(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110150
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】成形用材料
(51)【国際特許分類】
C08L 1/02 20060101AFI20240807BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240807BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C08L1/02
C08L75/04
C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014552
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】藤田 智博
(72)【発明者】
【氏名】青田 雅明
(72)【発明者】
【氏名】平岩 卓
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA01W
4J002AB01X
4J002BB03W
4J002BB12W
4J002BG00
4J002CF00
4J002CF03W
4J002CF18W
4J002CK02Y
4J002FA04
4J002FA04X
4J002FA04Y
4J002GG01
4J002HA09
(57)【要約】
【課題】セルロース繊維を含み、かつ、衝撃強さおよび曲げ強さの両方に優れ、かつ、発塵が抑制された成形体の製造に好適に用いることができる成形用材料を提供すること。
【解決手段】本発明の成形用材料は、セルロース繊維と、バインダーと、ウレタン繊維とを含む。本発明の成形用材料中における前記セルロース繊維の含有量が2質量%以上40質量%以下であるのが好ましい。前記セルロース繊維の平均長さは3mm未満であるのが好ましい。本発明の成形用材料中における前記バインダーの含有量は35質量%以上94質量%以下であるのが好ましい。本発明の成形用材料中における前記ウレタン繊維の含有量は2質量%以上40質量%以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維と、バインダーと、ウレタン繊維とを含む、成形用材料。
【請求項2】
前記セルロース繊維の含有量が2質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の成形用材料。
【請求項3】
前記セルロース繊維の平均長さが3mm未満である、請求項1または2に記載の成形用材料。
【請求項4】
前記セルロース繊維の平均径が100μm未満である、請求項1または2に記載の成形用材料。
【請求項5】
前記バインダーの含有量が35質量%以上94質量%以下である、請求項1または2に記載の成形用材料。
【請求項6】
前記ウレタン繊維の含有量が2質量%以上40質量%以下である、請求項1または2に記載の成形用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、セルロース繊維および樹脂を含む材料を用いて製造された成形体が知られている。例えば、特許文献1には、十分に高い曲げ弾性率(剛性)と優れた衝撃強度とを両立した成形体を提供することを目的として、熱可塑性樹脂と、セルロース繊維と、該セルロース繊維とは異なる有機繊維とを含有するセルロース繊維強化熱可塑性樹脂成形体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のセルロース繊維強化熱可塑性樹脂成形体では、衝撃強度の向上は認められるものの、セルロース繊維強化熱可塑性樹脂成形体からの繊維の脱落が顕著であるため、発塵等が問題となる環境で使用されるもの、より具体的には、例えば、流体の流路を有する部材や当該部材の周辺に配置される部材、インクカートリッジ、各種容器、各種什器等には、適さないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することができる。
【0006】
本発明の適用例に係る成形用材料は、セルロース繊維と、バインダーと、ウレタン繊維とを含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]成形用材料
【0008】
まず、本発明の成形用材料について説明する。
本発明の成形用材料は、セルロース繊維と、バインダーと、ウレタン繊維とを含む。
【0009】
このような構成により、セルロース繊維を含み、かつ、衝撃強さおよび曲げ強さの両方に優れ、かつ、発塵が抑制された成形体の製造に好適に用いることができる成形用材料を提供することができる。
【0010】
