(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110186
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240807BHJP
B66F 9/14 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B66F9/24 N
B66F9/14 A
B66F9/14 F
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014616
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】山本 公弘
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333BA24
3F333BF01
3F333BG03
3F333FD02
3F333FD20
3F333FE04
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】常温環境と冷凍環境とを交互に行き来する場合であっても、フォークの位置がシフト端に到達したか否かを適切に判断できる産業車両を提供する。
【解決手段】産業車両1は、フォーク13の位置を所定方向にシフトさせるシフト装置20と、所定方向におけるフォーク13のシフト端を検出する検出装置30と、を備える。検出装置30は、互いに対向する投光部及び受光部を含み、フォーク13における所定方向のシフトと共に所定方向に移動可能に構成されているセンサ部31と、自車両の環境情報を取得する取得部34と、環境情報に基づいて、自車両が常温環境及び冷凍環境のいずれに位置しているかを判断する環境判断部35と、自車両が冷凍環境から常温環境に移動した場合に、投光部及び受光部の少なくとも一方の付着水分を除去する除去部36と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークを有する荷役装置と、
前記フォークの位置を所定方向にシフトさせるシフト装置と、
前記所定方向における前記フォークのシフト端を検出する検出装置と、を備え、
前記検出装置は、
互いに対向する投光部及び受光部を含み、前記フォークにおける前記所定方向のシフトと共に前記所定方向に移動可能に構成されているセンサ部と、
前記投光部から出射された検出光が前記受光部で受光されたか否かに基づいて、前記フォークの位置が前記シフト端に到達したか否かを判断するシフト判断部と、
自車両の環境情報を取得する取得部と、
前記環境情報に基づいて、前記自車両が常温環境及び冷凍環境のいずれに位置しているかを判断する環境判断部と、
前記自車両が前記冷凍環境から前記常温環境に移動した場合に、前記投光部及び前記受光部の少なくとも一方の付着水分を除去する除去部と、を有する、産業車両。
【請求項2】
前記検出装置は、前記投光部と前記受光部との間で前記所定方向に延在し、前記検出光を遮る遮光部分と、前記シフト端に対応して設けられ、前記検出光を通過させる切欠部分と、を含む板状部材を有する、請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記環境情報は、前記自車両の周囲の温度情報である、請求項1記載の産業車両。
【請求項4】
前記環境情報は、前記自車両の周囲の地図情報である、請求項1記載の産業車両。
【請求項5】
前記投光部及び前記受光部は、前記自車両の上下方向に対向している、請求項1記載の産業車両。
【請求項6】
前記投光部及び前記受光部は、前記自車両の前後方向に対向している、請求項1記載の産業車両。
【請求項7】
前記除去部は、エアを吹き付けるノズルによって構成されている、請求項1~6のいずれか一項記載の産業車両。
【請求項8】
前記ノズルは、前記センサ部と共に前記所定方向にシフトする部材に取り付けられている、請求項7記載の産業車両。
【請求項9】
前記除去部は、前記自車両が前記冷凍環境から前記常温環境に移動したと判断されてから所定時間が経過した後に、前記ノズルによるエアの吹き付けを実施する、請求項7記載の産業車両。
【請求項10】
前記除去部は、前記板状部材に取り付けられたブラシ又はスポンジによって構成されている、請求項2記載の産業車両。
【請求項11】
前記ブラシ又は前記スポンジは、前記板状部材において前記所定方向の端部寄りとなる位置に設けられている、請求項10記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の産業車両として、例えば特許文献1に記載のフォークリフトが知られている。特許文献1に記載のフォークリフトは、フォークを有する荷役装置と、フォークの位置を所定方向にシフトさせるシフト装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フォークの位置をシフトさせることが可能な産業車両には、フォークのシフト端を検出する検出装置が搭載される場合がある。検出装置は、例えば投光部及び受光部を含むセンサを有している。このような検出装置では、例えば投光部から出射された検出光が受光部で受光されたか否かに基づいて、フォークの位置がシフト端に到達したか否かの検出がなされる。
【0005】
一方、上述のような産業車両では、荷役に供されるにあたって、例えば前室と冷凍庫とのような常温環境と冷凍環境とを交互に行き来することが想定される。産業車両が常温環境と冷凍環境とを交互に行き来する場合、センサの投光部及び受光部に水分が付着し、付着水分が凍結と融解とを繰り返すことによって、投光部及び受光部に霜が堆積してしまうことが考えられる。投光部及び受光部に霜が堆積してしまうと、検出光が霜によって遮られ、フォークの位置がシフト端に到達したか否かの検出が困難になるおそれがある。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、常温環境と冷凍環境とを交互に行き来する場合であっても、フォークの位置がシフト端に到達したか否かを適切に判断できる産業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る産業車両は、フォークを有する荷役装置と、フォークの位置を所定方向にシフトさせるシフト装置と、所定方向におけるフォークのシフト端を検出する検出装置と、を備える。検出装置は、互いに対向する投光部及び受光部を含むセンサ部と、投光部から出射された検出光が受光部で受光されたか否かに基づいて、フォークの位置がシフト端に到達したか否かを判断するシフト判断部と、自車両の環境情報を取得する取得部と、環境情報に基づいて、自車両が常温環境及び冷凍環境のいずれに位置しているかを判断する環境判断部と、自車両が冷凍環境から常温環境に移動した場合に、投光部及び受光部の少なくとも一方の付着水分を除去する除去部と、を有する。
