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特開2024-110187X線コンピュータ断層撮影装置、X線管保守方法及びX線管保守プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110187
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置、X線管保守方法及びX線管保守プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/40 20240101AFI20240807BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61B6/03 320B
A61B6/03 333B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014618
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093EA02
4C093EA20
4C093FA59
4C093FB11
4C093FC30
(57)【要約】
【課題】X線管の劣化をより早い段階で検知して、X線管の寿命を延ばすこと。
【解決手段】 実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管、取得部、要否判定部及び制御部を有する。X線管は、X線を発生する陽極と、前記陽極を回転軸回りに回転させる陽極回転機構とを有する。取得部は、前記陽極回転機構が起動される第1のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第1の信号と、前記第1のタイミングより後で前記陽極回転機構が起動される第2のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第2の信号とを取得する。要否判定部は、前記第1の信号に基づく情報と前記第2の信号とに基づいて、前記陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する。制御部は、前記修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合、前記修復シーケンスに応じて前記陽極回転機構を制御する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生する陽極と、前記陽極を回転軸回りに回転させる陽極回転機構とを有するX線管と、
前記陽極回転機構が起動される第1のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第1の信号と、前記第1のタイミングより後で前記陽極回転機構が起動される第2のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第2の信号とを取得する取得部と、
前記第1の信号に基づく情報と前記第2の信号とに基づいて、前記陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する要否判定部と、
前記修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合、前記修復シーケンスに応じて前記陽極回転機構を制御する制御部と、
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記第1の信号に基づく情報は、前記第1の信号に応じて決定された第1の閾値であり、
前記要否判定部は、前記第1の閾値と前記第2の信号とに基づいて、前記修復シーケンスの要否を判定する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記第1の閾値は、前記陽極回転機構の起動後の設定期間に計測される、前記第1の信号のピーク値に基づいて決定される、請求項2記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記要否判定部は、前記第1の信号に基づく情報と前記第2の信号との比較に基づいて、前記修復シーケンスの要否を判定する、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記陽極回転機構は、前記陽極を軸支するロータと、前記ロータを前記回転軸回りに回転させるステータコイルとを有し、
前記第1の信号及び前記第2の信号は、前記ステータコイルに流れる電流に関する信号である、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記第1の信号は、前記第1のタイミングで前記ステータコイルに流れる電流のピーク値を含む信号であり、
前記第2の信号は、前記第2のタイミングで前記ステータコイルに流れる電流のピーク値を含む信号である、
請求項5記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記修復シーケンスを実行した後の第3のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第3の信号を更に取得し、
前記第1の信号に基づく情報と前記第2の信号に基づく情報との少なくとも一方と、前記第3の信号とに基づいて前記X線管に関する劣化を判定する劣化判定部を更に備える、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記劣化判定部は、前記第3の信号が前記第2の信号に基づく情報を下回る場合、前記X線管に関する劣化が改善されたと判定する、請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記劣化判定部により前記X線管に関する劣化が改善されたと判定された場合、前記修復シーケンスを設定周期で実行する、請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
前記劣化判定部は、前記第2の信号と前記第3の信号との双方が前記第1の信号に基づく第3の閾値を上回る場合、前記X線管に含まれるロータに不可逆的な劣化が生じていると判定する、請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記劣化判定部により前記X線管に関する劣化が改善されていないと判定された場合、前記X線管に関する劣化が改善されていない旨のアラートを通知する通知部を更に備える、請求項7記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
前記回転機構は、前記陽極を支持するロータと、前記ロータを回転可能に支持する液体金属軸受と、前記ロータを回転させるステータコイルとを有し、
前記制御部は、前記修復シーケンスにおいて、前記ロータの起動と停止とを複数回繰り返す、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
X線を発生する陽極を回転軸回りに回転させる回転機構が起動される第1のタイミングで前記回転機構を駆動する電流に関する第1の信号を取得し、
前記第1のタイミングより後で前記回転機構が起動される第2のタイミングで前記回転機構を駆動する電流に関する第2の信号を取得し、
