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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110103
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】脚立
(51)【国際特許分類】
   E06C 1/32 20060101AFI20240807BHJP
   E06C 1/18 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
E06C1/32
E06C1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014465
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 幸治
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳彦
【テーマコード(参考)】
2E044
【Fターム(参考)】
2E044AA04
2E044BA01
2E044BA04
2E044BA08
2E044BC03
2E044BC06
2E044CA01
2E044CB03
2E044CC01
2E044DA02
2E044DB01
2E044DC05
2E044EA04
2E044EB01
2E044EB02
(57)【要約】
【課題】容易に開状態から閉状態とすることができるとともに、規制解除部材が受ける外部からの影響を低減することができる、脚立を提供する。
【解決手段】脚立10において、アーム部材7は、一組のアーム体で構成され、それぞれのアーム体は、一対の梯子体2・2において対向して近接離間するそれぞれの支柱3・3に回動可能に支持されるとともに、互いの先端部が相対回転可能に連結され、第一アーム体7aの回動中心には、第一アーム体7aと一体的に回動する回動軸7cが設けられ、回動軸7cは、第一アーム体7aを支持する支柱3の内側に挿通され、回動軸7cには、第一アーム体7aを支持する支柱3の内側で回動軸7cと一体的に回動する被回動操作部7iが設けられ、規制解除部材8が、開状態の際に被回動操作部7iを回動させることにより、第一アーム体7aが上方に回動してアーム部材7を屈曲させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制するアーム部材と、開状態の際に前記一対の梯子体の相対変位の規制を解除する規制解除部材と、を備える脚立であって、
前記アーム部材は、一組のアーム体で構成され、
それぞれの前記アーム体は、前記一対の梯子体において対向して近接離間するそれぞれの前記支柱に回動可能に支持されるとともに、互いの先端部が相対回転可能に連結され、
前記アーム体のうち何れか一方の回動中心には、当該アーム体と一体的に回動する回動軸が設けられ、
前記回動軸は、前記一方のアーム体を支持する前記支柱の内側に挿通され、
前記回動軸には、前記一方のアーム体を支持する前記支柱の内側で前記回動軸と一体的に回動する被回動操作部が設けられ、
前記規制解除部材が、開状態の際に前記被回動操作部を回動させることにより、前記一方のアーム体が上方に回動して前記アーム部材を屈曲させる、脚立。
【請求項2】
前記規制解除部材は、前記支柱の内側で上下方向に変位可能な回動操作部を備え、
前記回動操作部が前記被回動操作部を回動させることにより前記アーム部材を屈曲させる、請求項1に記載の脚立。
【請求項3】
前記支柱には、前記回動操作部の上下方向への変位をガイドするガイド部が設けられる、請求項2に記載の脚立。
【請求項4】
前記回動操作部には、前記支柱に対する上下方向への変位を規制する規制部が設けられる、請求項3に記載の脚立。
【請求項5】
前記規制解除部材は、前記天板に近接する下側に配置された天板操作部を備え、前記天板操作部の操作により前記回動操作部が上下方向に変位可能とされる、請求項2から請求項4の何れか一項に記載の脚立。
【請求項6】
前記規制解除部材は、前記踏桟の近傍に配置された踏桟操作部を備え、前記踏桟操作部の操作により前記回動操作部が上下方向に変位可能とされる、請求項2から請求項4の何れか一項に記載の脚立。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脚立に関し、詳細には、脚立における開き止め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚立を構成する梯子体間に設けられた開き止め機構を操作することにより、脚立を折りたたんだ閉状態とすることのできる脚立が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の脚立には、開き止め機構による梯子体の相対変位の規制を解除する規制解除部材が設けられている。当該脚立の使用者は、規制解除部材を操作することにより、脚立を開状態から閉状態とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-143493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の脚立によれば、規制解除部材が備える係合部が開き止め機構よりも外側に突出して形成されるため、規制解除部材が外部から影響を受けやすかった。本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、容易に開状態から閉状態とすることができるとともに、規制解除部材が受ける外部からの影響を低減することができる、脚立を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下では、上記課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
