(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110156
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240807BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H02G3/04 068
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014560
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】氏原 寛人
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA04
3H024AB01
3H024AB06
3H024AC03
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DE08
5G357DE10
5G357DG06
(57)【要約】
【課題】高強度で容易な製造を可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネス11は、電線部材12と、第1コルゲートチューブ13と、スリット22を有する第2コルゲートチューブ14と、第1コルゲートチューブ13の外周から電線部材12の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部25と巻き落とし部25の先端からスリット22を通って第2コルゲートチューブ14の外周に露出する外延部26と外延部26の先端から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けられる接続部27とを有する第1粘着テープ15と、第2コルゲートチューブ14の外周の接続部27にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けられる連続接続部28と連続接続部28の先端から第2コルゲートチューブ14の外周にわたって巻き付けられる折り返し接続部29とを有する第2粘着テープ16とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材と、
全周が繋がって形成され、前記電線部材の外周を覆う筒状の第1コルゲートチューブと、
周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記第1コルゲートチューブと長さ方向に接続されて、前記電線部材の外周を覆う筒状の第2コルゲートチューブと、
前記第1コルゲートチューブの外周から前記電線部材の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部と、前記巻き落とし部の先端から前記スリットを通って前記第2コルゲートチューブの外周に露出する外延部と、前記外延部の先端から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる接続部と、を有する第1粘着テープと、
前記第2コルゲートチューブの外周において前記接続部にて覆われていない部位から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる連続接続部と、前記連続接続部の先端から前記第2コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる折り返し接続部と、を有する第2粘着テープと、を備えた、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記接続部の巻き終わる位置は、前記巻き落とし部の巻き始める位置に少なくとも到達している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記連続接続部の巻き終わる位置は、前記接続部の巻き終わる位置に少なくとも到達している、
請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記接続部の巻き始める位置と前記接続部の巻き終わる位置とは、前記第1コルゲートチューブと前記第2コルゲートチューブとの境目から同じ距離に設定されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記第1粘着テープと前記第2粘着テープのいずれか一方は、透明テープである、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記第1粘着テープは、透明テープである、
請求項5に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
電線部材と、
全周が繋がって形成され、前記電線部材の外周を覆う筒状の第1コルゲートチューブと、
周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記第1コルゲートチューブと長さ方向に接続されて、前記電線部材の外周を覆う筒状の第2コルゲートチューブと、を備えた、
ワイヤハーネスの製造方法であって、
第1粘着テープを、前記第1コルゲートチューブの外周から前記電線部材の外周にわたって巻き付けて巻き落とし部を形成し、前記巻き落とし部の先端から前記スリットを通して前記第2コルゲートチューブの外周に露出させて外延部を形成し、前記外延部の先端から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて接続部を形成する、第1巻き付け工程と、
