(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110106
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ワーク測定選別装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/02 20060101AFI20240807BHJP
B07C 5/06 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01B21/02 Z
B07C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014470
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】300033267
【氏名又は名称】ダイセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】森口 剛介
(72)【発明者】
【氏名】松田 圭司
【テーマコード(参考)】
2F069
3F079
【Fターム(参考)】
2F069AA31
2F069AA40
2F069DD16
2F069DD30
2F069GG04
2F069HH24
2F069HH30
2F069JJ01
2F069PP01
2F069PP07
3F079AD20
3F079CA21
3F079CC06
3F079DA06
(57)【要約】
【課題】装置構成の簡素化、装置の小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができるワーク測定選別装置を提供する。
【解決手段】ワークW2の移送上流側経路R1での位置規制動作を行う第1ピン43および第2ピン44、ワークW1の測定部R2での位置規制動作を行う第3ピン45、ワークW1の開口部の内径寸法の測定動作を行う測定ヘッド42a、測定の判定結果に応じたワークW1の移送先の切り替え動作を行うシャッタ46を、共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持する。これにより、アクチュエータの配設個数の削減に伴って、装置構成の簡素化、装置の小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの寸法の測定、および、当該測定の結果に応じた前記ワークの選別を行うワーク測定選別装置において、
前記測定が行われる際に前記ワークが配置される位置を含む測定部、該測定部に向けて前記ワークを移送するための移送上流側経路、および、前記測定が行われた後の前記ワークを移送するための移送下流側経路を有するワーク移送手段と、
前記測定部の内部に向けて前進移動することにより、前記移送上流側経路から移送されてきた前記ワークを前記測定部の所定位置で規制する測定位置規制手段と、
前記測定部の内部に向けて前進移動することにより、前記所定位置で規制されている前記ワークの寸法を測定する測定手段と、
前記測定の結果に応じて前記移送下流側経路に対する進退移動位置が変更され、その進退移動位置に応じて前記ワークの移送先を切り替える移送切り替え手段とを備え、
前記測定位置規制手段、前記測定手段、および、前記移送切り替え手段が、共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持されていることを特徴とするワーク測定選別装置。
【請求項2】
請求項1記載のワーク測定選別装置において、
前記測定位置規制手段は、棒状で成り、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定中において継続して前記ワークを前記測定部の所定位置で規制すると共に、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定が終了して前記測定手段が前記測定部から後退移動した際に、前記ワークを前記測定部の所定位置で規制する状態を解除する長さ寸法を有しており、
前記測定手段は、棒状で成り、前記測定位置規制手段による前記ワークの前記測定部の所定位置での規制開始時には前記測定部から後退した位置となる長さ寸法を有していることを特徴とするワーク測定選別装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のワーク測定選別装置において、
前記ワークを前記測定部に向けて移送する前段階において、前記移送上流側経路の内部に向けて前進移動することにより当該移送上流側経路において前記ワークの移送位置を規制する移送位置規制手段を備えており、
前記移送位置規制手段も、前記測定位置規制手段、前記測定手段、および、前記移送切り替え手段と共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持されていることを特徴とするワーク測定選別装置。
【請求項4】
請求項3記載のワーク測定選別装置において、
前記移送位置規制手段は、前記移送上流側経路における前記ワークの移送方向の上流側に位置する第1ピンと、下流側に位置する第2ピンとを含んで成り、
前記第1ピンは、前記移送上流側経路の延在方向に対して直交する方向の一方側から当該移送上流側経路に向けて延在する棒状で成り、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定中に前記移送上流側経路の内部に位置して当該移送上流側経路において測定前のワークの移送位置を規制する長さ寸法を有しており、
前記第2ピンは、前記移送上流側経路の延在方向に対して直交する方向の他方側から当該移送上流側経路に向けて延在する棒状で成り、前記測定手段による前記測定終了後であって前記移送下流側経路への前記ワークの移送開始時点で前記移送上流側経路の内部に位置して当該移送上流側経路において測定前のワークの移送位置を規制する長さ寸法を有していることを特徴とするワーク測定選別装置。
【請求項5】
請求項1または2記載のワーク測定選別装置において、
前記移送下流側経路の底板部には、前記ワークを排出可能な開口が設けられており、
前記移送切り替え手段は、
前記測定手段による測定結果として前記ワークが良品であった場合には、前記底板部の前記開口を閉鎖する進退移動位置となって、前記測定後の前記ワークの前記移送下流側経路に沿った移送を可能にする一方、
