IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

特開2024-110174過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法
<>
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図1
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図2
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図3
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図4
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図5
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図6
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図7
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図8
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図9
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図10
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図11
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図12
  • 特開-過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110174
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/10 20060101AFI20240807BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240807BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20240807BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240807BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H02J7/10 L
H02J7/00 S
H02H5/04 150
H02H7/18
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014592
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】松宮 康夫
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G053AA14
5G053BA06
5G053CA01
5G053EB08
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CB11
5G503FA18
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS11
5H030AS14
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】過熱状態の充電対象への電力供給を停止する。
【解決手段】過熱防止装置は、部屋内を撮影する熱赤外線カメラ10から熱赤外線画像を取得し、充電対象14に電力を供給する電源装置12の電力供給状況に関する情報を取得し、電源装置の電力供給状況の変化と、熱赤外線画像から得られる部屋内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて対応付けテーブル70に記憶し、熱赤外線画像から、部屋内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出すると、対応付けテーブルにおいて検出した領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止信号を出力する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得する画像取得部と、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶する対応付け部と、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出する検出部と、
前記記憶部において前記検出部が検出した領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する制御部と、を備える過熱防止装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、複数の前記電源装置それぞれから電力供給状況に関する情報を取得し、
前記対応付け部は、前記複数の電源装置それぞれの電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記複数の電源装置それぞれから電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載の過熱防止装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部において前記検出部が検出した領域に対応付けられている電源装置が無い場合に、前記複数の電源装置すべてに対して電力供給の停止指示を出力する、ことを特徴とする請求項2に記載の過熱防止装置。
【請求項4】
前記電源装置に対して前記停止指示を出力したことを報知する報知部を備える、請求項1に記載の過熱防止装置。
【請求項5】
前記対応付け部は、所定時間ごとに前記記憶部に記憶されている情報をリセットすることを特徴とする請求項1に記載の過熱防止装置。
【請求項6】
前記対応付け部は、前記記憶部に記憶された第1の電源装置の電力供給状況の変化と、前記第1の電源装置に対応付けられている第1の領域の温度変化と、の相関がなくなったときに、前記第1の電源装置と前記第1の領域との対応付け情報を前記記憶部から削除する、ことを特徴とする請求項1に記載の過熱防止装置。
【請求項7】
所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得し、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得し、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶し、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出し、
前記記憶部において検出した前記領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする過熱防止プログラム。
【請求項8】
所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得し、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得し、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶し、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出し、
前記記憶部において検出した前記領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする過熱防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスの発達とその応用範囲の拡大に伴い、企業のみならず一般家庭においても充電式バッテリを内蔵した小型機器が多数使用されている。充電式バッテリとしては、そのエネルギ密度の高さから、リチウムイオンバッテリが用いられることが多くなってきている。
【0003】
このような充電式バッテリは、過充電や劣化などにより充電時に発熱や発火のおそれがあるため、発熱・発火対策として、充電用の電源装置において過剰な電力供給を検知した場合に電力供給を停止する方法が知られている。しかしながら、近年、充電用の電源装置は様々な種類の充電式バッテリを充電できるようになっており、電源装置から供給される電力は充電対象に応じて異なることから、電源装置において過剰な電力供給を検知するのが難しくなっている。
【0004】
また、バッテリセルの発熱・発火対策としては、過剰な発熱を検知する温度センサと充電停止を行う保護回路とを電池本体に設ける方法も知られている。しかしながら、この方法では、発火等により温度センサや保護回路が故障した場合に、過剰な発熱を検知できないおそれがある。
【0005】
これに対し、熱画像(サーモグラフィ)等を用いて、外部から機器等の過熱状態を検出する技術が知られている(例えば特許文献1~3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-38277号公報
【特許文献2】特開平6-241951号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0131225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、1つの空間(部屋等)内で電源装置を用いて充電対象を充電する場合、空間内のどの位置で充電対象を充電するかは定まっていない。また、各充電対象をどの電源装置を用いて充電するのかも定まっていないし、空間内で同時に何個の充電対象を充電するかも定まっていない。このため、熱画像等を用いて空間内における過熱状態を検出したとしても、どの電源装置の電力供給を停止すればよいのかが不明である。
【0008】
1つの側面では、本発明は、過熱状態の充電対象への電力供給を停止することが可能な過熱防止装置、過熱防止プログラム及び過熱防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様では、過熱防止装置は、所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得する画像取得部と、充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得する情報取得部と、前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶する対応付け部と、前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出する検出部と、前記記憶部において前記検出部が検出した領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