前記第1の信号と第2の信号とに基づいて、前記回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定し、
前記修復シーケンスの実行が必要と判定された場合、前記修復シーケンスに応じて前記回転機構を制御する、
ことを備えるX線管保守方法。
【請求項14】
コンピュータに、
X線を発生する陽極を回転軸回りに回転させる回転機構が起動される第1のタイミングで前記回転機構を駆動する電流に関する第1の信号を取得させる機能と、
前記第1のタイミングより後で前記回転機構が起動される第2のタイミングで前記回転機構を駆動する電流に関する第2の信号を取得させる機能と、
前記第1の信号と第2の信号とに基づいて、前記回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定させる機能と、
前記修復シーケンスの実行が必要と判定された場合、前記修復シーケンスに応じて前記回転機構を制御させる機能と、
を実現させるX線管保守プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置、X線管保守方法及びX線管保守プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置の高出力化及び高速回転化につれ、X線管の故障モードとして、架台の回転に伴う遠心力やX線管のロータの回転に伴う回転機構の劣化が問題になる。劣化が進行につれ、二次的現象として振動や騒音の増加又は放電の頻発として現れ、そのため、劣化をより早い段階で発見することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-113445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、X線管の劣化をより早い段階で検知して、X線管の寿命を延ばすことである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線管、取得部、要否判定部及び制御部を有する。X線管は、X線を発生する陽極と、前記陽極を回転軸回りに回転させる陽極回転機構とを有する。取得部は、前記陽極回転機構が起動される第1のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第1の信号と、前記第1のタイミングより後で前記陽極回転機構が起動される第2のタイミングで前記陽極回転機構を駆動する電流に関する第2の信号とを取得する。要否判定部は、前記第1の信号に基づく情報と前記第2の信号とに基づいて、前記陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する。制御部は、前記修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合、前記修復シーケンスに応じて前記陽極回転機構を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、X線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図である。
図2図2は、X線管とX線高電圧装置とから構成されるX線発生系の構成を示す図である。
図3図3は、X線管の陽極回転機構の劣化及び修復の過程を模式的に示す図である。
図4図4は、X線管保守処理の処理手順の一例を示す図である。
図5図5は、トルク電流(電流信号)の時系列変化を表すグラフの一例を示す図である。
図6図6は、修復シーケンスの実行の要否の判定処理を、第2の電流信号と第1の閾値との関係を表すグラフで説明する図である。
図7図7は、修復シーケンス「不要」の判定結果の通知画面の一例を示す図である。
図8図8は、修復シーケンス「要」の判定結果の通知画面の一例を示す図である。
図9図9は、X線管の劣化改善「有」の判定結果の通知画面の一例を示す図である。
図10図10は、X線管の劣化改善「無」の判定結果の通知画面の一例を示す図である。
図11図11は、変形例1に係るX線管保守処理の処理手順の一例を示す図である。
図12図12は、変形例1に係る劣化改善「有」の判定結果の通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置、X線管保守方法及びX線管保守プログラムについて説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。なお、図1には説明の都合のため複数の架台10が描画されているが、典型的にはX線コンピュータ断層撮影装置1が装備する架台10は1台である。
【0009】
図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。コンソール40は、架台10を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30は検査室に設置され、コンソール40は検査室に隣接する操作室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は互いに通信可能に有線または無線で接続されている。架台10は、スキャン部の一例である。
【0010】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を有する。
【0011】
X線管11は、X線を発生する。具体的には、X線管11は、熱電子を発生する陰極と、陰極から飛翔する熱電子を受けてX線を発生する陽極と、陽極を回転軸回りに回転させる陽極回転機構と、陰極と陽極とを保持する真空管とを含む。X線管11は、高圧ケーブルを介してX線高電圧装置14に接続されている。陰極には、X線高電圧装置14によりフィラメント電流が供給される。フィラメント電流の供給により陰極から熱電子が発生する。陰極と陽極との間には、X線高電圧装置14により管電圧が印加される。管電圧の印加により陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔して陽極に衝突し、X線が発生する。発生されたX線は、被検体Pに照射される。陰極から陽極に向けて熱電子が飛翔することにより管電流が流れる。
【0012】
X線検出器12は、X線管11から発生され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をDAS18に出力する。X線検出器12は、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向)に複数配列された構造を有する。X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれることもある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する。光センサとしては、例えば、フォトダイオードが用いられる。X線検出器112は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