前記測定手段による測定結果として前記ワークが不良品であった場合には、前記底板部の前記開口から外れた進退移動位置となって、前記測定後の前記ワークが前記移送下流側経路を移送される際に当該ワークを前記開口から排出させる構成となっていることを特徴とするワーク測定選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク測定選別装置に係る。特に、本発明は、ワークの寸法の測定、および、当該測定の結果に応じたワークの選別が可能な装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークの寸法の測定、および、当該測定の結果に応じたワークの選別が可能なワーク測定選別装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているワーク測定選別装置は、開口部を有するワークにおける当該開口部の内径寸法の測定、および、当該測定の結果に応じたワークの選別を行うものであって、装置におけるテーブル上(ワークの測定を行うために当該ワークを配置する箇所)にワークを搬入するためのワーク搬入手段、アクチュエータによって進退移動可能とされテーブル上に搬入されたワークの開口部に挿入されて該開口部の内径寸法を測定する測定ヘッド、および、テーブル上からワークを搬出するワーク搬出手段を備えた構成となっている。
【0004】
ワーク搬入手段は搬入コンベアを備えており、ワーク搬出手段は良品搬出コンベアおよび不良品搬出コンベアを備えている。また、搬入コンベアとテーブルとの間、および、テーブルと良品搬出コンベアおよび不良品搬出コンベアとの間のそれぞれにおいてワークを移送させるためのプッシャを備えている。プッシャは、アクチュエータによって作動し、ワークの搬入時には、搬入コンベアからテーブルに向けてワークを押し出すように作動する。また、プッシャは、測定ヘッドによって測定された開口部の内径寸法が適切であって良品と判定された場合には、テーブルから良品搬出コンベアに向けてワークを押し出すように作動し、測定された開口部の内径寸法が不適切であって不良品と判定された場合には、テーブルから不良品搬出コンベアに向けてワークを押し出すように作動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているワーク測定選別装置にあっては、測定ヘッドを進退移動させるためのアクチュエータ、プッシャを作動させるためのアクチュエータ等といった各機能部毎に個別のアクチュエータを備えさせる必要があった。このため、部品点数が多く、それに伴って、装置構成の複雑化、装置の大型化、製造コストやランニングコストの高騰等といった課題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置構成の簡素化、装置の小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができるワーク測定選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、ワークの寸法の測定、および、当該測定の結果に応じた前記ワークの選別を行うワーク測定選別装置を前提とする。そして、このワーク測定選別装置は、ワーク移送手段、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段を備えている。ワーク移送手段は、前記測定が行われる際に前記ワークが配置される位置を含む測定部、該測定部に向けて前記ワークを移送するための移送上流側経路、および、前記測定が行われた後の前記ワークを移送するための移送下流側経路を有する。測定位置規制手段は、前記測定部の内部に向けて前進移動することにより、前記移送上流側経路から移送されてきた前記ワークを前記測定部の所定位置で規制する。測定手段は、前記測定部の内部に向けて前進移動することにより、前記所定位置で規制されている前記ワークの寸法を測定する。移送切り替え手段は、前記測定の結果に応じて前記移送下流側経路に対する進退移動位置が変更され、その進退移動位置に応じて前記ワークの移送先を切り替える。そして、前記測定位置規制手段、前記測定手段、および、前記移送切り替え手段が、共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0009】
この特定事項により、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段それぞれに対して個別のアクチュエータを備えさせる必要がなく、単一のアクチュエータの作動によって、測定位置規制手段によるワークの所定位置での規制、測定手段によるワークの寸法の測定、移送切り替え手段によるワークの移送先の切り替えを行うことが可能となる。このため、アクチュエータの配設個数の削減に伴って、装置構成の簡素化、装置の小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0010】
特に、前記測定位置規制手段は、棒状で成り、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定中において継続して前記ワークを前記測定部の所定位置で規制すると共に、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定が終了して前記測定手段が前記測定部から後退移動した際に、前記ワークを前記測定部の所定位置で規制する状態を解除する長さ寸法を有している。また、前記測定手段は、棒状で成り、前記測定位置規制手段による前記ワークの前記測定部の所定位置での規制開始時には前記測定部から後退した位置となる長さ寸法を有している。
【0011】
このため、ワークの寸法の測定に当たっては、アクチュエータの作動により、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段が一体的に移動し、先ず、測定位置規制手段が測定部の内部に達して、移送上流側経路から移送されてきたワークを測定部の所定位置で規制する。この際、測定手段も一体的に移動しているが、未だ測定部の内部に達していない状態にある。そして、更にアクチュエータが作動することにより、測定手段が測定部の内部に達する。この際、測定位置規制手段はワークを測定部の所定位置で規制する状態を維持し、この状態で、位置規制されているワークの寸法を測定手段が測定する。そして、測定手段によるワークの寸法の測定が終了した後、アクチュエータの作動により、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段が一体的に移動(前記とは反対方向に移動)し、測定手段および測定位置規制手段が順に測定部から後退することになり、ワークを測定部の所定位置で規制する状態が解除される。これによりワーク(寸法が測定されたワーク)は移送下流側経路を移送することになるが、この際、測定の結果に応じてアクチュエータが作動することにより、移送下流側経路に対する移送切り替え手段の進退移動位置が変更されてワークの移送先が切り替えられることになる。