本発明に係る脚立は、二本の支柱と、前記二本の支柱の間に架け渡される複数の踏桟と、前記二本の支柱の上端部を連結する天板と、を備える一対の梯子体が、互いの上端部で相対回転可能に連結され、前記一対の梯子体が所定間隔に離間した開状態において前記一対の梯子体の相対変位を規制するアーム部材と、開状態の際に前記一対の梯子体の相対変位の規制を解除する規制解除部材と、を備える脚立であって、前記アーム部材は、一組のアーム体で構成され、それぞれの前記アーム体は、前記一対の梯子体において対向して近接離間するそれぞれの前記支柱に回動可能に支持されるとともに、互いの先端部が相対回転可能に連結され、前記アーム体のうち何れか一方の回動中心には、当該アーム体と一体的に回動する回動軸が設けられ、前記回動軸は、前記一方のアーム体を支持する前記支柱の内側に挿通され、前記回動軸には、前記一方のアーム体を支持する前記支柱の内側で前記回動軸と一体的に回動する被回動操作部が設けられ、前記規制解除部材が、開状態の際に前記被回動操作部を回動させることにより、前記一方のアーム体が上方に回動して前記アーム部材を屈曲させるものである。
【0007】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記支柱の内側で上下方向に変位可能な回動操作部を備え、前記回動操作部が前記被回動操作部を回動させることにより前記アーム部材を屈曲させることが好ましい。
【0008】
また、本発明に係る脚立において、前記支柱には、前記回動操作部の上下方向への変位をガイドするガイド部が設けられることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る脚立において、前記回動操作部には、前記支柱に対する上下方向への変位を規制する規制部が設けられることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記天板に近接する下側に配置された天板操作部を備え、前記天板操作部の操作により前記回動操作部が上下方向に変位可能とされることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る脚立において、前記規制解除部材は、前記踏桟の近傍に配置された踏桟操作部を備え、前記踏桟操作部の操作により前記回動操作部が上下方向に変位可能とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る脚立によれば、容易に開状態から閉状態とすることができるとともに、規制解除部材が受ける外部からの影響を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第一実施形態に係る脚立の開状態を示す斜視図。
図2】第一実施形態に係る脚立の開き止め機構を示す斜視図。
図3】第一実施形態に係る脚立の規制解除部材を示す底面図。
図4】開き止め機構の構成を示す分解図。
図5】(a)及び(b)は第一実施形態に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す断面図。
図6】第一実施形態に係る脚立を梯子状態とした際の斜視図。
図7】(a)及び(b)は第一実施形態の変形例に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す断面図。
図8】(a)及び(b)は第二実施形態に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す斜視図。
図9】(a)及び(b)は第二実施形態に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す側面図。
図10】(a)及び(b)は第二実施形態の変形例に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す斜視図。
図11】第三実施形態に係る脚立の開状態を示す斜視図。
図12】(a)及び(b)は第三実施形態に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す側面図。
図13】第三実施形態の第一変形例に係る脚立の開状態を示す斜視図。
図14】(a)及び(b)は第三実施形態の第一変形例に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す側面図。
図15】第三実施形態の第二変形例に係る脚立の開状態を示す斜視図。
図16】(a)及び(b)は第三実施形態の第二変形例に係る脚立の開状態及び規制解除部材を操作した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第一実施形態]
まず、図1から図6を用いて、本発明の第一実施形態に係る脚立10について説明する。本明細書の各実施形態に係る脚立においては、各図における梯子体2・2の回動軸方向(踏桟4の架設方向)を脚立の左右方向とし、水平方向において左右方向と直交する方向(梯子体2・2の開閉方向)を脚立の前後方向とする。本実施形態においては、図1中の左上側を脚立10の左側方とし、図1中の右上側を脚立10の前方とする(他の実施形態についても同様)。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る脚立10は、互いに共通の構成を有する一対の梯子体2・2を備える。梯子体2・2は側面視で略ハ字状に下端部が互いに離間して広がるように配置され、それぞれの上端部がヒンジ6・6により回動可能に連結される。
【0016】
図1に示す如く、それぞれのヒンジ6は二個のヒンジ部が回動可能に連結されている。そして、二個のヒンジ部が、左右方向について同じ側にある(対向して近接離間する)支柱3・3の上端部にそれぞれ固定される。これにより、ヒンジ6が対向する支柱3・3を相対的に回動可能に連結する。即ち、梯子体2・2が互いに近接離間する方向(脚立10の前後方向)に回動可能とされる。
【0017】
それぞれの梯子体2は長尺体である一対の支柱3・3を備える。支柱3・3は互いの距離が上側より下側で大きくなるように、正面視で略ハ字状に配置されている。本実施形態に係る脚立10は4本の支柱3を備えている。各支柱3は、強度の確保等を目的として、長手方向と直交する断面の形状が略コ字状になるように形成されている。また、それぞれの支柱3の下端部には端具3aが固定される。
【0018】
