(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110069
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】計測面の形状データ取得方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20240807BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01C15/06 T
G01C15/00 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014417
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(74)【代理人】
【識別番号】100077986
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(72)【発明者】
【氏名】桐生 徳康
(57)【要約】
【課題】様々な態様の計測面を精度よく計測可能な面計測器、および面計測システムに関する。
【解決手段】計測面に沿って移動可能な基体、および、測量機により遠隔から自身の位置情報を取得されることが可能であり、かつ、前記基体が前記計測面に接しているとき、常に前記計測面から所定距離を保つように前記基体に取付けられるターゲットを用いて、前記計測面に沿って前記基体を移動させながら、前記測量機で前記ターゲットの位置情報を取得し、取得した前記ターゲットの位置情報を、前記計測面に向かって前記所定距離だけオフセットすることで、前記計測面の位置情報を取得する計測面の形状データ取得方法を提供する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測面に沿って移動可能な基体、および、測量機により遠隔から自身の位置情報を取得されることが可能であり、かつ、前記基体が前記計測面に接しているとき、常に前記計測面から所定距離を保つように前記基体に取付けられるターゲットを用いて、前記計測面に沿って前記基体を移動させながら、前記測量機で前記ターゲットの位置情報を取得し、
取得した前記ターゲットの位置情報を、前記計測面に向かって前記所定距離だけオフセットすることで、前記計測面の位置情報を取得する、
を備えることを特徴とする計測面の形状データ取得方法。
【請求項2】
前記ターゲットの位置情報をオフセットする方向は、前記計測面の態様から自動的に決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の計測面の形状データ取得方法。
【請求項3】
前記計測面の態様とは、前記計測面が開口部の内周面もしくは被計測物の外周面、または湾曲面である、
ことを特徴とする請求項2に記載の計測面の形状データ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、壁面、天井面、壁面、内周面や外周面など、様々な態様の計測面の計測データの形状データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路面などの凹凸状態を計測するため、様々な計測器が提案されている。例えば、特許文献1では、台車にレーザ光を受光する装置を積載した計測器を用いており、この台車を道路上に走行させることで、路面の凹凸状態を取得していた。特許文献2では、車輪が設けられた基体に、プリズムと操作棒が取付けられた計測治具を用いており、測量機にプリズムを測定させながら、作業者は操作棒を持って、基体を道路に沿って移動させることで、路面の凹凸状態を取得していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3829225号
【特許文献2】特許5669315号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1および特許文献2は、いずれも計測面は路面のみを想定しており、壁面、天井面、内周面、外周面などは想定されていない。
【0005】
本件は、このような問題に鑑みてなされたものであり、路面に限らず、壁面、天井面、内周面、外周面など、様々な態様の計測面の形状データを取得可能な方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本発明の第1形態の形状データ取得方法は、計測面に沿って移動可能な基体、および、測量機により遠隔から自身の位置情報を取得されることが可能であり、かつ、前記基体が前記計測面に接しているとき、常に前記計測面から所定距離を保つように前記基体に取付けられるターゲットを用いて、前記計測面に沿って前記基体を移動させながら、前記測量機で前記ターゲットの位置情報を取得し、取得した前記ターゲットの位置情報を、前記計測面に向かって前記所定距離だけオフセットすることで、前記計測面の位置情報を取得するように構成した。
