IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図1
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図2
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図3
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図4
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図5
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図6
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図7
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図8
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図9
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図10
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図11
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図12
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図13
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図14
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図15
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図16
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図17
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図18
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図19
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図20
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図21
  • 特開-生産管理システムおよび生産管理方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011019
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】生産管理システムおよび生産管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112678
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA01
5E353CC01
5E353CC22
5E353CC23
5E353CC25
5E353DD02
5E353DD19
5E353EE02
5E353EE34
5E353EE36
5E353EE37
5E353EE53
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH01
5E353HH12
5E353HH24
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH72
5E353JJ02
5E353JJ21
5E353JJ44
5E353KK02
5E353KK03
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】部品を補給する作業の負荷をより軽減することが可能な基板生産システムを提供する。
【解決手段】この基板生産システム3は、部品Eを基板Pに実装する部品実装装置20による基板Pの生産を管理する生産管理システムであって、基板Pの生産前に、部品実装装置20に部品Eを補給する部品補給ルートRAを取得するルート取得部31aと、基板Pの生産前に、部品補給ルートRAにより部品実装装置20に部品Eを補給する部品補給周期C1を取得する部品補給周期取得部31bと、部品補給周期C1で、部品切れが発生しないように、基板Pの生産計画を作成する生産計画作成部51aと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に実装する部品実装装置による前記基板の生産を管理する生産管理システムであって、
前記基板の生産前に、前記部品実装装置に前記部品を補給する部品補給ルートを取得するルート取得部と、
前記基板の生産前に、前記部品補給ルートにより前記部品実装装置に前記部品を補給する部品補給周期を取得する部品補給周期取得部と、
前記部品補給周期で、部品切れが発生しないように、前記基板の生産計画を作成する生産計画作成部と、を備える、生産管理システム。
【請求項2】
前記部品補給周期は、前記部品補給ルートによる作業者または部品補給ロボットの移動時間と、前記部品補給ルートによる前記作業者または前記部品補給ロボットの作業時間とに基づいて、決定されている、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記部品補給ロボットは、バッテリを含み、
