成する。画像形成部40は、一例として、Y(イエロー)のインクジェットヘッド41、M(マゼンタ)のインクジェットヘッド42、C(シアン)のインクジェットヘッド43、K(ブラック)のインクジェットヘッド44を備えている。インクジェットプリンタ100は、4色用の4個のインクジェットヘッド41~44を有しているが、これに限定されず、単色ヘッドの数は適宜増減することができる。
【0031】
インクジェットヘッド41~44は、この実施形態においては、画像形成中は固定して配置されるインクジェット記録ヘッドであり、いわゆるシングルパス方式のインクジェットプリンタを構成している。ただし、本発明は、いわゆるスキャン方式のインクジェットプリンタにも適用することができる。
【0032】
搬送装置30は、円筒の表面に記録媒体Pを載置して搬送する。搬送装置30は、載置された記録媒体Pを画像形成部40に搬送して、インクジェットヘッド41~44によりラジカル硬化性インクによる画像形成をさせた後、その記録媒体Pを仕切部3の空間10に搬送して活性エネルギー線照射部1の直下に搬入する。なお、搬送装置30は、円筒状で形成されているが、この形状に限定されるものではなく、記録媒体Pを平面のまま載置させて、表面に沿う方向に搬送するものであってもよい。また、記録媒体Pは、長尺状(ロール状)のシートや、枚葉式のシートの何れであってもよい。
【0033】
活性エネルギー線照射部1は、空間10に搬送された記録媒体Pの表面4に、UVインクを硬化させる活性エネルギー線として紫外線を照射する。UVインクは、ラジカル硬化性インクに含まれるラジカル重合開始剤が紫外線により活性種を発生し、重合反応によりインク全体が硬化する特性を有している。そのため、インクジェットプリンタ100は、記録媒体Pの表面4のUVインクに活性エネルギー線を照射することで、ラジカル硬化性インクを硬化させる。
【0034】
ラジカル重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマー又はこれらの混合物の何れであってもよい。ラジカル重合性化合物は格別限定されず、例えば、N-ビニル化合物(N-C=C構造を有する化合物)、不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。N-ビニル化合物としては、例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド等が挙げられる。不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0035】
ラジカル重合性化合物の含有量は、例えば、インクの全質量に対して1~97質量%の範囲とすることが硬化性等の観点で好ましく、30~95質量%の範囲であることがより好ましい。
【0036】
ラジカル硬化性インクには、光ラジカル開始剤を含有させることができる。光ラジカル開始剤としては、例えば、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤等が挙げられる。開裂型ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、アシルホスフィンオキシド系開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。水素引き抜き型ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系開始剤、チオキサントン系開始剤、アミノベンゾフェノン系開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノンおよびカンファーキノン等が挙げられる。
【0037】
光ラジカル開始剤の含有量は、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、例えば、インクの全質量に対して0.01~10質量%の範囲とすることができる。
【0038】
ラジカル硬化性インクは、以上に説明した成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、顔料や染料等の色材、ゲル化剤、重合禁止剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0039】
なお、活性エネルギー線とは、ラジカル硬化性インクに含まれるラジカル重合性化合物を重合させて硬化させるエネルギー線のことである。活性エネルギー線には、例えば、α線、γ線、X線、紫外線(UV)などが該当する。例えば、紫外線(UV)は、フォトンエネルギーが比較的高いため、ランプの発する波長によって、硬化、接着、乾燥などに利用される。中でも、硬化感度および装置の入手容易性の観点から紫外線および電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
