(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110125
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】防災無線配信システム、防災無線配信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20240807BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20240807BHJP
【FI】
G08B27/00 C
H04H20/59
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014509
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】522457357
【氏名又は名称】合同会社LightsSquare
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】平 典明
(72)【発明者】
【氏名】不破 守康
【テーマコード(参考)】
5C087
【Fターム(参考)】
5C087AA10
5C087AA37
5C087BB11
5C087DD02
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF03
(57)【要約】
【課題】 防災無線の再配信を効率化する。
【解決手段】 防災無線配信システムは、配信制御装置と配信装置とが含まれた防災無線配信システムであって、前記配信制御装置は、防災無線を受信して、受信した音声を出力するための音声データを生成する受信生成部と、前記受信生成部により生成された音声データを前記配信装置に送信するデータ送信部とを有し、前記配信装置は、前記データ送信部から受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信部と、前記配信部により配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブ部と、ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブ部によりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供部と、前記リスト提供部により提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配信制御装置と配信装置とが含まれた防災無線配信システムであって、
前記配信制御装置は、
防災無線の音声信号を取得して、この防災無線の音声を出力するための音声データを生成する受信生成部と、
前記受信生成部により生成された音声データを前記配信装置に送信するデータ送信部と
を有し、
前記配信装置は、
前記データ送信部から受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信部と、
前記配信部により配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブ部と、
ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブ部によりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供部と、
前記リスト提供部により提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供部と
を有する
防災無線配信システム。
【請求項2】
前記配信部は、ある防災無線の音声データをストリーミング配信している間に、前記データ送信部から他の防災無線の音声データを受信した場合に、前記他の防災無線の音声データに関するストリーミング配信に切り替え、
前記アーカイブ部は、ストリーミング配信が中断された防災無線の音声データのデータファイルを前記記録領域にアーカイブする
請求項1に記載の防災無線配信システム。
【請求項3】
前記配信部は、前記データ送信部から音声データを受信した時を起点として、防災無線の音声データが既定回数だけ繰り返して配信するまでの期間、ストリーミング配信を行い、この期間終了後に、ストリーミング配信を停止し、
前記リスト提供部は、音声ファイルのリストを、各音声ファイルに対応する防災無線の受信時に関連付けて表示させる
請求項2に記載の防災無線配信システム。
【請求項4】
前記受信生成部は、受信した防災無線に関して、音声の間隔を詰める処理、又は、音声の再生速度を変更する処理を行い、間隔が詰められた音声の音声データ、又は、再生速度が変更された音声の音声データを生成する
請求項3に記載の防災無線配信システム。
【請求項5】
前記配信制御装置は、一台のコンピュータ端末上のリソースにより実現され、
前記配信装置は、クラウド上のリソースにより実現される
請求項4に記載の防災無線配信システム。
【請求項6】
第1のコンピュータと第2のコンピュータとが含まれた防災無線配信システムにおいて、
前記第1のコンピュータが、防災無線の音声信号を取得し、この防災無線の音声を出力するための音声データを生成する受信生成ステップと、
前記第1のコンピュータが、前記受信生成ステップにより生成された音声データを前記第2のコンピュータに送信するデータ送信ステップと、
前記第2のコンピュータが、受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信ステップと、
