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特開2024-110031人力吸引器およびこの人力吸引器を用いた鼻汁吸引装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110031
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】人力吸引器およびこの人力吸引器を用いた鼻汁吸引装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A61M1/00 130
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014339
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】394001087
【氏名又は名称】株式会社京都プラテック
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】長島 博
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA17
4C077CC02
4C077CC04
4C077DD10
4C077DD11
4C077DD12
4C077EE04
(57)【要約】
【課題】一人操作による吸引操作を容易に行うことができる人力吸引器、および、赤ちゃんなどのじっとしていない対象者でも、人力により一人操作によって鼻汁を容易に吸引可能にする前記人力吸引器を用いた鼻汁吸引装置を提供することを目的としている。
【解決手段】
人力吸引器1aの、吸引ノズル11cが上方を向いた状態でシリンダ筒部11aを、支柱部12bおよびベース部12cによって立設状態に支持できるようにする一方、シリンダ部13cに連結ロッド13bを介して繋がるペダル部13aを足で踏み込むことによってシリンダ部13cを吸引ノズル11cから遠ざかる方向に移動させてシリンダ筒部11a内を手で操作することなく減圧して、一人操作により鼻汁吸引を容易にできるようにした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ筒部と、
このシリンダ筒部の内部を気密に仕切った状態で、前記シリンダ筒部内をその筒軸方向に進退可能なピストン部と、
前記シリンダ筒部の一端を閉じる蓋部と、
前記ピストン部を前記蓋部方向に付勢する付勢手段と、
その一端が前記ピストン部に連結された連結ロッドおよびこの連結ロッドの他端に連設された人力付与部を有するとともに、操作者が、前記人力付与部に人力で前記付勢手段の付勢力に抗する力を加えたとき、前記ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライド可能であるとともに、
前記蓋部またはシリンダ筒部に、前記シリンダ筒部内に連通し、ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライドしたとき、前記シリンダ筒部外から吸引可能な吸引ノズルを備える人力吸引器であって、
前記人力吸引器の設置面に支持されるベース部と、このベース部から立ち上がり、支前記シリンダ筒部を前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持可能な支柱部を有するとともに、
前記人力付与部が、前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持された状態で、操作者の足によって踏込まれて、前記ピストン部を前記蓋部から離れる方向にスライドさせるペダル部であることを特徴とする人力吸引器。
【請求項2】
前記ベース部から立ち上がる2つの支柱部を有し、
前記ペダル部がこれらの支柱部の中央に配置されている請求項1に記載の人力吸引器。
【請求項3】
前記ペダル部が、踏込み使用位置と、前記ペダルの上下方向のいずれか一方の面が前記連結ロッドの側壁に沿う折り畳み位置とを選択可能に前記連結ロッドに枢支されるとともに、
前記ベース部が、シリンダ筒部支持位置と、前記ベース部の上下方向のいずれか一方の面が前記連結ロッドに沿う折り畳みように回動可能に前記支柱部に枢支されていて、
踏込み可能位置と、前記連結ロッドに沿う折り畳み位置とを選択可能に支柱部の下端部に枢支されている請求項1に記載の人力吸引器。
【請求項4】