【0013】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転可能に支持する円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持する。回転フレーム13は、固定フレーム(図示せず)に回転軸Z回りに回転可能に支持される。制御装置15により回転フレーム13が回転軸Z回りに回転することによりX線管11とX線検出器12とを回転軸Z回りに回転させる。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV:Field Of View)が設定される。
【0014】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ方向、Z方向に直交し床面に対し水平である方向をX方向、Z方向に直交し床面に対し垂直である方向をY方向と定義する。
【0015】
X線高電圧装置14は、高電圧電源とX線制御回路とを有する。高電圧電源は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御回路は、X線管11に印加する高電圧とX線管11に供給フィラメント電流とを制御する。高電圧電源は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。
【0016】
ウェッジ16は、被検体Pに照射されるX線の線量を調節する。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線の線量が予め定められた分布になるようにX線を減衰する。例えば、ウェッジ16としては、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)等、アルミニウム等の金属が加工されることにより形成された金属フィルタである。これらウェッジ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みを有するように加工される。
【0017】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りとも呼ばれる。
【0018】
DAS18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出し、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データとも呼ばれる。DAS18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。DAS18により生成された投影データ(検出データ)は、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部(例えば、固定フレーム)に設けられた発光ダイオード(LED)を有する受信機に送信され、受信機からコンソール40に伝送される。なお、回転フレーム13から架台10の非回転部への投影データの送信方式は、前述の光通信に限定されず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式であっても良い。
【0019】
寝台30は、基台31、支持フレーム32、天板33及び寝台駆動装置34を備える。基台31は、床面に設置される。基台31は、支持フレーム32を、床面に対して垂直方向(Y方向)に移動可能に支持する構造体である。支持フレーム32は、基台31の上部に設けられるフレームである。支持フレーム32は、天板33を中心軸Zに沿ってスライド可能に支持する。天板33は、被検体Pが載置される柔軟性を有する板状構造体である。寝台駆動装置34は、寝台30に収容される。寝台駆動装置34は、被検体Pが載置された天板33を移動させるための動力を発生するモータ又はアクチュエータである。寝台駆動装置34は、コンソール40等による制御に従い作動する。
【0020】
制御装置15は、コンソール40の処理回路44による撮影制御機能441に従いX線CT撮影を実行するためにX線高電圧装置14、DAS18及び寝台30を制御する。制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動装置とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPU等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。制御装置15は、例えば、コンソール40、架台10及び寝台30等に設けられた入力インタフェース43からの操作信号に従い架台10及び寝台30を制御する。例えば、制御装置15は、回転フレーム13の回転、架台10のチルト、天板33及び寝台30の動作を制御する。
【0021】
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インタフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インタフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は、架台10とは別体であるとして説明するが、架台10にコンソール40の全構成要素又は一部の構成要素が含まれても良い。
【0022】
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDDやSSD、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線コンピュータ断層撮影装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0023】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられても良い。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でも良いし、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等に含まれるタブレット型でも良い。
【0024】
入力インタフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。入力インタフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜使用可能である。なお、本実施形態において入力インタフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース43の例に含まれる。また、入力インタフェース43は、架台10に設けられても良い。また、入力インタフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等に含まれても良い。
【0025】
処理回路44は、入力インタフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じてX線コンピュータ断層撮影装置1の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやGPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたX線管保守プログラムを実行することにより、撮影制御機能441、画像生成機能442、画像処理機能443、取得機能444、要否判定機能445、劣化判定機能446及び通知機能447等を実行する。なお、各機能441~447は単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがX線管保守プログラムを実行することにより各機能441~447を実現するものとしても構わない。