梯子体2における一対の支柱3・3の間には、所定の間隔を隔てて中空の筒状部材である複数の踏桟4・4・・・が架け渡される。踏桟4は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。それぞれの踏桟4はリベットにより支柱3において対向する内側面の間に固定されている。本実施形態に係る脚立10において、各支柱3、踏桟4及び天板5はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる軽金属製の部材である。なお、踏桟4をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。
【0019】
それぞれの梯子体2は、上端部に中空の筒状部材である天板5・5が設けられる。天板5は所定の横断面形状をなす直線状の押出し成形品が所定の長さに切断されて形成される。天板5はリベットにより支柱3・3の上端部において対向する内側面の間に固定されている。換言すれば、天板5はそれぞれの梯子体2において、二本の支柱3・3の上端部を連結するように設けられる。なお、天板5をボルト・ナット等の他の締結部品を用いて支柱3に固定することも可能である。
【0020】
脚立10は、一対の梯子体2・2のなす角度(詳細には、梯子体2・2の相対的な回動によって近接離間する支柱3・3が側面視においてなす角度、以下同じ)に応じて、主に以下の三つの形態をとることができる。
【0021】
第一の形態は、図1に示す如く梯子体2・2のなす角度を約30度として、4本の支柱3で脚立10を支える形態(以下、この形態を「開状態」と記載する)である。開状態における脚立10は、地面や床に自立させた状態で用いられる。
【0022】
第二の形態は、梯子体2・2のなす角度を約0度に近接させる形態(以下、この形態を「閉状態」と記載する)である。脚立10の閉状態は、主に収納時や搬送時に採用される。
【0023】
第三の形態は、図6に示す如く梯子体2・2のなす角度を約180度として、一側の2本の支柱3で脚立10を支える形態(以下、この形態を「梯子状態」と記載する)である。梯子状態における脚立10は、一方(下側)の梯子体2を地面や床に載置し、他方(上側)の梯子体2を壁や軒に立て掛けた状態で用いられる。
【0024】
脚立10は、開状態において、梯子体2・2のなす角度を規定するとともに互いの相対変位(回転)を規制する、アーム部材7を備える。本実施形態におけるアーム部材7は、梯子体2・2において対向して近接離間する支柱3・3を連結する。
【0025】
本実施形態に係る脚立10において、それぞれのアーム部材7は一対のアーム体として第一アーム体7aと第二アーム体7bとを備える。第一アーム体7aの基端部(後端部)は、回動軸7cを介して、後側の梯子体2における支柱3に回動可能に支持される。また、第二アーム体7bの基端部(前端部)には、係合部7eが形成される。係合部7eは、開状態の脚立10において前側の梯子体2における支柱3に形成された第一ロックピンP1と係合する。
【0026】
第一アーム体7aの先端部(前端部)と第二アーム体7bの先端部(後端部)とは、回動連結軸7dによって互いに回動可能に連結される。第一アーム体7aの先端部には、第一アーム体7aと第二アーム体7bとの相対回転を規制するための規制部が形成されている。脚立10が開状態となってアーム部材7が伸長した際には、規制部により回動連結軸7dが下方に変位する方向にアーム部材7が屈曲しないように規制される。
【0027】
図1に示す如く脚立10を開状態とした場合は、支柱3・3が二組の伸長したアーム部材7・7により連結されているため、梯子体2・2は互いに近接又は離間する方向に相対回転しない。このため、梯子体2・2のなす角度は約30度のままであり、脚立10は開状態を維持する。
【0028】
アーム部材7においては図4に示す如く、第一アーム体7aの基端側には角孔7hが形成されている。また、回動軸7cには角形の第一挿入部7fが形成されている。第一挿入部7fが角孔7hに挿入されることにより、第一アーム体7aと回動軸7cとが一体的に回動するように構成される。
【0029】
図2に示す如く、第一アーム体7a及び回動軸7cは、支柱3の内面に固定された回動支持部材13を介して支柱3に支持される。回動支持部材13には挿通孔13aが形成され、回動軸7cが支柱3に開口された孔と挿通孔13aとに挿入されることにより、第一アーム体7aが支柱3において回動可能に組付けられる。図4に示す如く、回動支持部材13には突条部であるガイド部13bが形成されている。
【0030】
支柱3の内側に挿通された回動軸7cの先端には板状の被回動操作部7iが固定される。被回動操作部7iには長孔である被挿入孔7jが形成されている。また、回動軸7cの先端部には小判型の第二挿入部7gが形成されている。第二挿入部7gが被挿入孔7jに挿入されることにより、回動軸7cと被回動操作部7iとが一体的に回動するように構成される。換言すれば、被回動操作部7iは、支柱3の内側で回動軸7cと一体的に回動する。
【0031】
本実施形態に係る脚立10においては、図2図3及び図5に示す如く、脚立10が開状態の際に一対の梯子体2・2の相対変位の規制を解除する規制解除部材8が設けられる。本実施形態における規制解除部材8は、後側の梯子体2における一対の支柱3・3のそれぞれに設けられる棒状部材である回動操作部11・11と、後側の梯子体2における天板5に近接する下側に配置される天板操作部12と、を備える。
【0032】
回動操作部11は、支柱3の内側で支柱3の長手方向に沿ってスライド可能に設けられる。回動操作部11の上端部には係合片11aが左右方向内側に向けて形成されている。回動操作部11には長手方向に沿ってガイド溝11bが形成されている。ガイド溝11bに回動支持部材13のガイド部13bが挿入されることにより、回動操作部11が回動支持部材13に対してスライド可能とされる。このように、回動支持部材13は回動操作部11の上下方向への変位をガイドするガイド部としても機能する。なお、回動支持部材13が回動操作部11の変位をガイドする構成ではなく、支柱3の側板が回動操作部11の変位をガイドする構成とすることも可能である。
【0033】