【0012】
また、前記ワークを前記測定部に向けて移送する前段階において、前記移送上流側経路の内部に向けて前進移動することにより当該移送上流側経路において前記ワークの移送位置を規制する移送位置規制手段を備えており、前記移送位置規制手段も、前記測定位置規制手段、前記測定手段、および、前記移送切り替え手段と共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持されている。
【0013】
これにより、移送位置規制手段、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段の4つの機能部を1つのアクチュエータによって作動させながら、それぞれの機能を発揮させることが可能となる。
【0014】
この場合のより具体的な構成として、前記移送位置規制手段は、前記移送上流側経路における前記ワークの移送方向の上流側に位置する第1ピンと、下流側に位置する第2ピンとを含んで成っている。そして、前記第1ピンは、前記移送上流側経路の延在方向に対して直交する方向の一方側から当該移送上流側経路に向けて延在する棒状で成り、前記測定手段による前記ワークの寸法の測定中に前記移送上流側経路の内部に位置して当該移送上流側経路において測定前のワークの移送位置を規制する長さ寸法を有している。また、前記第2ピンは、前記移送上流側経路の延在方向に対して直交する方向の他方側から当該移送上流側経路に向けて延在する棒状で成り、前記測定手段による前記測定終了後であって前記移送下流側経路への前記ワークの移送開始時点で前記移送上流側経路の内部に位置して当該移送上流側経路において測定前のワークの移送位置を規制する長さ寸法を有している。
【0015】
これによれば、測定手段によるワークの寸法の測定中にあっては、測定前のワーク(測定部よりも上流側に位置しているワーク)は、移送上流側経路の内部に位置する第1ピンによって移送位置が規制されている。このため、測定中のワークに測定前のワークが干渉することで測定精度に悪影響を与えてしまうといったことが防止できる。また、測定されたワークの移送下流側経路への移送開始時点にあっては、測定前のワーク(測定部よりも上流側に位置しているワーク)は、移送上流側経路の内部に位置する第2ピンによって移送位置が規制されている。ワークの測定後には、測定手段が測定部から後退移動すると共に、測定位置規制手段はワークを測定部の所定位置で規制する状態を解除することになり、この状態で測定部に次のワーク(これから測定しようとするワーク)を移送してしまうと、測定位置規制手段や測定手段によって位置規制されることなく当該ワークが移送下流側経路にまで移送されてしまう(測定部を通過してしまう)虞がある。本解決手段では、第2ピンによって移送上流側経路におけるワーク移送位置が規制されるので、このような状況(未測定のワークが測定部を通過してしまう状況)を生じさせることがなく、各ワークを順に計測していくことが可能である。
【0016】
また、前記移送下流側経路の底板部には、前記ワークを排出可能な開口が設けられている。そして、前記移送切り替え手段は、前記測定手段による測定結果として前記ワークが良品であった場合には、前記底板部の前記開口を閉鎖する進退移動位置となって、前記測定後の前記ワークの前記移送下流側経路に沿った移送を可能にする一方、前記測定手段による測定結果として前記ワークが不良品であった場合には、前記底板部の前記開口から外れた進退移動位置となって、前記測定後の前記ワークが前記移送下流側経路を移送される際に当該ワークを前記開口から排出させる構成となっている。
【0017】
このようにワークが良品であった場合には、アクチュエータは、移送切り替え手段を移送下流側経路の開口を閉鎖する進退移動位置にし、ワークの移送下流側経路に沿った移送を可能にする。一方、ワークが不良品であった場合には、アクチュエータは、移送切り替え手段を開口から外れた進退移動位置にし、ワークを開口から排出させる。これにより、測定位置規制手段、測定手段、および、移送切り替え手段を作動させるアクチュエータを利用して、移送切り替え手段の進退移動位置を変更し、測定の結果に応じてワークの移送先を切り替えることが可能となる。その結果、ワークの選別を良好に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、ワーク移送手段における測定部の所定位置でワークを規制する測定位置規制手段と、測定部で位置規制されているワークの寸法を測定する測定手段と、測定の結果に応じてワークの移送先を切り替える移送切り替え手段とを共通のアクチュエータによって一体的に進退移動可能に支持している。このため、アクチュエータの配設個数の削減に伴って、装置構成の簡素化、装置の小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係るワーク測定選別装置の斜視図である。
【
図2】実施形態に係るワーク測定選別装置の正面図である。
【
図5】実施形態に係るワーク測定選別装置の作動ユニットを説明するための図である。
【
図6】実施形態に係るワーク測定選別装置の制御系を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係るワーク測定選別装置の動作を説明するための要部拡大図であって、
図7(a)はワーク待機状態を示し、
図7(b)は測定対象ワーク位置決め状態を示し、
図7(c)はワーク内径寸法測定状態を示し、
図7(d)は良品ワーク移送状態を示す図である。
【
図8】実施形態に係るワーク測定選別装置の動作を説明するための要部拡大図であって、
図8(a)は不良品ワーク移送状態を示し、
図8(b)は不良品ワーク排出状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、開口部を有するワークの内径寸法の測定、および、当該測定の結果に応じたワークの選別を行うワーク測定選別装置を例に挙げて説明する。また、開口部を有するワークとしては、例えばベアリング内輪が挙げられる。尚、ワークとしては、ベアリング内輪には限定されず、開口部を有する種々のワーク(例えば円筒形状のワーク)が適用可能である。尚、本発明に係るワーク測定選別装置は、開口部を有するワークの内径寸法を測定するものには限定されず、ワークの外径等の種々の寸法を測定するものとして適用することが可能である。
【0021】
-ワーク測定選別装置の構成-
図1は本実施形態に係るワーク測定選別装置1の斜視図である。
図2は、本実施形態に係るワーク測定選別装置1の正面図である。また、
図3は
