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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011004
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ラベルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B41J2/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112652
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 翔平
【テーマコード(参考)】
2C065
【Fターム(参考)】
2C065AA01
2C065AB01
2C065AB03
2C065CZ13
2C065CZ15
2C065CZ17
2C065CZ18
(57)【要約】
【課題】DCファンの故障診断機能を搭載したラベルプリンタを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、ラベルプリンタは、第1のファンと第2のファンとの少なくとも一方と、検出回路と、故障診断部と、を備える。第1のファンは、DCモータを備え、ラベルプリンタのケース内部の雰囲気を冷却する。第2のファンは、DCモータを備え、インクリボン用のモータを冷却する。検出回路は、少なくとも一方のファンが備えるDCモータへ電源を供給する電源供給ラインからのクロストークの影響を受けるように、電源供給ラインに近接配線されたセンシングパターンを備え、少なくとも一方のファンへの電源の供給によるクロストークの発生を検出する。故障診断部は、一定時間内に規定回数、検出回路によってクロストークの発生が検出されたとき、少なくとも一方のファンが故障と診断する。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドとインクリボンを用いた熱転写方式によるプリントが可能なラベルプリンタであって、
DCモータを備え、前記ラベルプリンタのケース内部の雰囲気を冷却する第1のファンと、DCモータを備え、前記インクリボン用のモータを冷却する第2のファンと、の少なくとも一方と、
前記少なくとも一方のファンが備える前記DCモータへ電源を供給する電源供給ラインからのクロストークの影響を受けるように、前記電源供給ラインに近接配線したセンシングパターンを備え、前記少なくとも一方のファンへの前記電源の供給による前記クロストークの発生を検出する検出回路と、
一定時間内に規定回数、前記検出回路によって前記クロストークの発生が検出されたとき、前記少なくとも一方のファンが故障と診断する故障診断部と、
を備える、ラベルプリンタ。
【請求項2】
情報を表示する表示部をさらに備え、
前記故障診断部は、前記少なくとも一方のファンを故障と診断した場合、前記少なくとも一方のファンの故障を示す注意喚起を前記表示部に表示させる、請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記故障診断部は、前記少なくとも一方のファンを故障と診断した場合、
前記故障と診断された前記ファンへの前記電源供給ラインによる電源供給を停止すると共に、
前記故障と診断した前記ファンが停止していても影響の出ない機能は停止させない、請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記ラベルプリンタは、前記熱転写方式によるプリントに加えて、前記サーマルヘッドで感熱紙を直接発色させる感熱印字方式によるプリントが可能であり、
前記故障診断部は、前記第2のファンを故障と診断した場合、
前記第2のファンへの前記電源供給ラインによる電源供給を停止すると共に、
前記ラベルプリンタにおける前記熱転写方式によるプリントに係る機能部の動作を禁止させ、且つ、前記感熱印字方式によるプリントに係わる機能部の動作のみを許可する、請求項3に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記電源供給ラインは、それぞれ回路基板にパターン形成された電源ライン及びグランドラインを含み、
前記センシングパターンは、前記電源ライン及びグランドラインの何れか一方に対して、規定の間隔を開けて且つ並行に延在するように、前記回路基板にパターン形成される、請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベルプリンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタでは、印字ヘッドとしてサーマルヘッドを備え、サーマルヘッドとインクリボンを用いた熱転写方式によるプリントと、サーマルヘッドで感熱紙を直接発色させる感熱印字方式によるプリントと、の両方式でのプリントが可能になっているものが有る。
【0003】
このようなラベルプリンタでは、ラベルプリンタの筐体内に配置された回路基板の雰囲気を冷却したり、印字用紙の搬送モータ、インクリボンの送りモータ、同じくインクリボンの巻取モータ等の発熱体を冷却したりするため、複数のファンが搭載される。
【0004】