【0026】
撮影制御機能441により処理回路44は、X線CT撮影を行うためX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。処理回路44は、スキャン計画等により決定された撮影条件に従いX線高電圧装置14と制御装置15とDAS18とを制御する。撮影制御機能441は、撮影制御部の一例である。
【0027】
画像生成機能442により処理回路44は、DAS18から出力された投影データに基づいて被検体Pに関するCT画像を生成する。具体的には、処理回路44は、DAS18から出力された投影データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。そして処理回路44は、前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、機械学習等を用いた再構成処理等を施しCT画像を生成する。画像生成機能442は、画像生成部の一例である。
【0028】
画像処理機能443により処理回路44は、入力インタフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、CT画像データに、MPR処理やボリュームレンダリング処理、サーフェスレンダリング処理、画素値投影処理等を行う。画像処理機能443は、画像処理部の一例である。
【0029】
取得機能444により処理回路44は、種々の情報を取得する。例えば、処理回路44は、X線管11の陽極回転機構が起動される第1のタイミングで陽極回転機構を駆動する電流に関する第1の信号(以下、第1の電流信号)と、第1のタイミングより後で陽極回転機構が起動される第2のタイミングで陽極回転機構を駆動する電流に関する第2の信号(以下、第2の電流信号)とを取得する。また、処理回路44は、陽極回転機構が修復シーケンスを実行した後の第3のタイミングで陽極回転機構を駆動する電流に関する第3の信号(以下、第3の電流信号)を更に取得してもよい。第1の電流信号、第2の電流信号及び第3の電流信号は、陽極回転機構を駆動する電流の検出値のデータを意味する。取得機能444は、例えば、第1の電流信号、第2の電流信号及び第3の電流信号を電流検出器144から取得する。取得機能444は、取得部の一例である。
【0030】
要否判定機能445により処理回路44は、第1の電流信号に基づく情報と第2の電流信号とに基づいて、X線管11の陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する。第1の電流信号に基づく情報は、第1の電流信号に応じて決定された数値を意味する。当該数値は、修復シーケンスの実行の要否判定に使用する条件として使用される。一例として、当該数値は、第1の閾値として使用される。第1の閾値は、第1の電流信号が表す検出値と同一でもよいし異なる値でもよい。一例として、第1の閾値は、陽極回転機構の起動後の設定期間に計測される、第1の電流信号のピーク値に基づいて決定される。処理回路44は、第1の閾値と第2の電流信号との比較に基づいて修復シーケンスの要否を判定する。要否判定機能445は、要否判定部の一例である。
【0031】
劣化判定機能446により処理回路44は、第1の電流信号に基づく情報と第2の電流信号に基づく情報との少なくとも一方と、第3の電流信号とに基づいてX線管に関する劣化を判定する。第2の電流信号に基づく情報は、第2の電流信号に応じて決定された数値を意味する。当該数値は、劣化の判定に使用する条件として使用される。一例として、当該数値は、第2の電流信号が表す検出値と同一でもよいし異なる値でもよい。劣化判定機能446は、劣化判定部の一例である。
【0032】
通知機能447により処理回路44は、種々の情報を通知する。例えば、処理回路44は、要否判定機能445や劣化判定機能446による判定結果をディスプレイ42に表示したり、スピーカを介して音声出力したり、他のコンピュータに転送したりする。通知機能447は、通知部の一例である。
【0033】
次に、本実施形態に係るX線管11とX線高電圧装置14とから構成されるX線発生系について説明する。図2は、本実施形態に係るX線管11とX線高電圧装置14とから構成されるX線発生系の構成を示す図である。
【0034】
図2に示すように、X線管11はX線管容器111を有する。X線管容器111は、内部が真空に保たれた、ガラスや金属等を材料として形成される容器である。X線管容器111は、陰極112、陽極113及びロータ114及び軸受115を収容する。陰極112は、例えば、細線形状を有するタングステンやニッケル等の金属により形成されるフィラメントを有する。陰極112は、ケーブル等を介してX線高電圧装置14に接続されている。陰極112は、X線高電圧装置14からの陰極電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受けて発熱し熱電子を放出する。
【0035】
陽極113は、タングステンやモリブデン等の重金属により形成された円盤形状を有する電極である。陽極113は、ロータ114の回転軸回りの回転に伴い回転する。陰極112と陽極113との間には、X線高電圧装置14により高電圧の管電圧が印加される。陰極112から放出された熱電子は、管電圧の作用により、陽極113のターゲット1131に衝突する。陽極113のターゲット1131は、熱電子を受けてX線を発生する。
【0036】
ロータ114は、陽極113を軸支する回転子である。軸受115は、ロータ114を回転軸回りに回転可能に支持している。軸受115は、液体金属を潤滑剤に用いた液体金属軸受である。X線管容器111の外部にはロータ114を囲むようにステータコイル116が取り付けられている。ステータコイル116は、X線管11に収容されている。ロータ114と軸受115とステータコイル116とは、陽極113を回転軸回りに回転可能に支持する陽極回転機構を構成する。ステータコイル116は、電流検出器144を介してコイル駆動電源143に接続されている。ステータコイル116は、コイル駆動電源143からの電力の供給を受けて、電磁誘導の原理に従いロータ114を回転させる。ロータ114の回転に連動して陽極113が回転する。
【0037】
図2に示すように、X線高電圧装置14は、高電圧電源141、フィラメント加熱電源142、コイル駆動電源143、電流検出器144及びX線制御回路145を有する。
【0038】
高電圧電源141は、X線制御回路145による制御に従い、X線管11に印加される高電圧の管電圧を発生する。例えば、インバータ式X線高電圧装置の場合、高電圧電源141は、商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータと、AC/DCコンバータの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、インバータからの交流電圧を昇圧する変圧器と、変圧器により昇圧された交流電圧を整流及び平滑して直流高電圧を発生する高圧整流平滑回路とを有する。高圧整流平滑回路からの直流高電圧は管電圧として陰極112と陽極113との間に印加される。
