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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110141
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240807BHJP
   H01H 85/11 20060101ALI20240807BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H01H85/11
H02H7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014539
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100141999
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 敬一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】米田 吉弘
【テーマコード(参考)】
5G053
5G502
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA08
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA01
5G053EC05
5G053FA05
5G502AA02
5G502BB05
5G502BC01
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503FA16
5G503FA17
5G503FA19
5G503GA19
(57)【要約】
【課題】二次電池の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することができる保護回路を提供する。
【解決手段】保護回路1Aは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aは、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続された可溶導体15と、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有する。補助電源40は、複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に独立して設けられている。この保護回路1Aでは、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されることで、第2の通電経路P2を遮断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルと電気的に独立して設けられた補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に接続され、
前記保護素子、前記補助電源及び前記スイッチは、電気的にループ状に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【請求項2】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルと電気的に独立して設けられた補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に接続され、
前記保護素子、前記補助電源及び前記スイッチは、電気的にループ状に接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路と、前記第3の端子から前記補助電源及び前記スイッチを介して前記第4の端子に繋がる第3の通電経路とが接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【請求項3】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記補助電源及び前記スイッチを経由し、前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【請求項4】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの動作後に前記第3の端子と前記第4の端子との間の通電を遮断する、
請求項1又は2に記載の保護回路。
【請求項5】
前記可溶導体は、互いに厚みの異なる複数の高融点金属からなり、
前記複数の高融点金属の各々は、通電方向に直列に配置され、
前記複数の高融点金属の各々の間は、前記高融点金属の融点よりも低い融点の低融点金属により接続され、
前記高融点金属は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、
前記低融点金属は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる、
請求項1から3の何れか一項に記載の保護回路。
【請求項6】
前記複数の高融点金属の各々は、互いに同一組成の金属である、
請求項5に記載の保護回路。
【請求項7】
前記可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体を一部に含み、
前記低融点金属層は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、
前記高融点金属層は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなる、
請求項1から3の何れか一項に記載の保護回路。
【請求項8】
前記二次電池搭載機器は、車両、無人搬送機、航空機、ドローン、蓄電機器又はパワーツールである、
請求項1から3の何れか一項に記載の保護回路。
【請求項9】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記スイッチと直列に接続され、且つ、前記第2の通電経路と、前記第2の通電経路に接続された前記複数の二次電池セルの前記第2の通電経路と前記複数の二次電池セルとの接続部の極とは反対側の極の最端部との間に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【請求項10】
第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記スイッチと直列に接続され、且つ、前記第1の端子及び前記第2の端子との間に1つ以上の二次電池セルを跨いで接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【請求項11】
前記アクチュエータは、前記アクチュエータの動作後に前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の通電を遮断する、
請求項9又は10に記載の保護回路。
【請求項12】
前記可溶導体は、互いに厚みの異なる複数の高融点金属からなり、
前記複数の高融点金属の各々は、通電方向に直列に配置され、
前記複数の高融点金属の各々の間は、前記高融点金属の融点よりも低い融点の低融点金属により接続され、
前記高融点金属は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、
前記低融点金属は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる、
請求項9又は10に記載の保護回路。
【請求項13】
前記複数の高融点金属の各々は、互いに同一組成の金属である、
請求項12に記載の保護回路。
【請求項14】
前記可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体を一部に含み、
前記低融点金属層は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、
前記高融点金属層は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなる、
請求項9又は10に記載の保護回路。
【請求項15】
前記二次電池搭載機器は、車両、無人搬送機、航空機、ドローン、蓄電機器又はパワーツールである、
請求項9又は10に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン電池は、ノートパソコン等のモバイル機器の電源として広く用いられている。リチウムイオン電池などの二次電池の保護回路には、表面実装型ヒーター付きヒューズ(Self Control Protector、以下SCPともいう)が搭載されている。例えば、SCPは、過電圧の異常時には二次電池自体からヒーターに給電されて発熱し、ヒューズエレメントを溶断する。
【0003】
例えば、従来の保護回路として、図39及び図40に示すように、通電経路上に接続されたヒューズエレメント111,111と、ヒューズエレメント111,111に接続され、ヒューズエレメント111,111を加熱により溶断可能なヒーター112と、を有するSCP110と、上記通電経路に接続されたバッテリ120のバッテリセル121,121,・・・の異常を検出するIC130と、IC130の検出結果に基づいて、SCP110のヒーター112への通電を行うように動作するFET140と、バッテリ120全体の異常を検出するIC150と、IC150の検出結果に基づいて、SCP110のヒーター112への通電を行うように動作するFET160,160とを備える保護回路100がある。この保護回路100では、各バッテリセルの異常が検出された場合、FET140がオンとなり、バッテリ120からSCP110のヒーター112に給電されて発熱し、ヒューズエレメント111が溶断される。
【0004】
また、従来の他の保護回路として、制御デバイスからの信号によりスイッチが通電するように切り替えられ、保護素子の発熱体が発熱し可溶導体が溶断されて複数の二次電池セルと外部端子間を遮断する保護回路が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-191230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図39のような従来の保護回路を動力用途としての大容量二次電池の充放電回路に搭載した場合、桁違いの高電圧、大電流によってヒーターが破壊されてしまうという問題がある。昨今、二次電池としてのリチウムイオン電池は、モバイル機器用途からEVや蓄電池などの用途に発展しており、大容量化が進んでいる。また、リチウムイオン電池の大容量化に伴い、電圧は数百ボルトの高電圧仕様、電流も数百アンペアの大電流仕様となっており、これらのニーズに対応できる安全性の高い保護回路が求められている。
【0007】
特許文献1の保護回路では、保護素子の発熱体が発熱し可溶導体が溶断されて複数の二次電池セルと外部端子間を遮断する構成である。このため、可溶導体が切断されて複数の二次電池セルと外部端子間を遮断する構成が求められている。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、二次電池の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することができる保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0010】
[1]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルと電気的に独立して設けられた補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に接続され、
前記保護素子、前記補助電源及び前記スイッチは、電気的にループ状に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【0011】
[2]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、第4の端子と、前記第3の端子と前記第4の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルと電気的に独立して設けられた補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子及び前記第4の端子は、前記補助電源及び前記スイッチと直列に接続され、
前記保護素子、前記補助電源及び前記スイッチは、電気的にループ状に接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路と、前記第3の端子から前記補助電源及び前記スイッチを介して前記第4の端子に繋がる第3の通電経路とが接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【0012】
[3]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
補助電源と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記補助電源及び前記スイッチを経由し、前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子が接続された前記第2の通電経路に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【0013】
[4]前記アクチュエータは、前記アクチュエータの動作後に前記第3の端子と前記第4の端子との間の通電を遮断する、[1]又は[2]に記載の保護回路。
【0014】
[5]前記可溶導体は、互いに厚みの異なる複数の高融点金属からなり、前記複数の高融点金属の各々は、通電方向に直列に配置され、前記複数の高融点金属の各々の間は、前記高融点金属の融点よりも低い融点の低融点金属により接続され、前記高融点金属は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、前記低融点金属は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる、[1]から[4]の何れかに記載の保護回路。
【0015】
[6]前記複数の高融点金属の各々は、互いに同一組成の金属である、[5]に記載の保護回路。
【0016】
[7]前記可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体を一部に含み、前記低融点金属層は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、前記高融点金属層は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなる、[1]から[4]の何れかに記載の保護回路。
【0017】
[8]前記二次電池搭載機器は、車両、無人搬送機、航空機、ドローン、蓄電機器又はパワーツールである、[1]から[7]の何れかに記載の保護回路。
【0018】