【0040】
不活性ガス吹出部2は、空間10の内部から、搬送路Sの上流側と、仕切部3との隙間20に対して、不活性ガスを吹き付ける。不活性ガスとは、化学合成や化学分析や反応性の高い物質の保存に利用される反応性の低い気体のことであり、例えば、窒素やアルゴンなどである。
【0041】
インクジェットプリンタにおいて使用されるラジカル硬化性インク(例えば、ラジカルUVインク)は、酸素との反応性が高く、活性エネルギー線照射による硬化時に、大気中の酸素によって重合反応が阻害される特性(酸素阻害)がある。不活性ガス吹出部2は、この問題を解決するため、硬化時に窒素(N)やアルゴン(Ar)などラジカル硬化性インクに対し不活性な気体を供給し、記録媒体表面付近の酸素を含む空気を不活性気体に置換する。不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの下流側の上方に配置されている。
【0042】
仕切部3は、活性エネルギー線照射部1によって記録媒体Pの表面4が照射される照射領域を仕切っている。仕切部3は、搬送装置30に近接して設置されることで、閉じた空間10を形成する。仕切部3によって形成される空間10は、活性エネルギー線照射部1の側から記録媒体Pの搬送面に向けて拡がっている。仕切部3により形成された空間10に不活性ガスを噴射することで、活性エネルギー線の照射領域における不活性ガスの濃度をより高めることができる。
【0043】
また、仕切部3の空間10側は、鏡面で形成されている。これにより、仕切部3の空間10側は、記録媒体Pの表面から反射された紫外線を反射して、記録媒体Pの表面の紫外線をより強くすることができる。
【0044】
[インクジェットプリンタの動作]
インクジェットプリンタ100は、画像形成部40のインクジェットヘッド41~44によって、記録媒体Pに画像を形成する。その後、搬送装置30は、画像形成された記録媒体Pを、仕切部3によって形成された空間10に搬送する。記録媒体Pが空間10に搬送されると共に、酸素を含んだ空気の層流が発生し、空間10に酸素が進入する。記録媒体Pの搬送速度が上がるにつれて、酸素を含んだ空気の層流の流量が増え、空間10の不活性ガスの濃度が低下してしまう。
【0045】
搬送装置30が、画像形成された記録媒体Pを空間10に搬送する際、不活性ガス吹出部2は、空間10の内部から、搬送路Sの上流側と仕切部3との隙間20に対して、不活性ガス(窒素)を吹き付け、併せて空間10を窒素で充満させる。これにより、空間10は、層流の影響を抑えて、不活性ガスの濃度低下を防ぐことができる。
【0046】
不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの下流側上方に配置されている。これにより、不活性ガス吹出部2は、記録媒体Pの搬送方向に対して斜め上方から、不活性ガスを吹き付けることができる。
【0047】
よって、インクジェットプリンタ100は、記録媒体の搬送速度を上昇させても、記録媒体Pの表面4上の空気を含む層流を逆方向に吹き飛ばすので、活性エネルギー線が照射される空間10の不活性ガス濃度の低下を防ぐことができる。
【0048】
搬送装置30は、画像形成された記録媒体Pを搬送するとともに、活性エネルギー線照射部1は、空間10に搬送された記録媒体Pの表面4に活性エネルギー線を照射して、ラジカル硬化性インクを硬化させる。
【0049】
このように、インクジェットプリンタ100は、空間10に搬送された記録媒体Pの表面4に、活性エネルギー線照射部1によって活性エネルギー線を照射させると、一連の画像形成の工程を終了する。
【0050】
[不活性ガス吹出部の照射角度]
図2は、不活性ガス吹出部2が、隙間20に対して不活性ガスを吹き付ける、吹き付け角度αを説明するための説明図である。
【0051】
図2に示すように、不活性ガス吹出部2は、空間10の内部から、隙間20に対して、不活性ガスを吹き付ける。不活性ガス吹出部2は、接線方向に対して、吹き付け角度αが45°から0°までの何れかで吹き付けることが望ましく、図2では、吹き付け角度αが15°で吹き付けている。なお、吹き付け角度αは、プラスの度数に限定されるものではなく、マイナスの度数であってもよい。
【0052】
以上説明したように、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ100は、活性エネルギー線照射部1、不活性ガス吹出部2および仕切部3を備えて構成されている。仕切部3は、不活性ガスが充満される空間10を形成する。
【0053】