従来、パーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器では、ファン自身が持っているロック検知機能や、パルス変調(PWM)制御における回転数フィードバック機能を使用して、ファンの故障診断をしている。しかしながら、ファンにこれらの機能を搭載すると、コストアップしてしまうため、それを理由にこのような機能を搭載しないこともある。
【0005】
また、基本的に、ラベルプリンタでは、安価な直流(DC)ファンを使用している。このDCファンは、電源線と接地(GND)線との2線駆動のDCモータを用いており、モータがつまりファンが回転しているかどうかフィードバックする手段がない。そのため、ラベルプリンタは、DCファンが故障したかどうか判らない環境の中で、使用されているのが現状である。
【0006】
よって、もしDCファンが故障した場合、それを使用しているラベルプリンタの温度保証が満たせず、ラベルプリンタが故障してしまうなどの課題が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-333487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の課題を解決するため、DCファンの故障診断機能を搭載したラベルプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、ラベルプリンタは、サーマルヘッドとインクリボンを用いた熱転写方式によるプリントが可能なラベルプリンタであって、第1のファンと第2のファンとの少なくとも一方と、検出回路と、故障診断部と、を備える。第1のファンは、DCモータを備え、ラベルプリンタのケース内部の雰囲気を冷却する。第2のファンは、DCモータを備え、インクリボン用のモータを冷却する。検出回路は、少なくとも一方のファンが備えるDCモータへ電源を供給する電源供給ラインからのクロストークの影響を受けるように、電源供給ラインに近接配線されたセンシングパターンを備え、少なくとも一方のファンへの電源の供給によるクロストークの発生を検出する。故障診断部は、一定時間内に規定回数、検出回路によってクロストークの発生が検出されたとき、少なくとも一方のファンが故障と診断する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るラベルプリンタの外観の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るラベルプリンタの内部構成の一例を示す概略断面図である。
図3図3は、実施形態に係るラベルプリンタのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るラベルプリンタにおける検出回路の一部であるセンシングパターンのパターン構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るラベルプリンタにおける検出回路の構成の一例を示す回路図である。
図6図6は、実施形態に係るラベルプリンタにおけるCPUの故障診断部の動作の流れを示したフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係るラベルプリンタにおける検出回路の一部であるセンシングパターンのパターン構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るラベルプリンタについて、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るラベルプリンタ10の外観の一例を示す斜視図である。図1に示すように、ラベルプリンタ10は、左側のケース11と、ヒンジ13でケース11の右側に連結されたケース12と、を備えている。ケース11のフロントパネル14は、電源スイッチ15と、表示部16と、操作部17と、を備えている。表示部16は、バックライト付きの液晶ディスプレイで構成されるが、その他のタイプの表示デバイスを用いても良い。操作部17は、複数の操作ボタン18を備えている。
【0013】
右側のケース12は、ヒンジ13を回動することで筐体(即ち、ケース11、12)の内部を大きく開放できる構造となっている。図2と共に後述するが、ラベルプリンタ10は筐体内部に、ロール状に巻装されたラベル用紙27と、2つの軸に架け渡されたインクリボン41と、インクリボンに印字する印字部23と、を有している。従って、ヒンジ13を回動してケース12を上部に上げることで、インクリボン41やラベル用紙27の交換、あるいは内部のメンテナンスを容易にできる構造となっている。ケース12のフロントパネル19には、ラベル発行口20が設けられている。ラベルプリンタ10は、印字後のラベルをラベル発行口20から発行する。
【0014】
図2は、ラベルプリンタ10の内部構成の一例を示す概略断面図である。図2に示すように、ラベルプリンタ10はその筐体内部に、用紙保持部21、用紙搬送部22、印字部23、フレーム24、インクリボン供給装置25を主に備えている。
【0015】
用紙保持部21は、ラベル用紙27をロール状に巻装して保持する軸である。ラベル用紙27は、用紙保持部21から引き出され、用紙搬送部22を経て印字部23で印字された後、ラベル発行口20から排出される。ラベル用紙27の例としては、台紙上にラベルが貼り付けられたものを用いることができる。
【0016】