図2におけるIII矢視図であり、
図4は
図2におけるIV矢視図である。
【0022】
以下の説明では、ワーク測定選別装置1の左右方向をX方向とし、
図2および
図3における右方向をX1方向と呼び、左方向をX2方向と呼ぶこととする。また、ワーク測定選別装置1の前後方向をY方向とし、
図3における下方向および
図4における左方向(ワーク測定選別装置1における手前方向)をY1方向と呼び、
図3における上方向および
図4における右方向(ワーク測定選別装置1における奥方向)をY2方向と呼ぶこととする。また、鉛直方向をZ方向とし、上方向をZ1方向と呼び、下方向をZ2方向と呼ぶこととする。
【0023】
図1~
図4に示すように、ワーク測定選別装置1は、ベースユニット2、移送ライナ(ワーク移送手段)3および作動ユニット4を含んだ構成となっている。
【0024】
-ベースユニット-
ベースユニット2は、ベースプレート21、傾斜角度調整プレート22、移送ライナ支持部材23、および、作動ユニット支持部材24(
図4を参照)を含んで構成されている。
【0025】
ベースプレート21は、水平方向(Z方向に対して直交する方向)に延在する底板部21aと、該底板部21aにおけるY1方向側の端部から鉛直上方に延在するベースブラケット21bとを備えている。
【0026】
底板部21aの下面の複数箇所にはロータリプレイン21c,21c,…が配設されている。また、底板部21aの上面におけるX方向の両側には取手21d,21dが配設されており、ワーク測定選別装置1を移動させるに当たっては、この取手21d,21dを把持することが可能となっている。また、底板部21aの上面には、ワークW1,W2(
図7を参照)の開口部の内径寸法の測定のための信号処理を行うA/E変換器120が支持されている。具体的には、底板部21aの上面に支持ブラケット121が取り付けられており、この支持ブラケット121の上部にA/E変換器120が支持されている。このA/E変換器120は、後述する制御装置100(
図6を参照)に接続されており、測定結果に対応する電気信号を制御装置100に送信する。尚、以下では、各ワークW1,W2(
図7)を区別して説明する必要がない場合には単にワークWということとする。
【0027】
ベースブラケット21bにおける下端寄りの位置の2箇所(
図2において破線の矢印A,Bで示した位置に対応する2箇所)には傾斜角度調整プレート22を支持するために利用されるピン孔(図には現れない)が形成されている。これらピン孔はX方向において所定間隔を存した位置であって同一高さ位置にそれぞれ形成されている。これらピン孔を利用した傾斜角度調整プレート22の支持構造(傾斜角度の調整が可能に傾斜角度調整プレート22を支持する構造)については後述する。
【0028】
底板部21aとベースブラケット21bとの間に亘って一対の補強ブラケット21e,21eが接合されており、これにより、ベースブラケット21bがZ方向に沿って起立した姿勢(Y方向に対して直交する姿勢)が安定的に維持できるようになっている。
【0029】
傾斜角度調整プレート22は、Y方向に対して直交する方向に延在する板材で成り、ベースブラケット21bに角度調整自在(Y方向に沿う軸心周りに角度調整自在)に支持されている。具体的に、傾斜角度調整プレート22には、ベースブラケット21bに形成されている前記一対のピン孔のうちX1方向側に位置するピン孔に対応した位置に円形のピン孔(図には現れない)、および、X2方向側に位置するピン孔に対応した位置に円弧形状の角度調整孔22aがそれぞれ形成されている。X1方向側に位置するピン孔同士(ベースブラケット21bのピン孔と傾斜角度調整プレート22のピン孔)が位置合わせされ、これらピン孔に亘って位置決めピンP1が挿通されている。また、X2方向側に位置するピン孔(ベースブラケット21bのピン孔)と傾斜角度調整プレート22の角度調整孔22aとが位置合わせされ、これら孔に亘って位置決めピンP2が挿通されている。角度調整孔22aは円弧形状であるので、位置決めピンP1を回動中心として、位置決めピンP2が角度調整孔22aの内部での相対移動が許容される範囲で傾斜角度調整プレート22はベースブラケット21bに対して角度調整が自在(Y方向に沿う軸心周りの角度調整が自在)となっている。この角度調整された回動位置で傾斜角度調整プレート22がベースブラケット21bに締結されている。これにより、
図2に示すように、傾斜角度調整プレート22の上端縁も水平方向に対して所定の傾斜角度(X2方向に向かうに従って下方に傾斜する傾斜角度)で傾斜している。以下、この傾斜角度を移送ライナ傾斜角度と呼ぶこととする。このようにして傾斜角度調整プレート22の上端縁が傾斜していることにより、この上端縁に載置されて支持されている後述する移送ライナ支持部材23によって支持される移送ライナ3を前記移送ライナ傾斜角度で配置することが可能となっている。尚、以下の説明では、この傾斜の延長方向をS方向とし(
図2を参照)、
図2においてX1方向に向けて上側に傾斜する方向をS1方向と呼び、
図2においてX2方向に向けて下側に傾斜する方向をS2方向と呼ぶこととする。
【0030】
移送ライナ支持部材23は、傾斜角度調整プレート22の上端縁に載置された状態で、該傾斜角度調整プレート22に支持されている。具体的に、この移送ライナ支持部材23は、ライナ傾斜角度に沿って(S方向に沿って)延在する底板23a、該底板23aにおけるY1方向側の端部から上方に延在する第1縦板23b、底板23aにおけるY2方向側の端部から上方および下方に延在する第2縦板23cを備えている。これにより、この第2縦板23cは、底板23aよりも上方に延在するガイド部23dと、底板23aよりも下方に延在する連結部23eとを備えていることになる。そして、第2縦板23cの連結部23eが傾斜角度調整プレート22におけるY2方向側の面に重ね合わされて該傾斜角度調整プレート22にボルト締結されている。これにより、移送ライナ支持部材23は、傾斜角度調整プレート22の傾斜角度(移送ライナ傾斜角度)だけ傾斜した状態で当該傾斜角度調整プレート22の上部に支持されていることになる。また、第1縦板23bにおける長手方向(S方向)の両側の2箇所には移送ライナ3を固定するためのクランプレバー23f,23fが設けられている。
【0031】
移送ライナ支持部材23には、移送ライナ3の内部におけるワークWの位置や姿勢を検出するための光電センサ110が支持されている。具体的には、移送ライナ支持部材23の第2縦板23cにセンサ支持ブラケット111が取り付けられており、このセンサ支持ブラケット111の上端部に光電センサ110が支持されている。この光電センサ110によって検出されたワークWの位置や姿勢の情報は後述する制御装置100(