第1実施形態によれば、インクジェットプリンタ100は、不活性ガス吹出部2により、空間10の内部から、搬送路Sの上流側と仕切部3との隙間20に対して、不活性ガスを吹き付ける。また、インクジェットプリンタ100は、活性エネルギー線照射部1により、空間10に搬送された記録媒体Pの表面4に、ラジカル硬化性インクを硬化させる活性エネルギー線を照射する。
【0054】
これにより、第1実施形態に係るインクジェットプリンタ100は、搬送装置30の搬送速度を上昇させても、空間10の不活性ガス濃度の低下を防ぐことができ、酸素を含む空気の進入を防ぐことができる。よって、インクジェットプリンタ100は、例えば、酸素阻害の特有である「べたつき感」を解消できるとともに、速乾性に優れ、高品質の画像を記録媒体Pに形成できる。なお、記録媒体Pは記録紙や紙媒体に限られない。
【0055】
<第2実施形態>
[インクジェットプリンタの構成]
図3は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタ101の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0056】
図3に示すように、第2実施形態に係るインクジェットプリンタ101の不活性ガス吹出部2は、エネルギー線を透過する材料で形成され、隙間20の直前に、不活性ガス吹出部2の先端5が配置されている。
【0057】
不活性ガス吹出部2は、例えば、石英ガラスで形成され、不活性ガスを、搬送路Sの下流側上方から隙間20の直前まで直線的に導くことができるので、隙間20に対して、不活性ガス吹出部2の先端5から直接吹き付けることができる。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態に係るインクジェットプリンタ101の不活性ガス吹出部2は、エネルギー線を透過する材料で形成され、隙間20の直前に不活性ガス吹出部2の先端5が配置されている。
【0059】
第2実施形態によれば、インクジェットプリンタ101は、隙間20に対して、不活性ガス吹出部2の先端5から直接吹き付けることができる。そして、不活性ガス吹出部2は、エネルギー線を透過する材料で形成されているので、活性化エネルギー線を遮ることがない。そのため、活性エネルギー線照射部1は、記録媒体Pに好適に活性エネルギー線を照射できる。
【0060】
<第3実施形態>
[インクジェットプリンタの構成]
図4は、本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタ102の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
図4に示すように、第3実施形態に係るインクジェットプリンタ102は、不活性ガス吹出部2が吹き付ける不活性ガスを隙間20に導くガイド部材6を、さらに備え、ガイド部材6は、活性エネルギー線を透過する材料で形成されている。
【0062】
ガイド部材6は、例えば、平板状に成形された石英ガラスで形成される。ガイド部材6は、不活性ガス吹出部2に装着され、不活性ガス吹出部2が不活性ガスを吹き付けると、その不活性ガスを隙間20に導いている。
【0063】
以上説明したように、第3実施形態に係るインクジェットプリンタ102は、ガイド部材6を備えて形成されている。
【0064】
第3実施形態によれば、インクジェットプリンタ102は、空間10を不活性ガスで充満させた状態で、不活性ガス吹出部2が吹き付ける不活性ガスを、ガイド部材6によって隙間20に導くことができる。また、ガイド部材6はエネルギー線を透過する材料で形成されているので、活性化エネルギーを好適に記録媒体Pに照射できる。
【0065】
<第4実施形態>
[インクジェットプリンタの構成]
図5は、本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタ103の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0066】
図5に示すように、第4実施形態に係るインクジェットプリンタ103の不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの上流側上方に配置され、隙間20の直前に、不活性ガス吹出部2の先端5が配置されるとともに、先端5までの経路が湾曲している。
【0067】
これにより、不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの上流側上方に配置されても、隙間20に対して、記録媒体Pの搬送方向に対して斜め上方から、不活性ガスを吹き付けることができる。換言すれば、不活性ガス吹出部2は、搬送路Sの上流側であっても下流であっても、上方に配置されることで、不活性ガス吹出部2の先端5により、記録媒体Pの搬送方向に対して斜め上方から不活性ガスを吹き付けることができる。