【0007】
この態様によれば、計測面に沿って移動するターゲットの位置情報を取得でき、位置データを基に形状データを算出できる。様々な態様の形状の計測面のデータを取得可能である。
【0008】
また、ある態様においては、前記ターゲットの位置情報をオフセットする方向は、前記計測面の態様から自動的に決定されるように構成した。
【0009】
また、ある態様においては、前記計測面の態様とは、前記計測面が開口部の内周面もしくは被計測物の外周面、または湾曲面であるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、様々な態様の計測面の形状データを取得可能な方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】面計測器の一例を示す。
図3(A)は面計測器の斜視図である。
図3(B)は面計測器の側面図である。
【
図7】計測データ取得工程のフローチャートである。
【
図10】面計測システムの別の実施例(開口部形状)を示す。
【
図14】計測システムの変形例である。
図13の面計測器の湾曲面での使用状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0013】
(面計測システム)
本発明にかかる計測面の形状データを取得方法は、計測データ取得工程および後処理演算工程を有する。まず、データ取得工程として、面計測システム1を用いて、計測面WLにかかる位置情報を取得する。面計測システム1は、計測面WLが床面のみならず壁面や天井面であっても、計測面WLにかかる位置情報を三次元座標(X,Y,Z)として取得可能である。ついで、後処理演算工程として、面計測システム1で取得した位置情報を基に、計測面WLの三次元座標を取得する。これにより計測面WLの形状データ、例えば、寸法、傾き、凹凸状態などを算出する。
【0014】
最初に、面計測システム1について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態である面計測器40を備える面計測システム1の概略構成を示す図であり、計測現場での作業をイメージしている。
【0015】
面計測システム1は、測量機20および面計測器40を含んで構成される。測量機20は、測距・測角機能及び追尾機能を備えたトータルステーションである。測量機20は、基準点O中心上に三脚を用いて設置される。測量機20は、整準器の上に設けられた基盤部2aと、基盤部2aを鉛直軸V回りに水平回転する托架部2bと、托架部2bの中央で水平軸H周りに鉛直回転する望遠鏡2cとを有する。
【0016】
面計測器40は、操作棒41の先端に取付けられた基体43と、測距・測角機能及び追尾機能のターゲットであるターゲット42を有する。基体43は計測面WLに沿って移動可能に構成される。基体43が移動しても、ターゲット42の光学中心Cと計測面WLとの距離は一定となるように、ターゲット42は基体43に搭載されている。
【0017】
計測面WLを計測の際には、作業者は操作棒41を把持し、基体43を計測面WLに当接させながら、計測面WLに沿って移動させる。測量機20には、ターゲット42を自動追尾させるとともに、随時、ターゲット42を測距・測角させる。計測された距離および方位角から、接地点Pにおける光学中心C(以下、接地点Pにおける光学中心Cの位置、すなわち実際に計測されて位置情報を取得される点を実計測点PPと称する)の三次元座標(X,Y,Z)を取得する。なお、接地点Pは、接地点P1、P2、P3…と計測ごとに異なり、計測回数だけ存在するが、以下、全ての計測点をまとめて接地点Pと称する。実計測点PPについても同様である。
【0018】
また、面計測システム1は、幾つかの計測モードを備えている。例えば、内枠や開口部の内周面を計測する「内周面計測モード」や被計測物の外周面を計測する「外周面計測モード」を備えている。「面凹凸計測モード」では、天井面/床面/左側面/右側面、また湾曲面形状を計測する「湾曲面計測モード」など、どのような面を計測するかを設定することができる。計測モードにより、どのような面を計測するかを事前に設定でき、実計測点PPのオフセットされるべき方向が指定される。
【0019】
(測量機)
図2は、測量機20の構成ブロック図である。測量機20は、モータドライブトータルステーションであり、表示部18、入力部19、水平角検出器21、鉛直角検出器22、水平回転駆動部23、鉛直回転駆動部24、測距部25、追尾部26、通信部27、記憶部28、およびこれら全てが接続される測量機制御部29を有する。
【0020】
水平角検出器21と鉛直角検出器22は、回転円盤、スリット、発光ダイオード、イメージセンサを有するアブソリュートエンコーダまたはインクリメンタルエンコーダである。水平角検出器21は、托架部2bの回転軸に設けられ、托架部2bの水平角を検出する。鉛直角検出器22は、望遠鏡2cの水平軸Hに設けられ、望遠鏡2cの鉛直角を検出する。