用紙搬送部22は、用紙搬送ローラ28、ピンチローラ29、フレーム30、支持部31、板バネ32を主に備えている。ピンチローラ29は、支持部31に回転自在に支持されている。用紙搬送ローラ28及びピンチローラ29は、搬送経路26を搬送されるラベル用紙27を介して当接する。用紙搬送ローラ28は、フレーム24に回転可能に取り付けられ、図示しない駆動構造に駆動されて回転する。
【0017】
支持部31は、フレーム30に揺動自在に取り付けられている。また、フレーム30には、板バネ32の一端が取り付けられており、板バネ32の他端はピンチローラ29に当接している。然るに、ピンチローラ29は板バネ32に付勢され、用紙搬送ローラ28に当接するよう構成されている。
【0018】
ラベル用紙27の搬送経路26は、用紙保持部21からラベル用紙27が引き出される箇所に始まる。そして搬送経路26は、用紙搬送部22においてピンチローラ29と用紙搬送ローラ28が当接する位置を経る。さらに搬送経路26は、印字部23の印字ヘッド33とプラテン34とが当接する位置を経て、ラベル発行口20が終端となる。
【0019】
また、搬送経路26において、印字部23よりの搬送方向の下流側には、ラベル剥離板35が設けられている。ラベル剥離板35は、搬送中のラベル用紙27を屈曲させて、ラベルと台紙とを剥離する。剥離された台紙は、図示しない巻取軸に巻き取られる一方、台紙から剥離されたラベルは、ラベル発行口20から発行される。
【0020】
印字部23は、プラテン34と、ライン型のサーマルプリンタヘッドである印字ヘッド33とを主に備えている。なお、印字ヘッド33の構成は印字方法に対応した構成とする。例えば、ドットインパクト方式のプリンタであれば、ドットインパクト方式の印字ヘッド33とする。プラテン34は、フレーム24に回転可能に取り付けられており、図示しない駆動部により回転駆動する。
【0021】
印字ヘッド33は、図示しないフレームに回動可能に取り付けられたヘッド保持部36に固定されている。
【0022】
インクリボン供給装置25は、リボン保持軸37と、リボン巻取軸38と、リボンエンドセンサ39と、案内フレーム40と、を主に有している。リボン保持軸37は、未使用のインクリボン41をロール状に巻装している。案内フレーム40のリボン保持軸37側の端部には、リボン保持軸37から引き出されたインクリボン41を案内する案内ローラ42が設けられている。案内ローラ42は、案内フレーム40に対して回動可能に設けられている。
【0023】
印字前のインクリボン41は案内ローラ42に当接した後、リボンエンドセンサ39の検出対象領域を経て、印字ヘッド33とプラテン34とが当接する位置に達し、印字ヘッド33により転写がなされる。印字後のインクリボン41は、案内フレーム40のリボン巻取軸38側の端部43に当接した後、リボン巻取軸38に巻き取られ回収される。
【0024】
即ち、インクリボン41の搬送経路44は、リボン保持軸37からインクリボン41が引き出される箇所に始まり、案内フレーム40の案内ローラ42に当接する位置を経る。そして、搬送経路44は、リボンエンドセンサ39の検出対象領域と、印字ヘッド33とプラテン34とが当接する位置(即ち、印字位置)と、を順に経る。さらに、搬送経路44は、案内フレーム40の端部43に当接する位置を経て、リボン巻取軸38に巻き取られる箇所が終端となる。
【0025】
リボンエンドセンサ39は、リボンエンド、即ち、インクリボン41の終端を検出するセンサである。図2に示すように、リボンエンドセンサ39は、印字部23とリボン保持軸37との間の搬送経路44に配置される。リボンエンドセンサ39は、好ましくは図2に示すように、インクリボン41の搬送経路44に沿って設けられ、搬送経路44において、印字部23と案内ローラ42との間に設けられると良い。より好ましくは、リボンエンドセンサ39は、印字部23において印字ヘッド33とプラテン34とが当接する位置(即ち、印字位置。あるいは、転写位置。)と、案内ローラ42と、の間に設けられると良い。
【0026】
なお、案内フレーム40が案内ローラ42を有さないタイプのフレームである場合には、リボンエンドセンサ39の好適な設置位置は、印字ヘッド33とプラテン34とが当接する位置と、案内フレーム40のリボン保持軸37側の端部と、の間となる。
【0027】
リボンエンドセンサ39としては、インクリボン41を光学的に検出する光学センサを用いることができる。好適な例としては、リボンエンドセンサ39として、発光素子と受光素子とを備えた反射光センサを用いると良い。なお、リボンエンドセンサ39として、機械的にインクリボン41を検出するセンサを用いても良い。
【0028】
次に、ラベルプリンタ10のハードウエア構成について説明する。
【0029】
図3は、ラベルプリンタ10のハードウエア構成を示すブロック図である。図3に示すように、ラベルプリンタ10は、CPU(Central Processing Unit)45と、ROM(Read Only Memory)46と、RAM(Random Access Memory)47と、を備えている。CPU45は、バスやインタフェースを介して、これらROM46及びRAM47に加えて、通信インタフェース48と、表示コントローラ49と、操作部コントローラ50と、ヘッドドライバ51と、モータドライバ52と、リボンエンドセンサ39と、接続されている。なお、図3では、「インタフェース」を「I/F」と略記している。
【0030】