第2粘着テープを、前記第2コルゲートチューブの外周において前記接続部にて覆われていない部位から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて連続接続部を形成し、前記連続接続部の先端から前記第2コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて折り返し接続部を形成する、第2巻き付け工程と、を備えた、
ワイヤハーネスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、電線部材と、2つのコルゲートチューブと、粘着テープとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。2つのコルゲートチューブは、電線部材の長さ方向の異なる位置でそれぞれ電線部材の外周を覆う。粘着テープは、2つのコルゲートチューブを繋ぐように巻き付けられる。このような、ワイヤハーネスでは、2つのコルゲートチューブによって電線部材が長さ方向に連続して保護される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コルゲートチューブとしては、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有したものがある。そして、上記のようなワイヤハーネスにおいて、コルゲートチューブの一方は、スリットを有したものが採用される場合がある。スリットを有したコルゲートチューブは、例えば、電線部材を長さ方向に沿って通す必要がない。すなわち、スリットを有したコルゲートチューブは、電線部材の外側から電線部材に対して取り付け可能である。よって、例えば、電線部材の一部を加工した後にコルゲートチューブを取り付けたい場合等、コルゲートチューブの一方にスリットを有したものを採用する場合がある。
【0005】
そして、このような場合に、例えば、2つのコルゲートチューブを繋ぐように粘着テープを単純に巻き付けるだけでは、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの接続箇所が簡単に折れ曲がってしまう虞がある。また、粘着テープを複雑な巻き方で巻き付ける構成とした場合では、作業者が覚え難いとともに、巻き付け方を間違え易いという問題がある。例えば、接続箇所を高強度とすべく、粘着テープをワイヤハーネスの長さ方向に沿って1往復半以上巻き付ける構成では、作業者が覚えにくいとともに、巻き付け方を間違える可能性が高くなる。
【0006】
本開示の目的は、高強度で容易な製造を可能としたワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、電線部材と、全周が繋がって形成され、前記電線部材の外周を覆う筒状の第1コルゲートチューブと、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記第1コルゲートチューブと長さ方向に接続されて、前記電線部材の外周を覆う筒状の第2コルゲートチューブと、前記第1コルゲートチューブの外周から前記電線部材の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部と、前記巻き落とし部の先端から前記スリットを通って前記第2コルゲートチューブの外周に露出する外延部と、前記外延部の先端から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる接続部と、を有する第1粘着テープと、前記第2コルゲートチューブの外周において前記接続部にて覆われていない部位から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる連続接続部と、前記連続接続部の先端から前記第2コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる折り返し接続部と、を有する第2粘着テープと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示のワイヤハーネス、及びワイヤハーネスの製造方法によれば、高強度で容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態におけるワイヤハーネスの一部断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態におけるワイヤハーネスの製造方法を説明するための一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]電線部材と、全周が繋がって形成され、前記電線部材の外周を覆う筒状の第1コルゲートチューブと、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記第1コルゲートチューブと長さ方向に接続されて、前記電線部材の外周を覆う筒状の第2コルゲートチューブと、前記第1コルゲートチューブの外周から前記電線部材の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部と、前記巻き落とし部の先端から前記スリットを通って前記第2コルゲートチューブの外周に露出する外延部と、前記外延部の先端から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる接続部と、を有する第1粘着テープと、前記第2コルゲートチューブの外周において前記接続部にて覆われていない部位から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる連続接続部と、前記連続接続部の先端から前記第2コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられる折り返し接続部と、を有する第2粘着テープと、を備える。
