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特開2024-110062ベッド用マットレス、及び、その製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110062
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ベッド用マットレス、及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/045 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A47C27/045
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014405
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】594128625
【氏名又は名称】シモンズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】日本 真一
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AD01
3B096AD02
(57)【要約】
【課題】ベッド用マットレスを構成する外郭構成体を、マットレスを構成し得る非金属材料、特に、その端材から適切に構成できるようにする。
【解決手段】マットレス1の側面部1aを構成する平面視四角形の枠状をなす外郭構成体2と、前記外郭構成体2内に納められたコイルコンストラクション3とを備える。前記外郭構成体2を、組み合わされて前記枠状をなす細長い板状の四枚の集成材5よりなる集成材組6を、上下方向に積層・接着させて、複数段の前記集成材組6によって構成させている。前記集成材6を、前記マットレス1を構成し得る非金属材料の細断物7aと接着剤とからなる成形物7としてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マットレスの側面部を構成する平面視四角形の枠状をなす外郭構成体と、前記外郭構成体内に納められたコイルコンストラクションとを備えてなる、ベッド用マットレスであって、
前記外郭構成体を、組み合わされて前記枠状をなす細長い板状の四枚の集成材よりなる集成材組を、上下方向に積層・接着させて、複数段の前記集成材組によって構成させていると共に、
前記集成材を、前記マットレスを構成し得る非金属材料の細断物と接着剤とからなる成形物としてなる、ベッド用マットレス。
【請求項2】
前記外郭構成体の四つの出隅部においてはいずれも、前記集成材組はそれぞれ、この出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの辺部の一方を構成する前記集成材の幅側端面が、前記二つの前記辺部の他方を構成する前記集成材の長さ側側面に対し、接し又は向き合うように、隣り合う前記集成材を配させてなる、請求項1に記載のベッド用マットレス。
【請求項3】
前記外郭構成体の四つの前記出隅部においてはいずれも、上下に隣り合う前記集成材組の一方においては、前記外郭構成体の前記出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの前記辺部の一方側に、前記集成材の長さ側側面に対し接し又は向き合う前記集成材の幅側端面が位置し、
上下に隣り合う前記集成材組の他方においては、前記外郭構成体の二つの前記辺部の他方側に、前記集成材の長さ側側面に対し接し又は向き合う前記集成材の幅側端面が位置するように、
複数段の前記集成材組を積層させてなる、請求項2に記載のベッド用マットレス。
【請求項4】
前記外郭構成体の四つの前記出隅部においてはいずれも、上下に隣り合う前記集成材組の一方における前記出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの前記辺部の一方を構成する前記集成材と前記二つの前記辺部の他方を構成する前記集成材とが、上下に隣り合う前記集成材組の他方を構成する前記集成材を介して連結されるようにしてなる、請求項2に記載のベッド用マットレス。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4に記載のベッド用マットレスの製造方法であって、両板面にそれぞれ剥離シートで被覆された接着層を形成させた前記集成材を用意し、前記剥離シートを剥離して露出させた前記接着層を利用して前記集成材組を上下方向に積層・接着させるようにしてなる、ベッド用マットレスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベッド用マットレスの改良、および、これを容易に製造可能とするその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッド用のマットレスの中で、高級なものには、ウレタンなどよりなる発泡プラスチックから構成された外郭構成体内にコイルコンストラクションを納めて構成されたものがある。
