(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110105
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】クレーンゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014468
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 比呂志
(57)【要約】
【課題】 内部配線を簡素化することができるクレーンゲーム機を提供する。
【解決手段】 動作電力を供給する電源ユニットPSUを、クレーンゲーム機100の下側に配置するとともに、クレーンゲーム機の上側に、モータ26X、26Y、26Z、及び、モータ駆動制御回路要素を搭載した第1基板37を配置する。そして、モータ26X、26Y、26Z、及び、モータ駆動制御回路要素の電力が、電源ユニットPSUから1系統の電源配線により第1基板37に供給された後、第1基板37において分配されて、各モータ及びモータ駆動制御回路要素のそれぞれに供給される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ユニット及び操作子が設けられた台座と、
前記台座の上に設けられた景品収納部と、
前記景品収納部の上に設けられ、水平な第1軸方向に延在する第1レール部が形成された支持枠と、
前記支持枠に支持され、第1モータが設けられ、前記第1モータの駆動により前記第1レール部に沿って前記第1軸方向に移動可能な第1可動部と、
前記第1可動部に設けられ、前記第1軸方向と直交する水平な第2軸方向に延在する第2レール部と、
第2モータ及び第3モータが設けられ、前記第2モータの駆動により前記第2レール部に沿って前記第2軸方向に移動可能な第2可動部と、
前記第2可動部に設けられ、前記第3モータの駆動により鉛直な第3軸方向に移動可能で、移動に伴って前記景品をキャッチ及びリリースが可能なキャッチャと、を備え、
前記操作子の操作入力を通じて前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを駆動させるように構成されたクレーンゲーム機であって、
前記第2可動部には、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータの駆動制御を行うモータ駆動制御ユニットが搭載された第1基板が設けられ、
前記電源ユニットからの電力は、前記第1基板へ1系統の主電源配線により供給された後、前記第1基板において分配されて前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータ、並びに、前記モータ駆動制御ユニットに供給され、
前記操作子の操作入力信号は信号配線を介して前記モータ駆動制御ユニットに供給され、
前記モータ駆動制御ユニットは、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータそれぞれの駆動制御を行う第1駆動制御信号、第2駆動制御信号及び第3駆動制御信号を生成する、
ことを特徴とするクレーンゲーム機。
【請求項2】
前記操作子として、
第1操作入力が行われる第1ボタンと、第2操作入力が行われる第2ボタンと、
を備え、
前記モータ駆動制御ユニットは、
前記第1ボタンによる第1操作入力によって前記第1モータを駆動させて前記第1可動部を第1軸初期位置から前記第1軸方向に移動させ、前記第2ボタンによる第2操作入力によって前記第2モータを駆動させて前記第2可動部を第2軸初期位置から前記第2軸方向に移動させ、前記第2モータの駆動が終了したときに前記第3モータを駆動させて前記キャッチャを景品のキャッチのために前記第3軸方向に移動させるように構成されるとともに、
その後、前記第2モータを駆動させて前記第2可動部を第2軸初期位置に戻し、前記第1モータを駆動させて前記第1可動部を第1軸初期位置に戻した後に、前記第3モータを駆動させて前記景品をリリースした後に前記キャッチャを前記第3軸初期位置に戻す、
ことを特徴とする請求項1に記載のクレーンゲーム機。
【請求項3】
前記第1基板は、前記第2可動部における前記第2軸方向の一端部に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーンゲーム機。
【請求項4】
前記第1基板には1つの押圧センサが設けられ、
前記支持枠には、
前記第2可動部が前記第1軸初期位置以外の箇所で前記第2軸初期位置にあるときに前記押圧センサに当接して前記押圧センサを押圧状態とし、前記第1軸初期位置及び前記第2軸初期位置にあるときに、前記押圧センサと非当接となり前記押圧センサの押圧状態を解除する凹部が形成されたスイッチ操作部が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載のクレーンゲーム機。
