(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110151
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B66F9/24 E
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014554
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FD08
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】フォークリフトの部品点数を削減すること。
【解決手段】実施形態に係るフォークリフトは、走行車体と、フォークと、センサと、制御装置とを備える。フォークは、走行車体の前方に設けられる。センサは、フォークに設けられ、フォークの先端部の周囲の状況を検出する。制御装置は、センサによって検出される情報に基づいて、フォークの傾きを検出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体の前方に設けられるフォークと、
前記フォークに設けられ、前記フォークの先端部の周囲の状況を検出するセンサと、
前記センサによって検出される情報に基づいて、前記フォークの傾きを検出する制御装置と
を備える、フォークリフト。
【請求項2】
前記制御装置は、前記フォークに荷物が載置された状態で、前記フォークの傾きが所定の傾き状態となっていない場合、前記走行車体の走行を禁止する、請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記制御装置は、前記フォークに載置される荷物の重さ、前記フォークの高さ、および、前記走行車体の走行速度の少なくとも1つに応じて、前記所定の傾き状態を設定する、請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記制御装置は、前記センサによって検出される情報に基づいて、前記フォーク、および、前記走行車体を制御する、請求項1に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークの基端に設けられたカメラによりフォークの先端側を撮像してフォークを自動制御するフォークリフトが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォークリフトは、フォークに荷物を載置して走行する場合、フォークから荷物が落ちないように、フォークを所定の傾き状態として走行することが望ましい。従来の技術のフォークリフトは、ティルトセンサによってフォークの傾きを検出する。しかしながら、従来の技術のフォークリフトは、フォークの傾きを検出するためのティルトセンサを設けており、コスト削減について改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フォークリフトの部品点数を削減すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るフォークリフトは、走行車体と、フォークと、センサと、制御装置とを備える。フォークは、走行車体の前方に設けられる。センサは、フォークに設けられ、フォークの先端部の周囲の状況を検出する。制御装置は、センサによって検出される情報に基づいて、フォークの傾きを検出する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、フォークリフトの部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るフォークリフトの概略側面図である。
【
図2】
図2は、フォークが上方に傾いた状態を示す図である。
【
図3】
図3は、状況検出センサの設置例を示す図である。
【
図4】
図4は、制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る走行許可処理を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、情報処理装置として機能するコンピュータハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の概略側面図である。
図1に示すフォークリフト1は、概略図であり、説明の便宜上、一部の構成については省略している。なお、本開示で示すフォークリフト1は、自動制御により走行する。つまり、本開示で示すフォークリフト1は、無人による自動走行により積載物(荷物)の運搬を行う。なお、フォークリフト1は、無人に限らず、有人による手動走行を行う構成であってもよい。あるいは、フォークリフト1は、無人モードと有人モードとを切り替え可能な構成であってもよい。
【0011】
図1に示すように、フォークリフト1は、走行車体2と、フォーク3と、昇降部4と、状況検出センサ5と、荷重センサ6と、制御装置10と、重量検出装置20とを備える。
【0012】
走行車体2は、倉庫等の路面Rを走行する車体である。走行車体2は、路面Rに接する車輪を駆動させて路面Rを走行する。走行車体2は、例えば、二次電池から供給される電力によって走行する電動車両である。走行車体2は、内燃機関を有する車両であってもよい。
【0013】
フォーク3は、積載物が載せられたパレットが載置される部材であり、左右1対(すなわち、2本の部材)により構成される。フォーク3は、パレットに設けられたフォーク挿入孔に挿入されて持ち上げることでパレットを運搬する。
【0014】
