(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110166
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】区域別バーチャルモールシステム、プログラム、および方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240807BHJP
【FI】
G06Q30/0601 340
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014577
(22)【出願日】2023-02-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】503332916
【氏名又は名称】ケントピア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210804
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 一
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 研
(72)【発明者】
【氏名】清水 弘一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB47
5L030BB66
5L049BB47
5L049BB66
(57)【要約】
【課題】区域別にバーチャルモールを作成する技術を提供する。
【解決手段】
区域別バーチャルモールシステムであって、区域内の戸別情報(表札情報、住所情報を含む)を、外部の地図データベースから情報収集する戸別情報収集部と、前記表札情報を前記住所情報に割り当てた戸別レコードを区域別に集約して区域別データベースを作成するデータ管理部と、前記区域別バーチャルモールの操作環境を作成する操作環境部と、事業参加を行う前記区域内の事業者の前記端末装置(事業者端末)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに割り当てて登録する事業者登録部と、参加を行う前記区域内の居住者の前記端末装置(居住者端末)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに割り当てて登録する居住者登録部と、前記居住者端末から購買情報を受け付けて前記事業者端末に提供する情報仲介部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステム上で実現する区域別バーチャルモールシステムであって、
予め定められた区域内の戸別情報(表札情報、住所情報を含む)を、外部の地図データベースから情報収集する戸別情報収集部と、
前記区域内の前記戸別情報に基づいて、前記表札情報を前記住所情報に対して割り当てた戸別レコードを区域別に集約して、区域別バーチャルモールの管理データである区域別データベースを作成し管理するデータ管理部と、
前記区域別データベースに基づいて、前記区域別バーチャルモールのGUI(グラフィックユーザインターフェース)の操作環境を作成して端末装置に提供する操作環境部と、
前記区域別バーチャルモールに事業参加を行う前記区域内の事業者の前記端末装置(以下『事業者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する事業者登録部と、
前記区域別バーチャルモールに参加を行う前記区域内の居住者の前記端末装置(以下『居住者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する居住者登録部と、
前記操作環境を介して、前記居住者端末から前記事業者に対する購買情報を受け付けて前記事業者端末に提供する情報仲介部と、
を備えたことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項2】
請求項1記載の区域別バーチャルモールシステムにおいて、
前記区域別データベースが管理する前記表札情報に基づいて事業実施の有無(前記事業者であるか否か)を戸別に判定し、前記事業者の候補を選別してリスト(以下『出店候補リスト』という)を作成する候補作成部を備える
ことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項3】
請求項2記載の区域別バーチャルモールシステムにおいて、
前記候補作成部は、『表札名』と『事業実施の有無』とを組み合わせた学習用の収集データ群によって機械学習を行った学習モデル(以下『学習モデルA』という)を有し、前記学習モデルAに前記区域別データベースが管理する前記表札情報を入力して、事業実施の有無を戸別に推定して、前記出店候補リストを作成する
ことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項4】
請求項2記載の区域別バーチャルモールシステムにおいて、
