IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サーパス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-チューブポンプ 図1
  • 特開-チューブポンプ 図2
  • 特開-チューブポンプ 図3
  • 特開-チューブポンプ 図4
  • 特開-チューブポンプ 図5
  • 特開-チューブポンプ 図6
  • 特開-チューブポンプ 図7
  • 特開-チューブポンプ 図8
  • 特開-チューブポンプ 図9
  • 特開-チューブポンプ 図10
  • 特開-チューブポンプ 図11
  • 特開-チューブポンプ 図12
  • 特開-チューブポンプ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110137
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】チューブポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 5/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
F04C5/00 341C
F04C5/00 341N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014527
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591257111
【氏名又は名称】サーパス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今井 弘
(57)【要約】
【課題】チューブを一対のローラ部により押し潰すことが可能な位置に確実に配置する。
【解決手段】一対のローラ部を収容するとともにチューブ200が配置される収容部82と、一対のローラ部のそれぞれを回転させる一対の駆動部と、を備え、ローラの外周面は、第1ギアが形成された第1ギア領域と、チューブ200に接触する第1チューブ領域と、ローラ軸回りに溝部が形成された溝領域と、を有し、収容部82の内周面82aは、第2ギア82a1が形成された第2ギア領域A31と、チューブ200を挟んで閉塞させる第2チューブ領域A32と、軸線回りに凸部82a2が形成された凸領域A33と、を有し、一対のローラ部は、溝部に凸部82a2を収容した状態で軸線回りに回転し、凸部82a2の先端部82a3は、第2ギア82a1よりも軸線に向けて突出した位置に配置されているチューブポンプを提供する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するチューブに接触した状態で軸線回りに回転する一対のローラ部と、
一対の前記ローラ部を収容するとともに前記軸線に沿った軸線方向の一端側に向けて開口し、可撓性を有する前記チューブが配置される収容部と、
一対の前記ローラ部のそれぞれを前記軸線回りに同一方向に回転させる一対の駆動部と、を備え、
前記ローラ部は、ローラ軸回りに回転するローラを有し、
前記ローラの外周面は、第1ギアが形成された第1ギア領域と、前記チューブに接触する第1チューブ領域と、前記第1ギア領域と前記第1チューブ領域との間で前記ローラ軸回りに溝部が形成された溝領域と、を有し、
前記収容部は、前記軸線回りに円弧状に形成される内周面を有し、
前記収容部の前記内周面は、前記第1ギアと係合する第2ギアが形成された第2ギア領域と、前記第1チューブ領域との間に前記チューブを挟んで閉塞させる第2チューブ領域と、前記軸線方向の前記第2ギア領域と前記第2チューブ領域との間に前記軸線回りに凸部が形成された凸領域と、を有し、
一対の前記ローラ部は、前記溝部に前記凸部を収容した状態で前記軸線回りに回転し、
前記凸部の先端部は、前記第2ギアよりも前記軸線に向けて突出した位置に配置されているチューブポンプ。
【請求項2】
前記凸部の前記先端部の前記第2ギアからの突出長さは、前記第2ギアの歯丈の2倍以上である請求項1に記載のチューブポンプ。
【請求項3】
前記一対のローラ部を覆い、かつ前記チューブを前記内周面に向けて挿入可能な円環状の開口領域を設けるように前記収容部に配置されるカバー部材を備える請求項1または請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項4】
前記一対の駆動部のそれぞれを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記チューブ内の流体の吐出を行うよう一対の前記ローラ部を同一方向に回転させる第1制御モードと、一対の前記ローラ部が前記チューブと接触しないように一対の前記ローラ部それぞれの回転角度を固定する第2制御モードとを実行可能である請求項1または請求項2に記載のチューブポンプ。
【請求項5】
前記凸部は、前記軸線回りの非形成領域を除く他の領域に形成されており、
前記非形成領域は、前記第2制御モードで一対の前記ローラ部により挟まれ、かつ前記チューブが配置されない領域である請求項4に記載のチューブポンプ。
【請求項6】
前記第2制御モードにおいて、前記凸部の前記軸線回りの周方向の両端部は、一対の前記ローラ部のそれぞれの前記溝部に収容される請求項5に記載のチューブポンプ。
【請求項7】
前記収容部を覆う閉状態と前記収容部から離間した開状態とを切り替え可能な蓋部と、
前記蓋部の開閉状態を検知する検知部と、