前記ペダル部の折り畳み位置と、前記ベース部の折り畳み位置が前記連結ロッドを挟むように設けられている請求項3に記載の人力吸引器。
【請求項5】
前記ペダル部が、前記折り畳み位置のとき、前記シリンダ筒部側に手で前記ペダル部に力を付与する手がかり凹部を備えている請求項3または請求項4に記載の人力吸引器。
【請求項6】
請求項1に記載の人力吸引器の吸引ノズルにチューブを介して鼻汁吸引ノズルが接続されていることを特徴とする鼻汁吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤ちゃん等のように、鼻に詰まった鼻汁を自力でかむことが困難な人の鼻汁除去に有効な人力吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、自分で鼻汁をかむことができない赤ちゃん等の場合、鼻汁は、吸引器を駆動させて吸引器に接続された鼻吸いノズルから吸引するようにした鼻汁吸取り装置が用いられている。
このような鼻汁吸取り装置としては、モータ駆動式の吸引器を用いるもの(特許文献1~3)や、人力駆動式の吸引器を用いるもの特許文献4)が既に知られている。
【0003】
図14図15に示すように、特許文献4に記載の鼻汁吸引装置100は、人力吸引器200と、鼻汁吸引ノズル300と、吸気チューブ400を備えている。
【0004】
人力吸引器200は、図13図14に示すように、コイルばね530によって吸引ノズル210方向に付勢されていて、シリンダ筒部201のコイルばね530が収容された部分と、チューブ接続ノズル210との間を気密に仕切るピストン部520を備えている。
鼻汁吸引ノズル300は、吸引管310と、チューブ接続ノズル320と、鼻汁溜まり部330を備えている。
吸気チューブ400は、一端が人力吸引器200のチューブ接続ノズル210に篏合され、他端が鼻汁吸引ノズル300のチューブ接続ノズル320に嵌合されている。
【0005】
そして、この人力吸引器200は、図13に示すように、人力付与部であるハンドル510を、手で図13の矢印方向に引くことによって、ピストン部520がピストンロッド511を介して、コイルばね530の付勢力に抗して吸引ノズル210と反対側に移動させられて、シリンダ筒部201の吸引ノズル210と、ピストン部520との間を負圧にできる。
【0006】
一方、ハンドル510を離せば、コイルばね530の付勢力でピストン部520が図14に示す元の位置に戻るようになっている。
図14図15中、220,230は逆止弁である。
【0007】
すなわち、上記人力鼻汁吸取り器100は、上記のようになっており、鼻汁吸引ノズル300の先端部を赤ちゃんなどの鼻の孔に装入した状態で、図13に示すように、吸引器200のハンドル510を手で引くことによって、鼻汁吸引ノズル300の鼻溜まり部330内が減圧され、鼻汁が吸引管部310から鼻汁溜まり部330内に吸引されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許6831542号公報
【特許文献2】特許6959843号公報
【特許文献3】特開2022-13264号公報
【特許文献4】登録実用新案3233144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記人力吸引器200を鼻汁吸引装置100に用いた場合、以下のような問題がある。
すなわち、鼻つまりの赤ちゃんは、体調が悪く、ぐずっており、頭をじっとさせていないことが多い。
【0010】
かかる場合、赤ちゃんを抱き、頭の動きを規制しながら鼻汁吸引ノズル300を鼻に当てなければならないため、両手がふさがり、一人ではハンドル510を操作できない。
したがって、上記鼻汁吸引装置100の場合、他の家人など補助者がいないとき用いるのが困難な場合がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みて、一人操作による吸引操作を容易に行うことができる人力吸引器、および、赤ちゃんなどのじっとしていない対象者でも、人力により一人操作によって鼻汁を容易に吸引可能にする前記人力吸引器を用いた鼻汁吸引装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の人力吸引器は、上記目的を達成するために、シリンダ筒部と、このシリンダ筒部の内部を気密に仕切った状態で、前記シリンダ筒部内をその筒軸方向に進退可能なピストン部と、前記シリンダ筒部の一端を閉じる蓋