前記候補作成部は、『表札名』と『過去の前記区域別バーチャルモールにおける事業参加の有無』とを組み合わせた学習用の履歴データ群によって機械学習を行った学習モデル(以下『学習モデルB』という)を有し、前記学習モデルBに前記区域別データベースが管理する前記表札情報を入力して、事業参加の可能性を推定し、推定される事業参加の可能性の順に前記出店候補リストの並べ替えを行う
ことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項5】
請求項1記載の区域別バーチャルモールシステムにおいて、
前記居住者登録部は、前記居住者端末の登録を受け付けた時点において、前記区域別バーチャルモールが存在しない空白区域に前記居住者端末が位置する場合、前記居住者端末を仮登録して、前記空白区域における前記区域別バーチャルモールの需要度の統計を求める
ことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項6】
請求項1記載の区域別バーチャルモールシステムにおいて、
前記居住者端末による販売情報の検索において、前記区域内の前記区域別データベースに前記販売情報が見つからない場合、前記居住者端末の前記住所情報に近い順番で、区域外の前記区域別データベースに検索範囲を順次に拡大して前記販売情報を検索する順次区域拡大部を備える
ことを特徴とする区域別バーチャルモールシステム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の区域別バーチャルモールシステムをコンピュータシステムに実現させる
ことを特徴とする区域別バーチャルモールプログラム。
【請求項8】
コンピュータシステムが実施する区域別バーチャルモール方法であって、
予め定められた区域内の戸別情報(表札情報、住所情報を含む)を、外部の地図データベースから情報収集する戸別情報収集ステップと、
前記区域内の前記戸別情報に基づいて、前記表札情報を前記住所情報に対して割り当てた戸別レコードを区域別に集約して、区域別バーチャルモールの管理データである区域別データベースを作成し管理するデータ管理ステップと、
前記区域別データベースに基づいて、前記区域別バーチャルモールのGUI(グラフィックユーザインターフェース)の操作環境を作成して端末装置に提供する操作環境ステップと、
前記区域別バーチャルモールに事業参加を行う前記区域内の事業者の前記端末装置(以下『事業者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する事業者登録ステップと、
前記区域別バーチャルモールに参加を行う前記区域内の居住者の前記端末装置(以下『居住者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する居住者登録ステップと、
前記操作環境を介して、前記居住者端末から前記事業者に対する購買情報を受け付けて前記事業者端末に提供する情報仲介ステップと、
を備えたことを特徴とする区域別バーチャルモール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区域別バーチャルモールシステム、区域別バーチャルモールプログラム、および区域別バーチャルモール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、架空の商店街を仮想的に構築するバーチャルモールの技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には「ユーザが、端末装置に画面表示されたバーチャルモールにおいて仮想店舗を指定して商品を選択し、その代金をユーザの口座から引き落してバーチャルモール運営者の口座に振り込む」旨のバーチャルモールの技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバーチャルモールでは、事業者の仮想店舗を現実の所在地とは無関係に集めることで、架空の商店街を構築する。
【0006】
そのため、実際には近所に購入可能な商店があっても、遠方の事業者から知らずに日用品などを購入するケースが多くなる。その結果、遠距離間の運送頻度が必要以上に増えることになり、物流にかかるエネルギーロスが課題になる。
【0007】
その一方で、町おこしや地産地消の掛け声によって、地域経済の活性化を目指そうという試みが様々に成されている。
【0008】
地域経済を活性化するには、その地域内において、事業者と居住者の間を適宜に取り持って、地域内のビジネス機会を創出することが重要になる。
【0009】
そこで、本発明者は、従来のバーチャルモールのような広範囲の事業者を一箇所に集めた架空の商店街ではなく、近所の実店舗を集めた区域別の単位でバーチャルモールのサービスを提供することで、地域経済の活性化に寄与することを考えた。
【0010】
このような区域別バーチャルモールの場合、「区域別のバーチャルモールの作成をいかに行うか」、「区域内の実店舗と居住者の登録をいかに済ませるか」・・などの様々な課題が生じる。
【0011】
なお、特許文献1には、上述した区域別バーチャルモールの課題について開示はなく、それを解決するための技術手段についての記載や示唆も見当たらない。
【0012】