【0008】
この産業車両では、自車両の環境情報に基づいて自車両が位置する環境を判断し、自車両が冷凍環境から常温環境に移動した場合に、投光部及び受光部の少なくとも一方の付着水分を除去する。付着水分を除去することで、当該車両が常温環境から再び冷凍環境に移動したとしても、投光部及び受光部の少なくとも一方に対する霜の堆積を抑制できる。したがって、この産業車両では、常温環境と冷凍環境とを交互に行き来する場合であっても、検出光が霜によって遮られることが抑制され、フォークの位置がシフト端に到達したか否かを適切に判断できる。
【0009】
検出装置は、投光部と受光部との間で所定方向に延在し、検出光を遮る遮光部分と、シフト端に対応して設けられ、検出光を通過させる切欠部分と、を含む板状部材を有していてもよい。この場合、板状部材の遮光部分及び切欠部分を利用し、簡易な構成でフォークの位置がシフト端に到達したか否かを判断できる。
【0010】
環境情報は、自車両の周囲の温度情報であってもよい。この場合、温度情報に基づいて自車両が位置する環境を精度良く判断できる。
【0011】
環境情報は、自車両の周囲の地図情報であってもよい。この場合、地図情報に基づいて自車両が位置する環境を精度良く判断できる。
【0012】
投光部及び受光部は、自車両の上下方向に対向していてもよい。この場合、検出光が車両の周囲に漏洩しにくくなるため、荷役作業時の安全性を十分に担保できる。また、車両の周囲からの光が受光部に入射しにくくなるため、フォークの位置がシフト端に到達したか否かの判断精度も十分に担保できる。
【0013】
投光部及び受光部は、自車両の前後方向に対向していてもよい。この場合、投光部及び受光部の付着水分が堆積しにくくなるため、フォークの位置がシフト端に到達したか否かの判断精度を十分に担保できる。
【0014】
除去部は、エアを吹き付けるノズルによって構成されていてもよい。この場合、投光部及び受光部の付着水分をエアによって簡便且つ確実に除去できる。
【0015】
ノズルは、センサ部と共に所定方向にシフトする部材に取り付けられていてもよい。この場合、フォークのシフト方向にセンサ部が移動する場合であっても、センサ部の位置に関わらずに付着水分の除去を実施できる。
【0016】
除去部は、自車両が冷凍環境から常温環境に移動したと判断されてから所定時間が経過した後に、ノズルによるエアの吹き付けを実施してもよい。この場合、冷凍環境で形成された霜が常温環境で融解してからエアの吹き付けが行われるので、付着水分の除去がより確実なものとなる。
【0017】
除去部は、板状部材に取り付けられたブラシ又はスポンジによって構成されていてもよい。この場合、投光部及び受光部の付着水分をブラシ又はスポンジによって簡便且つ確実に除去できる。さらに、除去部が上記ブラシによって構成されている場合、投光部及び受光部の付着水分が凍結した状態であっても、ブラシによって当該付着水分は除去され得る。したがって、投光部及び受光部の少なくとも一方に対する霜の堆積を確実に抑制できる。
【0018】
ブラシ又はスポンジは、板状部材において所定方向の端部寄りとなる位置に設けられていてもよい。産業車両では、フォークをシフト端にシフトさせた状態で荷役を実施する場合がある。したがって、ブラシ又はスポンジを板状部材における端部寄りとなる位置に設けることで、フォークをシフト中心まで戻さずに投光部及び受光部の少なくとも一方の付着水分を効率良く除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、常温環境と冷凍環境とを交互に行き来する場合であっても、フォークの位置がシフト端に到達したか否かを適切に判断できる産業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の一実施形態に係る産業車両の走行の一例を示す概要図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る産業車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図2に示した産業車両の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】シフト装置及び検出装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】シフト装置及び検出装置の構成を示す側面図である。
【
図7】センサ部及び板状部材の構成を示す図である。
【
図8】(a)及び(b)は、センサ部によるフォークのシフト端の検出の一例を示す図である。
【
図11】除去部の構成の第1変形例を示す斜視図である。
【
図12】除去部の構成の第1変形例を示す側面図である。
【
図13】除去部の構成の第2変形例を示す斜視図である。
【
図14】除去部の構成の第2変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る産業車両の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図1を参照して、産業車両1の走行の一例について説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る産業車両1の走行の一例を示す概要図である。産業車両1は、荷物を運搬するフォークリフトとして構成されている。本実施形態では、産業車両1は、例えば常温環境R1及び冷凍環境R2において、所定の荷受位置P1と荷置位置P2との間で自動で荷物を運搬するように運用される。
【0023】
常温環境R1とは、冷凍環境R2よりも温度が高い環境であり、例えば室温などの温度が0度よりも高い環境をいう。冷凍環境R2とは、例えば温度が0度以下の環境である。常温環境R1の具体例としては、冷凍環境R2に荷物を搬入、又は冷凍環境R2から荷物を搬出する際に、当該荷物が一時的に保管される前室が挙げられる。冷凍環境R2の具体例としては、荷物が収容される冷凍庫が挙げられる。
【0024】
図1に示される例では、荷受位置P1が常温環境R1に位置し、荷置位置P2が冷凍環境R2に位置している。
図1に示される例では、産業車両1は、常温環境R1に位置する荷受位置P1で荷物を受け取り、冷凍環境R2まで走行する。そして、冷凍環境R2に位置する荷置位置P2で荷置きを行った後、常温環境R1に位置する荷受位置P1に戻って、再び荷物を受け取る。産業車両1は、この動作を繰り返し行う。すなわち、産業車両1は、常温環境R1と冷凍環境R2とを交互に行き来しながら、荷物の運搬を行う。
【0025】
常温環境R1及び冷凍環境R2と荷受位置P1及び荷置位置P2との関係は、
