(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110165
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】紙製包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/02 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B65D30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014576
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】武士田 満
(72)【発明者】
【氏名】多久島 七重
(72)【発明者】
【氏名】若松 元子
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 文彦
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA01
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA30
3E064HN13
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】開封しやすく,樹脂使用量の少ない紙製包装袋を提供する。
【解決手段】紙製包装袋は,表面シートおよび裏面シートを備えるもので,上記表面シートおよび裏面シートが紙層を備え,同じ箇所に,上記包装袋の幅方向にのびるミシン目が上記表面シートおよび裏面シートの紙層に形成されている。上記表面シートおよび裏面シートの内面において,上記紙層に隣接する樹脂層として押出し樹脂層が積層されており,紙の重量比が50%以上である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シートおよび裏面シートを備える紙製包装袋であって,
上記表面シートおよび裏面シートが紙層を備え,同じ箇所に,上記包装袋の幅方向にのびるミシン目が上記表面シートおよび裏面シートの紙層に形成されており,
上記表面シートおよび裏面シートの内面において,上記紙層に隣接する樹脂層として押出し樹脂層が積層されており,
紙の重量比が50%以上である,
紙製包装袋。
【請求項2】
上記表面シートおよび裏面シートの内面であって上記ミシン目よりも開口端部から離れた箇所に,上記包装袋の幅方向にのびるチャック部材が設けられている,
請求項1に記載の紙製包装袋。
【請求項3】
上記ミシン目の中心部と上記チャック部材の中心部との間の距離が4~20mmである, 請求項2に記載の紙製包装袋。
【請求項4】
上記ミシン目の少なくとも一端部にノッチが形成されている,
請求項1に記載の紙製包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は紙製包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋プラスチック問題や地球温暖化などの環境問題を発端にしてプラスチック使用量の削減が求められている。プラスチックに代えて持続可能な原料としての紙の活用が近年増加している。容器包装リサイクル制度では紙とプラスチックからなる容器包装で分離不可能な素材の場合,重量比が大きい方の素材の識別マークが表示される。紙の重量比が50%以上であることによって「紙マーク」を容器包装に表示することができる。
【0003】
紙にプラスチックを積層する場合,一般には押出しラミネート法またはドライラミネート法のいずれかで行われる。押出しラミネート法は加工時に接着剤を使用しないため残留溶剤が少なく,他方,ドライラミネート法は加工時に接着剤を使用するので溶剤が押出しラミネートと比較し多く残ってしまう。特許文献1は,加熱に耐えられるようにするために比較的シール強度が高いドライラミネート法を採用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
紙マークを表示しようとする場合,上述のように紙の重量比が50%以上にしなければならず,そのためにはプラスチック(樹脂)の使用量を少なくしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は,開封しやすく,樹脂使用量の少ない紙製包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による紙製包装袋は,表面シートおよび裏面シートを備えるもので,上記表面シートおよび裏面シートが紙層を備え,同じ箇所に,上記包装袋の幅方向にのびるミシン目が上記表面シートおよび裏面シートの紙層に形成されており,上記表面シートおよび裏面シートの内面において,上記紙層に隣接する樹脂層として押出し樹脂層が積層されており,紙の重量比が50%以上であることを特徴とする。
【0008】
この発明によると,紙の重量比が50%以上である紙製包装袋を構成する表面シートおよび裏面シートの同じ箇所に幅方向にのびるミシン目が形成されているので,ミシン目に沿って包装袋(表面シートおよび裏面シート)を幅方向に引き裂くことができる。ミシン目は表面シートおよび裏面シートの紙層に形成され,表面シートおよび裏面シートの内面の樹脂層にミシン目は形成されていないので,ミシン目から内容物が漏れ出すまたは浸み出すおそれは少なく,バリア性,密封性が担保される。
【0009】
また,この発明によると,ミシン目が形成された紙層に隣接して押出し樹脂層が積層されている。押出し樹脂層は接着剤を用いることなく紙層に積層されるので,接着剤の使用量を少なくすることができ,包装袋を占める樹脂重量が大きくなることが防止される。接着剤が用いられないので紙層に形成されたミシン目から接着剤が浸み出すこともない。さらに紙の重量比が50%以上であるので,容器包装リサイクル制度の下で紙マークを付与することができる。