昇降部4は、制御装置10の制御に従ってフォーク3を昇降する。これにより、フォーク3の高さ位置を変更することができる。昇降部4は、モータや、油圧装置などを含む。また、昇降部4は、フォーク3の傾き状態を変更する。昇降部4は、フォーク3の基端側を中心に、フォーク3を回動させることで、フォーク3の傾き状態を変更する。フォーク3の傾き状態は、フォーク3の傾斜角度Tを含む。たとえば、
図2に示すように、フォーク3の傾斜角度Tは、水平方向を基準角度とする上下方向への傾斜角度である。
図2は、フォーク3が上方に傾いた状態を示す図である。
【0015】
なお、昇降部4は、昇降部4の一部と一体にフォーク3の傾斜状態を変更してもよい。たとえば、昇降部4は、固定部と、傾斜部とを含む。傾斜部は、フォーク3と一体となり、固定部に対して回動するように構成される。フォーク3の傾斜角度は、固定部に対する傾斜角度であってもよい。
【0016】
状況検出センサ5は、フォーク3の先端部に設けられ、フォーク3の先端部の周囲の状況を検出するセンサである。状況検出センサ5は、たとえば、カメラである。カメラは、走行車体2の前方付近を撮影可能となるように走行車体2に取り付けられる。カメラは、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子と、レンズとを備える。状況検出センサ5は、ソリッドステートLiDAR(light detection and ranging)、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサの少なくとも1つを含んでもよい。状況検出センサ5は、MoPU(Motion Processing Unit)を含んでもよい。MoPUは、高解像度カメラによる動きを検知するユニットである。MoPUは、例えば1000フレーム/秒以上のフレームレートで撮影された物体の画像から、撮影された物体の動きを示す動き情報を、例えば1000フレーム/秒以上のフレームレートで出力する。更に、物体の存在位置を示す点の、所定の座標軸に沿った動きのベクトル情報を動き情報として出力する。すなわち、MoPUから出力される動き情報には、撮影された物体が何であるか(例えば、人なのか、障害物なのか)を識別するために必要な情報は含まれておらず、当該物体の中心点(又は重心点)などの座標軸(x軸、y軸、z軸)上の動き(移動方向と移動速度)を示す情報のみが含まれている。
【0017】
荷重センサ6は、フォーク3にかかる荷重を検出するセンサである。荷重センサ6は、フォーク3にパレットが載置された場合に、パレットおよび積載物の合計重量を荷重として検出する。
【0018】
制御装置10は、フォークリフト1全体の制御を行う制御装置である。具体的には、制御装置10は、走行車体2の車輪を制御して路面Rにおける自動走行を制御する。また、制御装置10は、昇降部4を制御してフォーク3の自動昇降を制御する。なお、制御装置10の詳細な構成および処理については後述する。
【0019】
重量検出装置20は、フォーク3に載置されたパレットおよび積載物の重量を検出する。具体的には、重量検出装置20は、パレットの重量や、積載物の重量、積載物における外装物の重量、積載物における内容物の重量等を検出する。重量検出装置20は、検出した重量を、例えば、「パレットID」、「カテゴリ」、「品目」、および、「数量」などに紐付けて記憶する。
【0020】
「パレットID」は、パレットを識別する識別情報である。「カテゴリ」は、積載物における外装物の種類を示す情報である。「品目」は、内容物の品目を示す情報である。「数量」は、積載物の重量を示す情報である。
【0021】
次に、
図3を用いて、状況検出センサ5の設置例について説明する。
図3は、状況検出センサ5の設置例を示す図である。
図3では、フォーク3を先端側から基端側に向かってみた(X軸負方向から見た)図を示している。
【0022】
図3に示すように、フォーク3は、少なくとも先端部に凹部3aを有する。状況検出センサ5は、凹部3aに収容されるように設置される。具体的には、フォーク3の凹部3aは、走行車体2が走行する路面R側(Y軸負方向側)の部位が凹んだ形状である。つまり、状況検出センサ5は、フォーク3における路面R側に設置される。これにより、フォーク3にパレットが載置された場合であっても、状況検出センサ5がパレットと接触することを回避できる。
【0023】
また、
図3に示すように、凹部3aの深さ(Y軸方向の長さ)は、状況検出センサ5の高さ(Y軸方向の長さ)よりも長い。つまり、凹部3aの路面R側の先端が、状況検出センサ5の路面側の先端よりも、路面Rに近い。これにより、フォーク3の路面R側から物体が接触した場合であっても、かかる物体と状況検出センサ5とが接触することを回避できる。
【0024】
また、
図1で示すように、フォーク3の先端は、状況検出センサ5よりも前方(X軸負方向側)に位置する。これにより、フォーク3の先端から物体が接触した場合であっても、かかる物体と状況検出センサ5とが接触することを回避できる。
【0025】
また、状況検出センサ5がフォーク3の先端に配置されることで、状況検出センサ5の検出結果にフォーク3の情報が含まれない(撮像画像にフォーク3が映りこまない)ため、フォーク先端の状況をより正確に把握することができる。
【0026】
この結果、例えば、パレットが高い位置(作業者の目線高さよりも高い位置)に載置されている場合等であっても、フォーク3をパレットに的確に挿入することができる。
【0027】
なお、凹部3aは、状況検出センサ5が設置される箇所のみ凹んだ形状であってもよいが、フォーク3における路面R側の部位全体が凹んだ形状でもよい。言い換えれば、凹部3aは、フォーク3の先端部から走行車体2側の基端部に亘って凹んだ形状であってもよい。これにより、状況検出センサ5の前後方向(X軸方向)における位置を調整することが可能となる。