[9]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記スイッチと直列に接続され、且つ、前記第2の通電経路と、前記第2の通電経路に接続された前記複数の二次電池セルの前記第2の通電経路と前記複数の二次電池セルとの接続部の極とは反対側の極の最端部との間に接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【0019】
[10]第1の端子と、第2の端子と、両端が前記第1の端子と前記第2の端子とに接続され前記第1の端子と前記第2の端子との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体と、第3の端子と、前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の第1の通電経路に設けられたアクチュエータと、を有する保護素子と、
複数の二次電池セルと、
外部正極端子及び外部負極端子と、
前記複数の二次電池セルの異常電圧を監視及び/又は二次電池搭載機器の異常検知器からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスと、
前記制御デバイスの信号を受けて通電を切り替えるスイッチと、を備え、
前記制御デバイスは、前記複数の二次電池セル及び/又は前記異常検知器と接続され、
前記保護素子の前記第1の端子及び前記第2の端子は、前記外部正極端子から前記複数の二次電池セルを経由し前記外部負極端子に至る第2の通電経路に設けられ、
前記保護素子の前記第3の端子は、前記スイッチと直列に接続され、且つ、前記第1の端子及び前記第2の端子との間に1つ以上の二次電池セルを跨いで接続され、
前記制御デバイスからの信号により前記スイッチが通電するように切り替えられ、前記保護素子の前記アクチュエータが動作し前記可溶導体が切断されることで、前記第2の通電経路の通電を遮断する、
保護回路。
【0020】
[11]前記アクチュエータは、前記アクチュエータの動作後に前記第3の端子と前記第1の端子又は前記第2の端子との間の通電を遮断する、[9]又は[10]に記載の保護回路。
【0021】
[12]前記可溶導体は、互いに厚みの異なる複数の高融点金属からなり、前記複数の高融点金属の各々は、通電方向に直列に配置され、前記複数の高融点金属の各々の間は、前記高融点金属の融点よりも低い融点の低融点金属により接続され、前記高融点金属は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、前記低融点金属は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる、[9]から[11]の何れかに記載の保護回路。
【0022】
[13]前記複数の高融点金属の各々は、互いに同一組成の金属である、[12]に記載の保護回路。
【0023】
[14]前記可溶導体は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体を一部に含み、前記低融点金属層は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、前記高融点金属層は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなる、[9]から[11]の何れかに記載の保護回路。
【0024】
[15]前記二次電池搭載機器は、車両、無人搬送機、航空機、ドローン、蓄電機器又はパワーツールである、[9]から[14]の何れかに記載の保護回路。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、二次電池の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することができる保護回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図2A】保護素子の回路(アクチュエータの動作前)の一例を概略的に示す図である。
図2B】保護素子の回路(アクチュエータの動作後)の一例を概略的に示す図である。
図3A図2Aに示した保護素子の構造例を示す断面図である。
図3B図2Bに示した保護素子の構造例を示す断面図である。
図4図1の保護回路の変形例を示す図である。
図5図1の保護回路の他の変形例を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図7図6の保護回路の変形例を示す図である。
図8図6の保護回路の他の変形例を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図10A】保護素子の回路(アクチュエータの動作前)の一例を概略的に示す図である。
図10B】保護素子の回路(アクチュエータの動作後)の一例を概略的に示す図である。
図11図9の保護回路の変形例を示す図である。
図12図9の保護回路の他の変形例を示す図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図14図13の保護回路の変形例を示す図である。
図15図13の保護回路の他の変形例を示す図である。
図16】本発明の第5実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図17図16の保護回路の変形例を示す図である。
図18図16の保護回路の他の変形例を示す図である。
図19】本発明の第6実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図20図19の保護回路の変形例を示す図である。
図21図19の保護回路の他の変形例を示す図である。
図22】本発明の第7実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図23】保護素子の他の例を示す断面図である。
図24図23に示す保護素子の電流が遮断された状態を示す図である。
図25A】ヒューズエレメントの他の例を示す模式図である。
図25B図25Aに示すヒューズエレメントの一部が溶断した状態を示す模式図である。
図26A】ヒューズエレメントの他の例を示す模式図である。
図26B図26Aに示すヒューズエレメントの一部が溶断した状態を示す模式図である。
図27】保護素子の他の例を示す断面図である。
図28】遮蔽部材がヒューズエレメントを分断して下がりきった状態を示す、図27に対応する断面図である。
図29図27の保護素子の一部を模式的に示す断面図である。
図30】遮蔽部材が下方移動した状態を示す、図29に対応する断面図である。
図31図29の他の例に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図である。
図32】遮蔽部材が下方移動した状態を示す、図31に対応する断面図である。
図33図29の他の例に係る保護素子の一部を模式的に示す断面図である。
図34】発熱体を一方側から見た斜視図である。
図35】発熱体を他方側から見た斜視図である。
図36】発熱体における通電経路が遮断された状態を示す斜視図である。
図37】発熱体における通電経路の一例を説明するための斜視図である。
図38図27の他の例に係る保護素子の一部を示す断面図である。
図39】従来の保護回路の構成を示す図である。
図40】従来の保護素子の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0028】
(保護回路(第1実施形態))
図1は、本発明の第1実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。
図1に示すように、保護回路1Aは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50(制御デバイス)及びスイッチ60を備える。複数の二次電池セル20,20,・・・は直列に接続されており、複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aが後述の外部正極端子に接続され、負極端20bが後述の外部負極端子に接続されている。複数の二次電池セル20,20,・・・は、二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池などが挙げられる。複数の二次電池セル20,20,・・・の全電圧は、蓄電池用途の場合は少なくとも100V以上であり、EV用途となると例えば350V以上800V以下である。保護回路1Aは、外部正極端子30a及び外部負極端子30bを有しており、これら外部正極端子30a及び外部負極端子30bを介して外部の充電装置に接続されている。
【0029】
図2Aは、保護素子の回路(アクチュエータの動作前)の一例を概略的に示す図である。図2Bは、保護素子の回路(アクチュエータの動作後)の一例を概略的に示す図である。
保護素子10Aは、図2Aに示すように、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と前記第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第4の端子14と、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有する。本実施形態では、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと外部負極端子30bとの間の第2の通電経路P2に設置されている。また、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、補助電源40及びスイッチ60と直列に接続されている。保護素子10A、補助電源40及びスイッチ60は、電気的にループ状に接続されている。
【0030】
可溶導体15は、例えば、不図示の筐体内に収容されたヒューズエレメントで構成されている。ヒューズエレメントは、例えば薄片状あるいは棒状である。可溶導体15の一端15aは第1の端子11に、他端15bは第2の端子12にそれぞれ接続されている。
【0031】
可溶導体15は、低融点金属層と、該低融点金属よりも融点の高い高融点金属で構成された高融点金属層とを含む積層体であるのが好ましい。また、可溶導体15は、内層としての低融点金属層と、上記内層としての低融点金属層を被覆する外層としての高融点金属層とで構成される被覆構造を有するのがより好ましい。例えば、可溶導体15は、内層と、これを挟む外層とが厚み方向に積層された3層構造の積層体であって、内層と外層とが軟化温度の異なる材料からなるものであってもよい。このような可溶導体15では、積層体の内層と外層のうち、軟化温度の低い材料の層において固相と液相の混在状態が先に始まり、軟化温度の高い材料の層が軟化温度に達する前に切断され得る。
【0032】
上記低融点金属層は、例えばSnもしくはSnを主成分とする合金で構成される。Snの融点は232℃であるため、Snを主成分とする金属は低融点であり、低温で柔らかくなる。例えば、Sn/Ag3%/Cu0.5%合金の固相線は217℃である。また、上記低融点金属層を構成する材料として、従来からヒューズ材料として使用されている種々の低融点金属を用いることができる。低融点金属としては、SnSb合金、BiSnPb合金、BiPbSn合金、BiPb合金、BiSn合金、SnPb合金、SnAg合金、SnAgCu合金、PbIn合金、ZnAl合金、InSn合金、PbAgSn合金等を挙げることができる。
【0033】
上記高融点金属層を構成する材料は、例えばAg若しくはCu、又はAg若しくはCuを主成分とする合金で構成される。Agの融点は962℃、銅の融点は1085℃であるため、Ag若しくはCuを主成分とする金属からなる層は、低融点金属からなる層が柔らかくなる温度では剛性が維持される。
【0034】
例えば、可溶導体15は、互いに厚みの異なる複数の高融点金属からなっていてもよい。この場合、複数の高融点金属の各々は、通電方向(ヒューズエレメントの電流が流れる通電方向)に直列に配置されてもよい。そして、複数の高融点金属の各々の間は、高融点金属の融点よりも低い融点の低融点金属により接続されてもよい。上記高融点金属は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなることが好ましい。上記低融点金属は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなることが好ましい。なお、複数の高融点金属の各々は、互いに同一組成の金属であってもよい。
【0035】
また例えば、可溶導体15は、低融点金属層と高融点金属層とを含む積層体を一部に含んでもよい。この場合、低融点金属層は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、高融点金属層は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなることが好ましい。例えば、可溶導体15の構成態様は、上記に限定されず、設計仕様に応じて変更可能である。
【0036】
アクチュエータ16は、例えば可溶導体15と当接して配置されるか或いは可溶導体15の直上に配置される。この場合、アクチュエータ16は、後述する押圧手段の押圧力を可溶導体15に付与して当該可溶導体15を切断する機能を有するのが好ましい。
【0037】
図3A及び図3Bは、図2A及び図2Bの保護素子10Aの構造例を示す断面図である。図3A及び図3Bの保護素子10Aの構造は例示であり、本発明の保護素子の構造はこれに限定されない。
図3Aに示すように、保護素子10Aは、一端2a及び他端2bの間に切断部2cを有するヒューズエレメント(可溶導体)2と、発熱体3a及び凸状部材3bを有する可動部材3と、凹状部材4と、押圧手段5と、ケース6とを備えている。
【0038】
ヒューズエレメント2の一端2aは第1の端子6aに、他端2bは第2の端子6bに、はんだ付け等でそれぞれ接続されている。発熱体3aの一端は不図示の第3の端子に、多端は不図示の第4の端子に、それぞれ接続されている。凸状部材3bは、押圧手段5の押圧力をヒューズエレメント2の切断部2cに負荷する機能を有しており、凸状部材3bの凸部3cが発熱体3aに圧接している。凹状部材4は、可動部材3に対向して配置されており、可動部材3と協働してヒューズエレメント2の切断部2cを挟み込んでいる。凹状部材4の凹部4aは、発熱体3aの凸部3cを収容可能に形成されている。押圧手段5は、可動部材3と凹状部材4とが切断部2cを挟み込むと共に、切断部2cの切断時にこれらの相対的な距離を縮めるように、可動部材3に力を加えるものである。押圧手段5としては、例えばバネが用いられ、Z方向への復元力を保持した状態で凸状部材3bとケース6との間に収容される。
【0039】
この保護素子10Aでは、可動部材3の発熱体3aが発熱すると、ヒューズエレメント2の軟化温度以上の温度においてヒューズエレメント2が軟化し、これに伴って押圧手段5の押圧力により凸状部材3bの凸部3cが凹状部材4の凹部4a内に入り込む。その結果、切断部2cが一端2a(又は他端2b)と切り離され、ヒューズエレメント2が切断される(図3B参照)。
【0040】
補助電源40は、複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に独立して設けられている。この補助電源40は、特に制限されないが、例えば公知の一次電池や二次電池などで構成される。二次電池としては、例えば鉛蓄電池、リチウムイオン電池などが挙げられる。補助電源の電圧は、例えば10V以上56V以下である。