前記一対の駆動部のそれぞれを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記蓋部が前記開状態であることを前記検知部が検知した場合に前記一対の駆動部を停止させるよう制御する請求項1または請求項2に記載のチューブポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性を有するチューブを複数のローラによって間欠的に押し潰すことによってチューブ内の液体を圧送するチューブポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるチューブポンプは、チューブと接触しながら軸線回りに回転する第1ローラ部と第2ローラ部の双方が、それぞれ独立して軸線回りに回転可能な構造となっている。
【0003】
そして、第1ローラ部と第2ローラ部の双方が軸線回りに回転している際には、操作者が第1ローラ部と第2ローラ部の近傍を誤って手で触れてしまうと、第1ローラ部と第2ローラ部との間に操作者の指が挟まれてしまう可能性がある。一方、操作者が第1ローラ部と第2ローラ部の近傍に手を触れられないように覆ってしまうと、チューブの交換を容易に行うことができなくなってしまう。
【0004】
特許文献1のチューブポンプでは、カバー部材が、チューブを内周面に向けて挿入可能な円環状の開口領域を設けるようにチューブが配置される収容部に配置されている。そのため、一対のローラ部の間に操作者の指が挟まれることが防止される。また、開口領域からチューブを収容部の内周面に向けて挿入可能であるため、操作者がチューブの交換を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-121738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のチューブポンプにおいて、収容部の内周面と一対のローラ部の外周面のそれぞれに互いに係合するギアを設けることにより、一対のローラ部の軸線回りの位置ずれを少なくして一対のローラ部の位置決め精度を高めることができる。収容部の内周面には、ギアが形成されるギア領域と、チューブが一対のローラ部により押し当てられるチューブ領域とがそれぞれ形成される。
【0007】
しかしながら、チューブポンプに取り付けられるチューブが部分的に捻じれているなどチューブに変形が生じている場合、チューブポンプに取り付けられたチューブがチューブ領域ではなくギア領域に配置されてしまう可能性がある。チューブがギア領域に配置されてしまうと、一対のローラ部によりチューブを適切に押し潰すことができない。そのため、チューブがギア領域に配置される場合は、チューブポンプからチューブを取り外し、チューブの変形を元に戻す作業を行う必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、チューブポンプに取り付けられるチューブが部分的に捻じれているなどチューブに変形が生じている場合であっても、チューブを一対のローラ部により押し潰すことが可能な位置に確実に配置することが可能なチューブポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかるチューブポンプは、可撓性を有するチューブに接触した状態で軸線回りに回転する一対のローラ部と、一対の前記ローラ部を収容するとともに前記軸線に沿った軸線方向の一端側に向けて開口し、可撓性を有するチューブが配置される収容部と、一対の前記ローラ部のそれぞれを前記軸線回りに同一方向に回転させる一対の駆動部と、を備え、前記ローラ部は、ローラ軸回りに回転するローラを有し、前記ローラの外周面は、第1ギアが形成された第1ギア領域と、前記チューブに接触する第1チューブ領域と、前記軸線方向の前記第1ギア領域と前記第1チューブ領域との間に前記ローラ軸回りに溝部が形成された溝領域と、を有し、前記収容部は、前記軸線回りに円弧状に形成される内周面を有し、前記収容部の前記内周面は、前記第1ギアと係合する第2ギアが形成された第2ギア領域と、前記第1チューブ領域との間に前記チューブを挟んで閉塞させる第2チューブ領域と、前記軸線方向の前記第2ギア領域と前記第2チューブ領域との間に前記軸線回りに凸部が形成された凸領域と、を有し、一対の前記ローラ部は、前記溝部に前記凸部を収容した状態で前記軸線回りに回転し、前記凸部の先端部は、前記第2ギアよりも前記軸線に向けて突出した位置に配置されている。
【0010】
本発明の一態様にかかるチューブポンプによれば、ローラの第1ギア領域に形成された第1ギアと収容部の第2ギア領域に形成された第2ギアとが係合した状態で、一対のローラ部が軸線回りに回転する。第1ギアと第2ギアとを係合させることにより、一対のローラ部が軸線回りに回転する際にローラ部の回転方向の逆方向に向けてローラをローラ軸回りに回転させることができる。これにより、チューブに接触したローラがチューブをローラ部の回転方向に押し出してチューブが変形する不具合を防止することができる。また、ローラの第1チューブ領域と収容部の第2チューブ領域との間にチューブを挟んで閉塞させることにより、チューブ内の液体を一対のローラ部の軸線回りの回転方向に向けて搬送することができる。
【0011】
また、本発明の一態様にかかるチューブポンプによれば、収容部の第2ギア領域と第2チューブ領域との間の凸領域に凸部が形成されており、凸部の先端部が第2ギアよりも軸線に向けて突出した位置に配置されている。そのため、チューブポンプに取り付けられるチューブが部分的に捻じれているなどチューブに変形が生じている場合に、収容部に挿入されたチューブが第2チューブ領域から第2ギア領域に向けて移動しようとしても、その移動が凸部により阻止される。よって、チューブポンプに取り付けられるチューブが部分的に捻じれているなどチューブに変形が生じている場合であっても、チューブを一対のローラ部により押し潰すことが可能な位置に確実に配置することができる。