前記第2のコンピュータが、前記配信ステップにより配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブステップと、
前記第2のコンピュータが、ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブステップによりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供ステップと、
前記第2のコンピュータが、前記リスト提供ステップにより提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供ステップと
を有する防災無線配信方法。
【請求項7】
防災無線の音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信ステップと、
前記配信ステップにより配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブステップと、
ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブステップによりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供ステップと、
前記リスト提供ステップにより提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災無線配信システム、防災無線配信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、防災放送局2と、再放送装置3と、インターネット通信制御部4と、再放送内容受信送信部5とを備え、再放送装置3は、防災放送局2から放送がなされたことを検知する放送検知手段を有し、放送検知手段によって防災放送局2から放送がなされたことが検知されると、第1のIP通信機13が放送内容の音声信号を受信し、インターネット通信制御部4に対してインターネット通信により放送内容の音声信号を送信し、インターネット通信制御部4から送られる放送内容の音声信号を、再放送内容受信送信部5の第2のIP通信機19が受信して放送内容が再放送する防災放送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、防災無線の再配信を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る防災無線配信システムは、配信制御装置と配信装置とが含まれた防災無線配信システムであって、前記配信制御装置は、防災無線の音声信号を取得し、この防災無線の音声を出力するための音声データを生成する受信生成部と、前記受信生成部により生成された音声データを前記配信装置に送信するデータ送信部とを有し、前記配信装置は、前記データ送信部から受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信部と、前記配信部により配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブ部と、ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブ部によりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供部と、前記リスト提供部により提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供部とを有する。
【0006】
好適には、前記配信部は、ある防災無線の音声データをストリーミング配信している間に、前記データ送信部から他の防災無線の音声データを受信した場合に、前記他の防災無線の音声データに関するストリーミング配信に切り替え、前記アーカイブ部は、ストリーミング配信が中断された防災無線の音声データのデータファイルを前記記録領域にアーカイブする。
【0007】
好適には、前記配信部は、前記データ送信部から音声データを受信した時を起点として、防災無線の音声データが既定回数だけ繰り返して配信するまでの期間、ストリーミング配信を行い、この期間終了後に、ストリーミング配信を停止し、前記リスト提供部は、音声ファイルのリストを、各音声ファイルに対応する防災無線の受信時に関連付けて表示させる。
【0008】
好適には、前記受信生成部は、受信した防災無線に関して、音声の間隔を詰める処理、音声の再生速度又はピッチを変更する処理を行い、間隔が詰められた音声の音声データ、又は、音声の再生速度又はピッチを変更した音声の音声データを生成する。
【0009】
好適には、前記配信制御装置は、一台のコンピュータ端末上のリソースにより実現され、前記配信装置は、クラウド上のリソースにより実現される。
【0010】