図6を参照)に送信されることになる。
【0032】
図4に示すように、作動ユニット支持部材24は、S方向に沿って延在する支持板部24a、および、該支持板部24aの下面に接続された補強板部24bを備えて成り、Y1方向側の端部が傾斜角度調整プレート22におけるY2方向側の面に重ね合わされて、該傾斜角度調整プレート22にボルト締結されている。このため、この作動ユニット支持部材24の支持板部24aは、傾斜角度調整プレート22の傾斜角度の調整に伴って同様に傾斜角度(Y軸周りにおける傾斜角度)が変更されることになる。
【0033】
-移送ライナ-
移送ライナ3は、ワークWを移送するための部材であって、移送ライナ支持部材23に支持されている。この移送ライナ3は、前記クランプレバー23f,23fによって移送ライナ支持部材23に対して着脱自在に固定されている。このため、測定対象であるワークWが変更される場合には、クランプレバー23f,23fの操作によって、ワークWの大きさに応じた移送ライナ3が容易に交換可能となっている。
【0034】
移送ライナ3は、ライナ傾斜角度に沿って(S方向に沿って)延在する底板部31、該底板部31におけるY1方向側の端部から上方に延在する第1ガイド部32、底板部31におけるY2方向側の端部から上方に延在する第2ガイド部33を備えている。第1ガイド部32と第2ガイド部33との間隔(Y方向での間隔)は、ワークWの軸心(円筒形状のワークWの軸心)に沿う高さ寸法に略一致または該高さ寸法よりも僅かに大きく設定されている。また、第1ガイド部32および第2ガイド部33の高さ寸法(Z方向に沿う方向の寸法)は、ワークWの外径寸法よりも大きく設定されている。
【0035】
また、移送ライナ3に形成されている経路(ワークWを移送する経路)は、その長手方向に亘って複数の領域により構成されている。具体的に、移送ライナ3の長手方向の中央の領域が、ワークWの開口部の内径寸法の測定の際に当該ワークWが配置される位置を含む測定部(
図3において領域Xbで示す範囲の経路)R2となっており、この測定部R2よりもS1方向側(測定部R2に向けてワークWが移送してくる側)の領域が移送上流側経路(
図3において領域Xaで示す範囲の経路)R1となっており、測定部R2よりもS2方向側(測定が行われた後のワークWを移送させる側)の領域が移送下流側経路(
図3において領域Xcで示す範囲の経路)となっている。また、この移送下流側経路は、ワークWの移送先を切り替えるための切り替え経路(
図3において領域Xdで示す範囲の経路)R3と、該切り替え経路R3のS2方向側に連続する送り出し経路(
図3において領域Xeで示す範囲の経路)R4とを有している。これら移送上流側経路R1、測定部R2および移送下流側経路(切り替え経路R3および送り出し経路R4)それぞれは、前述した底板部31、第1ガイド部32および第2ガイド部33によって構成され、内側に、ワークWが移送される空間を有している。これら測定部R2および各経路R1,R3,R4にあっては、前述したように移送ライナ3がライナ傾斜角度に沿って(S方向に沿って)延在していることから、ワークWが位置規制されない場合には(後述する各ピン43,44,45による位置規制がなされない場合には)、当該ワークWが、その自重によって底板部31上をS1側からS2側に向けて転動(移送)することになる。
【0036】
以下、移送ライナ3を構成している第1ガイド部32および第2ガイド部33の構成について説明する。第1ガイド部32および第2ガイド部33は互いに同一の構成となっているので、ここでは第1ガイド部32の構成を代表して説明する。
【0037】
図1および
図2に示すように、第1ガイド部32は、上流ガイド部34、第1溝部35、第2溝部36、開口部37、下流ガイド部38を備えている。
【0038】
上流ガイド部34は、第1ガイド部32におけるS1方向側の端部から第1溝部35までの範囲を構成しており、高さ寸法(Z方向の長さ寸法)が一定の範囲となっている。
【0039】
第1溝部35は、上流ガイド部34のS2方向側に隣接し、上方に向かって開放するように略U字状に切り欠かれた形状となっている。第1溝部35の内側の空間は、後述する第1ピン(移送位置規制手段)43が挿入される(第1ピン43がY1方向に向けて前進移動した際に挿入される)空間となっている。この第1ピン43の前進移動状態については後述する。
【0040】
第2溝部36は、第1溝部35に対して所定寸法を存したS2方向側の位置に形成されており、上方に向かって開放するように略U字状に切り欠かれた形状となっている。第2溝部36の内側の空間は、後述する第2ピン(移送位置規制手段)44が挿入される(第2ピン44がY2方向に向けて前進移動した際に挿入される)空間となっている。この第2ピン44の前進移動状態についても後述する。
【0041】
開口部37は、第1ガイド部32において測定部R2に位置する部分に形成された貫通孔(Y方向に沿って貫通する孔)で構成されている。また、この開口部37は、S1方向側に位置する比較的大径の円形の開口37aと、S2方向側に位置する比較的小径の円形の開口37bとが繋がった形状となっている。以下では、この開口部37においてS1方向側に位置する開口を測定ヘッド挿通開口37aと呼び、S2方向側に位置する開口を第3ピン挿通開口37bと呼ぶこととする。
【0042】
下流ガイド部38は、そのS方向における中央部が、上方に膨出されて成る膨出部38aとなっている。そして、下流ガイド部38には、そのS方向における中央部よりもS1方向側の領域から膨出部38aに亘ってL字状のシャッタ挿通開口38bが形成されている。このシャッタ挿通開口38bは、S方向に沿って延在する第1開口38cと、該第1開口38cにおけるS2方向側の端部に連続し、且つ膨出部38aにおいてS方向に対して直交する上方に向かって延在する第2開口38dとによって構成されている。
【0043】
図3に示すように、底板部31には、移送下流側経路(切り替え経路R3)からワークWを排出可能とするための排出開口31aが設けられている。この排出開口31aは、底板部31において、前記シャッタ挿通開口38bの第1開口38cに対応する位置に形成されている。また、この排出開口31aは、底板部31におけるY方向の全体に亘って形成されている。尚、この排出開口31aのY方向の開口範囲はワークWの高さ寸法よりも大きく設定されている必要がある。
【0044】
また、排出開口31aに対応する下側にはシュート5が配設されている。このシュート5は、排出開口31aから排出されたワークWを案内するものであって、傾斜角度調整プレート22の上部に支持されている。このシュート5は、傾斜配置された底板51と、該底板51の両側に設けられた側板52,52とを有しており、排出開口31aから排出されたワークWは底板51に沿って滑り落ちることになる。