【0028】
なお、凹部3aは、フォーク3における路面R側の部位に設けられる場合に限らず、フォーク3における前方側(X軸負方向側)の面が凹んだ形状であってもよい。
【0029】
次に、
図4を用いて、制御装置10の機能構成例について説明する。
図4は、制御装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを備える。制御部12は、検出部121と、動作制御部122とを備える。
【0030】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、有線または無線によりネットワーク網と接続される。例えば、通信部11は、フォークリフト1を管理するサーバ装置と通信可能に接続される。
【0031】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子などの記憶媒体によって実現される。記憶部13は、制御部12によって実行される各種のプログラムを記憶する。
【0032】
制御部12は、状況検出センサ5によって検出される情報に基づいて、走行車体2およびフォーク3(昇降部4)を自動制御する。
【0033】
検出部121は、状況検出センサ5によって検出される情報に基づいて、フォーク3の先端部の周囲の状況を検出する。例えば、検出部121は、カメラで撮像された撮像画像や、Lidarまたはレーダ装置によって検出された物標の情報(位置情報や形状情報)を周囲の状況として検出する。物標の情報は、物標までの距離に関する情報を含む。
【0034】
また、検出部121は、撮像画像や物標の情報に基づいて、フォークリフト1の周囲に存在するパレットを検出する。例えば、検出部121は、撮像画像を用いたパターンマッチングや、物標の情報における形状情報に基づいてパレットの数やパレットの位置を検出する。
【0035】
また、検出部121は、検出したパレットに積載物が載っているか否かを判定する。例えば、検出部121は、撮像画像を用いたパターンマッチングや、物標の情報における形状情報に基づいて、パレット毎に積載物が載っているか否かを判定する。
【0036】
また、検出部121は、フォーク3の傾きを検出する。検出部121は、撮像画像や物標の情報に基づいて、フォーク3の傾きを検出する。たとえば、検出部121は、撮像画像内における、物標の位置の変化に基づいて、フォーク3の傾きを検出する。検出部121は、たとえば、物標までの距離と、撮像画像内における物標の上下方向の位置の変化とに基づいて、フォーク3の傾斜角度Tを算出する。たとえば、検出部121は、フォーク3を傾かせるための信号が動作制御部122によって出力される前後の撮像画像に基づいて、フォーク3の傾きを検出する。検出部121は、フォーク3を傾かせるための信号が動作制御部122によって出力される前の撮像画像と、フォーク3を傾かせるための信号が動作制御部122によって出力された後の撮像画像とを用いて、フォーク3の傾きを検出する。
【0037】
検出部121は、フォーク3に積載物が載置された状態で、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっているか否かを判定する。
【0038】
所定の傾き状態は、予め設定された状態である。所定の傾き状態は、フォーク3の先端部が、フォーク3の基端部よりも上方となる状態である。フォークリフト1は、積載物を運搬する場合、フォーク3からパレット、および、積載物が落ちないように、フォーク3の先端部が、フォーク3の基端部よりも上方となるように、フォーク3を傾斜させる。所定の傾き状態は、フォーク3からパレットが落ちないように、フォーク3が傾いた状態である。
【0039】
検出部121は、フォーク3の傾斜角度Tが所定角度以上である場合、フォーク3の傾きが所定の傾き状態であると判定する。検出部121は、フォーク3の傾斜角度Tが所定角度未満である場合、フォーク3の傾きが所定の傾き状態ではないと判定する。
【0040】
動作制御部122は、検出部121によって検出された情報に基づいて、走行車体2およびフォーク3を自動制御する。例えば、動作制御部122は、積載物が載っているパレットのうち、フォークリフト1に最も近い位置のパレットを特定し、特定したパレットを運搬対象として自動制御を行う。なお、運搬対象となるパレットは、フォークリフト1に最も近い位置のパレットに限らず、特定の領域に存在するパレットであってもよい。
【0041】
具体的には、動作制御部122は、運搬対象のパレットの向きを特定し、パレットの正面に対してフォークリフト1が正面で向かいあう位置に走行車体2を制御して移動する。例えば、動作制御部122は、パレットが上面視で矩形状の場合、矩形状を構成する4辺のいずれか1辺をパレットの正面として特定する。つづいて、動作制御部122は、パレットの正面へ移動後、パレットのフォーク挿入孔の位置を特定する。例えば、動作制御部122は、検出部121が取得した撮像画像や、物標(パレット)の形状情報に基づいて、フォーク挿入孔の位置を特定する。
【0042】
つづいて、動作制御部122は、昇降部4を制御して、特定したフォーク挿入孔の位置にフォーク3の高さ位置を合わせた後、走行車体2を制御してフォーク挿入孔にフォーク3を挿入する。そして、動作制御部122は、フォーク挿入孔にフォーク3を挿入した後、昇降部4を制御して、フォーク3を上昇させることで、パレットを持ち上げる。
【0043】