また、本発明に係る防災無線配信方法は、第1のコンピュータと第2のコンピュータとが含まれた防災無線配信システムにおいて、前記第1のコンピュータが、防災無線の音声信号を取得し、この防災無線の音声を出力するための音声データを生成する受信生成ステップと、前記第1のコンピュータが、前記受信生成ステップにより生成された音声データを前記第2のコンピュータに送信するデータ送信ステップと、前記第2のコンピュータが、受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信ステップと、前記第2のコンピュータが、前記配信ステップにより配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブステップと、前記第2のコンピュータが、ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブステップによりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供ステップと、前記第2のコンピュータが、前記リスト提供ステップにより提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供ステップとを有する。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、防災無線の音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する配信ステップと、前記配信ステップにより配信された音声データのデータファイルを記録領域にアーカイブするアーカイブステップと、ユーザ端末からのウェブアクセスに応じて、前記アーカイブステップによりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供するリスト提供ステップと、前記リスト提供ステップにより提供されたリストのうち、ユーザ端末により選択された音声ファイルを提供するファイル提供ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、防災無線の再配信を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】防災無線配信システム1の全体構成を例示する図である。
【
図2】配信制御装置2のハードウェア構成を例示する図である。
【
図3】配信制御装置2の機能構成を例示する図である。
【
図5】防災無線DB570に登録される情報を例示する図である。
【
図6】防災無線配信システム1における配信制御処理(S10)を説明するフローチャートである。
【
図7】防災無線配信システム1における配信処理(S20)を説明するフローチャートである。
【
図8】ユーザ端末9で表示される防災無線再配信サービスの表示画面である。
【
図9】変形例における配信制御プログラム32の機能構成を例示する図である。
【
図10】変形例における配信制御処理(S30)を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、防災無線配信システム1の全体構成を例示する図である。
図1に例示するように、防災無線配信システム1は、配信制御装置2と、配信装置4と、管理者端末8と、ユーザ端末9とを有し、インターネット7を介して互いに接続している。
また、配信制御装置2には、防災無線を受信するための防災無線受信機20が接続されている。本例の防災無線受信機20は、ラジオ受信機であり、有線により配信制御装置2に接続して、受信した防災無線の音声を配信制御装置2に出力する。なお、配信制御装置2は、防災無線を送信する送信機と直接接続され、この送信機から防災無線の音声信号を取得してもよい。
管理装置2は、コンピュータ端末であり、防災無線受信機20により受信した防災無線の音声を音声データに変換し、変換された防災無線の音声データを用いて、配信装置4に防災無線の再配信を指示する。
【0015】
配信装置4は、ウェブサーバであり、配信制御装置2から受信した音声データを用いて、ユーザ端末9に対して、防災無線の音声データを配信する。配信装置4は、一台のコンピュータ端末であってもよいし、クラウド上に構成された仮想サーバであってもよい。本例では、配信装置4がスケーラビリティのある仮想サーバである場合を具体例として説明する。
【0016】
管理者端末8は、防災無線の再配信に関して管理を行う管理者のコンピュータ端末であり、例えば、再配信するコンテンツに関する文字情報の編集を行う。
ユーザ端末9は、配信装置4から、防災無線の再配信を受けるコンピュータ端末であり、ウェブブラウザがインストールされたモバイル端末などである。
【0017】
図2は、配信制御装置2のハードウェア構成を例示する図である。
図2に例示するように、配信制御装置2は、CPU200、メモリ202、HDD204、ネットワークインタフェース206(ネットワークIF206)、表示装置208、及び入力装置210を有し、これらの構成はバス212を介して互いに接続している。
CPU200は、例えば、中央演算装置である。
メモリ202は、例えば、揮発性メモリであり、主記憶装置として機能する。
HDD204は、例えば、ハードディスクドライブ装置であり、不揮発性の記録装置としてコンピュータプログラムやその他のデータファイルを格納する。
ネットワークIF206は、有線又は無線で通信するためのインタフェースである。
表示装置208は、例えば、液晶ディスプレイである。
入力装置210は、例えば、キーボード及びマウスである。
なお、配信装置4がサーバ装置である場合には、
図2と同様の構成を採る。
【0018】
図3は、配信制御装置2の機能構成を例示する図である。
図3に例示するように、本例の配信制御装置2には、配信制御プログラム3がインストールされている。
配信制御プログラム3は、受信生成部300、データ送信部310、および設定部320を有する。
なお、配信制御プログラム3の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。また、配信制御プログラム3は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して配信制御装置2にインストールされる。
