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特開2024-110071車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110071
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/0215 20130101AFI20240807BHJP
【FI】
B60R25/0215
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014419
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 直人
(72)【発明者】
【氏名】猪股 孝幸
(57)【要約】
【課題】ステアリングのロックの解除が不十分である状態で、車両の走行が開始されることを回避する。
【解決手段】車両制御装置10は、走行不能モードにおいて、車両1の走行を開始するための操作が認識されたときに、ステアリングアンロック状態とするために、ステアリングロック制御部22によりステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、アンロック処理の実行によりステアリングアンロック状態となったことがステアリングアンロック認識部23によって認識された場合は、車両1を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、アンロック処理を実行したがステアリングアンロック状態となったことがステアリングアンロック認識部23により認識されなかった場合には、走行可能モードへの遷移を禁止して車両1を走行不能モードに維持する車両起動制御部26を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、
前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、
前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、
前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部を備え、
前記車両起動制御部は、前記走行不能モードにおいて前記遠隔操作受付部により前記車両の起動操作が受け付けられたときに、前記走行不能モードを維持して前記車両に備えられた駆動源を作動状態とする遠隔起動処理を実行する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車両起動制御部は、前記遠隔起動処理により前記走行不能モードが維持されて前記駆動源が作動状態となっているときに、前記車両に備えられた報知部により、前記車両の走行を開始するための操作を促す報知を行う
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車両における前記車両の走行を終了するための操作を認識する走行終了操作認識部を備え、
前記車両起動制御部は、前記走行不能モードから前記走行可能モードに遷移させた後、前記走行終了操作認識部により前記車両の走行を終了するための操作が認識されるまで、前記車両を前記走行可能モードに維持する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記車両に備えらえた報知部により、前記ステアリングのロックを解除するための操作を促す報知を行う
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記車両に、登録済みの特定利用者が乗車しているか否かを認証する利用者認証部を備え、
前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記利用者認証部により、前記車両に前記特定利用者が乗車していることが認証されたときには、前記ステアリングのロックを解除するための処理を実行する
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、
前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御ステップと、
前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識ステップと、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、
前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御ステップにより前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップによって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップにより認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御ステップと、
を含む車両制御方法。
【請求項8】
ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、
前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、
前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、
前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、