部と、前記ピストン部を前記蓋部方向に付勢する付勢手段と、その一端が前記ピストン部に連結された連結ロッドおよびこの連結ロッドの他端に連設された人力付与部を有するとともに、操作者が、前記人力付与部に人力で前記付勢手段の付勢力に抗する力を加えたとき、前記ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライド可能であるとともに、前記蓋部またはシリンダ筒部に、前記シリンダ筒部内に連通し、ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライドしたとき、前記シリンダ筒部外から吸引可能な吸引ノズルを備える人力吸引器であって、前記人力吸引器の設置面に支持されるベース部と、このベース部から立ち上がり、支前記シリンダ筒部を前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持可能な支柱部を有するとともに、前記人力付与部が、前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持された状態で、操作者の足によって踏込まれて、前記ピストン部を前記蓋部から離れる方向にスライドさせるペダル部であることを特徴としている。
【0013】
本発明の人力吸引器は、特に限定されないが、前記ベース部から立ち上がる2つの支柱部を有し、前記ペダル部がこれらの支柱部の中央に配置されている構成とすることができる。
すなわち、上記構成にすれば、人力吸引器の操作者が、ペダル部を踏み込む吸引動作をする際に、支柱部によってバランスよく荷重を受けることができ、シリンダ筒部の姿勢を安定に保持することができる。
【0014】
本発明の人力吸引器は、特に限定されないが、前記ペダル部が、踏込み使用位置と、前記ペダルの上下方向のいずれか一方の面が前記連結ロッドの側壁に沿う折り畳み位置とを選択可能に前記連結ロッドに枢支されるとともに、前記ベース部が、シリンダ筒部支持位置と、前記ベース部の上下方向のいずれか一方の面が前記連結ロッドに沿う折り畳みように回動可能に前記支柱部に枢支されていて、踏込み可能位置と、前記連結ロッドに沿う折り畳み位置とを選択可能に支柱部の下端部に枢支されていることが好ましい。
すなわち、上記構成とすれば、人力吸引器の収納の際にベース部を嵩張らなくすることができる。
【0015】
本発明の人力吸引器は、特に限定されないが、前記ペダル部の折り畳み位置と、前記ベース部の折り畳み位置が前記連結ロッドを挟むように設けられていることが好ましい。
すなわち、上記構成とすれば、人力吸引器の収納の際によりコンパクトになる。
【0016】
本発明の人力吸引器は、特に限定されないが、前記ペダル部が、前記折り畳み位置のとき、前記シリンダ筒部側に手で前記ペダル部に力を付与する手がかり凹部を備えていることが好ましい。
すなわち、上記構成とすれば、手で容易に人力付与部に吸引動作をさせることができる。
【0017】
本発明の鼻汁吸引装置は、上記本発明の人力吸引器の吸引ノズルにチューブを介して鼻汁吸引ノズルが接続されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の人力吸引器は、上記のように、シリンダ筒部と、このシリンダ筒部の内部を気密に仕切った状態で、前記シリンダ筒部内をその筒軸方向に進退可能なピストン部と、前記シリンダ筒部の一端を閉じる蓋部と、前記ピストン部を前記蓋部方向に付勢する付勢手段と、その一端が前記ピストン部に連結された連結ロッドおよびこの連結ロッドの他端に連設された人力付与部を有するとともに、操作者が、前記人力付与部に人力で前記付勢手段の付勢力に抗する力を加えたとき、前記ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライド可能であるとともに、前記蓋部またはシリンダ筒部に、前記シリンダ筒部内に連通し、ピストン部が前記蓋部から離れる方向にスライドしたとき、前記シリンダ筒部外から吸引可能な吸引ノズルを備える人力吸引器であって、前記人力吸引器の設置面に支持されるベース部と、このベース部から立ち上がり、支前記シリンダ筒部を前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持可能な支柱部を有するとともに、前記人力付与部が、前記蓋部側が上方に向いた姿勢に支持された状態で、操作者の足によって踏込まれて、前記ピストン部を前記蓋部から離れる方向にスライドさせるペダル部であるので、手を使わずに足だけで吸引操作できる。