ROM46は、ラベルプリンタ10が実行するプログラム及び各種データを記憶する。RAM47は、CPU45が上記各種プログラムを実行する際に一時的にプログラムやデータを記憶する展開用のメモリである。通信インタフェース48はラベルプリンタ10とホストコンピュータ(不図示)とを接続し、ラベルプリンタ10とホストコンピュータとのデータ通信を制御する。ホストコンピュータは、通信インタフェース48を介してRAM47に印字データ(あるいは印字コマンド)を送信する。なお、印字データは、操作部17を介して入力されても良い。
【0031】
表示コントローラ49には、表示部16(図1参照)が接続される。操作部コントローラ50には、操作部17(図1参照)が接続される。ヘッドドライバ51には、印字ヘッド33(図2参照)が接続される。印字ヘッド33は、ラベル用紙27の搬送方向に対して直交する方向に発熱体がライン状に設けられたサーマルヘッドである。ヘッドドライバ51は、印字データに基づいて印字ヘッド33の発熱体に対する通電のオン・オフを切り替えて、ラベル用紙27上に印字イメージを熱転写する。
【0032】
モータドライバ52には、プラテンモータ53と、搬送モータ54と、送りモータ55と、巻取モータ56と、が接続されている。プラテンモータ53は、印字部23のプラテン34(ともに図2参照)を回転駆動するモータである。搬送モータ54は、用紙搬送部22の用紙搬送ローラ28(ともに図2参照)を回転駆動するモータである。送りモータ55は、リボン保持軸37(図2参照)を回転駆動するモータである。巻取モータ56は、リボン巻取軸38(図2参照)を回転駆動するモータである。これらのモータ53~56の構成については限定しないが、例えば、ステッピングモータを用いることができる。 さらに、モータドライバ52には、複数、本実施形態では2つ、のファンモータ57,58が接続されている。ファンモータ57は、ファン59を回転駆動するDCモータであり、ファンモータ58は、ファン60を回転駆動するDCモータである。例えば、ファン59は、本ラベルプリンタ10の内部空間のメイン雰囲気を冷却するためのファンとして用い、ファン60は、特に送りモータ55及び巻取モータ56を冷却するためのファンとして用いる。一般に、ファンとファンモータとは一体の部品として提供されている。即ち、ファンモータ57とファン59とは一つのDCファンとして、また、ファンモータ58とファン60とは一つのDCファンとして、それぞれ提供されている。そこで、以下では、ファンモータ57及びファン59でなるDCファンをメインファン61と称し、ファンモータ58及びファン60でなるDCファンをリボンファン62と称する。
【0033】
例えば、CPU45、ROM46、RAM47、通信インタフェース48、表示コントローラ49、操作部コントローラ50、ヘッドドライバ51、モータドライバ52等の電子回路が配置された回路基板、並びに、各モータ53~58は、ラベルプリンタ10のケース11内に収容される。リボンファン62は、送りモータ55及び巻取モータ56を冷却するのに適した位置に設けられることができる。例えば、図2において、送りモータ55の回転軸はリボン保持軸37と同軸となるように、また、巻取モータ56の回転軸はリボン巻取軸38と同軸となるように、送りモータ55及び巻取モータ56が配置される。よって、リボンファン62は、図2に破線で示すように、それら送りモータ55(リボン保持軸37)と巻取モータ56(リボン巻取軸38)との間に、配置されることができる。
【0034】
CPU45には、さらに、検出回路63,64が接続される。検出回路は、ファンに対応して設けられるものであり、よって、本実施形態では、ラベルプリンタ10は、検出回路を2つ備えている。検出回路63は、メインファン61における2線駆動のDCモータであるファンモータ57の電源供給ライン65の近傍に設けられ、電源供給ライン65からのクロストークを検出する。同様に、検出回路64は、リボンファン62における2線駆動のDCモータであるファンモータ58の電源供給ライン66の近傍に設けられ、電源供給ライン66からのクロストークを検出する。検出回路63,64の詳細については後述する。
【0035】
次に、本実施形態に係るラベルプリンタ10が実行するプログラムについて説明する。なお、本実施形態に係るラベルプリンタ10で実行されるプログラムは、ROM46等に予め組み込まれて提供される。本実施形態に係るラベルプリンタ10で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。さらに、本実施形態に係るラベルプリンタ10で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態に係るラベルプリンタ10で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または頒布するように構成しても良い。
【0036】
本実施形態に係るラベルプリンタ10で実行されるプログラムは、図3に示すように、故障診断部67、印字制御部68、モータ制御部69等を含むモジュール構成となっている。CPU45(プロセッサ)は、上記ROM46等の記憶媒体からプログラムを読み出して、上記各部を主記憶装置(例えばRAM47)上にロードする。これにより、故障診断部67、印字制御部68、モータ制御部69が、主記憶装置上に生成される。次に、各部の機能について説明する。
【0037】
故障診断部67は、一定時間毎に、検出回路63,64からの検出信号に基づいて、DCファンであるメインファン61,リボンファン62の故障診断を実施する。この故障診断については、検出回路63,64の詳細説明の後に説明する。