前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には盗難防止用のステアリングロック機構が備えられており、ステアリングロック機構のロック部材がアンロック位置にあるアンロック状態の誤検知に対応するための構成が提案されている。
例えば、特許文献1、2は、ロック部材がアンロック位置に移動したときにON状態からOFF状態に切り替わる第1の磁気検出素子と、OFF状態からON状態に切り替わる第2の磁気検出素子を設けることにより、外部からの単極(N極又はS極)の電磁場の発生による誤検知を防止する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-248899号公報
【特許文献2】特開2012-025269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステアリングロック機構によりステアリングがロックされた状態で、車両に乗車した利用者が車両の起動操作を行った場合には、車両の運転を可能にするためにステアリングのロックを解除する必要がある。しかしながら、本願発明者らは、ステアリングのロックを解錠するためにステアリングロック機構を作動させた場合に、ステアリングのロックの解除が不十分な状態になる場合があることを知見した。そして、このように、ステアリングのロックの解除が不十分な状態である場合には、車両の走行が開始されることを回避する必要がある。
そこで、ステアリングのロックの解除が不十分である状態で、車両の走行が開始されることを回避することが、本願の課題である。
本願は、上記課題の解決のため、安全性の向上を目的としたものである。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1態様として、ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、を備える車両制御装置が挙げられる。
【0006】
上記車両制御装置において、通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部を備え、前記車両起動制御部は、前記走行不能モードにおいて前記遠隔操作受付部により前記車両の起動操作が受け付けられたときに、前記走行不能モードを維持して前記車両に備えられた駆動源を作動状態とする遠隔起動処理を実行する構成としてもよい。
【0007】
上記車両制御装置において、前記車両起動制御部は、前記遠隔起動処理により前記走行不能モードが維持されて前記駆動源が作動状態となっているときに、前記車両に備えられた報知部により、前記車両の走行を開始するための操作を促す報知を行う構成としてもよい。
【0008】
上記車両制御装置において、前記車両における前記車両の走行を終了するための操作を認識する走行終了操作認識部を備え、前記車両起動制御部は、前記走行不能モードから前記走行可能モードに遷移させた後、前記走行終了操作認識部により前記車両の走行を終了するための操作が認識されるまで、前記車両を前記走行可能モードに維持する構成としてもよい。
【0009】
上記車両制御装置において、前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記車両に備えらえた報知部により、前記ステアリングのロックを解除するための操作を促す報知を行う構成としてもよい。
【0010】
上記車両制御装置において、前記車両に、登録済みの特定利用者が乗車しているか否かを認証する利用者認証部を備え、前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記利用者認証部により、前記車両に前記特定利用者が乗車していることが認証されたときには、前記ステアリングのロックを解除するための処理を実行する構成としてもよい。
【0011】
上記目的を達成するための第2態様として、コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御ステップと、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識ステップと、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御ステップにより前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップによって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップにより認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御ステップと、を含む車両制御方法が挙げられる。
【0012】
上記目的を達成するための第3態様として、ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、して機能させるためのプログラムが挙げられる。
【発明の効果】
【0013】
上記車両制御装置によれば、ステアリングのロックの解除が不十分である状態で、車両の走行が開始されることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、車両制御装置、及び車両制御装置が搭載された車両の構成図である。
図2図2は、車両起動対応処理の第1のフローチャートである。
図3図3は、車両起動対応処理の第2のフローチャートである。
図4図4は、ステアリングのアンロック処理が正常に完了した場合のタイミングチャートである。