【0003】
前記外郭構成体は、エンケースなどと称され、マットレスの側面部を構成し、平面視四角形の枠状をなしている。この外郭構成体内に納められるコイルコンストラクションによってマットレスの上面部と下面部とが形成される。
【0004】
このように構成したマットレスでは、前記外郭構成体によって側面部に凹凸が表れないようにでき、また、四つの出隅部においては頂点を鋭く表すことができ、このように構成したマットレスは優れた外観性を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、前記のような発泡プラスチックから構成される外郭構成体は、成形のために大がかりな金型を必要とすると共に、マットレスの側面部の強度を確保するためにはそれを構成する樹脂の密度を高める必要があるなど、低廉に提供することが難しい。
【0006】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のベッド用マットレスを構成する外郭構成体を、マットレスを構成し得る非金属材料、特に、その端材から適切に構成できるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、ベッド用マットレスを、マットレスの側面部を構成する平面視四角形の枠状をなす外郭構成体と、前記外郭構成体内に納められたコイルコンストラクションとを備えてなる、ベッド用マットレスであって、
前記外郭構成体を、組み合わされて前記枠状をなす細長い板状の四枚の集成材よりなる集成材組を、上下方向に積層・接着させて、複数段の前記集成材組によって構成させていると共に、
前記集成材を、前記マットレスを構成し得る非金属材料の細断物と接着剤とからなる成形物としてなる、ものとした。
【0008】
かかるマットレスにあっては、前記外郭構成体を四枚の前記集成材からなる前記集成材組を積層させて構成することから、成形に大がかりな金型を必要としない前記集成材によって低廉に前記外郭構成体を提供し得る。また、前記集成材は前記細断物と接着剤とからなる成形物であることから、マットレスを構成し得る非金属材料、特に、その端材を利用して製造することができる。
【0009】
前記外郭構成体の四つの出隅部においてはいずれも、前記集成材組はそれぞれ、この出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの前記辺部の一方を構成する前記集成材の幅側端面が、前記二つの前記辺部の他方を構成する前記集成材の長さ側側面に対し、接し又は向き合うように、隣り合う前記集成材を配させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記外郭構成体の四つの前記出隅部においてはいずれも、上下に隣り合う前記集成材組の一方においては、前記外郭構成体の前記出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの前記辺部の一方側に、前記集成材の長さ側側面に対し接し又は向き合う前記集成材の幅側端面が位置し、
上下に隣り合う前記集成材組の他方においては、前記外郭構成体の二つの前記辺部の他方側に、前記集成材の長さ側側面に対し接し又は向き合う前記集成材の幅側端面が位置するように、
複数段の前記集成材組を積層させるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0011】
また、前記外郭構成体の四つの前記出隅部においてはいずれも、上下に隣り合う前記集成材組の一方における前記出隅部を挟んで隣り合う前記外郭構成体の二つの前記辺部の一方を構成する前記集成材と前記二つの前記辺部の他方を構成する前記集成材とが、上下に隣り合う前記集成材組の他方を構成する前記集成材を介して連結されるようにすることが、この発明の態様の一つとされる。
【0012】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第二の観点から、前記ベッド用マットレスの製造方法を、両板面にそれぞれ剥離シートで被覆された接着層を形成させた前記集成材を用意し、前記剥離シートを剥離して露出させた前記接着層を利用して前記集成材組を上下方向に積層・接着させるようにしてなる、ものとした。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ベッド用マットレスを構成する前記外郭構成体を低廉に提供し得ることから、従って外観性の優れたマットレスを低廉供給可能であり、また、かかる外郭構成体を、マットレスを構成し得る非金属材料、特に、その端材を利用して適切に製造することができ、資源の有効活用ひいては環境負荷の低減に資する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかるマットレスの分解斜視構成図である。