前記部品補給周期は、前記バッテリの容量に基づいて、決定されている、請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記作業時間は、前記作業者または前記部品補給ロボットの標準作業時間と、前記部品補給ルートによる前記部品の想定補給数とに基づいて、決定されている、請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記部品補給ルートは、前記部品実装装置を含む部品実装ライン単位、前記部品実装装置単位、前記部品実装装置の側面単位、または、前記部品実装装置の側面に設けられるバンク部単位で、設定されている、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記部品補給ルートは、一筆書き状である、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項7】
前記基板の生産前に、1包装分の前記部品の数と、前記部品の実装点数と、前記基板のサイクルタイムとに基づいて、部品切れ周期を取得する部品切れ周期取得部をさらに備える、請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項8】
前記部品補給周期と、前記部品切れ周期とに基づいて、前記部品実装装置を含む複数の部品実装ラインに、生産する前記基板を振り分ける振り分け部をさらに備える、請求項7に記載の生産管理システム。
【請求項9】
前記部品切れ周期が前記部品補給周期よりも小さい場合、前記部品切れ周期が前記部品補給周期以上になるように、前記部品の数の調整を行う部品数調整部をさらに備える、請求項7に記載の生産管理システム。
【請求項10】
前記部品実装装置による前記基板の生産開始時に、生産する前記基板に対応する前記部品切れ周期を前記部品実装装置から受信し、受信した前記部品切れ周期と、前記部品実装装置に対応する前記部品補給周期とを照合する照合部をさらに備える、請求項7に記載の生産管理システム。
【請求項11】
部品を基板に実装する部品実装装置による前記基板の生産を管理する生産管理方法であって、
前記基板の生産前に、前記部品実装装置に前記部品を補給する部品補給ルートを取得するステップと、
前記基板の生産前に、前記部品補給ルートにより前記部品実装装置に前記部品を補給する部品補給周期を取得するステップと、
前記部品補給周期で、部品切れが発生しないように、前記基板の生産計画を作成するステップと、を備える、生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生産管理システムおよび生産管理方法に関し、特に、部品実装装置に部品を補給する生産管理システムおよび生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置に部品を補給する部品補給管理システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、部品実装装置に部品を補給する部品補給管理システムが開示されている。この部品補給システムは、部品実装装置での部品切れを監視し、作業者により部品を補給する作業を行うための情報を作成する。具体的には、この部品補給システムは、定期的な巡回補給をする際に部品実装装置に同一の補給タイミングで複数の部品を補給可能な場合には、複数の部品を補給する作業をまとめて行うまとめ補給を行うことが可能なように、作業者により部品を補給する作業を行うための情報を作成する。これにより、作業者は、まとめ補給を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/167162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された部品補給管理システムでは、まとめ補給により部品を補給する作業が発生する頻度が低下されるので、部品を補給する作業の負荷が軽減される。しかしながら、生産する基板の種類によっては、頻繁に部品切れが発生する場合もある。また、頻繁に部品切れが発生する場合には、複数の部品を補給する作業をあまりまとめることができないため、結局は部品を補給する作業を高い頻度で行う必要がある。この場合、部品を補給する作業の負荷が増加するため、部品を補給する作業の負荷をより軽減することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品を補給する作業の負荷をより軽減することが可能な生産管理システムおよび生産管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による基板生産システムは、部品を基板に実装する部品実装装置による基板の生産を管理する生産管理システムであって、基板の生産前に、部品実装装置に部品を補給する部品補給ルートを取得するルート取得部と、基板の生産前に、部品補給ルートにより部品実装装置に部品を補給する部品補給周期を取得する部品補給周期取得部と、部品補給周期で、部品切れが発生しないように、基板の生産計画を作成する生産計画作成部と、を備える。
【0008】
この発明の第1の局面による基板生産システムでは、上記のように、基板の生産前に部品補給ルートを取得するルート取得部と、基板の生産前に部品補給周期を取得する部品補給周期取得部と、部品補給周期で、部品切れが発生しないように、基板の生産計画を作成する生産計画作成部と、を設ける。これにより、基板の生産計画自体が基板の生産前に取得した部品補給周期に基づいて作成されるので、基板の生産前に取得した部品補給周期で部品を補給する作業を行うことができる。その結果、部品を補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生することがない。これにより、部品を補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生する場合に比べて、部品を補給する作業の負荷をより軽減することができる。