図5図5は、ステアリングのアンロック処理が正常に完了しなかった場合のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[1.車両制御装置の構成]
図1を参照して、本実施形態の車両制御装置10の構成について説明する。車両制御装置10は、車両1に搭載されて、車両1の作動を制御する。車両制御装置10は、車両に備えられた通信ユニット40、表示部41、車内カメラ42、SSスイッチ(スタート・ストップスイッチ)43、駆動源50、空調装置51、ESL(Electrical Steering Lock)70、及びステアリングセンサ61と接続されている。
【0016】
車両制御装置10は、通信ユニット40により、車両1の利用者Uにより使用される通信端末90との間で無線による通信を行う。無線による通信は、例えば、Bluetooth(登録商標)の通信規格により実行される。通信端末90は、車両1の遠隔操作アプリ(アプリケーションプログラム)がインストールされたスマートフォン、携帯電話、若しくはタブレット端末、又は車両1の遠隔操作機能を有する携帯キー(FOBキー)等である。
【0017】
表示部41は、例えばタッチパネルである。車内カメラ42は、車両1の車室を撮影する。SSスイッチ43は、車両1の起動(IG(イグニッション)オン、電源オン)と停止(IGオフ、電源オフ)を指示するための操作スイッチである。駆動源50は、車両1がエンジン車両である場合はエンジンであり、車両1が電動車両である場合はバッテリである。また、車両1がハイブリッド車両である場合は、エンジンとバッテリである。空調装置51は、車両1の車室内の空調を行う。ステアリングセンサ61は、ステアリング60の操作量を検出する。
【0018】
車両制御装置10には、車内カメラ42による撮影画像、SSスイッチ43の操作信号SSs、ステアリングセンサ61の検出信号が入力される。また、車両制御装置10から出力される制御信号によって、駆動源50と空調装置51の作動が制御される。
【0019】
ESLユニット70は、電動モータ71によりロック部材(図示しない)を変位させて、ステアリング60の操作が不能なステアリングロック状態とするステアリングロック機構を有する。ESLユニット70は、電動モータ71を作動させるための第1モータ電源供給回路76、第2モータ電源供給回路77、アンロック回路72、ロック回路73、及びCPU78を備えている。
【0020】
ロック回路73は、CPU78からのロック指示信号Rc1の入力に応じて、図示しないリレー回路により、電動モータ71への通電方向を、電動モータ71の作動によりロック部材がステアリング60をロックする位置に向かって変位する方向に設定する。アンロック回路72は、CPU78からのアンロック指示信号Rc2の入力に応じて、図示しないリレー回路により、電動モータ71への通電方向を、電動モータ71の作動によりロック部材がステアリング60のロックが解除される位置に向かって変位する方向に設定する。
【0021】
第1モータ電源供給回路76は、車両制御装置10からのIG制御信号IGcの入力の有無に応じて、モータ電源Vbとロック回路73との接続を、導通状態と遮断状態とに切り替える。第1モータ電源供給回路76は、IG制御信号IGcが入力されているときは、モータ電源Vbとロック回路73との接続を遮断状態とする。これにより、ロック回路73によりステアリングロック状態とされることが禁止される。一方、IG制御信号IGcが入力されていないときには、第1モータ電源供給回路76は、モータ電源Vbとロック回路73との接続を導通状態として、ステアリングロック状態とすることを可能にする。
【0022】
第2モータ電源供給回路77は、車両制御装置10からのモータ制御信号MTcの入力の有無に応じて、アンロック回路72及びロック回路73とグランド(モータ電源Vbのマイナス電位部)との接続を、導通状態と遮断状態とに切り替える。第2モータ電源供給回路77は、モータ制御信号MTcが入力されているときは、アンロック回路72及びロック回路73とグランドとの接続を導通状態として、電動モータ71の作動が可能な状態とする。一方、モータ制御信号MTcが入力されていないときには、第2モータ電源供給回路77は、アンロック回路72及びロック回路73とグランドとの接続を遮断状態として、電動モータ71の作動が不能な状態とする。
【0023】
CPU78は、車両制御装置10からロック要求信号LKcが入力されたときに、ロック回路73にロック指示信号Rc1を入力して電動モータ71を作動させることにより、ステアリングロック状態とする。また、CPU78は、車両制御装置10からアンロック要求信号UKcが入力されたときに、アンロック回路72にアンロック指示信号Rc2を入力して電動モータ71を作動させることにより、ステアリングアンロック状態とする。
【0024】
さらに、ESLユニット70は、ロック部材がアンロック位置に変位してステアリングアンロック状態となっていることを検出して、検出信号Ms1をCPU78に出力するアンロックセンサ74と、ロック部材がロック位置に変位してステアリングロック状態となっていることを検出して、検出信号Ms2をCPU78に出力するロックセンサ75を備えている。CPU78には、アンロックセンサ74の検出信号Ms1が入力されているときに、車両制御装置10にアンロック検出信号UKsを入力し、ロックセンサ75の検出信号Ms2が入力されているときに、車両制御装置10にロック検出信号LKsを入力する。
【0025】