【0041】
第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・と接続されており、複数の二次電池セル20,20,・・・の一又は複数の電圧を監視し、異常を検知して信号を出力する。第1の制御デバイス50は、例えばICであり、保護素子10Aの第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20,20,・・・の各々の電圧を検出し、該電圧に基づいて複数の二次電池セル20,20,・・・に過充電などの異常が生じたか否かを判別する。複数の二次電池セル20,20,・・・で異常が生じた場合、第1の制御デバイス50は、保護素子10Aを作動させることにより通電経路を遮断する。
【0042】
スイッチ60は、第1の制御デバイス50の信号を受けて通電を切り替える。スイッチ60は、特に制限されないが、例えば電界効果トランジスタ(以下、FETともいう)である。FETとしては、特に制限は無いが、例えば接合型FETやMOS型FETを用いることができる。本実施形態では、FETのゲートが第1の制御デバイス50に接続され、ドレインがアクチュエータ16に接続されている。スイッチ60は、第1の制御デバイス50から出力される制御信号によってオン又はオフ動作する。
【0043】
本実施形態では、保護回路1Aは、第2の制御デバイス80及びスイッチ90,90を更に備えている。第2の制御デバイス80は、例えばICであり、複数の二次電池セル20,20,・・・の全体の電圧を監視し、異常を検知して信号を出力する。スイッチ90,90は、第2の制御デバイス80の信号を受けて通電を切り替える。スイッチ90,90は、特に制限されないが、例えばFETである。保護回路1Aは、第2の制御デバイス80及びスイッチ90,90を備えているのが好ましいが、これらを備えていなくてもよい。
【0044】
上記のように構成される保護回路1Aにおいて、複数の二次電池セル20,20,・・・の充電時には、充電装置から外部回路を介して複数の二次電池セル20,20,・・・に電力が供給される。また、複数の二次電池セル20,20,・・・の放電時には、複数の二次電池セル20,20,・・・から外部回路に電力が供給される。外部回路には、例えば不図示のモーターやコンバータなどの負荷が接続される。
【0045】
この保護回路1Aでは、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。具体的には、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の各々の電圧を検出し、複数の二次電池セル20,20,・・・のいずれか又は複数の電圧が過放電又は過充電状態を示す所定値から外れると判断したときに、スイッチ60へ制御信号を出力する。そして第1の通電経路P1上のスイッチ60がオン動作することにより、補助電源40からアクチュエータ16に電力が供給されてアクチュエータ16が動作する。このアクチュエータ16の動作により、第2の通電経路P2上の可溶導体15が切断され、これにより保護回路1Aの通電経路が遮断される。
【0046】
上述したように、本実施形態によれば、可溶導体15を経由する複数の二次電池セル20,20,・・・が接続された第2の通電経路P2と、アクチュエータ16と補助電源40を接続する第1の通電経路P1とを独立させた構成とすることにより、第1の通電経路P1においてアクチュエータ16の仕様を適切に選定することができる。したがって第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。特に、電気自動車などの車両の使用時に不慮の事故や天災地変等が発生した場合であっても、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路に因る感電を防止することが可能となる。
【0047】
また、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと外部負極端子30bとの間の第2の通電経路P2に設置されており、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、補助電源40及びスイッチ60と直列に且つ保護素子10Aと補助電源40とスイッチ60が電気的にループ状に接続されているので、補助電源40の電圧のみをアクチュエータ16に確実に印加することができる。このため、数百ボルト(例えば、350V以上)の大容量リチウムイオン電池が搭載された電気自動車などの動力用の充放電回路において、安全性の高い保護回路を構築することができる。
なお、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと外部負極端子30bとの間の第2の通電経路P2に設置されることに限定されない。例えば、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、外部正極端子30aから複数の二次電池セル20,20,・・・を経由し外部負極端子30bに至る第2の通電経路P2に設けられてもよい。例えば、保護素子10Aは、複数の二次電池セル20,20,・・・の間に接続されていても機能する。例えば、保護素子の各端子の設置態様は、上記に限定されず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0048】
(第1実施形態の変形例)
図4は、図1の保護回路1Aの変形例を示す回路図である。図4の保護回路1Bは、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスを有する点で図1の保護回路1Aと異なる。図4の保護回路1Bの他の構成は、図1の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0049】
図4に示すように、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20の異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、二次電池搭載機器(不図示)は、車両、無人搬送機、航空機、ドローン、蓄電機器又はパワーツール(例えば、電動ドリル等の電動工具など)である。
【0050】
例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU(Electric Control Unit)等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。
【0051】
本変形例によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0052】
(第1実施形態の他の変形例)
図5は、図1の保護回路1Aの他の変形例を示す回路図である。図5の保護回路1Cの構成は、図1の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0053】
図5に示すように、第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力してもよい。
【0054】
本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、二次電池搭載機器の異常検知器91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0055】
(保護回路(第2実施形態))
図6は、本発明の第2実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図6の保護回路1Dの構成は、補助電源40が複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に接続されている点で保護回路1Aの構成と異なる。図6の保護回路1Dの他の構成は、図1の保護回路1Aの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0056】
図6に示すように、保護回路1Dは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aのアクチュエータ16は、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されている。
【0057】
本実施形態では、補助電源40の正極端40aがスイッチ60に接続され、負極端40bが外部負極端子30bに接続されている。この補助電源40の負極端40bは、保護素子10Aの可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと接続されている。そして、保護素子10Aの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2と、第3の端子13から補助電源40及びスイッチ60を介して第4の端子14に繋がる第3の通電経路P3とが接続されている。
【0058】
この保護回路1Dでも、保護回路1Aと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0059】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。また、保護素子10Aの回路配置をGND側とすることにより、アクチュエータ16と可溶導体15間の電圧を補助電源40の電圧のみとすることができる。例えば、電気自動車の充放電回路に保護回路1Dを適用する場合、動力用の複数の二次電池セル20,20,・・・とは別個に車両に搭載されたバッテリー(例えば、48V)を補助電源40として利用することにより、安全性を向上しつつ汎用性の高い保護回路を構築することができ、加えて、保護回路の省スペース化や車両の重量増大の抑制を図ることができる。
【0060】
(第2実施形態の変形例)
図7は、図6の保護回路1Dの変形例を示す図である。図7の保護回路1Eは、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスを有する点で図6の保護回路1Dと異なる。
【0061】
図7に示すように、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20の異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。
【0062】
本変形例によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0063】
(第2実施形態の他の変形例)
図8は、図6の保護回路1Dの他の変形例を示す図である。図8の保護回路1Fの構成は、図6の保護回路1Dの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0064】
図8に示すように、第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力してもよい。
【0065】
本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、二次電池搭載機器の異常検知器91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0066】
(保護回路(第3実施形態))
図9は、本発明の第3実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図10Aは、保護素子の回路(アクチュエータ16の動作前)の一例を概略的に示す図である。図10Bは、保護素子の回路(アクチュエータ16の動作後)の一例を概略的に示す図である。
図9の保護回路1Gの構成は、保護素子10Bの第3の端子13が保護素子10B内で第2の端子12に接続されている点で保護回路1Dの構成と異なる。図9の保護回路1Gの他の構成は、図6の保護回路1Dの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0067】
図9に示すように、保護回路1Gは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と前記第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有している。本実施形態では、アクチュエータ16は、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0068】
本実施形態では、補助電源40の正極端40aがスイッチ60に接続され、負極端40bが外部負極端子30bに接続されている。この補助電源40の負極端40bは、保護素子10Bの可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の負極端20bと接続されている。そして、保護素子10Bの第3の端子13は、補助電源40とスイッチ60とを経由し、保護素子10Bの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2に接続されている。また、保護素子10Bの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2の極と補助電源40の第3の端子13に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されていてもよい。
【0069】
この保護回路1Gでも、保護回路1Dと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Bのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0070】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。また、図6の保護回路1Dと同様、保護素子10Bの回路配置をGND側とすることにより、アクチュエータ16と可溶導体15間の電圧を補助電源40の電圧のみとすることができるので、安全性を向上しつつ汎用性の高い保護回路を構築することができ、加えて、保護回路の省スペース化や車両の重量増大の抑制を図ることができる。更に、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるので、保護素子10Bの構成を簡略化し、ひいては保護回路1Gの構成の簡略化、軽量化を図ることができる。
【0071】
(第3実施形態の変形例)
図11は、図9の保護回路1Gの変形例を示す図である。図11の保護回路1Hは、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスを有する点で図9の保護回路1Gと異なる。
【0072】
図11に示すように、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20の異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。
【0073】
本変形例によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0074】