そこで、本発明は、上述した課題の少なくとも一つを解決するために、区域別にバーチャルモールを作成するために好適な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、コンピュータシステム上で実現する区域別バーチャルモールシステムであって、次の構成を備える。
【0014】
戸別情報収集部は、予め定められた区域内の戸別情報(表札情報、住所情報を含む)を、外部の地図データベースから情報収集する。
【0015】
データ管理部は、前記区域内の前記戸別情報に基づいて、前記表札情報を前記住所情報に対して割り当てた戸別レコードを区域別に集約して、区域別バーチャルモールの管理データである区域別データベースを作成し管理する。
【0016】
操作環境部は、前記区域別データベースに基づいて、前記区域別バーチャルモールのGUI(グラフィックユーザインターフェース)の操作環境を作成して端末装置に提供する。
【0017】
事業者登録部は、前記区域別バーチャルモールに事業参加を行う前記区域内の事業者の前記端末装置(以下『事業者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する。
【0018】
居住者登録部は、前記区域別バーチャルモールに参加を行う前記区域内の居住者の前記端末装置(以下『居住者端末』という)を前記区域別データベースの前記戸別レコードに対して割り当てて登録する。
【0019】
情報仲介部は、前記操作環境を介して、前記居住者端末から前記事業者に対する購買情報を受け付けて前記事業者端末に提供する。
【発明の効果】
【0020】
上述した解決手段によって、本発明は、区域別にバーチャルモールを作成するために好適な技術を実現する。
【0021】
なお、上述した以外の課題、構成および効果の詳しい内容については、後述する実施形態において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、区域別バーチャルモールシステム100の構成を例示するブロック図である。
【
図2】
図2は、区域別データベース300の準備処理を例示する流れ図である。
【
図3】
図3は、区域別バーチャルモール400の運営動作を例示する流れ図(1/4)である。
【
図4】
図4は、区域別バーチャルモール400の運営動作を例示する流れ図(2/4)である。
【
図5】
図5は、区域別バーチャルモール400の運営動作を例示する流れ図(3/4)である。
【
図6】
図6は、区域別バーチャルモール400の運営動作を例示する流れ図(4/4)である。
【
図7】
図7は、候補作成部170が有する学習モデルAを例示するブロック図である。
【
図8】
図8は、候補作成部170が有する学習モデルBを例示するブロック図である。
【
図9】
図9は、候補作成部170による出店候補リストの作成処理を例示する流れ図である。
【
図10】
図10は、順次区域拡大部180による区域を順次拡大する例外処理を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例0024】
《実施例1の構成》
まず、実施例1の構成について順に説明する。
図1は、区域別バーチャルモールシステム100の構成を例示するブロック図である。
【0025】
図1において、区域別バーチャルモールシステム100は、戸別情報収集部110、データ管理部120、操作環境部130、事業者登録部140、居住者登録部150、情報仲介部160、候補作成部170、および順次区域拡大部180を備える。
【0026】
これらの内、戸別情報収集部110は、ゼンリン(登録商標)など外部の地図データベース200にアクセスして、予め定められた区域の範囲内について戸別情報(表札情報、住所情報など)を情報収集する。
【0027】
データ管理部120は、戸別情報収集部110が収集した戸別情報に基づいて、表札情報を、区域内の住所情報に割り当てた戸別レコードを作成する。データ管理部120は、区域ごとに戸別レコードを集約することによって、区域別バーチャルモール400の管理データとして、区域別データベース300を作成する。さらに、データ管理部120は、この区域別データベース300に対して、戸別レコードの新規追加やデータ変更などの管理も行う。
【0028】
操作環境部130は、GUI(グラフィックユーザインターフェース)のテンプレートを複数用意する。操作環境部130は、これらテンプレートに区域別データベース300の管理データを埋め込むことによって、区域別にカスタマイズされた操作環境を作成する。操作環境部130は、作成された操作環境を区域内のユーザが所有する端末装置(スマホ、タブレット、パソコンなど)に提供する。提供される操作環境は、端末装置内の専用アプリやインターネットブラウザによって動作実行される。その結果、ユーザは、端末装置に表示されるGUI画面を介して、区域別バーチャルモール400に対する様々な操作が可能になる。
【0029】
事業者登録部140は、区域別バーチャルモール400に事業参加(事業者として出店)する区域内の実店舗の端末装置(事業者端末500)を、区域別データベース300の該当する戸別レコードに割り当てて登録する。この事業者端末500としては、事業者が所有するスマホ、タブレット、パソコンの他、実店舗のPOSシステムなどであってもよい。