このような優れた効果が得られるのは、以下のような理由によると考えられる。すなわち、理論上の強度が高く、形状の保持性に優れたセルロースおよびバインダーを含むとともに、セルロース繊維およびバインダーとの相溶性、親和性に優れたウレタンを含むことにより、これらの成分の機能が相殺してしまうことを防止、抑制して、これらの成分の機能を十分に発揮させることができる。より具体的には、成形用材料を用いた成形体の製造時や、成形用材料を用いて製造される成形体において、セルロース繊維およびバインダーの機能を十分に発揮させつつ、セルロース繊維に対するバインダーの濡れ性を高めることができ、成形体を構成する異なる成分間での界面剥離を好適に防止、抑制することができる。その結果、上記のような優れた効果が得られるものと考えられる。また、成形体を構成する異なる成分間での界面剥離を好適に防止、抑制することができるため、発塵等の問題が効果的に防止された成形体を得ることができる。
【0011】
また、植物由来で豊富な天然素材であるセルロース繊維を含むことにより、環境問題や埋蔵資源の節約等に好適に対応することができるとともに、成形用材料やそれを用いて製造される成形体の安定供給、コスト低減等の観点からも有利である。また、セルロース繊維は、例えば、バージンパルプ以外にも、古紙、古布等にも多く含まれる成分であり、資源の有効的な再利用を促進する観点からも有利である。
【0012】
また、ウレタン繊維は、廃衣料等に多く含まれるものの、例えば、混紡品等のように他の成分と混合されている場合に当該他の成分から単離することが困難であり、また、200℃以上の熱加工時に有毒ガスを発生させるため、従来においては、再利用が困難であり、焼却処理が困難であったが、本発明によれば、廃衣料等に含まれるウレタン繊維を好適に再利用することができる。
【0013】
一方、上記のような条件を満たさない場合には、満足のいく結果が得られない。
例えば、セルロース繊維およびバインダーを含んでいても、ウレタンを含んでいないと、セルロース繊維に対するバインダーの濡れ性を十分に優れたものとすることができず、成形用材料を用いて製造される成形体中において、異なる成分間での界面剥離が生じやすくなり、成形体の強度を十分に優れたものとすることができない。また、成形用材料を用いて製造される成形体は、発塵の問題が生じやすくなる。
【0014】
また、セルロース繊維およびウレタン繊維を含んでいても、バインダーを含んでいないと、成形体の成形性が著しく低下し、成形体そのものの製造が困難になる。
【0015】
また、バインダーおよびウレタン繊維を含んでいても、セルロース繊維を含んでいないと、上述したようなセルロース繊維を含むことによる効果が発揮されず、成形用材料を用いて製造される成形体の強度は著しく低いものとなる。
【0016】
[1-1]セルロース繊維
本発明の成形用材料は、セルロース繊維を含んでいる。
【0017】
セルロース繊維は、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体の形状の保持に大きく寄与するとともに、成形体の強度等の特性に大きな影響を与える成分である。
【0018】
セルロースは、植物由来で豊富な天然素材である。そのため、セルロース繊維を用いることにより、環境問題や埋蔵資源の節約等に好適に対応することができるとともに、成形用材料やそれを用いて製造される成形体の安定供給、コスト低減等の観点からも好ましい。また、セルロース繊維は、各種繊維の中でも、理論上の強度が特に高いものであり、成形体の強度の向上の観点からも有利である。
【0019】
セルロース繊維としては、バージンパルプを用いてもよいし、古紙、古布等を再利用してもよい。
【0020】
セルロース繊維は、通常、主としてセルロースで構成されたものであるが、セルロース以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ヘミセルロース、リグニン等が挙げられる。
【0021】
また、セルロース繊維としては、漂白等の処理が施されたものを用いてもよい。
セルロース繊維としては、例えば、コットン、麻、レーヨン、キュプラ等が挙げられる。
【0022】
セルロース繊維の平均長さは、特に限定されないが、3mm未満であるのが好ましく、50μm以上500μm未満であるのがより好ましく、100μm以上400μm未満であるのがさらに好ましい。
【0023】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。また、成形用材料を用いて製造される成形体における発塵を、より効果的に防止、抑制することができる。また、成形用材料を用いて製造される成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる。なお、繊維長は、ISO 16065-2:2007に準拠した方法にて求められる。
【0024】
セルロース繊維の平均径は、特に限定されないが、100μm未満であるのが好ましく、3μm以上50μm未満であるのがより好ましく、5μm以上20μm未満であるのがさらに好ましい。