【0045】
-作動ユニット-
作動ユニット4は、移送ライナ3の各経路上においてワークWの移送位置を規制したり、ワークWの開口部の内径寸法の測定を行ったり、測定後のワークWの移送先を切り替えたりするためのユニットである。
【0046】
図5は作動ユニット4を説明するための図である。この
図5は、
図3と同一方向から見た図である。
図3および
図5に示すように、作動ユニット4は、アクチュエータ41、空気マイクロメータ42、ワーク位置規制のための棒状の第1~第3ピン43,44,45、シャッタ(移送切り替え手段)46を備えている。
【0047】
アクチュエータ41は、作動ユニット支持部材24(
図4)における支持板部24aの上面に支持されている。このアクチュエータ41は、内部に、サーボモータ、リニアガイド、ボールネジ等を備え、サーボモータの作動に伴ってスライダ41a(
図4)がY方向に沿ってスライド移動可能な周知の構成となっている。
【0048】
スライダ41aの上面にはスライドベースプレート47がボルト締結されている。
図5に示すように、このスライドベースプレート47は、スライダ41aの上面に締結されると共にY方向に沿って延在する第1延在部47aと、該第1延在部47aにおけるY1方向側の端部に連続してS2方向に向けて延在する第2延在部47bとを備えている。
【0049】
第1延在部47aの上面には空気マイクロメータ42が取り付けられている。この空気マイクロメータ42は、先端部に測定ヘッド(測定手段)42aを備え、一定圧力に調整された圧縮空気を測定ヘッド42aの空気吹出孔から吹き出し、この空気吹出孔の前に測定対象物(ワークW)を置いた場合に、該空気吹出孔と測定対象物との間隔の大小によって吹き出される空気量や背圧が変化することを利用して、その流量変化や圧力変化を電気信号に変換して演算処理し、前記間隔を測定するためのものである。本実施形態に係るワーク測定選別装置1は、ワークWの開口部の内径寸法を測定するものであるため、測定ヘッド42aは、ワークWの開口部に挿入される形状(円柱形状)となっており、径方向の外側に向けて圧縮空気を吹き出す構成とされている。
【0050】
スライドベースプレート47の第1延在部47aの上面には、ピン支持ブラケット48がボルト締結されている。このピン支持ブラケット48はL型の板材で成り、略水平方向(S方向に沿う方向)に延在して第1延在部47aの上面にボルト締結された第1板部48aと、該第1板部48aにおけるY1方向側の端部からZ1方向に向かって延在する第2板部48bとを備えている。
【0051】
第2板部48bにおけるS1方向側の端部近傍には、Y1方向に向かって延在する第1ピン43が取り付けられている。この第1ピン43の取り付け位置は、空気マイクロメータ42の測定ヘッド42aの位置よりも所定寸法だけS1方向側に設定されている。また、この第1ピン43は、アクチュエータ41のスライダ41aのスライド移動によって、移送上流側経路R1から後退する位置と、第1溝部35に挿入されて移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進する位置との間で進退移動可能となっている。この第1ピン43の長さ寸法は、その先端位置(Y1方向側の先端位置)が測定ヘッド42aの先端位置よりも所定寸法だけY1方向側に位置するように設定されている。このため、第1ピン43が移送上流側経路R1から後退した位置にあり、且つ測定ヘッド42aが測定部R2から後退した位置にある状態からアクチュエータ41の作動によってスライダ41aがY1方向に向かってスライド移動した場合には、測定ヘッド42aが測定部R2に挿入されるよりも先に第1ピン43が移送上流側経路R1に挿入されるようになっている。また、第1ピン43が移送上流側経路R1の内部に位置しており、且つ測定ヘッド42aが測定部R2の内部に位置している状態からアクチュエータ41の作動によってスライダ41aがY2方向に向かってスライド移動した場合には、第1ピン43が移送上流側経路R1から後退する(抜け出る)よりも先に測定ヘッド42aが測定部R2から後退する(抜け出る)ようになっている。
【0052】
また、第2板部48bにおけるX1方向側の端部近傍には、Y1方向に向かって延在する連結シャフト48cが設けられている。この連結シャフト48cにおけるY1方向側の端部には第2ピン支持プレート48dが取り付けられている。
図2に示すように、この第2ピン支持プレート48dはL型の板材であって、S方向に対して直交する方向に延在する第1板部48eに連結シャフト48cが連結されており、
図5に示すように、S方向に延在する第2板部48fにおけるY2方向側の面に、Y2方向に向かって延在する第2ピン44が取り付けられている。この第2ピン44の取り付け位置は、空気マイクロメータ42の測定ヘッド42aの位置よりも所定寸法だけS1方向側であって、第1ピン43の位置よりも所定寸法だけS2方向側に設定されている。具体的に、第1ピン43の軸心位置と第2ピン44の外面(S1方向側の外面)との間隔はワークWの外径の1.5倍程度に設定されている。また、第2ピン44は、アクチュエータ41のスライダ41aのスライド移動によって、移送上流側経路R1から後退する位置(Y1方向側に後退する位置)と、第2溝部36に挿入されて移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進する位置(Y2方向側に前進する位置)との間で進退移動可能となっている。第1ピン43は第2板部48bからY1方向に向かって延在しているのに対し、第2ピン44は第2ピン支持プレート48dからY2方向に向かって延在しているため、第1ピン43が移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進する際、第2ピン44は移送上流側経路R1から後退することになり、第1ピン43が移送上流側経路R1から後退する際、第2ピン44は移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進することになる。
【0053】
第2ピン44の長さ寸法は、その先端位置(Y2方向側の先端位置)が、Y方向において第1ピン43の先端位置(Y1方向側の先端位置)と略一致する位置であって、測定ヘッド42aの先端位置よりも所定寸法だけY1方向側に位置するように設定されている。このため、第2ピン44が移送上流側経路R1の内部にあり、且つ測定ヘッド42aが測定部R2から後退した位置にある状態からスライダ41aがY1方向に向かってスライド移動した場合には、測定ヘッド42aが測定部R2に挿入されるよりも先に第2ピン44が移送上流側経路R1から後退する(抜け出る)ようになっている。