【請求項5】
前記台座には、前記駆動制御以外の制御を行う主制御ユニットが搭載された第2基板を更に備え、
前記主制御ユニットは、前記第1操作入力及び第2操作入力の結果に基づいて、前記駆動制御以外の制御対象となる機能ユニット群の動作制御を行い、
前記主制御ユニット及び前記機能ユニット群への電力は、前記電源ユニットから供給される、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のクレーンゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッチャの横方向、縦方向の動作をボタンで制御して任意の位置でキャッチャを停止させ、キャッチャの下降により景品をキャッチし、景品をゲットするクレーンゲーム機が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなクレーンゲーム機では、キャッチャを3次元的に移動させる3個のモータが景品収納部の上の可動部に配置され、3個のモータに電力を供給する電源部(電源ユニット)と、各モータの動作制御を行うための制御部やボタンとが、景品収納部の下の台座に配置されていた。
【0005】
このため、各モータの動作制御を行うための配線としては、台座から可動部へと配線長が長い3系統の配線が必要であった。
しかし、配線長が長いと、配線自体が高価となるばかりか、配線作業が煩雑となるとともに、クロストークが生じる虞が高くなる。
【0006】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、内部配線を簡素化することができるクレーンゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、
電源ユニット及び操作子が設けられた台座と、
前記台座の上に設けられた景品収納部と、
前記景品収納部の上に設けられ、水平な第1軸方向に延在する第1レール部が形成された支持枠と、
前記支持枠に支持され、第1モータが設けられ、前記第1モータの駆動により前記第1レール部に沿って前記第1軸方向に移動可能な第1可動部と、
前記第1可動部に設けられ、前記第1軸方向と直交する水平な第2軸方向に延在する第2レール部と、
第2モータ及び第3モータが設けられ、前記第2モータの駆動により前記第2レール部に沿って前記第2軸方向に移動可能な第2可動部と、
前記第2可動部に設けられ、前記第3モータの駆動により鉛直な第3軸方向に移動可能で、移動に伴って前記景品をキャッチ及びリリースが可能なキャッチャと、を備え、
前記操作子の操作入力を通じて前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータを駆動させるように構成されたクレーンゲーム機であって、
前記第2可動部には、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータの駆動制御を行うモータ駆動制御ユニットが搭載された第1基板が設けられ、
前記電源ユニットからの電力は、前記第1基板へ1系統の主電源配線により供給された後、前記第1基板において分配されて前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータ、並びに、前記モータ駆動制御ユニットに供給され、
前記操作子の操作入力信号は信号配線を介して前記モータ駆動制御ユニットに供給され、
前記モータ駆動制御ユニットは、前記第1モータ、前記第2モータ及び前記第3モータそれぞれの駆動制御を行う第1駆動制御信号、第2駆動制御信号及び第3駆動制御信号を生成する、
ことを特徴とする。
【0008】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記操作子として、
第1操作入力が行われる第1ボタンと、第2操作入力が行われる第2ボタンと、
を備え、
前記モータ駆動制御ユニットは、
前記第1ボタンによる第1操作入力によって前記第1モータを駆動させて前記第1可動部を第1軸初期位置から前記第1軸方向に移動させ、前記第2ボタンによる第2操作入力によって前記第2モータを駆動させて前記第2可動部を第2軸初期位置から前記第2軸方向に移動させ、前記第2モータの駆動が終了したときに前記第3モータを駆動させて前記キャッチャを景品のキャッチのために前記第3軸方向に移動させるように構成されるとともに、
その後、前記第2モータを駆動させて前記第2可動部を第2軸初期位置に戻し、前記第1モータを駆動させて前記第1可動部を第1軸初期位置に戻した後に、前記第3モータを駆動させて前記景品をリリースした後に前記キャッチャを前記第3軸初期位置に戻す、
ことを特徴とする。
【0009】
第3の手段は、第1の手段であって、