【0025】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。また、成形用材料を用いて製造される成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる。
【0026】
セルロース繊維の平均アスペクト比、すなわち、平均径に対する平均長さは、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上100以下であるのがより好ましい。
【0027】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の形状の安定性、強度等をより優れたものとすることができる。また、成形用材料を用いて製造される成形体における発塵を、より効果的に防止、抑制することができる。また、成形用材料を用いて製造される成形体の表面に不本意な凹凸が生じることをより効果的に防止することができる。
【0028】
本発明の成形用材料中におけるセルロース繊維の含有量は、2質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、3質量%以上35質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0029】
これにより、前述した本発明による効果がより顕著に発揮される。また、成形体の成形性をより優れたものとすることができ、成形体の生産性を向上させるうえでも有利である。
【0030】
[1-2]バインダー
本発明の成形用材料は、バインダーを含んでいる。
【0031】
バインダーを含むことにより、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体の靭性を高めることができ、成形体の耐衝撃性を十分に優れたものとすることができる。
【0032】
バインダーは、上記のような機能を発揮することができるものであれば、いかなるものであってもよいが、通常は、樹脂材料である。
【0033】
バインダーとしての樹脂材料、すなわち、バインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル等のポリエステル等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ポリオレフィンおよび脂肪族ポリエステルのうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0034】
これにより、バインダーとウレタンとの親和性をより優れたものとすることができ、前述したような効果がより顕著に発揮される。
【0035】
脂肪族ポリエステルは、芳香族性の化学構造を有していないポリエステルであり、構成モノマーのすべてが、芳香族性の化学構造を有していないポリエステルである。脂肪族ポリエステルとしては、例えば、構成モノマーとしての多価カルボン酸成分、多価アルコール成分のいずれもが、脂肪族性のアルキレン基を有するものが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルは、分子内に水酸基およびカルボキシル基を有するモノマーで構成されたものであってもよい。分子内に水酸基およびカルボキシル基を有するモノマーで構成された脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸等が挙げられる。
【0036】
脂肪族ポリエステルが、脂肪族性のアルキレン基を有する多価カルボン酸成分と、脂肪族性のアルキレン基を有する多価アルコール成分とが重合した化学構造を有するものである場合、当該脂肪族ポリエステルは、炭素鎖長が2以上6以下のアルキレン基を有するアルキレンジカルボン酸と、炭素鎖長が2以上8以下のアルキレン基を有するアルキレンジオールと、が縮合した化学構造を有するものであるのが好ましい。
【0037】
これにより、バインダーとして機能をより効果的に発揮することができるとともに、ウレタンとの相溶性をより優れたものとすることができ、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0038】
前記アルキレンジカルボン酸が有するアルキレン基の炭素鎖長は、2以上6以下であるのが好ましいが、2以上5以下であるのがより好ましく、2以上4以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0039】
前記アルキレンジカルボン酸が有するアルキレン基は、分岐した構造を有するものであってもよいが、直鎖状のものであるのが好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0040】
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
