(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110104
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】架装車用システム収納
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20240807BHJP
B65G 67/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B60P1/64 A
B65G67/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014467
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】523037532
【氏名又は名称】ウエインズトヨタ神奈川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】増田 智秀
(72)【発明者】
【氏名】下藤 祐一
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076CA04
3F076EB01
(57)【要約】
【課題】ワンボックスカーやワゴン等の荷役運搬車両の荷台に対して脱着自在に搭載されるベースユニットにより多彩な収納、運搬機能が拡充する。
【解決手段】荷役運搬車両1の荷台部分に搭載されるマルチユニット3と、荷台部分の開口部からマルチユニット3の固定位置までに敷設されるレール4と、レール4を介して荷台部分に離着されマルチユニット3を積載した状態で荷台部分に搭載されるベースユニット2とを備え、ベースユニット2は、荷台部分に搭載される際に、折り畳まれてレール4に載置される脚部21,22と、脚部21,22によって水平に支持される基台部20と、荷台部分側の係止部51とベースユニット2側の係合部52とが接続されてベースユニット2を荷台部分に固定する固定手段5とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台部分に搭載される収納手段と、
前記荷台部分の開口部から前記収納手段の固定位置までに敷設される軌道手段と、
前記軌道手段を介して前記荷台部分に離着され、前記収納手段を積載した状態で前記荷台部分に搭載される収納用台車と
を備え、
前記収納用台車は、
前記荷台部分に搭載される際に、折り畳まれて前記軌道手段に載置される脚部と、
前記脚部によって水平に支持される基台部と。
前記荷台部分側の係止部と前記収納用台車側の係合部とが接続されて前記収納用台車を前記荷台部分に固定する固定手段と
を有することを特徴とする架装車用システム収納。
【請求項2】
前記荷台部分側の係止部には、前記収納用台車の進入動作によって逆止的に係止される逆止機構が設けられ、
前記収納用台車側の係合部には、前記収納用台車の後退動作の際に、前記逆止機構を解除する解除手段が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の架装車用システム収納。
【請求項3】
前記脚部は、前記基台部前方に回動可能に接続され、前記開口部内に先行して進入される前脚部を有し、
前記前脚部には前記開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を前記前脚部を折り畳むように回動される回転力に変換する前方駆動機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の架装車用システム収納。
【請求項4】
前記脚部は、前記基台部後方に回動可能に接続される後脚部を有し、
前記後脚部には前記開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を前記後脚部を折り畳むように回動される回転力に変換する後方駆動機構が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の架装車用システム収納。
【請求項5】
前記後脚部は、
下端部に下方に向けて突出され、回転可能に取り付けられたキャスターと、
前記後脚部の回動に追従して回動され、前記後脚部の回動に伴って前記キャスターの突出方向を変化させるリンク機構を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の架装車用システム収納。
【請求項6】
前記荷台部分は、前記軌道手段が敷設される床面部分と、前記床面から上方へ向けて突出した凸部とを有し、
前記収納手段には、前記固定位置へ固定された状態において前記凸部に嵌合される凹部が形成され、