このように、基本的には、ESLユニット70により、ステアリング60がステリングロック状態又はステアリングアンロック状態に切り替えられる。ただし、電動モータ71によりロック部材をアンロック位置に変位させる際に、ロック部材と他部材との干渉等により、ロック部材の変位が妨げられて、ロック部材がロック位置とアンロック位置の途中で停止した不定状態となる場合がある。この場合は、アンロックセンサ74の検出信号Ms1及びロックセンサ75の検出信号Ms2が共に出力されない状態(不定状態)となる。
【0026】
車両制御装置10は、プロセッサ20、メモリ30、図示しないインターフェース回路等を備えた制御ユニットである。プロセッサ20は、本開示のコンピュータに相当する。メモリ30には、車両制御装置10の制御用のプログラム31が保存されている。プログラム31は、外部サーバーから車両1に送信されて、車両制御装置10によりメモリ30に保存されてもよい。或いは、非一過性の記録媒体(磁気ディスク、磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリ等)に保存されたプログラム31を、車両制御装置10が読み込んでメモリ30に保存するようにしてもよい。
【0027】
プロセッサ20は、プログラム31を読み込んで実行することにより、遠隔操作受付部21、ステアリングロック制御部22、ステアリングアンロック認識部23、走行開始操作認識部24、走行終了操作認識部25、車両起動制御部26、及び利用者認証部27として機能する。ステアリングロック制御部22により実行される処理は、本開示の車両制御方法におけるステアリング制御ステップに相当し、ステアリングアンロック認識部23により実行される処理は、本開示の車両制御方法におけるステアリングアンロック認識ステップに相当する。走行開始操作認識部24により実行される処理は、本開示の車両制御方法における走行開始操作認識ステップに相当し、車両起動制御部26により実行される処理は、本開示の車両制御方法における車両起動制御ステップに相当する。
【0028】
遠隔操作受付部21は、遠隔操作受付部21は、通信端末90から送信される車両1に対する操作指示情報を、通信ユニット40により受信することによって、利用者Uによる車両1に対する遠隔操作を受付ける。利用者Uは、車両1の起動、空調装置51の作動等の指示を遠隔操作により行うことができる。
【0029】
ステアリングロック制御部22は、ESLユニット70に対する、IG制御信号IGc、モータ制御信号MTc、ロック要求信号LKc、及びアンロック要求信号UKcの出力を制御することによって、ステアリングロック状態とステアリングアンロック状態とを切り替える。ステアリングアンロック認識部23は、ESLユニット70から出力されるアンロック検出信号UKsに基づいてステアリングアンロック状態を認識し、ESLユニット70から出力されるロック検出信号LKsに基づいてステアリングロック状態を認識する。
【0030】
走行開始操作認識部24は、SSスイッチ43の操作信号に基づいてSSスイッチ43による走行開始操作を認識し、走行終了操作認識部25は、SSスイッチ43の操作信号SSsに基づいてSSスイッチ43による走行終了操作を認識する。車両起動制御部26は、遠隔操作受付部21による車両1の起動指示、及び走行開始操作認識部24により認識されるSSスイッチ43による運転開始操作に応じて、車両1の起動に関する処理を実行する。
【0031】
利用者認証部27は、通信端末90から送信される識別情報と、メモリ30に保存された車両1の利用者の登録情報とを照合することによって、車両1に乗車した利用者Uが、車両1と関連付けて登録された特定利用者であることを認証する。或いは、車内カメラ42により撮影される、車両1に乗車した利用者Uの顔画像を、メモリ30に保存された特定利用者の顔画像と照合することにより、利用者Uが特定であることを認証する。
【0032】
[2.車両起動対応処理]
図2,3に示したフローチャートに従って、車両制御装置10により実行される車両起動対応処理について説明する。
【0033】
図2のステップS1,S2のループにより、ステップS1で、ステアリングアンロック認識部23によりステアリングロック状態であることが認識されている状態(走行不能モードである状態)で、ステップS2で、遠隔操作受付部21により通信端末90による車両1の起動操作が受け付けられたときに、車両起動制御部26は、ステップS3に処理を進める。
【0034】
ステップS3で、車両起動制御部26は、駆動源50を始動して、車両1を通信端末90によるIGオン状態(遠隔起動状態)とする。通信端末90によるIGオン状態では、車両起動制御部26は、車両1の電源をオンし、駆動源50がエンジンである場合はエンジンを始動する。通信端末90によるIGオン状態では、利用者Uは、通信端末90の操作によって、空調装置51の作動及び停止等を指示することができる。
【0035】
続くステップS4で、利用者認証部27は、車両1に乗車した利用者Uが特定利用者であるか否かを判断し、利用者Uが特定利用者であることが認証されたときにステップS5に処理を進める。ステップS5で、車両起動制御部26は、吹き出しB1に示したように、通信端末90によるIGオン状態であることを報知して、SSスイッチ43の操作による通常のIGオン状態への移行を促す画面を、表示41に表示する。
【0036】
次のステップS6で、走行開始操作認識部24により、SSスイッチ43の操作(走行開始操作)が認識されたときに、車両起動制御部26は、ステップS7に処理を進める。ステップS7で、車両起動制御部26は、ESLユニット70にアンロック要求信号LKcを出力して、アンロック状態への切り替えを要求する。続くステップS8で、車両起動制御部26は、作動判定タイマをスタートする。
【0037】