前記アルキレンジオールが有するアルキレン基の炭素鎖長は、2以上8以下であるのが好ましいが、2以上6以下であるのがより好ましく、3以上5以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0042】
前記アルキレンジオールが有するアルキレン基は、分岐した構造を有するものであってもよいが、直鎖状のものであるのが好ましい。
これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0043】
前記アルキレンジオールとしては、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
上記の条件を満たすアルキレンジカルボン酸およびアルキレンジオールをモノマー成分として含む脂肪族ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリエチレンアジペート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、ポリエチレンアジペートが好ましい。
【0045】
これらは、生分解性を有する材料であり、成形品による環境負荷をより好適に低減することができる。また、これらの材料は、比較的安価で安定的な入手が容易である。したがって、成形用材料や成形体の安定供給、コストの低減等の観点からも有利である。
【0046】
本発明の成形用材料中におけるバインダーの含有量は、特に限定されないが、35質量%以上94質量%以下であるのが好ましく、40質量%以上92質量%以下であるのがより好ましく、50質量%以上90質量%以下であるのがさらに好ましい。
これにより、前述したような本発明による効果がより顕著に発揮される。
【0047】
本発明の成形用材料中における、セルロース繊維の含有量をXC[質量%]、バインダーの含有量をXB[質量%]としたとき、0.01≦XC/XB≦0.60の関係を満たすのが好ましく、0.02≦XC/XB≦0.50の関係を満たすのがより好ましく、0.03≦XC/XB≦0.45の関係を満たすのがさらに好ましい。
これにより、前述したような本発明による効果がより顕著に発揮される。
【0048】
[1-3]ウレタン繊維
本発明の成形用材料は、ウレタン繊維を含んでいる。
ウレタン繊維は、ウレタンを含む材料で構成された繊維である。
【0049】
ウレタン繊維は、通常、本発明の成形用材料を用いた成形体の製造の過程、特に、成形時の加熱処理で溶融する。
【0050】
ウレタンは、前述したセルロース繊維およびバインダーのいずれとも親和性に優れる成分である。
【0051】
このようなウレタンは、本発明の成形用材料を用いて成形体を製造する際に相溶化剤として機能し、セルロース繊維とバインダーとの相溶性を向上させる。これにより、セルロース繊維に対するバインダーの濡れ性が高まり、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体の曲げ強さを向上させることができる。また、バインダーを含むことにより、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体の耐熱性も向上させることができる。
【0052】
ウレタン繊維を構成するウレタンは、カルボニル基を介してアミノ基とアルコール基が反応し、アミンの窒素とカルボニル基の炭素の間で新たな共有結合を形成した化合物であればよいが、ポリウレタンであるのが好ましい。
【0053】
ウレタン繊維がポリウレタンを含む材料で構成された繊維である場合、当該ポリウレタンの数平均分子量は、20000以上300000以下であるのが好ましく、30000以上200000以下であるのがより好ましく、40000以上150000以下であるのがさらに好ましい。
【0054】
これにより、ポリウレタンのセルロース繊維やバインダーに対する親和性、相溶性をより優れたものとすることができ、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0055】
ウレタン繊維は、本発明の成形用材料中においては、繊維状をなしているが、その一部が、例えば、粉末状または溶融状態になっていてもよい。
【0056】
ウレタン繊維の平均長さは、特に限定されないが、3mm未満であるのが好ましく、50μm以上500μm未満であるのがより好ましく、100μm以上400μm未満であるのがさらに好ましい。
【0057】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0058】
ウレタン繊維の平均径は、特に限定されないが、100μm未満であるのが好ましく、3μm以上50μm未満であるのがより好ましく、5μm以上20μm未満であるのがさらに好ましい。
【0059】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0060】