したがって、この人力吸引器に鼻汁吸引ノズルを接続した鼻汁吸引装置は、たとえば、顔を固定した状態に赤ちゃんを片手で抱き、他方の手で鼻汁吸引ノズルを持ち赤ちゃんの鼻孔に鼻汁吸引ノズルの先端をしっかり固定した状態とすることができる。
すなわち、手と足を用いて一人で赤ちゃんの鼻汁吸引を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の人力吸引器を用いた鼻汁吸引装置の第1の実施の形態の斜視図である。
図2図1の鼻汁吸引装置の人力吸引器の人力付与部に力を付与していない状態の断面図である。
図3図1の鼻汁吸引装置の人力吸引器の人力付与部の踏込み面を踏込み後の状態の断面斜視図である。
図4図1の鼻汁吸引装置の鼻汁吸引ノズルの断面図である。
図5】鼻汁吸引ノズルの変形例である。
図6図5の鼻汁吸引ノズルの断面図である。
図7】本発明の人力吸引器の第2の実施の形態の人力付与部に力を付与していない状態の斜視図である。
図8図7の断面斜視図である。
図9図7の人力吸引器の人力付与部の踏込み面を踏込み後の状態の斜視図である。
図10図9の断面斜視図である。
図11図11の人力吸引器のベース部と、人力付与部を折り畳んだ状態で人力付与部に力を付与しない状態の斜視図。
図12図11の状態の背面図である。
図13図11および図12の折り畳み状態で、人力付与部に力を付与してピストン部を吸引ノズルから遠ざかるように移動させた状態の斜視図である。
図14】従来の人力鼻汁吸取り器の操作部が吸気位置にある時の断面図である。
図15図14の人力鼻汁吸取り器の操作部が初期位置にある時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の鼻汁吸引装置の第1の実施の形態をあらわしている。
【0021】
図1に示すように、この鼻汁吸引装置Aは、人力吸引器1aと、鼻汁吸引ノズル2aと、吸引チューブ3aを備えている。
人力吸引器1aは、図1図3に示すように、上部部材11と、下部部材12と、ピストン部材13を備えている。
【0022】
上部部材11は、シリンダ筒部11aと、蓋部11bとを備えるとともに、蓋部11bの中央から突出する吸引ノズル11cを備えている。
下部部材12は、図2図3に示すように、シリンダ筒部11aの下端外周に螺合するカップ状をした下蓋部12aと、下蓋部12aを支持する一対の支柱部12bと、両支柱部12bを下方から支持するベース部12cを備えている。
下蓋部12aは、その底に、後述するピストン部13cとペダル部13aを連結する連結ロッド13bがスライド可能に挿通される挿通孔12dが穿設されている。
【0023】
ピストン部材13は、ピストン部13cと、人力付与部としてのペダル部13aと、ピストン部13cとペダル部13aを連結する連結ロッド13bを備えている。
ピストン部13cは、シリンダ筒部11aの内部をスライド可能かつ外嵌されたシールリング13fによって、シリンダ筒部11a内を気密に仕切っているとともに、図2に示すように逆止弁13gを備えている。
【0024】
連結ロッド13bは、シリンダ筒部11a内でピストン部13cを蓋部11b方向に付勢する付勢手段としてのコイルばね13dが外嵌されている。
【0025】
鼻汁吸引ノズル2aは、図4に示すように、鼻孔挿入部21と、鼻汁溜まり部22と、吸引チューブ接続部23を備えている。
鼻孔挿入部21は、側面視略紡錘形のキャップ形状をしていて、中心軸に沿って鼻孔挿入部21の先端で開口する鼻汁吸引路21aを備えている。
【0026】
鼻汁溜まり部22は、上部開口の略有底筒状をしていて、側面にリング状の嵌着凹部22aを備え、嵌着凹部22aの底に通気孔22bが穿設されている。
そして、鼻孔挿入部21は、鼻汁吸引路21aが、鼻汁溜まり部22内に臨むように、下端部が鼻汁溜まり部22の上端に気密に嵌着されている。
【0027】
吸引チューブ接続部23は、チューブ接続ノズル23aと、逆止弁24を備え、嵌着凹部22aに嵌着部23bが気密に嵌着されているとともに、吸引時以外は、逆止弁24が通気孔22bを気密に覆うようになっている。
吸引チューブ3aは、透明あるいは半透明の可撓性樹脂で形成されていて、一端が人力吸引器1aの吸引ノズル11cに接続され、他端が鼻孔挿入部21のチューブ接続ノズル23aに接続されている。
【0028】