図2図2は、前記マットレスの斜視構成図である。
図3図3は、前記マットレスを構成する外郭構成体の斜視構成図である。
図4図4は、図3の要部拡大図である。
図5図5は、図4における矢印A方向から前記外郭構成体を見て示した側面図である。
図6図6は、図4における矢印B方向から前記外郭構成体を見て示した側面図である。
図7図7は、図3における最上段の集成材組と、二段目の集成材組とを、これらを構成する集成材を分離した状態で、分離して示した斜視図である。
図8図8は、前記マットレスを構成する集成材の構成の一部変更例を示した側面構成図である。
図9図9は、前記マットレスのコイルコンストラクションを構成するポケットコイルの要部を示した斜視構成図である。
図10図10は、前記マットレスの外郭構成体の検討比較例の要部を示した斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1ないし図10に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0016】
この実施の形態にかかるマットレス1は、外郭構成体2と、コイルコンストラクション3とを備えて構成されている。
【0017】
典型的には、かかるマットレス1は、ベッドを構成する床板上に載置されて、ベッドを構成する。
【0018】
外郭構成体2は、マットレス1の側面部1aを構成ないし形作るものであって、平面視四角形の枠状をなす。言い換えれば、外郭構成体2はマットレス1の厚さ方向、つまり、上下方向に筒軸を沿わせた、短寸の角筒状を呈し、この筒軸に直交する向きの断面内外形状をいずれも四つの角をそれぞれ直角とした四角形状としている。
すなわち、外郭構成体2は、構成されるベッドの左右方向xに沿った二つの辺部2aと、かかるベッドのヘッド-フット方向yに沿った二つの辺部2aとを備えた枠状を呈している。
従って、外郭構成体2は、ベッドの左右方向xに沿った内外面2b、2cと、ベッドのヘッド-フット方向yに沿った内外面2b、2cと、四つの出隅部2dを持つ。出隅部2dはそれぞれ、前記左右方向xに沿った外面2cと前記ヘッド-フット方向yに沿った外面2cとが直角に交わる上下方向に沿った頂点部2eを備える。
マットレス1の中心を周回する方向において隣り合う頂点部2e間にそれぞれ一つの辺部2aと内外面2b、2cとが構成される。
典型的には、外郭構成体2の高さは8ないし25cmの範囲とされる。また、典型的には、外郭構成体2の外面2c側と内面2b側との間の距離は2ないし10cmの範囲とされる。
外郭構成体2の底側は、プラスチックフォーム材などのシート材ないしはマット材からなる底面構成体4によって塞がれる。この底面構成体4によってマットレス1の水平面部1bの一方が形成される。この底側を塞ぐ底面構成体4は後述の集成材5と同様にマットレス1を構成し得る非金属材料の細断物と接着剤とからなる成形物から構成しても良い。
外郭構成体2は、マットレス1の側面部1aを構成する所望の保形力を持つと共に、所望の可撓性を持つ。
【0019】
コイルコンストラクション3は、前記外郭構成体2内に納められて、マットレス1の他方の水平面部1bを構成する。
コイルコンストラクション3としては、ポケットコイルやオープンコイルなど、公知のものを用いて構わない。
図示の例では、ポケットコイル3aによってコイルコンストラクション3を構成させている。
ポケットコイル3aは、不織布などの生地からなるスリーブ3bに対しスリーブ3bの長さ方向において等間隔で溶着などにより仕切り部3cを形成し、隣り合う仕切り部3cによって形成されるポケット3dにそれぞれ圧縮コイルスプリング3eを内蔵させた構成となっている。内蔵されたコイルスプリング3eの一端3fがマットレス1の水平面部1bの一方の一部を支え、他端3gがマットレス1の水平面部1bの他方の一部を支える。
このように構成される複数のポケットコイル3aを、その側面3hにおいて接着などにより止着させ合わせることで、コイルコンストラクション3が構成される。
【0020】
典型的には、このように構成される一つの外郭構成体2内にコイルコンストラクション3を納めた一つのマットレス1が構成される。
また、前記のようにコイルコンストラクション3を納めた外郭構成体2を、上下に二以上積み重ねて、一つのマットレス1を構成する場合もある。