【0021】
水平回転駆動部23と鉛直回転駆動部24はモータである。測量機制御部29に制御され、水平回転駆動部23は托架部2bの回転軸を動かし、鉛直回転駆動部24は、望遠鏡2cの回転軸を動かす。両駆動部の協働により、望遠鏡2cの向きが変更される。水平角検出器21と鉛直角検出器22とで、測角機能を実装している。水平回転駆動部23および鉛直回転駆動部24とで、駆動機構を構成する。
【0022】
測距部25は、送光部と受光部を備え、ターゲット42を視準して、例えば赤外パルスレーザ光等の測距光をターゲット42に射出し、その反射光を受光部で受光し、測距光と内部参照光の位相から測距する。
【0023】
追尾部26は、測距光とは異なる波長の赤外レーザ光などを追尾光として出射する追尾送光系と、CCDセンサまたはCMOSセンサなどのイメージセンサを有する追尾受光系を有する。測量機制御部29は、追尾部26で取得した情報からターゲット像の中心を求め、ターゲット位置として検出し、ターゲット像の中心と望遠鏡2cの視軸中心からの隔たりが一定値以内に収まるように、常に望遠鏡2cがターゲットの方向を向くように、自動追尾する。
【0024】
通信部27は、外部ネットワークとの通信を可能にするものであり、例えば、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットに接続し、情報の送受信を行う。通信部27の送受信する情報は、例えば、図示しない情報処理装置に送信する測定データや、図示しないコントローラから受信する命令信号などである。
【0025】
測量機制御部29は、例えば、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit))、および少なくとも1つのメモリ(例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)など)を、基盤に実装したマイクロコントローラである。収納されたプログラムにより、プロセッサにて各制御が実行される。測量機制御部29は、制御として、通信部27を介した情報の送受信、水平回転駆動部23および鉛直回転駆動部24による各回転軸の駆動、測距部25による測距、水平角検出器21および鉛直角検出器22による測角、追尾部26による自動追尾、取得した計測データの演算処理などを行う。
【0026】
後処理部291は、プログラムのサブルーチンなどのアプリケーションの一部として認識される。取得した三次元座標Q(X,Y,Z)から、計測面WLの三次元座標や形状データを算出するなど、取得したデータに対する演算処理を実施する。本実施形態においては、後処理部291は、測量機20にソフトウェア的に組み込まれたが、タブレットやモバイルパソコンなどの別の演算処理装置に実装されてもよい。
【0027】
記憶部28は、例えばハードディスクドライブなどの記憶媒体であり、演算処理プログラムや、取得した計測データや演算結果が収納される。
【0028】
表示部18、入力部19は、測量機20のインターフェースである。入力部19は、電源キー、数字キー、実行キーなどを有し、作業者が、測量機20の操作や測量機20に対する情報を入力できる。表示部18は、液晶ディスプレイであり、タッチパネル式として、入力部19と一体に構成されてもよい。
【0029】
(面計測器)
次に面計測器40について説明する。
図3は、面計測器40を示す。
図3(A)が面計測器40の斜視図である。
図3(B)が面計測器の側面図である。
【0030】
面計測器40は、操作棒41、ターゲット42、および基体43を有する。
【0031】
基体43の両側には、回転軸(車軸)を水平にして、かつ回転軸を一致させて、一対の車輪44が設けられている。一対の車輪44により、基体43は計測面WLを移動可能に構成される。基体43の移動を操作する操作棒41の先端に、基体43が取付けられる。
【0032】
車輪44は円柱体であり、計測面WLに接地し、かつ計測面WLに沿って移動可能な外周側面を有する。円柱体である車輪44の車軸44aが車輪44の中心軸であり回転軸である。車輪44は単体でも外周側面で自立可能に構成される。このため、水平面に載置された面計測器40が自立できずに転倒することはない。一対の車輪44が車軸を一致させて配置される場合、一対の車輪44を円柱体の分割体として構成しても構わず、一対の車輪44で自立可能であればよい。特に材質は指定しないが、計測面WLとの接触での弾性変形による計測誤差を抑制するため、ゴム材などの負荷により変形が生じやすい部材ではなく、硬質の合成樹脂部材や金属部材、木材など、計測面WLとの接触程度では変形が殆ど生じない部材で構成されると好ましい。また、車輪44は、円柱体に限られず、球面体であってもよい。
【0033】