前記軌道手段には、前記収納手段を、前記荷台部分の開口部から前記固定位置に至る過程において、前記凹部が前記凸部に嵌合させる位置決め機能が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の架装車用システム収納。
【請求項7】
前記荷台部分は、床面部分と、前記床面から上方へ向けて突出した凸部とを有し、
前記床面部分上面には、前記凸部の上面と面一となる高さに設定されたフラット化ユニットが配置され、
前記軌道手段は、前記フラット化ユニットの上部に敷設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の架装車用システム収納。
【請求項8】
前記軌道手段は、前記フラット化ユニットの上部に配置され、少なくとも前記凸部の一部又は全部の上方を覆う板状のフラットフロアの上面に敷設されていることを特徴とする請求項7に記載の架装車用システム収納。
【請求項9】
前記フラットフロアと、前記床面との間には、前記フラットフロアの高さ位置を上下させる昇降機構が配置されていることを特徴とする請求項8に記載の架装車用システム収納。
【請求項10】
前記フラット化ユニットは、前記床面に対してスライド移動するためのスライド手段を備えていることを特徴とする請求項7に記載の架装車用システム収納。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンボックスカーやワゴン等の荷役運搬車両の荷台部分に着脱自在に搭載される収納手段を備えた架装車用システム収納に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に架装車は、自動車メーカーの生産車に特殊部品や装置を取り付けたり、車体やシャーシに改造を加えた車両であり、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1には、荷役運搬車両における荷台スライドが開示されており、この荷台スライド装置は、スライド可能に支持されたスライドテーブルと、スライドテーブルを車内に収納された状態から開口部から後方へ突出可能にスライドさせるスライド機構とを備えている。
【0003】
詳述すると、特許文献1に開示されたスライド機構は、に後部扉で開閉される荷物出入用の開口を設けた荷役運搬車両において、荷台の床上に載設されたベース枠上に、スライド自在に支持された移動荷台とを備える。この移動荷台には、地面上に垂直に立てられて使用位置に引き出される移動荷台の引出端部を支持するキャスター付きスタンドを備えており、このスタンドは、移動荷台の後端部下面側に収納されるスタンド収納位置とこの収納位置から引き出して垂直に立てられるスタンド使用位置とに位置変更可能に移動荷台に取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された移動荷台では、車両の荷台の開口から後方へ突出可能にスライドされ、前端位置を車両の荷台内に保持された状態で、突出された後端位置において、垂直に立てられたスタンドにより支持されるものであることから、移動荷台を車両から切離すことができず、移動荷台を独立した収納手段或いは運搬手段として用いることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、ワンボックスカーやワゴン等の荷役運搬車両の荷台に対して脱着自在に搭載されるベースユニットにより多彩な収納、運搬機能が拡充された架装車用システム収納を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の架装車用システム収納は、
車両の荷台部分に搭載される収納手段と、
前記荷台部分の開口部から前記収納手段の固定位置までに敷設される軌道手段と、
前記軌道手段を介して前記荷台部分に離着され、前記収納手段を積載した状態で前記荷台部分に搭載される収納用台車と
を備え、
前記収納用台車は、
前記荷台部分に搭載される際に、折り畳まれて前記軌道手段に載置される脚部と、
前記脚部によって水平に支持される基台部と。
【0008】
前記荷台部分側の係止部と前記収納用台車側の係合部とが接続されて前記収納用台車を前記荷台部分に固定する固定手段と
を有することを特徴とする。
【0009】
上記発明において、前記荷台部分側の係止部には、前記収納用台車の進入動作によって逆止的に係止される逆止機構が設けられ、
前記収納用台車側の係合部には、前記収納用台車の後退動作の際に、前記逆止機構を解除する解除手段が設けられている
ことが好ましい。
【0010】
上記発明において、前記脚部は、前記基台部前方に回動可能に接続され、前記開口部内に先行して進入される前脚部を有し、