典型的には、マットレス1の上側の水平面部1b(前記のように外郭構成体2を二以上積み重ねる場合には最上段の外郭構成体2にかかる前記水平面部1b)と、マットレス1の下側の水平面部1b(前記のように外郭構成体2を二以上積み重ねる場合には最下段の外郭構成体2にかかる前記水平面部1b)と、両水平面部1b間に亘る側面部1aとを表地やキルティングパネルなどの外装材(図示は省略する。)で覆うことで、一つのベッドの主要部分となるマットレス1が構成される。
【0021】
また、前記外郭構成体2は、この外郭構成体2の四つの辺部2aにそれぞれ対応した細長い板状をなす集成材5の四枚よりなる集成材組6を、上下方向に積層・接着させて構成されている。
すなわち、前記外郭構成体2は、組み合わされて前記四角形の枠状をなす四枚の集成材5よりなる集成材組6を、上下方向に積層・接着させて、複数段の前記集成材組6によって構成されている。
集成材組6は、求められる外郭構成体2の高さに対応して必要とされる段数分積層される。
複数の集成材組6は、集成材5の板面5cを、構成されるマットレス1の上下方向に直交する向き、つまり、水平に配するようにして、積層されている。
かかる接着には、ホットメルト系の接着剤や、両面粘着テープを用いることが、好ましい。
【0022】
図7に示されるように、一つの集成材組6、すなわち、一段分の集成材組6は、ベッドの左右方向xに沿うように配される二枚の集成材5と、ベッドのヘッド-フット方向yに沿った二枚の集成材5とによって、構成されるようになっている。
【0023】
各集成材5は、細長い矩形の板状を呈し、その板面5cを前記水平方向に沿わせるように配されている。典型的には、各集成材5の幅は、前記外郭構成体2の外面2c側と内面2b側との間の距離となる、2ないし10cmの範囲とされる。また、各集成材5の厚さは、典型的には、1ないし5cmの範囲とされる。
【0024】
また、前記外郭構成体2の四つの出隅部2dにおいてはいずれも、前記集成材組6はそれぞれ、この出隅部2dを挟んで隣り合う前記外郭構成体2の二つの前記辺部2aの一方を構成する前記集成材5の幅側端面5a(集成材5の厚さ方向の端面/小口面)が、前記二つの前記辺部2aの他方を構成する前記集成材5の長さ側側面5b(集成材5の厚さ方向の側面/こば面)に対し、接し又は向き合うように、隣り合う前記集成材5を配させている。
これにより、外郭構成体2の外面2cは、四つの辺部2aのいずれにおいても、一つの出隅部2dを挟んで隣り合う一方の集成材5の長さ側側面5bと、他方の集成材5の幅側端面5aとの二つの面の組み合わせによって構成されるようになっている。一方、外郭構成体2の内面2bは、四つの辺部2aのいずれにおいても、集成材5の長さ側側面5bによって構成されるようになっている。
図示の例では、外郭構成体2におけるベッドの左右方向xに沿った寸法は、この左右方向xに長さ方向を沿わせて配される集成材5の長さと、ベッドのヘッド-フット方向yに長さ方向を沿わせて配される集成材5の幅との和となり、
外郭構成体2におけるベッドのヘッド-フットyに沿った寸法は、このヘッド-フット方向yに長さ方向を沿わせて配される集成材5の長さと、ベッドの左右方向xに長さ方向を沿わせて配される集成材5の幅との和となり、
二種類の集成材5から一段分の集成材組6が構成されると共に、二種類の集成材5から外郭構成体2が構成されるようになっている。
【0025】
また、前記外郭構成体2の四つの前記出隅部2dにおいてはいずれも、
上下に隣り合う前記集成材組6の一方(例えば図4における最上段)においては、前記外郭構成体2の前記出隅部2dを挟んで隣り合う前記外郭構成体2の二つの前記辺部2aの一方側(例えば図4における右側の辺部2a)において、図4の左側に位置する集成材5の長さ側側面5bに対し図4の右側に位置する集成材5の幅側端面5aが接し又は向き合い、図4における最上段では前記頂点部2eは図4の左側に位置する集成材5の幅側端面5aと長さ側側面5bとが接し合う角で形成され、
上下に隣り合う前記集成材組6の他方(例えば図4における二段目)においては、前記外郭構成体2の二つの前記辺部2aの他方側(例えば図4における左側の辺部2a)において、図4の右側に位置する集成材5の長さ側側面5bに対し図4の左側に位置する集成材5の幅側端面5aが接し又は向き合い、図4における二段目では前記頂点部2eは図4の右側に位置する集成材5の幅側端面5aと長さ側側面5bとが接し合う角で形成されるように、
複数段の前記集成材組6を積層させている。
【0026】
すなわち、前記外郭構成体2の四つの前記出隅部2dにおいてはいずれも、上下に隣り合う前記集成材組6の一方における前記出隅部2dを挟んで隣り合う前記外郭構成体2の二つの前記辺部2aの一方を構成する前記集成材5と前記二つの前記辺部2aの他方を構成する前記集成材5とが、上下に隣り合う前記集成材組6の他方を構成する前記集成材5を介して連結されるようになっている。
【0027】
より具体的には、一つの集成材組6、すなわち、一段分の集成材組6を構成する四枚の集成材5は相互に止着されていない。