【0030】
居住者登録部150は、区域別バーチャルモール400に参加する区域内の居住者の端末装置(居住者端末600)を、区域別データベース300の該当する戸別レコードに割り当てて登録する。
【0031】
情報仲介部160は、事業者端末500の操作環境と、居住者端末600の操作環境との間で情報のやり取りを仲介する。例えば、居住者端末600から事業者に対する購買情報を受け付けると、その事業者が所有する事業者端末500に対して購買情報を提供する。
【0032】
候補作成部170および順次区域拡大部180については、後の実施例で改めて説明するため、ここでの説明は省略する。
【0033】
なお、上述した区域別バーチャルモールシステム100は、ハードウェアとしてCPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータシステムとして構成してもよい。このハードウェアがコンピュータ可読媒体に記憶された「区域別バーチャルモールプログラム」を実行することによって、区域別バーチャルモールシステム100が実現する。
【0034】
このようなハードウェアの一部または全部については、専用の装置、機械学習マシン、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、PLD(programmable logic device)などで代替してもよい。
【0035】
また、ハードウェアやプログラムの一部または全部をクラウド上のサーバに集中または分散してクラウドシステムを構成することによって、複数のクライアント端末(事業者端末500、居住者端末600など)それぞれに対して「区域別バーチャルモール方法」の情報サービスを提供してもよい。
【0036】
《実施例1の動作》
続いて、実施例1の動作について順に説明する。
なお、ここでの方法の説明では、個々の動作の主体を明確化するため、請求項中の『〇△ステップ』に相当する動作を、『〇△部』を主体にした動作として記述する。
【0037】
《動作その1:区域別データベース300の準備》
図2は、区域別データベース300の準備処理を例示する流れ図である。
以下、
図2に示すステップ番号に沿って、この動作を説明する。
【0038】
ステップS01: 区域別バーチャルモール400の範囲となる区域は、町の単位、行政区画の単位、最寄り駅の単位、戸数の単位、人口の単位、面積の単位、主催者の単位など所定の単位に従って、予め区切って領域設定される。戸別情報収集部110は、この区域の領域設定を読み込む。
【0039】
ステップS02: 戸別情報収集部110は、ゼンリン(登録商標)などの地図データベース200の情報サービスにAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で連携し、地図データへのアクセスを開始する。
【0040】
ステップS03: 戸別情報収集部110は、地図データベース200から、設定された区域の領域内の位置情報(住所や緯度経度など)に該当する戸別情報を逐次収集する。
【0041】
ステップS04: データ管理部120は、戸別情報それぞれについて、表札情報(表札名など)を住所情報(住所表記など)に対して割り当てることによって、戸別レコードを逐次に作成する。ここでの戸別レコードは、次の列項目(カラム)を適時に追加可能な行データのことである。
・戸別ID(例えば自動的に付与)
・表札情報
・住所情報
・事業者としての設定情報
・居住者としての設定情報
・主催者としての設定情報
・端末装置またはユーザに関する設定情報(ID情報、事業者端末500/居住者端末600の区別)、例えば、ID情報は端末装置から自動取得または自動付与して登録され、端末装置の通信要求時に端末装置から識別用に出力される。
・居住者の購買情報
・事業者の販売情報
・パスワードなどのセキュリティに関する情報
・その他
【0042】
ステップS05: データ管理部120は、戸別レコードを区域ごとに集約してデータベース化することによって、区域別データベース300を区域ごとに仮準備する。
【0043】
ここまでのステップS01~S05は、外部の地図データベース200のデータ更新の時期に合わせて繰り返し実施されることで、区域別データベース300は最新の状態に保たれる。
【0044】
ステップS06: データ管理部120は、区域別データベース300の区域に主催者が設定されているか否かを判定する。主催者は、区域別バーチャルモール400を管理運営する者であって、区域ごとに設定される。主催者が未設定の場合、データ管理部120はステップS07に動作を進める。一方、主催者が設定済みの場合、データ管理部120はステップS08に動作を移行する。
【0045】
ステップS07: 主催者が未設定のため、データ管理部120は、主催者が決定するまで、区域別データベース300を仮準備中の状態に設定する。後ほど、主催者が決定されてから、区域別データベース300に対してステップS08以降の動作が実行される。
【0046】
ステップS08: データ管理部120は、主催者の設定を区域別データベース300に設定する。これ以降、データ管理部120は、主催者の交替などに応じて、区域別データベース300の主催者の設定を書き換える。