前記前脚部には前記開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を前記前脚部を折り畳むように回動される回転力に変換する前方駆動機構が設けられている
ことが好ましい。
【0011】
上記発明において、前記脚部は、前記基台部後方に回動可能に接続される後脚部を有し、
前記後脚部には前記開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を前記後脚部を折り畳むように回動される回転力に変換する後方駆動機構が設けられている
ことが好ましい。
【0012】
上記発明において、前記後脚部は、
下端部に下方に向けて突出され、回転可能に取り付けられたキャスターと、
前記後脚部の回動に追従して回動され、前記後脚部の回動に伴って前記キャスターの突出方向を変化させるリンク機構を有する
ことが好ましい。
上記発明において、
前記荷台部分は、前記軌道手段が敷設される床面部分と、前記床面から上方へ向けて突出した凸部とを有し、
前記収納手段には、前記固定位置へ固定された状態において前記凸部に嵌合される凹部が形成され、
前記軌道手段には、前記収納手段を、前記荷台部分の開口部から前記固定位置に至る過程において、前記凹部が前記凸部に嵌合させる位置決め機能が設けられている
ことが好ましい。
上記発明において、
前記荷台部分は、床面部分と、前記床面から上方へ向けて突出した凸部とを有し、
前記床面部分上面には、前記凸部の上面と面一となる高さに設定されたフラット化ユニットが配置され、
前記軌道手段は、前記フラット化ユニットの上部に敷設されている
ことが好ましい。
上記発明において、前記軌道手段は、前記フラット化ユニットの上部に配置され、少なくとも前記凸部の一部又は全部の上方を覆う板状のフラットフロアの上面に敷設されていることが好ましい。
上記発明において、前記フラットフロアと、前記床面との間には、前記フラットフロアの高さ位置を上下させる昇降機構が配置されていることが好ましい。
上記発明において、前記フラット化ユニットは、前記床面に対してスライド移動するためのスライド手段を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、この発明によれば、ワンボックスカーやワゴン等の荷役運搬車両の荷台に対して脱着自在に搭載されるベースユニットにより多彩な収納、運搬機能が拡充された架装車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る架装車の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る架装車の応用例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る収納用台車の構成及び動作を示す側面図である。
【
図4】実施形態に係る収納用台車の構成及び動作を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る固定手段の構成及び動作を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る固定手段の構成及び動作を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る固定手段の変形例を示す説明図である。
【
図8】実施形態に係る収納用台車の変形例を示す説明図である。
【
図9】実施形態に係る収納の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図10】実施形態に係る収納の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図11】実施形態に係る収納の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図12】実施形態に係る荷台部分の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図13】実施形態に係る収納用台車の変形例を示す説明図である。
【
図14】実施形態に係る収納用台車の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る架装車用システム収納の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。 (架装車用システム収納の構成)
図1に本実施形態に係る架装車用システム収納の使用状態を示し、
図3及び3に収納用台車の使用状態を示す。なお、本実施形態では、
図1に示すような、引出が側面に配置された収納ボックスタイプのマルチユニット3を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば
図2に示すような、弁当屋などの屋台形式のマルチユニット3など、用途・目的に合わせて各種のマルチユニットを採用することができる。
【0016】
本実施形態に係る架装車用システム収納は、例えば、ワンボックスカーやワゴン等の荷役運搬車両1の荷台部分にマルチユニット3を着脱自在に搭載させる機能を備えている。詳述すると、架装車用システムは、荷役運搬車両1の荷台部分に搭載される収納手段であるマルチユニット3と、荷台部分の床面に敷設されたレール4と、このレール4を介して荷台部分に離着される収納用台車であるベースユニット2とから概略構成される。
【0017】
マルチユニット3は、荷役運搬車両1の荷台部分に離着自在に搭載される収納手段であり、同図に示すような箱状の収納の他、棚、ハンガー掛け、架台など各種形式の収納器具、着座シートや、テーブルといったような什器など、多種多様な収納設備の形態を取ることができる。
【0018】
レール4は、荷台部分の開口部からマルチユニット3の固定位置までに敷設される軌道手段であり、図示した例では、荷台部分の床面に敷かれたフラットベース41上から突出するように敷設されたオンレール形式となっているが、床面に溝を形成することにより敷設されたインレール形式とすることもできる。また、レール4はマルチユニット3の進退方向に沿って前後に直線状に敷設してもよく、中途で屈曲させるなどして、マルチユニット3の移動方向を前後左右に誘導するようにしてもよい。
【0019】
ベースユニット2は、レール4を介して荷台部分に離着され、マルチユニット3を積載した状態で荷台部分に搭載される収納用台車である。ベースユニット2は、荷台部分に搭載される際に、折り畳まれてレール4に載置される脚部21,22と、脚部21,22によって水平に支持される基台部20と、荷台部分側の係止部51とベースユニット2側の係合部とが接続されてベースユニット2を荷台部分に固定する固定手段5とを有している。
【0020】
ベースユニット2の脚部としては、
図3及び
図4に示すように、基台部20前方に回動可能に接続されて開口部内に先行して進入される前脚部22を有し、前脚部22には開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を前脚部22を折り畳むように回動される回転力に変換する前方駆動機構が設けられている。詳述すると前脚部22は、基台部20の長手方向に沿って摺動可能に設けられたスライダ225を介して、摺動及び回動可能に基台部20に連結された梯子状のフレームの下端に、一対のキャスター22bを回転可能に取り付けられて構成されている。また、この前脚部22の中途部分には、前方駆動機構としてのリンク部材22aが回動可能に接続されている。このリンク部材22aは、基台部20の先端部分に回動可能に軸支された梯子状のフレームであり、基台部20に軸支された端部と反対の自由端側で前脚部22に回転可能に軸支されている。
【0021】
なお、本実施形態では、ベースユニット2を立ち上がらせた状態において、前脚部22のキャスター22bの取り付け位置を、基台部20の先端側からの距離Dfが0に近づけるようにし、後脚部21のキャスター21bの取り付け位置を、基台部20の後端側からの距離Drがリンク部材21aの長さと同程度となるように、設計されている。これにより、基台部20の載積量が前方に偏ったとしてもベースユニット2が転倒しないようになっている。
【0022】
リンク部材22aは、一端を基台部20前方において回動可能に接続されるとともに、他端が前脚部22の中途に接続されていることにより、ベースユニット2の前方下方において斜めに張り出される形となり、ベースユニット2が荷役運搬車両1後方の開口部1a内に収納される際には、この斜めに張り出されたリンク部材22aが開口部1a周縁部分に押圧され、その押圧力により前脚部22が後方へ押し込まれて、スライダ225が後方へ摺動されるとともに、前脚部22が上方へ、折り畳まれるように回動され、水平状態へと閉じられる。このように、このリンク部材22aにより、リンク部材22aが開口部1a周縁部分に押圧される力を、前脚部22を水平状態へと回転される回転力に変換することができる。
【0023】
一方、ベースユニット2は、基台部20後方に回動可能に接続される後脚部21を有し、この後脚部21にも、開口部周縁部分に押圧され、その押圧力を、後脚部21を折り畳むように回動される回転力に変換する後方駆動機構が設けられている。詳述すると後脚部21は、本実施形態では、平行に配置された梯子状の平行フレーム211及び212により構成され、これら平行フレーム211,212は、上端を回動部213により回動可能に支持されているとともに、下端側がキャスター支持部214で連結されており、これら平行フレーム211,212、回動部213、及びキャスター支持部214により所謂平行リンク機構が形成され、平行フレーム211,212は常に平行な位置関係が維持されるようになっている。