【0009】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、部品補給周期は、部品補給ルートによる作業者または部品補給ロボットの移動時間と、部品補給ルートによる作業者または部品補給ロボットの作業時間とに基づいて、決定されている。このように構成すれば、部品補給ルートにより部品を補給する際に発生する移動時間と作業時間とを考慮して、無理なく実現可能な部品補給周期を容易に決定することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、部品補給ロボットは、バッテリを含み、部品補給周期は、バッテリの容量に基づいて、決定されている。このように構成すれば、部品補給ロボットにより部品を補給する作業を行う場合に、部品補給ロボットのバッテリの容量を考慮して、部品補給ロボットのバッテリ切れが発生しない部品補給周期を容易に決定することができる。
【0011】
上記部品補給周期が移動時間と作業時間とに基づいて決定されている構成において、好ましくは、作業時間は、作業者または部品補給ロボットの標準作業時間と、部品補給ルートによる部品の想定補給数とに基づいて、決定されている。このように構成すれば、作業時間を精度よく決定することができるので、精度よく決定した作業時間に基づいて、無理なく実現可能な部品補給周期をより容易に決定することができる。
【0012】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、部品補給ルートは、部品実装装置を含む部品実装ライン単位、部品実装装置単位、部品実装装置の側面単位、または、部品実装装置の側面に設けられるバンク部単位で、設定されている。このように構成すれば、部品実装ライン単位、部品実装装置単位、部品実装装置の側面単位、または、部品実装装置の側面に設けられるバンク部単位で、部品補給ルートを容易に設定することができる。また、部品実装装置単位、部品実装装置の側面単位、または、部品実装装置の側面に設けられるバンク部単位で、部品補給ルートを設定する場合には、部品実装ライン単位で部品補給ルートを設定する場合に比べて、部品補給ルートをより柔軟に設定することができる。
【0013】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、部品補給ルートは、一筆書き状である。このように構成すれば、部品補給ルート中に往復する部分が含まれないようにすることができるので、部品補給ルートを容易に短いルートにすることができる。その結果、部品補給ルートによる移動に要する時間を容易に小さくすることができる。
【0014】
上記第1の局面による基板生産システムにおいて、好ましくは、基板の生産前に、1包装分の部品の数と、部品の実装点数と、基板のサイクルタイムとに基づいて、部品切れ周期を取得する部品切れ周期取得部をさらに備える。このように構成すれば、基板の生産前に取得した部品切れ周期に基づいて、部品補給周期で部品切れが発生しない基板の生産計画を容易に作成することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、部品補給周期と、部品切れ周期とに基づいて、部品実装装置を含む複数の部品実装ラインに、生産する基板を振り分ける振り分け部をさらに備える。このように構成すれば、部品補給周期で部品切れが発生しないように複数の部品実装ラインに生産する基板を振り分けることができるので、部品補給周期で部品切れが発生しないように複数の部品実装ラインにより基板を生産することができる。
【0016】
上記部品切れ周期を取得する構成において、好ましくは、部品切れ周期が部品補給周期よりも小さい場合、部品切れ周期が部品補給周期以上になるように、部品の数の調整を行う部品数調整部をさらに備える。このように構成すれば、部品切れ周期が部品補給周期よりも小さい場合にも、部品切れ周期が部品補給周期以上になるように調整することができる。その結果、部品補給周期で部品切れが発生しない基板の生産計画を容易に作成することができる。
【0017】
上記部品切れ周期を取得する構成において、好ましくは、部品実装装置による基板の生産開始時に、生産する基板に対応する部品切れ周期を部品実装装置から受信し、受信した部品切れ周期と、部品実装装置に対応する部品補給周期とを照合する照合部をさらに備える。このように構成すれば、部品実装装置により誤った部品切れ周期の基板の生産(部品切れが発生する基板の生産)がされようとした場合に、部品実装装置により誤った部品切れ周期の基板の生産(部品切れが発生する基板の生産)がされようとしていることを容易に確認することができる。その結果、警告などの対処を容易に実行することができるので、部品切れが発生することを未然に防止することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による基板生産方法は、部品を基板に実装する部品実装装置による基板の生産を管理する生産管理方法であって、基板の生産前に、部品実装装置に部品を補給する部品補給ルートを取得するステップと、基板の生産前に、部品補給ルートにより部品実装装置に部品を補給する部品補給周期を取得するステップと、部品補給周期で、部品切れが発生しないように、基板の生産計画を作成するステップと、を備える。
【0019】
この発明の第2の局面による基板生産方法では、上記のように、基板の生産前に部品補給ルートを取得するステップと、基板の生産前に部品補給周期を取得するステップと、部品補給周期で、部品切れが発生しないように、基板の生産計画を作成するステップと、を設ける。これにより、基板の生産計画自体が基板の生産前に取得した部品補給周期に基づいて作成されるので、基板の生産前に取得した部品補給周期で部品を補給する作業を行うことができる。その結果、部品を補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生することがない。これにより、部品を補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生する場合に比べて、部品を補給する作業の負荷をより軽減することが可能な基板生産方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、部品を補給する作業の負荷をより軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による部品実装システムを示すブロック図である。