(第3実施形態の他の変形例)
図12は、図9の保護回路1Gの他の変形例を示す図である。図12の保護回路1Jの構成は、図9の保護回路1Gの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0075】
図12に示すように、第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力してもよい。
【0076】
本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、二次電池搭載機器の異常検知器91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0077】
(保護回路(第4実施形態))
図13は、本発明の第4実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図13の保護回路1Kの構成は、保護素子10Aが、外部正極端子30aと複数の二次電池セル20,20,・・・との間に設置されている点で保護回路1Bの構成と異なる。図13の保護回路1Kの他の構成は、図4の保護回路1Bの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0078】
図13に示すように、保護回路1Kは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と前記第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第4の端子14と、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有する。
【0079】
本実施形態では、保護素子10Aの第1の端子11及び第2の端子12は、複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aと外部正極端子30aとの間の第2の通電経路P2に設置されている。また、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、補助電源40及びスイッチ60と直列に接続されている。保護素子10A、補助電源40及びスイッチ60は、電気的にループ状に接続されている。
【0080】
この保護回路1Kでも、保護回路1Bと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部正極端子30a間を遮断する。よって、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、高い安全性を実現することが可能となる。
【0081】
また、この保護回路1Kでも、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20の異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。本実施形態によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部正極端子30a間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0082】
(第4実施形態の変形例)
図14は、図13の保護回路1Kの変形例を示す図である。図14の保護回路1Lの構成は、補助電源40が複数の二次電池セル20,20,・・・と電気的に接続されている点で保護回路1Kの構成と異なる。図14の保護回路1Lの他の構成は、図13の保護回路1Kの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0083】
図14に示すように、保護回路1Lは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aのアクチュエータ16は、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されている。
【0084】
この変形例では、補助電源40の正極端40aが外部正極端子30aに接続され、負極端40bがスイッチ60に接続されている。この補助電源40の正極端40aは、保護素子10Aの可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aと接続されている。そして、保護素子10Aの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2と、第3の端子13から補助電源40及びスイッチ60を介して第4の端子14に繋がる第3の通電経路P3とが接続されている。
【0085】
この保護回路1Lでも、保護回路1Kと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。よって、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。
【0086】
(第4実施形態の他の変形例)
図15は、図13の保護回路1Kの他の変形例を示す図である。図15の保護回路1Mの構成は、保護素子10Bの第3の端子13が保護素子10B内で第2の端子12に接続されている点で保護回路1Kの構成と異なる。図15の保護回路1Mの他の構成は、図13の保護回路1Kの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0087】
図15に示すように、保護回路1Mは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、補助電源40、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と前記第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有している。この変形例では、アクチュエータ16は、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0088】
この変形例では、補助電源40の正極端40aが外部正極端子30aに接続され、負極端40bがスイッチ60に接続されている。この補助電源40の正極端40aは、保護素子10Bの可溶導体15を介して複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aと接続されている。そして、保護素子10Bの第3の端子13は、補助電源40とスイッチ60とを経由し、保護素子10Bの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2に接続されている。また、保護素子10Bの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2の極と補助電源40の第3の端子13に繋がる側の極と反対の極とが同極で接続されていてもよい。
【0089】
この保護回路1Mでも、保護回路1Kと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Bのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。よって、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。また、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるので、保護素子10Bの構成を簡略化し、ひいては保護回路1Mの構成の簡略化、軽量化を図ることができる。
【0090】
(保護回路(第5実施形態))
図16は、本発明の第5実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図16の保護回路1Nの構成は、補助電源40を有しない点で保護回路1Gの構成と異なる。図16の保護回路1Nの他の構成は、図9の保護回路1Gの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0091】
図16に示すように、保護回路1Nは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有している。本実施形態では、アクチュエータ16は、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0092】
本実施形態では、保護素子10Bの第3の端子13は、スイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極(図16の例では負極端20b)とは反対側の極(図16の例では正極端20a)の最端部との間に接続されている。保護素子10Bの第3の端子13は、スイッチ60を介して、複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aの最端部と接続されている。
【0093】
この保護回路1Nでも、保護回路1Gと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Bのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0094】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。さらに、保護素子10Bの第3の端子13がスイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極とは反対側の極の最端部との間に接続されていることで、複数の二次電池セル20,20,・・・の全電圧に基づいてアクチュエータ16に印加する電圧を設定することができる。また、図9の保護回路1Gと同様、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるので、保護素子10Bの構成を簡略化し、ひいては保護回路1Nの構成の簡略化、軽量化を図ることができる。なお、本実施形態では、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるが、第4の端子14を有する構成の保護素子であってもよい。
【0095】
(第5実施形態の変形例)
図17は、図16の保護回路1Nの変形例を示す図である。図17の保護回路1Pは、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスを有する点で図16の保護回路1Nと異なる。
【0096】
図17に示すように、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20の異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。
【0097】
本変形例によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0098】
(第5実施形態の他の変形例)
図18は、図16の保護回路1Nの他の変形例を示す図である。図18の保護回路1Qの構成は、図16の保護回路1Nの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0099】
図18に示すように、第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力してもよい。
【0100】
本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、二次電池搭載機器の異常検知器91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0101】
(保護回路(第6実施形態))
図19は、本発明の第6実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図19の保護回路1Rの構成は、保護素子10Bの第3の端子13が、スイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20のうち少なくとも1つ以上の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極とは反対側の極の端部との間に接続(言い換えると、第1の端子11及び第2の端子12との間に1つ以上の二次電池セル20を跨いで接続)されている点で保護回路1Nの構成と異なる。図19の保護回路1Rの他の構成は、図16の保護回路1Nの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0102】
図19に示すように、保護回路1Rは、保護素子10B、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Bは、第1の端子11と、第2の端子12と、両端が第1の端子11と第2の端子12に接続され第1の端子11と第2の端子12との間に流れる過電流により遮断可能な可溶導体15と、第3の端子13と、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されたアクチュエータ16とを有している。本実施形態では、アクチュエータ16は、第3の端子13と第2の端子12との間の第1の通電経路P1に設置されているが、これに限らず、第3の端子13と第1の端子11との間の第1の通電経路に設置されてもよい。
【0103】
本実施形態では、保護素子10Bの第3の端子13は、スイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20のうち少なくとも1つ以上の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極(図19の例では負極端20b)とは反対側の極(図19の例では正極端20a)の端部との間に接続されている。保護素子10Bの第3の端子13は、スイッチ60を介して、複数の二次電池セル20,20,・・・のうち正極端20aの最端部を有する二次電池セルと負極端20bの最端部を有する二次電池セルとの間に接続されている。例えば、保護素子10Bの第3の端子13は、スイッチ60を介して、複数の二次電池セル20の各々が接続される部分のいずれかに接続されていればよい。
【0104】
この保護回路1Rでも、保護回路1Nと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Bのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0105】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。さらに、保護素子10Bの第3の端子13が、スイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20のうち少なくとも1つ以上の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極とは反対側の極の端部との間に接続されていることで、複数の二次電池セル20,20,・・・の途中の電圧に基づいてアクチュエータ16に印加する電圧を設定することができるため、アクチュエータ16に適した電圧となるように任意の電圧を設定することができる。また、図16の保護回路1Nと同様、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるので、保護素子10Bの構成を簡略化し、ひいては保護回路1Rの構成の簡略化、軽量化を図ることができる。なお、本実施形態では、保護素子10Bが第4の端子14を有さない構成であるが、第4の端子14を有する構成の保護素子であってもよい。