【0024】
このキャスター支持部214の下端には、左右一対のキャスター21bが回転可能に取り付けられている。キャスター支持部214は、上記平行リンク機構により、後脚部21の回動に追従して、後脚部21の回動角度と同じ回転角度だけキャスター支持部214も回動され、常にキャスター21bが垂直下向きに維持されるようになっている。
【0025】
また、後脚部21には、後脚部21が開口部1a周縁部分に押圧された際に、その押圧力を、後脚部21を折り畳むように回動させる回転力に変換する後方駆動機構が設けられている。詳述すると後脚部21の平行フレーム212には、その中途部分に、後方駆動機構としてのリンク部材21aが回動可能に接続されている。このリンク部材21aは、基台部20の後方において、基台部20の長手方向に沿って摺動可能に設けられたスライダ215を介して、摺動及び回動可能に基台部20に連結された梯子状のフレームであり、スライダ215に接続された端部と反対の自由端側で平行フレーム212に回転可能に軸支されている。
【0026】
後脚部21は、一端を基台部20後方において回動可能に接続されるとともに、その中途にリンク部材21aによって支持されていることにより、ベースユニット2の後方下方において斜めに保持される形となり、ベースユニット2が荷役運搬車両1後方の開口部1a内に収納される際には、この斜めに保持された平行フレーム211が開口部1a周縁部分に押圧され、その押圧力により後脚部21が後方へ押し込まれて、スライダ215が後方へ摺動されるとともに、後脚部21が上方へ、折り畳まれるように回動され、水平状態へと閉じられる。このように、このリンク部材21aにより、平行フレーム211が開口部1a周縁部分に押圧される力を、後脚部21全体を水平状態へと回転される回転力に変換することができる。
【0027】
また、上述したスライダ215及び225は、ハンドル24を回転させることにより、その駆動力によって前後に進退され、これにより基台部20が上下するようになっている。すなわち、クランク状のハンドル24を軸回転させることにより、その回転力をスライダ215及び225を基台部20の前後方向に沿ってスライド移動させる駆動力に変換する。これにより、操作者はベースユニット2を荷役運搬車両1に出し入れする際に、手元のハンドル24を回すだけで基台部20の高さ、若しくは前脚部22及び後脚部21の開閉を容易に行うことができる。なお、本実施形態では、ハンドル24を手動で回転する方式を例に説明したが、電動モーターなどの回転駆動源となる駆動装置を組み入れて、スイッチ操作などにより動作させるようにしてもよい。
【0028】
また、上述した固定手段としては、例えば
図5~
図7に示すように、荷台部分側の係止部51にベースユニット2の進入動作によって逆止的に係止される逆止機構を設けることができる。ベースユニット2側の係合部52には、ベースユニット2の後退動作の際に、逆止機構を解除する解除手段を設け、ベースユニット2の収納時には、ベースユニット2を押し込む動作により、固定手段の係止機構を動作させ、逆止的にベースユニット2を床面上に固定することができる。
【0029】
(架装車用システム収納の動作)
以上説明した架装車用システム収納の操作手順について説明する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。ここでは、
図1に示すように、ベースユニット2上にマルチユニット3を載置した状態で、マルチユニット3をベースユニット2ごと荷役運搬車両1内に積み込む場合を例に説明する。
【0030】
先ず、同図(a)に示すように、ベースユニット2を開口部1a内に進入させる際、前脚部22が開口部1a内に先行して進入され、同図(b)に示すように、前方駆動機構であるリンク部材22aが開口部1aの周縁部分に押圧され、その押圧力により前脚部22が後方へ押し込まれて、スライダ225が後方へ摺動されるとともに、前脚部22が上方へ、折り畳まれるように回動され、水平状態へと閉じられる。
【0031】
次いで、さらに、ベースユニット2を開口部1a内に進入させると、同図(c)に示すように、後脚部21の平行リンク機構が開口部1a周縁部分に押圧され、その押圧力により後脚部21が後方へ押し込まれて、スライダ215が後方へ摺動されるとともに、後脚部21が上方へ、折り畳まれるように回動され、水平状態へと閉じられる。このとき、平行リンク機構により、後脚部21の回動に追従して、後脚部21の回動角度と同じ回転角度だけキャスター支持部214も回動され、常にキャスター21bが垂直下向きに維持される。
【0032】