この鼻汁吸引装置Aは、上記のようになっており、ベース部12cを床面(図示せず)に置き、人力吸引器1aを床面に支持させておくことで、足でペダル部13aを踏み込めば、図3に示すように、連結ロッド13bを介してピストン部13cがコイルばね13dの付勢力に抗して吸引ノズル11cから遠ざかる方向に移動する。
そして、ピストン部13cと蓋部11bとの間の内容積が拡がり、シリンダ筒部11a内が減圧状態になる。
また、シリンダ筒部11a内が減圧状態になることで、吸引チューブ3aを介して接続された、鼻孔挿入部21の鼻汁溜まり部22の内部が減圧状態になり、鼻汁吸引路21aを介して鼻汁の吸引が可能になる。
【0029】
一方、ペダル部13aへの足による踏込みを止めれば、図2に示すように、ピストン部13cがコイルバネの付勢力で吸引ノズル11c方向に移動する。
このとき、逆止弁13gは弁開放側に撓むようになっている。
【0030】
すなわち、この鼻汁吸引装置Aは、上記のように、人力吸引器1aが、足によってペダル部13aを操作できるため、赤ちゃんを片腕に抱き、その手で赤ちゃんの頭が動かないように支えた状態で、もう片方の空いた手で鼻汁吸引ノズル2aの鼻孔挿入部21を赤ちゃんの鼻孔に挿入した状態に保持したのち、ペダル部13aを踏み込むことで、一人操作によって容易に鼻汁の吸引を行うことができる。
なお、この鼻汁吸引装置Aは、ペダル部13aを手で操作するようにしても構わない。
【0031】
図5および図6は鼻汁吸引ノズルの変形例をあらわしている。
図5および図6に示すように、この鼻汁吸引ノズル2bは、鼻孔挿入部25の下端と、鼻汁溜まり部26とが螺着されるとともに、吸引チューブ接続部27の雌ねじ筒部27bが鼻汁溜まり部26の雄ねじ筒部26aに螺着されるようになっている以外は、上記鼻汁吸引ノズル2aと同様になっている。
【0032】
この鼻汁吸引ノズル2bは、上記のように、鼻孔挿入部25の下端と、鼻汁溜まり部26とが螺着されるとともに、吸引チューブ接続部27の雌ねじ筒部27bが鼻汁溜まり部26の雄ねじ筒部26aに螺着されるようになっているので、組み立てが鼻汁吸引ノズル2aに比べ、すこし煩雑な面はあるものの、3つの部材がしっかりと組み合わされた状態となる。
なお、図5あるいは図6中、28は逆止弁、25aは鼻汁吸引路である。
【0033】
図7図13は、本発明の人力吸引器の第2の実施の形態をあらわしている。
図7図8に示すように、この人力吸引器1bは、上部部材14のシリンダ筒部14aの上端を塞ぐ蓋部14bが、その中央に凹部14cを備え、この凹部14cの底にその先端がほぼ蓋部14bの上面に一致する長さの吸引ノズル14dが設けられ、吸引ノズル14dが外部に突出していない。
【0034】
下部部材15は、第1の実施の形態の下部部材12と同様に、シリンダ筒部14aの下端外周に螺合するカップ状をした下蓋部15aと、2本の支柱部15bと、支柱部15bの下端を連結する連結部15cと、ベース部15dを備えている。
【0035】
ベース部15dは、平面視略U字形をしていて、U字の上端部が支柱部15bの下端部に枢支軸(図示せず)を介して枢支されていて、図7に示す支持位置と、この支持位置から約270度回動し、図11および図12に示すように、先端(反枢支側端)が、下部部材15の下蓋部15aの下方に入り込む折り畳み位置とを選択できるようになっている。
また、枢支軸は、その両端につまみ部15eが設けられている。
そして、つまみ部15eは、ベース部15dの側面に設けられた凹部15fに入り込んだ状態になっているとともに、図示していないが、ベース部15dを支持位置あるいは折り畳み位置に回動した状態にあるとき、つまみ部15eの周面に設けられた位置決め凹部(又は凸部)が、凹部15fの内壁面に設けられた位置決め凸部(又は凹部)に入り込んで位置決めされるようになっている。
【0036】
ピストン部材16は、上記ピストン部材13と同様に、ピストン部16e、連結ロッド16b、ペダル部16aを備えている。
連結ロッド16bは、図7図9図11に示すように、下端にペダル部16bの幅方向の両側に延出し、後述するように手動操作時に指を掛ける指掛け部16jを備えている。
指掛け部16jは、その端部からペダル部16bの枢支部16kが延設されている。
ペダル部16aは、枢支部16kに枢支されていて、枢支軸(図示せず)を中心に、図7および図8に示すペダル部16aの踏込み面16dが連結ロッド16bの軸とほぼ直交するように配置された踏込み動作可能位置と、踏込み面16dが連結ロッド16bにほぼ沿い、ペダル部16aの先端が下蓋部15aの下面を下方から臨む、図11および図12に示す折り畳み位置とを選択できるようになっている。