【0047】
ステップS09: データ管理部120は、操作環境部130を介して、区域別バーチャルモール400の運営(
図3~
図6参照)を開始する。
【0048】
上述した一連の動作手順を区域別に繰り返すことによって、区域別データベース300の準備が完了する。
【0049】
《動作その2:区域別バーチャルモール400の運営》
図3~
図6は、区域別バーチャルモール400の運営動作を例示する流れ図である。
以下、
図3~
図6に示すステップ番号の順に、この処理動作を説明する。
【0050】
ステップS101: 操作環境部130は、ユーザの端末装置(アプリ、ブラウザ)の通信要求に応じて、端末装置との通信をインターネットなどの通信ネットワークを介して開始する。操作環境部130は、端末装置(アプリ、ブラウザ)またはユーザに固有のID情報を情報取得する。
【0051】
ステップS102: 操作環境部130は、データ管理部120が管理する複数の区域別データベース300それぞれにID情報を照会し、ID情報が登録済みか否かを判定する。
【0052】
ステップS103: ID情報が登録済みであった場合、操作環境部130はステップS104へ動作を進める。一方、ID情報が未登録の場合、端末装置を新規登録するため、操作環境部130はステップS121(
図5参照)へ動作を移行する。
【0053】
ステップS104: これ以降、区域別データベース300は、特に断らない限り、端末装置のID情報が登録された区域別データベース300を指す。操作環境部130は、区域別データベース300に照会して、ID情報が事業者端末500か居住者端末600のどちらで登録されているかを情報取得する。事業者端末500として登録されていた場合、操作環境部130はステップS105に動作を進める。一方、居住者端末600として登録されていた場合、操作環境部130はステップS111(
図4参照)に動作を移行する。
【0054】
ステップS105: 操作環境部130は、事業者端末500に対する処理を開始する。操作環境部130は、区域別データベース300から事業者の販売情報を読み出し、販売情報の管理(新規登録・変更)用のGUI部品やリンクなどをテンプレートにレイアウトして事業者用の操作環境を作成する。この操作環境では、販売情報の操作として、次の操作などが可能になる。
・販売情報(商品)の新規登録
・商品の在庫情報の管理
・商品紹介の入力と編集
・商品写真の撮影と加工
・商品の価格情報の管理
・商品の配達情報の管理
・その他
【0055】
ステップS106: 操作環境部130は、ステップS105で作成された事業者用の操作環境を事業者端末500に提供する。
【0056】
ステップS107: 操作環境部130は、事業者用の操作環境によって、事業者による販売情報の入力および編集を対話式に受け付ける。操作環境部130は、事業者端末500から受け付けた販売情報に応じて区域別データベース300内の事業者の販売情報を更新する。ここまでの動作により、区域別バーチャルモールシステム100は、事業者端末500に対応する区域別バーチャルモール400の動作を完了する。(事業者端末500の処理完了)
【0057】
ステップS111: ここでは、操作環境部130は、居住者端末600に対する処理を開始する。操作環境部130は、区域別データベース300から事業者ごとに販売情報を読み出す。操作環境部130は、読み出した販売情報に基づいてGUI部品やリンクなどをテンプレートにレイアウトして、居住者用の操作環境を作成する。この操作環境では、居住者は、次の操作によって商品の購買情報やユーザ情報の更新処理などを対話式に入力することが可能になる。
・事業者(店の種別も)の検索と選択
・販売情報(商品)の検索と選択
・商品紹介(商品写真、商品価格を含む)の閲覧
・商品の購入申込み
・配達か、店頭受け取りかの選択
・商品価格の支払い方法の選択
・ユーザ情報の変更操作
・その他
【0058】
ステップS112: 操作環境部130は、ステップS111で作成された居住者用の操作環境を居住者端末600に提供する。
【0059】
ステップS113: 情報仲介部160は、居住者用の操作環境によって、居住者端末600から居住者の購買情報を対話式に受け付ける。情報仲介部160は、受け付けた購買情報を、該当する事業者端末500に提供する。
【0060】
ステップS114: 情報仲介部160は、受け付けた購買情報に基づいて電子決済を行うか否かを判定する。電子決済を行う場合、情報仲介部160はステップS115に動作を進める。一方、電子決済を行わない場合、情報仲介部160は、ステップS116に動作を移行する。
【0061】
ステップS115: 情報仲介部160は、居住者端末600の登録情報に基づいて購買情報の電子決済を実行する。情報仲介部160は、電子決済された決済額を、該当する事業者の事業者端末500と主催者に電子的に分配する。
【0062】
ステップS116: 情報仲介部160は、処理された購買情報に応じて、該当する事業者の販売情報(商品の在庫情報など)を自動更新する。ここまでの動作により、居住者端末600に対応する区域別バーチャルモール400の動作が完了する。(居住者端末600の処理完了)
【0063】