図2】一実施形態による部品実装装置を示す図である。
図3】一実施形態による部品供給部を示す模式図である。
図4】一実施形態による部品供給部および部品補給ロボットを示す模式図である。
図5】一実施形態による運行管理装置を示すブロック図である。
図6】一実施形態による基板データ装置を示すブロック図である。
図7】一実施形態による生産計画装置を示すブロック図である。
図8】一実施形態による部品補給ルートの取得を説明するための図である。
図9】一実施形態による部品補給周期の取得を説明するための図である。
図10】一実施形態による運行管理データを説明するための図である。
図11】一実施形態による部品切れ周期の取得を説明するための図である。
図12】一実施形態による基板の振り分けを説明するための図である。
図13】一実施形態による基板の振り分けの調整を説明するための図である。
図14】一実施形態による基板データ装置で基板の振り分けを行う場合の基板データ装置の制御部を示すブロック図である。
図15】一実施形態による部品補給周期と部品切れ周期との照合を説明するための図である。
図16】一実施形態による生産管理システムの制御処理の全体を説明するためのシーケンス図である。
図17】一実施形態による基板の振り分けの制御処理を説明するためのフローチャートである。
図18】一実施形態による部品数調整の制御処理を説明するためのフローチャートである。
図19】一実施形態による部品補給周期と部品切れ周期との照合の制御処理を説明するためのシーケンス図である。
図20】一実施形態の第1変形例による部品実装装置単位の部品補給ルートを説明するための図である。
図21】一実施形態の第2変形例による部品実装装置の側面単位の部品補給ルートを説明するための図である。
図22】一実施形態の第3変形例による部品実装装置のバンク部単位の部品補給ルートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、図1を参照して、一実施形態による部品実装システム1の構成について説明する。
【0024】
(部品実装システムの構成)
部品実装システム1は、基板Pに部品Eを実装して、部品Eが実装された基板Pを製造するように構成されている。なお、基板Pは、導体の配線が形成されたプリント基板である。また、部品Eは、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの電子部品である。
【0025】
図1に示すように、部品実装システム1は、基板Pを生産するための部品実装ライン2と、基板Pの生産を管理するための生産管理システム3とを備えている。部品実装システム1は、部品実装工場900に配置されている。部品実装工場900には、基板Pの生産に関する作業を行う作業者Wが配置されている。また、部品実装工場900には、基板Pの生産に関する作業を行う部品補給ロボット4が配置されている。
【0026】
(部品実装ラインの構成)
部品実装ライン2は、複数設けられている。複数の部品実装ライン2の各々は、複数の部品実装装置20を含んでいる。なお、図示はしないが、部品実装ライン2は、印刷装置、印刷検査装置、外観検査装置、リフロー装置など、部品実装装置20以外の装置も含んでいる。
【0027】
図2に示すように、部品実装装置20は、基台201と、搬送部202と、ヘッドユニット203と、ヘッド水平移動機構部204と、部品撮像部205と、基板撮像部206と、制御部207と、通信部208とを備えている。
【0028】
基台201は、部品実装装置20において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台201上には、搬送部202、レール部242および部品撮像部205が設けられている。また、基台201内には、制御部207が設けられている。また、基台201には、部品Eを供給する部品供給部210を配置するためのバンク部211が複数(4つ)設けられている。具体的には、部品実装装置20のY1方向側の側面(フロント側の側面)20aに、2つのバンク部211が設けられている。また、部品実装装置20のY2方向側の側面(リア側の側面)20bに、2つのバンク部211が設けられている。
【0029】
部品供給部210は、基板Pに実装される部品Eを供給する装置である。具体的には、部品供給部210は、部品Eを収納する部品供給テープ(図示せず)を送ることにより、部品Eを供給するテープフィーダを含んでいる。テープフィーダとしての部品供給部210は、ヘッドユニット203による部品保持動作に応じて、部品供給テープT(図3および図4参照)を間欠的に送るように構成されている。また、テープフィーダとしての部品供給部210は、X方向に複数並んだ状態で、バンク部211に対してセットされるように構成されている。
【0030】
搬送部202は、実装前の基板Pを搬入し、基板搬送方向(X方向)に搬送し、実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、搬送部202は、搬入された基板Pを基板固定位置Paまで搬送するとともに、基板固定位置Paにおいて基板固定機構(図示せず)により固定するように構成されている。また、搬送部202は、一対の搬送ベルト221を含んでいる。搬送部202は、一対の搬送ベルト221により、基板Pの幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ下側(Z2方向側)から支持した状態で、基板Pを基板搬送方向に搬送するように構成されている。