図1に示される例に限定されない。すなわち、荷受位置P1が冷凍環境R2に位置し、荷置位置P2が常温環境R1に位置していてもよい。この場合であっても、産業車両1は、常温環境R1と冷凍環境R2とを交互に行き来しながら、荷物の運搬を行う。
【0026】
続いて、
図2を参照して、産業車両1の構成について説明する。
図2は、本開示の一実施形態に係る産業車両の側面図である。
図2に示されるように、産業車両1は、走行装置2と、走行装置2の前側に配置された荷役装置3と、を備えている。
【0027】
走行装置2は、車体4と、車体4の前部に配置された一対の駆動輪である前輪5と、車体4の後部に配置された一対の操舵輪である後輪6と、を有している。車体4には、ヘッドガードを含むフレームによって構成された運転室7が設けられている。運転室7内には、リフトシリンダ14の操作に用いられるリフト操作レバー、ティルトシリンダ15の操作に用いられるティルト操作レバー、産業車両1の操舵のためのステアリング等が配置されている。加えて、走行装置2は、前輪5を回転させる走行モータと、産業車両1のハンドル軸を回転させることにより後輪6を転舵させる転舵モータと、を有している。産業車両1では、走行モータが前輪5を回転させ、転舵モータが後輪6を転舵させることで、走行装置2による走行が実現される。
【0028】
荷役装置3は、車体4の前部に取り付けられたマスト11と、シフト装置20にリフトブラケット12を介して取り付けられ、荷物を保持する一対のフォーク13と、フォーク13を昇降させるリフトシリンダ14と、マスト11を傾動させるティルトシリンダ15と、を有している。フォーク13は、リフトブラケット12から前方に突出するように取り付けられている。
【0029】
産業車両1では、フォーク13が所定方向に移動可能に構成されている。本実施形態では、フォーク13は、自車両の左右方向に移動可能に構成されている。本実施形態では、リフトブラケット12も、フォーク13と共に、自車両の左右方向に移動可能に構成されている。産業車両1では、フォーク13は、左右いずれかの方向を向くように回動可能にも構成されている。産業車両1では、例えばフォーク13を左右方向の一方のシフト端に位置させた状態で車両の幅方向の中央を向くように回動させ、この状態で荷物を保持・搬送できるようになっている。
【0030】
以降の説明では、フォーク13の位置がシフトする方向である所定方向が自車両の左右方向である場合を例として説明するが、上記所定方向は、自車両の左右方向のみに限定されない。例えば、上記所定方向は、自車両の、前後方向及び上下方向であってもよく、それらの方向に交差する方向であってもよい。
【0031】
産業車両1は、上述したフォーク13の位置のシフトを実現するために、シフト装置20と、検出装置30と、を更に備えている。
【0032】
以下では、
図3~
図7を参照して、シフト装置20の構成及び検出装置30の機能構成の詳細を説明する。
図3は、
図2に示した産業車両の機能的構成を示すブロック図である。
図4は、シフト装置及び検出装置の構成を示す斜視図である。
図5は、シフト装置及び検出装置の構成を示す側面図である。
図6は、センサ部の一例を示す斜視図である。
図7は、センサ部及び板状部材の構成を示す図である。
【0033】
シフト装置20は、フォーク13の位置を左右方向にシフトさせる。
図4及び
図5に示されるように、シフト装置20は、当該機能を実現するために、ガイド部21と、スライド部22と、フレーム部23と、取付部24と、を有している。本実施形態では、シフト装置20は、2つのガイド部21と、2つのスライド部22と、1つのフレーム部23と、1つの取付部24と、を有している。
【0034】
ガイド部21は、フォーク13の位置のシフトをガイドする部分である。ガイド部21は、マスト11に取り付けられており、左右方向に延在している。本実施形態では、2つのガイド部21は、上下方向において、互いに異なる位置となるように、マスト11に取り付けられている。ガイド部21は、例えばガイドレールである。
【0035】
スライド部22は、フレーム部23及び取付部24を左右方向に移動させる部分である。スライド部22は、ガイド部21によって、左右方向に移動可能に支持されている。スライド部22は、例えばローラである。
【0036】
フレーム部23は、リフトブラケット12及びフォーク13をシフト装置20に接続する部分である。フレーム部23は、ガイド部21及びスライド部22よりも前方に位置しており、スライド部22に接続されている。フレーム部23の前面にはリフトブラケット12が取り付けられており、フレーム部23の後面には取付部24が取り付けられている。上述したように、スライド部22は、ガイド部21によって、左右方向に移動可能に支持されている。これによって、スライド部22に接続されているフレーム部23は、左右方向に移動可能に構成される。
【0037】
取付部24は、センサ部31(
図3参照)を取り付けるための部分である。取付部24は、基部24aと、ブラケット24bと、を含んでいる。基部24aは、自車両の前後方向において、マスト11とフレーム部23との間に位置するように、フレーム部23に固定されている。具体的には、基部24aは、基部24aの前面がフレーム部23の後面と接し、基部24aの後面がマスト11と自車両の前後方向で対向するように、フレーム部23に固定されている。ブラケット24bは、基部24aの後面に取り付けられており、取付位置から下方向に延在している。上述したように、基部24aはフレーム部23に固定されており、フレーム部23は左右方向に移動可能に構成されている。したがって、フレーム部23に固定された基部24a及び基部24aに取り付けられたブラケット24bは、フレーム部23と共に、左右方向に移動可能に構成されている。
【0038】
シフト装置20では、例えばモータ駆動によって、スライド部22が、ガイド部21に沿って、左右方向に移動する。ガイド部21に沿ってスライド部22が移動することで、フレーム部23及び取付部24と共に、リフトブラケット12及びフォーク13が左右方向に移動する。すなわち、本実施形態では、シフト装置20は、モータ駆動によって、フォーク13の位置を左右方向にシフトさせる。
【0039】
上述したように、産業車両1では、フォーク13は回転可能にも構成されている。したがって、シフト装置20は、上述したフォーク13の位置を左右方向にシフトさせる機能に加えて、フォーク13を回転させる機能も有している。シフト装置20は、例えばモータ駆動によって、フォーク13が左方向又は右方向のいずれかの方向を向くように、フォーク13を回転させる。
【0040】
検出装置30は、所定方向におけるフォーク13のシフト端を検出する。シフト端とは、所定方向におけるフォーク13の限界位置であり、例えばスライド部22がガイド部21の両端のうちいずれか一端までスライドした状態におけるフォーク13の位置をいう。上述したように、本実施形態では、フォーク13の位置は左右方向にシフトする。したがって、本実施形態におけるシフト端は、フォーク13の左右方向における限界位置である。