前記第1基板は、前記第2可動部における前記第2軸方向の一端部に設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
第4の手段は、第3の手段であって、
前記第1基板には1つの押圧センサが設けられ、
前記支持枠には、
前記第2可動部が前記第1軸初期位置以外の箇所で前記第2軸初期位置にあるときに前記押圧センサに当接して前記押圧センサを押圧状態とし、前記第1軸初期位置及び前記第2軸初期位置にあるときに、前記押圧センサと非当接となり前記押圧センサの押圧状態を解除する凹部が形成されたスイッチ操作部が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
第5の手段は、第1~第4の手段のいずれかであって、
前記台座には、前記駆動制御以外の制御を行う主制御ユニットが搭載された第2基板を更に備え、
前記主制御ユニットは、前記第1操作入力及び第2操作入力の結果に基づいて、前記駆動制御以外の制御対象となる機能ユニット群の動作制御を行い、
前記主制御ユニット及び前記機能ユニット群への電力は、前記電源ユニットから供給される、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1~第5の手段によれば、電源ユニットから第1基板へ1系統の電源配線により電力が供給された後、当該第1基板において分配されて、第1モータ、第2モータ及び第3モータ、並びに、モータ駆動制御ユニットへ供給されるので、台座から景品収納部の上まで配される配線長が長い電源配線の配線数を低減し、内部配線を簡略化することができる。また、1系統の電源配線により第1基板へ供給された電力が第1基板において分配されるので、電源配線全体の配線長を短くすることができる。
【0013】
第4の手段によれば、1つの押圧センサによって、第2可動部が第2軸初期位置に戻ったことと、第1可動部が第1軸初期位置に戻ったことの双方を検出することができるので、センサの構成が簡素化される。
【0014】
第5の手段によれば、主制御ユニットは、第1操作入力及び第2操作入力の結果に基づいて、モータ駆動制御以外の制御対象となる機能ユニットの動作制御を行うので、利用者の第1操作入力及び第2操作入力に同期した表示や音出力による演出効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】クレーンゲーム機を正面側から見た斜視図である。
【
図2】クレーンゲーム機を裏面側から見た斜視図である。
【
図3】支持枠と、カバーを取り除いた可動部とを示した平面図である。
【
図7】クレーンゲーム機が備える回路要素と、内部配線を説明するための図である。
【
図8】
図7におけるモータ駆動制御ユニットが実行する処理の概要を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図8におけるZ軸方向移動制御の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図8におけるホームポジション復帰制御の処理を説明するためのフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
《概要構成》
図1は、クレーンゲーム機100を正面側から見た斜視図、
図2は、クレーンゲーム機100を裏面側から見た斜視図である。
先ず、クレーンゲーム機100の外観上の動作を説明する。
電源スイッチ1を入れ、X軸操作ボタン2を押すと、X軸操作ボタン2を押している間、景品収納部3の左手前側(初期位置)にあるキャッチャ4が右方向(+X方向)に走行する。キャッチャ4が所望の位置に到達したら、X軸操作ボタン2から手を離すと、キャッチャ4の走行が停止する。
次に、Y軸操作ボタン5を押すと、Y軸操作ボタン5を押している間、キャッチャ4が奥側(+Y方向)に向けて横行(走行)する。キャッチャ4が所望の位置まで到達したら、Y軸操作ボタン5から手を離す。これにより、キャッチャ4の横行が停止する。
すると、横行が停止したキャッチャ4は、自動的にその場で下降した後上昇する。その際、下降に伴ってキャッチャ4が開き、キャッチャ4の真下に景品6があると、当該景品6をキャッチして上昇する。
次に、キャッチャ4は、景品6をキャッチしたまま自動的に上記と逆の経路を辿って初期位置まで戻り、キャッチャ4が下降して景品6を景品落下口7に落下させた後上昇し、キャッチャ4が閉じながら初期位置に戻る。
なお、景品落下口7に落下した景品6は景品取出し口16から排出される。
【0018】
《クレーンゲーム機100の詳細》)
クレーンゲーム機100は、全体として、矩形箱状に構成されている。クレーンゲーム機100は台座10を有している。台座10の上には、景品6を収納する景品収納部3が設けられ、景品収納部3の上には、蓋となる天井部8が設けられている。