【0039】
フィラメント加熱電源142は、X線制御回路145による制御に従い、陰極112のフィラメントを加熱するためのフィラメント電流を発生する。フィラメント加熱電源142は、高電圧電源141と同一の電源系統に設けられてもよいし、独立の電源系統に設けられてもよい。
【0040】
コイル駆動電源143は、ステータコイル116に印加される電力を発生する。コイル駆動電源143は、例えば、商用電源からの交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路と、整流平滑回路の直流電圧を交流電圧に変換するインバータとを有する。インバータからの交流電圧がステータコイル116に印加される。
【0041】
電流検出器144は、コイル駆動電源143とステータコイル116との間に接続される。電流検出器144は、ステータコイル116に供給される電流を検出する。例えば、電流検出器144は、変流器(カレント・トランス)を含む。変流器は、コイル駆動電源143からの電流を自身の巻数に応じた比率で検出し、検出された電流に応じた信号(電流信号)を生成する。上記の第1の電流信号、第2の電流信号及び第3の電流信号は、ステータコイル116に流れる電流に関する信号を意味する。第1の電流信号、第2の電流信号及び第3の電流信号は、X線制御回路145を介して処理回路44に供給される。
【0042】
X線制御回路145は、撮影条件のうちのX線条件に従い高電圧電源141とフィラメント加熱電源142とコイル駆動電源143とを制御する。例えば、陽極113を回転する場合、X線制御回路145は、コイル駆動電源143に駆動指示を供給する。駆動指示を受けたコイル駆動電源143は、ステータコイル116に電力を供給する。電力の供給を受けたステータコイル116は、ロータ114と共に陽極113を回転する。コイル駆動電源143から供給されステータコイル116に流れる電流は、電流検出器144により電流信号として検出される。また、X線制御回路145は、要否判定機能445により修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合、修復シーケンスに応じて陽極回転機構114,115,116を制御する。
【0043】
次に、処理回路44によるX線管11の保守処理(以下、X線管保守処理)について説明する。
【0044】
X線コンピュータ断層撮影装置1の高出力化及び高速回転化につれ、X線管11の故障モードとして、回転フレーム13の回転に伴う遠心力やX線管11のロータ114の回転に伴う陽極回転機構の劣化が問題になる。劣化が進行につれ、二次的現象として振動や騒音の増加又は放電の頻発として現れ、そのため、劣化をより早い段階で発見することが重要である。
【0045】
図3は、X線管11の陽極回転機構の劣化及び修復の過程を模式的に示す図である。上記の通り、X線管11の陽極回転機構は、陽極113(図3には図示せず)に接続されたロータ114と、ロータ114を回転可能に支持する軸受115とを有している。図3は、ロータ114と軸受115との、陽極113の回転軸117に直交する断面を図示している。ロータ114と軸受115との間には液体金属118が充填されている。
【0046】
陽極113及びロータ114を長時間に亘り回転することにより、液体金属118に局所的な凝集が発生する。更にそのまま継続的に使用、すなわち、陽極113及びロータ114を回転することにより、凝集物119が増加することとなる。凝集物119が増加することにより、凝集物119が軸受115とロータ114との間に詰まり、軸受115を介したロータ114の回転が阻害される現象(以下、軸ロック)が発生する。
【0047】
軸ロックは、液体金属118の静止摩擦係数が増大することが一因である。その要因としては、1.液体金属118及び固体金属の反応層の成長、2.ロータ114の停止過程においてロータ114に傷が付く、3.長時間連続回転による液体金属118の不均一化、すなわち、液体金属化合物(凝集物)119の凝集及び滞留、がある。局所的に液体金属の凝集が発生した状態でロータ114を回転し続けると、軸ロックが発生して修復不可能になる。ロータ114の回転と停止とを複数回に亘り繰り返す修復シーケンスを実施することにより、液体金属118の粘性増加部分である凝集物119が撹拌され、次第に縮小又は消滅する。局所的な液体金属の凝集が発生した時点で早期に修正シーケンスを実行することで凝集を攪拌でき、ロータ114の寿命ひいてはX線管11の寿命を伸ばすことができる。軸ロックの発生を防止するためには、早期に液体金属118の静止摩擦係数の増大を検知することが望ましい。なお、軸ロックはX線管11及び陽極回転機構の故障の一例である。軸ロックに至る前の液体金属の粘性増加や凝集物119の形成等はX線管11及び陽極回転機構の故障の前兆あるいは劣化の一例である。
【0048】
一方、修復シーケンスは20分~30分程度の比較的長時間に亘り実施される。そのため、静止摩擦係数の増大を回避するため頻繁に修復シーケンスを実施すれば、X線CT検査の効率を損なうことになる。
【0049】
本実施形態に係るX線管保守処理は、静止摩擦係数の増大に伴うX線管11の故障の回避とX線CT撮影の効率の維持・向上との両立を目指す。
【0050】
図4は、X線管保守処理の処理手順の一例を示す図である。図4に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1の出荷時(第1のタイミング)において第1の電流信号が記録される(ステップS1)。出荷時とは、X線コンピュータ断層撮影装置1の工場出荷段階におけるX線管11の製品点検時を意味する。製品点検時においては、X線コンピュータ断層撮影装置1及びX線管11が試験的に起動され、陽極113及びロータ114が回転される。以下、X線コンピュータ断層撮影装置1及びX線管11が起動されることを電源ONと表現する。反対にX線コンピュータ断層撮影装置1及びX線管11の起動を停止することを電源OFFと表現する。第1の電流信号は、軸受115における液体金属の静止摩擦係数の変動を検知するために記録される。第1の電流信号は、第1のタイミングでロータ114を起動するためにステータコイル116に流れる電流のピーク値を含む信号である。ステータコイル116に流れる電流としては、トルク電流、より具体的には、モータ二次電流又はq軸電流が検知される。トルク電流は、電流信号の一例である。陽極回転機構の起動とは、ロータ114を起動することと同義であり、具体的には、ロータ114を起動するためにステータコイル116に電流の供給を開始することである。
【0051】
図5は、トルク電流(電流信号)の時系列変化を表すグラフの一例を示す図である。図5に示すグラフの縦軸はトルク電流(電流信号)[A]に規定され、横軸は時間[s]に規定される。時刻0sはステータコイル116に電流の供給を開始した時刻、すなわち、陽極回転機構の起動開始時刻に対応する。時刻t1において、ステータコイル116によりロータ114の回転が開始する。この時刻t1においてトルク電流(電流信号)は瞬間的に上昇し、ピーク値(以下、電流ピーク値)をとる。その後、トルク電流(電流信号)は緩やかに下降する。
【0052】