動作制御部122は、パレットを持ち上げた後に、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるように、昇降部4を制御する。動作制御部122は、フォーク3が所定の傾き状態となるように、昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力する。
【0044】
フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっている場合、動作制御部122は、パレットを載置する目標位置までのルート(例えば、最短距離のルート)を自動計算する。そして、動作制御部122は、走行車体2を制御してルートに沿って目標位置まで移動させ、目標位置に到着後、昇降部4を制御して目標位置にパレットを載置する。そして、動作制御部122は、パレットを載置後、次の運搬対象となるパレットを特定し運搬を順次行う。
【0045】
パレットを持ち上げた後に、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっていない場合、動作制御部122は、走行車体2の走行を禁止する。動作制御部122は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるまで、走行車体2の走行を禁止する。
【0046】
動作制御部122は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるように、昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力した後、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるまで、走行車体2の走行を禁止する。動作制御部122は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるように、昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力した後、フォーク3の傾きが所定の傾き状態になると、走行車体2の走行を開始する。
【0047】
動作制御部122は、昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力してからの時間を計測する。動作制御部122は、計測した時間が所定時間となった後も、フォーク3の傾きが所定の傾き状態になっていない場合、昇降部4における異常を検出する。動作制御部122は、昇降部4における異常を検出した場合、異常の発生を報知する。たとえば、動作制御部122は、ランプを点灯させて、異常の発生を報知する。なお、異常発生の報知方法は、これに限られることはない。異常発生は、音によって報知されてもよい。動作制御部122は、フォークリフト1を管理するサーバ装置に異常の発生に関する信号を送信してもよい。
【0048】
なお、走行車体2が目標位置まで移動している間に、フォーク3の傾きが所定の傾き状態ではなくなった場合、動作制御部122は、走行車体2の走行を禁止してもよい。走行車体2が目標位置まで移動している間に、フォーク3の傾きが所定の傾き状態ではなくなった場合、例えば、動作制御部122は、走行車体2を減速させて、走行車体2を停止させる。
【0049】
次に、実施形態に係る走行許可処理について、
図5のフローチャートを参照し説明する。
図5は、実施形態に係る走行許可処理を説明するフローチャートである。ここでは、運搬するパレットが特定され、フォーク3がパレットのフォーク挿入孔に挿入されているものとする。
【0050】
制御装置10は、昇降部4を制御する(S100)。具体的には、制御装置10は、フォーク3によってパレットを持ち上げ、かつ、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるように、昇降部4を制御する。
【0051】
制御装置10は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっているか否かを判定する(S101)。具体的には、制御装置10は、フォーク3の傾斜角度Tが所定角度以上であるか否かを判定する。
【0052】
制御装置10は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっている場合(S101:Yes)、具体的には、フォーク3の傾斜角度Tが所定角度以上である場合、走行車体2を目標位置まで移動させる(S102)。
【0053】
制御装置10は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっていない場合(S101:No)、具体的には、フォーク3の傾斜角度Tが所定角度未満である場合、走行車体2の走行を禁止する(S103)。
【0054】
制御装置10は、昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力してからの計測時間が、所定時間を経過したか否かを判定する(S104)。具体的には、制御装置10は、フォーク3を傾けるように昇降部4を制御する信号を昇降部4に出力してからの計測時間が、所定時間を経過したか否かを判定する。制御装置10は、計測時間が所定時間を経過していない場合(S104:No)、ステップS101に戻り、上記処理を繰り返す。
【0055】
制御装置10は、計測時間が所定時間を経過した場合(S104:Yes)、昇降部4の異常を報知する(S105)。すなわち、制御装置10は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となるように昇降部4を制御する信号を出力しても、フォーク3の傾きが所定の傾き状態にならない時間が所定時間以上となった場合、昇降部4の異常を報知する。