【0041】
以下では、検出装置30が、フォーク13のシフト端を検出する機能を実現するための機能構成の詳細を説明する。検出装置30は、上述した機能を実現するために、センサ部31と、板状部材32と、シフト判断部33と、を有している。本実施形態では、検出装置30は、2つのセンサ部31と、2つの板状部材32と、を有している。
【0042】
センサ部31は、フォーク13のシフト端を検知する部分である。
図6に示されるように、本実施形態では、センサ部31は、例えば側面視でC字状を呈している。本実施形態では、2つのセンサ部31は、上下方向において、互いに異なる位置となるように、ブラケット24bに取り付けられている。上述したように、ブラケット24bを含む取付部24は、フォーク13と共に左右方向に移動する。したがって、センサ部31は、フォーク13の左右方向のシフトに対応して、左右方向に移動可能に構成されている。
【0043】
図6に示されるように、センサ部31は、投光部31aと、受光部31bと、を含んでいる。投光部31aは、シフト端を検出するために用いられる検出光Lを出射する部分である。受光部31bは、投光部31aから出射された検出光Lを受光する部分である。投光部31a及び受光部31bは、互いに対向している。本実施形態では、投光部31a及び受光部31bは、自車両の上下方向に対向している。自車両の上下方向において、投光部31aが上方側に位置しており、受光部31bが下方側に位置している。自車両の上下方向において、投光部31aが下方側に位置していてもよく、受光部31bが上方側に位置していてもよい。センサ部31は、受光部31bが検出光Lを受光した場合に、受光部31bが検出光Lを受光したことを示す情報をシフト判断部33に出力する。
【0044】
板状部材32は、センサ部31を動作させるための検出部材である。したがって、板状部材32は、検出装置30における被検知部ともいえる。板状部材32は、例えばドグと称される部材である。本実施形態では、
図5に示されるように、2つの板状部材32は、2つのセンサ部31に対応して、上下方向において、互いに異なる位置となるように、マスト11に取り付けられている。板状部材32のそれぞれは、対応するセンサ部31の、投光部31aと受光部31bとの間で、左右方向に延在している。
【0045】
図7に示されるように、板状部材32は、検出光Lを遮るための遮光部分32aと、検出光Lを通過させる切欠部分32bと、を含んでいる。切欠部分32bは、フォーク13のシフト端に対応して矩形に設けられている。上述したように、本実施形態では、フォーク13のシフト端は、フォーク13の左右方向における限界位置である。したがって、本実施形態では、切欠部分32bは、板状部材32の、左右方向における両端部に設けられている。すなわち、各板状部材32は、2つの切欠部分32bをそれぞれ含んでいる。
【0046】
以下では、
図8を参照して、本実施形態における、センサ部31及び板状部材32による、フォーク13のシフト端の検出方法について、更に詳細に説明する。
図8(a)及び(b)は、センサ部によるフォークのシフト端の検出の一例を示す図である。
【0047】
上述したように、センサ部31は、フォーク13の左右方向のシフトに対応して、左右方向に移動する。この際、センサ部31は、板状部材32が投光部31aと受光部31bとの間に位置した状態で、投光部31aから検出光Lを出射しながら、左右方向に移動する。センサ部31が左右方向に移動している間、投光部31aは、常に検出光Lを出射してもよく、所定の時間間隔で検出光Lを出射してもよい。
【0048】
遮光部分32a、すなわちシフト端以外の位置においては、
図8(a)に示されるように、投光部31aと受光部31bとの間には、遮光部分32aが存在する。したがって、シフト端以外の位置においては、検出光Lは、遮光部分32aによって遮られ、受光部31bで受光されない。これに対して、切欠部分32b、すなわちシフト端に対応する位置においては、
図8(b)に示されるように、投光部31aと受光部31bとの間には、検出光Lを遮る部分が存在しない。したがって、シフト端においては、検出光Lは、切欠部分32bを通過し、受光部31bで受光される。センサ部31は、シフト端に対応して設けられた切欠部分32bにおいて、検出光Lが受光部31bで受光されたことをもって、シフト端を検知する。シフト端を検知したセンサ部31は、上述したように、検出光Lが受光部31bで受光されたことを示す情報をシフト判断部33に出力する。
【0049】
図3に戻り、シフト判断部33は、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かを判断する部分である。シフト判断部33は、投光部31aから出射された検出光Lが受光部31bで受光されたか否かに基づいて、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かを判断する。本実施形態では、センサ部31から、検出光Lが受光部31bで受光されたことを示す情報を受け取った場合に、フォーク13の位置がシフト端に到達したと判断する。フォーク13の位置がシフト端に到達したと判断された場合には、シフト判断部33は、例えばフォーク13における左右方向のシフトを停止する指示を生成し、当該指示をシフト装置20に出力してもよい。当該指示を受け取ったシフト装置20は、例えばフォーク13における左右方向のシフトを停止してもよい。
【0050】
上述したように、産業車両1では、シフト端に対応して設けられた切欠部分32bにおいて、検出光Lが受光部31bで受光されたことをもって、センサ部31がシフト端を検知する。また、産業車両1は、上述したように、荷物を運搬するにあたって、常温環境R1と冷凍環境R2とを交互に行き来する。その過程で、投光部31a及び受光部31bには、水分が付着する。このような場合、投光部31a及び受光部31bの付着水分が、凍結と融解とを繰り返すことで、
図9に示されるように、投光部31a及び受光部31bに霜Fが堆積してしまうことがある。
図9に示されるように、投光部31a及び受光部31bに霜Fが堆積してしまうと、検出光Lが霜Fにより遮られ、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かの検出が困難となるおそれがある。
【0051】
このような課題に対して、産業車両1では、投光部31a及び受光部31bの付着水分の少なくとも一方を除去することで、投光部31a及び受光部31bに霜Fが堆積することを防止する。産業車両1では、当該機能を実現するために、検出装置30が、取得部34と、環境判断部35と、除去部36と、を更に有している。すなわち、産業車両1では、検出装置30は、投光部31a及び受光部31bの付着水分を除去する機能を有している。