【0019】
1.台座10
台座10は、景品収納部3から手前側に張り出しており、張出し部10aの上面には、X軸操作ボタン2及びY軸操作ボタン5が左右に並んで設けられている。また、張出し部10aの上面には、Y軸操作ボタン5の右隣にコイン投入口13が設けられ、X軸操作ボタン2の左隣には放音孔14が設けられている。
なお、ここでは、コイン投入口13へのコインの投入はゲーム開始の条件とはされていない。また、放音孔14からはクレーンゲーム機100の操作案内や効果音が適宜に放たれる。
【0020】
また、台座10の前面右側には、コイン投入口13に投入されたコインを溜めるコイン収納箱15が設けられ、引出しによってコイン収納箱15に溜まったコインを回収可能となっている。一方、台座10の前面左側には、景品落下口7に連通する景品取出し口16が設けられ、景品落下口7に落下した景品6を獲得可能となっている。
【0021】
台座10内には、後述の第2基板17(
図7参照)が設けられている。第2基板17の一側の面(上面)には、X軸操作ボタン2及びY軸操作ボタン(スイッチ)5が設けられている。また、第2基板17には、放音孔14に対応してスピーカ(図示せず)が設けられている。また、第2基板17の他側の面(下面)には、電源スイッチ1が設けられている。
【0022】
2.景品収納部3
台座10の上面は、景品収納部3の景品載置面10bを構成している。
景品収納部3は、前面を構成する透明板18aと、右面を構成する透明板18bと、背面を構成する透明板18cと、左面を構成する透明板18dとを備えている。そして、この4枚の透明板18a、18b、18c、18dは、台座10に立設された4本の支柱19a、19b、19c、19dによって倒れないように支持されている。
なお、透明板18cには、景品6を景品収納部3に投入するための開口180cが形成されている。
また、4枚の透明板18a、18b、18c、18dの上端には、後述の可動部23を支持する矩形の支持枠20が取り付けられている。
【0023】
3.支持枠20
図3は、支持枠20と、カバーを取り除いた可動部23とを示した平面図、
図4は、
図3の一部を拡大して示した平面図である。
支持枠20の前部枠20a及び後部枠20bは、X軸方向に延在する第1レール部を構成している。前部枠20aの内側には凹部21が形成されている。また、後部枠20bの内側にはラック歯22が形成されている。この支持枠20には可動部23が支持されている。
【0024】
4.可動部23
可動部23は、X軸方向に走行可能な第1可動部(ガーダ)24と、第1可動部24に設けられ第1可動部24に対してY軸方向に横行可能な第2可動部(トロリ)25とを備えている。
【0025】
第1可動部24には、X軸モータ26Xが設けられている。X軸モータ26Xには、減速歯車機構27が連結されている。減速歯車機構27の最終段の歯車27aはラック歯22に噛合している。そして、第1可動部24は、X軸モータ26Xの動力によって、歯車27aを回転させ、X軸方向に走行するように構成されている。
なお、第1可動部24には、Y軸方向に延在するラック歯28が形成されている。
【0026】
第2可動部25には、Y軸モータ26Y及びZ軸モータ26Zが設けられている。
Y軸モータ26Yには、減速歯車機構32が連結されている。減速歯車機構32の最終段の歯車32aはラック歯28に噛合している。そして、第2可動部25は、Y軸モータ26Yの動力によって、歯車32aを回転させ、Y軸方向に走行(横行)する。
また、Z軸モータ26Zには、減速歯車機構33を介して大小2つのスプール34a、34bが連結されている。このうちスプール34aには、後述の開閉用ボールチェーン45bが巻回され、スプール34bには、後述の吊下げ用ボールチェーン45aが巻回されている。この2つのスプール34a、34bによる吊下げ用ボールチェーン45a及び開閉用ボールチェーン45bの巻取りや繰出しによって、キャッチャ4の上下動及び開閉を行う。
【0027】
また、第2可動部25には、前端側に第1基板37が起立して設けられている。第1基板37の前面には、後述の押圧センサ38が設けられている。
【0028】
5.キャッチャ4
図5は、キャッチャ4の斜視図、
図6は、キャッチャ4の分解斜視図である。
キャッチャ4はグラブバケット41を備えている。
グラブバケット41は、一対のバケットシェル42a、42bを有する。バケットシェル42a、42bのシェルアーム43a、43bはシェル軸44によって互いに連結されていて、バケットシェル42a、42bは、シェル軸44を中心に動作して、開閉可能となっている。このバケットシェル42a、42bの開閉によって景品6のキャッチ及びリリースが行われる。
【0029】