【0010】
一実施態様では,上記表面シートおよび裏面シートの内面であって上記ミシン目よりも開口端部から離れた箇所に,上記包装袋の幅方向にのびるチャック部材が設けられている。ミシン目に沿って包装袋の開口端部が引き裂かれた後に,チャック部材によって開口端部を何度でもリクローズすることができる。
【0011】
好ましくは,上記ミシン目の中心部と上記チャック部材の中心部との間の距離が4~20mmである。
【0012】
他の実施態様では,上記ミシン目の少なくとも一端部にノッチが形成されている。ノッチを契機にしてミシン目に沿って包装袋を容易に引き裂くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】切れ目が形成されている範囲の表面シートの一部拡大断面図である。
【実施例0014】
図1は紙製包装袋1の正面図である。
図1において紙製包装袋1の周縁部における細かいハッチング模様で示す範囲はシール範囲である。
図2は
図1のII-II線に沿う断面図である。
図2において,分かりやすくするために,上部が開口しており,後述する表面,裏面シートの間隔が少し広げられた状態が示されている。
【0015】
紙製包装袋1は,正面から見て,全体的には四隅の角が丸められた方形の形状を備える筒状の包装袋本体10を含む。包装袋本体10は,その表裏面を形成する表面シート11および裏面シート12と,底部に襠部を形成する底部シート13とを備える,いわゆるスタンディング(スタンド)・タイプのものである。包装袋本体10を構成する表面,裏面および底部シート11,12,13は,それぞれ1枚の紙製シート(詳細は後述する)によって構成されており,包装袋本体10の両側部において表,裏面シート11,12の外縁部分が互いにシールされ,包装袋本体10の下部では底部シート13の外縁部分と表,裏面シート11,12の外縁部分とが互いにシールされている。シールはシート同士の接着(溶着を含む)により行なわれる。包装袋本体10の上部が開口可能であり,内容物を充填する前では,底部シート13はその中央部で山折りに折り畳まれて,表面シート11と裏面シート12との間に挟まれる。
【0016】
包装袋本体10の形状は,正面から見て方形のものに限られず,円形,楕円形,三角形その他の形状であってもよい。また,自立性が要求されない場合には,包装袋本体10の形態として平パウチ・タイプであってもよい。また,包装袋本体10の下部を立方体状に形成し,上部を立方体の天面に沿わせて折り畳む形態のボックスパウチ・タイプであってもよい。シールについても,三方シール・タイプ,背シール・タイプ,四方シール・タイプその他の形態を採用することができる。三方シール・タイプ,背シール・タイプでは1枚のシートを折ることで袋状にすることができる。包装袋本体10が1枚のシートにより形成される場合であっても,包装袋本体10の形態は,表面および裏面(正面および背面と言ってもよい)の両面のシートによって構成されると見ることができる。四方シール・タイプ(平パウチ・タイプ)は表面シート11と裏面シート12の2枚のシートから形成することができる。
【0017】
包装袋本体10の上部開口から内容物が充填される。後述するように,包装袋本体10を構成する表面,裏面および底部シート11,12,13は紙製であるため,一般には,比較的水分の少ない食料品,薬品,その他の物品が充填される。粉状物または粒状物を充填することもできる。包装袋本体10内に粉状物または粒状物を直接に充填してもよいし,個包装した粉状物または粒状物を包装袋本体10内に収納してもよい。もっとも表面,裏面および底部シート11,12,13に水密機能を付与する機能層を付加することによって液状物を内容物とすることもできる。
【0018】
内容物が充填されると,底部シート13はその折り畳み状態が解消されて下向きに下がりつつ次第に広がっていく。表面シート11,裏面シート12は次第にその間隔が広がり内部空間が大きくなる。内容物を充填した後,開口している包装袋本体10の上端部がシールされることで開口が閉じられ,これにより包装袋本体10内に内容物が密封される。表面シート11および裏面シート12の下端縁部によって,内容物が充填された紙製包装袋1を自立させることができる。
【0019】
包装袋本体10の上部に,包装袋本体10の両側部を結ぶ向き(幅方向,開封方向)にのびるミシン目20およびチャック部材30が設けられている。ミシン目20の方が包装袋本体10の上縁に近く,ミシン目20のすぐ下側にチャック部材30が位置する。ミシン目20とチャック部材30との間の距離は,それぞれの上下方向の中央部同士で測定したときに4~20mmとされる。
【0020】
ミシン目20は,包装袋本体10の両側部を結ぶ向き(幅方向,開封方向)に並んで形成された複数の切れ目21から構成される。ミシン目20よりも下側の包装袋本体10の左側シール部を左手で摘まみ,かつミシン目20よりも上側の包装袋本体10の左側シール部を右手で摘まみ,右手で摘まんだ包装袋本体10の左側シール部を右方向に移動させると,ミシン目20に沿って包装袋本体10を引き裂くことができる。逆に,ミシン目20よりも下側の包装袋本体10の右側シール部を右手で摘まみ,かつミシン目20よりも上側の包装袋本体10の右側シール部を左手で摘まみ,左手で摘まんだ包装袋本体10の右側シール部を左方向に移動させても,ミシン目20に沿って包装袋本体10を引き裂くことができる。
【0021】
ミシン目20がのびる左右の両端部に位置する包装袋本体10の両側シール部分にノッチ16が形成されている。ノッチ16を契機にすることで,ミシン目20に沿って,包装袋本体10を容易に引き裂くことができる。
【0022】
図3は,ミシン目20を構成する切れ目21が形成されている範囲の表面シート11の一部拡大断面図である。裏面および底部シート12,13も同様の層構造を備えている。なお,ミシン目20を構成する切れ目21については,裏面シート12にも形成されるが,底部シート13には形成されない。