【0052】
取得部34は、自車両の環境情報を取得する部分である。環境情報とは、自車両の周囲の環境を示す情報をいう。本実施形態では、環境情報は、温度情報及び地図情報である。温度情報とは、自車両の周囲の温度を示す情報をいう。地図情報とは、自車両の周囲の地理的属性を示す情報をいう。地図情報は、例えば常温環境R1及び冷凍環境R2に存在する物体の位置及びサイズと、常温環境R1内及び冷凍環境R2内の通路の位置及びサイズと、を含む。
【0053】
本実施形態では、取得部34は、温度センサ40及び記憶部50と通信可能に接続されている。取得部34は、温度センサ40から温度情報を、記憶部50から地図情報を、それぞれ連続的に取得する。本開示において、「連続的に取得する」ことは、途切れなく取得することだけでなく、所定の時間間隔で取得することも含んでいる。取得部34は、温度情報及び地図情報を取得する度に、取得した両情報を環境判断部35に環境情報として出力する。
【0054】
温度センサ40は、自車両の周囲の温度を測定するためのセンサである。記憶部50は、上述した地図情報を記憶している部分である。記憶部50は、産業車両1の走行開始前に、地図情報を予め記憶している。本実施形態では、産業車両1が、温度センサ40及び記憶部50を備えている。
【0055】
環境判断部35は、環境情報に基づいて、自車両が常温環境R1及び冷凍環境R2のいずれに位置するかを判断する部分である。本実施形態では、環境判断部35は、取得部34から受け取った温度情報及び地図情報に基づいて、自車両が常温環境R1及び冷凍環境R2のいずれに位置するかを判断する。
【0056】
本実施形態では、以下のようにして、環境判断部35は、上述した判断を行う。まず、環境判断部35は、取得部34から受け取った温度情報が、所定温度より高いか否かを判定する。次に、環境判断部35は、自己位置を推定するために用いられる、自己位置推定センサからの検出結果と、取得部34から受け取った地図情報と、を参照することで、自車両の位置を推定する。自己位置推定センサは、産業車両1の自己位置を推定するために用いられるセンサであり、産業車両1の周囲に存在する物体を検出する。自己位置推定センサは、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)である。
【0057】
環境判断部35は、温度情報が所定温度よりも高いと判定され、かつ、自車両が常温環境R1に位置すると推定された場合に、自車両が常温環境R1に位置すると判断する。環境判断部35は、温度情報が所定温度以下と判定され、かつ、自車両が冷凍環境R2に位置すると推定された場合に、自車両が冷凍環境R2に位置すると判断する。さらに、環境判断部35は、温度情報が所定温度よりも高いと判定され、かつ、自車両が冷凍環境R2に位置する推定された場合、及び温度情報が所定温度以下と判定され、かつ、自車両が常温環境R1に位置する推定された場合にも、自車両が冷凍環境R2に位置すると判断する。上記所定温度は、例えば0度である。
【0058】
環境判断部35は、取得部34から温度情報及び地図情報を受け取るたびに、上述した判断を行い、自車両は常温環境R1及び冷凍環境R2のいずれに位置するかを示す情報を、除去部36に出力する。以降では、自車両が常温環境R1及び冷凍環境R2のいずれに位置するかを示す情報を、単に「位置情報」と称する。
【0059】
除去部36は、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する部分である。除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。
【0060】
本実施形態では、以下のようにして、除去部36は、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。まず、除去部36は、環境判断部35から位置情報を受け取るたびに、位置情報に基づいて、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したか否かを判断する。除去部36は、前回の位置情報が自車両が冷凍環境R2に位置することを示し、かつ、今回の位置情報が自車両が常温環境R1に位置することを示す場合に、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したと判断する。次に、除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したと判断した場合に、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。
【0061】
本実施形態では、除去部36は、エアを吹き付けるノズル36Aによって、構成されている。すなわち、本実施形態では、ノズル36Aがセンサ部31にエアを吹き付けることで、付着水分が除去される。ノズル36Aは、例えばセンサ部31に温風を吹き付けることで、付着水分を除去してもよい。本開示では、「付着水分を除去する」ことは、付着水分の全てを除去することだけでなく、付着水分の量を減少させることも含む。
【0062】
本実施形態では、除去部36は、2つのセンサ部31に対応して、2つのノズル36Aから構成されている。
図10に示されるように、2つのノズル36Aは、基部24aの両側面のうち対応する側面に取り付けられている。上述したように、基部24aは、センサ部31と共に左右方向にシフトする。すなわち、本実施形態では、ノズル36Aは、センサ部31と共に左右方向にシフトする部材に取り付けられている。
【0063】
除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したと判断されてから所定時間が経過した後に、ノズル36Aによるエアの吹き付けを行う。すなわち、本実施形態では、除去部36が、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したと判断された場合に、当該判断から所定時間が経過した後、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。上記所定時間は、例えば10秒であってもよく、1分であってもよい。例えば常温環境R1での温度に比例して上記所定時間を短く設定してもよい。また、ノズル36Aによるエアの吹付回数は、1回のみであってもよく、複数回であってもよい。
【0064】