次のステップS9とステップ20のループにより、車両起動制御部26は、ステップS20で作動判定タイマがアップするまでに、ステップS9で、ステアリングアンロック認識部23によりステアリングアンロック状態になったことが認識されるか否かを判断する。そして、車両起動制御部26は、ステップS9で、ステアリングロック状態になったことがステアリングアンロック認識部23により認識されたときは、ステップS10に処理を進める。
【0038】
ステップS10で、車両起動制御部26は、車両1を走行不能モードから走行可能モードに遷移させて、利用者Uによる車両1の運転操作が可能な状態とする。走行可能モードにおいて、車両起動制御部26は、ESLユニット70にIG制御信号IGcを出力して、ステアリングロック状態となることを禁止する。また、車両起動制御部26は、車両1の走行が終了して、SSスイッチ43の操作(走行終了指示操作)が走行終了操作認識部25により認識されたときに、ESLユニット70へのIG制御信号IGcの出力を終了する。そして、車両起動制御部26は、ESLユニット70にロック要求信号LKcを出力してステアリングロック状態とし、車両1を走行可能モードから走行不能モードに遷移させる。
【0039】
ここで、図4は、このように、ステアリングロック状態からステアリングアンロック状態への切り替えが正常に完了して、車両1が走行不能モードから走行可能モードに遷移する状況における、通信端末90によるIGオン操作、SSスイッチ43によるIGオン操作、IGオン状態とIGオフ状態の遷移、及びESLユニット70によるステアリング60のロック状態とアンロックの状態の遷移のタイミングを、時間軸tにより示したタイミングチャートである。
【0040】
図4のt11で、通信端末90によるIGオン操作が遠隔操作受付部21により認識されたときに、車両起動制御部26により、車両1がIGオフ状態から通信端末によるIGオン状態に切り替えられる。その後、t12で、SSスイッチ43によるIGオン操作が、走行開始操作認識部24により認識されたときに、車両起動制御部26は、ESLユニット70にアンロック要求信号UKcを出力する。
【0041】
アンロック要求信号UKcが入力されたESLユニット70において、電動モータ71によるロック部材のロック位置からアンロック位置への変位が開始され(図4では「動作中」と記載)、t13で、ロック部材がアンロック位置に変位してステアイングアンロック状態となったことがステアリングアンロック認識部23により認識される。これにより、ステアリング状態からステアリングアンロック状態への移行が正常に完了して、車両1は、走行不能モードから走行可能モードに遷移する。
【0042】
一方、ステップS20で作動判定タイマがタイムアップしたとき、すなわち、作動判定タイマの設定時間が経過するまでに、ロック部材がアンロック位置に変位してアンロック状態になったことが、ステアリングアンロック認識部23により認識されなかったときには、車両起動制御部26は、図3のステップS21に処理を進める。
【0043】
ステップS21で、車両起動制御部26は、車両1をIGオフ状態とする。次のステップS22で、車両起動制御部26は、ESLユニット70に対してロック要求信号LKcを出力して、ステアリングロック状態にし、続くステップS23で車両1を走行不能モードに維持する。これにより、ステアリングアンロック状態になったことが認識できない状態で、車両1の走行が開始されることが回避される。
【0044】
ここで、図5は、このように、ステアリングアンロック状態になったことが認識できなかったために、ステアリンロック状態が維持される状況における、通信端末90によるIGオン操作、SSスイッチ43によるIGオン操作、IGオン状態とIGオフ状態の遷移、及びステアリング60のロック状態とアンロックの状態の遷移のタイミングを、時間軸tにより示したタイミングチャートである。
【0045】
図5のt21で、通信端末90によるIGオン操作が遠隔操作受付部21により認識されたときに、車両起動制御部26により、車両1がIGオフ状態から通信端末によるIGオン状態に切り替えられる。その後、t22で、SSスイッチ43によるIGオン操作が、走行開始操作認識部24により認識されたときに、車両起動制御部26は、ESLユニット70にアンロック要求信号UKcを出力する。
【0046】
アンロック要求信号UKcが入力されたESLユニット70において、電動モータ71によるロック部材のロック位置からアンロック位置への変位が開始されるが(図5では「動作中」と記載)、ロック部材がアンロック位置となったことがステアリングアンロック認識部23により認識されない不定状態が継続する。そのため、車両起動制御部26は、t23で車両1をIGオフ状態とし、t24でESLユニット70にロック要求信号LKcを入力する。
【0047】
ロック要求信号LKcが入力されたESLユニット70において、電動モータ71によるロック部材のロック位置への変位が開始され(図5では「動作中」と記載)、t25で、ロック部材がロック位置になったことがステアリングアンロック認識部23により認識される。これにより、利用者Uによるステアリング60の操作が不能な走行不能モードとなり、ステアリング60のアンロックが認識できない状態で、車両1の走行が開始されることが回避される。
【0048】
図3のステップS24で、車両起動制御部26は、吹き出しB2で示したように、ステアリング60を左右に動かすことを促す画面を表示部41に表示させる。この報知に応じて、利用者Uがステアリング60を左右に動かすことにより、ロック部材と他部材との干渉が解消されて、ロック部材のアンロック位置への変位が可能な状態に復帰することが期待される。