ロータ114の回転開始時におけるトルク電流(電流信号)の上昇値は、軸受115に充填している液体金属の粘性が高いほど上昇する。本実施形態において、ロータ114の回転開始時におけるトルク電流(電流信号)の電流ピーク値は、陽極回転機構の劣化兆候を判断する指標として用いられる。
【0053】
トルク電流(電流信号)は電流検出器144により検出され、検出電流値が計測されている。電流検出器144は、検出電流値に対してピークホールド処理等の信号処理を施して電流ピーク値PA1を検出する。出荷時(第1のタイミング)において検出された第1の電流ピーク値PA1は、第1の電流信号として処理回路44に供給され、メモリ41等に記録される。第1の電流信号は、出荷時に計測されたものであるため、正常時における電流信号としての役割を担う。
【0054】
トルク電流が急激に上昇した後、一定時間後も高い電流値で推移する場合がある。トルク電流がこのような振る舞いをする場合、液体金属118が凍結状態又は陽極回転機構が致命的な故障状態にあると考えられる。このようなトルク電流の検出を除外するため、電流検出器144は、第1の電流ピーク値PA1の検出後、設定期間(時間ウィンドウ)内において検出電流値を監視し、当該時間ウィンドウ内に閾値を下回る場合に限定して第1の電流ピーク値PA1を採用する。閾値を下回らない場合、第1の電流ピーク値PA1は棄却される。時間ウィンドウは、陽極回転機構の起動に伴う瞬間的な急上昇及び下降と、凍結状態又は致命的な故障状態における持続的な高電流値の推移とを区別可能な時間に設定されればよい。閾値は、凍結状態又は致命的な故障状態における検出電流値の標準値と、当該状態にない状態における検出電流値の標準値とを区別可能な値に設定されればよい。
【0055】
ステップS1が行われると、X線コンピュータ断層撮影装置1の電源ON時(第2のタイミング)において、ロータ114の起動直後の第2の電流ピーク値(第2の電流信号)が記録される(ステップS2)。第2のタイミングは、X線コンピュータ断層撮影装置1が出荷先に設置された後の任意のタイミングにおいて電源をOFFからONに切り替えた時を意味する。一例として、第2のタイミングは、X線CT検査の実施のための電源ON時又は実施日における初回のX線コンピュータ断層撮影装置1の電源ON時である。第2の電流信号は、第2のタイミングでステータコイル116に流れるトルク電流のピーク値を含む信号である。第2のタイミングにおいてもステップS1と同様に、ロータ114の起動直後の第2の電流ピーク値が第2の電流信号として記録される。第2の電流信号は、修復シーケンスの実施前の電流信号としての役割を担う。
【0056】
ステップS2が行われると処理回路44は、要否判定機能445により、修復シーケンスの可否が判定される(ステップS3)。ステップS3において処理回路44は、ステップS1において記録された第1の電流信号に基づく第1の閾値とステップS2において記録された第2の電流信号とに基づいて、陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する。第1の閾値は、軸受115に充填される液体金属の粘性の高まり、換言すれば、軸ロックの発生の予兆を検知するために設定される。第1の閾値は、第1の電流信号に含まれる第1の電流ピーク値に基づいて決定される。第1の閾値は、第1の電流ピーク値と同一値でもよいし、第1の電流ピーク値よりも大きい値又は小さい値でもよい。第1の閾値は、第1の電流ピーク値に対する統計演算等により算出されてもよいし、ユーザ等により手動的に設定されてもよい。
【0057】
図6は、修復シーケンスの実行の要否の判定処理を、第2の電流信号と第1の閾値との関係を表すグラフで説明する図である。図6に示すように、第1の電流ピーク値に基づく閾値Th1が設定されている。時刻0sはステータコイル116に電流の供給を開始した時刻、すなわち、陽極回転機構の起動開始時刻に対応する。時刻t1において、ステータコイル116によりロータ114の回転が開始する。この時刻t1において第2の電流信号は瞬間的に上昇し、第2の電流ピーク値PA2をとる。その後、トルク電流(電流信号)は緩やかに下降する。
【0058】
第2の電流ピーク値PA2は電流検出器144により第2の電流信号として検出され、処理回路44に供給される。処理回路44は、第2の電流ピーク値PA2と第1の閾値Th1とを比較する。第2の電流ピーク値PA2が第1の閾値Th1より小さい場合、まだ陽極回転機構の劣化の兆候がみられないので、処理回路44は、修復シーケンスの実行が不要であると判定する(ステップS3:NO)。処理回路44は、通知機能447により、修復シーケンスの要否判定結果を、ユーザに通知してもよい。一例として、修復シーケンス「不要」の判定結果を表す通知画面が、架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示されるとよい。
【0059】
図7は、修復シーケンス「不要」の判定結果の通知画面I1の一例を示す図である。図7に示すように、通知画面I1には修復シーケンスが「不要」である旨の判定結果が表示される。これによりユーザは、修復シーケンスが不要であることを知ることができる。なお、通知画面I1は、X線コンピュータ断層撮影装置1を保守管理するサービスセンタのコンピュータ等に転送されてもよい。また、修復シーケンス「不要」の判定結果は、スピーカ等を介して音声出力されてもよい。
【0060】
一方、第2の電流ピーク値PA2が第1の閾値Th1より大きい場合、陽極回転機構の劣化の兆候がみられるので、処理回路44は、修復シーケンスの実行が必要であると判定する(ステップS3:YES)。処理回路44は、通知機能447により、修復シーケンスの要否判定結果を、ユーザに通知してもよい。一例として、修復シーケンス「要」の判定結果を表す通知画面が、架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示されるとよい。
【0061】
図8は、修復シーケンス「要」の判定結果の通知画面I2の一例を示す図である。図8に示すように、通知画面I2には修復シーケンスが「要」である旨の判定結果が表示される。これによりユーザは、修復シーケンスが必要であることを知ることができる。なお、通知画面I1は、サービスセンタのコンピュータ等に転送されてもよい。また、修復シーケンス「要」の判定結果は、スピーカ等を介して音声出力されてもよい。
【0062】
なお、ステップS3の判定結果に拘わらず、X線CT撮影が実行されるとよい。修復シーケンスが必要と判定された場合であっても、X線管11が故障しているわけではなく、問題なく動作するからである。
【0063】
ステップS3において修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合(ステップS3:YES)、X線コンピュータ断層撮影装置1の他の電源ON時において、修復シーケンスが実施される(ステップS4)。「他の電源ON時」は、修復シーケンスが必要であると判定された時以降において電源をOFFからONに切り替えた時を意味する。一例として、「他の電源ON時」は、修復シーケンスが必要であると判定された時点から初めて電源がONに切り替えた時に設定される。
【0064】