【0023】
表面シート11は紙層11Aとシーラント層11Bとを備える積層シートから構成される。紙層11Aが表面シート11の表面であり,包装袋本体10の外面となる。シーラント層11Bが表面シート11の裏面であり,包装袋本体10の内面となる。
【0024】
紙層11Aにはたとえば40~125g/m
2の坪量のものが用いられる。シーラント層11Bには,ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。紙層11Aおよびシーラント層11Bの間には,必要に応じて,接着層,バリア層など(ポリエチレンテレフタレート(PET),エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMAA)など)をさらに積層することもできる。また,紙層11Aの外面または内面には印刷を施す(インクを積層する)こともできる。
図2に示す断面図では,分かりやすくするために,表面シート11,裏面シート12および底部シート13が単層のものとして図示されていることを理解されたい。
【0025】
表面シート11の最外層を構成する紙層11Aに,上述したミシン目20を構成する切れ目21が形成される。ミシン目20(切れ目21)は紙層11Aのみに形成され,紙層11Aに積層されるシーラント層11Bその他の層には形成されない。
【0026】
紙層11Aに積層される樹脂層(
図3ではシーラント層11B)は押出しラミネート法によって積層される。押出しラミネート法では,ペレット状または粉末状の樹脂を溶融し,溶融させた樹脂をT-ダイから押出し,基材,ここでは紙層11Aに貼り合わせるラミネート技術である。溶融させた樹脂そのものが接着剤の役割を果たすので,別途接着剤を塗布する必要がない。紙層11Aとシーラント層11Bとの間に,接着層,バリア層などを積層する場合も,紙層11Aに積層される樹脂層は押出しラミネート法によって積層される。上述のように押出しラミネート法では接着剤を別途塗布する必要がないので,残留溶剤がなく,これによって特に食品を包装する場合に食品の臭気と縁のない石油臭の発生を未然に防止することができる。
【0027】
ミシン目20は上述したように紙層11Aにあけられた複数の切れ目21によって構成されるもので,複数の切れ目21によって所定のパターンが形成される。
【0028】
図1を参照して,ミシン目20は,たとえば,いわゆるハ字形を形成するようにして包装袋の幅方向(開封方向)に対して線対称に傾斜した1対の切れ目21を,幅方向に沿って所定間隔をあけて断続的に複数形成することによって構成される切れ目の列(以下,切れ目列という)を,複数列分形成したものである。ハ字形は,幅方向(開封方向)と垂直な方向に間隔をあけて並ぶ1対(2つ)の所定長の切れ目21によって構成され,幅方向の一方に向かって互いに離れ,かつ幅方向の他方に向かって互いに近づくように傾斜した,幅方向に対して線対称の短い直線状の切れ目21から構成される。
【0029】
ミシン目20に沿って包装袋本体10を引き裂こうとする場合,ハ字形を形成する1対の切れ目21の拡開側(1対のハ字形切れ目21が互いに離れる側)からその反対側(縮閉側)に向かう方向に包装袋本体10は引裂きやすい。
図1に示すミシン目20の左端および右端を参照して,
図1に示すミシン目20は,その左側から右側に向けても,右側から左側に向けても,拡開側から縮閉側に向かうミシン目20が形成されているので,包装袋本体10は左端側から引き裂きやすく,かつ右端側からも引き裂きやすい。
【0030】
チャック部材30はプラスチック製のもので,包装袋本体10の両側部を結ぶ向きにのびる,表面シート11の内面に設けられる雌部30Aと,裏面シート12の内面に設けられる雄部30Bと,から構成されている。雌部30Aおよび雄部30Bはいずれも表,裏面シート11,12のそれぞれの内面に接着されて固定されており,外側からは見えない。
図2を参照して,雄部30Bの先端部分には拡径部が形成されており,対向する雌部30Aには雄部30Bの拡径部が係合する凹部が形成されている。拡径部を凹部に係合させることによって,包装袋本体10の開口を閉鎖することができる。表面シート11の上部および裏面シート12の上部を互いに離れる向きに引っ張ると雌部30Aと雄部30Bの係合は外れ,包装袋本体10の上端部は再び開口する。チャック部材30を用いることで包装袋本体10は何度でもリクローズすることができる。
【0031】
裏面シート12にも,表面シート11と同様のミシン目20を形成することができる。裏面シート12に形成されるミシン目20は,表面シート11に形成されるミシン目20と重なる位置(対応する箇所,同じ箇所)に形成されるのは言うまでもない。裏面シート12には表面シート11に形成されるミシン目20と同じパターンのミシン目を形成してもよいし,表面シート11に形成されるミシン目20とは異なるパターンのミシン目を裏面シート12に形成してもよい。
【0032】
【0033】
比較評価試験では,ミシン目を形成した紙層を用意し,以下に説明するようにして紙層にプラスチック層を積層した10種類の積層シート(実施例1~実施例8,比較例1~比較例2)を作成した。10種類の積層シートのそれぞれを用いて,平パウチ・タイプの包装袋(130mm×170mm)およびスタンド・タイプの包装袋(130mm×170mm,折り込み深さ35mm)を作成するとともに,チャック部材30をヒートシールにより固定したもの(チャック有)と,固定していないもの(チャック無)を作成した。作成した複数のサンプルのそれぞれについて,紙層の貼り合わせの加工性,紙重量比率,不具合の有無を確認した。
【0034】
ミシン目は,ロール状に巻き回された紙層シートを巻き出し,紙層シートの進行方向(紙目方向)に沿って設けられるミシン目刃を紙層シートに押し付けることによって形成した。チャック部材(4.0g/mの重量のもの。0.52g)は包装袋を作成する前の表面,裏面シートの内面にヒートシールで取り付けた。