ウレタン繊維の平均アスペクト比、すなわち、平均径に対する平均長さは、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上100以下であるのがより好ましい。
【0061】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0062】
本発明の成形用材料中におけるウレタン繊維の含有量は、2質量%以上40質量%以下であるのが好ましく、3質量%以上35質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0063】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0064】
本発明の成形用材料中における、バインダーの含有量をXB[質量%]、ウレタン繊維の含有量をXU[質量%]としたとき、0.01≦XU/XB≦0.60の関係を満たすのが好ましく、0.02≦XU/XB≦0.50の関係を満たすのがより好ましく、0.03≦XU/XB≦0.45の関係を満たすのがさらに好ましい。
【0065】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0066】
本発明の成形用材料中におけるセルロース繊維の含有量をXC[質量%]、ウレタン繊維の含有量をXU[質量%]としたとき、0.2≦XU/XC≦5.0の関係を満たすのが好ましく、0.3≦XU/XC≦3.0の関係を満たすのがより好ましく、0.4≦XU/XC≦2.5の関係を満たすのがさらに好ましい。
【0067】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0068】
[1-4]その他の繊維
本発明の成形用材料は、さらに、セルロース繊維、ウレタン繊維以外の繊維を含んでいてもよい。以下、このような繊維を「その他の繊維」とも言う。
【0069】
その他の繊維を含むことにより、バインダーと濡れ性が近いフィラーとして機能するため、成形体をさらに高強度化するうえで有利である。
【0070】
その他の繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、アセテート繊維等が挙げられる。
【0071】
その他の繊維の平均長さは、特に限定されないが、3mm未満であるのが好ましく、50μm以上500μm未満であるのがより好ましく、100μm以上400μm未満であるのがさらに好ましい。
【0072】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0073】
その他の繊維の平均径は、特に限定されないが、100μm未満であるのが好ましく、3μm以上50μm未満であるのがより好ましく、5μm以上20μm未満であるのがさらに好ましい。
【0074】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0075】
その他の繊維の平均アスペクト比、すなわち、平均径に対する平均長さは、特に限定されないが、10以上1000以下であるのが好ましく、15以上100以下であるのがより好ましい。
【0076】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0077】
本発明の成形用材料中におけるその他の繊維の含有量は、1質量%以上30質量%以下であるのが好ましく、2質量%以上25質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以上20質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0078】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0079】
本発明の成形用材料中における、バインダーの含有量をXB[質量%]、その他の繊維の含有量をXO[質量%]としたとき、0.01≦XO/XB≦0.45の関係を満たすのが好ましく、0.02≦XO/XB≦0.36の関係を満たすのがより好ましく、0.03≦XO/XB≦0.30の関係を満たすのがさらに好ましい。
【0080】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0081】
本発明の成形用材料中におけるセルロース繊維の含有量をXC[質量%]、その他の繊維の含有量をXO[質量%]としたとき、0.1≦XO/XC≦3.8の関係を満たすのが好ましく、0.2≦XO/XC≦2.1の関係を満たすのがより好ましく、0.3≦XO/XC≦1.7の関係を満たすのがさらに好ましい。
【0082】
これにより、成形用材料を用いて製造される成形体の衝撃強さおよび曲げ強さをより優れたものとすることができる。
【0083】
[1-5]難燃剤
本発明の成形用材料は、さらに難燃剤を含んでいてもよい。
【0084】