一つの集成材組6を構成する四枚の集成材5はその板面5cを、この一つの集成材組6に対しその上方又は下方において隣り合う他の一つの集成材組6を構成する集成材5の板面5cに接着させることにより、この上方又は下方において隣り合う他の一つの集成材組6を介して一体化されるようになっている。
【0028】
図示の例では、図3における最上段の集成材組6において、最も手前に位置する出隅部2dを構成する図3において左側に位置する集成材5-1と図3において右側に位置する集成材5-2とは、集成材5-2の幅側端面5aを集成材5-1の長さ側側面5bに接しさせているが、この幅側端面5aと長さ側側面5bとは止着されていない。
図3における上から二段目の集成材組6においては、最も手前に位置する出隅部2dを構成する図3において右側に位置する集成材5-3の上側の板面5cが前記集成材5-1及び前記集成材5-2の下側の板面5cにそれぞれ密着してこれらに接着されており、これにより、集成材5-3を介して、集成材5-1と集成材5-2とが一体化されている(図3ないし図6参照)。
図3において最も手前に位置する出隅部2dにおける頂点部2eを挟んだ左側の辺部2aとなる外郭構成体2の外面2cには、集成材5-1の長さ側側面5bと、集成材5-3の幅側端面5aが表れ、
図3において最も手前に位置する出隅部2dにおける頂点部2eを挟んだ右側の辺部2aにある外郭構成体2の外面2cには、集成材5-1の幅側端面5a、集成成5-2及び集成材5-3の長さ側側面5bとが表れる。
図示の例では、外郭構成材の四つの出隅部2dにおいてそれぞれ、一つの集成材組6を構成する隣り合う集成材5は、その一段下の集成材組6を構成する集成材5に前記のように接着されて一体化されるようになっている。
【0029】
図10に示されるように、外郭構成体2の任意の出隅部2dを挟んで隣り合う一方の辺部2aを構成する集成材5と、他方の辺部2aを構成する集成材5とを、前記外郭構成体2の出隅部2dの頂点部2eと図示しない中心とを結ぶ直線zに沿うように集成材5に形成させた斜めの幅側端面5a’を突き合わせてこの幅側端面5a’において接着させた場合、マットレス1に対する荷重の作用により外郭構成体2の出隅部2dに経時的な割れを生じやすくなる。本実施の形態のように、一つの集成材組6を構成する隣り合う集成材5を、その一段下の集成材組6を構成する集成材5に前記のように接着させて一体化すれば、このような経時的な出隅部2dの変化を防止できる。
【0030】
また、前記集成材5は、前記マットレス1を構成し得る非金属材料の細断物7aと接着剤とからなる成形物7となっている。
【0031】
前記非金属材料は、マットレス1を構成し得る金属材料以外のものであって、ウレタンなどのプラスチックフォーム材、織生地や編生地や不織布などの生地、綿などである。
より具体的には、前記非金属材料は、ポケットコイル3aやオープンコイルを構成するコイルスプリングなどの金属材料を除いた、容易に細断可能で且つ柔軟性ないし可撓性を備えたマットレス1を構成し得る材料であり、マットレス1における公知の表地、詰め物、キルティングパネル、前記ポケットコイル3aのスリーブ3bを構成する生地などを構成する材料である。
【0032】
このような非金属材料を、典型的には、5mm角程度に細断し、得られた細断物7aに接着剤を加え、細断物7aを接着剤によって相互に隙間少なくつなぎ合わせ纏めてマット状で長尺の成形物7、好ましくはロール状に巻き取り可能なマット上で長尺の成形物7をカレンダー成形などにより成形する。そして、かかる長尺の成形物7を、所望の長さ及び幅を持つように切断することで前記集成材5を得ることができる。
【0033】
かかるマットレス1にあっては、前記外郭構成体2を四枚の前記集成材5からなる前記集成材組6を積層させて構成することから、成形に大がかりな金型を必要としない前記集成材5によって低廉に前記外郭構成体2を提供し得る。また、前記集成材5は前記細断物7aと接着剤とからなる成形物7であることから、マットレス1を構成し得る非金属材料、特に、その端材を利用して製造することができる。
【0034】
図8に示されるように、両板面5cにそれぞれ剥離シート9で被覆された接着層8を形成させた前記集成材5を用意し、前記剥離シート9を剥離して露出させた前記接着層8を利用して前記集成材組6を上下方向に積層・接着させるようにすれば、複数段の前記集成材組6よりなる外郭構成体2、ひいては、これを含んで構成されるマットレス1の製造を容易化できる。
【0035】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0036】
1 マットレス
1a 側面部
2 外郭構成体
5 集成材
6 集成材組
7 成形物
7a 細断物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10