【0011】
同構成によれば、第1粘着テープは、第1コルゲートチューブの外周から電線部材の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部を有するため、第1コルゲートチューブと電線部材とが固定される。また、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの境目は、第1粘着テープの接続部と、第2粘着テープの連続接続部と、第2粘着テープの折り返し接続部とで3重に巻き付けられるため、強固に接続される。これにより、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの接続箇所が簡単に折れ曲がってしまうといったことが抑制される。また、連続接続部は、第2コルゲートチューブの外周において接続部にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられるため、接続部にて覆われていない部位のスリットが閉じられる。すなわち、連続接続部は、スリットを閉じる機能と、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとを接続する機能とを兼ねている。また、第1粘着テープ及び第2粘着テープの各々は、ワイヤハーネスの長さ方向に沿って1往復するように巻き付けられる構成であるため、例えば、作業者が覚えやすく、巻き付け方を間違えにくい。すなわち、例えば、第1粘着テープ及び第2粘着テープの少なくとも一方が、ワイヤハーネスの長さ方向に沿って1往復半以上巻き付けられる構成では、作業者が覚えにくいとともに、巻き付け方を間違える可能性が高くなるが、これを抑制できる。これらのことから、ワイヤハーネスを高強度で容易に製造できる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記接続部の巻き終わる位置は、前記巻き落とし部の巻き始める位置に少なくとも到達していてもよい。
同構成によれば、接続部の巻き終わる位置は、巻き落とし部の巻き始める位置に少なくとも到達しているため、接続部の巻き付ける範囲が予め設計した範囲より小さくなることが防止される。よって、ワイヤハーネスを高強度で容易に製造できる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記連続接続部の巻き終わる位置は、前記接続部の巻き終わる位置に少なくとも到達していてもよい。
同構成によれば、連続接続部の巻き終わる位置は、接続部の巻き終わる位置に少なくとも到達しているため、連続接続部の巻き付ける範囲が予め設計した範囲より小さくなることが防止される。よって、ワイヤハーネスを高強度で容易に製造できる。
【0014】
[4]上記[1]において、前記接続部の巻き始める位置と前記接続部の巻き終わる位置とは、前記第1コルゲートチューブと前記第2コルゲートチューブとの境目から同じ距離に設定されていてもよい。
【0015】
同構成によれば、接続部の巻き始める位置と接続部の巻き終わる位置とは、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの境目から同じ距離に設定されているため、第1粘着テープの無駄を無くしつつ均等な高強度で接続することができる。
【0016】
[5]上記[1]から上記[4]のいずれか1つにおいて、前記第1粘着テープと前記第2粘着テープのいずれか一方は、透明テープであってもよい。
同構成によれば、第1粘着テープと第2粘着テープのいずれか一方は、透明テープであるため、例えば、透明テープの内側を目視することができる。よって、例えば、巻き付け方が間違えていないか目視することができる。
【0017】
[6]上記[5]において、前記第1粘着テープは、透明テープであってもよい。
同構成によれば、第1粘着テープは、透明テープであるため、例えば、第2粘着テープを巻き付ける際に、第1粘着テープが正常に巻き付けられているか確認することができる。また、例えば、第2粘着テープを巻き付ける際に、接続部に覆われている第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブの境目を確認することができる。
【0018】
本開示のワイヤハーネスの製造方法は、
[7]電線部材と、全周が繋がって形成され、前記電線部材の外周を覆う筒状の第1コルゲートチューブと、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリットを有し、前記第1コルゲートチューブと長さ方向に接続されて、前記電線部材の外周を覆う筒状の第2コルゲートチューブと、を備えた、ワイヤハーネスの製造方法であって、第1粘着テープを、前記第1コルゲートチューブの外周から前記電線部材の外周にわたって巻き付けて巻き落とし部を形成し、前記巻き落とし部の先端から前記スリットを通して前記第2コルゲートチューブの外周に露出させて外延部を形成し、前記外延部の先端から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて接続部を形成する、第1巻き付け工程と、第2粘着テープを、前記第2コルゲートチューブの外周において前記接続部にて覆われていない部位から前記第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて連続接続部を形成し、前記連続接続部の先端から前記第2コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けて折り返し接続部を形成する、第2巻き付け工程と、を備える。