【0106】
(第6実施形態の変形例)
図20は、図19の保護回路1Rの変形例を示す図である。図20の保護回路1Sは、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力する制御デバイスを有する点で図19の保護回路1Rと異なる。
【0107】
図20に示すように、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セルの異常電圧を監視しなくてもよい。第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。
【0108】
本変形例によれば、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知した場合に、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、高い安全性を実現することができる。
【0109】
(第6実施形態の他の変形例)
図21は、図19の保護回路1Rの他の変形例を示す図である。図21の保護回路1Tの構成は、図19の保護回路1Rの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0110】
図21に示すように、第1の制御デバイス50は、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して信号を出力してもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されていてもよい。例えば、異常検知器91は、車両に搭載されたECU等の制御装置であってもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、車両に搭載された異常検知器91から信号を受信し、該信号に基づいてスイッチ60に信号を出力してもよい。例えば、第1の制御デバイス50は、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常と、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常とのいずれか又は双方を検知した場合に、スイッチ60に信号を出力してもよい。
【0111】
本変形例によれば、複数の二次電池セル20,20,・・・の電圧の異常だけでなく、二次電池搭載機器の異常検知器91からの異常を検知して、複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断するので、二次電池搭載機器の異常検知器91と連携させることでより高い安全性を実現することができる。
【0112】
(保護回路(第7実施形態))
図22は、本発明の第7実施形態に係る保護回路の構成の一例を概略的に示す回路図である。図22の保護回路1Uの構成は、第4の端子14を有する構成の保護素子である点で保護回路1Pの構成と異なる。図22の保護回路1Uの他の構成は、図17の保護回路1Pの構成と基本的に同じであり、同一の構成要素には、同一番号を付してその説明を省略し、主に異なる部分を以下に説明する。
【0113】
図22に示すように、保護回路1Uは、保護素子10A、複数の二次電池セル20,20,・・・、外部正極端子30a及び外部負極端子30b、第1の制御デバイス50及びスイッチ60を備える。保護素子10Aのアクチュエータ16は、第3の端子13と第4の端子14の間の第1の通電経路P1に設置されている。
【0114】
本実施形態では、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14は、スイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極(図22の例では負極端20b)とは反対側の極(図22の例では正極端20a)の最端部との間に接続されている。保護素子10Bの第3の端子13及び第4の端子14は、スイッチ60を介して、複数の二次電池セル20,20,・・・の正極端20aの最端部と接続されている。そして、保護素子10Aの第1の端子11と第2の端子12が接続された第2の通電経路P2と、第4の端子14に繋がる第3の通電経路P3とが接続されている。
【0115】
この保護回路1Uでも、保護回路1Pと同様、第1の制御デバイス50からの信号によりスイッチ60が通電する様に切り替えられ、保護素子10Aのアクチュエータ16が動作し可溶導体15が切断されて複数の二次電池セル20,20,・・・と外部負極端子30b間を遮断する。
【0116】
本実施形態によれば、第2の通電経路P2で大電圧、大電流が生じる場合であっても、第1の通電経路P1でアクチュエータ16に印加される電圧を下げることで耐電圧を十分に確保することができ、その結果、複数の二次電池セル20,20,・・・の充放電回路を確実に遮断して、高い安全性を実現することが可能となる。さらに、保護素子10Aの第3の端子13及び第4の端子14がスイッチ60と直列に接続され、且つ、第2の通電経路P2と、第2の通電経路P2に接続された複数の二次電池セル20の第2の通電経路P2と複数の二次電池セル20との接続部の極とは反対側の極の最端部との間に接続されていることで、複数の二次電池セル20,20,・・・の全電圧に基づいてアクチュエータ16に印加する電圧を設定することができる。
【0117】
(保護素子の他の例)
図23は、保護素子の他の例を示す断面図である。図24は、図23に示す保護素子の電流が遮断された状態を示す図である。
例えば、保護素子301は、図23に示すように、互いに並行する第1のヒューズ素子部302及び第2のヒューズ素子部303と、第1のヒューズ素子部302及び第2のヒューズ素子部303を保持しながら、第1のヒューズ素子部302と第2のヒューズ素子部303との間を電気的に絶縁する絶縁筐体304と、絶縁筐体304を内側に収容する絶縁カバー305とを備えていてもよい。
【0118】
第1のヒューズ素子部302は、第1の端子306a及び第2の端子306bと、第1の端子306aと第2の端子306bとの間を電気的に接続する第1のヒューズエレメント307とを有している。
【0119】
第1の端子306a及び第2の端子306bは、例えば、銅(Cu)などの金属材料からなり、略矩形平板状に形成されている。第1の端子306aと第2の端子306bとは、互いの一端側(第1のヒューズ素子部302の内側)を向かい合わせた状態で、同一面内において直線状に並んで配置されている。
【0120】
また、第1の端子306a及び第2の端子306bの他端側(第1のヒューズ素子部302の外側)には、それぞれ外部接続用の端子孔308が円形状に開口して設けられている。
【0121】
第1のヒューズエレメント307は、可溶導体として、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、錫(Sn)合金、鉛(Pb)合金、錫(Sn)合金と銀(Ag)との積層体などの金属材料からなり、略矩形平板状に形成されている。
【0122】
第1のヒューズエレメント307は、第1の端子306aの一端側と第2の端子306bの一端側との間を連結した状態で、これら第1の端子306a及び第2の端子306bの一面(本例では下面)にはんだ付けや溶接等により取り付けられている。
【0123】
第2のヒューズ素子部303は、第3の端子309a及び第4の端子309bと、第3の端子309aと第4の端子309bとの間を電気的に接続する第2のヒューズエレメント310Aとを有している。
【0124】
第3の端子309a及び第4の端子309bは、上述した第1の端子306a及び第2の端子306bで例示した材料と同じものからなり、略矩形平板状に形成されている。第3の端子309aと第4の端子309bとは、互いの一端側(第2のヒューズ素子部303の内側)を向かい合わせた状態で、同一面内において直線状に並んで配置されている。
【0125】
また、第3の端子309a及び第4の端子309bの他端側(第2のヒューズ素子部303の外側)には、それぞれ外部接続用の端子孔311が円形状に開口して設けられている。
【0126】
第2のヒューズエレメント310Aは、接続導体として、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、錫(Sn)合金、鉛(Pb)合金などの金属材料からなり、略矩形平板状に形成されている。
【0127】
また、第2のヒューズエレメント310Aには、第1のヒューズエレメント307よりも融点の高い材料を用いている。例えば、第1のヒューズエレメント307に錫(Sn)合金と銀(Ag)との積層体を用い、第2のヒューズエレメント310Aに第1のヒューズエレメント307よりも融点の高い銅(Cu)を用いている。
【0128】
第2のヒューズエレメント310Aは、第3の端子309aの一端側と第4の端子309bの一端側との間を連結した状態で、これら第3の端子309a及び第4の端子309bの一面(本例では上面)にはんだ付けや溶接等により取り付けられている。
【0129】
絶縁筐体304は、後述する絶縁材料からなる第1のケース304a、第2のケース304b及び第3のケース304cを有し、全体として長円柱状に形成されている。なお、絶縁筐体304は、このような形状に必ずしも限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0130】
また、絶縁筐体304は、第1のケース304aと第2のケース304bとの間で第1のヒューズ素子部302を挟み込み、第2のケース304bと第3のケース304cとの間で第2のヒューズ素子部303を挟み込んだ状態で、これら第1のケース304a、第2のケース304b及び第3のケース304cを一体に組み合わせることによって構成されている。
【0131】
これにより、絶縁筐体304は、その軸線方向の両端から第1の端子306a及び第2の端子306bの他端側と、第3の端子309a及び第4の端子309bの他端側とを外部に露出した状態で、第1のヒューズ素子部302及び第2のヒューズ素子部303を保持すると共に、これら第1のヒューズ素子部302と第2のヒューズ素子部303との間を電気的に絶縁している。
【0132】
絶縁筐体304の内部には、第1のヒューズエレメント307が位置する溶断空間312と、第2のヒューズエレメント310Aが位置する切断空間313とが設けられている。また、溶断空間312には、スライダ314が配置されている。さらに、溶断空間312は、スライダ314を挟んで第1のヒューズエレメント307が位置する第1の空間312aと、切断空間313と接続された第2の空間312bとに分断されている。
【0133】
溶断空間312は、第1のヒューズエレメント307の中間に位置するように、第1のケース304aと第2のケース304bとの間に亘って、絶縁筐体304の軸線方向とは直交する空間を形成している。溶断空間312の形状については、特に限定されないものの、例えば円形シリンダ状や直方体状などを挙げることができる。
【0134】
切断空間313は、第2のヒューズエレメント310Aの中間に位置するように、第2のケース304bと第3のケース304cとの間に亘って、絶縁筐体304の軸線方向とは直交するスリット状の空間を形成している。なお、切断空間313の位置は、上述した第2のヒューズエレメント310Aの中間に限らず、例えば、第3の端子309a側にずれた位置であってもよい。
【0135】
一方、スライダ314は、例えばナイロン系、テフロン(登録商標)系、LCPなどの絶縁材料からなり、溶断空間312よりも薄い板状に形成されている。また、スライダ314は、その表面に絶縁処理を施した金属などであってもよい。具体的には、例えば表面にアルマイト処理を施したアルミニウム合金材料を用いることができる。
【0136】
スライダ314は、溶断空間312の第1のヒューズエレメント307(第1の空間312a)と第2のヒューズエレメント310A(第2の空間312b)との間に位置して、溶断空間312内に配置されている。これにより、スライダ314は、溶断空間312内において第2のヒューズエレメント310A側(本例では下側)に向かって移動自在に配置されている。
【0137】
また、スライダ314は、その第2の空間312bと対向する面(本例では下面)から突出された矩形平板状の切断部314aを有している。切断部314aは、第2の空間312bから切断空間313に向かって延長され、その先端が切断空間313に挿入されることによって、第2のヒューズエレメント310Aと当接している。
【0138】
絶縁カバー305は、後述する絶縁材料からなり、絶縁筐体304の外周面を全周に亘って覆う形状を有している。絶縁カバー305は、絶縁筐体304の全周を継ぎ目無く覆うことで、後述する第1のヒューズエレメント307の溶断時のアーク放電よって、絶縁筐体304が破壊されることを防ぐことが可能である。
【0139】
例えば、絶縁筐体304及び絶縁カバー305は、耐トラッキング指標CTI(トラッキング(炭化導電路)破壊に対する耐性)が500V以上の絶縁材料で形成されていることが好ましい。なお、耐トラッキング指標CTIは、IEC60112に基づく試験により求めることができる。
【0140】
具体的に、これら絶縁筐体304及び絶縁カバー305の絶縁材料としては、セラミック材料よりも熱容量が小さく融点も低い樹脂材料を用いることが好ましい。また、樹脂材料には、ガス化冷却(アブレーション)によるアーク放電を弱める特性や、第1のヒューズエレメント307の溶融飛散した金属粒子が絶縁筐体304に付着する際に、絶縁カバー305の表面が変形したり付着物が凝集したりすることで、疎らとなり伝導パスを形成し難い特性がある。
【0141】
具体的な樹脂材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂やフッ素系樹脂を用いることができる。ポリアミド系樹脂は、脂肪族ポリアミドであってもよいし、半芳香族ポリアミドであってもよい。
【0142】
脂肪族ポリアミドの例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66を挙げることができる。半芳香族ポリアミドの例としては、ナイロン6T、ナイロン9T、ポリフタルアミド(PPA)樹脂を挙げることができる。フッ素系樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレンを挙げることができる。また、ポリアミド系樹脂及びフッ素系樹脂は、耐熱性が高く、燃焼しにくい。
【0143】
特に、脂肪族ポリアミドは、燃焼してもグラファイトが生成しにくい。このため、脂肪族ポリアミドを用いて、絶縁筐体304及び絶縁カバー305を形成することで、後述する第1のヒューズエレメント307の溶断時のアーク放電により生成されたグラファイトによって、新たな電流経路が形成されることをより確実に防止することが可能である。
【0144】