【0031】
ヘッドユニット203は、部品実装用のヘッドユニットである。ヘッドユニット203は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pに部品Eを実装する。ヘッドユニット203は、複数(5つ)のヘッド(実装ヘッド)231を含んでいる。ヘッド231の先端には、部品Eを保持(吸着)するためのノズル(図示せず)が装着されている。ヘッド231は、負圧供給部(図示せず)から供給された負圧により、ノズルに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、ヘッド231は、部品Eを保持するためかまたは保持された部品Eを実装するための下降位置と、保持された部品Eを基板Pに搬送するための上昇位置との間で、上下方向に移動可能に構成されている。
【0032】
ヘッド水平移動機構部204は、ヘッドユニット203を水平方向(X方向およびY方向)に移動させるように構成されている。ヘッド水平移動機構部204は、ヘッドユニット203をX方向に移動可能に支持する支持部241と、支持部241をY方向に移動可能に支持するレール部242とを含む。支持部241は、X方向に延びるボールねじ軸241aと、ボールねじ軸241aを回転させるX軸モータ241bとを有する。ヘッドユニット203には、支持部241のボールねじ軸241aと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット203は、X軸モータ241bによりボールねじ軸241aが回転されることにより、ボールねじ軸241aと係合するボールナットとともに、支持部241に沿って基板搬送方向に移動可能に構成されている。
【0033】
レール部242は、支持部241のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール242aと、Y方向に延びるボールねじ軸242bと、ボールねじ軸242bを回転させるY軸モータ242cとを有する。支持部241には、レール部242のボールねじ軸242bと係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部241は、Y軸モータ242cによりボールねじ軸242bが回転されることにより、ボールねじ軸242bと係合するボールナットとともに、レール部242の一対のガイドレール242aに沿ってY方向に移動可能に構成されている。
【0034】
ヘッド水平移動機構部204の支持部241およびレール部242により、ヘッドユニット203は、基台201上を水平方向に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット203のヘッド231は、部品供給部210の上方に移動して、部品供給部210から供給される部品Eを保持(吸着)可能である。また、ヘッドユニット203のヘッド231は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装可能である。
【0035】
部品撮像部205は、部品認識用のカメラである。部品撮像部205は、ヘッドユニット203のヘッド231による部品Eの基板Pへの搬送中に、ヘッド231のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部205は、基台201の上面上に固定されており、部品Eの下側(Z2方向側)から、ヘッド231のノズルに保持(吸着)された部品Eを撮像する。部品撮像部205による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部207は、部品Eの保持状態(回転姿勢およびヘッド231に対する保持位置)を取得(認識)する。
【0036】
基板撮像部206は、基板認識用のカメラである。基板撮像部206は、ヘッドユニット203のヘッド231による基板Pへの部品Eの実装開始前に、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pにおいて、基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを上方から撮像する。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。基板撮像部206による位置認識マークFの撮像画像に基づいて、制御部207は、基板固定位置Paにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)する。また、基板撮像部206は、ヘッドユニット203に取り付けられている。基板撮像部206は、ヘッドユニット203と共に、水平方向に移動可能に構成されている。
【0037】
制御部207は、部品実装装置20の動作を制御する制御回路である。制御部207は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)などのメモリとを含んでいる。制御部207は、生産プログラムに基づいて、搬送部202、部品供給部210、X軸モータ241bおよびY軸モータ242cなどを制御することにより、ヘッドユニット203により基板Pに部品Eを実装させて、基板Pを生産する制御を行うように構成されている。
【0038】
通信部208は、情報の通信を行うためのインターフェースである。通信部208は、部品実装装置20と、部品実装システム100の各装置とを通信可能に接続するように構成されている。
【0039】
(部品供給部の構成)