【0019】
同方法によれば、第1粘着テープは、第1コルゲートチューブの外周から電線部材の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部を有するため、第1コルゲートチューブと電線部材とが固定される。また、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの境目は、第1粘着テープの接続部と、第2粘着テープの連続接続部と、第2粘着テープの折り返し接続部とで3重に巻き付けられるため、強固に接続される。これにより、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとの接続箇所が簡単に折れ曲がってしまうといったことが抑制される。また、連続接続部は、第2コルゲートチューブの外周において接続部にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブの外周にわたって巻き付けられるため、接続部にて覆われていない部位のスリットが閉じられる。すなわち、連続接続部は、スリットを閉じる機能と、第1コルゲートチューブと第2コルゲートチューブとを接続する機能とを兼ねている。また、第1粘着テープ及び第2粘着テープの各々は、ワイヤハーネスの長さ方向に沿って1往復するように巻き付けられるため、例えば、作業者が覚えやすく、巻き付け方を間違えにくい。すなわち、例えば、第1粘着テープ及び第2粘着テープの少なくとも一方が、ワイヤハーネスの長さ方向に沿って1往復半以上巻き付けられる方法では、作業者が覚えにくいとともに、巻き付け方を間違える可能性が高くなるが、これを抑制できる。これらのことから、ワイヤハーネスを高強度で容易に製造できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1及び
図2に示すように、ワイヤハーネス11は、電線部材12と、第1コルゲートチューブ13と、第2コルゲートチューブ14と、第1粘着テープ15と、第2粘着テープ16とを備える。ワイヤハーネス11は、例えば、車両に設けられる車載機器同士を電気的に接続するために、車両に配策されるものである。
【0022】
(電線部材12の構成)
電線部材12は、例えば、1本又は複数本であって、本実施形態では、2本の電線17を有している。
【0023】
図2に示すように、電線17は、導電性を有する芯線18と、芯線18の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆19とを有する被覆電線である。芯線18としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線18としては、撚線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線18の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0024】
絶縁被覆19は、例えば、芯線18の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆19は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。電線17の長さ方向と直交する平面によって電線17を切断した断面形状、つまり電線17の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。電線17の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の電線17の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0025】
(第1コルゲートチューブ13の構成)
第1コルゲートチューブ13は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。本実施形態の第1コルゲートチューブ13は、ワイヤハーネス11が高電圧用であることを示すべく、オレンジ色である。第1コルゲートチューブ13は、電線部材12の外周を覆う筒状に形成されている。第1コルゲートチューブ13は、全周が繋がって形成されている。言い換えると、第1コルゲートチューブ13は、全周が切れ目無く形成されている。
【0026】
第1コルゲートチューブ13は、長さ方向に沿って大径部20と大径部20よりも径の小さい小径部21とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有している。第1コルゲートチューブ13の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0027】
(第2コルゲートチューブ14の構成)