グラブバケット41は、吊下げ用ボールチェーン45aに吊り下げられたヘッド46に回動部材47a、47bを介して支持されている。回動部材47a、47bは、ヘッド46に連結ピン48a、48bを介して一端部が回動可能に連結され、他端部が連結ピン49a、49bを介してバケットシェル42a、42bに回動可能に連結されている。
また、グラブバケット41のシェル軸44には、ヘッド46の孔46aを通された開閉用ボールチェーン45bの先端が連結されている。
【0030】
ここで、吊下げ用ボールチェーン45a及び開閉用ボールチェーン45bが巻回されるスプール34b、34aは、開閉用ボールチェーン45bが巻回されるスプール34bの方が、吊下げ用ボールチェーン45aが巻回されるスプール34aよりも大きくなっている。つまり、スプール34a、34bの1回転当たりの巻取り量及び繰出し量がスプール34aの方が大きい。この巻取り量及び繰出し量の差を利用して、キャッチャ4の昇降に伴ってグラブバケット41を開閉させる。
【0031】
6.配線
次に、クレーンゲーム機100内における回路要素と、回路要素間における配線について、主に
図7を参照して説明する。なお、基板におけるパターン配線を除いて、回路要素間における配線は各々一対となっている。
【0032】
上述したように、台座10内には、電源ユニットPSU及び第2基板17が設けられている。このうち第2基板17には、
図7に示されるように、主制御ユニット59が搭載されている。この主制御ユニット59には、各種機能ユニットFUE、X軸操作ボタン2及びY軸操作ボタン5、正確にはX軸操作ボタン2及びY軸操作ボタン5に対応するスイッチが接続されている。ここで、本実施形態では、各種機能ユニットFUEには、音出力ユニット等が含まれている。
【0033】
なお、主制御ユニット59及び各種機能ユニットFUEにおける電力消費要素には、電源ユニットPSUから電力供給が行われる。
【0034】
本実施形態では、X軸操作ボタン2に対応するスイッチは、X軸操作ボタン2が押下状態にあるか否かを、主制御ユニット59に通知する。また、Y軸操作ボタン5に対応するスイッチは、Y軸操作ボタン5が押下状態にあるか否かを主制御ユニット59に通知する。
【0035】
そして、主制御ユニット59は、X軸操作ボタン2が押下状態にあるか否かを示す信号であるX軸モータ駆動指示信号に変換して、第1基板37に搭載された後述するモータ駆動制御ユニット51へ送る。また、主制御ユニット59は、Y軸操作ボタン5が押下状態にあるか否かを示す信号であるY軸モータ駆動指示信号に変換して、モータ駆動制御ユニット51へ送る。
【0036】
また、電源ユニットPSUは、クレーンゲーム機100の上部に配置されたモータ駆動に関連する回路要素に、電源配線を介して供給する。この場合、台座10から第1基板37までに配される電源配線(主電源配線)は、例えば支柱19cの内部を通されて景品収納部3の上に引き出され支持枠20に沿って引き回されている。なお、主電源配線が通される支柱は19a、19b、19dであってもよい。
【0037】
また、上述したように、クレーンゲーム機100に配置された可動部23は、第1可動部24と、第2可動部25とを備えている。このうち第1可動部24にX軸モータ26Xが固定され、第2可動部25に、第1基板37、Y軸モータ26Y及びZ軸モータ26Zが固定されている。なお、第1基板37は、第2可動部25の-Y方向端部に配置されている。
【0038】
そして、第1基板37には、モータ駆動制御ユニット51と、押圧センサ38とが搭載されている。また、第1基板37には、X軸モータドライバ53Xと、Y軸モータドライバ53Yと、Z軸モータドライバ53Zとが搭載されている。
【0039】
押圧センサ38は、第1基板37の-Y方向端部側に設置されている。ここで、押圧センサ38は、本実施形態では、押圧状態となると「ON」状態となり、押圧状態が解除されると「OFF」状態となるスイッチ素子が採用されている。そして、押圧センサ38が支持枠20に押し付けられているか否かを検出する。当該検出の結果は、モータ駆動制御ユニット51に通知される。
【0040】
モータ駆動制御ユニット51は、押圧センサ38による検出結果に加えて、主制御ユニット59から出力されたX軸モータ駆動指示信号及びY軸モータ駆動指示信号を受ける。そして、モータ駆動制御ユニット51は、押圧センサ38による検出結果、X軸モータ駆動指示信号及びY軸モータ駆動指示信号に基づいて、X軸モータ26X、Y軸モータ26Y及びZ軸モータ26Zのそれぞれの回転有無及び回転方向を指示する駆動制御信号を生成する。こうして生成された駆動制御信号は、対応するモータドライバへ送られる。
【0041】
電源ユニットPSUから1系統の電源配線により供給されている電力は、第1基板37において分配されて、X軸モータドライバ53X、Y軸モータドライバ53Y及びZ軸モータドライバ53Z、並びに、モータ駆動制御ユニット51に供給される。
【0042】