そして、ベースユニット2をレール4上で移動させて、開口部1a内に積み込まれたときには、ベースユニット2の進入動作によって、荷台部分側の係止部51に逆止機構が逆止的に係止され、ベースユニット2が床面上に固定される。
【0033】
(作用・効果)
以上説明したとおり、本実施形態の架装車用システム収納によれば、ベースユニット2を開口部1a内に進入させる際、前方駆動機構であるリンク部材22aが開口部1aの周縁部分に押圧させることにより、前脚部22が折り畳まれるように回動させ、水平状態へと閉じさせることができる。さらに、後脚部21の平行リンク機構が開口部1a周縁部分に押圧され、その押圧力により後脚部21が後方へ押し込まれて、後脚部21が上方へ、折り畳まれるように回動され、水平状態へと閉じさせることができる。
【0034】
このとき、平行リンク機構により、後脚部21の回動に追従して、後脚部21の回動角度と同じ回転角度だけキャスター支持部214も回動され、常にキャスター21bが垂直下向きに維持させることができる。これらの結果、ベースユニット2を開口部1aに押し込むという動作により、脚部の折り畳みと、キャスターのレール4へのスムーズな係合を行うことができる。併せて、ベースユニット2をレール4を開口部1a内に積み込まれた際には、ベースユニット2の進入動作によって、荷台部分側の係止部51に逆止機構が逆止的に係止され、ベースユニット2を床面上に固定することができる。
【0035】
(変形例)
以上説明した各実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例について説明する。なお、以下の変形例において、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その機能等は特に言及しない限り同一であり、その説明は省略する。
【0036】
(1)変形例1
荷役運搬車両1の荷台部分には、シャーシにおけるタイヤの空間を確保するためのホイールハウス1bが突出されている。このホイールハウス1bは、荷台部分のレール4が敷設される床面から上方へ向けて突出した凸部であり、マルチユニット3を車載する際には、このホイールハウス1bを回避して、マルチユニット3を安定させて固定する必要がある。
【0037】
本変形例では、例えば、
図8(a)に示すように、箱状のマルチユニット3の下部側面に、ホイールハウス1bに対応させた箇所に、ホイールハウス1bに嵌合される凹部3aを形成するとともに、ベースユニット2の基台部20に進入方向に直交する方向にスライドさせるためのスライド手段を設ける。これは、マルチユニット3を、荷台部分の開口部1aから固定位置に至る過程において、凹部3aがホイールハウス1bに嵌合させる位置決め機能である。これにより、
図9(a)に示すように、マルチユニット3をベースユニット2で荷台部分内に進入させた後、その進入方向と直交する方向にマルチユニット3をスライドさせて、ホイールハウス1bが凹部20a内に嵌め込まれるようにする。
これによれば、マルチユニット3をベースユニット2で荷台部分内に進入させるときには、荷台部分の中央部分から積み込み、その後、左右方向にスライドさせることにより、ホイールハウス1bを嵌め込まさせて、マルチユニット3の固定位置における安定を図るとともに収納効率を向上させることができる。
【0038】
なお、このホイールハウス1bを回避させる位置決め機能としては、
図8(b)に示すように、基台部20のホイールハウス1bに対応する箇所に凹部20a形成し、
図9(b)に示すように、ベースユニット2自体をホイールハウス1bに嵌め込ませるように車載してもよい。
【0039】
(2)変形例2
上述したベースユニット2についても、種々の変形を施すことができる。例えば、荷役運搬車両1がフルフラット仕様の場合には、
図10(a)~(c)に示すように、荷台部分の床面全面を覆うサイズの基台部20を配置することができる。このとき、用途に応じて、単一(同図(a))、2分割(同図(b))、3分割(同図(c))などのように適宜サイズを設定するようにしてもよい。
【0040】
また、ホイールハウス1bがあるような車種では、
図11に示すように、基台部20を、ホイールハウス1b、1b間に収まるサイズとしてもよく、単一(同図(a))若しくは複数分割(同図(b))としてもよい。
【0041】
(3)変形例3
また、ホイールハウス1bの影響を低減する方法としては、