第2コルゲートチューブ14は、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。本実施形態の第2コルゲートチューブ14は、ワイヤハーネス11が高電圧用であることを示すべく、オレンジ色である。第2コルゲートチューブ14は、電線部材12の外周を覆う筒状に形成されている。第2コルゲートチューブ14は、周方向の一部に長さ方向に沿って延びるスリット22を有する。これにより、第2コルゲートチューブ14は、電線部材12の外側から電線部材12に対して取り付け可能である。言い換えると、第2コルゲートチューブ14は、スリット22を通じて電線部材12に後付け可能である。例えば、第2コルゲートチューブ14は、電線部材12の一部を加工した後に電線部材12の外側から電線部材12の外周を覆うように配置することができる。
【0028】
第2コルゲートチューブ14は、長さ方向に沿って大径部23と大径部23よりも径の小さい小径部24とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有している。第2コルゲートチューブ14の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。第2コルゲートチューブ14は、第1コルゲートチューブ13と長さ方向に接続されることで、電線部材12を長さ方向に連続して保護する。
【0029】
(第1粘着テープ15の構成)
図2及び
図3に示すように、第1粘着テープ15は、無色の透明テープである。第1粘着テープ15は、巻き落とし部25と、外延部26と、接続部27とを有する。
【0030】
巻き落とし部25は、第1コルゲートチューブ13の外周から電線部材12の外周にわたって巻き付けられる。詳しくは、巻き落とし部25は、第1コルゲートチューブ13における第1端部13aの近傍位置であって、例えば、第1端部13aから2cm等、数cm離れた位置から巻き始められる。巻き落とし部25は、第1端部13aの位置から電線部材12の外周にわたって連続的に巻き付けられ、例えば、電線部材12において第1端部13aから2cm等、数cm離れた位置まで巻き付けられる。本実施形態の巻き落とし部25は、電線部材12における2本の電線17を束ねるように巻き付けられる。また、本実施形態の巻き落とし部25は、第1粘着テープ15の幅方向の一部分同士が重なるように螺旋状に巻かれている。すなわち、巻き落とし部25は、オーバーラップ巻きされている。詳しくは、本実施形態の巻き落とし部25は、先に巻かれた第1粘着テープ15の幅方向の半分に対して、後に巻かれる第1粘着テープ15の幅方向の半分が重なるように、いわゆるハーフラップ巻きされている。なお、
図2及び
図3では、巻き落とし部25の断面を模式的に1つの繋がった断面として図示している。
【0031】
外延部26は、巻き落とし部25の先端から第2コルゲートチューブ14のスリット22を通って第2コルゲートチューブ14の外周に露出する。なお、第2コルゲートチューブ14は巻き落とし部25が巻き付けられた後に巻き落とし部25の外側に配置され、その際、外延部26はスリット22を通って第2コルゲートチューブ14の外側に導出される。
【0032】
接続部27は、外延部26の先端から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けられる。接続部27の巻き終わる位置は、巻き落とし部25の巻き始める位置に少なくとも到達している。言い換えると、接続部27は、巻き落とし部25の巻き始める位置まで少なくとも巻き付けられる。さらに言うと、接続部27は、巻き落とし部25の巻き始める位置を覆うように巻き付けられる。本実施形態では、接続部27の巻き終わる位置は、巻き落とし部25の巻き始める位置と同じに設定されている。また、接続部27の巻き始める位置と接続部27の巻き終わる位置とは、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目から同じ距離に設定されている。また、本実施形態の接続部27は、第1粘着テープ15の幅方向の一部分同士が重なるように螺旋状に巻かれている。すなわち、接続部27は、オーバーラップ巻きされている。詳しくは、本実施形態の接続部27は、先に巻かれた第1粘着テープ15の幅方向の半分に対して、後に巻かれる第1粘着テープ15の幅方向の半分が重なるように、いわゆるハーフラップ巻きされている。なお、
図2及び
図3では、接続部27の断面を模式的に1つの繋がった断面として図示している。巻き落とし部25と外延部26と接続部27とは、連続した第1粘着テープ15によって形成され、第1粘着テープ15は、接続部27が巻き終わった位置で切断される。
【0033】
(第2粘着テープ16の構成)
図2に示すように、第2粘着テープ16は、有色で不透明のテープである。本実施形態の第2粘着テープ16は、ワイヤハーネス11が高電圧用であることを示すべく、オレンジ色である。第2粘着テープ16は、連続接続部28と、折り返し接続部29とを有する。
【0034】
連続接続部28は、第2コルゲートチューブ14の外周において接続部27にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けられる。詳しくは、連続接続部28は、第2コルゲートチューブ14において第1コルゲートチューブ13と対向する側とは反対側の端部から巻き始められる。そして、連続接続部28は、第2コルゲートチューブ14と第1コルゲートチューブ13との境目を超える位置まで巻き付けられる。本実施形態では、連続接続部28の巻き終わる位置は、接続部27の巻き終わる位置に少なくとも到達している。言い換えると、連続接続部28は、接続部27の巻き終わる位置まで少なくとも巻き付けられる。さらに言うと、連続接続部28は、接続部27の巻き終わる位置を覆うように巻き付けられる。本実施形態では、連続接続部28の巻き終わる位置は、接続部27の巻き終わる位置と同じに設定されている。また、本実施形態の連続接続部28は、第2粘着テープ16の幅方向の一部分同士が重なるように螺旋状に巻かれている。すなわち、連続接続部28は、オーバーラップ巻きされている。詳しくは、本実施形態の連続接続部28は、先に巻かれた第2粘着テープ16の幅方向の半分に対して、後に巻かれる第2粘着テープ16の幅方向の半分が重なるように、いわゆるハーフラップ巻きされている。なお、