図3および図4を参照して、部品実装装置20に取り付けられる部品供給部210の構成について説明する。ここでは、テープフィーダとしての部品供給部210について説明する。具体的には、テープフィーダとして、オートローディングフィーダ210a(以下、ALF210aという)、および、カセットフィーダ210b(以下、CF210bという)について説明する。なお、部品Eは、部品供給テープTに収納されている。また、部品供給テープTは、リールRに巻き回されている。
【0040】
図3に示すように、ALF210aは、2つの部品E(リールR)をセット可能なフィーダである。ALF210aでは、先行して供給されている部品Eが部品切れになると、後続の部品Eが自動的に供給される(オートロードされる)。ALF210aが取り付けられている部品実装装置20の場合、作業者Wにより部品Eを補給する作業が行われる。具体的には、作業者Wにより部品切れになった部品E(リールR)を新たな部品E(リールR)に交換することにより、作業者Wにより部品Eを補給する作業が行われる。
【0041】
図4に示すように、CF210bは、部品補給ロボット4により部品Eと一体的に搬送可能なフィーダである。CF210bは、略直方体状の本体を有している。部品E(リールR)は、CF210bの本体内に一体的に配置されている。CF210bが取り付けられている部品実装装置20の場合、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業が行われる。具体的には、部品補給ロボット4により部品切れになった部品E(リールR)を含むCF210bを新たなCF210bに交換することにより、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業が行われる。
【0042】
部品補給ロボット4は、自律走行型のロボットである。部品補給ロボット4は、たとえば、AGV(Automatic Guided Vehicle)を含んでいる。部品補給ロボット4は、自律走行するための走行部4aと、CF210bを保持する保持部4bとを含んでいる。保持部4bには、部品実装装置20にCF210bを受け渡すこと、および、部品実装装置20からCF210bを受け取ることを行うための挿抜部4cが設けられてる。また、部品補給ロボット4は、走行部4aおよび挿抜部4cなどの部品補給ロボット4の各部に電力を供給する電力源として、バッテリ4dを含んでいる。バッテリ4dは、充放電可能な二次電池により構成されている。
【0043】
なお、ALF210aが取り付けられている部品実装装置20のみが部品実装工場900に存在する場合には、部品補給ロボット4が部品実装工場900に配置されていなくてもよい。この場合、作業者Wにより部品Eを補給する作業のみが行われる。また、CF210bが取り付けられている部品実装装置20のみが部品実装工場900に存在する場合には、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業のみが行われる。また、ALF210aが取り付けられている部品実装装置20と、CF210bが取り付けられている部品実装装置20とが部品実装工場900に存在する場合もある。
【0044】
(生産管理システムの構成)
図1に示すように、生産管理システム3は、運行管理装置30と、基板データ装置40と、生産計画装置50とを含んでいる。
【0045】
図5に示すように、運行管理装置30は、作業者Wまたは部品補給ロボット4による基板Pの生産に関する作業の運行を管理するように構成されている。運行管理装置30は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成されている。具体的には、運行管理装置30は、制御部31と、操作部32と、表示部33と、通信部34と、記憶部35とを有している。制御部31は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、運行管理装置30の各部を制御する制御回路である。制御部31は、ルート取得部31aと、部品補給周期取得部31bと、照合部31cと、管理部31dとを機能ブロックとして含む。制御部31は、記憶部35に記憶されたプログラムを実行することによって、ルート取得部31a、部品補給周期取得部31b、照合部31c、および、管理部31dとして機能する。これらの構成の詳細については、後述する。
【0046】
操作部32は、キーボード、マウスなどの入力装置を含み、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。表示部33は、液晶モニタなどのモニタを含み、運行管理装置30の操作のための画面などを表示可能に構成されている。通信部34は、情報の通信を行うためのインターフェースである。通信部34は、運行管理装置30と、部品実装システム100の各装置とを通信可能に接続するように構成されている。記憶部35は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。
【0047】
図6に示すように、基板データ装置40は、部品実装装置20において使用される基板データを作成するように構成されている。基板データは、基板Pを生産するための情報を含んでいる。基板データとしては、部品実装ライン2の部品実装装置20ごとに個別のものが作成されてもよいし、部品実装ライン2の部品実装装置20に共通のものが作成されてもよい。また、基板データは、生産する基板Pの種類ごとに作成される。基板データは、基板Pを生産する際の部品実装装置20における部品供給部210のセット位置ごとの部品名および実装点数の情報、および、所定の種類の基板Pを1枚当たり生産するのに要するサイクルタイムの情報などを含んでいる(図11参照)。
【0048】