過熱状態の充電対象への電力供給を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る過熱防止システムの構成を概略的に示す図である。
図2】電源装置の構成を概略的に示す図である。
図3】制御装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】制御装置の機能ブロック図である。
図5図5(a)は、部屋内の領域について説明するための図であり、図5(b)は、各領域の温度変化と電源装置の電流値の変化を模式的に示す図である。
図6】対応付けテーブルの一例を示す図である。
図7】制御装置の処理を示すフローチャートである。
図8図7のステップS20の処理を示すフローチャートである。
図9図7のステップS24の処理を示すフローチャートである。
図10】領域cの温度変化と、電源装置(ID=0003)の電流値の変化と、電源装置(ID=0003)に対して制御装置から出力される停止信号の出力タイミングを示す図である。
図11図7のステップS14の処理を示すフローチャートである。
図12図12(a)、図12(b)は、一実施形態の概要を示す図である。
図13】変形例に係る制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、過熱防止システムの一実施形態について、図1図12(b)に基づいて詳細に説明する。本実施形態の過熱防止システムは、スマートフォンなどの電子機器(以下、充電対象と呼ぶ)を電源装置を用いて充電する際に、充電対象の状態をモニタし、充電対象の過熱を検出した場合に充電対象への電源装置からの給電を停止するシステムである。
【0013】
図1は、本実施形態の過熱防止システム100の構成を概略的に示す図である。図1に示すように、過熱防止システム100は、熱赤外線カメラ10と、充電対象14と、電源装置12と、過熱防止装置としての制御装置50と、を備える。熱赤外線カメラ10と制御装置50は、有線ケーブル等を介して接続されている。また、電源装置12と制御装置50は、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などを介して接続されている。
【0014】
(熱赤外線カメラ10)
熱赤外線カメラ10は、所定空間内の一部(例えば部屋の天井や壁とする)に設置され、部屋内の物体表面の熱情報を面的に測定可能な熱赤外線画像を撮影する。熱赤外線カメラ10は、物体表面から放射される熱赤外線の波長の変化から表面温度を面的に測定するものであり、検知波長は例えば3~12μmである。熱赤外線カメラ10は、所定時間間隔で熱赤外線画像を撮影し、制御装置50に送信する。
【0015】
(充電対象14)
充電対象14は、スマートフォン、ノート型PC(Personal Computer)など、充電式バッテリを内蔵する電子機器であり、充電ケーブルを介して、電源装置12に接続される。充電ケーブルは、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブルである。充電対象14は、電源装置12のいずれかに接続された状態で、電源装置12から電力の供給を受けて充電式バッテリの充電を行う。なお、充電対象14は、携帯型のバッテリ(モバイルバッテリ)であってもよい。なお、図1では、一例として充電対象14が部屋内に3つある場合を図示しているが、これに限らず、部屋内に存在する充電対象14の数は問わない。
【0016】
(電源装置12)
電源装置12は、家庭用コンセントに接続され、USBケーブル等を介して接続された充電対象に電力を供給し、充電対象に内蔵されている充電式バッテリを充電する。
【0017】
図2には、電源装置12の構成が概略的に示されている。図2に示すように、電源装置12は、電源回路20と、電流モニタ回路22と、遮断回路24と、制御回路26と、通信モジュール28と、を備える。
【0018】
電源回路20は、充電対象に対して電力を供給する回路である。電源回路20から供給された電力は、電流モニタ回路22及び遮断回路24を経由して、充電ケーブルを介して充電対象に供給される。
【0019】
電流モニタ回路22は、電源回路20から供給される電力の電流値をモニタし、一定時間ごとに制御回路26に送信する。なお、電流モニタ回路22は、充電対象に電力を供給する電源装置12の電力供給状況に関する情報として、電流値をモニタしていると言える。
【0020】
遮断回路24は、制御回路26から停止信号を受信した場合に、電源回路20から充電対象への電力供給を遮断(停止)する。
【0021】
制御回路26は、電流モニタ回路22から受信した電流値を通信モジュール28を介して制御装置50に送信する。また、制御回路26は、制御装置50から送信されてきた停止信号を通信モジュール28を介して受信すると、遮断回路24に対して停止信号を出力する。
【0022】
(制御装置50)
図1に戻り、制御装置50は、熱赤外線カメラ10によって撮影された熱赤外線画像から、部屋内における温度異常(過熱・発火等)の発生有無を検出し、温度異常を検出した場合に、電源装置12の少なくとも1つに対し停止信号を出力する。
【0023】