【0054】
第2板部48bにおけるS2方向側の端部近傍には、Y1方向に向かって延在する第3ピン(測定位置規制手段)45が取り付けられている。この第3ピン45の取り付け位置は、空気マイクロメータ42の測定ヘッド42aの位置よりも所定寸法だけS2方向側に設定されている。具体的に、測定ヘッド42aの軸心位置と第3ピン45の外面(S1方向側の外面)との間隔はワークWの外径の1/2程度に設定されている。また、この第3ピン45は、アクチュエータ41のスライダ41aのスライド移動によって、測定部R2から後退する位置と、第3ピン挿通開口37bに挿入されて測定部R2の内部に入り込むように前進する位置との間で進退移動可能となっている。この第3ピン45の長さ寸法は、その先端位置(Y1方向側の先端位置)が、測定ヘッド42aの先端位置よりも所定寸法だけY1方向側に位置するように設定されている。このため、第3ピン45および測定ヘッド42aそれぞれが測定部R2から後退した位置にある状態からアクチュエータ41の作動によってスライダ41aがY1方向に向かってスライド移動した場合には、測定ヘッド42aが測定部R2に挿入されるよりも先に第3ピン45が測定部R2に挿入されるようになっている。また、第3ピン45および測定ヘッド42aがそれぞれ測定部R2の内部に位置している状態からアクチュエータ41の作動によってスライダ41aがY2方向に向かってスライド移動した場合には、第3ピン45が測定部R2から後退する(抜け出る)よりも先に測定ヘッド42aが測定部R2から後退する(抜け出る)ようになっている。
【0055】
スライドベースプレート47の第2延在部47bの上面には、シャッタ支持プレート49がボルト締結されている。また、このシャッタ支持プレート49の上面にはシャッタ46がボルト締結されている。
図2に示すように、シャッタ46は、移送ライナ傾斜角度に沿う方向(S方向)に延在する第1シャッタ部46aと、該第1シャッタ部46aにおけるY1方向側の端部付近のS2方向側の端部からS方向に対して直交する方向に延在する第2シャッタ部46bとを備えている。
【0056】
第1シャッタ部46aにおけるS方向に沿う方向の長さ寸法は、シャッタ挿通開口38bの第1開口38cにおけるS方向に沿う方向の長さ寸法に略一致しており、この第1シャッタ部46aは第1開口38cに挿通されている。また、 第2シャッタ部46bにおけるS方向に対して直交する方向の長さ寸法は、シャッタ挿通開口38bの第2開口38dにおけるS方向に対して直交する方向の長さ寸法に略一致しており、この第2シャッタ部46bは第2開口38dに挿通されている。また、この第1シャッタ部46aにおけるY1方向側の端縁のS方向での中央部は矩形状に切り欠かれた切り欠き部46cとなっている(
図7を参照)。このため、スライダ41aがY方向に沿ってスライド移動した場合に、シャッタ46の切り欠き部46cが排出開口31aに対向する位置となっている場合には、排出開口31aは閉鎖されず下側に開放された状態となる。一方、シャッタ46の第1シャッタ部46aが排出開口31aに対向する位置となっている場合には、排出開口31aは閉鎖された状態となる。
【0057】
以上のように本実施形態に係るワーク測定選別装置1にあっては、空気マイクロメータ42がスライドベースプレート47を介してアクチュエータ41に支持され、各ピン43,44,45がピン支持ブラケット48およびスライドベースプレート47を介してアクチュエータ41に支持され、シャッタ46がシャッタ支持プレート49およびスライドベースプレート47を介してアクチュエータ41に支持されている。つまり、空気マイクロメータ42、各ピン43,44,45、および、シャッタ46が、共通のアクチュエータ41によって一体的に進退移動可能に支持された構成となっている。
【0058】
-制御系-
図6は、本実施形態に係るワーク測定選別装置1の制御系を示すブロック図である。この
図6に示すように、ワーク測定選別装置1の制御系は、制御装置100に、前記光電センサ110およびA/E変換器120が信号の送受信が可能に接続されて構成されている。
【0059】
A/E変換器120には、空気通路を介してレギュレータ130、フィルタ140、空気源150が順に接続されている。これにより、空気源150から供給された圧縮空気は、フィルタ140で除塵され、レギュレータ130で一定圧力に調整された後、A/E変換器120内に設置された絞りを通り、空気マイクロメータ42の測定ヘッド42a内に送気される。A/E変換器120は、このときの圧力を、内蔵するベローズと差動変圧器とによって電気信号に変換して制御装置100に出力する。これにより、制御装置100では、現在測定しているワークWの開口部の内径寸法が規定の範囲内(良品と判定される所定の許容範囲内)にあるか否かを判定し、その判定結果に応じて進退移動指示信号をアクチュエータ41に出力する。
【0060】
また、制御装置100にはアラーム装置160が接続されている。このアラーム装置160は、光電センサ110によって検出されたワークWの位置や姿勢(移送ライナ3の内部におけるワークWの位置や姿勢)が不適切である場合にアラーム信号を発するものである。また、制御装置100は、光電センサ110によって検出されたワークWの位置の情報に従って、後述する動作(位置規制動作や測定動作)を行う。これにより、各動作を円滑に行うことができ、タクトタイムの短縮化が図れるようになっている。
【0061】
-測定および選別動作-
次に、前述の如く構成されたワーク測定選別装置1によるワークW(W1,W2)に対する測定および選別動作について説明する。
【0062】
図7は、本実施形態に係るワーク測定選別装置1の動作(ワークW1が良品であると判定される場合の動作)を説明するための要部拡大図であって、
図7(a)はワーク待機状態を示し、
図7(b)は測定対象ワーク位置決め状態を示し、
図7(c)はワーク内径寸法測定状態を示し、
図7(d)は良品ワーク移送状態を示す図である。
【0063】
この測定および選別動作では、先ず、
図7(a)に示すように、アクチュエータ41の作動により、第2ピン44が移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進した位置となる。これにより、移送上流側経路R1を移送されているワークW1,W2は、この第2ピン44によって移送位置が規制される。
図7(a)に示す状態では、2個のワークW1,W2の移送位置が第2ピン44によって規制された状態を示している。この際、第1ピン43は移送上流側経路R1から後退した位置であって、ワークW2の開口部に対向した位置にあり、測定ヘッド42aおよび第3ピン45は共に測定部R2から後退した位置にある。