以上説明したように、産業車両1では、自車両の環境情報に基づいて自車両が位置する環境を判断し、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。付着水分を除去することで、産業車両1が常温環境R1から再び冷凍環境R2に移動したとしても、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方に対する霜Fの堆積を抑制できる。したがって、産業車両1では、常温環境R1と冷凍環境R2とを交互に行き来する場合であっても、検出光Lが霜Fによって遮られることが抑制され、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かを適切に判断できる。
【0065】
産業車両1では、検出装置30は、投光部31a及び受光部31bとの間で所定方向に延在し、検出光Lを遮る遮光部分32aと、シフト端に対応して設けられ、検出光Lを通過させる切欠部分32bと、を含む板状部材32を有している。この場合、板状部材32の遮光部分32a及び切欠部分32bを利用し、簡易な構成でフォーク13の位置がシフト端に到達したか否かを判断できる。
【0066】
産業車両1では、環境情報は、温度情報及び地図情報である。この場合、自車両が位置する環境を判断するにあたって、温度情報及び地図情報の両情報を用いることで、温度情報又は地図情報から推定される位置情報に誤差があった場合であっても、自車両が位置する環境を精度良く判断できる。
【0067】
産業車両1では、投光部31a及び受光部31bは、自車両の上下方向に対向している。この場合、検出光Lが車両の周囲に漏洩しにくくなるため、荷役作業時の安全性を十分に担保できる。また、車両の周囲からの光が受光部31bに入射しにくくなるため、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かの判断精度も十分に担保できる。
【0068】
産業車両1では、除去部36は、エアを吹き付けるノズル36Aによって構成されている。この場合、投光部31a及び受光部31bの付着水分をエアによって簡便且つ確実に除去できる。
【0069】
産業車両1では、ノズル36Aは、センサ部31と共に所定方向にシフトする部材に取り付けられている。この場合、フォーク13のシフト方向にセンサ部31が移動する場合であっても、センサ部31の位置に関わらずに付着水分の除去を実施できる。
【0070】
産業車両1では、除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動したと判断されてから所定時間が経過した後に、ノズル36Aによるエアの吹き付けを実施する。この場合、冷凍環境R2で形成された霜Fが常温環境R1で融解してからエアの吹き付けが行われるので、付着水分の除去がより確実なものとなる。
【0071】
産業車両1では、シフト装置20により、フォーク13は回動可能に構成されている。この場合、例えば通路幅が狭く、産業車両1の向きを変えることが困難であっても、産業車両1の向きを変えることなく、荷役を行うことができる。
【0072】
次に、
図11及び
図12を参照して、産業車両1の第1変形例の構成を説明する。
図11は、除去部の構成の第1変形例を示す斜視図である。
図12は、除去部の構成の第1変形例を示す側面図である。本変形例では、除去部36の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下では、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0073】
まず、本変形例における除去部36の構成について、説明する。
図11及び
図12に示されるように、除去部36は、板状部材32に取り付けられたブラシ36Bによって構成されている。本変形例では、ブラシ36Bは、板状部材32において左右方向の端部寄りとなる位置に設けられている。具体的には、ブラシ36Bは、板状部材32において左右方向の端部寄りとなる位置、かつ、切欠部分32bよりも内側になる位置に設けられている。図示は省略するが、板状部材32の両端のうち、
図11に示される端とは逆側の端においても、上述した位置にブラシ36Bが設けられている。
【0074】
また、
図12に示されるように、本変形例では、ブラシ36Bは、板状部材32の上面及び下面に設けられている。ブラシ36Bは、板状部材32の上面及び下面において、上述した位置に設けられている。ブラシ36Bは、センサ部31が投光部31aと受光部31bとの間にブラシ36Bが位置した状態において、投光部31a及ぶ受光部31bのうち対応する部分と接するように、板状部材32の上面及び下面に設けられている。すなわち、本変形例では、1つの板状部材32に対して、4つのブラシ36Bが設けられている。上述したように、産業車両1では、検出装置30は2つの板状部材32を有している。したがって、本変形例では、計8つのブラシ36Bが設けられている。
【0075】
続いて、本変形例における、付着水分を除去する際の動作について、説明する。本変形例においても、除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。本変形例では、付着水分を除去するにあたって、除去部36は、まず、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、フォーク13を左右方向にシフトさせる指示を生成し、当該指示をシフト装置20に出力する。除去部36からの指示を受け取ったシフト装置20は、センサ部31がブラシ36Bが設けられている位置上を通過するように、センサ部31を移動させる。これにより、投光部31a及び受光部31bがブラシ36Bによって拭われ、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分が除去される。
【0076】
本変形例では、除去部36は、板状部材32に取り付けられたブラシ36Bによって構成されている。この場合、投光部31a及び受光部31bの付着水分をブラシ36Bによって簡便且つ確実に除去できる。さらに、この場合、付着水分が凍結した状態であっても、ブラシ36Bによって当該付着水分を除去し得る。したがって、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方に対する霜Fの堆積を確実に抑制できる。
【0077】
本変形例では、ブラシ36Bは、板状部材32において所定方向の端部寄りとなる位置に設けられている。産業車両1では、フォーク13をシフト端にシフトさせた状態で荷役を実施する場合がある。したがって、ブラシ36Bを板状部材32における端部寄りとなる位置に設けることで、フォーク13をシフト中心まで戻さずに投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を効率良く除去することができる。
【0078】