ステップS121: ここでは、データ管理部120は、区域別データベース300に未登録の端末装置を登録する処理を開始する。データ管理部120は、操作環境部130を介して、端末装置の位置情報の取得が許可されるか否かを端末装置のユーザなどに確認する。
【0064】
位置情報の取得が許可されれば、データ管理部120はステップS122に動作を進める。一方、位置情報の取得が不可であれば、データ管理部120はステップS123に動作を移行する。
【0065】
ステップS122: データ管理部120は、端末装置から位置情報を取得する。データ管理部120は、区域の領域設定に照らして、位置情報に該当する区域を選択する。この動作の後、データ管理部120はステップS124に動作を移行する。
【0066】
ステップS123: データ管理部120は、住所入力など区域選択のための操作環境を端末装置に提供し、該当する区域の選択を受け付ける。
【0067】
ステップS124: データ管理部120は、選択された区域に基づいて、端末装置を登録する区域別データベース300を特定する。
【0068】
ステップS125: データ管理部120は、該当区域の区域別バーチャルモール400が運営中か仮準備中かを判断する。運営中の場合、データ管理部120はステップS126に動作を進める。一方、仮準備中(空白区域)の場合、データ管理部120はステップS140(
図6参照)へ動作を移行する。
【0069】
ステップS126: 操作環境部130は、端末装置のユーザについて次の基本情報を取得するための操作環境を端末装置に提供する。
・端末装置などのID情報(例えば端末装置から自動取得)
・連絡手段(メールアドレスや電話番号など)
・パスワードなどのセキュリティに関する情報
・氏名
・住所
・事業参加の希望の有無
・その他
操作環境部130は、この操作環境を介して、ユーザの基本情報を受け付ける。
【0070】
ステップS127: データ管理部120は、基本情報の住所(または氏名など)を、区域別データベース300に照会し、該当する戸別レコードを特定する。
【0071】
ステップS128: データ管理部120は、基本情報を戸別レコードに割り当てて区域別データベース300に登録する
【0072】
なお、戸別レコードは、地図上の1戸ごとに作成されるが、1戸当たりに複数のユーザ(家族や集合住宅など)が存在することを考慮して、1戸あたりのユーザの数だけ戸別レコードの数を派生させて増やしてもよいし、1つの戸別レコードに複数のユーザをまとめて登録するようにしてもよい。
【0073】
ステップS129: データ管理部120は、ステップS126で取得した基本情報に基づいて、事業参加の希望の有無を判定する。事業参加の希望が無い場合、データ管理部120はステップS130に動作を進める。一方、事業参加の希望が有る場合、データ管理部120はステップS131に動作を移行する。
【0074】
ステップS130: 居住者登録部150は、端末装置を居住者端末600とする情報を、基本情報を登録した戸別レコードに割り当てて登録する。この動作の後、居住者登録部150は、ステップS104に動作を移行する。
【0075】
ステップS131: 事業者登録部140は、端末装置を事業者端末500とする情報を基本情報を登録した戸別レコードに割り当て、事業者候補として仮登録する。
【0076】
ステップS132: 事業者登録部140は、仮登録された事業者候補の基本情報を、主催者用の承認待ちリストへ登録し、主催者の端末装置に転送する。主催者による承認を経て、事業者登録部140は、事業者候補を事業者として本登録する。一方、主催者が承認しない場合、事業者登録部140は、居住者登録部150を介して、事業者候補を居住者として一旦登録する。
【0077】
なお、居住者登録部150は、端末装置を居住者端末600とする情報を、基本情報を登録した戸別レコードに割り当てて事業者かつ居住者として重複して登録してもよい。
この動作の後、事業者登録部140は、ステップS104に動作を移行する。(事業者端末500および居住者端末600の登録完了)
【0078】
ステップS140: 操作環境部130は、区域別バーチャルモール400が仮準備中(未開設)である旨を端末装置に情報提供する。このとき、操作環境部130は、端末装置のユーザに対して、区域別バーチャルモール400の予約を希望するか否かを確認する。
【0079】
ステップS141: ユーザが予約を希望しない場合、操作環境部130は、以降の予約処理を行なわずに動作を完了する。一方、仮準備中の区域別バーチャルモール400への予約を希望する場合、操作環境部130はステップS142へ動作を進める。
【0080】
ステップS142: 操作環境部130は、次の予約用の基本情報を入力する操作環境を端末装置に提供する。
・端末装置などのID情報(例えば端末装置から自動取得)
・連絡手段(メールアドレスや電話番号など)
・パスワードなどのセキュリティに関する情報
・氏名
・住所
・事業参加の予約の有無
・その他
操作環境部130は、この操作環境を介して、予約用の基本情報を受け付ける。
【0081】
ステップS143: データ管理部120は、予約用の基本情報の住所(または氏名など)を、仮準備中の区域別データベース300に照会し、該当する戸別レコードを特定する。