図3には、制御装置50のハードウェア構成が示されている。図3に示すように、制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive))96、通信モジュール97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これら制御装置50の構成各部は、バス98に接続されている。制御装置50では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(過熱防止プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、図4に示す各部の機能が実現される。なお、図4の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0024】
図4には、制御装置50の機能ブロック図が示されている。図4に示すように、制御装置50は、画像取得部52、検出部としての温度上昇領域検出部54、制御部56、情報取得部としての電流値取得部60、及び対応付け部62の機能を有する。
【0025】
画像取得部52は、熱赤外線カメラ10が撮影した熱赤外線画像を取得し、温度上昇領域検出部54等に送信する。
【0026】
温度上昇領域検出部54は、予め定められた領域分割ルールに基づいて、熱赤外線画像を複数の領域に分割し、いずれかの領域において過熱・発火などの温度異常が発生しているか否かを検出する。温度上昇領域検出部54においては、許容できない温度(過熱や発火が発生している可能性が高い温度)の閾値が予め定められている。温度上昇領域検出部54は、いずれかの領域の少なくとも一部の温度が閾値(許容値)を超えている場合に、その領域で温度異常(過熱や発火)が発生していると判断する。
【0027】
制御部56は、記憶部としての対応付けテーブル70を参照して、温度異常が発生した領域に存在する充電対象に対して電力を供給している電源装置12を特定する。そして、制御部56は、特定した電源装置12に対して停止信号(電力供給の停止指示を示す信号)を送信する。なお、対応付けテーブル70の詳細については後述する。
【0028】
電流値取得部60は、電源装置12の電流モニタ回路22で検出された電流値を取得し、対応付け部62に送信する。
【0029】
対応付け部62は、電流値取得部60から受信した電流値と、画像取得部52から受信した画像と、を用いて、部屋内の各領域と、各領域に存在する充電対象に対して電力を供給している電源装置と、を対応付ける処理を実行する。
【0030】
例えば、部屋内が、図5(a)に示すように複数(例えば4つ)の領域(領域a、領域b、領域c、領域d)に分割されており、各領域において各充電対象が充電されるとする。また、熱赤外線画像から得られる各領域内の温度(最高温度)の時間変化と、各電源装置の電流値の時間変化とが、図5(b)に示すようになったとする。
【0031】
図5(b)の例では、時刻t1においてID=0001の電源装置の電流値が高くなり(充電対象への給電が開始され)、その直後の時刻t2から領域aの温度(最高温度)が上昇し始めている。このように、図5(b)の例では、ID=0001の電源装置の電流値と、領域aの温度との間に相関があると言えるため、対応付け部62は、領域aと、電源装置(ID=0001)と、を対応付けて(関係づけて)対応付けテーブル70に格納する(図6参照)。なお、対応付けテーブル70には、領域の識別情報(領域ID)と、電源装置の識別情報(電源ID)とを対応付けた状態で格納できるようになっている。また、図5(b)の例では、ID=0002の電源装置の電流値と、領域dの温度との間に相関があると言え、ID=0003の電源装置の電流値と、領域cの温度との間に相関があると言える。したがって、対応付け部62は、領域dと電源装置(ID=0002)、領域cと電源装置(ID=0003)を対応付けテーブル70に格納する(図6参照)。また、対応付け部62は、電源装置12の電流値と領域の温度との間に相関がなくなった場合には、電源装置12と領域を関係づけた情報を対応付けテーブル70から削除する。なお、1つの電源装置12で複数の充電対象を充電する場合もある。したがって、対応付けテーブル70には、1つの電源装置12に対し、複数の領域が関係づけられる場合もある。
【0032】
(制御装置50の処理について)
次に、制御装置50による処理の流れについて、図7図9図11のフローチャートに沿って、その他図面を適宜参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
まず、ステップS10において、画像取得部52は、熱赤外線カメラ10の熱赤外線画像を取得し、温度上昇領域検出部54に送信する。
【0034】
次いで、ステップS12において、温度上昇領域検出部54は、温度が閾値を超えた領域があるか否かを判断する。このステップS12の判断が否定されると、ステップS16に移行し、電流値取得部60は、各電源装置12の電流値を取得する。電流値取得部60は、取得した電流値を対応付け部62に送信する。
【0035】
次いで、ステップS18において、対応付け部62は、電流値取得部60から受信した電流値に基づいて、電流値が増加した電源装置12があるか否かを判断する。この判断が否定された場合には、ステップS22に移行し、対応付け部62は、受信した電流値が減少した電源装置12があるか否かを判断する。この判断が否定された場合には、ステップS10に戻る。
【0036】
(ステップS18の判断が肯定された場合について)
ここで、ステップ10、S12、S16、S18、S22の処理・判断を繰り返し実行した結果、ステップS18の判断が肯定された場合(電流値が増加した電源装置12があった場合)について説明する。ステップS18の判断が肯定されると、対応付け部62は、ステップS20に移行する。ステップS20に移行すると、対応付け部62は、電流増加時の処理のサブルーチンを実行する。