次に、
図13及び
図14を参照して、産業車両1の第2変形例の構成を説明する。
図13は、除去部の構成の第2変形例を示す斜視図である。
図14は、除去部の構成の第2変形例を示す側縁図である。本変形例では、センサ部31、板状部材32、及び除去部36の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下では、上述した実施形態と本変形例との相違点を主として説明する。
【0079】
まず、本変形例におけるセンサ部31の構成について、説明する。本変形例では、センサ部31において、投光部31a及び受光部31bは、自車両の前後方向で対向している。自車両の前後方向において、投光部31aが後方側に位置しており、受光部31bが前方側に位置している。自車両の前後方向において、投光部31aが前方側に位置していてもよく、受光部31bが後方側に位置していてもよい。
【0080】
次に、本変形例における板状部材32の構成について、説明する。
図13及び
図14に示されるように、本変形例では、板状部材32は、左右方向から見て、L字状を呈しており、水平部分321及び垂直部分322を含んでいる。水平部分321は、自車両の前後方向に沿う部分である。垂直部分322は、自車両の上下方向に沿う部分である。水平部分321及び垂直部分322は、自車両の、前後方向及び上下方向のうち対応する方向に沿いつつ、全体として自車両の左右方向に延在している。本変形例では、遮光部分32a及び切欠部分32bは、垂直部分322に設けられている。切欠部分32bは、垂直部分322の左右方向における両端部に設けられている。
【0081】
続いて、本変形例におけるセンサ部31及び除去部36の構成について説明する。除去部36は、板状部材32に取り付けられたスポンジ36Cによって構成されている。本変形例では、除去部36は、板状部材32の垂直部分322に取り付けられたスポンジ36Cによって構成されている。スポンジ36Cは、垂直部分322において左右方向の端部寄りとなる位置に設けられている。具体的には、スポンジ36Cは、垂直部分322において左右方向の端部寄りとなる位置、かつ、切欠部分32bよりも内側になる位置に設けられている。図示は省略するが、垂直部分322の両端のうち、
図13に示される端とは逆側の端においても、上述した位置にスポンジ36Cが設けられている。
【0082】
上述したように、垂直部分322は、自車両の上下方向に沿いつつ、全体として自車両の左右方向に延在している。したがって、本変形例では、スポンジ36Cは、板状部材32において左右方向の端部寄りとなる位置に設けられているともいえる。また、スポンジ36Cは、板状部材32において左右方向の端部寄りとなる位置、かつ、切欠部分32bよりも内側になる位置に設けられているともいえる。
【0083】
また、
図14に示されるように、本変形例では、スポンジ36Cは、垂直部分322の前面及び後面に設けられている。スポンジ36Cは、垂直部分322の前面及び後面において、上述した位置に設けられている。また、スポンジ36Cは、センサ部31が投光部31aと受光部31bとの間にスポンジ36Cが位置した状態において、投光部31a及ぶ受光部31bのうち対応する部分と接するように、垂直部分322の前面及び後面に設けられている。すなわち、本変形例では、1つの板状部材32に対して、4つのスポンジ36Cが設けられている。したがって、本変形例においても、計8つのスポンジ36Cが設けられている。
【0084】
続いて、本変形例における付着水分を除去する際の動作について、説明する。本変形例においても、除去部36は、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を除去する。本変形例でも、付着水分を除去するにあたって、除去部36は、まず、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、フォーク13を左右方向にシフトさせる指示を生成し、当該指示をシフト装置20に出力する。除去部36からの指示を受け取ったシフト装置20は、センサ部31がスポンジ36Cが設けられている位置上を通過するように、センサ部31を移動させる。これにより、投光部31a及び受光部31bがスポンジ36Cによって拭われ、投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分が除去される。
【0085】
本変形例では、投光部31a及び受光部31bは、自車両の前後方向に対向している。この場合、投光部31a及び受光部31bの付着水分が堆積しにくくなるため、フォーク13の位置がシフト端に到達したか否かの判断精度を十分に担保できる。
【0086】
本変形例では、除去部36は、板状部材32に取り付けられたスポンジ36Cによって構成されている。この場合、投光部31a及び受光部31bの付着水分をスポンジ36Cによって簡便且つ確実に除去できる。
【0087】
本変形例では、スポンジ36Cは、板状部材32において所定方向の端部寄りとなる位置に設けられている。上述したように、産業車両1では、フォーク13をシフト端にシフトさせた状態で荷役を実施する場合がある。したがって、スポンジ36Cを板状部材32における端部寄りとなる位置に設けることで、フォーク13をシフト中心まで戻さずに投光部31a及び受光部31bの少なくとも一方の付着水分を効率良く除去することができる。
【0088】
以上、本開示の実施形態及び各変形例について説明してきたが、本開示は必ずしも上述した実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0089】
上述した実施形態及び各変形例では、シフト装置20が、フォーク13を回転させる機能を有していたが、必ずしもシフト装置20が当該機能を有していなくてもよい。この場合、別の回転装置が当該機能を有しており、この回転機構により、フォーク13が回転可能に構成されていてもよい。上記別の回転装置は、例えばシフト装置20に取り付けられており、シフト装置20とリフトブラケット12との間に位置し、当該機能を発揮してもよい。
【0090】
上述した実施形態及び各変形例では、センサ部31の数は「2」であったが、センサ部31の数は上述した数に限定されない。センサ部31の数は、上述した数よりも、多くてもよく、少なくてもよい。例えば、センサ部31の数は、「1」であってもよい。板状部材32及びノズル36Aの各数は、センサ部31の数に対応させてもよい。
【0091】
上述した実施形態及び各変形例においては、環境情報は、温度情報及び地図情報であったが、自車両が位置する環境を判断するにあたっては、環境情報は、温度情報及び地図情報の少なくともいずれか一方の情報であればよい。すなわち、環境情報は、温度情報のみであってもよく、地図情報のみであってもよい。環境情報が温度情報である場合、温度情報に基づいて自車両が位置する環境を精度良く判断できる。環境情報が地図情報である場合、地図情報に基づいて自車両が位置する環境を精度良く判断できる。