【0037】
また、ペダル部16aの枢支軸は、その両端につまみ部16hが設けられている。
そして、つまみ部16hは、連結ロッド16bの枢支部16kに設けられた凹部16iに入り込んだ状態になっているとともに、図示していないが、ペダル部16aを踏込み動作可能位置あるいは折り畳み位置に回動した状態にあるとき、つまみ部16hの周面に設けられた位置決め凹部(又は凸部)が、凹部16iの内壁面に設けられた位置決め凸部(又は凹部)に入り込んで位置決めされるようになっている。
【0038】
この人力吸引器1bは、上記のようになっており、図7および図8に示すように、ベース部15dを支持位置、ペダル部16aを踏込み可能位置にして、図9および図10に示すように、ペダル部16aを足で踏み込むようにすれば、ピストン部16fがコイルばね16gに付勢力に抗して蓋部14bから遠ざかる方向に移動し、ピストン部16fと蓋部14bとの間のシリンダ筒部14a内が減圧状態になり、吸引ノズル14dから空気が吸引される。
したがって、上記人力吸引器1aと同様に、吸引ノズル14dに吸引チューブ3aを介し鼻汁吸引ノズル2aを接続しておくことで、一人操作で容易に鼻汁を吸引することができる。
【0039】
また、この人力吸引器1bは、図11および図12に示すように、ベース部15dおよびペダル部16aが折り畳めるので、コンパクトに収納することができる。
さらに、この折り畳み状態において、図12に示すように、連結ロッド16bが、その下端にペダル部16bの幅方向に延出した指掛け部16jを備えているので、たとえば、図12に鎖線で示すように、背面側から見て、右手RHの手の平を連結部15cに押し当るとともに親指f1で支えた状態で、左側の指掛け部16jに中指f3をかけ、右側の指掛け部16jに薬指f4を掛け、かつ、人差し指f2をベース部15dの左側面、小指f5をベース部15dの右側面に沿わせた状態に持ち、中指f3と薬指f4を手のひら側に曲げるようにすれば、図13に示すように、連結ロッド16bが矢印の方向にスライドし、連結ロッド16bを介してピストン部16eが蓋部14bから遠ざかるようにスライドして、手でも容易に吸引動作を行うことができる。
なお、図8図13中、16cは折り畳み時にペダル部16bの先端がうまく下蓋部15aの下端縁に沿うように設けられた切欠部、16fはシールリングである。
【0040】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。たとえば、上記の実施の形態では、付勢手段がコイルばねであったが、ゴムやエラストマーなどの弾性部材であってもかまわない。
上記の実施の形態では、人力吸引器が鼻汁吸引装置に用いられていたが、本発明の吸引器は、鼻汁以外の吸引にも用いることができる。
上記第2の実施の形態では、右手で手動操作するようにしていたが、左手でも構わない。
【符号の説明】
【0041】
A 鼻汁吸引装置
1a 人力吸引器
1b 人力吸引器
11 上部部材
11a シリンダ筒部
11b 蓋部
11c 吸引ノズル
12 下部部材
12a 下蓋部
12b 支柱部
12c ベース部
12d 挿通孔
13ピストン部材
13a ペダル部
13b 連結ロッド
13c ピストン部
13d コイルばね
13f シールリング
13g 逆止弁
14 上部部材
14a シリンダ筒部
14b 蓋部
14c 凹部
14d 吸引ノズル
15 下部部材
15a 下蓋部
15b 支柱部
15c 連結部
15d ベース部
15e つまみ部
15f 凹部
16 ピストン部材
16a ペダル部
16b 連結ロッド
16c 切欠部
16d 踏込み面
16e ピストン部
16f シールリング
16g コイルばね
16h つまみ部
16i 凹部
16j 指掛け部
16k 枢支部
2a 鼻汁吸引ノズル
2b 鼻汁吸引ノズル
21 鼻孔挿入部
21a 鼻汁吸引路
22 鼻汁溜まり部
22a 嵌着凹部
22b 通気孔
23 吸引チューブ接続部
23a チューブ接続ノズル
23b 嵌着部
24 逆止弁
25 鼻孔挿入部
25a 鼻汁吸引路
26 鼻汁溜まり部
26a 雌ねじ筒部
26b 通気孔
27 吸引チューブ接続部
27b 雄ねじ筒部
28 逆止弁
3a 吸引チューブ
RH 右手
f1 親指
f2 人差し指
f3 中指
f4 薬指
f5 小指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15