【0037】
対応付け部62は、ステップS20の処理において、図8のフローチャートに沿った処理を実行する。
【0038】
図8の処理が開始されると、まず、ステップS50において、対応付け部62は、画像取得部52から、熱赤外線カメラ10が撮影した熱赤外線画像を取得する。
【0039】
次いで、ステップS52において、対応付け部62は、一定時間待機する。この一定時間とは、充電対象14の充電が開始された後、充電対象14がある程度発熱するまでの時間であり、予め定められた時間であるものとする。
【0040】
次いで、ステップS54において、対応付け部62は、熱赤外線カメラ10により撮影された熱赤外線画像を再取得する。
【0041】
次いで、ステップS56において、対応付け部62は、ステップS50、S54で取得した熱赤外線画像を参照して、温度上昇した領域があるか否かを判断する。このステップS56の判断が否定された場合(温度上昇した領域が無い場合)には、そのままステップS20の処理(図8の処理)を終了し、図7のステップS22に移行する。一方、ステップS56の判断が肯定された場合(温度上昇した領域がある場合)には、ステップS58に移行する。
【0042】
ステップS58に移行すると、対応付け部62は、対応付けテーブル70に、温度上昇した領域と電流増加した電源装置12とを関係づけて記憶する。その後は、図7のステップS22に移行する。
【0043】
(ステップS22の判断が肯定された場合について)
次に、ステップ10、S12、S16、S18、S22の処理・判断を繰り返し実行した結果、ステップS22の判断が肯定された場合(電流値が減少した電源装置12があった場合)について説明する。ステップS22の判断が肯定されると、対応付け部62は、ステップS24に移行する。ステップS24に移行すると、対応付け部62は、電流減少時の処理のサブルーチンを実行する。
【0044】
対応付け部62は、ステップS24の処理において、図9のフローチャートに沿った処理を実行する。
【0045】
図9の処理が開始されると、まず、ステップS60において、対応付け部62は、熱赤外線カメラ10が撮影した熱赤外線画像を取得する。
【0046】
次いで、ステップS62において、対応付け部62は、一定時間待機する。この一定時間とは、充電対象の充電が終了した後、充電対象が室温まで低下するのに十分な時間であり、予め定められた時間であるものとする。
【0047】
次いで、ステップS64において、対応付け部62は、熱赤外線カメラ10により撮影された熱赤外線画像を再取得する。
【0048】
次いで、ステップS66において、対応付け部62は、ステップS60、S62で取得した画像に基づいて、元々温度が室温以上あったのに、温度が室温まで低下した領域があるか否かを判断する。このステップS66の判断が否定された場合には、図9の全処理を終了し、図7のステップS10に戻る。一方、ステップS66の判断が肯定された場合には、ステップS68に移行する。
【0049】
ステップS68に移行すると、対応付け部62は、対応付けテーブル70に温度が室温まで低下した領域が存在しているか否かを判断する。このステップS68の判断が否定された場合には、図9の全処理を終了し、図7のステップS10に戻る。一方、ステップS68の判断が肯定された場合には、ステップS70に移行する。
【0050】
ステップS70に移行すると、対応付け部62は、対応付けテーブル70から、温度が低下した領域と電流減少した電源装置との関係づけを削除する。例えば、図5(b)の時刻t3において、ID=0001の電源装置の電流値が減少し、その後(時刻t4)に、領域aの温度が室温まで低下している。この場合、領域aの温度変化と電源装置(0001)の電流値の変化との間に相関がなくなったと言える。したがって、対応付け部62は、図6の対応付けテーブル70から領域aと電源装置(ID=0001)とを関係づけている情報を削除する。
【0051】
ステップS70の処理が行われた後は、図9の全処理を終了し、図7のステップS10に戻る。
【0052】
(ステップS12の判断が肯定された場合について)
次に、ステップ10、S12、S16、S18、S22の処理・判断を繰り返し実行した結果、ステップS12の判断が肯定された場合について説明する。ステップS12の判断が肯定されると、対応付け部62は、ステップS14に移行し、温度上昇時の処理を実行する。図10は、一例として、領域cの温度変化と、電源装置(ID=0003)の電流値の変化と、電源装置(ID=0003)に対して制御装置50から出力される停止信号の出力タイミングを示す図である。なお、ステップS12の判断が肯定される場合とは、図10の領域cの温度変化のグラフにおける時刻t5のように、温度が閾値を超えた場合である。
【0053】
対応付け部62は、ステップS14の処理において、図11のフローチャートに沿った処理を実行する。
【0054】
図11の処理が開始されると、まず、ステップS30において、制御部56は、対応付けテーブル70に、温度が閾値を超えた領域と関係づけて電源装置が記載されているか否かを判断する。図10の例であれば、図6の対応付けテーブル70に領域cと、これに関係する電源装置の情報が格納されているか否かを判断する。このステップS30の判断が肯定された場合には、制御部56は、ステップS32に移行する。
【0055】
ステップS32に移行すると、制御部56は、関係する電源装置に停止信号を送信する。図6図10の例では、領域cに関係する電源装置(ID=0003)に対し、停止信号を送信する(図10の時刻t6参照)。この停止信号は、電源装置(0003)の制御回路26から遮断回路24に送信され、遮断回路24は、接続されている充電対象への電力供給を停止する(図10の時刻t7参照)。