【0019】
配信制御プログラム3において、受信生成部300は、防災無線を受信して、受信した音声を出力するための音声データを生成する。本例の受信生成部300は、防災無線受信機20から受信した防災無線の音声信号に基づいて、防災無線の音声データを生成する。
また、受信生成部300は、防災無線受信機20で受信した防災無線に関して、音声の間隔を詰める処理を行い、間隔が詰められた音声の音声データを生成する。防災無線では、音の反響を考慮して音の間隔を長くして放送しているが、再配信においてはユーザ端末9上で音声出力されるため、音の反響を考慮する必要がない。
【0020】
データ送信部310は、受信生成部300により生成された音声データを配信装置4に送信する。本例のデータ送信部310は、受信生成部300により生成された音声データを、インターネット7を介して配信装置4に送信する。
設定部320は、配信装置4による再配信に関する設定を行う。例えば、設定部320は、管理者の操作に応じて、配信装置4による再配信に関して、ストリーミング配信の繰り返し回数や、アーカイブして再配信する期間等を設定する。
【0021】
図4は、配信装置4の機能構成を例示する図である。
図4に例示するように、本例の配信装置4には、配信プログラム5がインストールされ、防災無線データベース570(防災無線DB570)が構築されている。
配信プログラム5は、配信部500、アーカイブ部510、リスト提供部520、表示制御部530、ファイル提供部540、および編集部550を有する。
なお、配信プログラム5の一部又は全部は、ASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。また、配信プログラム5は、例えば、CD-ROMなどの記録媒体に格納されており、この記録媒体を介して配信装置5にインストールされる。
【0022】
配信プログラム5において、配信部500は、データ送信部310から受信した音声データを、既定の期間、繰り返してストリーミング配信する。より具体的には、配信部500は、データ送信部300から音声データを受信した時を起点として、防災無線の音声データが既定回数だけ繰り返して配信するまでの期間、ユーザ端末9に対してストリーミング配信を行い、この期間終了後に、ストリーミング配信を停止する。すなわち、配信部500は、データ送信部300から音声データを受信したタイミングに応じて、防災無線のリアルタイム配信処理を開始し、防災無線を既定回数繰り返して配信した後でストリーミング配信を完了する。
【0023】
アーカイブ部510は、配信部500により配信された音声データのデータファイルを記録領域(防災無線DB570)にアーカイブする。すなわち、アーカイブ部510は、配信部500によるストリーミング配信後のアーカイブ配信に備えて、ストリーミング配信された音声データのデータファイルを防災無線DB570に登録する。
【0024】
また、配信部500は、ある防災無線の音声データをストリーミング配信している間に、データ送信部300から他の防災無線の音声データを受信した場合に、他の防災無線の音声データに関するストリーミング配信に切り替え、アーカイブ部510は、ストリーミング配信が中断された防災無線の音声データのデータファイルを記録領域(防災無線DB570)にアーカイブする。すなわち、配信制御装置2は、別の防災無線の音声データを配信装置4に送信することにより、防災無線の割り込み又は切り替えを指示し、これに応じて、配信部500は、現在の防災無線のストリーミング配信を中止して、別の防災無線のストリーミング配信を開始し、アーカイブ部510は、ストリーミング配信が中断された防災無線の音声データのデータファイルを防災無線DB570に登録して、中断された防災無線をアーカイブ配信に切り替える。
【0025】
リスト提供部520は、ユーザ端末9からのウェブアクセスに応じて、アーカイブ部510によりアーカイブされた音声ファイルのリストを提供する。より具体的には、リスト提供部520は、防災無線の音声ファイル(アーカイブ部510に登録された音声ファイル)のリストを、各音声ファイルに対応する防災無線の受信時に関連付けて表示制御部530に表示させる。
【0026】
表示制御部530は、ユーザ端末9からのウェブアクセスに応じて、ユーザ端末9のブラウザ上の表示を制御する。本例の表示制御部530は、
図8に例示する防災無線再配信サービスの表示画面をユーザ端末9に表示させる。
【0027】
ファイル提供部540は、リスト提供部520により提供されたリストのうち、ユーザ端末9により選択された音声ファイルを提供する。すなわち、ファイル提供部540は、アーカイブ部510によりアーカイブとして防災無線DB570に登録された音声ファイルのうち、ユーザ端末9により選択された音声ファイルを提供する。
【0028】
編集部550は、管理者端末8からの指示に応じて、防災無線DB570に登録された音声ファイルに関連付けて表示する情報(編集情報)を編集する。編集情報は、例えば、文字列であり、災害の発生地域や災害規模、避難が必要な地域などを示す情報である。
また、編集部550は、管理者端末8からの指示に応じて、防災無線DB570に登録されている音声ファイルのうち、管理者により指定された音声ファイルを削除して、この音声ファイルのアーカイブ配信を終了する。なお、編集部550は、管理者端末8からの指示に応じてアーカイブ配信期間を設定し、防災無線DB570に登録されている音声ファイルの中から、アーカイブ配信期間を経過した音声ファイルを自動的に削除してもよい。