【0049】
続くステップS25で、車両起動制御部26は、ステアリングセンサ61の検出信号STsに基づいて、ステアリング60の操作を認識したときに、図2のステップS7に処理を進め、再度、ステアリング60のロックを解除する処理を実行する。
【0050】
[3.他の実施形態]
上記実施形態では、走行開始操作認識部24は、SSスイッチ43の操作信号SSsに基づいて、利用者Uによる走行開始操作を認識した。他の実施形態として、車両1に備えられたステアリング60、図示しないシフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル等操作部の操作、利用者Uの指示音声、或いは利用者Uによる指示ジェスチャー等を認識することにより、走行開始操作を認識してもよい。
【0051】
上記実施形態では、車両起動制御部26は、図2のステップS9,S20の処理で、ステアリング60がアンロック状態になったことが認識できなかった場合に、図3のステップS21で車両1をIGオフ状態とした後に、ステップS22でESLユニット70に対してロック要求を行ったが、ステップS21の車両1をIGオフ状態とする処理を省略してもよい。
【0052】
上記実施形態では、図3のステップS9、S20の処理で、ステアリング60のアンロックが認識されなかった場合に、図4のステップS23,S24で、利用者Uに対してステアリング60のロックを解除するための操作を促す報知を行った。他の実施形態として、図2のステップS4で、利用者Uが特定利用者であることが認証されていることを条件に、車両起動制御部26がステアリング60のアンロックを解除するための処理を実行するようにしてもよい。ステアリング60のアンロックを解除するための処理として、例えば、ESLユニット70にアンロック要求信号UKcを入力して、アンロック処理を再度実行させる等の処理を行ってもよい。
【0053】
或いは、車両起動制御部26が自動的に、ESLユニット70によりステアリング60をロックする処理とアンロックする処理を実行して、ステアリング60のアンロックをリトライする仕様としてもよい。また、SSスイッチ43の操作によりIGオフとなった後、再度のSSスイッチ43の操作によりIGオンとなったときに、車両起動制御部26が、ESLユニット70によりステアリング60をロックする処理とアンロックする処理を行う仕様としてもよい。
【0054】
上記実施形態では、通信端末90によるIGオン操作が遠隔操作受付部21により受け付けられて、車両起動制御部26により車両1をIGオン状態とする場合について説明した。他の実施形態として、利用者Uが、通信端末90によるIGオン操作を行わずに車両1に乗車して、SSスイッチ43によりIGオン操作を行った場合にも、図2のステップS7以降の処理を実行することにより、ステアリング60がアンロック状態となったことが確認できない状況で、車両1の走行が開始されることを回避することができる。
【0055】
なお、図1は、本願発明の理解を容易にするために、車両制御装置10の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両制御装置10を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。また、図2図3に示した各構成要素による処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。
【0056】
[4.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0057】
(構成1)ステアリングロック機構を有する車両に搭載される車両制御装置であって、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、を備える車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、ステアリングアンロック状態が認識されず、ステアリングのロックの解除が不十分である状況で、車両が走行不能モードから走行可能モードに遷移して、車両の走行が開始されることを回避することができる。
【0058】
(構成2)通信端末との通信により、前記車両の遠隔操作を受付ける遠隔操作受付部を備え、前記車両起動制御部は、前記走行不能モードにおいて前記遠隔操作受付部により前記車両の起動操作が受け付けられたときに、前記走行不能モードを維持して前記車両に備えられた駆動源を作動状態とする遠隔起動処理を実行する構成1に記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、遠隔操作により車両の駆動源が作動状態となり、遠隔操作を行った利用者が車両から離れた場所にいるときに、車両のステアリングがロックされた状態を維持することにより、車両の盗難を防止することができる。
【0059】
(構成3)前記車両起動制御部は、前記遠隔起動処理により前記走行不能モードが維持されて前記駆動源が作動状態となっているときに、前記車両に備えられた報知部により、前記車両の走行を開始するための操作を促す報知を行う構成2に記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、走行不能モードで駆動源が作動状態となっている車両に乗車した利用者に対して、車両の走行を開始するための操作を促して、車両を走行可能な状態とすることができる。
【0060】