【0012】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記凸部の前記先端部の前記第2ギア領域からの突出長さは、前記第2ギアの歯丈の2倍以上である構成が好ましい。
本構成のチューブポンプによれば、収容部に挿入されたチューブが第2チューブ領域から第2ギア領域に向けて移動することをより確実に阻止することができる。
【0013】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいては、前記一対のローラ部を覆い、かつ前記チューブを前記内周面に向けて挿入可能な円環状の開口領域を設けるように前記収容部に配置されるカバー部材を備える構成が好ましい。
本構成のチューブポンプによれば、カバー部材が、チューブを内周面に向けて挿入可能な円環状の開口領域を設けるように収容部に配置される。そのため、一対のローラ部の間に操作者の指が挟まれることが防止される。また、開口領域からチューブを収容部の内周面に向けて挿入可能であるため、操作者がチューブの交換を容易に行うことができる。
【0014】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいては、前記一対の駆動部のそれぞれを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記チューブ内の流体の吐出を行うよう一対の前記ローラ部を同一方向に回転させる第1制御モードと、一対の前記ローラ部が前記チューブと接触しないように一対の前記ローラ部それぞれの回転角度を固定する第2制御モードとを実行可能である構成が好ましい。
本構成のチューブポンプによれば、制御部が第2制御モードを実行することにより、一対のローラ部の双方がチューブと接触しない退避位置に配置されるため、使用中のチューブと他のチューブとの交換を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記凸部は、前記軸線回りの非形成領域を除く他の領域に形成されており、前記非形成領域は、前記第2制御モードで一対の前記ローラ部により挟まれ、かつ前記チューブが配置されない領域である構成が好ましい。
本構成のチューブポンプによれば、凸部が形成されない非形成領域が、第2制御モードで回転角度が固定される一対のローラ部により挟まれ、かつチューブが配置されない領域である。チューブが配置される領域には凸部が形成されるため、第2制御モードにおいて、収容部に挿入されたチューブが第2チューブ領域から第2ギア領域に向けて移動することを適切に阻止することができる。
【0016】
上記構成のチューブポンプにおいては、前記第2制御モードにおいて、前記凸部の前記軸線回りの周方向の両端部は、一対の前記ローラ部のそれぞれの前記溝部に収容される態様とするのが好ましい。
本態様のチューブポンプによれば、凸部の軸線回りの周方向の両端部が一対のローラ部のそれぞれの溝部に収容されるため、チューブが非形成領域から第2ギア領域に向けて移動することを一対のローラ部により確実に阻止することができる。
【0017】
本発明の一態様にかかるチューブポンプにおいて、前記収容部を覆う閉状態と前記収容部から離間した開状態とを切り替え可能な蓋部と、前記蓋部の開閉状態を検知する検知部と、前記一対の駆動部のそれぞれを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蓋部が前記開状態であることを前記検知部が検知した場合に前記一対の駆動部を停止させるよう制御する構成とするのが好ましい。
【0018】
本構成のチューブポンプによれば、閉状態において蓋部が収容部を覆うため、操作者が一対のローラ部の近傍を誤って手で触れてしまうことや、それにより指が挟まれる不具合を確実に防止することができる。また、蓋部が開状態であることを検知部が検知した場合に一対の駆動部が停止するため、操作者が一対のローラ部の近傍を触れることができる状態で一対のローラ部が軸線回りに回転することがない。これにより、操作者の指が一対のローラ部に挟まれることを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、チューブポンプに取り付けられるチューブが部分的に捻じれているなどチューブに変形が生じている場合であっても、チューブを一対のローラ部により押し潰すことが可能な位置に確実に配置することが可能なチューブポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】吐出制御モードにおけるチューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図2】チューブ交換モードにおけるチューブポンプの一実施形態を示す平面図である。
図3】チューブポンプの制御構成を示すブロック図である。
図4図1に示すチューブポンプのA-A矢視縦断面図である。
図5図4に示すチューブポンプのC部分の部分拡大図である。
図6図5に示す第1ローラ部の断面図である。
図7図4に示すチューブポンプのD部分の部分拡大図である。
図8図7に示す第2ローラ部の断面図である。
図9図2に示すチューブポンプのB-B矢視断面図であり、閉状態の蓋部を示す。