【0056】
制御装置10は、フォーク3に載置されるに積載物の重さ、フォーク3の高さ、および、走行車体2の走行速度の少なくとも1つに応じて、所定の傾き状態を設定してもよい。具体的には、制御装置10は、フォーク3に載置されるに積載物の重さ、フォーク3の高さ、および、走行車体2の走行速度の少なくとも1つに応じて、所定角度を設定する。たとえば、制御装置10は、積載物の重さが大きくなるほど、所定角度を大きくする。また、制御装置10は、フォーク3の高さが高くなるほど、所定角度を大きくする。また、制御装置10は、走行車体2の走行速度が大きくなるほど、所定角度を大きくする。走行速度は、たとえば、走行車体2の上限走行速度である。上限走行速度は、予め設定されてもよく、積載物の種類や、積載物の重さなどに応じて設定されてもよい。
【0057】
これにより、フォークリフト1は、走行時に、積載物がフォーク3から落ちることを抑制することができる。
【0058】
また、制御装置10は、フォーク3の傾斜角度Tが基準角度となっているか否かを判定してもよい。換言すると、制御装置10は、フォーク3が水平方向に沿った状態であるか否かを判定してもよい。フォーク3の傾きは、フォーク3の傾斜角度Tが基準角度となっている状態を含んでもよい。フォークリフト1は、走行車体2の走行速度が小さい場合、たとえば、走行車体2の走行速度が、予め設定された安全速度以下である場合、フォーク3の傾斜角度Tを基準角度として、走行してもよい。安全速度は、たとえば、フォーク3の傾斜角度が基準角度であっても、フォーク3からパレットが落ちない速度である。
【0059】
フォークリフト1は、走行車体2と、フォーク3と、状況検出センサ5と、制御装置10とを備える。フォーク3は、走行車体2の前方に設けられる。状況検出センサ5は、フォーク3に設けられ、フォーク3の先端部の周囲の状況を検出する。制御装置10は、状況検出センサ5によって検出される情報に基づいて、フォーク3の傾きを検出する。
【0060】
これにより、フォークリフト1は、フォーク3の傾きを検出するためのセンサを別途設けることなく、状況検出センサ5を用いて、フォーク3の傾きを検出することができる。そのため、フォークリフト1は、部品点数を少なくすることができる。従って、フォークリフト1は、コストを削減することができる。
【0061】
制御装置10は、状況検出センサ5によって検出される情報に基づいて、フォーク3、および、走行車体2を制御する。たとえば、制御装置10は、状況検出センサ5によって検出される情報に基づいて、昇降部4を制御することで、フォーク3を制御する。
【0062】
これにより、フォークリフト1は、自動走行のために状況検出センサ5を用いて、フォーク3の傾きを検出することができる。そのため、フォークリフト1は、部品点数を少なくすることができる。従って、フォークリフト1は、コストを削減することができる。
【0063】
制御装置10は、フォーク3に積載物が載置された状態で、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっていない場合、走行車体2の走行を禁止する。
【0064】
これにより、フォークリフト1は、フォーク3の傾きが所定の傾き状態となっていない状態で、フォーク3に積載物が載置して走行することを防止することができる。そのため、たとえば、フォークリフト1は、フォーク3から積載物が落ちることを抑制することができる。
【0065】
図6は、制御装置10として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0066】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0067】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0068】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0069】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0070】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0071】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0072】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0073】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0074】
上記したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0075】
本実施形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0076】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0077】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでもよい。
【0078】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0079】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0081】
1 フォークリフト
2 走行車体
3 フォーク
4 昇降部
5 状況検出センサ(センサ)
10 制御装置
12 制御部
121 検出部
122 動作制御部