図2では、連続接続部28の断面を模式的に1つの繋がった断面として図示している。
【0035】
折り返し接続部29は、連続接続部28の先端から第2コルゲートチューブ14の外周にわたって巻き付けられる。折り返し接続部29は、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目を超える位置まで巻き付けられる。本実施形態では、折り返し接続部29の巻き終わる位置は、接続部27の巻き始める位置に少なくとも到達している。言い換えると、折り返し接続部29は、接続部27の巻き始める位置まで少なくとも巻き付けられる。さらに言うと、折り返し接続部29は、接続部27の巻き始める位置を覆うように巻き付けられる。本実施形態では、折り返し接続部29の巻き終わる位置は、接続部27の巻き始める位置と同じに設定されている。また、本実施形態の折り返し接続部29は、第2粘着テープ16の幅方向の一部分同士が重なるように螺旋状に巻かれている。すなわち、折り返し接続部29は、オーバーラップ巻きされている。詳しくは、本実施形態の折り返し接続部29は、先に巻かれた第2粘着テープ16の幅方向の半分に対して、後に巻かれる第2粘着テープ16の幅方向の半分が重なるように、いわゆるハーフラップ巻きされている。なお、
図2では、折り返し接続部29の断面を模式的に1つの繋がった断面として図示している。連続接続部28と折り返し接続部29とは、連続した第2粘着テープ16によって形成され、第2粘着テープ16は、折り返し接続部29が巻き終わった位置で切断される。
【0036】
次に、上記したワイヤハーネス11の製造方法及び作用について説明する。
ワイヤハーネス11の製造方法は、第1巻き付け工程と、第2巻き付け工程とを備える。
【0037】
図3に示すように、第1巻き付け工程では、まず透明テープである第1粘着テープ15を、第1コルゲートチューブ13の外周から電線部材12の外周にわたって巻き付けて巻き落とし部25を形成する。さらに、第1巻き付け工程では、第1粘着テープ15を、巻き落とし部25の先端から第2コルゲートチューブ14のスリット22を通して第2コルゲートチューブ14の外周に露出させて外延部26を形成する。さらに、第1巻き付け工程では、第1粘着テープ15を、外延部26の先端から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けて接続部27を形成する。第1巻き付け工程では、連続した第1粘着テープ15によって巻き落とし部25と外延部26と接続部27とを形成し、接続部27が巻き終わった位置で第1粘着テープ15を切断する。
【0038】
次に、
図2に示すように、第2巻き付け工程では、まず第2粘着テープ16を、第2コルゲートチューブ14の外周において接続部27にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けて連続接続部28を形成する。さらに、第2巻き付け工程では、第2粘着テープ16を、連続接続部28の先端から第2コルゲートチューブ14の外周にわたって巻き付けて折り返し接続部29を形成する。第2巻き付け工程では、連続した第2粘着テープ16によって連続接続部28と折り返し接続部29とを形成し、折り返し接続部29が巻き終わった位置で第2粘着テープ16を切断する。これによって、ワイヤハーネス11が製造される。
【0039】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)第1粘着テープ15は、第1コルゲートチューブ13の外周から電線部材12の外周にわたって巻き付けられる巻き落とし部25を有するため、第1コルゲートチューブ13と電線部材12とが固定される。また、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目は、第1粘着テープ15の接続部27と、第2粘着テープ16の連続接続部28と、第2粘着テープ16の折り返し接続部29とで3重に巻き付けられるため、強固に接続される。これにより、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との接続箇所が簡単に折れ曲がってしまうといったことが抑制される。
【0040】
また、連続接続部28は、第2コルゲートチューブ14の外周において接続部27にて覆われていない部位から第1コルゲートチューブ13の外周にわたって巻き付けられるため、接続部27にて覆われていない部位のスリット22が閉じられる。すなわち、連続接続部28は、スリット22を閉じる機能と、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14とを接続する機能とを兼ねている。
【0041】
また、第1粘着テープ15及び第2粘着テープ16の各々は、ワイヤハーネス11の長さ方向に沿って1往復するように巻き付けられる構成であるため、例えば、作業者が覚えやすく、巻き付け方を間違えにくい。すなわち、例えば、第1粘着テープ15及び第2粘着テープ16の少なくとも一方が、ワイヤハーネス11の長さ方向に沿って1往復半以上巻き付けられる構成では、作業者が覚えにくいとともに、巻き付け方を間違える可能性が高くなるが、これを抑制できる。これらのことから、ワイヤハーネス11を高強度で容易に製造できる。