難燃剤としては、例えば、アンチモン化合物、金属水酸化物、窒素化合物、ホウ素化合物等の無機系難燃剤、臭素化合物、リン化合物等の有機系難燃剤が挙げられる。
【0085】
成形用材料が難燃剤を含む場合、難燃剤の含有量は、セルロース繊維、バインダーおよびウレタン繊維の合計の含有量を100質量部としたとき、1質量部以上20質量部以下とすることができる。
【0086】
これにより、前述した本発明による効果をより効果的に発揮させつつ、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体の難燃性をより優れたものとすることができる。
【0087】
[1-6]その他の成分
本発明の成形用材料は、上記以外の成分を含んでいてもよい。以下、この項目内において、このような成分を「その他の成分」とも言う。
【0088】
その他の成分としては、例えば、着色剤、防虫剤、防カビ剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集抑制剤、離型剤、上記以外の樹脂材料等が挙げられる。
【0089】
ただし、本発明の成形用材料中におけるその他の成分の含有量は、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましく、3質量%以下であるのがさらに好ましい。
【0090】
[2]成形用材料の製造方法
次に、本発明の成形用材料の製造方法について説明する。
【0091】
本発明の成形用材料は、例えば、上述した各成分を混合することにより、製造することができる。この場合、各成分を混合するタイミングは同一であってもよいし、異なるタイミングであってもよい。
【0092】
本発明の成形用材料は、例えば、上述した成分を混錬して製造してもよい。
これにより、ウレタンによる相溶化効果が効果的に発揮される。
各成分の混練は、例えば、一軸混錬機や二軸混錬機を用いることができる。
【0093】
混練により得られたストランド状の成形用材料は、例えば、ストランド方式やウォータリングホットカット方式等のペレタイザーを用いてペレタイズ加工を施してペレット状の成形用材料としてもよい。
【0094】
また、成形用材料の製造方法として以下の方法を適用してもよい。すなわち、上述した成分の混練物をシート状に成形し、その後、例えば、シュレッダー装置を用いて、所望の形状に裁断して、ペレット状の成形用材料としてもよい。混練物をシート状に成形する方法は、特に限定されないが、例えば、まず、混錬物を空気中にて堆積させてシート状の堆積物とし、当該堆積物をカレンダー装置にて圧縮して空気を排除して密度を高め、次に、加熱炉を用いて非接触にて加熱し、その後、ヒートプレス装置にて加熱プレスする方法等が挙げられる。裁断により得られるペレットの形状、大きさは、特に限定されないが、例えば、一片の長さが2mm以上5mm以下の略直方体とすることができる。
【0095】
本発明の成形用材料の製造に用いるセルロース繊維は、予め、解繊処理が施されたものであってもよい。特に、古紙、古布等のセルロース繊維を含むセルロース繊維源を解繊したものを用いてもよい。
【0096】
また、本発明の成形用材料の製造に用いるウレタン繊維は、予め、解繊処理が施されたものであってもよい。特に、古布等のウレタン繊維を含むウレタン繊維源を解繊したものを用いてもよい。
【0097】
また、本発明の成形用材料がその他の繊維を含むものである場合、本発明の成形用材料の製造に用いるその他の繊維は、予め、解繊処理が施されたものであってもよい。特に、古布等のその他の繊維を含むその他の繊維源を解繊したものを用いてもよい。
【0098】
上記のような繊維源、すなわち、セルロース繊維源、ウレタン繊維源、その他の繊維源は、解繊する前に粗砕してもよい。
【0099】
繊維源の粗砕は、例えば、大気等の雰囲気中で、粗砕刃を有するシュレッダーを用いて、細断して細片とすることにより行うことができる。細片の形態は、例えば、数mm角の略立方体状もしくは略直方体状等である。
【0100】
繊維源の細片は、解繊されることにより、解きほぐされた繊維となる。ここでいう解繊とは、複数の繊維が一体となった状態から、単体の繊維ごとに解きほぐすことをいう。
【0101】
解繊は、乾式の条件で、好適に行うことができる。ここでいう乾式とは、液体中で実施されずに、大気等の気中で実施されることをいう。なお、帯電防止等を目的として、繊維に対して、例えば、水等を噴霧してもよい。
乾式での解繊は、例えば、気流により、好適に行うことができる。
【0102】
繊維源の解繊は、各繊維源で別々に行ってもよいし、複数種の繊維源を混合した状態で行ってもよい。
【0103】
また、繊維源としては、複数種の繊維、より具体的には、セルロース繊維、ウレタン繊維、その他の繊維のうち、2種以上を含むものを用いてもよい。2種以上の繊維を含む繊維源としては、例えば、混紡品等が挙げられる。
【0104】
繊維源の解繊は、繊維以外の成分、例えば、バインダー、難燃剤、その他の成分等を含む状態で行ってもよい。