一対の車輪44は基体43の両側面に回動可能に支持される。なお、車輪44が回動可能に支持されることは必須ではなく、円柱体の車輪44が計測面WLに沿ってスムーズに移動可能であれば、車輪44が基体43に固定されてもよい。
【0034】
ターゲット42は、コーナーキューブプリズムなどの再帰反射体で構成されており、本実施形態においては、いわゆる全方位プリズムで、その全周(360度)から入射する光を、その入射方向と反対の方向に再回帰反射する。ターゲット42は、ターゲット42の光学中心Cが、車輪44の回転軸上となるようにして配置され、一方の車輪44の露出する端面に取付けられている。本実施形態においては、1つのターゲット42が一方の車輪44にのみ取付けられているが、2つのターゲット42がそれぞれの車輪44の外側端面に取付けられてもよい。光学中心Cが車輪44の回転軸上に配置されればよく、ターゲット42が車輪44に取付けられることは必須ではない。操作棒41が、車輪44を挟むようにして、その回転軸を車輪44の回転軸に一致させて基体43に回動可能に設けられ、この操作棒41にターゲット42が固定されてもよい。
【0035】
上記構成により、車輪44が回転すると、ターゲット42も車輪44とともに回転するが、車輪44の接地点と光学中心Cとの距離は、常に一定の距離を保つ。水平面に車輪44を接地させたときの、水平面から光学中心Cまでの高さを距離Tとすると、計測面WLに車輪44が接地しているとき、車輪44の接地点と光学中心Cとの距離は、常に距離Tとなる。本実施形態においては、距離Tは車輪44の半径となる。
【0036】
図4~
図6は、面計測器40の使用状態を示す。一対の車輪44が基体43に回動可能に設けられていることから、車輪44と基体43は、車輪44の回転軸(車軸44a)に対して、互いに相対的に回動可能となっている。車輪44は基体43に対して回転軸を中心にして回動可能であり、基体43およびこれに連結される操作棒41は、車輪44が計測面WLに接地したまま、車輪44の回転軸を中心として回動可能である。
【0037】
面計測器40においては、一対の車輪44の回転軸上にターゲット42が配置されているため、車輪44が計測面WLに接地していれば、車輪44が回転して基体43が移動しても、基体43が車輪44の回転軸を中心として回転しても、基体43の姿勢にかかわらず、車輪44の接地点とターゲット42の光学中心Cとの距離は常に一定(距離T)である。
【0038】
図4(A)に示すように、車輪44が計測面WLに接したままの状態で、基体43および操作棒41が車輪44の回転軸を中心にして回転し、鉛直位置から傾いても、車輪44の接地点とターゲット42の距離は変わることがなく、常に距離Tを保つ。また、
図4(B)に示すように、一対の車輪44が計測面WLに接したまま、計測面WLの垂直軸に対して面計測器40が回転しても、車輪44の接地点とターゲット42の距離は変わることなく、常に距離Tを保つ。すなわち、面計測器40が、面計測器40の進行方向に対して、左右に向いてしまっても、車輪44の接地点とターゲット42との距離は、常に距離Tに保たれる。
【0039】
一対の車輪44の外周側面が計測面WLに対して接しているならば、面計測器40が鉛直方向に移動しても、水平方向に移動しても、ターゲット42と計測面WLとの距離は一定(距離T)となる。
【0040】
また、
図5に示すように、面計測器40においては、計測面WLが凹凸のある湾曲面であっても、車輪44を回転させて基体43を計測面WLに沿って移動させることができる。
【0041】
作業者は、車輪44が常に計測面WLに接するようにして、操作棒41を操作して基体43を移動させていればよく、基体43の姿勢を気にする必要が無い。計測面WLは、床面や路面に限らず、壁面などの鉛直面や傾斜面、天井面、また湾曲面や屈曲面などであっても、面計測器40を用いて形状を計測することができる。例えば、
図6(A)(B)に示すように、計測面WLが壁面、かつ凹凸のある面であっても、計測面WLが天井面、かつ屈曲面であっても問題なく計測でき、作業者は車輪44を計測面WLに沿わせて基体43を移動させるだけでよい。
【0042】
(実施例1:鉛直面の計測方法)
次に、面計測システム1を用いた計測面WLにかかる位置座標を取得する計測データ取得工程について説明する。
図7は、計測データ取得工程のフローチャートである。一例として、
図1および
図8示すように、計測面WLが壁面であった場合について説明する。
【0043】
まず、ステップS101で、測量機20が基準点に設置される。基準点は、任意点でよい。基準点として任意点に設置した場合、計測データから算出される三次元座標データは任意点を原点としたローカル座標系となる。ローカル座標系を使用すると、基準点からの位置関係の把握が容易となり、距離感や計測面WLのサイズ感を把握しやすくなり好ましい。測量機20を既知点に設置してもよいが、計測データから算出される三次元座標データは絶対座標系となる。