図10図9に示すチューブポンプのE部分の部分拡大図である。
図11図9に示すチューブポンプのF-F矢視断面図である。
図12図2に示すチューブポンプのB-B矢視断面図であり、開状態の蓋部を示す。
図13】比較例のチューブポンプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態のチューブポンプ(蠕動ポンプ;peristaltic pump)100について図面を参照して説明する。図1は、チューブポンプ100の一実施形態を示す平面図である。図2は、チューブ交換モードにおけるチューブポンプの一実施形態を示す平面図である。図1および図2では、図4等に示すカバー部材84及び蓋部85の図示を省略している。
【0022】
図1に示す本実施形態のチューブポンプ100は、軸線X1(第1軸線)回りに第1ローラ部10と第2ローラ部20とを同一方向に回転させることにより、流入側200aから流入するチューブ200内の流体を流出側200bへ吐出させる装置である。チューブ200は、可撓性を有する樹脂材料(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC))により形成されている。
【0023】
図1の平面図に示すように、チューブポンプ100には、第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する収容部82の内周面82aに沿って、軸線X1回りに円弧状にチューブ200が配置される。内周面82aは、軸線X1回りに円弧状に形成されるとともにチューブ200が配置される面である。収容部82は、軸線X1に沿った軸線方向の一端側に向けて開口するとともに第1ローラ部10および第2ローラ部20を収容する凹所82bを有する。
【0024】
図1に示すように、収容部82に収容される第1ローラ部10および第2ローラ部20は、チューブ200に接触しながら反時計回りの回転方向(図1中に矢印で示す方向)に沿って軸線X1回りに回転する。
【0025】
図3は、チューブポンプ100の制御構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、第1ローラ部10を軸線X1回りの回転方向RDに回転させる第1駆動部50と、第2ローラ部20を軸線X1回りの回転方向RDに回転させる第2駆動部60と、第1駆動部50および第2駆動部60を制御する制御部95と、操作者によるチューブポンプ100に対する操作指示を入力する入力部96と、を備える。第1駆動部50および第2駆動部60は、第1ローラ部10および第2ローラ部20のそれぞれを軸線X1回りに回転方向RDに沿って同一方向に回転させる。
【0026】
また、チューブポンプ100は、後述する蓋部85が開状態であるか閉状態であるかを検知する開閉検知センサ86を備える。制御部95は、蓋部85が開状態であることを開閉検知センサ86が検知し、開閉検知センサ86から開状態を示す信号が伝達された場合に、第1駆動部50および第2駆動部60を停止させるよう制御する。
【0027】
図4は、図1に示すチューブポンプ100のA-A矢視縦断面図である。図4に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、チューブ200を閉塞した状態で軸線X1回りに回転する第1ローラ部10および第2ローラ部20と、第1ローラ部10に連結される駆動筒30と、軸線X1上に配置されるとともに第2ローラ部20に連結される駆動軸40と、を備える。第1駆動部50は、電動モータ(図示略;例えば、パルスモータ)の駆動力を駆動筒30に伝達し、駆動筒30を軸線X1回りに回転させる。第2駆動部60は、電動モータ(図示略;例えば、パルスモータ)の駆動力を駆動軸40に伝達し、駆動軸40を軸線X1回りに回転させる。
【0028】
駆動筒30は、内周面に沿って挿入された円筒状の軸受部材41により、駆動軸40の外周側に軸線X1回りに回転可能に支持されている。駆動筒30の先端側には、第1ローラ部10の第1ローラ支持部材12が軸線X1回りに一体に回転するように連結されている。第1駆動部50が駆動筒30を軸線X1回りに回転させる駆動力は、第1ローラ支持部材12を介して第1ローラ部10に伝達される。
【0029】
駆動軸40は、外周面に沿って挿入された円筒状の軸受部材41により、駆動筒30の内周側に軸線X1回りに回転可能に支持されている。駆動軸40は、中心軸を軸線X1上に保持した状態で軸線X1回りに円滑に回転する。駆動軸40の先端側には、第2ローラ部20の第2ローラ支持部材22が軸線X1回りに一体に回転するように連結されている。第2駆動部60が駆動軸40を軸線X1回りに回転させる駆動力は、第2ローラ支持部材22を介して第2ローラ部20に伝達される。
【0030】
図5は、図4に示すチューブポンプ100のC部分の部分拡大図である。図4および図5に示すように、第1ローラ部10は、チューブ200と接触しながら軸線X1と平行なローラ軸Y1回りに回転する第1ローラ11と、軸線X1回りに一体に回転するように駆動筒30に連結された第1ローラ支持部材12と、両端部が第1ローラ支持部材12に支持されるとともに第1ローラ11を回転可能に取り付ける第1ローラ軸13と、一対のボール軸受14と、を有する。ボール軸受14は、第1ローラ軸13に対して第1ローラ11をローラ軸Y1回りに回転可能に支持する。
【0031】
第1駆動部50は、第1ローラ部10を軸線X1回りに反時計回りの回転方向RDに回転させる。第1ローラ支持部材12は、第1駆動部50に連結されるとともに第1ローラ11を支持しながら軸線X1回りに反時計回りに回転する。