【0029】
図5は、防災無線DB570に登録される情報を例示する図である。
図5に例示するように、防災無線DB570には、防災無線の音声ファイル(すなわち、配信制御装置2から受信した音声ファイル)を識別するためのファイルID、この音声ファイルを配信制御装置2から受信した受信日時(すなわち、防災無線を受信した日時)、この音声ファイルに関して入力された編集情報、および、この音声ファイルの配信ステータスが互いに関連付けて登録される、音声ファイルの配信ステータスとは、各音声ファイルがストリーミング配信の対象であるかアーカイブファイルの対象であるかを示す情報である。配信部500によりストリーミング配信されている音声ファイルは、「ストリーミング配信」のステータスとなり、ストリーミング配信を終了してアーカイブ部510によりアーカイブされた音声ファイルは、「アーカイブ配信」のステータスとなる。
【0030】
図6は、防災無線配信システム1における配信制御処理(S10)を説明するフローチャートである。
図6に示すように、ステップ100(S100)において、配信制御装置2の受信生成部300(
図3)は、防災無線受信機20から防災無線の音声信号を受信するまで待機し(S100:No)、防災無線受信機20から防災無線の音声信号を受信すると、音声データの生成を開始して、S105の処理に移行する。
【0031】
ステップ105(S105)において、受信生成部300は、防災無線受信機20から受信した防災無線の音声信号に基づいて、防災無線の音声を出力するための音声データを生成する。
ステップ110(S110)において、受信生成部300は、防災無線の音声の間隔を詰める処理を行う。なお、本例では、音声データを生成した後で音声の間隔を詰めているが、音声信号の段階で、音声の間隔を詰めた後で音声データを生成してもよい。
【0032】
ステップ115(S115)において、データ送信部310は、受信生成部300により生成された防災無線の音声データを配信装置4に送信することにより、防災無線のストリーミング配信の開始を指示する。
【0033】
図7は、防災無線配信システム1における配信処理(S20)を説明するフローチャートである。
図7に示すように、ステップ200(S200)において、気象情報取得部320は、インターネット7を介して、ウェブサイトで発表される気象警戒情報を定期的に取得する。
ステップ205(S205)において、配信装置4(配信プログラム5)は、配信制御装置2から防災無線の音声ファイルを受信するまで待機し(S200:No)、配信制御装置2から防災無線の音声ファイルを受信すると、S205の処理に移行する(S200:Yes)。
【0034】
ステップ205(S205)において、アーカイブ部510は、配信制御装置2から受信した防災無線の音声ファイルを防災無線DB570に登録する。なお、登録された音声ファイルの配信ステータスは、配信部500によるストリーミング配信が終了するまで、「ストリーミング配信」となる。
ステップ210(S210)において、配信部500は、配信制御装置2から受信した防災無線の音声ファイルのストリーミング配信を開始する。ストリーミング配信は。同一の音声ファイルを既定回数繰り返して行われる。
【0035】
ステップ215(S215)において、配信プログラム5は、定期的に、配信制御装置2から別の防災無線の音声ファイルが送信されているか否かを判断し、別の防災無線のお音声ファイルが送信された場合には(S215:Yes)、ストリーミング配信に対する割り込みがあったものと判断して、S220の処理に移行し、別の防災無線のお音声ファイルが送信されていない場合には(S215:No)、現在のストリーミング配信を継続して、S225の処理に移行する。
【0036】
ステップ220(S220)において、配信部500は、ストリーミング配信中の音声ファイルの配信ステータスを「アーカイブ配信」に変更し、新たに受信した音声ファイルの配信ステータスを「ストリーミング配信」とする。
これにより、ストリーミング配信の対象が、より新しい防災無線の音声に変更され、ストリーミング配信が中断された防災無線はアーカイブ配信の対象となる。
【0037】
ステップ225(S225)において、配信部500は、ストリーミング配信が既定回数繰り返されたか否かを判断し、既定回数のストリーミング配信が完了した場合に、S230に処理に移行し、既定回数のストリーミング配信が完了していない場合に、S210の処理に戻り、ストリーミング配信を継続する。
ステップ230(S230)において、配信部500は、既定回数のストリーミング配信が完了した音声ファイルの配信ステータスを「アーカイブ配信」に変更する。これにより、ストリーミング配信が完了した音声ファイルは、アーカイブ配信の対象となり、ユーザ端末9からの要求に応じて、ファイル提供部540がオンデマンド配信することになる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態における防災無線配信システム1によれば、防災無線の放送直後から、自動的に防災無線を既定回数ストリーミング配信し、その後、アーカイブ配信に移行して、オンデマンドで防災無線を再配信することができる。
また、防災無線配信システム1によれば、音声ファイルの生成及び配信制御を行う配信制御装置2と、生成された音声ファイルを配信する配信装置4とに役割分担させることにより、配信制御装置2の処理負荷増大を抑制することができる。特に、配信制御装置2が地方自治体等の直接管理下にある場合などに好適である。さらには、大規模災害で配信処理の負荷が増大した場合でもあっても、配信装置4のスケーラビリティによって対応可能となる。