【0044】
次に、ステップS102に移行し、面計測器40を初期位置に配置する。作業者は、操作棒41を把持して、計測面WLに車輪44を接地させる。鉛直面を計測する場合、計測面WLの最下端で、床面と計測面WLの両方に車輪44を接地させると好ましい。
【0045】
次に、ステップS103に移行し、測量機20の追尾部26がターゲット42をロックし、追尾が開始される。
【0046】
次に、ステップS104に移行し、測量機20は、ロックしたターゲット42の測距・測角を実施する。
図8に示すように、計測される点は、計測面WL上の接地点Pではなく、接地点Pに車輪44が接地としたときの光学中心Cである(実計測点PP)。測量機制御部29は、計測された距離および方位角から、実計測点PPの三次元座標を算出する。算出された実計測点PPの三次元座標は記憶部28に収納される。測距・測角は、例えば0.1秒~1秒ごとなど、所定の時間間隔で、随時実行される。所定の時間間隔だけでなく、移動距離を観測して、例えば0.1cm~10cmごとなど、所定の距離間隔で測距・測角を実行してもよい。
【0047】
次に、ステップS105に移行し、作業者は、操作棒41を操作し、車輪44を回転させて計測面WLに沿って基体43を移動させる。作業者の計測の目的により、所定のパターンで計測面WL上を移動させると好ましい。例えば、
図1に示す計測面WLの凹凸状態を検査する場合、初期位置から基体43を上方に計測面WLの上端まで移動させ、上端まで到達したら、車輪44を計測面WLに当接させたまま、基体43を側方(左方または右方)に所定距離だけ移動させ、今度は計測面WLの上端から下端まで下方に移動させる。
【0048】
次に、ステップS106で、面計測器40を計測面WLの終了位置まで移動させ終える、測量機20は計測を停止し、終了する。
【0049】
(実施例1の後処理方法)
次に、このようにして取得した位置情報の後処理方法について説明する。面計測システム1で取得される三次元座標は、計測面WL上の座標ではなく、計測面WLから距離Tだけ離れた実計測点PPの三次元座標である。このため、実計測点PPの三次元座標を、実際の計測面WL上へ向かって距離Tだけオフセットする座標変換を行う必要がある。
【0050】
図9は、後処理演算工程のフローチャートである。後処理演算工程として、後処理部291は、以下の演算処理を実施する。
【0051】
最初に、ステップS201で、面計測システム1で取得した実計測点PPの三次元座標が、後処理部291に入力される。測量機20が任意点に設置された場合、三次元座標PQはローカル座標系となり、基準点の座標は原点(0,0,0)となる。
【0052】
次に、ステップS202で、後処理部291は、算出された実計測点PPの三次元座標を座標空間にプロットする。
【0053】
次に、ステップS203で、実計測点PPのオフセット方向を算出する。本実施例においては、全プロット点がフィットする面を算出し、この面に平行(直交面上)、かつ、プロット点の前後の所定範囲のデータから、算出された近似直線に直交方向となる。点群から面や近似直線を算出する方法は、周知の方法を用いてよく、説明は省略する。所定範囲は、所定の数の実計測点、または所定距離内の実計測点を示す。
【0054】
一例として
図8に示すように、実計測点PPnの前後の複数の点から近似直線を算出し、この近似直線の法線方向(直交方向)を算出する。さらに全計測点から近似平面も算出する。近似平面に平行で(近似面に直交する平面上)、かつ、近似直線の法線方向という二つの条件を満たす方向として、方向A1および方向B1が算出される。
【0055】
点群がプロットされた座標空間に、プロット点を順に結んだ線や、プロット点がフィットする面も形成される。座標空間は、表示部18に表示される。
【0056】
次に、ステップS204で、オフセット方向を決定する。オフセット方向は、実計測点PPがオフセットされる方向であり、ステップS203で算出された方向、かつ実計測点PPから計測面WLに向かう方向となる。
図8に示すように、ステップS203で算出される方向は、180度異なる正反対な方向で二つ存在する(方向A1および方向B1)。このため、どちらがオフセットするべき方向であるかを自動または手動で決定する必要がある。
【0057】
従来の面計測システムは、計測面を路面のみ想定しており、取得された形状データは、オフセットさせる必要がない、もしくは鉛直下方向へオフセットするだけだった。しかし、面計測システム1は、鉛直面や天井面も計測可能であるため、取得した点群の三次元座標データだけでは、オフセット方向を決定できない。例えば、計測面WLが水平面である場合、実計測点PPのみから算出される法線方向は鉛直な上下方向の2方向あり、いずれの方向がオフセット方向であるか、すなわち計測面WLが天井面であるか床面であるかを、指定する必要がある。計測面WLの態様や計測モードを入力部19から入力する、測量機20に備えられた図示しない撮像装置で取得した画像データから自動で判別するなど、手動または自動でオフセット方向を指定する。計測モードを指定した場合は、自動でオフセット方向が指定される。