【0064】
この状態からアクチュエータ41が作動しスライダ41aがY1方向側に移動する。これにより、
図7(b)に示すように、第1ピン43がワークW2の開口部に挿入されて、該ワークW2の位置を規制すると共に、第2ピン44が移送上流側経路R1から後退する位置となり、それまで位置規制していたワークW1の位置規制を解除する。また、第3ピン45が測定部R2の内部に入り込むように前進する位置となる。これにより、前記位置規制が解除されたワークW1は、この第3ピン45によって移送位置が規制される。これにより、ワークW1は、測定ヘッド42aに対向した位置に保持される。
【0065】
この状態からアクチュエータ41が更に作動し、スライダ41aがY1方向側に移動する。これにより、
図7(c)に示すように、測定ヘッド42aがワークW1の開口部に挿入されて、該ワークW1の内径寸法を測定する。この際、第1ピン43は、ワークW2の開口部に挿入された状態を維持し、該ワークW2の位置を規制した状態が維持される。また、第3ピン45によるワークW1の移送位置の規制も維持される。
【0066】
ワークW1の内径寸法の測定が完了すると、アクチュエータ41が作動し、スライダ41aがY2方向側に移動する。これにより、
図7(d)に示すように、測定ヘッド42aおよび第3ピン45が測定部R2から後退する位置となり、ワークW1の位置規制を解除し、該ワークW1が切り替え経路R3に向けて移送される。また、このワークW1の位置規制が解除された時点では、第2ピン44が移送上流側経路R1の内部に入り込むように前進した位置となっており、ワークW2は、この第2ピン44によって移送位置が規制される状態となる。
【0067】
前記測定の結果、ワークW1が良品と判定された場合には、アクチュエータ41は、シャッタ46の位置が、第1シャッタ部46aが排出開口31aに対向する位置となるようにスライダ41aを移動させる。これにより、排出開口31aは閉鎖された状態となり、切り替え経路R3にあっては、ワークW1は、排出開口31aに臨んでいる第1シャッタ部46a上を通過し、送り出し経路R4へ送り出されることになる。
【0068】
次に、ワークW1が不良品と判定された場合の動作について説明する。
図8(a)は不良品ワーク移送状態を示し、
図8(b)は不良品ワーク排出状態を示す図である。前記測定の結果、ワークW1が不良品と判定された場合には、
図8(a)に示すように、アクチュエータ41は、シャッタ46の位置が、切り欠き部46cが排出開口31aに対向する位置となるように(第1シャッタ部46aが、移送ライナ3の底板部31の排出開口31aから外れた進退移動位置となるように)スライダ41aを移動させる。これにより、排出開口31aは閉鎖されず、開放された状態となり、
図8(b)に示すように、切り替え経路R3に達したワークW1は排出開口31aからシュート5に排出されることになる。このようにして、測定の結果に応じてワークW1が選別されることになる。
【0069】
-実施形態の効果-
以上説明したように、本実施形態では、単一のアクチュエータ41の作動によって、第1ピン43および第2ピン44によるワークW2の移送上流側経路R1での位置規制動作、第3ピン45によるワークW1の測定部R2での位置規制動作、測定ヘッド42aによるワークW1の開口部の内径寸法の測定動作、シャッタ46によるワークW1の移送先の切り替え動作を行うことが可能である。このため、アクチュエータ41の配設個数の削減に伴って、ワーク測定選別装置1の構成の簡素化、小型化、製造コストやランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0070】
また、本実施形態では、測定ヘッド42aによる測定中にあっては、測定前のワーク(測定部R2よりも上流側に位置しているワーク)W2は、移送上流側経路R1の内部に位置する第1ピン43によって移送位置が規制されるようにしている。このため、測定中のワークW1に測定前のワークW2が干渉することで測定精度に悪影響を与えてしまうといったことが防止できる(
図7(c)の状態を参照)。また、測定されたワークW1の移送下流側経路での移送中にあっては、測定前のワークW2は、移送上流側経路R1の内部に位置する第2ピン44によって移送位置が規制されている(
図7(d)の状態を参照)。ワークW1の測定後には、測定ヘッド42aが測定部R2から後退移動すると共に、第3ピン45はワークW1の位置規制状態を解除することになり、この状態で測定部R2に次のワーク(これから測定しようとするワーク)W2を移送してしまうと、測定ヘッド42aや第3ピン45によって位置規制されることなく当該ワークW2が移送下流側経路にまで移送されてしまう(測定部R2を通過してしまう)虞がある。本実施形態では、第2ピン44によって移送上流側経路R1におけるワーク移送位置が規制されるので、このような状況(未測定のワークW2が測定部R2を通過してしまう状況)を生じさせることがなく、各ワークW1,W2を順に計測していくことが可能である。
【0071】
-他の実施形態-
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
【0072】
例えば、前記実施形態では、移送位置規制手段として第1ピン43および第2ピン44を備えさせる構成としたが、移送位置規制手段を1本のピンのみで構成してもよい。
【0073】
また、本発明は、移送位置規制手段(第1ピン43および第2ピン44)を必須とするものではなく、例えば、作業者がワークWを測定部R2に向けて手作業で送り込む構成とした場合には、移送位置規制手段を不要とすることができる。
【0074】
また、前記アクチュエータ41としては、電動式のものに限らず、液圧式、空気圧式等の種々のものが適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ベアリング内輪等の開口部を有するワークにおける当該開口部の内径寸法の測定、および、当該測定の結果に応じたワークの選別が可能なワーク測定選別装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 ワーク測定選別装置
3 移送ライナ(ワーク移送手段)
31 底板部
31a 排出開口(開口)
41 アクチュエータ
42a 測定ヘッド(測定手段)
43 第1ピン(移送位置規制手段)
44 第2ピン(移送位置規制手段)
45 第3ピン(測定位置規制手段)
46 シャッタ(移送切り替え手段)
R1 移送上流側経路
R2 測定部
R3 切り替え経路(移送下流側経路)
R4 送り出し経路(移送下流側経路)
W,W1,W2 ワーク