【0092】
環境情報が温度情報のみである場合、環境判断部35は、取得部34から受け取った温度情報が0度より高いか否かを判定し、その判定結果のみに基づいて、自車両が位置する環境を判断する。例えば、環境判断部35は、取得部34から受け取った温度情報が所定温度より高いと判例された場合に、自車両が常温環境R1に位置すると判断してもよく、取得部34から受け取った温度情報が所定温度未満であると判定された場合に、自車両が冷凍環境R2に位置すると判断してもよい。
【0093】
環境情報が地図情報のみである場合、環境判断部35は、取得部34から受け取った地図情報に基づいて、自車両の位置を推定し、その推定結果のみに基づいて、自車両が位置する環境を判断する。例えば、環境判断部35は、自車両が常温環境R1に位置すると推定された場合に、自車両が常温環境R1に位置すると判断し、自車両が冷凍環境R2に位置すると推定された場合に冷凍環境R2に位置すると判断してもよい。
【0094】
上述した実施形態では、ノズル36Aは、基部24aに取り付けられていたが、ノズル36Aの取付位置は上述した位置に限定されない。例えば、ノズル36Aは、ブラケット24bに取り付けられていてもよい。この場合であっても、ブラケット24bは、フォーク13と共に左右方向に移動可能に構成されているので、ノズル36Aは、センサ部31と共に左右方向にシフトする部材に取り付けられているといえる。あるいは、ノズル36Aは、別のシフト機構に取り付けられていてもよい。この場合、シフト機構は、センサ部31と共に左右方向にシフトし、ノズル36Aがセンサ部31と共に左右方向にシフトするように、ノズル36Aを移動させる。
【0095】
また、ノズル36Aは、センサ部31と共に左右方向にシフトする部材に必ずしも取り付けられていなくてもよい。ノズル36Aは、例えばマスト11に取り付けられていてもよい。すなわち、ノズル36Aの位置は、固定されていてもよい。この場合、付着水分を除去するにあたって、除去部36は、まず、自車両が冷凍環境R2から常温環境R1に移動した場合に、フォーク13を左右方向にシフトさせる指示を生成し、当該指示をシフト装置20に出力してもよい。次に、除去部36からの指示を受け取ったシフト装置20は、ノズル36Aの取付位置に対応する位置まで、センサ部31を移動させてもよい。除去部36は、上記対応する位置まで、センサ部31が移動した場合に、ノズル36Aによるエアの吹付を行ってもよい。
【0096】
上述した第2変形例では、投光部31a及び受光部31bが自車両の前後方向に対向している場合に、除去部36がスポンジ36Cによって構成されていたが、投光部31a及び受光部31bの対向方向と除去部36の構成との関係は、第2変形例に示された関係に限定されない。すなわち、投光部31a及び受光部31bが自車両の前後方向に対向している場合に、除去部36は、ノズル36Aによって構成されていてもよく、ブラシ36Bによって構成されていてもよい。
【0097】
また、第2変形例に示された板状部材32の構成については、投光部31a及び受光部31bの対向方向に対応していればよく、板状部材32の構成と除去部36との関係も、第2変形例に示された関係に限定されない。すなわち、投光部31a及び受光部31bが自車両の前後方向に対向している場合に、板状部材32は、水平部分321及び垂直部分322を含んでいればよい。したがって、除去部36がノズル36A又はブラシ36Bによって構成されている場合でも、投光部31a及び受光部31bが自車両の前後方向に対向していれば、板状部材32は、水平部分321及び垂直部分322を含んでいてもよい。さらに、投光部31a及び受光部31bが自車両の前後方向に対向している場合であっても、板状部材32は、水平部分321を含んでいなくてもよい。
【0098】
本開示の要旨は、以下の[1]~[11]のとおりである。
[1]フォークを有する荷役装置と、前記フォークの位置を所定方向にシフトさせるシフト装置と、前記所定方向における前記フォークのシフト端を検出する検出装置と、を備え、前記検出装置は、互いに対向する投光部及び受光部を含み、前記フォークにおける前記所定方向のシフトと共に前記所定方向に移動可能に構成されているセンサ部と、前記投光部から出射された検出光が前記受光部で受光されたか否かに基づいて、前記フォークの位置が前記シフト端に到達したか否かを判断するシフト判断部と、自車両の環境情報を取得する取得部と、前記環境情報に基づいて、前記自車両が常温環境及び冷凍環境のいずれに位置しているかを判断する環境判断部と、前記自車両が前記冷凍環境から前記常温環境に移動した場合に、前記投光部及び前記受光部の少なくとも一方の付着水分を除去する除去部と、を有する、産業車両。
[2]前記検出装置は、前記投光部と前記受光部との間で前記所定方向に延在し、前記検出光を遮る遮光部分と、前記シフト端に対応して設けられ、前記検出光を通過させる切欠部分と、を含む板状部材を有する、[1]記載の産業車両。
[3]前記環境情報は、前記自車両の周囲の温度情報である、[1]又は[2]記載の産業車両。
[4]前記環境情報は、前記自車両の周囲の地図情報である、[1]~[3]のいずれか記載の産業車両。
[5]前記投光部及び前記受光部は、前記自車両の上下方向に対向している、[1]~[4]のいずれか記載の産業車両。
[6]前記投光部及び前記受光部は、前記自車両の前後方向に対向している、[1]~[4]のいずれか記載の産業車両。
[7]前記除去部は、エアを吹き付けるノズルによって構成されている、[1]~[6]のいずれか記載の産業車両。
[8]前記ノズルは、前記センサ部と共に前記所定方向にシフトする部材に取り付けられている、[7]記載の産業車両。
[9]前記除去部は、前記自車両が前記冷凍環境から前記常温環境に移動したと判断されてから所定時間が経過した後に、前記ノズルによるエアの吹き付けを実施する、[7]又は[8]記載の産業車両。
[10]前記除去部は、前記板状部材に取り付けられたブラシ又はスポンジによって構成されている、[2]~[6]のいずれか記載の産業車両。
[11]前記ブラシ又は前記スポンジは、前記板状部材において前記所定方向の端部寄りとなる位置に設けられている、[10]記載の産業車両。
【符号の説明】
【0099】
1…産業車両、3…荷役装置、13…フォーク、20…シフト装置、30…検出装置、31…センサ部、31a…投光部、31b…受光部、32…板状部材、32a…遮光部分、32b…切欠部分、33…シフト判断部、34…取得部、35…環境判断部、36…除去部、36A…ノズル、36B…ブラシ、36C…スポンジ、L…検出光、R1…常温環境、R2…冷凍環境。