【0058】
次に、ステップS205で、指定されたオフセット方向に、実計測点PPを距離Tだけオフセットする座標変換を行う。実計測点PPがステップS204で選択された方向へオフセットされ点は、おおむね実計測点PP計測時の接地点Pと略一致する。これにより計測面WL上の三次元座標が算出される。
【0059】
次に、ステップS206で、ステップS205で算出された三次元座標から、計測面WLの形状データを算出する。例えば、計測面WLの三次元形状、計測面WLの寸法、外形、凹凸などを取得することができる。
【0060】
実計測点PPをオフセットするべき方向の決定は、上記方法に限られない。例えば、測量機20に搭載されたカメラやCDなど撮像装置を搭載し、計測時に計測面WLを撮像し、取得された画像データから計測面WLの形態や配置を検知し、オフセット方向を判断できるように構成してもよい。
【0061】
計測時に計測面WLの態様を入力部19から入力することで、オフセット方向を決定できる。オフセット方向の入力情報や、自動で判断された情報は、表示部18に表示させると好ましい。また、オフセット方向の条件などは、結果の出力ファイルのヘッダに含まれると、作業者が計測条件を把握しやすく好ましい。
【0062】
(実施例2:内周面の計測方法)
面計測システム1および後処理部291を用いた別の実施例について説明する。面計測器40は、壁面や天井面、屈曲面も計測できることから、壁面から連続して天井面や床面も計測することができる。面計測器40で開口部の内周面を連続して計測することで、開口部の形状データを取得することも可能である。例えば、窓枠を嵌め込むための壁面の開口部形状や、建物入り口の内枠形状を計測することで、窓や扉を嵌め込むことができるか否かを確認することができる。このような内枠計測モードも、面計測システム1で選択できる。
【0063】
図10に示すガレージG1の開口部G2は、ガレージG1の出入り口であり、図示しない既成品のシャッターを嵌め込むために設けられた、ガレージG1の壁面の開口部である。開口部G2の内周面、すなわち開口部G2を形成する左側面G3、天井面G4,および右側面G5に沿って面計測器40を移動させることで、開口部G2の寸法や傾きを計測することができる。
【0064】
図10に示す実施例により、面計測システム1を用いた開口部G2の内周面にかかる三次元座標を取得する計測データ取得工程を、
図7のフローチャートに従って説明する。
【0065】
まず、ステップS101で、基準点に測量機20を配置する。基準点は任意点でよい。
【0066】
次に、ステップ102で、初期位置として面計測器40を、左側面G3の下端部に配置し、車輪44を床面G6と左側面G3に当接させる。
【0067】
次に、ステップS103で、測量機20にターゲット42をロックさせて、追尾を開始する。
【0068】
次に、ステップS104で、測量機20は、ロックしたターゲット42の測距・測角を所定の間隔で実施する。計測したデータから、位置情報として実計測点PPの三次元座標が算出される。
【0069】
次に、ステップS105に移行し、作業者は、操作棒41で以下の操作を行う。まず車輪44を左側面G3に当接させたまま回転させ、基体43を左側面G3に沿って上方へ移動させる。基体43を左側面G3の上端まで移動させ、車輪44が天井面G4に当接したら、今度は車輪44を天井面G4に沿って回転させ、右側面G5に向かって移動させる。車輪44が右側面G5に当接し、基体43が右側面G5に到達したら、今度は、そのまま右側面G5に沿って、車輪44が床面G6に当接するまで下方に移動させる。
【0070】
次に、ステップS106で、面計測器40を計測面WLの終了位置である、右側面G5の下端まで移動させ終えると、測量機20は計測を停止し、終了する。
【0071】
実計測点PPは、略同一平面上にあると好ましい。車輪44の端面を開口部G2の端部に沿わせて配置し、開口部G2の端部を目印として車輪44を回動させると、基体43の移動と計測位置が安定するため好ましい。
【0072】
基体43が車輪44に対して相対的に回動しても、ターゲット42と車輪44の接地点との距離は変わらないため、作業者は基体43の姿勢や操作棒41の傾きを気にせずに、基体43を移動させることができる。
【0073】
開口部G2は出入り口であるため、左側面G3、天井面G4,右側面G5の三面を計測すれば、もう一面の床面G6は、基体43を移動させて計測せずとも開口部G2の形状は算出することができる。窓の内枠など、開口部が床面を構成面に持たない場合、終了位置を初期位置と同一として、初期位置に戻るまで内周面に車輪44を沿わせて基体43を移動させて、開口部の全周を計測する。
【0074】