【0035】
[実施例1]
坪量50g/m2のミシン目を形成した紙層に,厚さ30μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層した(貼り合わせた)。
【0036】
[実施例2]
坪量50g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ25μmのポリエチレンフィルム(PEF)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層し,紙層とPEFを貼り合わせた。
【0037】
[実施例3]
坪量70g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ6.5μmのアルミニウム(AL)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層して紙層とAL層を貼り合わせ,さらにAL層に厚さ25μmのポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層した。
【0038】
[実施例4]
坪量80g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ12μmの透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層に4g/m2の接着剤を塗布した上に厚さ40μmのポリエチレンフィルム(PEF)をドライラミネート法(DL)により積層した。
【0039】
[実施例5]
坪量80g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ12μmの透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ8μm,メルトフローレート(MFR)14のエチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層に4g/m2の接着剤を塗布した上に厚さ40μmのポリエチレンフィルム(PEF)をドライラミネート法(DL)により積層した。
【0040】
[実施例6]
坪量80g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ8μm,メルトフローレート(MFR)5.5のアイオノマー(IO)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層に4g/m2の接着剤を塗布した上に厚さ40μmのポリエチレンフィルム(PEF)をドライラミネート法(DL)により積層した。
【0041】
[実施例7]
坪量120g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層に厚さ30μmのポリエチレンを押出しラミネート法により積層した。
【0042】
[実施例8]
坪量120g/m2のミシン目を形成した紙層と,厚さ12μmの透明蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)14のエチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層に厚さ30μmのポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層した。
【0043】
[比較例1]
坪量60g/m2のミシン目を形成した紙層と,アルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)との間に,厚さ15μm,メルトフローレート(MFR)7のポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層して紙層とPET層を貼り合わせ,さらにPET層と,厚さ25μmのポリエチレンフィルム(PEF)との間に,厚さ15μmのポリエチレン(PE)を押出しラミネート法により積層してPET層とPEFを貼り合わせた。
【0044】
[比較例2]
坪量80g/m2のミシン目を形成した紙層に,4g/m2の接着剤を塗布した上で厚さ12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)をドライラミネート法(DL)により貼り合わせ,さらにPET層に4g/m2の接着剤を塗布した上で厚さ40μmのポリエチレンフィルム(PEF)をドライラミネート法(DL)により積層した。
【0045】
比較例1の包装袋は,紙の重量比が50%未満であり,プラスチックを主成分とする。紙製品として分類されずにプラスチック製品として分類されることになる。
【0046】
比較例2の包装袋は,紙層にアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(PET)をドライラミネート法(DL)により積層したものであり,紙層に形成されたミシン目から接着剤が浸み出すことがあり加工性が悪かった。また,プラスチック製のチャック部材30を設けると,包装袋を占める紙の重量比が50%未満となり,プラスチックとして分類されることになるものであった。
【0047】
実施例1~8の包装袋は,いずれも紙の重量比が50%以上となり,紙として分類されるものであった。また,紙層に形成されたミシン目から接着剤が浸み出すこともなく,紙製包装袋として良好なものであった。なお,実施例7および8についてはスタンドパウチの形態にしたときに底部シート13と表,裏面シート11,12との境界部分に隙間があいてしまったものであり,実施例7および8は紙層の坪量が大きく(120g/m2),これが影響したものと考えられる。スタンドパウチ形態を採用する場合には紙層の坪量は80g/m2以下とするのが適当と考えられる。