回動操作部11の下端部には規制片11cが左右方向外側に向けて形成されている。回動操作部11の中途部における下側には、左右方向内側に向けて操作ピン11dが突出して形成されている。図2及び図5(a)に示す如く、脚立10の開状態において操作ピン11dは被回動操作部7iの下側に位置するように配置される。
【0034】
天板操作部12は、天板5に沿って配置される操作レバー12aと、操作レバー12aの両端部にそれぞれ設けられる溝部材12b・12bとを備える。図3に示す如く、溝部材12bは支柱3の一側辺を挟み込むように支柱3に組付けられる。これにより、天板操作部12は支柱3・3に沿って上下方向にスライド可能とされる。
【0035】
支柱3における溝部材12bの下側には規制部材14が固定される。天板操作部12は溝部材12bが規制部材14に当接することにより下方への変位が規制される。溝部材12bの下端部には係合突部12cが後方に突出して形成される。係合突部12cは回動操作部11の係合片11aの下側に配置される。
【0036】
開状態の脚立10において、使用者が脚立10を閉状態とする場合は、図5(a)に示す如く手を天板5の下側に差し入れる。そして、図5(b)に示す如く、手前側の梯子体2を少し持ち上げた状態で、操作レバー12aを上に押し上げて天板操作部12を上方に変位させる。これにより、係合突部12cと係合片11aとが係合して回動操作部11を上方に変位させる。回動操作部11が上方に変位した状態では、規制片11cが回動支持部材13に当接することにより、回動操作部11の上側への変位が規制される。
【0037】
そして、図5(b)に示す如く回動操作部11の操作ピン11dが被回動操作部7i及び第一アーム体7aを上方に回動させる。これにより、第一アーム体7aと第二アーム体7bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材7・7が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させることにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。
【0038】
このように、脚立10において規制解除部材8は、脚立10が開状態の際に被回動操作部7iを回動させることにより、第一アーム体7aが上方に回動してアーム部材7を屈曲させることを可能としている。より詳細には、規制解除部材8は、支柱3の内側で上下方向に変位可能な回動操作部11を備えるとともに、回動操作部11が被回動操作部7iを回動させることによりアーム部材7を屈曲させるのでる。
【0039】
そして、手前側の梯子体2の自重により梯子体2・2は近接し、梯子体2・2のなす角度が約0度に近づくことにより、脚立10は閉状態となる。このように、開状態の際に第一アーム体7aと第二アーム体7bとからなるアーム部材7を屈曲することにより、脚立10は梯子体2・2が近接した閉状態となる。
【0040】
このように、脚立10が開状態の際に、使用者が規制解除部材8における天板操作部12の操作レバー12aを押し上げることにより、片手により自然な姿勢でアーム部材7を屈曲させて脚立10を閉状態とすることができる。即ち、使用者は手前側の梯子体2を持ち上げてもう一方の梯子体2に近接させることにより脚立10の閉成操作を行うことができ、そのまま片手で脚立10を持ち上げて移動させることができる。
【0041】
本実施形態に係る脚立10によれば、規制解除部材8が支柱3の内側で被回動操作部7iを回動させる構成であるため、規制解除部材8がアーム部材7よりも外側に突出することがない。即ち、本実施形態に係る脚立10によれば、規制解除部材8が受ける外部からの影響を低減させることが可能となる。
【0042】
上記の如く、本実施形態に係る脚立10において、規制解除部材8は、天板5に近接する下側に配置された天板操作部12を備えている。そして、天板操作部12の操作により回動操作部11が上下方向に変位可能とされる。このように、天板5の近傍に天板操作部12を設けることにより、開状態における高さが比較的小さい脚立10を閉状態とする操作を容易に行うことができる。
【0043】
図6に示す如く、規制解除部材8が設けられた梯子体2を上側にして、脚立10を梯子状態とすることができる。この際に係合部7eは、下側の梯子体2に形成された第二ロックピンP2と係合する。梯子状態の脚立10において、規制片11cが回動支持部材13に当接することにより、回動操作部11の下側への変位が規制される。このように、回動操作部11には、支柱3に対する上下方向への変位を規制する規制部として規制片11cが設けられている。この際、天板操作部12の操作レバー12aは、図6に示す如く梯子状態で上下反転して上側に来る梯子体2の天板5の踏面より下側に位置する。なお、本実施形態以降に記載する他の実施形態についても同様に、脚立を梯子状態とすることが可能である。また、その際に天板又は踏桟の近傍に位置する操作レバーは、当該天板又は踏桟の踏面よりも下側に位置する。
【0044】
本実施形態については、図7に示す変形例に係る脚立10Aのように、規制解除部材8Aが、最上位の踏桟4の近傍に配置された踏桟操作部22を備える構成とすることも可能である。なお、本変形例において、最上位以外の踏桟4の近傍に踏桟操作部22を設けることも可能である。本変形例においては、踏桟操作部22の操作により回動操作部11が上下方向に変位可能とされる。本変形例について、踏桟操作部22以外の構成については第一実施形態に係る脚立10と同様であるため、踏桟操作部22を中心に説明する。
【0045】
踏桟操作部22は、踏桟4に沿って配置される操作レバー22aと、操作レバー22aの両端にそれぞれ設けられる溝部材22b・22bとを備える。溝部材22bは支柱3の一側辺を挟み込むように支柱3に組付けられる。これにより、踏桟操作部22は支柱3・3に沿って上下方向にスライド可能とされる。溝部材22bの上端部には係合突部22cが後方に突出して形成される。係合突部22cは回動操作部11の下側に配置される。
【0046】
開状態の脚立10Aにおいて、使用者が脚立10Aを閉状態とする場合は、手を踏桟4の下側に差し入れる。そして、図7(b)に示す如く、手前側の梯子体2を少し持ち上げた状態で、操作レバー22aを上に押し上げて踏桟操作部22を上方に変位させる。これにより、係合突部22cが回動操作部11を上方に変位させる。