【0032】
図6は、図5に示す第1ローラ部10の断面図である。図5および図6に示すように、第1ローラ11のローラ軸Y1回りの外周面は、第1ギア11aが形成された第1ギア領域A11と、チューブ200に接触する第1チューブ領域A12と、ローラ軸Y1回りの全周に溝部11bが形成された溝領域A13と、を有する。溝領域A13は、ローラ軸Y1に沿った方向において第1ギア領域A11と第1チューブ領域A12との間に挟まれた領域である。
【0033】
図7は、図4に示すチューブポンプ100のD部分の部分拡大図である。図4および図7に示すように、第2ローラ部20は、チューブ200と接触しながら軸線X1と平行なローラ軸Y2回りに回転する第2ローラ21と、軸線X1回りに一体に回転するように駆動軸40に連結された第2ローラ支持部材22と、両端部が第2ローラ支持部材22に支持されるとともに第2ローラ21を回転可能に取り付ける第2ローラ軸23と、一対のボール軸受24と、を有する。ボール軸受24は、第2ローラ軸23に対して第2ローラ21をローラ軸Y2回りに回転可能に支持する。
【0034】
第2駆動部60は、第2ローラ部20を軸線X1回りに反時計回りの回転方向RDに回転させる。第2ローラ支持部材22は、第2駆動部60に連結されるとともに第2ローラ21を支持しながら軸線X1回りに反時計回りに回転する。
【0035】
図8は、図7に示す第2ローラ部20の断面図である。図7および図8に示すように、第2ローラ21のローラ軸Y2回りの外周面は、第1ギア21aが形成された第1ギア領域A21と、チューブ200に接触する第1チューブ領域A22と、ローラ軸Y2回りの全周に溝部21bが形成された溝領域A23と、を有する。溝領域A23は、ローラ軸Y2に沿った方向において第1ギア領域A21と第1チューブ領域A22との間に挟まれた領域である。
【0036】
第1駆動部50および第2駆動部60は、図4に示すケーシング80(収容部材)の内部に収容されている。ケーシング80の端部には、第1ローラ部10と第2ローラ部20とを収容するための収容部82が取り付けられている。チューブ200は、収容部82の内周面82aに沿って配置される。
【0037】
図9は、図2に示すチューブポンプ100のB-B矢視断面図であり、閉状態の蓋部85を示す。図10は、図9に示すチューブポンプ100のE部分の部分拡大図である。図9および図10に示すように、収容部82の内周面82aは、第1ギア11aおよび第1ギア21aと係合する第2ギア82a1が形成された第2ギア領域A31と、第1チューブ領域A12および第1チューブ領域A22との間にチューブ200を挟んで閉塞させる第2チューブ領域A32と、軸線X1回りの一部に凸部82a2が形成された凸領域A33と、を有する。凸領域A33は、軸線X1に沿った方向において第2ギア領域A31と第2チューブ領域A32との間に挟まれた領域である。
【0038】
図9および図10に示すように、軸線X1に直交する径方向RADにおいて、凸部82a2の先端部82a3は、第2ギア82a1よりも軸線X1に向けて突出した位置に配置されている。径方向RADにおける凸部82a2の先端部82a3の第2ギア82a1からの突出長さL1は、第2ギア82a1の歯丈L2よりも長い。突出長さL1は、歯丈L2の2倍以上かつ3倍以下とするのが好ましい。また、収容部82の第2チューブ領域A32の内周面82aから凸部82a2の先端部82a3までの径方向RADの距離L3は、チューブ200の外径D1の1.5倍以上かつ2倍以下とするのが好ましい。
【0039】
図11は、図9に示すチューブポンプ100のF-F矢視断面図である。図11に示すように、収容部82の内周面82aには、軸線X1回りの全周に第2ギア82a1が形成されている。第1ローラ部10の第1ギア11aを第2ギア82a1に係合させることにより、第1ローラ部10を軸線X1回りに回転させる際の第1ローラ部10の位置ずれを少なくすることができる。同様に、第2ローラ部20の第1ギア21aを第2ギア82a1に係合させることにより、第2ローラ部20を軸線X1回りに回転させる際の第2ローラ部20の位置ずれを少なくすることができる。
【0040】
図12は、図2に示すチューブポンプ100のB-B矢視断面図であり、開状態の蓋部85を示す。図12に示すように、本実施形態のチューブポンプ100の収容部82にチューブ200を取り付ける場合、操作者は、カバー部材84から離間した位置(点線で示す位置)にチューブ200を保持し、チューブ200を開口領域OAから収容部82の凹所82bへ挿入する。
【0041】
本実施形態のチューブポンプ100は、内周面82aに凸部82a2が形成されている。そのため、チューブポンプ100に取り付けられるチューブ200が部分的に捻じれているなどチューブ200に変形が生じている場合に、収容部82の凹所82bに挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動しようとしても、その移動が凸部82a2により阻止される。
【0042】
図13は、比較例のチューブポンプ100Aを示す断面図である。比較例のチューブポンプ100Aは、内周面82aに凸部82a2が形成されていない点で、本実施形態のチューブポンプ100と異なる。図13に示すように、比較例のチューブポンプ100Aの収容部82にチューブ200を取り付ける場合、操作者は、カバー部材84から離間した位置(点線で示す位置)にチューブ200を保持し、チューブ200を開口領域OAから収容部82の凹所82bへ挿入する。
【0043】