ステップS4において処理回路44は、撮影制御機能441により、X線制御回路145に修復シーケンスの指令を送信する。当該指令を受けたX線制御回路145は、コイル駆動電源143を制御して、ロータ114の回転と停止とを設定期間に亘り複数回繰り返す。回転と停止との切替周期は、特に限定されず、任意の固定値又は可変値に設定されればよい。また、ロータ114の回転速度も、特に限定されず、任意の固定値又は可変値に設定されればよい。設定期間も特に限定されず、任意の固定値又は可変値に設定されればよい。液体金属118の不均一化が過度でない場合、ロータ114の回転と停止とを繰り返すことにより、不均一化が解消され静止摩擦係数が低減する。一方、液体金属118の不均一化が過度である場合、ロータ114の回転と停止とを繰り返しても、液体金属118内に存在する凝集物119が十分に撹拌されず、静止摩擦係数は期待値までは低減しない。
【0065】
なお、修復シーケンスは、被検体Pに対するX線CT撮影の実施時以外であれば、如何なるタイミングで実施されてもよい。すなわち、修復シーケンスは、電源がOFFからONに切り替えられた時点以外のタイミングで行われてもよい。一例として、処理回路44は、X線管11の使用履歴からX線管11が使用されない時間帯を予測し、当該時間帯に到達しことを契機として、修復シーケンスを実施するようX線制御回路145に指令を送信してもよい。これにより比較的長時間に亘る修復シーケンスの実施がX線CT撮影の実施時間を侵食する事態が低減されるので、X線CT撮影のスループットの低減が回避されることとなる。
【0066】
ステップS4が行われると、修復シーケンス後(第3のタイミング)において、ロータ114の起動直後の電流ピーク値(第3の電流信号)が記録される(ステップS5)。第3のタイミングは、修復シーケンス後において電源をOFFからONに切り替えた時を意味する。第3のタイミングは、修復シーケンス後であればいつでもよいが、一例として、修復シーケンス後に初めて電源をOFFからONに切り替えた時に設定される。第3の電流信号は、第3のタイミングでステータコイル116に流れるトルク電流のピーク値を含む。第3のタイミングにおいてもステップS1と同様に、ロータ114の起動直後の第3の電流ピーク値が第3の電流信号として記録される。第3の電流信号は、修復シーケンスの実施後の電流信号としての役割を担う。
【0067】
ステップS5が行われると処理回路44は、劣化判定機能446の実現により、X線管11の劣化が改善されたか否かが判定される(ステップS6)。ステップS6において処理回路44は、ステップS1において記録された第1の電流信号に基づく情報とステップS2において記録された第2の電流信号に基づく情報との少なくとも一方と、ステップS5において記録された第3の電流信号とに基づいてX線管11の劣化の改善の有無を判定する。
【0068】
一例として、処理回路44は、第2の電流信号に基づく情報と第3の電流信号とに基づいてX線管11の劣化の改善の有無を判定する。第2の電流信号に基づく情報は、第2の電流信号に応じて決定された数値を意味する。当該数値は、X線管11の劣化の改善の要否判定に使用する条件として使用される。一例として、当該数値は、第2の閾値として使用される。第2の閾値は、第2の電流信号が表す第2の電流ピーク値と同一でもよいし異なる値でもよい。この場合、処理回路44は、第3の電流ピーク値が第2の閾値を下回る場合、液体金属118の不均一化が発生していたが修復シーケンスによりX線管11劣化の前兆が改善されたので、X線管11の劣化が改善された判定する(ステップS6:YES)。その後、処理回路44はステップS2に戻り、新たに第2のタイミングにおける電流信号を記録し(ステップS2)、ステップS3~S6を実行することとなる。一例として、劣化改善「有」の判定結果を示す通知画面が、架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示されるとよい。
【0069】
図9は、X線管11の劣化改善「有」の判定結果の通知画面I3の一例を示す図である。図9に示すように、通知画面I3には、X線管11の劣化が改善された事を表す「改善あり」等のメッセージが表示される。これによりユーザは、修復シーケンスによりX線管11の劣化が改善したことを知ることができる。また、通知画面I3には「修復シーケンス要否判定ループに移行」等の今後のX線管保守処理の動作モードが表示されてもよい。また、修復シーケンス否の判定結果は、スピーカ等を介して音声出力されてもよい。なお、通知画面I3は、サービスセンタのコンピュータ等に転送されてもよい。
【0070】
一方、処理回路44は、第3の電流ピーク値が第2の閾値を上回る場合、修復シーケンスによりX線管11劣化の前兆が改善されていないので、X線管11の劣化が改善されていない判定する(ステップS6:NO)。この場合、処理回路44は、通知機能447により、X線管11劣化の前兆が改善されない旨のアラートを通知する(ステップS7)。通知画面I4は、サービスセンタのコンピュータ等に転送される。
【0071】
図10は、X線管11の劣化改善「無」の判定結果の通知画面I4の一例を示す図である。図10に示すように、通知画面I4には、劣化改善「無」の判定結果の他、「X線管の修理を行ってください」等のX線管11の修理が必要な旨のメッセージが表示されるとよい。これによりサービスセンタにいるサービスマン等に当該X線管11の修理の必要性を知らせることが可能になる。なお、通知画面I4は、架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示されてもよい。これによりX線コンピュータ断層撮影装置1のユーザ等にもX線管11の劣化が改善されていない旨を知らせることが可能になる。
【0072】
なお、ステップS6の判定結果に拘わらず、X線CT撮影が実行されるとよい。X線管11の劣化が改善されていないとされた場合であっても、X線管11が故障しているわけではなく、問題なく動作するからである。
【0073】
以上により、X線管保守処理が終了する。
【0074】
上記の通り、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、X線管11、処理回路44及びX線制御回路145を有する。X線管11は、X線を発生する陽極113と、陽極113を回転軸117回りに回転させる陽極回転機構とを有する。処理回路44は、陽極回転機構が起動される第1のタイミングで陽極回転機構を駆動する電流に関する第1の電流信号と、第1のタイミングより後で陽極回転機構が起動される第2のタイミングで陽極回転機構を駆動する電流に関する第2の電流信号とを取得する。処理回路44は、第1の電流信号に基づく情報と第2の電流信号とに基づいて、陽極回転機構の修復シーケンスの実行の要否を判定する。X線制御回路145は、修復シーケンスの実行が必要であると判定された場合、修復シーケンスに応じて陽極回転機構を制御する。
【0075】
上記の構成によれば、陽極回転機構の劣化と陽極回転機構が起動されるタイミングでの電流信号の挙動との間の相関を利用して、修復シーケンスの実行の要否を判定するので、陽極回転機構の劣化を早い段階で検知することができる。ひいては、X線管11を早い段階で修復することができるのでX線管11の延命に貢献する。また、劣化が検知された場合に限定して修復シーケンスが実行されるので、修復シーケンスの実行に伴うX線CT撮影のスループットの低減を回避することが期待される。
【0076】
なお、図4に示すX線管保守処理は一例であり、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて適宜処理の追加、変更及び/又は削除が可能である。