【0082】
ステップS144: データ管理部120は、予約用の基本情報を戸別レコードに割り当てて仮準備中の区域別データベース300に登録する。(後ほど区域別バーチャルモール400の運営開始に際し、操作環境部130は、これらの予約者に対して、基本情報のメールアドレスなどの連絡手段を介して、運営開始の通知が送られる。)
【0083】
ステップS145: データ管理部120は、ステップS142で取得した基本情報に基づいて、事業参加の予約の有無を判定する。事業参加の予約が無い場合、データ管理部120はステップS146に動作を進める。一方、事業参加の予約が有る場合、データ管理部120はステップS148に動作を移行する。
【0084】
ステップS146: 居住者登録部150は、端末装置を居住者端末600とする情報を、予約用の基本情報を登録した戸別レコードに割り当てて登録する。
【0085】
ステップS147: 居住者登録部150は、仮準備中の区域別データベース300について居住者の需要度をポイントアップする。(このように計数される『居住者の需要度』は、居住者登録部150によって主催者の予定候補などに対して適時に送信される)
以上の動作の後、居住者登録部150は動作を完了する。
【0086】
ステップS148: 事業者登録部140は、端末装置を事業者端末500とする情報を、予約用の基本情報を登録した戸別レコードに割り当てて、事業者候補の予約を行う。
【0087】
ステップS149: 事業者登録部140は、予約された事業者候補の基本情報を、主催者用の承認待ちリストへ登録しておく。(この主催者用の承認待ちリストは、主催者が決まった時点で、主催者に転送される。)
【0088】
居住者登録部150は、端末装置を居住者端末600とする情報を、予約用の基本情報を登録した戸別レコードに割り当てて登録することで、居住者としての登録を重複して実行してもよい。
【0089】
ステップS150: 事業者登録部140は、仮準備中の区域別データベース300について事業者の需要度をポイントアップする。(このように計数される『事業者の需要度』は、事業者登録部140によって主催者の予定候補などに対して適時に送信される)
【0090】
以上の動作の後、事業者登録部140は動作を完了する。
上述した一連の動作手順によって、区域別バーチャルモール400の運営にかかる動作が完了する。
【0091】
《実施例1の効果》
以下、実施例1が奏する効果について説明する。
【0092】
(1)従来のバーチャルモールは、現実の所在地は無関係に仮想店舗を集めるため、知らずに遠方の事業者から日用品を購入することが多かった。そのため、物流にかかるエネルギーロスが解決できなかった。
【0093】
そこで、本実施例1は、現実の地図で定められる区域の別にバーチャルモールを構成する。この区域別バーチャルモール400に登録する事業者は、区域内の事業者に限定される。さらに、区域別バーチャルモール400を使用する居住者も、区域内の居住者に限定される。
【0094】
そのため、区域別バーチャルモール400では、区域内の居住者が区域内の事業者から日用品などを購入することになる。その結果、遠方の事業者から日用品を購入することが自然に回避される。したがって、本実施例1は、物流にかかるエネルギーロスを抑制できるという点で優れている。
【0095】
(2)また、本実施例1では、区域別バーチャルモール400によって、区域内の事業者と居住者の間を適宜に取り持って、区域内でビジネス機会を創出することが可能になる。したがって、本実施例1は、地域経済を活性化することで、町おこしや地産地消に寄与できるという点で優れている。
【0096】
(3)さらに、本実施例1では、「外部の地図データベース200」から、予め定められた区域内の戸別情報(表札情報、住所情報を含む)を情報収集する。そのため、わざわざ現地まで出かけて戸別情報を収集する工数を省くことが可能になる。したがって、本実施例1は、区域別バーチャルモール400の作成のための下準備(戸別の情報収集)を少ない手間で完了できるという点で優れている。
【0097】
(4)また、本実施例1では、収集した戸別情報について、表札情報を住所情報に対して割り当てた戸別レコードを区域別に集約して、区域別データベース300を作成する。そのため、個々の区域別データベース300は、その区域に限定する形式でデータが細分化される。したがって、本実施例1は、このデータが細分化された区域別データベース300にデータアクセスすれば済むため、区域別バーチャルモール400のデータアクセスにかかる時間を短縮できるという点で優れている。
【0098】
(5)さらに、本実施例1では、区域別に細分化された区域別データベース300に基づいて、区域別バーチャルモール400の操作環境を作成する。そのため、区域内に限定の操作環境が作成される。したがって、本実施例1は、区域内に限定して事業者と居住者の間を適宜に取り持つ操作環境を作成できるという点で優れている。
【0099】
(6)また、本実施例1では、区域内に戸別レコード(言い換えると住所または居所)を有する事業者に限定して、事業者端末500の登録(言い換えると仮想的な出店)を可能にする。そのため、区域の外からの出店を抑制することが可能になる。したがって、本実施例1は、区域内に住所または居所を有する事業者に限定した仮想店舗のみを集めた区域別バーチャルモール400を構成できるという点で優れている。