【0105】
[3]成形体
次に、本発明の成形用材料を用いて製造される成形体について説明する。
【0106】
本発明に係る成形体は、セルロース繊維と、バインダーと、ウレタン繊維とを含む。
本発明に係る成形体は、前述した成形用材料を用いて製造することができる。
【0107】
これにより、セルロース繊維を含み、かつ、衝撃強さおよび曲げ強さの両方に優れ、かつ、発塵が抑制された成形体を提供することができる。
【0108】
また、植物由来で豊富な天然素材であるセルロース繊維を含むことにより、環境問題や埋蔵資源の節約等に好適に対応することができるとともに、成形体の安定供給、コスト低減等の観点からも有利である。また、セルロース繊維は、例えば、バージンパルプ以外にも、古紙、古布等にも多く含まれる成分であり、資源の有効的な再利用を促進する観点からも有利である。
【0109】
また、ウレタン繊維は、廃衣料等に多く含まれるものの、例えば、混紡品等のように他の成分と混合されている場合に当該他の成分から単離することが困難であり、また、200℃以上の熱加工時に有毒ガスを発生させるため、従来においては、再利用が困難であり、焼却処理が困難であったが、本発明によれば、廃衣料等に含まれるウレタン繊維を好適に再利用することができる。
【0110】
成形体を構成する各成分は、上記[1-1]~[1-6]で述べた条件を満たすものであるのが好ましい。
【0111】
成形体の形状は、特に限定されず、例えば、シート状、ブロック状、球状、三次元立体形状等、いかなるものであってもよい。
【0112】
成形体は、いかなる用途のものであってもよいが、発塵等が問題となる環境で使用されるもの、より具体的には、例えば、流体の流路を有する部材や当該部材の周辺に配置される部材、インクカートリッジ、各種容器、各種什器等に、好適に適用することができる。従来のセルロース繊維および樹脂を含む材料を用いて製造された成形体では、発塵しやすいという問題があり、上記のような発塵等が問題となる環境で使用されるものには適さないという問題があった。これに対し、本発明に係る成形体は、発塵しにくいものである。したがって、上記のような用途のものに適用した場合に、本発明による効果がより顕著に発揮される。
【0113】
[4]成形体の製造方法
次に、本発明に係る成形体の製造方法について説明する。
【0114】
本発明に係る成形体は、例えば、成形用材料を加熱しつつ、射出成形、プレス成形等の各種成形方法により成形することにより好適に製造することができる。
【0115】
成形時における成形用材料の加熱温度は、特に限定されないが、200℃未満であるのが好ましく、120℃以上190℃以下であるのがより好ましく、150℃以上180℃以下であるのがさらに好ましい。
【0116】
上記のような成形の後に、例えば、研削・研磨等の機械加工、塗装、メッキ等の後処理を施してもよい。
【0117】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例0118】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
[5]成形用材料の調製
【0119】
(実施例1)
まず、セルロース繊維、ウレタン繊維、ポリエステル繊維およびアクリル繊維を含む市場衣類回収品を、繊維源として用意した。
【0120】
この繊維源を、大気中で、粗砕歯を有するシュレッダーを用いて、数mm角の略立方体状に細断した後、気流を吹き付け、解繊した。
【0121】
得られた解繊物中に占めるセルロース繊維、ウレタン繊維、ポリエステル繊維およびアクリル繊維の割合は、質量比で、3.0:3.0:2.0:2.0であった。
【0122】
上記のようにして得られた解繊物10.0質量部、および、バインダーとしてのポリプロピレン(プライムポリマー社製、H700):90.0質量部を秤量した。その後、これらを、二軸混錬機(テクノベル社製、KZW15TW-45MG)に投入して混錬した。混錬条件は、最高加熱温度を180℃とし、押出吐出量を1kg/hrとした。次に、ストランド状に加工してから、ペレタイザーにてペレット状の成形用材料とした。
【0123】
成形用材料中に含まれる、セルロース繊維の平均長さは1.5mm、セルロース繊維の平均径は15μm、ウレタン繊維の平均長さは1.5mm、ウレタン繊維の平均径は50μm、ウレタン繊維を構成するポリウレタンの数平均分子量は60000であった。
【0124】
(実施例2~7)
成形用材料の組成が表1に示すものとなるように、原料の種類、使用量を変更した以外は、前記実施例1と同様にしてペレット状の成形用材料を調製した。
【0125】
(比較例1~8)
成形用材料の組成が表1に示すものとなるように、原料の種類、使用量を変更した以外は、前記実施例1と同様にしてペレット状の成形用材料を調製した。
【0126】
[6]成形体の製造