(実施例2の後処理工程)
次に、取得した開口部G2の内周面にかかる三次元座標の後処理演算工程について、
図9のフローチャートを用いて説明する。
【0075】
最初に、ステップS201で、面計測システム1で取得した開口部G2にかかる実計測点PPの三次元座標が、後処理部291に入力される。
【0076】
次に、ステップS202で、入力された実計測点PPの三次元座標が、座標空間にプロットされる。
【0077】
次に、ステップS203で、プロット点(実計測点PP)からオフセット方向を算出する。座標空間でプロット点が順に結ばれ、終点と始点は自動で結ばれ、矩形の閉曲線が形成される。プロット点を結んだ形状が、単純な閉曲線である場合、計測面WLは開口部の内周面、もしくは被計測物の外周面であると判断される。または、入力された計測モードにより内周面または外周面と判断されてもよい。
【0078】
本実施例のような内周面のオフセット方向は、全プロット点から算出される平面上で、かつ、プロット点の前後の所定範囲のデータから算出された近似直線に直交する方向(法線方向)となる。本実施例では、所定範囲を、各点が対応する面(左側面G3、天井面G4、右側面G5、床面G6)ごととしてもよい。構成面(左側面G3、天井面G4、右側面G5、床面G6)ごとに、180度異なる2方向が算出される。
【0079】
次に、ステップS204で、各実計測点PPのオフセット方向を決定する。オフセット方向は、計測面へ向かう方向である。
図11に示すように、計測面WLが開口部の内周面、もしくは被計測物の外周面である場合、プロット点で形成される閉曲線の外側方向または内側方向のどちらかとなる。
【0080】
本実施例では、計測面WLが開口部G2の内周面であるため、プロット点を結んだ閉曲線の外側方向(
図11中の白色矢印の方向A3,方向A4,方向A5,方向A6)に距離Tだけオフセットする。仮に、計測面WLが被計測部材の外周面であった場合、プロット点を結んだ閉曲線の内側方向(
図11中の白色矢印の方向B3,方向B4,方向B5,方向B6)にオフセットする。オフセット方向は全プロット点から形成される面上である
【0081】
上記閉曲線の外側方向および内側方向は、S203で算出された2つのオフセット方向のうち、前記閉曲線の重心点を基準として、重心点に近づく方向、または重心点から離れる方向として算出され、区別される。
【0082】
ステップS204の決定は、自動または手動で決定される。計測モードを選択した場合、オフセット方向は、計測面の種類(内周面/外周面)から自動で選択され、そうでない場合は、表示部18に表示された選択肢から手動で作業者が選択する。
【0083】
次に、ステップS205で、指定されたオフセット方向に、各面の実計測点PPを、距離Tだけオフセットする座標変換を行う。これにより、開口部G2の三次元座標を取得することができる。実計測点PPのオフセットされた点は、実計測点PPが計測されたときの接地点Pに略一致する。開口部G2の三次元座標から開口部G2の形状データを算出でき、開口部G2の各辺の寸法、傾き、凹凸などの形状データを取得することができる。
【0084】
本実施例においては、開口部G2に内嵌されるのは既製品のシャッターであったが、開口部に内嵌されるのが、例えば、精密な寸法が不明な自作の扉などであった場合、上記と同様にして、測量機20でターゲット42を追尾および随時測距・測角しながら、今度は扉の外周面に沿って基体43を移動させることで、扉の外形や寸法、傾きなどの形状データを容易に取得することができる。この場合、オフセット方向は、実計測点PPのフィットする面上、かつ、かつ、プロット点の前後の所定範囲のデータから算出された近似直線に直交する方向(法線方向)、かつ閉曲線の内側方向となる。
【0085】
オフセット方向の決定は、後処理工程に限られず、計測モードにより自動される、またはオフセット方向が手動で指定されることは、計測開始前の段階(ステップS103前)で設定されてもよい。
【0086】
(変形例1)
図12に変形例を示す。
図12は、面計測器40の変形例である。
図12(A)に示す面計測器140は、板厚が一定の平板である基体143と、基体143の表面に固定されるターゲット42と、基体143に回動自在に支持される操作棒41を備える。基体143は車輪44を備えておらず、面計測器140は基体143の背面を計測面WLに沿わせて使用する。固定されたターゲット42の光学中心Cと、基体143の背面との距離は距離Tである。基体143がその背面を計測面WLに当接して計測面WL上を移動しても、計測面WLと光学中心Cとの距離は、常に距離Tに保たれる。
【0087】
同様に、
図12(B)に示す面計測器240は、平板の基体243と、基体243の表面に固定されるターゲット42と、基体143の表面に立設する柱246の天井面に回動自在に支持される操作棒41を備える。ターゲット42の光学中心Cと、基体243の背面との距離は距離Tである。基体243がその背面を計測面WLに当接して計測面WL上を移動しても、計測面WLと光学中心Cとの距離は、常に距離Tに保たれる。