【0056】
次いで、ステップS34において、制御部56は、一定時間待機する。この場合の一定時間とは、電源装置から充電対象への電力供給が停止してから、充電対象が過熱状態でなくなるまでに必要な時間(予測値)である。
【0057】
次いで、ステップS36において、制御部56は、熱赤外線カメラ10によって撮影された熱赤外線画像を取得する。
【0058】
次いで、ステップS38において、制御部56は、温度が閾値を超えている領域があるか否かを判断する。すなわち、制御部56は、温度が閾値を超えた領域に対応する電源装置の電力供給を停止したにもかかわらず、温度が閾値を超えている領域が存在するか否かを判断する。このステップS38の判断が否定された場合、すなわち、温度が閾値を超えている領域が無い場合には、図11の全処理を終了し、図7のステップS16に移行する。
【0059】
一方、ステップS38の判断が肯定された場合、すなわち、温度が閾値を超えている領域がある場合には、制御部56は、ステップS40に移行する。この場合、制御部56は、どの電源装置に停止信号を送ればよいかが不明であるため、フェールセーフの思想に基づいて、全ての電源装置に対し停止信号を送る。その後は、図11の全処理を終了し、図7のステップS16に移行する。
【0060】
なお、ステップS30の判断が否定された場合、すなわち、温度が閾値を超えた原因がどの電源装置にあるかが特定できない場合にも、ステップS40に移行し、フェールセーフの思想に基づいて、全ての電源装置に対し停止信号を送る。その後は、図11の全処理を終了し、図7のステップS16に移行する。
【0061】
図12(a)、図12(b)には、本実施形態の処理の概要が示されている。本実施形態によると、制御装置50は、図12(a)に示すように、部屋内を撮影する熱赤外線カメラ10から熱赤外線画像を取得し、電源装置12から電流値を取得する。また、制御装置50は、各電源装置12の電流値の時間変化と、熱赤外線画像から得られる部屋内の領域ごとの温度の時間変化と、の相関に基づいて、領域と電源装置12とを関係づけた情報を対応付けテーブル70に格納する。そして、制御装置50は、図12(b)に示すように、熱赤外線画像から温度が閾値を超えた領域(領域c)を検出すると、対応付けテーブル70において領域cに関係づけられている電源装置(ID=0003)に対し停止信号を送信する。これにより、本実施形態の制御装置50によれば、対応付けテーブル70を用いて、過熱している充電対象に電力を供給している電源装置12を特定し、特定した電源装置12から充電対象14への電力供給を停止することができる。
【0062】
また、本実施形態では、部屋内において複数の充電対象14を充電しており、そのうちの一部の充電対象14が過熱した場合に、部屋内の全ての電源装置12の電力供給を停止させなくてもよいようになっている。これにより、異常が発生した充電対象以外への電力供給を継続することができる。
【0063】
また、本実施形態によると、制御部56は、対応付けテーブル70において、温度が閾値を超えた領域に電源装置12が関係づけられていない場合(S30:否定)に、全ての電源装置12に対して停止信号を出力する(S40)。これにより、異常が発生している充電対象14に対してどの電源装置12から電力を供給しているかが不明な場合であっても、フェールセーフの思想に基づいて全ての電源装置12に対して停止信号を出力することで、安全を確保することができる。
【0064】
また、本実施形態では、対応付けテーブル70において関係づけられている電源装置と領域との間に相関がなくなったときに、対応付け部62は、相関がなくなった電源装置と領域の情報を対応付けテーブル70から削除する(S70)。これにより、対応付けテーブル70をほぼリアルタイムで更新することができるので、制御部56は、異常な充電対象14に電力を供給する電源装置12に対して、適切に停止信号を出力することができる。
【0065】
また、本実施形態では、部屋内のどの領域で、どの充電対象を、どの電源装置を用いて充電するかは不明である。これに対し、本実施形態では、対応付け部62は、充電開始後に、充電対象が存在する領域とその充電対象に電力を供給する電源装置とを関係づけて対応付けテーブル70に格納することとしている。これにより、部屋内のどの領域で、どの充電対象を、どの電源装置を用いて充電するかが定まっていない場合でも、制御部56は、異常が発生した充電対象に電力を供給する電源装置に停止信号を出力することができる。
【0066】
また、本実施形態では、充電対象14に温度センサや過電流抑止回路などを設置しなくてもよいため、充電対象14の製造コストを低減することができる。また、充電対象14に温度センサや過電流抑止回路などを設置した場合、充電対象14が発火等して温度センサや過電流抑止回路が故障すると、充電対象の異常を検知できなくなる。これに対し、本実施形態では、充電対象14が発火等しても、その充電対象14に対応する電源装置に対し停止信号を出力することができる。
【0067】
なお、上記実施形態においては、図13に示すように、制御装置50が報知部64を備えていてもよい。報知部64は、制御部56の処理内容を、ブザーやアラームインジケータ、音声等により外部(例えば部屋内)に報知する機能を有する。例えば、報知部64は、制御部56がある電源装置に対して停止信号を出力した場合に、その電源装置による充電が停止した旨を報知する。また、報知部64は、制御部56が部屋内の全電源装置に対して停止信号を出力した場合に、全電源装置による充電が停止した旨や、過熱の原因を特定できていない旨、どの位置で充電対象が過熱しているかなどを報知する。このようにすることで、利用者は、報知内容に基づいて部屋内の状況を確認することが可能となる。