【0068】
また、不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの上流側の上方に配置されているので、活性化エネルギー線を遮ることがない。活性エネルギー線照射部1は、記録媒体Pに好適に活性エネルギー線を照射できる。
【0069】
以上説明したように、第4実施形態に係るインクジェットプリンタ103の不活性ガス吹出部2は、空間10を形成する搬送路Sの上流側上方に配置され、隙間20の直前に、不活性ガス吹出部2の先端5が配置される。また、不活性ガス吹出部2は、先端5までの経路が湾曲している。
【0070】
第4実施形態によれば、インクジェットプリンタ103は、不活性ガス吹出部2が空間10の上方に配置された場合でも空間10を不活性ガスで充満させた状態で、不活性ガス吹出部2の先端5により、隙間20に対して、記録媒体Pの搬送方向に対して斜め上方から不活性ガスを吹き付けることができる。
【0071】
<第5実施形態>
[インクジェットプリンタの構成]
図6は、本発明の第5実施形態に係るインクジェットプリンタ104の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0072】
図6に示すように、第5実施形態に係るインクジェットプリンタ104の不活性ガス吹出部2は、不活性ガスを吹き付ける供給量を調整する供給量調整部7を、さらに備えて構成されている。
【0073】
不活性ガス吹出部2は、例えば、搬送装置30の搬送速度を変更(例えば、減速)することで、空間10内に充満している不活性ガス(例えば、窒素)が過剰となることが想定される。この場合、不活性ガスの濃度が濃くなり、記録媒体Pの画像形成の品質に悪化が想定される。そこで、不活性ガス吹出部2は、記録媒体Pの搬送装置30の搬送速度に応じて、供給量調整部7により不活性ガスの供給量を、適宜、調整する。
【0074】
以上説明したように、第5実施形態に係るインクジェットプリンタ104において、不活性ガス吹出部2は、不活性ガスを吹き付ける供給量を調整する供給量調整部7を、さらに備えて構成されている。
【0075】
第5実施形態によれば、インクジェットプリンタ104は、搬送装置30の搬送速度に応じて、不活性ガス吹出部2が隙間20に対して吹き付ける不活性ガスの供給量を調整する。これにより、インクジェットプリンタ104は、空間10の不活性ガスの濃度の低下を防ぐことができるので、高品質の画像を形成できる。
【0076】
<第6実施形態>
「インクジェットプリンタの構成]
図7は、本発明の第6実施形態に係るインクジェットプリンタ105の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0077】
図7に示すように、第6実施形態に係るインクジェットプリンタ105の不活性ガス吹出部2は、不活性ガスを吹き付ける角度を調整する角度調整部8を、さらに備えて構成されている。
【0078】
不活性ガス吹出部2は、例えば、不活性ガスの供給量に応じて、不活性ガスを吹き付ける最適な角度が想定される。また、搬送装置30の搬送速度に応じて、不活性ガスを吹き付ける角度を変更することも想定される。そのため、不活性ガス吹出部2は、角度調整部8により、不活性ガスを吹き付ける角度を調整する。
【0079】
以上説明したように、第6実施形態に係るインクジェットプリンタ105の不活性ガス吹出部2は、不活性ガスを吹き付ける角度を調整する角度調整部8を、さらに備えて構成されている。
【0080】
第6実施形態によれば、インクジェットプリンタ105は、不活性ガスの供給量に応じて、不活性ガス吹出部2が隙間20に対して不活性ガスを吹き付ける角度を調整できる。これにより、インクジェットプリンタ104は、第5実施形態と同様に、空間10の不活性ガスの濃度の低下を防ぐことができるので、高品質の画像を形成できる。
【0081】
<第7実施形態>
「インクジェットプリンタの構成]
図8は、本発明の第7実施形態に係るインクジェットプリンタ106の全体構成の概略構成を示すブロック図である。
【0082】
図8に示すように、第7実施形態に係るインクジェットプリンタ106は、記録媒体Pを搬送する搬送装置30と、記録媒体Pにラジカル硬化性インクを付着させるインクジェットヘッド41~44を有する画像形成部40と、搬送路Sの上流に設置された遮蔽板50とを、備えている。遮蔽板50は、仕切部3と画像形成部40の間に配置されている。
【0083】