【0038】
印字制御部68は、通信インタフェース48または操作部コントローラ50を介して印字データが入力されると、ヘッドドライバ51を介して印字ヘッド33の動作を制御し、ラベル用紙27に印字データを転写する。
【0039】
モータ制御部69は、ラベル用紙27への印字データを転写するのに必要なプラテンモータ53、搬送モータ54の、送りモータ55及び巻取モータ56の回転駆動を、モータドライバ52を介して、制御する。さらに、モータ制御部69は、電源スイッチ15のオン操作に応じて、モータドライバ52を介して、メインファン61,リボンファン62のファンモータ57,58を回転駆動させる。
【0040】
なお、CPU45がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及びGPU(Graphics Processing Unit)などの、ハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、CPU45は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0041】
次に、検出回路63,64について説明する。
図4は、実施形態に係るラベルプリンタ10における検出回路63,64の一部であるセンシングパターンのパターン構成の一例を示す図である。例えば、メインファン61のファンモータ57では、その電源供給用のケーブル配線が、CPU45やモータドライバ52が搭載された回路基板70に配置されたファンコネクタ71まで、ケース11内を配回設置される。一方、回路基板70においては、モータドライバ52からファンコネクタ71まで、2線駆動のDCモータであるファンモータ57の電源供給ライン65が、パターン形成される。ここで、電源供給ライン65は、電源ラインとしてのファン電源線65aと、グランドラインとしてのファンGND線65bと、を含む。検出回路63の一部を構成するセンシングパターン72は、この回路基板70にパターン形成されたファン電源線65aから規定の間隔Wを開けて、ファン電源線65aと並行に延在するようにパターン形成される。規定の間隔Wは、ファン電源線65aからのクロストークの影響を受けるような近距離とする。なお、センシングパターン72はファン電源線65a以外のクロストーク等も受け易いので、センシングパターン72は、グランド(GND)73で囲むようにする。
【0042】
リボンファン62のファンモータ58についての検出回路64も、同様のセンシングパターン72を有する。
【0043】
図5は、実施形態に係るラベルプリンタ10における検出回路63,64の構成の一例を示す回路図である。例えば、検出回路63では、規定のファン電圧V_FANを抵抗R1,R2で分圧して基準電圧を作る。この基準電圧を、コンパレータCOMの+入力部分に入力する。但し、ファン電源線65aからのクロストークの影響を受け易くするために出力インピーダンスを高くする必要が有るので、100K~1MΩ程度の抵抗R3を入れ、その抵抗R3とコンパレータCOMの+入力部分との間をセンシングパターン72とする。図4では、センシングパターン72は、ビア74を介して、回路基板70の別の層にパターニングされた、抵抗R3またはコンパレータCOMへの配線パターンと接続されている。
【0044】
コンパレータCOMの-入力部分には、V_REF電圧を抵抗R4,R5で分圧した電圧を入力する。このコンパレータCOMの-入力部分に入力される電圧は、+入力部分にクロストークが重畳していないときに入力される電圧よりも高くなるように、抵抗R4,R5の定数を変更し設定する。具体的には、ファンモータ57が回転駆動していないときに、センシングパターン72に外部ノイズなどが乗ってもコンパレータCOMが“H”レベルを出力しないような抵抗R4,R5の定数設定にする。コンパレータCOMは、オープンコレクタ出力としており、(-)入力電圧<(+)入力電圧で“H”レベルを出力、(+)入力電圧<(-)入力電圧で“L”レベルを出力する。コンパレータCOMの出力は、CPU45の端子GPIOに入力される。
【0045】
CPU45では、故障診断部67が、端子GPIOに入力された信号の“L”レベルから“H”レベルの立ち上がりエッジで、ファン電源線65aからのクロストークが有ることを検出する。クロストークが有るということは、ファンモータ57が正常に回転駆動しているということである。即ち、故障診断部67は、電源をオンしたときに、コンパレータCOMからの信号が“L”レベルから“H”レベルに変化すれば、ファンモータ57が回転駆動した、つまり、メインファン61は故障していないと診断することができる。換言すれば、故障診断部67は、コンパレータCOMからの信号が“L”レベルから“H”レベルに変化しない場合、メインファン61が故障していると診断することができる。
【0046】
また、電源オン時以降では、電流変動は同じタイミングであるため、メインファン61が駆動していれば常にコンパレータCOMからの出力のレベルは変化する。そのため、故障診断部67は、一定時間の間に、コンパレータCOMからの信号が“L”レベルから“H”レベルに変化する回数が規定回数未満であれば、メインファン61は故障していないと診断する。この規定回数は、上記一定時間に応じて定まる値である。また、一定時間における変化回数が規定回数以上である場合には、故障診断部67は、メインファン61が故障していると診断する。