図12に示すように、フラット化ユニット201及び202をフラットベース41上に配置させ、その上にフラットフロア411を設置するようにしてもよい。このフラット化ユニット201,202をベースユニット2によって、レール42,43に係合させて荷役運搬車両1内でスライド移動させて搭載させる。フラットフロア411は、フラット化ユニット201,202の上部に配置され、少なくともホイールハウス1bの一部又は全部の上方を覆う板状の部材である。このフラットフロア411の上面には、ベースユニット2が係合されるレール4が敷設されており、フラット化ユニット201、202を立て込んでフラット化された車内に安定設置され、ベースユニット2及びマルチユニット3が積み込めるようになっている。このフラット化ユニット201,202は、その上面が、ホイールハウス1bの高さと一致するように厚さが調整された函体であり、内部が引出などの収納機能を備えている。
【0042】
このフラット化ユニット201,202は、ベースユニット2によって荷台部分内に搬入することができ、レール42及び43に係合されることにより、前後・左右にスライド移動されてホイールハウス1bの周辺であって荷台部分の床面上にバランスよく分散配置され、ホイールハウス1bを回避しつつフラットフロア411を水平に支持できるように固定される。
【0043】
他方、フラットフロア411は、上述した荷台部分の床面を、斜体から着脱自在としたものであり、水平な板部材に上述したレール4が取り付けられている。このフラットフロア411は、荷台部分に分散配置されたフラット化ユニット201,202上に配置され、ホイールハウス1bを含めてフラット化ユニット201、202上を覆うように固定され、荷台部分をフルフラット状態とすることができる。
なお、フラットフロア411には、
図12(b)~(d)に示すような、アレンジを加えることができる。例えば、フラットフロア411を支持するシリンダー411aを配置して、フラットフロア411とフラットベース41との間に空間を確保するようにしてもよい。このシリンダー411aとしては、上下方向に手動若しくは電動で伸縮する昇降機構を設けることもできる。これにより、フラット化ユニット201,202に収納された荷物の高さに応じてフラットフロア411の高さを調整できる。
【0044】
また、フラット化ユニット201,202を内部中空に形成して引出型の収納機能を持たせるとともに、引出型の上部開口の一部又は全部を覆う着脱式の天板202bを設けてもよい。このようなアレンジを加えることにより、フラット化ユニット201を半分程度引き出して、補助脚202aで支えるとともに、天板202bを取り付けることにより、テーブルや作業台として利用することができる。
【0045】
次いで、このようなフラット化ユニット201,202を用いた収納法のバリエーションについて説明する。例えば、
図13(a)や
図14(a)及び(b)に示すように、脱着式のベースユニット2と、非脱着式の引出ベースユニット40とを併用してもよい。このとき、脱着式のベースユニット2側のマルチユニット3には、ホイールハウス1bに嵌合される凹部3aを設けて、収納効率を高めることが好ましい。なお、
図14(a)及び(b)に示すマルチユニット3は、側面に引出や展示用ウィンドウが設けられた収納ボックスタイプとなっている。
【0046】
また、
図13(b)や
図14(c)に示すように、非脱着式の引出ベースユニット40を3分割して、それぞれ独立して後方へ引き出せるようにしてもよい。このとき、各引出ベースユニット40には、折りたたみ式のキャスター付き補助脚40bを設けて、前方側をレール4に係合させて支持させるとともに、自由端側を補助脚40bで支持することができる。なお、フラット化ユニット202には補助脚202aが設けられており、
図13(c)に示すように、フラット化ユニット202を引き出して、先端側をレール43に係合させて支持させるとともに、自由端側を補助脚202aで支持する。なお、
図14(c)に示すマルチユニット3は、側面に引出や展示用ウィンドウが設けられた収納ボックスタイプとなっている。
【0047】
また、
図13(d)に示すように、引出式の引出ベースユニット40を単一のフルフラットサイズとするとともに補助脚40bを設けるようにしてもよい。この場合には、引出ベースユニット40を引き出して、先端側をレール4に係合させて支持させるとともに、自由端側を補助脚202aで支持することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…荷役運搬車両
1a…荷台部分
1b…ホイールハウス
2…ベースユニット
3…マルチユニット
3a…凹部
4…レール
5…固定手段
20…基台部
20a…凹部
21…後脚部
21a…リンク部材
21b…キャスター
22…前脚部
22a…リンク部材
22b…キャスター
40…引出ベースユニット
40b…補助脚
41…フラットベース
42,43…レール
51…係止部
52…係合部
201,202…フラット化ユニット
202a…補助脚
211,212…平行フレーム
213…回動部
214…キャスター支持部
215…スライダ
225…スライダ
411…フラットフロア