遮蔽板50は、仕切部3と画像形成部40の間に配置されることで、不活性ガス吹出部2が隙間20に対して吹き付ける不活性ガスの気流が、画像形成部40に流入することを防ぐことができる。遮蔽板50は、不活性ガスの気流が、画像形成部40への流入を防ぐためのものであり、搬送装置30に対する垂直方向への高さや接線方向に対する角度などは、特に限定されない。なお、第7実施形態では、遮蔽板50は、仕切部3側にやや傾いている。
【0084】
以上説明したように、第7実施形態に係るインクジェットプリンタ106は、搬送装置30、画像形成部40および遮蔽板50を、備えて構成されている。
【0085】
第7実施形態によれば、インクジェットプリンタ106は、遮蔽板50により、不活性ガスの気流を画像形成部40から遮断する。これにより、インクジェットプリンタ106は、インクジェットヘッド41~44による画像形成への悪影響を防ぐことができる。
【0086】
<不活性ガス吹出部の構成>
図9は、不活性ガス吹出部2aの外観を示す斜視図である。不活性ガス吹出部2aは、一例として、ノズル2bが長手方向に4つ配置されている。不活性ガス吹出部2aは、各ノズル2bが配置される間隔は、無いことが好ましく、特に、限定されない。
【0087】
図10は、不活性ガス吹出部2aが取り付けられた仕切部3を側面視した図である。仕切部3は、インクジェットプリンタ107において側面視したとき、搬送装置30の表面4の側が幅広く、活性エネルギー線照射部1に向かうにつれて幅が狭くなっている。これにより好適に空間10を形成できる。
【0088】
図11は、不活性ガス吹出部2aが取り付けられた仕切部3の斜視図である。仕切部3の下流側には、不活性ガス吹出部2aが固定されている。4つの不活性ガス吹出部2aは、この仕切部3に固定されることで、隙間20に対して不活性ガスを吹き付ける。なお、この図11では、活性エネルギー線照射部1の図示を省略している。
【0089】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)~(d)のようなものがある。
【0090】
(a)第1実施形態から第7実施形態のインクジェットプリンタ100~106において、仕切部3の空間10側は、鏡面で形成されていてもよい。これにより、インクジェットプリンタ100~106は、UV照射エリア内である空間10において、光量の分布ムラを解消することができ、硬化阻害を回避して、高品質の画像を形成できる。
【0091】
(b)第1実施形態から第7実施形態における不活性ガス吹出部2は、搬送路Sの上流側と仕切部3との隙間20に対して、不活性ガスを吹き付けることができればよく、形状や構成は、特に限定されない。例えば、不活性ガス吹出部2は、長手方向に一次元的に配置されたノズルにより形成されていてもよく、また、図9図11に示したように長手方向に二次元的に配置されたノズルにより形成されていてもよい。さらに不活性ガス吹出部2は、細長の直方体として形成されていてもよい。
【0092】
(c) 第1実施形態から第7実施形態では、本発明の内容を、インクジェットプリンタ100~106に適用して説明したが、本実施形態は、これらに限定されない。例えば、インクジェットプリンタ100~106以外の適用として、媒体としての基材のガラスやフィルムにUV硬化樹脂を塗布したのち、UV照射する活性エネルギー線照射部1、不活性ガス吹出部2および仕切部3を備える活性エネルギー線照射装置や、活性エネルギー線照射部1、不活性ガス吹出部2および仕切部3を備える不活性ガス吹付け装置でも、適用できる。この場合、媒体としての基材のガラスやフィルムにUV硬化樹脂を塗布し、UV照射して表面に硬化膜を形成することにより、基材の機械特性、耐薬品性、耐熱性などを向上させることができる。
【0093】
(d) また、本実施形態に係る方法として、仕切部3によって形成された空間10の内部から、記録媒体Pの搬送路Sと仕切部3との隙間20に対して、不活性ガスを吹き付けるステップと、記録媒体Pの表面4に、ラジカル硬化性材料を硬化させる活性エネルギー線を照射するステップと、を実行する不活性ガス吹付け方法を実現してもよい。この場合も活性エネルギー線照射装置や不活性ガス吹付け装置と同様に、媒体としての基材のガラスやフィルムにUV硬化樹脂を塗布し、UV照射して硬化膜を形成することにより、基材の機械特性、耐薬品性、耐熱性などを向上させることができる。
【符号の説明】
【0094】
1 活性エネルギー線照射部
2 不活性ガス吹出部
3 仕切部
4 表面
5 先端
6 ガイド部材
7 供給量調整部
8 角度調整部
10 空間
20 隙間
30 搬送装置
40 画像形成部
41~44 インクジェットヘッド
100~107 インクジェットプリンタ
P 記録媒体
S 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11