【0088】
面計測器140および面計測器240は計測面WLが平面のときのみ使用することができる。計測面WLの表面凹凸は形状データとして取得できずないが、作業者は基体143、243を操作棒41移動させるときの手の感触で、凹凸を検知できる。
このように、ターゲット42は、位置情報が取得可能に外部に露出して、位置情報の取得位置が、計測面から一定の距離を保つように配置されていればよい。
【0089】
(変形例2)
図13および
図14に別の変形例を示す。
図13は、面計測器40の別の変形例である。
図13に示す面計測器340は、二つの車輪44が回動可能に設けられた基体343を有する。二つの同形の車輪44は、それぞれ回転軸(車軸44a)が水平に、かつ平行となるように、並列に基体343設けられている。車輪は一対の前輪および一対の後輪として、4つの車輪が基体343に設けられてもよい。
【0090】
基体343には、操作棒41、およびターゲット42、および傾斜センサ347が取付けられている。操作棒41は、回転軸41aを中心に回動可能に基体343に取り付けられている。操作棒41の回転軸41aは、二つの車輪の車軸44aから等距離となる位置に、車軸44aと平行となるように構成されている。具体的には、二つの車軸44aを通過する円弧の中心点に操作棒41の回転軸41aが配置される。さらに、操作棒41の回転軸41a上に光学中心Cが配置されるように、ターゲット42が基体343の側面に取付けられている。
【0091】
傾斜センサ347は、二つの車軸44aと平行となる基体343の底面343aに、二つの車軸44aから等距離となるように配置されている。傾斜センサ347は、IMU(慣性計測装置)であり、3軸ジャイロと3軸加速度センサを有し、基体343の3軸方向(ロール・ピッチ・ヨー)の角速度と加速度を取得する。傾斜センサ347は、基体343の姿勢を検出する姿勢検出装置として機能する。傾斜センサ347は、IMUに限られず、少なくとも基体343の水平からの傾きを検知できればよい。
【0092】
操作棒41の回転軸41aおよび光学中心Cは、車軸44aからの距離が常に一定(距離T1)に保たれる。加えて、車軸44aは、車輪44の外周側面からの距離は常に一定(車輪44の半径R)となる。このため、二つの車輪44が計測面WLに接地して回転するとき、回転軸41aおよび回転軸41a上に配置された光学中心Cは、常に計測面WLの法線上で、計測面WLから距離T(距離T=距離T1+半径R)の位置にある。計測面WLが湾曲面であっても、二つの車輪44が接地して基体343が移動することができ、光学中心Cは常に計測面WLの法線上で、かつ計測面WLから距離Tの位置を保つ。面計測器340を用いることで、計測面WLが湾曲面であっても精度の高い形状データを取得することが可能となる。
【0093】
図14は面計測器340の使用状態を示す。
図14に示すように、計測面WL8は湾曲面である。計測面WL8が湾曲面であっても、二つの車輪44を備える基体343は、計測面WL8に接しながら、計測面WL上を移動可能であり、光学中心Cは常に計測面WLの法線方向に距離Tを通過する。計測面WL8上の車輪44の接地する点は2点であり、本実施形態で算出される接地点Pは、二つの車軸44aを結ぶ中点の鉛直下方点であるとする。実計測点PPは、おおむね算出された接地点Pを、底面343aの法線方向に距離Tだけオフセットした点である。
【0094】
作業者は、操作棒41を操作して、基体343の姿勢を気にすることなく、基体343を移動させて、計測させることができる。測量機20による測距・測角は随時行われ、測距・測角時の傾斜センサ347の計測値は、図示しない通信装置により無線で測量機20へ送られ、計測データから算出された実計測点PPの三次元座標と共に記憶部28に記憶される。
【0095】
面計測器340を用いることで、傾斜センサ347の値から、実計測点PPごとにオフセットするべき方向を取得できる。実計測点PPごとの精密なオフセット方向が取得でき、各実計測点PPをオフセット方向へ距離Tだけオフセットすることで、接地点Pすなわち計測面WL上の精密な三次元座標を取得できる。
【0096】
また、測量機20により追尾によりターゲット42を追尾することは必須ではなく、手動でターゲット42を計測してもよく、計測データが疎であっても構わない。例えば、内枠の内周面を計測する場合、最低限、内枠の角部のみを手動で計測することで、内枠の形状を計測することができる。
【0097】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 :面計測システム
20 :測量機
42 :ターゲット
43 :基体
44 :車輪
C :光学中心
P :接地点
PP :実計測点
T :距離
WL :計測面