【0039】
次に、上記実施形態の変形例を説明する。変形例の防災無線配信システム1では、配信装置4の役割の一部を、配信制御装置2に移動させた形態を説明する。
図9は、変形例における配信制御プログラム32の機能構成を例示する図である。
図9に例示するように、変形例の配信制御プログラム32は、
図3の配信制御プログラム3に、アーカイブファイル生成部330を追加した構成をとる。
配信制御プログラム32において、アーカイブファイル生成部330は、受信生成部300により生成された音声データに基づいて、アーカイブ用の音声ファイルを生成する。例えば、アーカイブファイル生成部330は、受信生成部300により生成された音声データを、再生速度を上げた音声データに変換し、再生速度が変更されたアーカイブ用の音声ファイルを生成する。また、アーカイブファイル生成部330は、受信生成部300により生成された音声データのピッチを変更してもよい。すなわち、上記実施形態では、音声の間隔を詰めたが、変形例では、音声の再生速度を上げ、音声のピッチを下げることにより、防災無線を聞きやすいものにしている。
変形例のデータ送信部310は、配信装置4に対して、受信生成部300により生成されたストリーミング配信用の音声データを既定の期間だけ繰り返し送信すると共に、アーカイブファイル生成部330により生成されたアーカイブ用の音声ファイルを送信する。
【0040】
図10は、変形例における配信制御処理(S30)を説明するフローチャートである。
図10に示すように、ステップ300(S300)において、配信制御装置2の配信制御プログラム32(
図9)は、防災無線受信機20から防災無線の音声信号を受信している場合(S300:Yes)に、S305の処理に移行し、防災無線受信機20から防災無線の音声信号を受信していない場合(S300:No)に、S335の処理に移行する。
【0041】
ステップ305(S305)において、配信制御プログラム32は、リピート配信中の録音データの有無を判定し、リピート配信中の録音データが存在する場合に、S310の処理に移行し、リピート配信中の録音データが存在しない場合に、S320の処理に移行する。すなわち、配信制御プログラム32は、リピート配信中に、新たな防災無線を受信すると、S310の処理に移行する。
【0042】
ステップ310(S310)において、アーカイブファイル生成部330は、リピート配信中の録音データを、アーカイブ用の音声ファイルに変換し、変換処理完了後に、録音データを削除する。
ステップ315(S315)において、データ送信部310は,アーカイブファイル生成部330により生成されたアーカイブ用音声ファイルを配信装置4に送信して、アーカイブ用音声ファイルの登録を指示する。配信装置4のアーカイブ部510(
図4)は、これに応じて、受信したアーカイブ用音声ファイルを防災無線DB570にアーカイブ配信用のファイルとして登録する。
【0043】
ステップ320(S320)において、受信生成部300は、防災無線受信機20から受信した防災無線の音声信号に基づいて、防災無線の音声を出力するための音声データを生成する。
ステップ325(S325)において、受信生成部300は、生成した音声データをストリーミング配信用の録音データとする。
ステップ330(S330)において、データ送信部310は、受信生成部300により生成された録音データを配信装置4に送信する。配信装置4の配信部500は、録音データを受信すると、受信した録音データをそのままストリーミング配信する。つまり、本変形例では、配信装置4は、受信した録音データをそのままストリーミング配信を行い、ストリーミング配信のトリガーは、配信制御装置2による録音データの送信である。
【0044】
ステップ335(S335)において、配信制御プログラム32は、リピート配信中の録音データの有無を判定し、リピート配信中の録音データが存在する場合に、S340の処理に移行し、リピート配信中の録音データが存在しない場合に、S300の処理に戻る。
ステップ340(S340)において、データ送信部310は、録音データの最初の送信から既定期間が経過したか否かを判断し、既定期間内である場合に、S345の処理に移行し、既定期間経過後である場合に、S350の処理に移行する。
【0045】
ステップ345(S345)において、データ送信部310は、録音データを繰り返して配信装置4に送信する。配信装置4の配信部500は、受信した録音データをそのままストリーミング配信(リピート配信)する。
ステップ350(S350)において、アーカイブファイル生成部330は、リピート配信した録音データを、アーカイブ用の音声ファイルに変換し、変換処理完了後に、録音データを削除する。
ステップ355(S355)において、データ送信部310は,アーカイブファイル生成部330により生成されたアーカイブ用音声ファイルを配信装置4に送信して、アーカイブ用音声ファイルの登録を指示する。配信装置4のアーカイブ部510(
図4)は、これに応じて、受信したアーカイブ用音声ファイルを防災無線DB570にアーカイブ配信用のファイルとして登録する。
【0046】
なお、上記変形例では、配信制御装置2(アーカイブファイル生成部330)が音声ファイルの再生速度を変更しているが、これに限定されるものではなく、配信装置4が音声ファイルの再生速度を変更してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…現場情報管理システム
2…配信制御装置
4…配信装置