【0077】
(変形例1)
図11は、変形例1に係るX線管保守処理の処理手順の一例を示す図である。図11のステップS1~S7は、図4のステップS1~S7と同様なので説明は省略する。
【0078】
ステップS6においてX線管11の劣化が改善されたと判定された場合(ステップS6:YES)、処理回路44は、X線管保守処理の動作モードを、修復シーケンス高頻度実施ループに移行する(ステップS8)。修復シーケンス高頻度実施ループは、液体金属118の不均一化の再発防止のための動作モードであり、設定周期で修復シーケンスを実行する動作モードである。すなわち、ステップS8以後のステップS4が、当該設定周期で実行されることとなる。設定周期は、1ヶ月や3ヶ月等の固定値でもよいし、第2の電流ピーク値や第3の電流ピーク値等に応じた可変値に設定されてもよい。
【0079】
ステップS8の際、処理回路44は、通知機能447により、変形例1に係る劣化改善「有」の判定結果を、ユーザに通知してもよい。一例として、劣化改善「有」の判定結果と修復シーケンス高頻度実施ループへの移行とを表す通知画面が、架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示されるとよい。
【0080】
図12は、変形例1に係る劣化改善「有」の判定結果の通知画面I5の一例を示す図である。図12に示すように、通知画面I5には、X線管11の劣化が改善された事を表す「改善あり」等のメッセージと共に、動作モードを修復シーケンス高頻度実施ループに移行した事を表す「修復シーケンス高頻度実施ループに移行」等のメッセージが表示される。これによりユーザは、修復シーケンスによりX線管11の劣化が改善した事と共に、修復シーケンスが高頻度で実施される事を知ることができる。なお、通知画面I1は、サービスセンタのコンピュータ等に転送されてもよい。また、当該メッセージは、スピーカ等を介して音声出力されてもよい。
【0081】
(変形例2)
上記ステップS6において処理回路44は、第2の電流信号に基づく情報と第3の電流信号とに基づいてX線管11の劣化の改善の有無を判定するものとした。当該劣化は、可逆的な劣化も不可逆的な劣化も包含するものである。変形例2に係る処理回路44は、第2の電流信号と第3の電流信号との双方が第1の信号に基づく第3の閾値を上回る場合、X線管11に含まれるロータ114に不可逆的な劣化が生じていると判定する。具体的には、処理回路44は、第2の電流ピーク値と第3の電流ピーク値との双方が第3の閾値を上回るか否かを判定する。第3の閾値は、第1の閾値と同一値でもよいし第1の閾値よりも高い値でもよい。
【0082】
第2の電流ピーク値と第3の電流ピーク値との双方が第3の閾値を上回る場合、将来的にX線管11が使用不可になる可能性が高いため、処理回路44は、通知機能447により、その旨の警告画面を、サービスセンタのコンピュータ等に表示するとよい。これによりサービスセンタにいるサービスマン等に当該X線管11の修理の必要性を知らせることが可能になる。架台10やコンソール40等のディスプレイ42に表示してもよい。
【0083】
変形例2によれば、X線管11の劣化改善の有無の判定アルゴリズムを本実施形態の判定アルゴリズムから変更することにより、X線管保持機構の不可逆的な劣化を可逆的な劣化と区別して検知することができる。これによりX線管11の早期の修理が可能になるので、X線管11をX線CT撮影に使用できない事態を未然に防止又は低減することが可能になる。
【0084】
(変形例3)
上記の通り、液体金属118が凍結状態にある場合、トルク電流が急激に上昇した後、一定時間後も高い電流値で推移場合がある。この場合、処理回路44は、撮影制御機能441により、凍結解除シーケンスを実行してもよい。
【0085】
なお起動前に液体金属118が凍結状態にあったが起動後短時間のうちに解凍される場合がある。液体金属118が解凍されるとトルク電流が増大してピークを形成することとなる。当該電流ピーク値を第1の電流信号、第2の電流信号及び/又は第3の電流信号として記録しないため、処理回路44は、X線管11の温度値に基づいて電流信号の記録の可否を判定してもよい。具体的には、処理回路44は、X線管11又はその周辺に温度計が配置される。温度計によりX線管11の温度が計測される。処理回路44は、温度計により計測されたX線管11の温度値を表す温度信号を取得する。一方、処理回路44は、液体金属118が凍結状態にあるときに温度計が示す温度値を第4の閾値として保持している。
【0086】
処理回路44は、X線管11の温度値が第4の閾値を上回っている場合、第1の電流信号、第2の電流信号及び/又は第3の電流信号の記録を実施すると判定し、下回っている場合、第1の電流信号、第2の電流信号及び/又は第3の電流信号の記録を実施しないと判定する。これにより液体金属118の解凍直後の不安定な第1の電流信号、第2の電流信号及び/又は第3の電流信号に基づいて修復シーケンスの実施可否やX線管11の劣化改善有無の判定をすることを回避することが可能になる。
【0087】
(変形例4)
上記実施形態において処理回路44は、第1の電流ピーク値に基づく第1の閾値と第2の電流ピーク値との比較に基づいて修復シーケンスの要否を判定するものとした。変形例4に係る処理回路44は、第1の電流信号の波形と第2の電流信号の波形との比較に基づいて修復シーケンスの要否を判定してもよい。第1の電流信号の波形と第2の電流信号の波形との各々は、陽極回転機構の起動後における電流ピークを含むものとする。この場合、処理回路44は、第2の電流信号の波形が第1の電流信号の波形に比して所定値よりも乖離している場合、修復シーケンスが必要であると判定し、所定値よりも乖離していない場合、修復シーケンスが不要であると判定するとよい。
【0088】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線管の劣化をより早い段階で検知してX線管の寿命を延ばすことができる。
【0089】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1及び図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 X線コンピュータ断層撮影装置
10 架台
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)
19 開口部
30 寝台
31 基台
32 支持フレーム
33 天板
33 処理回路
34 寝台駆動装置
40 コンソール
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インタフェース
44 処理回路
111 X線管容器
112 陰極
113 陽極
114 ロータ
115 軸受
116 ステータコイル
117 回転軸
118 液体金属
119 凝集物
141 高電圧電源
142 フィラメント加熱電源
143 コイル駆動電源
144 電流検出器
145 X線制御回路
441 撮影制御機能
442 画像生成機能
443 画像処理機能
444 取得機能
445 要否判定機能
446 劣化判定機能
447 通知機能

図1
図2
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図12