以上のような構成を有する保護素子301は、例えば図1等に示すような保護回路1A等に好適に用いられる。具体的に、この保護回路1Aでは、サブヒューズとなる第1のヒューズ素子部302の一端側に補助電源40が接続され、第1のヒューズ素子部302の他端側にスイッチ60を介して第1の制御デバイス50が接続される。一方、メインヒューズとなる第2のヒューズ素子部303の一端側に複数の二次電池セル20が接続され、第2のヒューズ素子部303の他端側に外部負極端子30bが接続される。
【0145】
例えば電気自動車(EV)の事故など、主電源が搭載された機器の破損による異常を第1の制御デバイス50が検出した場合に、第1の制御デバイス50が遮断信号をスイッチ60に供給し、スイッチ60をオン(ON)にすることによって、補助電源40から第1のヒューズ素子部302へと溶断電流を供給する。
【0146】
ここで、溶断電流は、第1のヒューズエレメント307を溶断するのに十分な大きさの電流である。一方、溶断電流は、第2のヒューズ素子部303に流れる定格電流よりも小さい電流である。
【0147】
この例の保護素子301では、図24に示すように、第1のヒューズ素子部302に溶断電流が供給されると、第1のヒューズエレメント307に溶断電流が流れて第1のヒューズエレメント307が溶断し、第1の空間312a内でアーク放電が発生する。
【0148】
このとき、溶断した第1のヒューズエレメント307の一部が蒸気化すると共に、第1の空間312a内の気体(例えば空気)が膨張することによって、第1の空間312a内の圧力が上昇する。さらに、第1の空間312a内の圧力が上昇するのに伴って、スライダ314が第2のヒューズエレメント310A側に向かって移動する。
【0149】
これにより、切断部314aの先端が第2のヒューズエレメント310Aを物理的に切断する。また、切断部314aが第2のヒューズエレメント310Aを切断した後は、切断空間313内において切断部314aが第2のヒューズエレメント310Aの切断部分を遮蔽する。その結果、複数の二次電池セル20と前記外部負極端子30bとの間が遮断された状態となる。
【0150】
また、本例の保護素子301では、メインヒューズである第2のヒューズ素子部303に過電流が流れた場合に、その過電流により第2のヒューズエレメント310Aが溶断する。これにより、複数の二次電池セル20と前記外部負極端子30bとの間が遮断された状態となる。
【0151】
以上のように、この保護素子301では、高電圧且つ大電流に対応することが可能であり、過電流の遮断と、遮断信号による遮断機能とを両立させることが可能である。
【0152】
(ヒューズエレメントの他の例)
図25A及び図26Aは、ヒューズエレメントの他の例を示す模式図である。図25B及び図26Bは、図25A及び図26Aに示すヒューズエレメントの一部が溶断した状態を示す模式図である。図27は、保護素子の他の例を示す断面図である。
例えば、ヒューズエレメント210は、金属製の板状部材、シート状部材、または金属箔等により構成されてもよい。例えば、ヒューズエレメントを複数有し、複数のヒューズエレメントは、第1端子291と第2端子292との間に並列に接続されてもよい。例えば、ヒューズエレメント210は、上下方向に並んで2つ設けられてもよい。ただしこれに限らず、ヒューズエレメント210は、1つのみ設けられていてもよいし、上下方向に3つ以上並んで設けられていてもよい。
【0153】
ヒューズエレメント210は、第1エレメント211と、第1エレメント211と通電経路上で直列に接続された第2エレメント212及び第3エレメント213と、第1エレメント211の第1端部211a(一方の端部)と第2エレメント212の一方の端部とを接続する接続金属286と、第1エレメント211の第2端部211b(他方の端部)と第3エレメント213の一方の端部とを接続する前記接続金属286と、を有する。なお、第2エレメント212の他方の端部、又は、第3エレメント213の他方の端部は、第1端子291または第2端子292と接続される。
【0154】
第1エレメント211は、第2エレメント212及び第3エレメント213の各々よりも溶融温度が低い材料により構成される。また、第1エレメント211が、第2エレメント212及び第3エレメント213の各々よりも電気抵抗率が低い。
この例においては第1エレメント211が、過電流遮断時及びアクティブ遮断時のそれぞれにおいて、ヒューズエレメント210の溶断部として機能する。
【0155】
第1エレメント211は、板状、シート状または箔状であり、上下方向と垂直な面方向(X-Y面方向)に広がる。例えば、第1エレメント211は、上下方向から見て、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きい四角形板状をなす。第1エレメント211は、例えば、ヒューズエレメント210の前後方向の中央部に配置される。
【0156】
第1エレメント211は、銀、又は、銀を主成分とする合金からなる。第1エレメント211は、Ag単体であってもよいし、Ag合金であってもよい。Ag合金は合金に含まれる金属の中でAgの含有量が最も多い合金である。すなわち、第1エレメント211は、Ag、または、Agを主成分として構成されていてもよい。
【0157】
特に図示しないが、第1エレメント211は、Sn(錫)を含む低融点金属層と、Ag(銀)を含む高融点金属層とが積層された積層体を有してもよい。この積層体は、低融点金属層を1層以上有し、高融点金属層を2層以上有し、低融点金属層が高融点金属層の間に配置された構成であってもよい。この積層体は、例えば、低融点金属層の周囲を高融点金属層でコーティングして形成されていてもよい。
【0158】
上記積層体の低融点金属層は、Snを含んでいればよく、Sn単体であってもよいし、Sn合金であってもよい。Sn合金は、Snを主成分とする合金である。すなわち、低融点金属層は、Sn若しくはSnを主成分として構成される。Sn合金は、合金に含まれる金属の中でSnの含有量が最も多い合金である。Sn合金の例としては、Sn-Bi合金、In-Sn合金、Sn-Ag-Cu合金等を挙げることができる。
【0159】
上記積層体の高融点金属層は、Agを含んでいればよく、Ag単体であってもよいし、Ag合金であってもよい。Ag合金は合金に含まれる金属の中でAgの含有量が最も多い合金である。すなわち、高融点金属層は、Ag、または、Agを主成分として構成されていてもよい。
【0160】
なお上記積層体は、低融点金属層/高融点金属層の2層構造であってもよい。あるいは、高融点金属層を2層以上有し、低融点金属層が1層以上で、低融点金属層が高融点金属層の間に配置された3層以上の多層構造であってもよい。
また、第1エレメント211は、Agを含む高融点金属層の単層体により構成されていてもよい。
【0161】
また、第1エレメント211の厚みZ1は、第2エレメント212の厚みZ2及び第3エレメント213の厚みZ3の各々よりも薄い(図25A図26A参照)。この例では、第1エレメント211の厚みZ1は、第2エレメント212の厚みZ2及び第3エレメント213の厚みZ3の各々の半分以下である。この例では、第1エレメント211の厚みZ1は、第2エレメント212の厚みZ2及び第3エレメント213の厚みZ3の各々の1/4程度である。例えば、第1エレメント211の厚みZ1は、10μm以上30μm以下の厚みに設定されてもよい。
【0162】
本発明者は、鋭意検討の結果、第1エレメント211がAg単体である場合であっても、この厚みを変えることで、第1エレメント211の抵抗値を上記積層体の抵抗値に近づけることができることを見出した。例えば、第1エレメント211は、厚み20μmの銀箔(以下、Ag20μmともいう。)であってもよい。本発明者は、ヒューズ抵抗試算により、Ag20μmの抵抗値は、銀めっき付き錫合金、具体的には、厚み70μmの錫箔の両面に厚み3.5μmの銀めっきを施したもの(Sn70μm+Ag3.5μm両面めっき)の抵抗値と略同じとなることを確認した。
【0163】
第2エレメント212及び第3エレメント213の各々は、板状、シート状または箔状である。例えば、第2エレメント212及び第3エレメント213の各々が、上下方向から見て、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が長い略四角形板状をなす。第2エレメント212及び第3エレメント213の各々は、ヒューズエレメント210に複数設けられる。第2エレメント212及び第3エレメント213の各々は、例えば、ヒューズエレメント210の前後方向の両端部に配置される。
【0164】
この例では、第1端子291と第1エレメント211の第1端部(後端部)211aとを接続する第2エレメント212と、第2端子292と第1エレメント211の第2端部(前端部)211bとを接続する第3エレメント213と、を含む。すなわち、各ヒューズエレメント210が、一対の第2エレメント212及び第3エレメント213を有する。
【0165】
この例では、第2エレメント212、第1エレメント211、第3エレメント213の順に直列接続することで、ヒューズエレメント210の通電経路を形成する。第2エレメント212及び第3エレメント213の各々は、ヒューズエレメント210の電流が流れる通電方向(本例では略前後方向に相当)において、第1エレメント211の両端部211a,211bに接続される。
【0166】
例えば、図25Aに示すように、第1エレメント211の第1端部211aが、第2エレメント212の前端面の上下中央部に固定されていてもよい。すなわち、第1エレメント211の第1端部211aの後端面と、第2エレメント212の前端面とが、接続されていてもよい。
また、第1エレメント211の第2端部211bが、第3エレメント213の後端面の上下中央部に固定されていてもよい。すなわち、第1エレメント211の第2端部211bの前端面と、第3エレメント213の後端面とが、接続されていてもよい。
第1エレメント211は、第2エレメント212及び第3エレメント213の各々の端面間に配置されて、これらの間に掛け渡されていてもよい。
【0167】
また例えば、図26Aに示すように、第1エレメント211の第1端部211aが、第2エレメント212の前端部上に固定されていてもよい。すなわち、第1エレメント211の第1端部211aの下面と、第2エレメント212の前端部の上面とが、接続されていてもよい。
また、第1エレメント211の第2端部211bが、第3エレメント213の後端部上に固定されていてもよい。すなわち、第1エレメント211の第2端部211bの下面と、第3エレメント213の後端部の上面とが、接続されていてもよい。
第1エレメント211は、第2エレメント212及び第3エレメント213の各々の上側に配置されて、これらの間に掛け渡されていてもよい。
【0168】
この例では、ヒューズエレメント210に流れる過電流に伴う発熱により、接続金属286が溶融し、接続金属286の溶融物が第1エレメント211の一方の端部211a又は他方の端部211bを溶解することで、少なくとも第1エレメント211を溶断する(図25B図26B参照)。図の例では、接続金属286の溶融物が第1エレメント211の一方の端部211aを溶解することで、第1エレメント211の一部が溶断されている状態を示す。
【0169】
また本例では、発熱体280を有し、発熱体280が発熱することで接続金属286が溶融し、接続金属286の溶融物が第1エレメント211の一方の端部211a又は他方の端部211bを溶解することで、少なくとも第1エレメント211を溶断する(図25B図26B参照)。図の例では、接続金属286の溶融物が第1エレメント211の一方の端部211aを溶解することで、第1エレメント211の一部が溶断されている状態を示す。
【0170】
第2エレメント212及び第3エレメント213は、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなる。第2エレメント212及び第3エレメント213は、AgもしくはCuを含んでいればよく、Ag単体であってもよいし、Cu単体であってもよいし、Ag合金であってもよいし、Cu合金であってもよい。Ag合金は合金に含まれる金属の中でAgの含有量が最も多い合金であり、Cu合金は、合金に含まれる金属の中でCuの含有量が最も多い合金である。すなわち、第2エレメント212及び第3エレメント213は、Ag若しくはCu、または、Ag若しくはCuを主成分として構成されていてもよい。
【0171】
接続金属286は、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる。接続金属286は、Snを含んでいればよく、Sn単体であってもよいし、Sn合金であってもよい。Sn合金は、Snを主成分とする合金である。すなわち、接続金属286は、Sn若しくはSnを主成分として構成されてもよい。Sn合金は、合金に含まれる金属の中でSnの含有量が最も多い合金である。Sn合金の例としては、Sn-Bi合金、In-Sn合金、Sn-Ag-Cu合金等を挙げることができる。
【0172】
(保護素子の他の例)
保護素子の他の例について、図27図30を参照して説明する。図27は、本例の保護素子250を示す断面図であり、具体的には、保護素子250を幅方向(Y方向)と垂直な断面(X-Z断面)として表す断面図である。
保護素子250は、絶縁ケース260と、ヒューズエレメント210と、第1端子291と、第2端子292と、絶縁部材240と、遮蔽部材220と、押圧手段230と、発熱体280と、係止部材270と、給電部材290と、を有する。
【0173】
(絶縁ケース)
絶縁ケース260は、上下方向(Z方向)に積層して配置される少なくとも2つ(本例では3つ)の保持部材260Ba、260Bb、260Bcと、これらの保持部材260Ba、260Bb、260Bcを収容する筒状のカバー260Aと、を有する。カバー260Aは、複数の保持部材260Ba、260Bb、260Bcの外側に嵌め合わされる。
【0174】
少なくとも2つの保持部材260Ba、260Bbは、上下方向において、ヒューズエレメント210の両側に配置される。具体的に、3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、最も下方に配置される第1保持部材260Baは、ヒューズエレメント210の下方に配置される。また、3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、第2保持部材260Bbは、ヒューズエレメント210の上方に配置される。3つの保持部材260Ba、260Bb、260Bcのうち、第3保持部材260Bcは、最も上方に配置される。
【0175】
第1保持部材260Baは、その底壁の上面に配置されて上側を向く内底面253を有する。すなわち、絶縁ケース260は、内底面253を有する。内底面253は、絶縁部材240の開口部若しくは分離部に沿って延びる溝254を有する。溝254は、幅方向(Y方向)に沿って延び、上側に開口する。
【0176】
第2保持部材260Bbは、発熱体収容凹部261を有する。発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)の内側(中央側)を向く内面に配置される。具体的に、発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、上端部に位置する。発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、発熱体収容凹部261の下側に隣接する部分よりも、通電方向の外側に凹む。