比較例のチューブポンプ100Aは、内周面82aに凸部82a2が形成されていない。そのため、チューブポンプ100Aに取り付けられるチューブ200が部分的に捻じれているなどチューブ200に変形が生じている場合に、収容部82の凹所82bに挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動してしまう可能性がある。
【0044】
図13に点線で示すように、収容部82の凹所82bに挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動すると、チューブ200がカバー部材84から遠ざかった位置に配置されてしまう。この場合、開口領域OAから操作者の指を第2ギア領域A31まで挿入できないため、カバー部材84を取り外し、チューブ200のチューブポンプ100Aへの取り付けをやり直す必要がある。
【0045】
図1および図2に示すように、収容部82の内周面82aに形成される凸部82a2は、軸線X1回りの非形成領域ANを除く他の領域に形成されている。図2に示すように、非形成領域ANは、後述するチューブ交換モード(第2制御モード)で第1ローラ部10および第2ローラ部20により挟まれる領域となっている。また、非形成領域ANは、チューブ200を収容部82に配置した状態において、チューブ200が配置されない領域となっている。
【0046】
図1に示すように、後述する吐出制御モード(第1制御モード)において、第1ローラ部10は、第1ローラ11の溝部11bに凸部82a2を収容した状態で軸線X1回りに回転する。同様に、吐出制御モード(第1制御モード)において、第2ローラ部20は、第2ローラ21の溝部21bに凸部82a2を収容した状態で軸線X1回りに回転する。
【0047】
図2に示すように、後述するチューブ交換モード(第2制御モード)において、凸部82a2の軸線X1回りの周方向の端部82a4は、第1ローラ部10の溝部11bに収容される。同様に、チューブ交換モード(第2制御モード)において、凸部82a2の軸線X1回りの周方向の端部82a5は、第2ローラ部20の溝部21bに収容される。
【0048】
次に、本実施形態のチューブポンプ100が備えるカバー部材84および蓋部85について、図面を参照して説明する。図9に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、収容部82の凹所82bに配置されるカバー部材84と、開閉状態を切り替え可能な蓋部85と、を備える。
【0049】
カバー部材84は、蓋部85を開状態とした場合に操作者が第1ローラ部10と第2ローラ部20の近傍に手を触れてしまい、操作者の指が第1ローラ部10と第2ローラ部20との間に挟まれることを防止するための部材である。本実施形態の第1ローラ部10と第2ローラ部20は、それぞれ独立して軸線X1回りに回転可能であるため、第1ローラ部10と第2ローラ部20との間の軸線X1回りの回転角度(図1の角度θ)が広い状態から狭い状態に変化する。そこで、本実施形態では、カバー部材84を設けることにより、操作者の指が挟まれる不具合を防止している。
【0050】
図9に示すように、カバー部材84は、第1ローラ部10および第2ローラ部20を覆うように設けられるとともに締結ネジ84aにより駆動軸40に対して締結されている。カバー部材84は、駆動軸40の中心を通過する軸線X1を中心とした半径R1の平面視が円形に形成される部材である。図9において、チューブ200が配置される円弧状の内周面82aの第2チューブ領域A32は、軸線X1を中心とした半径R2の円に沿って配置される面である。
【0051】
図2に示すように、軸線X1を中心として半径R1から半径R2までの領域が円環状の開口領域OAとなっている。図2に示すチューブポンプ100は、第1ローラ部10および第2ローラ部20の軸線X1回りの回転角度を固定し、第1ローラ部10および第2ローラ部20の双方がチューブ200に接触しない退避状態を示している。
【0052】
図2に示すように、第1ローラ部10および第2ローラ部20が接触しない位置の自然状態のチューブ200は外径D1を有する。外径D1は、半径R2から半径R1を減算した差分よりも小さい。そのため、開口領域OAは、チューブ200を内周面82aに向けて挿入可能となっている。
【0053】
図4に示すように、カバー部材84は、第1ローラ軸13および第2ローラ軸23を覆うように収容部82の凹所82bに配置されている。第1ローラ11および第2ローラ21が軸線X1回りの回転方向RDにおいて近接あるいは接触したとしても、第1ローラ11および第2ローラ21はカバー部材84により覆われた領域で近接あるいは接触する。そのため、第1ローラ11および第2ローラ21の近接あるいは接触により操作者の指が挟まれる不具合を防止することができる。
【0054】
図9に示すように、蓋部85は、収容部82の凹所82bの全領域(軸線X1を中心とした半径R2の領域)を覆う閉状態(実線で示す状態)と、凹所82bから離間した開状態(点線で示す状態)を切り替え可能な部材である。蓋部85は、収容部82に連結される連結部85aと、閉状態においてカバー部材84を収容する凹部85bと、閉状態において収容部82の凹所82bへ向けて突出するように円環状に形成される凸部85cと、を有する。
【0055】
蓋部85は、連結部85aにより収容部82に連結されている。蓋部85は、連結部85a回りに揺動可能となっている。操作者は、閉状態の蓋部85の先端部を把持して上方に持ち上げることにより、蓋部85を連結部85a回りに揺動させて開状態に切り替える。
【0056】