(構成4)前記車両における前記車両の走行を終了するための操作を認識する走行終了操作認識部を備え、前記車両起動制御部は、前記走行不能モードから前記走行可能モードに遷移させた後、前記走行終了操作認識部により前記車両の走行を終了するための操作が認識されるまで、前記車両を前記走行可能モードに維持する構成1から構成3のうちいずれか1つの構成に記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、車両の走行中に走行不能モードに切り替えられことを回避することができる。
【0061】
(構成5)前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記車両に備えらえた報知部により、前記ステアリングのロックを解除するための操作を促す報知を行う構成1から構成4のうちいずれか1つの構成に記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、アンロック処理によってステリングのロックが解除されなかった場合に、車両の利用者に対して、ステアリングのロックを解除するための手動操作等を促して、ステアリングのロック解除を図ることができる。
【0062】
(構成6)前記車両に、登録済みの特定利用者が乗車しているか否かを認証する利用者認証部を備え、前記車両起動制御部は、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合に、前記利用者認証部により、前記車両に前記特定利用者が乗車していることが認証されたときには、前記ステアリングのロックを解除するための処理を実行する構成1から構成5のうちいずれか1つの構成に記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、車両に特定利用者が乗車していることが認証されたことから、車両が盗難されるおそれがないと判断される場合に、ステアリングのロックを解除するための処理を実行することにより、特定利用者によるステアリングのロックを解除するための手動操作等を不要として、特定利用者の負担を軽減することができる。
【0063】
(構成7)コンピュータにより実行されるステアリングロック機構を有する車両の制御方法であって、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御ステップと、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識ステップと、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識ステップと、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識ステップにより前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御ステップにより前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップによって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識ステップにより認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御ステップと、を含む車両制御方法。
構成7の車両制御方法をコンピュータにより実行することによって、構成1の車両制御装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0064】
(構成8)ステアリングロック機構を有する車両に搭載されるコンピュータを、前記ステアリングロック機構を作動させて、前記車両に備えられたステアリングの操作が不能なステアリングロック状態と、前記ステアリングの操作が可能なステアリングアンロック状態とを切り替えるステアリングロック制御部と、前記ステアリングアンロック状態であることを認識するステアリングアンロック認識部と、前記車両における前記車両の走行を開始するための操作を認識する走行開始操作認識部と、前記車両の走行が不能な走行不能モードにおいて、前記走行開始操作認識部により前記車両における前記車両の走行を開始するための操作が認識されたときに、前記ステアリングアンロック状態とするために、前記ステアリングロック制御部により前記ステアリングロック機構を作動させるアンロック処理を実行し、前記アンロック処理の実行により前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部によって認識された場合は、前記車両を走行が可能な走行可能モードに遷移させ、前記アンロック処理を実行したが前記ステアリングアンロック状態となったことが前記ステアリングアンロック認識部により認識されなかった場合には、前記走行可能モードへの遷移を禁止して前記車両を前記走行不能モードに維持する車両起動制御部と、して機能させるためのプログラム。
構成8のプログラムをコンピュータにより実行することによって、構成1の車両制御装置の構成を実現することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…車両、10…車両制御装置、20…プロセッサ、21…遠隔操作受付部、22…ステアリングロック制御部、23…ステアリングアンロック認識部、24…走行開始操作認識部、25…走行終了操作認識部、26…車両起動制御部、27…利用者認証部、30…メモリ、31…プログラム、40…通信ユニット、41…表示部、42…車内カメラ、43…SSスイッチ、50…駆動源、51…空調装置、60…ステアリング、61…ステアリングセンサ、70…ESLユニット、74…ロックセンサ、75…アンロックセンサ、90…通信端末、U…利用者。
図1
図2
図3
図4
図5