【0042】
(2)接続部27の巻き終わる位置は、巻き落とし部25の巻き始める位置に少なくとも到達しているため、接続部27の巻き付ける範囲が予め設計した範囲より小さくなることが防止される。よって、ワイヤハーネス11を高強度で容易に製造できる。
【0043】
(3)連続接続部28の巻き終わる位置は、接続部27の巻き終わる位置に少なくとも到達しているため、連続接続部28の巻き付ける範囲が予め設計した範囲より小さくなることが防止される。よって、ワイヤハーネス11を高強度で容易に製造できる。
【0044】
(4)接続部27の巻き始める位置と接続部27の巻き終わる位置とは、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目から同じ距離に設定されている。よって、第1粘着テープ15の無駄を無くしつつ第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14とを均等な高強度で接続することができる。
【0045】
(5)第1粘着テープ15は、透明テープであるため、例えば、透明テープの内側を目視することができる。よって、例えば、巻き付け方が間違えていないか目視することができる。例えば、第2粘着テープ16を巻き付ける際に、第1粘着テープ15が正常に巻き付けられているか確認することができる。また、例えば、第2粘着テープ16を巻き付ける際に、接続部27に覆われている第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目を確認することができる。これにより、例えば、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目を連続接続部28が確実に超えるように巻き付けることができ、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目を強固に接続できる。
【0046】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、接続部27の巻き終わる位置は、巻き落とし部25の巻き始める位置と同じに設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、巻き落とし部25の巻き始める位置を超えた位置まで巻き付けられていてもよい。また、例えば、接続部27の巻き終わる位置は、巻き落とし部25の巻き始める位置まで到達していなくてもよい。
【0047】
・上記実施形態では、連続接続部28の巻き終わる位置は、接続部27の巻き終わる位置と同じに設定されているとしたが、これに限定されず、例えば、接続部27の巻き終わる位置を超えた位置まで巻き付けられていてもよい。また、例えば、連続接続部28の巻き終わる位置は、接続部27の巻き終わる位置まで到達していなくてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、接続部27の巻き始める位置と接続部27の巻き終わる位置とは、第1コルゲートチューブ13と第2コルゲートチューブ14との境目から同じ距離に設定されているとしたが、これに限定されず、異なる距離であってもよい。
【0049】
・上記実施形態では、第1粘着テープ15は、透明テープであるとしたが、これに限定されず、不透明のテープとしてもよい。例えば、第1粘着テープ15は、オレンジ色で不透明のテープとしてもよい。また、例えば、第1粘着テープ15を不透明のテープとしながら、第2粘着テープ16を透明テープとしてもよい。このようにしても、例えば、透明テープである第2粘着テープ16の内側を目視することができる。よって、例えば、第2粘着テープ16の内側で巻き付け方が間違えていないか目視することができる。
【0050】
・上記実施形態では、第2粘着テープ16は、ワイヤハーネス11が高電圧用であることを示すべく、オレンジ色であるとしたが、これに限定されず、オレンジ色以外の有色のテープとしてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、巻き落とし部25、接続部27、連続接続部28、及び折り返し接続部29の各々は、ハーフラップ巻きされているとしたが、これに限定されず、少なくとも1つが異なる巻き方で巻き付けられていてもよい。例えば、巻き落とし部25、接続部27、連続接続部28、及び折り返し接続部29の内の少なくとも1つが、ハーフラップ巻き以外のオーバーラップ巻きによって巻き付けられていてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、電線部材12は、2本の電線17を有しているとしたが、これに限定されず、例えば、1本の電線17のみを有する構成としてもよいし、3本以上の電線17を有する構成としてもよい。
【0053】
・上記実施形態の電線部材12は、電磁シールド部材を有していてもよい。電磁シールド部材としては、例えば、複数本の電線17の外周を一括して包囲する編組部材などを用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
11 ワイヤハーネス
12 電線部材
13 第1コルゲートチューブ
13a 第1端部
14 第2コルゲートチューブ
15 第1粘着テープ
16 第2粘着テープ
17 電線
18 芯線
19 絶縁被覆
20 大径部
21 小径部
22 スリット
23 大径部
24 小径部
25 巻き落とし部
26 外延部
27 接続部
28 連続接続部
29 折り返し接続部