図9に示すように、凸部85cは、蓋部85が閉状態となる場合に、収容部82の内周面82aに沿って配置されるチューブ200と接触するように円環状に配置される。凸部85cは、第1ローラ11または第2ローラ21と収容部82の内周面82aとの間にチューブ200が挟まれた状態を維持するように配置される。
【0057】
図1および図2に示すように、本実施形態のチューブポンプ100は、蓋部85の開閉状態を検知する開閉検知センサ(検知部)86を備える。開閉検知センサ86は、蓋部85が近接した位置に配置される場合にON状態となり、蓋部85が離間した位置に配置される場合にOFF状態となるセンサである。
【0058】
操作者は、チューブ200の交換等をする際に蓋部85を開状態にするため、第1駆動部50および第2駆動部60が動作したままであると、操作者の指が第1ローラ部10および第2ローラ部20の間に挟まれる可能性がある。本実施形態では、蓋部85が開状態である場合には第1駆動部50および第2駆動部60を停止させるため、操作者の指が第1ローラ部10および第2ローラ部20の間に挟まれる不具合を防止することができる。
【0059】
なお、本実施形態のチューブポンプ100は、第1ローラ部10および第2ローラ部20を覆うように凹所82bに配置されるカバー部材84を備える。そのため、蓋部85を閉状態から開状態とした直後に第1ローラ部10および第2ローラ部20が停止に至っていない場合や何らかの誤動作が生じた場合であっても、操作者の指が第1ローラ部10および第2ローラ部20の間に挟まれる不具合を防止することができる。
【0060】
また、以上の説明では、チューブポンプ100が開閉検知センサ86を備え、蓋部85が開状態である場合に第1駆動部50および第2駆動部60を停止させるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、チューブポンプ100は、開閉検知センサ86を備えず、蓋部85が開状態である場合であっても第1駆動部50および第2駆動部60が停止しないものであってもよい。この場合であっても、チューブポンプ100がカバー部材84を備えるため、操作者の指が第1ローラ部10および第2ローラ部20の間に挟まれる不具合を防止することができる。
【0061】
本実施形態のチューブポンプ100は、制御部95が第1駆動部50および第2駆動部60を制御することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20によるチューブ200内の流体の吐出を行うよう第1ローラ部10および第2ローラ部20を同一方向に回転させる吐出制御モード(第1制御モード)を実行可能である。
【0062】
吐出制御モードを実行する場合、操作者は、入力部96を介してチューブポンプ100が流出側200bへ吐出させる液体の単位時間当たりの流量を設定する。制御部95は、設定された流量が流出側200bへ吐出されるように、第1駆動部50および第2駆動部60を制御する。
【0063】
また、本実施形態のチューブポンプ100は、制御部95が第1駆動部50および第2駆動部60を制御することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20がチューブ200と接触しないように第1ローラ部10および第2ローラ部20それぞれの回転角度を固定するチューブ交換モード(第2制御モード)を実行可能である。
【0064】
チューブ交換モードを実行する場合、操作者は、入力部96を介してチューブ交換モードの実行を指示する。制御部95は、図2に示すように、第1ローラ部10および第2ローラ部20がチューブ200と接触しないように第1ローラ部10および第2ローラ部20それぞれの回転角度を固定する。
【0065】
以上説明した本実施形態のチューブポンプ100が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のチューブポンプ100によれば、第1ローラ11の第1ギア領域A11に形成された第1ギア11aと収容部82の第2ギア領域A31に形成された第2ギア82a1とが係合した状態で、第1ローラ部10が軸線X1回りに回転する。また、第2ローラ21の第1ギア領域A21に形成された第1ギア21aと収容部82の第2ギア領域A31に形成された第2ギア82a1とが係合した状態で、第2ローラ部20が軸線X1回りに回転する。第1ギア11aと第2ギア82a1とを係合させることにより、第1ローラ部10が軸線X1回りに回転する際に第1ローラ部10の回転方向RDの逆方向に向けて第1ローラ11を第1ローラ軸13回りに回転させることができる。
【0066】
これにより、チューブ200に接触した第1ローラ11がチューブ200を第1ローラ部10の回転方向RDに押し出してチューブ200が変形する不具合を防止することができる。同様に、第1ギア21aと第2ギア82a1とを係合させることにより、第2ローラ部20が軸線X1回りに回転する際に第2ローラ部20の回転方向RDの逆方向に向けて第2ローラ21を第2ローラ軸23回りに回転させることができる。これにより、チューブ200に接触した第2ローラ21がチューブ200を第2ローラ部20の回転方向RDに押し出してチューブ200が変形する不具合を防止することができる。
【0067】
また、第1ローラ11の第1チューブ領域A12と収容部82の第2チューブ領域A32との間にチューブ200を挟んで閉塞させ、第2ローラ21の第1チューブ領域A22と収容部82の第2チューブ領域A32との間にチューブ200を挟んで閉塞させることにより、チューブ200内の液体を第1ローラ部10および第2ローラ部20の軸線X1回りの回転方向RDに向けて搬送することができる。