前記各実施例および各比較例の各成形用材料について、それぞれ、射出成形機(日精樹脂工業社製、THX40-5V)を用いて、射出成形を行い、後述するシャルピー衝撃強さ評価用の成形体、曲げ強さ評価用、曲げ弾性率評価用、発塵数評価用の成形体を製造した。射出成形時における成形用材料の加熱温度は、180℃とした。シャルピー衝撃強さ評価用の成形体は、長辺80mm±2mm、短辺4.0mm±0.2mm、厚さ10.0mm±0.2mmの長方形の板状の成形体とし、曲げ強さ評価用、曲げ弾性率評価用、発塵数評価用の成形体は、長辺80mm±2mm、短辺10.0mm±0.2mm、厚さ4.0mm±0.2mmの長方形の板状の成形体とした。
【0127】
[7]評価
前記各実施例および各比較例に係る成形体について、以下の評価を行った。
【0128】
[7-1]シャルピー衝撃強さ
上記[6]で説明したようにして製造した、前記各実施例および各比較例に係るシャルピー衝撃強さ評価用の成形体について、それぞれ、東洋精機製作所社製のインパクトテスタITを用いて、ISO 179(JIS K7111)に準拠して、シャルピー衝撃強さの測定を行った。シャルピー衝撃強さの測定では、ハンマー重量を4J(WR2.14N/m)、持上角度を150°、ノッチ残り幅を8.0mm±0.2mm、ノッチ角度を45°とした。
【0129】
[7-2]曲げ強さ
上記[6]で説明したようにして製造した、前記各実施例および各比較例に係る曲げ強さ評価用の成形体について、それぞれ、インストロン社製の68TM-30を用いて、ISO 178(JIS K7171)に準拠して、曲げ強さの測定を行った。曲げ強さの測定では、支点間距離を64mmとした。
【0130】
[7-3]曲げ弾性率
上記[6]で説明したようにして製造した、前記各実施例および各比較例に係る曲げ弾性率評価用の成形体について、それぞれ、インストロン社製の68TM-30を用いて、ISO 178(JIS K7171)に準拠して、曲げ弾性率の測定を行った。曲げ弾性率の測定では、支点間距離を64mmとした。
【0131】
[7-4]発塵数
上記[6]で説明したようにして製造した、前記各実施例および各比較例に係る発塵数評価用の成形体について、上記[7-1]で説明したシャルピー衝撃強さの試験を10回繰り返し行い、試験機の打点近傍半径10cmの領域内でのパーティクル量を測定し、試験実施前の値と比較し、発塵量の合計が初期値比20%以下のものを「〇」、発塵量の合計が初期値比20%を超えたものを「×」として評価した。なお、パーティクルカウンターの測定範囲を超えるmmオーダーの破片は、プリンターヘッドやセンサー等の使用環境下を想定しており、対象外とした。
【0132】
[7-5]複合評価
前記各実施例および各比較例について、それぞれ、上記[7-1]でのシャルピー衝撃強さの測定結果、上記[7-3]での曲げ弾性率の測定結果、および、上記[7-4]での発塵数の測定結果から、以下の基準に従い複合評価を行った。
【0133】
A:シャルピー衝撃強さが2.5kJ/m2以上であり、曲げ弾性率が1.5GPa以上であり、かつ、発塵数が5未満である。
B:「シャルピー衝撃強さが2.5kJ/m2以上」、「曲げ弾性率が1.5GPa以上」の条件のうち、一方は満たすものの他方は満たさず、発塵数が5未満である。
C:シャルピー衝撃強さが2.5kJ/m2未満であり、曲げ弾性率が1.5GPa未満であり、かつ、発塵数が5未満である。
D:発塵数が5以上である。
【0134】
これらの結果を、前記各実施例および各比較例で得られた成形用材料の組成とともに、表1にまとめて示す。
【0135】
なお、表1中、バインダーとしてのポリプロピレン(プライムポリマー社製、H700)を「ポリプロピレン」、バインダーとしてのポリエチレン(プライムポリマー社製、2208J)を「ポリエチレン」、バインダーとしてのポリ乳酸(ユニチカ社製、テラマックTE-2000)を「ポリ乳酸」、バインダーとしてのポリブチレンサクシネート(三菱ケミカル社製、バイオPBS FZ71PB)を「ポリブチレンサクシネート」、三菱ケミカル社製、メタブレンP-1901を「添加剤1」、理研ビタミン社製、MG-670Pを「添加剤2」、アロン化成社、ES-A60NXを「エラストマー剤」と示した。
【0136】
【0137】
表1から明らかなように、前記各実施例では優れた結果が得られた。これに対し、前記各比較例では、満足のいく結果が得られなかった。
【0138】
また、成形用材料中に含まれる、セルロース繊維の平均長さが50μm以上3mm未満、セルロース繊維の平均径が3μm以上100μm未満、ウレタン繊維の平均長さが50μm以上3mm未満、ウレタン繊維の平均径が3μm以上100μm未満、ウレタン繊維を構成するポリウレタンの数平均分子量が20000以上300000以下となるようにした以外は、前記各実施例と同様にして成形用材料を製造し、これらについて、上記と同様の評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。