【0047】
検出回路64も同様にして、センシングパターン72へのファン電源線66aからのクロストークの影響をコンパレータCOMにより検出し、CPU45の故障診断部67は、リボンファン62のファンモータ58の故障つまりリボンファン62の故障の診断を行うことができる。
【0048】
メインファン61またはリボンファン62が駆動すると(ファンモータ57または58が回転駆動すると)、ファンモータ57または58の電源供給ライン65または66に電流ノイズが発生する。そのため、電源供給ライン65または66、例えばファン電源線65aまたは66aの近くにセンシングパターン72を配置すると、クロストークが発生し、センシングパターン72に影響を与える。本実施形態では、あえてファン電源線65aまたは66aの近くにセンシングパターン72を設けて、そのセンシングパターン72がクロストークの影響を受けるようにしている。そして、そのクロストークをコンパレータCOM等の電子部品を使用して検知することで、メインファン61またはリボンファン62(ファンモータ57又は58)の故障診断が行えるようになる。
【0049】
次に、上記の如く構成されたラベルプリンタ10の動作例について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態に係るラベルプリンタ10におけるCPU45の故障診断部67の動作の流れを示したフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、電源スイッチ15のオン操作により開始する。なお、電源スイッチ15のオン操作に応じて、CPU45のモータ制御部69の制御により、メインファン61のファンモータ57及びリボンファン62のファンモータ58は回転駆動を開始する。
【0050】
まず、故障診断部67は、CPU45内部またはRAM47に設けた検知回数レジスタnの値を“0”に初期設定すると共に、時間計時をスタートする(ACT11)。
【0051】
そして、故障診断部67は、検出回路63,64のコンパレータCOMからの信号が、“L”レベルから“H”レベルに変化したか否か判断する(ACT12)。電流変動は同じタイミングであるため、メインファン61,リボンファン62が駆動していれば常にコンパレータCOMからの出力のレベルは変化する。コンパレータCOMからの出力が“L”レベルから“H”レベルに変化していなければ(ACT12、NO)、故障診断部67は、ACT14の処理に移行する。
【0052】
これに対して、コンパレータCOMからの出力が“L”レベルから“H”レベルに変化していれば(ACT12、YES)、故障診断部67は、検知回数レジスタnの値を“+1”する(ACT13)。
【0053】
その後、故障診断部67は、規定時間が経過したか否か判断する(ACT14)。規定時間は、これに限定するものではないが、例えば、100ミリ秒とすることができる。未だ規定時間が経過していない場合には(ACT14、NO)、故障診断部67は、上記ACT12の処理に移行する。
【0054】
そして、規定時間が経過したならば(ACT14、YES)、故障診断部67は、検知回数レジスタnの値が“0”か否か判断する(ACT15)。検知回数レジスタnの値が“0”である場合(ACT15、YES)、故障診断部67は、該当するDCファンが故障していると診断し、ACT18の処理に移行する。
【0055】
検知回数レジスタnの値が“0”ではない場合(ACT15、NO)、故障診断部67は、さらに、検知回数レジスタnの値が一定回数以上であるか否か判断する(ACT16)。一定回数は、これに限定するものではないが、例えば、10回とすることができる。検知回数レジスタnの値が一定回数以上である場合(ACT16、YES)、故障診断部67は、該当するDCファンが故障していると診断し、ACT18の処理に移行する。
【0056】
これに対して、検知回数レジスタnの値が一定回数未満であるならば(ACT16、NO)、故障診断部67は、該当するDCファンは故障していないと診断する。この場合には、故障診断部67は、検知回数レジスタnの値を“1”に設定すると共に、時間計時をリスタートする(ACT17)。そして、故障診断部67は、上記ACT12の処理に移行する。
【0057】
このように、ACT12乃至ACT17の処理が、繰り返される。換言すれば、ラベルプリンタ10は、その電源オンの期間中、規定時間に相当する一定時間おきに、メインファン61及びリボンファン62の故障診断を実施する。
【0058】
一方、上記ACT15または上記ACT16において該当するDCファンが故障していると診断した場合(ACT15またはACT16、YES)、故障診断部67は、該当のDCファンがリボンファン62であるか否か判断する(ACT18)。故障診断部67は、故障と診断したDCファンがリボンファン62であれば(ACT18、YES)、ACT23の処理に移行する。また、故障と診断したDCファンが、リボンファン62でない、つまり、メインファン61であれば(ACT18、NO)、ACT19の処理に移行する。
【0059】