【0068】
なお、報知部64は、各電源装置12が有していてもよい。各電源装置12の報知部64は、制御装置50から停止信号を受信したタイミングで、ブザーやアラームインジケータ、音声等により外部(例えば部屋内)に電力供給を停止した旨を報知することができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、所定時間経過する度に、対応付けテーブル70をリセットすることとしてもよい。
【0070】
なお、上記実施形態では、所定空間が部屋である場合について説明したが、これに限らず、所定空間は、工場内の空間であってもよいし、自動車や電車などの空間であってもよい。
【0071】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0072】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0073】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0074】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0075】
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得する画像取得部と、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得する情報取得部と、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶する対応付け部と、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出する検出部と、
前記記憶部において前記検出部が検出した領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する制御部と、を備える過熱防止装置。
(付記2) 前記情報取得部は、複数の前記電源装置それぞれから電力供給状況に関する情報を取得し、
前記対応付け部は、前記複数の電源装置それぞれの電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記複数の電源装置それぞれから電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記1に記載の過熱防止装置。
(付記3) 前記制御部は、前記記憶部において前記検出部が検出した領域に対応付けられている電源装置が無い場合に、前記複数の電源装置すべてに対して電力供給の停止指示を出力する、ことを特徴とする付記2に記載の過熱防止装置。
(付記4) 前記電源装置に対して前記停止指示を出力したことを報知する報知部を備える、付記1~3のいずれかに記載の過熱防止装置。
(付記5) 前記対応付け部は、所定時間ごとに前記記憶部に記憶されている情報をリセットすることを特徴とする付記1~4のいずれかに記載の過熱防止装置。
(付記6) 前記対応付け部は、前記記憶部に記憶された第1の電源装置の電力供給状況の変化と、前記第1の電源装置に対応付けられている第1の領域の温度変化と、の相関がなくなったときに、前記第1の電源装置と前記第1の領域との対応付け情報を前記記憶部から削除する、ことを特徴とする付記1~4のいずれかに記載の過熱防止装置。
(付記7) 所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得し、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得し、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶し、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出し、
前記記憶部において検出した前記領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする過熱防止プログラム。
(付記8) 所定範囲を撮影する熱赤外線カメラから画像を取得し、
充電対象に電力を供給する電源装置の電力供給状況に関する情報を取得し、
前記電源装置の電力供給状況の変化と、前記画像から得られる前記所定範囲内の領域ごとの温度変化と、の相関に基づいて、前記電源装置から電力が供給されている充電対象が存在する領域を特定して、特定した領域と電源装置とを対応付けて記憶部に記憶し、
前記画像から、前記所定範囲内の領域のうち温度が許容値を超えた領域を検出し、
前記記憶部において検出した前記領域に対応付けられている電源装置に対し、電力供給の停止指示を出力する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする過熱防止方法。
【符号の説明】
【0076】
10 熱赤外線カメラ
12 電源装置
14 充電対象
50 制御装置(過熱防止装置)
52 画像取得部
54 温度上昇領域検出部(検出部)
56 制御部
60 電流値取得部(情報取得部)
62 対応付け部
64 報知部
70 対応付けテーブル(記憶部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13