【0047】
そして、図7(b)に示す如く回動操作部11の操作ピン11dが被回動操作部7i及び第一アーム体7aを上方に回動させる。これにより、第一アーム体7aと第二アーム体7bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材7・7が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体7aと第二アーム体7bとを相対回転させることにより、梯子体2・2の角度規制が解除され、梯子体2・2のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体2・2を回動させることができる。
【0048】
このように、脚立10Aにおいて規制解除部材8Aは、脚立10Aが開状態の際に被回動操作部7iを回動させることにより、第一アーム体7aが上方に回動してアーム部材7を屈曲させることを可能としている。より詳細には、規制解除部材8Aは、支柱3の内側で上下方向に変位可能な回動操作部11を備えるとともに、回動操作部11が被回動操作部7iを回動させることによりアーム部材7を屈曲させるのである。
【0049】
上記の如く、本変形例に係る脚立10Aにおいて、規制解除部材8Aは、踏桟4に近接する下側に配置された踏桟操作部22を備えている。そして、踏桟操作部22の操作により回動操作部11が上下方向に変位可能とされる。このように、踏桟4の近傍に踏桟操作部22を設けることにより、開状態における高さが比較的大きい脚立10Aを閉状態とする操作を容易に行うことができる。
【0050】
なお、本実施形態において、規制解除部材8(8A)は回動操作部11・11と天板操作部12(踏桟操作部22)とを別体として構成しているが、回動操作部と天板操作部(踏桟操作部)とを一体的に構成することも可能である。この場合、一体的に形成された操作部をガイドする部材を設ける構成と、支柱が操作部をガイドする構成と、の何れを採用することも可能である。
【0051】
また、回動操作部11・11と天板操作部12(踏桟操作部22)とを設ける場合、支柱に開口した孔を介して回動操作部11・11と天板操作部12(踏桟操作部22)とが連係する構成とすることも可能である。また、天板操作部12(踏桟操作部22)を操作レバー12a(操作レバー22a)のみで構成し、回動操作部11・11と溝部材12b・12b(溝部材22b・22b)とを一体的に構成することも可能である。また、規制解除部材8(8A)を前側の梯子体2に設ける構成や、前後の梯子体2・2のそれぞれに設ける構成とすることも可能である。
【0052】
[第二実施形態]
次に、図8及び図9を用いて、本発明の第二実施形態に係る脚立110について説明する。本実施形態に係る脚立110は、互いに共通の構成を有する一対の梯子体の上端部がヒンジ106・106により回動可能に連結される。
【0053】
ヒンジ106は、支柱103・103の上端部にそれぞれ固定される。一対の支柱103・103の間には、所定の間隔を隔てて中空の筒状部材である複数の踏桟104・104・・・が架け渡される。それぞれの梯子体は、上端部に中空の筒状部材である天板105・105が設けられる。
【0054】
脚立110は、開状態において、梯子体のなす角度を規定するとともに互いの相対変位(回転)を規制する、アーム部材107を備える。本実施形態におけるアーム部材107は、二つの梯子体において対向して近接離間する支柱103・103を連結する。
【0055】
本実施形態に係る脚立110において、それぞれのアーム部材107は一対のアーム体として第一アーム体107aと第二アーム体107bとを備える。第一アーム体107aの基端部(後端部)は、回動軸107cを介して、一の支柱103に回動可能に支持される。また、第二アーム体107bの基端部(前端部)には、係合部107eが形成される。係合部107eは、開状態の脚立110において他の支柱103に形成されたロックピンと係合する。
【0056】
第一アーム体107aの先端部(前端部)と第二アーム体107bの先端部(後端部)とは、回動連結軸107dによって互いに回動可能に連結される。第一アーム体107aの先端部には、第一アーム体107aと第二アーム体107bとの相対回転を規制するための規制部が形成されている。脚立110が開状態となってアーム部材107が伸長した際には、規制部により回動連結軸107dが下方に変位する方向にアーム部材107が屈曲しないように規制される。
【0057】
本実施形態に係る脚立110において、アーム部材107における第一アーム体107aと第二アーム体107bとのうち、後側(図9における左側)に設けられた側の下部には、前側に向かうに従って上方に傾斜する傾斜部107fが形成されている。
【0058】
本実施形態に係る脚立110においては、図8(a)及び図9(a)に示す如く、脚立110が開状態の際に一対の梯子体の相対変位の規制を解除する規制解除部材108が設けられる。本実施形態における規制解除部材108は、後側の梯子体における最上位の踏桟104の近傍に配置される操作レバー111と、後側の梯子体における一対の支柱103・103のそれぞれに設けられる規制解除棒112・112と、を備える。
【0059】
規制解除部材108において操作レバー111は、その上端部が最上位の踏桟104に設けられた溝に回動自在に嵌め合わせられることにより踏桟104に組付けられる。これにより、操作レバー111は踏桟104に対して前後方向に搖動可能とされる。操作レバー111の両端部には中空の支持部111aが設けられる。なお、支持部111aを介して操作レバー111を踏桟104に組付ける構成とすることも可能である。また、本実施形態において、最上位以外の踏桟104の近傍に操作レバー111を設けることも可能である。
【0060】
本実施形態において、操作レバー111は踏桟104における前後方向の内側の面に設けられている。また、操作レバー111と支持部111aの揺動先端部は、脚立110を梯子状態として梯子体が上下反転した場合の踏桟104の踏面より下側に位置している。
【0061】