【0068】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、収容部82の第2ギア領域A31と第2チューブ領域A32との間の凸領域A33に凸部82a2が形成されており、凸部82a2の先端部82a3が第2ギア82a1よりも軸線X1に向けて突出した位置に配置されている。そのため、チューブポンプ100に取り付けられるチューブ200が部分的に捻じれているなどチューブ200に変形が生じている場合に、収容部82に挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動しようとしても、その移動が凸部82a2により阻止される。よって、チューブポンプ100に取り付けられるチューブ200が部分的に捻じれているなどチューブ200に変形が生じている場合であっても、チューブ200を第1ローラ部10および第2ローラ部20により押し潰すことが可能な位置に確実に配置することができる。
【0069】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、凸部82a2の先端部82a3の第2ギア領域A31からの突出長さL1が第2ギア82a1の歯丈L2の2倍以上であるため、収容部82に挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動することをより確実に阻止することができる。
【0070】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、カバー部材84が、チューブ200を内周面82aに向けて挿入可能な円環状の開口領域OAを設けるように収容部82に配置される。そのため、第1ローラ部10および第2ローラ部20の間に操作者の指が挟まれることが防止される。また、開口領域OAからチューブ200を収容部82の内周面82aに向けて挿入可能であるため、操作者がチューブ200の交換を容易に行うことができる。
【0071】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、制御部95が第2制御モードを実行することにより、第1ローラ部10および第2ローラ部20の双方がチューブ200と接触しない退避位置に配置されため、使用中のチューブ200と他のチューブ200との交換を容易に行うことができる。
【0072】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、凸部82a2が形成されない非形成領域ANが、第2制御モードで回転角度が固定される第1ローラ部10および第2ローラ部20により挟まれ、かつチューブ200が配置されない領域である。チューブ200が配置される領域には凸部82a2が形成されるため、第2制御モードにおいて、収容部82に挿入されたチューブ200が第2チューブ領域A32から第2ギア領域A31に向けて移動することを適切に阻止することができる。
【0073】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、凸部82a2の軸線X1回りの周方向の端部82a4,82a5が第1ローラ部10および第2ローラ部20のそれぞれの溝部11b,21bに収容されるため、チューブ200が非形成領域ANから第2ギア領域A31に向けて移動することを第1ローラ部10および第2ローラ部20により確実に阻止することができる。
【0074】
また、本実施形態のチューブポンプ100によれば、閉状態において蓋部85が収容部82を覆うため、操作者が第1ローラ部10および第2ローラ部20の近傍を誤って手で触れてしまうことや、それにより指が挟まれる不具合を確実に防止することができる。また、蓋部85が開状態であることを開閉検知センサ86が検知した場合に第1駆動部50および第2駆動部60が停止するため、操作者が第1ローラ部10および第2ローラ部20の近傍を触れることができる状態で第1ローラ部10および第2ローラ部20が軸線X1回りに回転することがない。これにより、操作者の指が第1ローラ部10および第2ローラ部20に挟まれることを防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 第1ローラ部
11 第1ローラ
11a 第1ギア
11b 溝部
12 第1ローラ支持部材
13 第1ローラ軸
20 第2ローラ部
21 第2ローラ
21a 第1ギア
21b 溝部
22 第2ローラ支持部材
23 第2ローラ軸
30 駆動筒
40 駆動軸
41 軸受部材
50 第1駆動部
60 第2駆動部
80 ケーシング
82 収容部
82a 内周面
82a1 第2ギア
82a2 凸部
82a3 先端部
82a4,82a5 端部
82b 凹所
84 カバー部材
85 蓋部
86 開閉検知センサ
95 制御部
96 入力部
100,100A チューブポンプ
200 チューブ
200a 流入側
200b 流出側
A11 第1ギア領域
A12 第1チューブ領域
A13 溝領域
A21 第1ギア領域
A22 第1チューブ領域
A23 溝領域
A31 第2ギア領域
A32 第2チューブ領域
A33 凸領域
AN 非形成領域
D1 外径
L2 歯丈
L3 距離
OA 開口領域
RAD 径方向
RD 回転方向
X1 軸線
Y1,Y2 ローラ軸
θ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13