X軸モータドライバ53Xは、モータ駆動制御ユニット51からのX軸駆動制御信号を受信すると、当該X軸駆動制御信号に対応する態様の回転用電力をX軸モータ26Xに供給する。また、Y軸モータドライバ53Yは、モータ駆動制御ユニット51からのY軸駆動制御信号を受信すると、当該Y軸駆動制御信号に対応する態様の回転用電力をY軸モータ26Yに供給する。また、Z軸モータドライバ53Zは、モータ駆動制御ユニット51からのZ軸駆動制御信号を受信すると、当該Z軸駆動制御信号に対応する態様の回転用電力をZ軸モータY50Zに供給する。
【0043】
X軸モータ26Xは、X軸モータドライバ53Xから受けた回転用電力に従って、回転動作を行う。また、Y軸モータ26Yは、Y軸モータドライバ53Yから受けた回転用電力に従って、回転動作を行う。また、Z軸モータ26Zは、Z軸モータドライバ53Zから受けた回転用電力に従って、回転動作を行う。
【0044】
《動作》
次に、上記のように構成されたクレーンゲーム機100の動作を、主に、モータ駆動制御ユニット51が実行するモータ駆動制御処理に着目して説明する。
【0045】
なお、当初において、第1可動部24、第2可動部25及びキャッチャ4は、それぞれの初期位置(ホームポジション)に位置しているものとする。ここで、本実施形態では、第1可動部24のX軸ホームポジションは、第1可動部24の-X方向端部が支持枠20に近接する位置であり、第2可動部25のY軸ホームポジションは、第2可動部25の-Y方向端部が支持枠20に近接する位置となっている。
【0046】
また、キャッチャ4のZ軸ホームポジションは、キャッチャ4の+Z方向端部が第1可動部24の-Z方向端部に近接する位置となっている。なお、キャッチャ4がZ軸ホームポジションに位置する場合には、キャッチャ4つまりグラブバケット41が閉じた状態となっている。
【0047】
こうした第1可動部24、第2可動部25及びキャッチャ4のそれぞれのホームポジションにある場合に、ステップS11において、X軸操作ボタン2が押下され、モータ駆動制御ユニット51が、主制御ユニット59から出力されたX軸モータ駆動指示信号を受信したか否かに基づいて、+X方向移動指示が開始されたか否かを判定する。ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0048】
なお、ステップS11の処理の繰り返し中は、利用者によりY軸操作ボタン5が押下され、Y軸モータ駆動指示信号を主制御ユニット59から受信したとしても、モータ駆動制御ユニット51は、+Y方向移動制御を行わない。
【0049】
ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、モータ駆動制御ユニット51が、第1可動部24を+X方向移動させるためのX軸駆動制御信号を生成し、X軸モータドライバ53Xへ送ることにより、+X方向移動制御を行う。
【0050】
引き続き、ステップS13において、モータ駆動制御ユニット51が、主制御ユニット59から出力されたX軸モータ駆動指示信号を受信したか否かに基づいて、+X方向移動指示が終了したか否かを判定する。ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS12へ戻る。以後、ステップS13における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS12,S13の処理が繰り返される。
【0051】
なお、ステップS12,S13の処理の繰り返し中は、利用者によりY軸操作ボタン5が押下され、Y軸モータ駆動指示信号を主制御ユニット59から受信したとしても、モータ駆動制御ユニット51は、+Y方向移動制御を行わない。
【0052】
ステップS13における判定の結果が肯定的となると(ステップS13:Y)、処理はステップS14へ進む。ステップS14では、Y軸操作ボタン5が押下され、モータ駆動制御ユニット51が、主制御ユニット59から出力されたY軸モータ駆動指示信号を受信したか否かに基づいて、+Y方向移動指示が開始されたか否かを判定する。ステップS14における判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、ステップS14の処理が繰り返される。
【0053】
なお、ステップS14の処理の繰り返し中は、利用者によりX軸操作ボタン2が押下され、X軸モータ駆動指示信号を主制御ユニット59から受信したとしても、モータ駆動制御ユニット51は、+X方向移動制御を行わない。
【0054】
ステップS14における判定の結果が肯定的となると(ステップS14:Y)、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、モータ駆動制御ユニット51が、第2可動部25を+Y方向移動させるためのY軸駆動制御信号を生成し、Y軸モータドライバ53Yへ送ることにより、+Y方向移動制御を行う。