規制解除棒112は下端部が被回動部112aとして屈曲され、上端部が回動部112bとして屈曲された金属製の棒状部材である。規制解除棒112はその中途部が回動支持部材113によって保持されることにより、支柱103の長手方向に向けた回動軸を中心として回動可能に支持される。
【0062】
規制解除棒112の被回動部112aは支持部111aの内部に収容される。また、規制解除棒112の回動部112bはアーム部材107における傾斜部107fの前側下部に位置するように設けられる。
【0063】
開状態の脚立110において、使用者が脚立110を閉状態とする場合は、図8(b)及び図9(b)に示す如く、踏桟104の下側に手を差し入れて手前側の梯子体を少し持ち上げた状態で、操作レバー111を手前側に引き寄せる。これにより、支持部111aが被回動部112aを踏桟104の側に近接させ、規制解除棒112が回転する。
【0064】
規制解除棒112の回転に伴い、回動部112bが支柱103に近接して傾斜部107fを持ち上げ、第一アーム体107a・第二アーム体107bを上方に回動させる。これにより、第一アーム体107aと第二アーム体107bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材107・107が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体107aと第二アーム体107bとを相対回転させることにより、梯子体の角度規制が解除され、梯子体のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体を回動させることができる。
【0065】
そして、手前側の梯子体の自重により二つの梯子体は近接し、梯子体のなす角度が約0度に近づくことにより、脚立110は閉状態となる。このように、開状態の際に第一アーム体107aと第二アーム体107bとからなるアーム部材107を屈曲することにより、脚立110は梯子体が近接した閉状態となる。
【0066】
本実施形態に係る脚立110においても、脚立110の開状態において規制解除部材108の回動部112bがアーム部材107よりも外側に突出することがない。即ち、本実施形態に係る脚立110においても、規制解除部材108が受ける外部からの影響を低減させることが可能となる。本実施形態においても、規制解除部材108(後述する規制解除部材108Aについても同様)を前側の梯子体に設ける構成や、前後の梯子体のそれぞれに設ける構成とすることも可能である。
【0067】
本実施形態については、図10に示す変形例に係る脚立110Aのように、規制解除部材108Aが、天板105の近傍に配置された操作レバー121を備える構成とすることも可能である。本変形例においては、操作レバー121の操作により規制解除棒122が回転し、脚立110Aを閉状態とすることができる。本変形例について、操作レバー121及び規制解除棒122以外の構成については第二実施形態に係る脚立110と同様であるため、第二実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0068】
規制解除部材108Aにおいて操作レバー121は、その上端部が天板105に設けられた溝に回動自在に嵌め合わせられることにより天板105に組付けられる。これにより、操作レバー121は天板105に対して前後方向に搖動可能とされる。操作レバー121の両端部には中空の支持部121aが設けられる。なお、支持部121aを介して操作レバー121を天板105に組付ける構成とすることも可能である。
【0069】
本変形例において、操作レバー121は天板105における前後方向の内側の面に設けられている。また、操作レバー121と支持部121aの揺動先端部は、脚立110Aを梯子状態として梯子体が上下反転した場合の天板105の踏面より下側に位置している。
【0070】
規制解除棒122は上端部が被回動部122aとして屈曲され、下端部が回動部122bとして屈曲された金属製の棒状部材である。規制解除棒122はその中途部が回動支持部材123によって保持されることにより、支柱103の長手方向に向けた回動軸を中心として回動可能に支持される。
【0071】
規制解除棒122の被回動部122aは支持部121aの内部に収容される。また、規制解除棒122の回動部122bはアーム部材107における傾斜部107fの前側下部に位置するように設けられる。
【0072】
開状態の脚立110Aにおいて、使用者が脚立110Aを閉状態とする場合は、図10(b)に示す如く、天板105の下側に手を差し入れて手前側の梯子体を少し持ち上げた状態で、操作レバー121を手前側に引き寄せる。これにより、支持部121aが被回動部122aを天板105の側に近接させ、規制解除棒122が回転する。
【0073】
規制解除棒122の回転に伴い、回動部122bが支柱103に近接して傾斜部107fを持ち上げ、第一アーム体107a・第二アーム体107bを上方に回動させる。これにより、第一アーム体107aと第二アーム体107bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材107・107が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体107aと第二アーム体107bとを相対回転させることにより、梯子体の角度規制が解除され、梯子体のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体を回動させることができる。
【0074】
[第三実施形態]
次に、図11及び図12を用いて、本発明の第三実施形態に係る脚立210について説明する。本実施形態に係る脚立210は、互いに共通の構成を有する一対の梯子体の上端部がヒンジ206・206により回動可能に連結される。
【0075】
ヒンジ206は、支柱203・203の上端部にそれぞれ固定される。一対の支柱203・203の間には、所定の間隔を隔てて中空の筒状部材である複数の踏桟204・204・・・が架け渡される。それぞれの梯子体は、上端部に中空の筒状部材である天板205・205が設けられる。
【0076】