発熱体収容凹部261の配置は、通電方向(X方向)の内側(中央側)を向く内面に限定されず、例えば、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されても良い。
【0177】
発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面において、互いに通電方向に向かい合って一対設けられる。すなわち、一対の発熱体収容凹部261は、第2保持部材260Bbの側壁の内面のうち、通電方向の第1端子291側(+X側)の端部と、第2端子292側(-X側)の端部とに配置される。
発熱体収容凹部261は、一対に限定されず、片方に一つ配置されても良い。
【0178】
図29は、図27の保護素子250の一部を模式的に示す断面図であり、具体的には、幅方向と垂直な断面(X-Z断面)を表している。図29に示すように、第2保持部材260Bb(すなわち絶縁ケース260)は、第2段部263を有する。第2段部263は、発熱体収容凹部261の下端部に配置され、上側を向く。第2段部263は、一対の発熱体収容凹部261に、それぞれ(すなわち一対)設けられる。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、発熱体収容凹部261に第2段部263が一つ設けられる。
【0179】
図27に示すように、第3保持部材260Bcは、押圧手段収容凹部262を有する。
押圧手段収容凹部262は、第3保持部材260Bcの頂壁の下面に配置され、上側に凹む。
図27は押圧手段230が円錐バネであり、その上側の径が下側の径より小さい場合であるが、円錐バネの上側の径が下側の径より広い場合や円柱バネの場合は、押圧手段収容凹部262は無くても良い。
【0180】
絶縁ケース260は、ヒューズエレメント210と、第1端子291の一部と、第2端子292の一部と、絶縁部材240と、遮蔽部材220と、押圧手段230と、発熱体280と、係止部材270と、給電部材290の一部とを収容する。
【0181】
(ヒューズエレメント)
ヒューズエレメント210は、上下方向(厚さ方向)に並んで複数設けられる。本例では、4つのヒューズエレメント210が上下方向に並列配置される。上下方向に隣り合うヒューズエレメント210間、および、最上部に位置するヒューズエレメント210(210f)の上側(外側)には、それぞれ、絶縁部材240が配置される。
【0182】
また、最下部に位置するヒューズエレメント210(210a)の下側(外側)には、第1保持部材260Baの内底面253が近接若しくは接触した状態で配置される。すなわち、内底面253は、ヒューズエレメント210の遮蔽部材220とは反対側(つまり下側)に近接若しくは接触させた状態で配置される。より詳しくは、内底面253は、複数のヒューズエレメント210の遮蔽部材220とは反対側の最外層(ヒューズエレメント210a)の外側に近接若しくは接触させた状態で配置される。
【0183】
ヒューズエレメント210は、通電方向に延びる板状である。ヒューズエレメント210の一対の面(おもて面および裏面)は、上下方向を向く。なお上下方向は、ヒューズエレメント210の面に対して垂直な方向であることから、垂直方向と言い換えてもよい。複数のヒューズエレメント210は、垂直方向に並列に積層されている。
【0184】
ヒューズエレメント210は、互いに対向する第1端部251と第2端部252とを有する。すなわち、言い換えると、ヒューズエレメント210は、通電方向の両端部に配置される第1端部251と第2端部252とを有する。
【0185】
(第1端子、第2端子)
第1端子291は、一方の端部が第1端部251と接続し他方の端部が絶縁ケース260から外部に露出する。具体的に、第1端子291の他方の端部は、絶縁ケース260から通電方向の第1端子291側(+X側)に突出する。
また第2端子292は、一方の端部が第2端部252と接続し他方の端部が絶縁ケース260から外部に露出する。具体的に、第2端子292の他方の端部は、絶縁ケース260から通電方向の第2端子292側(-X側)に突出する。
【0186】
(絶縁部材)
絶縁部材240は、上下方向に並んで複数設けられる。本例では、4つの絶縁部材240が上下方向に並列配置される。各絶縁部材240は、各ヒューズエレメント210に近接若しくは接触させた状態で配置される。絶縁部材240には、幅方向(Y方向)に延びる開口部若しくは分離部が形成されている。
【0187】
複数の絶縁部材240は、複数のヒューズエレメント210の間および外側に接触若しくは近接して配置されている。詳しくは、複数の絶縁部材240は、複数のヒューズエレメント210の遮蔽部材220側(つまり上側)の最外層(ヒューズエレメント210f)の外側(上側)に配置される絶縁部材240を含む。
【0188】
ただしこれに限らず、特に図示しないが、最上部に位置する絶縁部材240は、第2保持部材260Bbと一体に形成されて、第2保持部材260Bbの一部を構成していてもよい。この場合、複数の絶縁部材240は、複数のヒューズエレメント210の間に接触若しくは近接して配置される。
複数の絶縁部材240の各々の開口部若しくは分離部は、垂直方向から見て、互いに重なる。
【0189】
(遮蔽部材)
遮蔽部材220は、ヒューズエレメント210の上方に配置される。遮蔽部材220は、後述する係止部材270による下方移動の規制が解除されることで、押圧手段230の押圧力(応力、若しくは付勢力と言い換えてもよい)により、ヒューズエレメント210を分断するように、絶縁部材240の開口部若しくは分離部に挿入されつつ下方に移動可能である。
【0190】
なお、遮蔽部材220が移動する上下方向は、遮蔽部材220が絶縁部材240の開口部若しくは分離部に挿入される方向でもあることから、挿入方向と言い換えてよい。すなわち、遮蔽部材220は、挿入方向に移動可能である。
【0191】
遮蔽部材220は、凸状部220aと、押圧手段支持部220bと、を有する。
凸状部220aは、通電方向(X方向)と垂直な面(Y-Z面)方向に広がる板状である。凸状部220aの上端部は、押圧手段支持部220bと接続される。押圧手段支持部220bは、上下方向(Z方向)と垂直な面(X-Y面)方向に広がる略板状である。
【0192】
凸状部220aは、押圧手段支持部220bから下方に向けて突出する。詳しくは、凸状部220aは、絶縁部材240の開口部若しくは分離部、および、ヒューズエレメント210に向けて挿入方向に突出する。
【0193】
凸状部220aは、凸状部220aの下端部に配置され幅方向(Y方向)に延びる先端220aaを有する。なお、先端220aaは、刃部220aaと言い換えてもよい。幅方向と垂直な断面(X-Z断面)において、先端220aaは、下方に向けて凸となるV字状をなしている。
【0194】
押圧手段支持部220bは、凹部220baと、第1段部225と、を有する。すなわち、遮蔽部材220は、第1段部225を有する。凹部220baは、押圧手段支持部220bの上面から下方に凹む。
【0195】
図29に示すように、第1段部225は、押圧手段支持部220bの外側面から突出する。具体的に、本例では第1段部225が、押圧手段支持部220bの外側面のうち、通電方向(X方向)の両外側を向く部分に、それぞれ(つまり一対)設けられる。
【0196】
第1段部225は、遮蔽部材220の挿入方向を向いており、具体的には下側を向く。
挿入方向(上下方向)において、第1段部225と第2段部263とは、互いに反対側を向く。挿入方向から見て、第1段部225と第2段部263とは、互いに重ならない。
【0197】
(押圧手段)
図27に示すように、押圧手段230は、遮蔽部材220の上方に配置される。具体的に、押圧手段230は、押圧手段支持部220bの上面と、第3保持部材260Bcの下面との間に配置される。押圧手段230は、弾性変形可能な圧縮コイルバネ等のバネ(付勢部材)であり、本例では、下方へ向かに従い拡径する略円錐状をなしている。
【0198】
押圧手段230の下部は、押圧手段支持部220bの上面に設けられた凹部220baに配置(収容)される。押圧手段230の上部は、第3保持部材260Bcの下面に設けられた押圧手段収容凹部262に配置(収容)される。
【0199】
押圧手段230は、遮蔽部材220を遮蔽部材220の挿入方向(下方)に押圧する。
具体的に、押圧手段230は、上下方向に収縮して弾性変形させられた状態で保護素子250内に組み付けられ、復元変形力による押圧力(応力、付勢力)によって、押圧手段支持部220bを下方に向けて押圧する。
【0200】
(発熱体、給電部材)
図27および図29に示すように、発熱体280は、板状であり、その一対の面(おもて面および裏面)が通電方向(X方向)を向く。発熱体280は、発熱体収容凹部261に配置(収容)される。発熱体280は、一対の発熱体収容凹部261に、それぞれ(つまり一対)設けられる。本例において発熱体280は、係止部材270を加熱し、軟化させる。
発熱体収容凹部261が、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されている場合、発熱体280は発熱体収容凹部261に合わせた向きで配置される。すなわちこの場合、発熱体280の一対の面は、幅方向(Y方向)を向く。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、発熱体収容凹部261に発熱体280が一つ設けられる。
給電部材290は、発熱体280に電流を通電する。
【0201】
(係止部材)
本例の係止部材270は、例えば、四角形板状のはんだ素材にAgめっきをすること等により形成されている。係止部材270は、発熱体280と隣り合って配置される。
係止部材270と発熱体280とは、互いに対向して配置されており、本例ではこれら部材が対向する方向が、通電方向(X方向)である。係止部材270の一対の面(おもて面および裏面)は、通電方向(X方向)を向く。幅方向(Y方向)から見て、係止部材270の挿入方向(Z方向)の寸法L2は、係止部材270の通電方向の寸法(発熱体280から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも大きい。なお特に図示しないが、本例では、係止部材270の幅方向(Y方向)の寸法が、寸法L1、L2よりも大きい。すなわち、係止部材270は、幅方向を長手方向とする長方形板状である。
発熱体収容凹部261が、第2保持部材260Bbの側壁のうち、通電方向(X方向)と直交する幅方向(Y方向)の内側(中央側)を向く内面に配置されている場合、係止部材270は発熱体収容凹部261に合わせた向きで配置される。すなわちこの場合、係止部材270の一対の面は、幅方向(Y方向)を向き、係止部材270と発熱体280とが対向する方向は、幅方向(Y方向)である。またこの場合、通電方向(X方向)から見て、係止部材270の挿入方向(Z方向)の寸法L2は、係止部材270の幅方向(Y方向)の寸法(発熱体280から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも大きい。
【0202】
係止部材270は、一対の発熱体280と隣接するように配置されて、一対設けられる。
各係止部材270の一対の面(おもて面および裏面)のうち一方は、発熱体280に近接又は接触して配置される。係止部材270の一対の面のうち他方は、遮蔽部材220の押圧手段支持部220bの外側面に近接又は接触して配置される。
発熱体収容凹部261が片方に一つ配置されている場合は、係止部材270は一つの発熱体280と隣接するように配置される。
【0203】
また、係止部材270の挿入方向(上下方向)を向く一対の端面は、第1段部225と第2段部263とに挟まれる。すなわち、係止部材270は、挿入方向において、遮蔽部材220の押圧手段支持部220bと、絶縁ケース260の第2保持部材260Bbとの間に挟まれて、支持されている。このようにして係止部材270は、遮蔽部材220の挿入方向において、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に挟み込まれて係止される。
すなわち、係止部材270は、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に係止され、遮蔽部材220の移動を抑える。
【0204】
図28および図30は、保護素子250またはその一部を示す断面図(X-Z断面図)であり、遮蔽部材220が挿入方向に下方移動した状態を表している。
給電部材290から発熱体280に給電すると、発熱体280が発熱する。発熱体280が発熱すると、この熱により係止部材270が軟化する。係止部材270が軟化することによって、押圧手段230の押圧力により遮蔽部材220が係止部材270を分離しながら移動する。具体的には、例えば図30に示すように、軟化した係止部材270は、発熱体280側と遮蔽部材220側とに分離させられる。これにより、遮蔽部材220の下方移動が可能となる。
【0205】
係止部材270による遮蔽部材220の下方移動の規制が解除されると、遮蔽部材220は、押圧手段230の押圧力により下方へ移動する。遮蔽部材220は、絶縁部材240の開口部若しくは分離部を移動してヒューズエレメント210を切断することによって、ヒューズエレメント210の通電を遮断する。また遮蔽部材220は、ヒューズエレメント210を切断し、切断されたヒューズエレメント210の各部分同士をヒューズエレメント210の通電方向において遮蔽する。
【0206】
図28に示すように、本例では、遮蔽部材220が下方移動することで、凸状部220aの先端220aaが、溝254内に配置される。すなわち、遮蔽部材220の挿入方向の先端220aaは、溝254内に挿入可能である。遮蔽部材220は、全ての絶縁部材240の開口部若しくは分離部内を移動可能であり、本例ではさらに、溝254内を移動可能である。
【0207】
ここで、図31および図32に示すものは、図29の変形例の保護素子250の一部を示す断面図(X-Z断面図)である。この変形例では、前述した係止部材270の代わりに、例えば銅板等からなる一対の係止部材271と、例えばはんだ等からなり、一対の係止部材271間に配置されてこれらの係止部材271を固定する固定部材272と、を用いている。この変形例では、発熱体280が、固定部材272を加熱し、軟化させる。
【0208】
固定部材272が軟化することによって、押圧手段230の押圧力により遮蔽部材220が固定部材272を分離しながら移動する。具体的には、例えば図32に示すように、軟化した固定部材272は、固定部材272を挟む一対の係止部材271のうち、一方の係止部材271側と他方の係止部材271側とに分離させられる。これにより、遮蔽部材220の下方移動が可能となる。
【0209】
本例の保護素子250では、ヒューズエレメント210に定格電流を超えた過電流が流れた場合にヒューズエレメント210が熱的に溶断されて電流経路を遮断させる他、発熱体280に電流を通電して遮蔽部材220の移動を抑制している係止部材270若しくは固定部材272を軟化させ、押圧手段230の押圧力によって遮蔽部材220を移動させて、ヒューズエレメント210を物理的に切断して電流経路を遮断させることが可能である。
【0210】