【0100】
(7)さらに、本実施例1では、区域内に戸別レコード(言い換えると住所または居所)を有する居住者に限定して、居住者端末600の登録(言い換えると仮想的な入店)を可能にする。そのため、区域の外からの入店を抑制することが可能になる。したがって、本実施例1は、区域内に住所または居所を有する居住者に入店を限定した区域別バーチャルモール400を構成できるという点で優れている。
ニューラルネットワークA20は、「表札名の文字列A41」と「事業実施の有無を示す教師値A42」とのデータセットを収集した学習用の収集データ群A40によって機械学習(例えば、誤差逆伝播法に従ったニューロンごとの係数の順次補正など)が行われる。
このような機械学習を何度も繰り返すことによって、シリアル化された表札名の文字列A41を入力層A10に入力すると、各層のニューロン層には、表札名の文字列A41によって事業実施の可能性に応じて活性化した活性化パターンが連鎖的に発生して伝搬するようになる。この活性化パターンの連鎖反応によって、最終層のニューロン層には、事業実施の可能性を現す1つまたは複数のノード出力(活性化値)が得られる。
ニューラルネットワークB20は、「表札名の文字列B41」と「過去の区域別バーチャルモール400における事業参加の有無の教師値B42」とのデータセットを収集した学習用の履歴データ群B40によって機械学習(例えば、誤差逆伝播法に従ったニューロンごとの係数の順次補正など)が行われる。
このような機械学習を何度も繰り返すことによって、シリアル化された表札名の文字列B41を入力層B10に入力すると、各層のニューロン層には、区域別バーチャルモール400に事業参加する可能性に応じて活性化した活性化パターンが連鎖的に発生して伝搬するようになる。この活性化パターンの連鎖反応によって、最終層のニューロン層には、区域別バーチャルモール400に事業参加する可能性を現す1つまたは複数のノード出力(活性化値)が得られる。
ステップS201: 候補作成部170は、区域別データベース300から、まだ事業者端末500として登録されていない戸別レコードについて、表札情報を逐次に読み出す。
ステップS202: 候補作成部170は、表札情報をテキスト解析して、事業者名の特徴を有するか否かを戸別に判定する。例えば、候補作成部170は、『(株)』、『(有)』、『(合)』などの法人を示す簡略表記や、『株式会社』、『有限会社』、『合同会社』などの法人を示す表記が表札情報に含まれる場合、その表札情報を事業者と判定する。候補作成部170は、ここで事業者と判定された表札情報を含む戸別レコードを、該当する区域の出店候補リストに登録する。
ステップS203: 候補作成部170は、表札情報の表札名の文字列A41を学習モデルAに入力して、事業実施の有無を戸別に推定する。候補作成部170は、ここで事業者の可能性が高いと推定された表札情報を含む戸別レコードを、該当する区域の出店候補リストに登録する。
ステップS204: 候補作成部170は、ステップS202~203においてリストアップされた出店候補リストから、事業者候補の表札情報を逐次に読み出す。候補作成部170は、事業者候補の表札情報の表札名の文字列B41を学習モデルBに入力して、区域別バーチャルモール400に事業参加(出店)する可能性を推定する。候補作成部170は、ここで事業参加(出店)の可能性が高い事業者候補ほど上位になるように出店候補リストを並べ替える。
ステップS205: 候補作成部170は、出店候補リストを、区域別データベース300に格納する。候補作成部170は、この出店候補リストを、該当する区域の主催者などに対して、営業支援ツールとして提供(閲覧可能に)する。
(1)本実施例2では、区域別データベース300が管理する表札情報に基づいて事業実施の有無を戸別に判定し、該当する区域内における事業者候補をリスト化する。したがって、本実施例2は、該当する区域内の出店候補リストを自動的に作成できるという点で優れている。
(2)さらに、本実施例2は、『表札名の文字列A41』と『事業実施の有無の教師値A42』とを組み合わせた学習用の収集データ群A40によって機械学習を行った学習モデルAを有する。この学習モデルAによって、区域別データベース300の表札名の文字列A41から事業実施の可能性を推定することが可能になる。したがって、本実施例2は、表札名の文字列A41から事業実施の有無を戸別に推定して、該当する区域内の出店候補リストを自動的に作成できるという点で優れている。
(3)また、本実施例2は、『表札名の文字列B41』と『過去の区域別バーチャルモール400における事業参加の有無の教師値B42』とを組み合わせた学習用の履歴データ群B40によって機械学習を行った学習モデルBを有する。この学習モデルBによって、出店候補リストの表札名の文字列B41から事業参加(出店)の可能性を推定し、推定される事業参加(出店)の可能性の順に出店候補リストの並べ替えを行う。したがって、本実施例2は、出店の可能性の順に並んだ出店候補リストを自動的に作成できるという点で優れている。