脚立210は、開状態において、梯子体のなす角度を規定するとともに互いの相対変位(回転)を規制する、アーム部材207を備える。本実施形態におけるアーム部材207は、二つの梯子体において対向して近接離間する支柱203・203を連結する。
【0077】
本実施形態に係る脚立210において、それぞれのアーム部材207は一対のアーム体として第一アーム体207aと第二アーム体207bとを備える。第一アーム体207aの基端部(後端部)は、回動軸207cを介して、一の支柱203に回動可能に支持される。また、第二アーム体207bの基端部(前端部)には、係合部207eが形成される。係合部207eは、開状態の脚立210において他の支柱203に形成されたロックピンと係合する。
【0078】
第一アーム体207aの先端部(前端部)と第二アーム体207bの先端部(後端部)とは、回動連結軸207dによって互いに回動可能に連結される。第一アーム体207aの先端部には、第一アーム体207aと第二アーム体207bとの相対回転を規制するための規制部が形成されている。脚立210が開状態となってアーム部材207が伸長した際には、規制部により回動連結軸207dが下方に変位する方向にアーム部材207が屈曲しないように規制される。
【0079】
本実施形態に係る脚立210においては、図11(a)及び図12(a)に示す如く、脚立210が開状態の際に一対の梯子体の相対変位の規制を解除する規制解除部材208が設けられる。本実施形態における規制解除部材208は、後側の梯子体における最上位の踏桟204の近傍に配置される操作レバー211と、アーム部材207の下側で支柱203に沿って上下にスライド可能とされた二個の回動操作部213・213と、操作レバー211と回動操作部213・213とを連結する二本の連結棒212・212と、を備える。なお、本実施形態において、最上位以外の踏桟204の近傍に操作レバー211を設けることも可能である。
【0080】
本実施形態に係る脚立210において、規制解除部材208が設けられる側(後側)の梯子体が備える支柱203には、前側の側面に、それぞれ長孔である上側貫通孔203aと下側貫通孔203bとが開口される。上側貫通孔203aからは連結棒212の上端部が前方に向けて延出される。下側貫通孔203bからは連結棒212の下端部が前方に向けて延出される。
【0081】
規制解除部材208において操作レバー211は、支柱203の前側において踏桟204の近傍に配置される。操作レバー211の両端部には連結棒212・212の下端部が固定される。また、規制解除部材208において回動操作部213・213には連結棒212・212の上端部が固定される。回動操作部213には、アーム部材207の下方に位置する回動操作ピン213aが形成される。
【0082】
開状態の脚立210において、使用者が脚立210を閉状態とする場合は、図11(b)及び図12(b)に示す如く、踏桟204の下側に手を差し入れて手前側の梯子体を少し持ち上げた状態で、操作レバー211を上側に押し上げる。これにより、連結棒212・212を介して回動操作部213・213が上方に変位する。
【0083】
回動操作部213・213の上昇に伴い、回動操作ピン213aが第一アーム体207a・第二アーム体207bを上方に回動させる。これにより、第一アーム体207aと第二アーム体207bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材207・207が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体207aと第二アーム体207bとを相対回転させることにより、梯子体の角度規制が解除され、梯子体のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体を回動させることができる。
【0084】
そして、手前側の梯子体の自重により二つの梯子体は近接し、梯子体のなす角度が約0度に近づくことにより、脚立210は閉状態となる。このように、開状態の際に第一アーム体207aと第二アーム体207bとからなるアーム部材207を屈曲することにより、脚立210は梯子体が近接した閉状態となる。
【0085】
本実施形態に係る脚立210においても、脚立210の開状態において規制解除部材208の回動操作部213がアーム部材207よりも外側に突出することがない。即ち、本実施形態に係る脚立210においても、規制解除部材208が受ける外部からの影響を低減させることが可能となる。本実施形態においても、規制解除部材208(後述する規制解除部材208A・208Bについても同様)を前側の梯子体に設ける構成や、前後の梯子体のそれぞれに設ける構成とすることも可能である。
【0086】
本実施形態については、図13及び図14に示す第一変形例に係る脚立210Aのように、規制解除部材208Aが、天板205の近傍に配置された操作レバー221を備える構成とすることも可能である。本変形例においては、操作レバー221の操作により回動操作部223・223を上昇させ、脚立210Aを閉状態とすることができる。本実施形態における変形例について、操作レバー221、連結棒222・222、及び、回動操作部223・223以外の構成については第三実施形態に係る脚立210と同様であるため、第三実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0087】
規制解除部材208Aは、後側の梯子体における天板205の近傍に配置される操作レバー221と、アーム部材207の下側で支柱203に沿って上下にスライド可能とされた二個の回動操作部223・223と、操作レバー221と回動操作部223・223とを連結する二本の連結棒222・222と、を備える。
【0088】
本変形例に係る脚立210Aにおいて、規制解除部材208Aが設けられる側(後側)の梯子体が備える支柱203には、前側の側面に、それぞれ長孔である上側貫通孔203cと下側貫通孔203dとが開口される。上側貫通孔203cからは連結棒222の上端部が前方に向けて延出される。下側貫通孔203dからは連結棒222の下端部が前方に向けて延出される。
【0089】