また本例では、ヒューズエレメント210と絶縁部材240とが近接若しくは接触しており、好ましくは密着する。このため、ヒューズエレメント210と絶縁部材240との間にアーク放電が継続できる空間がなくなり、アーク放電が確実に消滅する。本例において係止部材270、271は、ヒューズエレメント210付近には配置されておらず、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間に設けられていて、これら部材に係止されることで遮蔽部材220の下方移動を規制している。
【0211】
したがって、係止部材270、271をヒューズエレメント210や絶縁部材240など、保護素子250の通電時(通常の使用時)に温度上昇する可能性のある部材から離して配置することができる。このため、各部材の温度上昇によって係止部材270、271の機能が影響を受けるようなことが抑えられる。
【0212】
また、押圧手段230の押圧力が、係止部材270、271を介してヒューズエレメント210や絶縁部材240に伝わることもないため、ヒューズエレメント210や絶縁部材240の機能についても長期にわたり良好に維持される。
【0213】
また、遮蔽部材220の凸状部220aの先端220aaを、ヒューズエレメント210および絶縁部材240により近づけて配置することが可能になる。これにより、絶縁ケース260の上下方向(挿入方向、厚さ方向)の外形寸法を小さく抑えることができ、保護素子250の小型化が可能となる。
【0214】
(本例の作用効果)
以上説明した本例のヒューズエレメント210は、銀、又は、銀を主成分とする合金からなる第1エレメント211と、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、第1エレメント211と通電経路上で直列に接続された第2エレメント212と、銀若しくは銅、又は、銀若しくは銅を主成分とする合金からなり、第1エレメント211と通電経路上で直列に接続された第3エレメント213と、錫、又は、錫を主成分とする合金からなり、第1エレメント211の一方の端部211aと第2エレメント212の一方の端部とを接続する接続金属286と、第1エレメント211の他方の端部211bと第3エレメント213の一方の端部とを接続する前記接続金属286と、を有する。
この構成によれば、定格電流の1.5倍といった比較的小さい過電流での遮断において、銀、又は、銀を主成分とする合金からなる第1エレメント211(以下、銀箔エレメント51ともいう。)と、錫、又は、錫を主成分とする合金からなる接続金属286(以下、錫の接続金属286ともいう。)との組み合わせにより、300℃程度でのヒューズエレメントの溶断が可能となる。これにより、絶縁ケース10を融点約300℃のプラスチックケースとした場合でも、ケースの破壊を抑制することができる。また、溶断部として、薄い銀箔エレメント51を採用することで、高電圧大電流遮断時の溶融飛散物量を削減することができる。このため、アーク放電の規模を小さくすることができ、絶縁抵抗を高く改善することができる。加えて、バネ遮断方式では、ビッカース硬さ25HV程度の柔らかく薄い銀箔エレメント51を遮断部に採用することで、切断時のバネ応力を軽減することができる。加えて、ヒーター溶断方式では、銀箔エレメント51と錫の接続金属286との組み合わせにより、300℃程度でのヒューズエレメント210の溶断が可能となる。したがって、300℃程度の低温で溶断し、溶融体積が少なく、切断し易いヒューズエレメント210を提供することができる。
また、銀箔エレメント51は、銅よりもはんだとの相性がよく、はんだの溶融によって銀箔が溶けることで、ヒューズエレメント210の通電を遮断することができる。さらに、銀箔は薄いので(体積が小さいので)、過電流遮断時の昇華によって絶縁抵抗が悪化することを抑えることができる。
【0215】
また本例の保護素子250では、上記のヒューズエレメント210を備えることで、過電流遮断とアクティブ遮断とを両立する保護素子250を提供することができる。
【0216】
また本例によれば、ヒューズエレメント210の溶断時に大規模なアーク放電が発生しにくく、絶縁ケース260のサイズを小型軽量化することが可能であると共に、高電圧大電流対応の過電流遮断と遮断信号による遮断機能を両立する保護素子250を提供することが可能となる。
【0217】
また本例では、発熱体280の発熱によって係止部材270若しくは固定部材272が軟化することで、遮蔽部材220が押圧手段230の押圧力によって係止部材270若しくは固定部材272を分離させつつ、下方へ移動する。遮蔽部材220の下方への移動規制が安定して解除されるため、ヒューズエレメント210の通電をより確実に遮断できる。
【0218】
また本例では、遮蔽部材220が下方移動したときに、凸状部220aの先端220aaが絶縁ケース260の内底面253の溝254内に挿入される。これにより、内底面253に近接若しくは接触されるヒューズエレメント210を、遮蔽部材220によって確実に切断することができる。
【0219】
また本例では、幅方向(Y方向)から見て、係止部材270の通電方向の寸法(発熱体280から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも、係止部材270の挿入方向の寸法L2が大きい。若しくは、通電方向(X方向)から見て、係止部材270の幅方向の寸法(発熱体280から係止部材270に向かう方向の寸法)L1よりも、係止部材270の挿入方向の寸法L2が大きい。
上記構成によれば、係止部材270の挿入方向のせん断力が高められるため、絶縁ケース260と遮蔽部材220との間で、係止部材270を安定して保持(係止)できる。
【0220】
また本例では、係止部材270、271の挿入方向を向く一対の端面が、第1段部225と第2段部263とに挟持されており、挿入方向から見て、第1段部225と第2段部263とが、互いに重ならない。
上記構成によれば、係止部材270若しくは係止部材271を固定する固定部材272が軟化し、押圧手段230の押圧力によって遮蔽部材220が下方移動したときに、係止部材270、271を保持していた第1段部225と第2段部263とが、挿入方向において確実にすれ違う。このため、第1段部225および第2段部263によって、遮蔽部材220の下方移動が妨げられるようなことがなく、ヒューズエレメント210の電流の遮断が確実に行われる。
【0221】
次に、他の変形例の保護素子250について、図33図37を参照して説明する。図33に示すように、この変形例では、押圧手段支持部220bは、前述した凹部220baと、第1段部225と、に加え、さらに、第3段部226を有する。すなわち、遮蔽部材220は、第1段部225及び第3段部226を有する。
【0222】
図33に示すように、第3段部226は、第1段部225の下方に配置される。第3段部226は、押圧手段支持部220bの外側面から突出する。具体的に、本例では第3段部226が、押圧手段支持部220bの外側面のうち、通電方向(X方向)の両外側を向く部分に、それぞれ(つまり一対)設けられる。なお、図33においては、-X方向の外側を向く部分を示す。
【0223】
第3段部226は、遮蔽部材220の挿入方向を向いており、具体的には上側を向く。挿入方向(上下方向)において、第3段部226と第1段部225とは、互いに反対側を向く。挿入方向(上下方向)において、第3段部226と第2段部263とは、互いに同じ側を向く。挿入方向から見て、第3段部226と第2段部263とは、互いに重ならない。挿入方向から見て、第3段部226と第1段部225とは、互いに重なる。
【0224】
またこの変形例では、前述した一対の係止部材271のうちの一方が分割されている。この変形例では、一対の係止部材271のうち、分割されていない係止部材271を「第1係止部材271A」といい、分割されている係止部材271を「第2係止部材271B」ということがある。図35及び図36に示すように、この変形例では、第2係止部材271Bは、幅方向(Y方向)に離間して一対設けられる。この変形例では、固定部材272は、例えばはんだ等からなり、一対の係止部材271間(具体的には、第1係止部材271Aと第2係止部材271Bとの間)に配置されてこれらの係止部材271を固定している。この変形例では、発熱体280が、固定部材272を加熱し、軟化させる。
【0225】
固定部材272が軟化することによって、押圧手段230の押圧力により遮蔽部材220が固定部材272を分離しながら移動する。具体的には、例えば図32に示したように、軟化した固定部材272は、固定部材272を挟む一対の係止部材271のうち、一方の係止部材271側(第1係止部材271A側)と他方の係止部材271側(第2係止部材271B側)とに分離させられる。これにより、遮蔽部材220の下方移動が可能となる。
【0226】
発熱体280は、板状であり、その一対の面(おもて面および裏面)が通電方向(X方向)を向く。この変形例では、絶縁基板281(発熱体280)の一対の面(おもて面および裏面)のうち一方の面には、給電部材290を接続するための一対の第3電極部285と一対の発熱体電極286が形成されている。
【0227】
図34及び図35に示すように、発熱体280は、絶縁基板(基板)281と、絶縁基板281上に積層された抵抗層282と、絶縁基板281上に積層され、前後方向において遮蔽部材220側を向く金属層283と、絶縁層284と、一対の第3電極部285と、一対の発熱体電極286と、を有する。この変形例では、発熱体280が左右方向(Y軸方向)に長く、絶縁基板281、抵抗層282及び絶縁層284も、それぞれ左右方向に長い。
【0228】
詳しくは、図34及び図35に一例として示すように、発熱体280は、絶縁基板281の一対の面(おもて面および裏面)のうち一方の面(この変形例では、第2保持部材260Bbの側壁の内面を向く面)に抵抗層282と、この抵抗層282を覆う絶縁層284と、絶縁基板281の一方の面上に形成され、抵抗層282に電気的に接続される一対の発熱体電極286と、一対の第3電極部285と、絶縁基板281の一対の面(おもて面および裏面)のうち他方の面(この変形例では、遮蔽部材220を向く面)に配置される金属層283と、を有する。
【0229】
この変形例では、一対の発熱体電極286が、左右方向に長く抵抗層282の上部に接続される第1発熱体電極286aと、左右方向に長く抵抗層282の下部に接続される第2発熱体電極286bと、を有する。
第3電極部285は、絶縁基板281の一方の面のうち左右方向の端部に配置される。第3電極部285は、左右方向に離間して一対設けられる。第3電極部285の少なくとも一部は、絶縁層284に覆われることなく発熱体280の外部に露出する。
【0230】
金属層283は、絶縁基板281の一対の面(おもて面および裏面)のうち他方の面(この変形例では、遮蔽部材220を向く面)に配置される。この変形例では、金属層が、左右方向に長い第1金属部283aと、第1金属部283aから離間し左右方向に長い第2金属部283bと、を有する。第1金属部283aは、一対の第3電極部285のうちの一方(285a)にスルーホールを介して電気的に接続される。第2金属部283bは、一対の第3電極部285のうちの他方(285b)にスルーホールを介して電気的に接続される。
【0231】
この変形例では、一対の第2係止部材271Bのうちの一方は、第1金属部283aにはんだ等の固定部材272で固定される。一対の第2係止部材271Bのうちの他方は、第2金属部283bにはんだ等の固定部材272で固定される。
【0232】
抵抗層282は、通電すると発熱する導電性を有する材料、例えばニクロム、W、Mo、Ru等、又は、これらを含む材料からなる。抵抗層282は、これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板281上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成し、焼成する等によって形成する。
【0233】
絶縁基板281は、例えば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する基板である。絶縁層284は、抵抗層282の保護を図るために設けられる。絶縁層284の材料としては、例えば、セラミックス、ガラスなどの絶縁材料を用いることができる。絶縁層284は、絶縁材料のペーストを塗布し、焼成する方法等によって形成することができる。
【0234】
発熱体280は、保護素子250の通電経路となる外部回路に異常が発生する等によって通電経路を遮断する必要が生じた場合に、外部回路に設けられた電流制御素子によって通電され発熱される。
【0235】
図37に示すように、この変形例では、第1係止部材271Aが発熱体280における通電経路の一部を構成する。例えば、通電経路に沿って図28に示す矢印方向に電流が流れる。この変形例では、第1係止部材271Aが遮蔽部材220と共に下方移動することで、通電経路が遮断される。このため、通電を自動的に停止させることができる。図36中符号289は、一対の第2係止部材271Bの間に形成される通電停止部289を示す。
【0236】
この変形例では、第1係止部材271Aが第3段部226上に配置される。このため、通電経路が遮断された場合に、第1係止部材271Aが落下することを抑制することができる。
なお、第1係止部材271Aにおいて、第2係止部材271Bとは反対側の面(遮蔽部材を向く面)には、接着層が設けられてもよい。
【0237】
(保護素子の他の例)
図38は、他の変形例の保護素子250の一部を示す断面図(X-Z断面図)である。この変形例では、絶縁ケース260の2つの保持部材260Ba、260Bbのうち、一方若しくは両方が、絶縁部材240と一体に形成される。図示の例では、2つの保持部材260Ba、260Bbのうち一方(保持部材260Bb)が、絶縁部材240と一体に形成されている。また、ヒューズエレメント210は単層(1つ)のみ設けられる。
【0238】
上記構成では、絶縁部材240が保持部材260Ba、260Bbと一体化している。このため、部品点数を削減して保護素子250の製造を容易化したり、製造コストを削減したりすることができる。
【0239】
本発明の保護回路は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0240】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例および参考例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0241】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K,1L,1M,1N,1P,1Q,1R,1S,1T,1U 保護回路
10A,10B 保護素子、
11 第1の端子
12 第2の端子
13 第3の端子
14 第4の端子
15 可溶導体
16 アクチュエータ
20 二次電池セル
30a 外部正極端子
30b 外部負極端子
40 補助電源
50 第1の制御デバイス(制御デバイス)
60 スイッチ
91 異常検知器
P1,P1,P1,P1,P1,P1 第1の通電経路
P2,P2,P2,P2,P2,P2 第2の通電経路
P3,P3,P3 第3の通電経路

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40