故障と診断したDCファンがメインファン61である場合(ACT18、NO)、故障診断部67は、メインファン61の電源供給を停止する(ACT19)。即ち、故障診断部67は、モータ制御部69に、ファンモータ57への電源供給停止を指示する。モータ制御部69は、この電源供給停止の指示に応じて、モータドライバ52内に構成した、ファンモータ57への電源(ファン電圧V_FAN)の供給路に配置したFET等のスイッチを制御して、ファンモータ57への電源供給を停止させる。なお、モータ制御部69を経由しないで、故障診断部67が直接モータドライバ52内のスイッチを制御できるようにしても良い。また、このACT19では、故障診断部67は、メインファン61だけでなく、リボンファン62についても電源供給を停止するようにしても良い。
【0060】
さらに、このメインファン61への電源供給の停止に加えて、故障診断部67は、印字制御部68に対して、プリント機能の禁止を指示する(ACT20)。これにより、これ以降の印字動作が行われないようにすることができる。
【0061】
その後、故障診断部67は、表示コントローラ49により表示部16に注意喚起表示を行わせる(ACT21)。この注意喚起表示は、メインファン61の点検を促すメッセージと、印字動作が行えない旨のメッセージと、を含むことができる。
【0062】
ラベルプリンタ10のユーザは、この表示部16の注意喚起表示を確認すると、一旦、ラベルプリンタ10の電源を落として、自身でまたはサービスマン等に依頼してメインファン61を点検することとなる。あるいは、ユーザは、一旦ラベルプリンタ10の電源を落としてから再度オンする、所謂再起動を試みるかもしれない。
【0063】
再起動が試みられた場合、故障診断部67は、前述した動作を繰り返し、やはりメインファン61を故障と診断すれば、上記ACT21において表示部16に注意喚起表示を行うこととなる。
【0064】
点検の結果、メインファン61が故障していた場合には、そのメインファン61が交換される。このメインファン61の交換後、電源スイッチ15がオンされれば、故障診断部67は、前述した動作を実施し、ACT12乃至ACT17の処理を繰り返していくこととなる。即ち、メインファン61とリボンファン62との故障診断が規定時間おきに行われていく。
【0065】
一方、故障と診断したDCファンがリボンファン62である場合(ACT18、YES)、故障診断部67は、リボンファン62の電源供給を停止する(ACT22)。即ち、故障診断部67は、モータ制御部69に、ファンモータ58への電源供給停止を指示する。モータ制御部69は、この電源供給停止の指示に応じて、モータドライバ52内に構成した、ファンモータ58への電源(ファン電圧V_FAN)の供給路に配置したFET等のスイッチを制御して、ファンモータ58への電源供給を停止させる。なお、モータ制御部69を経由しないで、故障診断部67が直接モータドライバ52内のスイッチを制御できるようにしても良い。このACT22では、前述したACT19とは異なり、故障診断部67は、メインファン61の電源供給については何ら操作しない。
【0066】
さらに、故障診断部67は、モータ制御部69に対してデタッチ機能のオンを指示する(ACT23)。モータ制御部69は、このデタッチ機能のオン指示に応じて、以降は、送りモータ55及び巻取モータ56を駆動しないようにする。即ち、リボン転写のプリント機能を停止させ、感熱によるプリント機能のみを使用可能とする。
【0067】
そして、故障診断部67は、表示コントローラ49により表示部16に注意喚起表示を行わせる(ACT24)。この場合の注意喚起表示は、リボンファン62の点検を促すメッセージと、リボン転写印字動作は行えず、感熱印字動作のみが可能である旨のメッセージと、を含むことができる。
【0068】
その後、故障診断部67は、上記ACT17の処理に移行して、検知回数レジスタnの値を“1”に設定すると共に、時間計時をリスタートする。但しこの場合は、メインファン61についての検知回数レジスタnのみが再設定され、上記ACT12乃至ACT17において、メインファン61の故障診断のみが規定時間おきに行われることとなる。
【0069】
ラベルプリンタ10のユーザは、上記ACT24での表示部16の注意喚起表示を確認すると、一旦、ラベルプリンタ10の電源を落として、自身でまたはサービスマン等に依頼してリボンファン62を点検することとなる。あるいは、ユーザは、ラベルプリンタ10の再起動を試みるかもしれない。
【0070】
再起動が試みられた場合、故障診断部67は、前述した動作を繰り返し、やはりリボンファン62を故障と診断すれば、上記ACT24において表示部16に注意喚起表示を行うこととなる。
【0071】
点検の結果、リボンファン62が故障していた場合には、そのリボンファン62が交換される。このリボンファン62の交換後、電源スイッチ15がオンされれば、故障診断部67は、前述した動作を実施し、ACT12乃至ACT17の処理を繰り返していくこととなる。即ち、メインファン61とリボンファン62との故障診断が規定時間おきに行われていく。
【0072】
以上のように構成された実施形態に係るラベルプリンタ10は、サーマルヘッドである印字ヘッド33とインクリボン41を用いた熱転写方式によるプリントが可能なラベルプリンタであり、DCモータであるファンモータ57を備え、ラベルプリンタ10のケース内部の雰囲気を冷却する第1のファンであるメインファン61と、DCモータであるファンモータ58を備え、インクリボン用のモータである送りモータ55及び巻取モータ56を冷却する第2のファンであるリボンファン62と、の少なくとも一方を備える。そしてさらに、ラベルプリンタ10は、少なくとも一方のファンが備えるDCモータへ電源を供給する電源供給ライン65,66からのクロストークの影響を受けるように、電源供給ライン65,66に近接配線されたセンシングパターン72を備え、少なくとも一方のファンへの電源の供給によるクロストークの発生を検出する検出回路63,64と、一定時間内に規定回数、検出回路によってクロストークの発生が検出されたとき、少なくとも一方のファンが故障と診断する故障診断部67と、を備える。