【0055】
引き続き、ステップS16において、モータ駆動制御ユニット51が、Y軸モータ駆動指示信号を受信しなくなったか否かに基づいて、+Y方向移動指示が終了したか否かを判定する。ステップS16における判定の結果が否定的であった場合(ステップS16:N)には、処理はステップS15へ戻る。以後、ステップS16における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS15,S16の処理が繰り返される。
【0056】
なお、ステップS15,S16の処理の繰り返し中は、利用者によりX軸操作ボタン2が押下され、X軸モータ駆動指示信号を主制御ユニット59から受信したとしても、モータ駆動制御ユニット51は、+X方向移動制御を行わない。
【0057】
ステップS16における判定の結果が肯定的となると(ステップS16:Y)、処理はステップS17へ進む。このステップS17では、モータ駆動制御ユニット51が、キャッチャ4のZ軸方向移動制御を実行する。このステップS17の処理については、後述する。
【0058】
なお、ステップS17の処理が開始されると、ステップS19の処理が終了し、処理がステップS11に戻るまで、モータ駆動制御ユニット51は、X軸操作ボタン2又はY軸操作ボタン5が押下されても、+X方向移動制御又は+Y方向移動制御を行わない。
【0059】
ステップS17の処理が終了すると、処理はステップS18へ進む。このステップS18では、モータ駆動制御ユニット51が、ホームポジション復帰制御を実行する。このステップS18の処理については、後述する。
【0060】
ステップS18の処理が終了すると、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、モータ駆動制御ユニット51が、景品リリース制御を実行する。このステップS19の処理については、後述する。
【0061】
<ステップS17における処理>
次いで、ステップS17におけるZ軸方向移動制御について説明する。
【0062】
このステップS17における処理では、
図9のステップS21において、モータ駆動制御ユニット51が、キャッチャ4を-Z方向移動させるためのZ軸駆動制御信号を生成し、Z軸モータドライバ53Zへ送ることにより、-Z方向移動制御を行う。
【0063】
なお、上述したように、キャッチャ4は、-Z方向移動に応じてキャッチャ4つまりグラブバケット41が徐々に開いていく。
【0064】
引き続き、ステップS22において、モータ駆動制御ユニット51が、キャッチャ4が景品キャッチ位置に到達したと推定されるか否かを判定する。ここで、本実施形態では、当該判定は、-Z方向移動制御の開始から第1所定時間が経過したか否かにより判定される。
【0065】
ステップS22おける判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS21へ戻る。以後、ステップS22における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS21,S22の処理が繰り返される。
【0066】
ステップS22における判定の結果が肯定的となると(ステップS22:Y)、処理はステップS23へ進む。このステップS23では、モータ駆動制御ユニット51が、キャッチャ4を+Z方向移動させるためのZ軸駆動制御信号を生成し、Z軸モータドライバ53Zへ送ることにより、+Z方向移動制御を行う。
【0067】
なお、上述したように、キャッチャ4つまりグラブバケット41は、+Z方向移動に応じて徐々に閉じていく。
【0068】
引き続き、ステップS24において、モータ駆動制御ユニット51が、キャッチャ4がZ軸ホームポジション位置に到達したと推定されるか否かを判定する。ここで、本実施形態では、当該判定は、+Z方向移動制御の開始から第2所定時間が経過したか否かにより判定される。
【0069】
ステップS24おける判定の結果が否定的であった場合(ステップS24:N)には、処理はステップS23へ戻る。以後、ステップS24における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS23,S24の処理が繰り返される。
【0070】
ステップS24における判定の結果が肯定的となると(ステップS24:Y)、ステップS17の処理が終了する。そして、処理は、
図8のステップS18へ進む。
【0071】
<ステップS18における処理>
次いで、ステップS18におけるホームポジション復帰制御について説明する。
【0072】
このステップS18における処理では、
図10のステップS31において、モータ駆動制御ユニット51が、第2可動部25を-Y方向移動させるためのY軸駆動制御信号を生成し、Y軸モータドライバ53Yへ送ることにより、-Y方向移動制御を行う。