規制解除部材208Aにおいて操作レバー221は、支柱203の前側において天板205の近傍に配置される。操作レバー221の両端部には連結棒222・222の上端部が固定される。また、規制解除部材208Aにおいて回動操作部223・223には連結棒222・222の下端部が固定される。回動操作部223には、アーム部材207の下方に位置する回動操作ピン223aが形成される。
【0090】
開状態の脚立210Aにおいて、使用者が脚立210Aを閉状態とする場合は、図13(b)及び図14(b)に示す如く、天板205の下側に手を差し入れて手前側の梯子体を少し持ち上げた状態で、操作レバー221を上側に押し上げる。これにより、連結棒222・222を介して回動操作部223・223が上方に変位する。
【0091】
回動操作部223・223の上昇に伴い、回動操作ピン223aが第一アーム体207a・第二アーム体207bを上方に回動させる。これにより、第一アーム体207aと第二アーム体207bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材207・207が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体207aと第二アーム体207bとを相対回転させることにより、梯子体の角度規制が解除され、梯子体のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体を回動させることができる。
【0092】
そして、手前側の梯子体の自重により二つの梯子体は近接し、梯子体のなす角度が約0度に近づくことにより、脚立210Aは閉状態となる。このように、開状態の際に第一アーム体207aと第二アーム体207bとからなるアーム部材207を屈曲することにより、脚立210Aは梯子体が近接した閉状態となる。
【0093】
本実施形態については、図15及び図16に示す第二変形例に係る脚立210Bのように、規制解除部材208Bの形状が異なる構成とすることも可能である。本変形例においても、操作レバー231の操作により脚立210Bを閉状態とすることができる。
【0094】
規制解除部材208Bは、後側の梯子体における天板205の近傍に配置される操作レバー231と、操作レバー231の両端に固定された二本の回動操作棒232・232と、を備える。
【0095】
本変形例に係る脚立210Bにおいて、規制解除部材208Bが設けられる側(後側)の梯子体が備える支柱203には、左右両側の側面に貫通孔203eが開口される。貫通孔203eからは回動操作棒232の下端部で屈曲された回動操作部232aが側方に向けて延出される。回動操作部232aの先端部はアーム部材207の下方に位置する。
【0096】
開状態の脚立210Bにおいて、使用者が脚立210Bを閉状態とする場合は、図15(b)及び図16(b)に示す如く、天板205の下側に手を差し入れて手前側の梯子体を少し持ち上げた状態で、操作レバー231を上側に押し上げる。これにより、回動操作棒232・232が上方に変位する。
【0097】
回動操作棒232・232の上昇に伴い、回動操作部232a・232aが第一アーム体207a・207aを上方に回動させる。これにより、第一アーム体207aと第二アーム体207bとの下側に形成される角度が180度以下となるため、アーム部材207・207が伸長した状態から屈曲した状態へと変形可能となる。このように、第一アーム体207aと第二アーム体207bとを相対回転させることにより、梯子体の角度規制が解除され、梯子体のなす角度が約30度よりも小さくなるように梯子体を回動させることができる。
【0098】
そして、手前側の梯子体の自重により二つの梯子体は近接し、梯子体のなす角度が約0度に近づくことにより、脚立210Bは閉状態となる。このように、開状態の際に第一アーム体207aと第二アーム体207bとからなるアーム部材207を屈曲することにより、脚立210Bは梯子体が近接した閉状態となる。
【符号の説明】
【0099】
2 梯子体 3 支柱
3a 端具 4 踏桟
5 天板 6 ヒンジ
7 アーム部材 7a 第一アーム体
7b 第二アーム体 7c 回動軸
7d 連結回動軸 7e 係合部
7f 第一挿入部 7g 第二挿入部
7h 角孔 7i 被回動操作部
7j 被挿入孔 8 規制解除部材
8A 規制解除部材(変形例)
10 脚立(第一実施形態)
10A 脚立(第一実施形態・変形例)
11 回動操作部 11a 係合片
11b ガイド溝 11c 規制片
11d 操作ピン
12 天板操作部 12a 操作レバー
12b 溝部材 12c 係合突部
13 回動支持部材 13a 挿通孔
13b ガイド部
14 規制部材
22 天板操作部 22a 操作レバー
22c 係合突部
107 アーム部材 107a 第一アーム体
107b 第二アーム体 107c 回動軸
107d 連結回動軸 107e 係合部
107f 傾斜部 108 規制解除部材
108A 規制解除部材(変形例)
110 脚立(第二実施形態)
110A 脚立(第二実施形態・変形例)
111 操作レバー 111a 支持部
111b ガイド溝 112 規制解除棒
112a 被回動部 112b 回動部
113 回動支持部材
121 操作レバー 121a 支持部
121b ガイド溝 122 規制解除棒
122a 被回動部 122b 回動部
123 回動支持部材
203 支柱 203a 上側貫通孔
203b 下側貫通孔 207 アーム部材
207a 第一アーム体 207b 第二アーム体
207c 回動軸 207d 連結回動軸
207e 係合部 208 規制解除部材
208A 規制解除部材(第一変形例)
208B 規制解除部材(第二変形例)
210 脚立(第三実施形態)
210A 脚立(第三実施形態・第一変形例)
210B 脚立(第三実施形態・第二変形例)
211 操作レバー 212 連結棒
213 回動操作部 213a 回動操作ピン
221 操作レバー 222 連結棒
223 回動操作部 223a 回動操作ピン
231 操作レバー 232 回動操作棒
232a 回動操作部
P1 第一ロックピン P2 第二ロックピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16