【0073】
よって、DCファンであるメインファン61及びリボンファン62の故障診断機能を搭載したラベルプリンタ10を提供することができる。
【0074】
また、実施形態に係るラベルプリンタ10は、情報を表示する表示部16をさらに備え、故障診断部67は、少なくとも一方のファンを故障と診断した場合、当該ファンの故障を示す注意喚起を表示部16に表示させる。
【0075】
よって、この注意喚起の表示を確認したユーザは、故障診断されたファンを点検し、故障していれば、それを交換することができる。
【0076】
また、実施形態に係るラベルプリンタ10においては、故障診断部67は、少なくとも一方のファンを故障と診断した場合、当該ファンへの電源供給ライン65または66による電源供給を停止すると共に、当該ファンが停止していても影響の出ない機能は停止させない。
【0077】
よって、ユーザは、故障診断されたファンが停止していても影響の出ない機能を使い続けることができる。
【0078】
ここで、ラベルプリンタ10は、熱転写方式によるプリントに加えて、サーマルヘッドで感熱紙を直接発色させる感熱印字方式によるプリントが可能であり、故障診断部67は、第2のファンであるリボンファン62を故障と診断した場合には、当該リボンファン62への電源供給ライン66による電源供給を停止すると共に、熱転写方式によるプリントに係る機能部である送りモータ55及び巻取モータ56の動作を禁止させ、且つ、感熱印字方式によるプリントに係わる機能部である印字ヘッド33やプラテンモータ53及び搬送モータ54等の動作のみを許可する。
【0079】
よって、ユーザは、リボンファン62が故障しても、熱転写方式による感熱紙へのラベルプリントを行うことができる。
【0080】
また、実施形態に係るラベルプリンタ10においては、電源供給ライン65,66は、それぞれ回路基板70にパターン形成された電源ラインであるファン電源線65a,66a及びグランドラインであるファンGND線65b,66bを含み、センシングパターン72は、電源ライン及びグランドラインの何れか一方に対して、規定の間隔Wを開けて且つ並行に延在するように、回路基板70にパターン形成される。
【0081】
図7は、実施形態に係るラベルプリンタ10における検出回路63,64の一部であるセンシングパターンのパターン構成の別の例を示す図である。図7に示さけるように、センシングパターン72は、ファン電源線65a,66aではなくて、ファンGND線65b,66bから規定の間隔Wを開けて、ファンGND線65b,66bと並行に延在するようにパターン形成されても良い。
【0082】
このように、センシングパターン72は、モータドライバ52からファンコネクタ71までの、2線駆動のDCモータであるファンモータ57,58の電源供給ライン65,66である2本のパターン線の内の何れか一方に対応してパターン形成されれば良い。
【0083】
なお、センシングパターン72は、ファン電源線65a,66aとファンGND線65b,66bとの間に配置するのは好ましくない。これは、そのような配置では、センシングパターン72は、ファン電源線65a,66aとファンGND線65b,66bとの両方からクロストークの影響を受けてしまうことで、互いの影響が打ち消されて、検出回路63,64で上手く検出できない虞が有るからである。
【0084】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
【0085】
例えば、図6のフローチャートに示した動作の流れは一例であり、この順序に限定するものではない。例えば、ACT19とACT20は、その順序が逆であっても良い。このように、先行のまたは後続する処理と齟齬が生じない限り、処理の順序を変更しても構わない。また、何れかの処理と他の処理とを並行して行っても良い。
【0086】
以上のように、説明した新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10…ラベルプリンタ、 11,12…ケース、 15…電源スイッチ、 16…表示部、 17…操作部、 20…ラベル発行口、 23…印字部、 27…ラベル用紙、 33…印字ヘッド、 37…リボン保持軸、 38…リボン巻取軸、 41…インクリボン、 45…CPU、 46…ROM、 47…RAM、 48…通信インタフェース、 49…表示コントローラ、 50…操作部コントローラ、 51…ヘッドドライバ、 52…モータドライバ、 53…プラテンモータ、 54…搬送モータ、 55…送りモータ、 56…巻取モータ、 57…ファンモータ、 58…ファンモータ、 59,60…ファン、 61…メインファン、 62…リボンファン、 63,64…検出回路、 65,66…電源供給ライン、 65a,66a…ファン電源線、 65b,66b…ファンGND線、 67…故障診断部、 68…印字制御部、 69…モータ制御部、 70…回路基板、 71…ファンコネクタ、 72…センシングパターン、 73…グランド(GND)、 74…ビア。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7