【0073】
引き続き、ステップS32において、モータ駆動制御ユニット51が、押圧センサ38が押圧状態となったか否かを判定する。ステップS32おける判定の結果が否定的であった場合(ステップS32:N)には、処理はステップS31へ戻る。以後、ステップS32における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS31,S32の処理が繰り返される。
【0074】
ステップS32における判定の結果が肯定的となると(ステップS32:Y)、処理はステップS33へ進む。このステップS33では、モータ駆動制御ユニット51が、第1可動部24を-X方向移動させるためのX軸駆動制御信号を生成し、X軸モータドライバ53Xへ送ることにより、-X方向移動制御を行う。
【0075】
引き続き、ステップS34において、モータ駆動制御ユニット51が、押圧センサ38の押圧状態が解除された否か(すなわち、押圧センサ38が凹部21に到達したか否か)を判定する。ステップS34おける判定の結果が否定的であった場合(ステップS34:N)には、処理はステップS33へ戻る。以後、ステップS34における判定の結果が肯定的となるまで、ステップS33,S34の処理が繰り返される。
【0076】
ステップS34における判定の結果が肯定的となると(ステップS34:Y)、ステップS18の処理が終了する。そして、処理は、
図8のステップS19へ進む。
【0077】
<ステップS19における処理>
次いで、ステップS19における景品リリース制御について説明する。
【0078】
このステップS19では、上述した
図9におけるステップS22における「景品キャッチ位置」を「景品リリース位置」と読み替えた場合のステップS17の処理と同様の処理を行う。そして、処理は
図8のステップS11に戻る。
【0079】
以上説明したように、本実施形態のクレーンゲーム機100によれば、次のような主たる効果を得ることができる。
【0080】
本実施形態のクレーンゲーム機100によれば、電源ユニットPSUから第1基板37へ1系統の電源配線により電力が供給された後、第1基板37において分配されて、X軸モータ26X、Y軸モータ26Y及びZ軸モータ26Z、並びに、モータ駆動制御ユニット51へ供給されるので、台座10から景品収納部の上まで配される配線長が長い電源配線の配線数を低減し、内部配線を簡略化することができる。また、1系統の電源配線により第1基板37へ供給された電力が第1基板37において分配されるので、電源配線全体の配線長を短くすることができる。
【0081】
また、1つの押圧センサ38によって、第2可動部25が第2軸初期位置に戻ったことと、第1可動部24が第1軸初期位置に戻ったことの双方を検出することができるので、センサの構成が簡素化される。
【0082】
また、主制御ユニット59は、第1操作入力及び第2操作入力の結果に基づいて、モータ駆動制御以外の制御対象となる機能ユニットの動作制御を行うので、利用者の第1操作入力及び第2操作入力に同期した表示や音出力による演出効果を発揮させることができる。
【0083】
[実施形態の変形]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で様々な変形が可能である。
【0084】
例えば、上記の実施形態では、主制御ユニット59が、X軸操作ボタン2が押下状態であるか否かをX軸モータ駆動指示信号に変換して、第1基板37に搭載されたモータ駆動制御ユニット51へ送る。また、主制御ユニット59は、Y軸操作ボタン5が押下状態であるか否かをY軸モータ駆動指示信号に変換して、モータ駆動制御ユニット51へ送るようにした。これに対し、X軸操作ボタン2及びY軸操作ボタン5の出力信号を、主制御ユニット59を介することなく、X軸モータ駆動指示信号及びY軸モータ駆動指示信号として採用することができる。
【0085】
さらに、利用者の操作入力に同期した表示や音出力による演出効果を発揮させなくともよい場合には、主制御ユニット59及び各種機能ユニットFUEを備えない構成とすることができる。
【0086】
また、上記の実施形態では、主制御ユニット59からモータ駆動制御ユニット51へのX軸モータ駆動指示信号及びY軸モータ駆動指示信号の供給に際して有線配線を利用するようにしたが、当該供給に際して、無線通信を利用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
2 X軸操作ボタン
3 景品収納部
4 キャッチャ
5 Y軸操作ボタン
6 景品
10 台座
19a~19d 支柱
20 支持枠
21 凹部
26X X軸モータ
26Y Y軸モータ
26Z Z軸モータ
38 押圧センサ
41 グラブバケット
51 モータ駆動制御ユニット
59 主制御ユニット
100 クレーンゲーム機
FUE 各種機能ユニット
PSU 電源ユニット