基板データ装置40は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成されている。具体的には、基板データ装置40は、制御部41と、操作部42と、表示部43と、通信部44と、記憶部45とを有している。制御部41は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、基板データ装置40の各部を制御する制御回路である。制御部41は、基板データ作成部41aと、部品切れ周期取得部41bとを機能ブロックとして含む。なお、部品切れ周期取得部41bは、基板データ作成部41aに含まれている。制御部41は、記憶部45に記憶されたプログラムを実行することによって、基板データ作成部41a、および、部品切れ周期取得部41bとして機能する。これらの構成の詳細については、後述する。
【0049】
操作部42は、キーボード、マウスなどの入力装置を含み、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。表示部43は、液晶モニタなどのモニタを含み、基板データ装置40の操作のための画面などを表示可能に構成されている。通信部44は、情報の通信を行うためのインターフェースである。通信部44は、基板データ装置40と、部品実装システム100の各装置とを通信可能に接続するように構成されている。記憶部45は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。
【0050】
図7に示すように、生産計画装置50は、基板Pの生産計画を作成するように構成されている。生産計画装置50は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成されている。具体的には、生産計画装置50は、制御部51と、操作部52と、表示部53と、通信部54と、記憶部55とを有している。制御部51は、CPU(中央演算処理装置)などのプロセッサを含み、生産計画装置50の各部を制御する制御回路である。制御部51は、生産計画作成部51aと、振り分け部51bと、部品数調整部51cとを機能ブロックとして含む。なお、振り分け部51bおよび部品数調整部51cは、生産計画作成部51aに含まれている。制御部51は、記憶部55に記憶されたプログラムを実行することによって、生産計画作成部51a、振り分け部51b、および、部品数調整部51cとして機能する。これらの構成の詳細については、後述する。
【0051】
操作部52は、キーボード、マウスなどの入力装置を含み、ユーザからの操作を受け付けるように構成されている。表示部53は、液晶モニタなどのモニタを含み、生産計画装置50の操作のための画面などを表示可能に構成されている。通信部54は、情報の通信を行うためのインターフェースである。通信部54は、生産計画装置50と、部品実装システム100の各装置とを通信可能に接続するように構成されている。記憶部55は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記録媒体を含み、情報を記憶可能に構成されている。
【0052】
(部品補給の管理に関する構成)
図8図15を参照して、生産管理システム3による部品実装ライン2の部品実装装置20への部品補給の管理に関する構成について説明する。
【0053】
ここで、本実施形態では、運行管理装置30の制御部31のルート取得部31aは、基板Pの生産前に、部品実装装置20に部品Eを補給する部品補給ルートRAを取得するように構成されている。そして、運行管理装置30の制御部31の部品補給周期取得部31bは、基板Pの生産前に、部品補給ルートRAにより部品実装装置20に部品Eを補給する部品補給周期C1を取得するように構成されている。そして、生産計画装置50の制御部51の生産計画作成部51aは、部品補給周期C1で、部品切れが発生しないように、基板Pの生産計画を作成するように構成されている。すなわち、生産管理システム3は、部品Eの補給量を先に決定して、決定した補給量を超える部品Eの消費を行わないように、基板Pの生産計画を作成するように構成されている。すなわち、生産管理システム3は、部品Eの補給量と部品Eの消費量とがバランスするように、基板Pの生産計画を作成するように構成されている。
【0054】
〈部品補給ルート〉
図8に示すように、部品補給ルートRAは、部品実装装置20に部品Eを補給する際に、作業者Wまたは部品補給ロボット4が巡回するルートを表している。部品補給ルートRAは、たとえば、補給すべき部品Eを準備する作業を行う拠点BA(作業エリア)から、部品実装装置20を経由して、拠点BAに戻るルートとして表される。
【0055】
また、本実施形態では、部品補給ルートRAは、部品実装ライン2単位で設定されている。すなわち、部品補給ルートRAは、部品実装ライン2を1つの単位として設定されている。また、部品補給ルートRAは、一筆書き状である。なお、図8に示す例では、便宜上、1つの部品実装ライン2を巡回する1つの部品補給ルートRAが設定されているが、2つ以上の部品実装ライン2を巡回する1つの部品補給ルートRAが設定されていてもよい。また、複数の部品補給ルートRAを設定する場合に、複数の部品補給ルートRAの一部のルートが重なっていてもよい。
【0056】
図8に示す例では、部品補給ルートRAは、部品補給ルートRA1と、部品補給ルートRA2と、部品補給ルートRA3とを含んでいる。部品補給ルートRA1は、部品実装ライン2Aの複数の部品実装装置20の複数のバンク部211の複数の部品供給部210に部品Eを補給するためのルートである。また、部品補給ルートRA2は、部品実装ライン2Bの複数の部品実装装置20の複数のバンク部211の複数の部品供給部210に部品Eを補給するためのルートである。また、部品補給ルートRA3は、部品実装ライン2Cの複数の部品実装装置20の複数のバンク部211の複数の部品供給部210に部品Eを補給するためのルートである。
【0057】
実際に部品Eを補給する際には、部品補給ルートRA1~RA3の各々に属する部品供給部210のうち、部品切れが発生した部品供給部210に部品Eを補給する作業が、作業者Wまたは部品補給ロボット4により行われる。この際、同一の補給タイミング(同一の巡回)で複数の部品供給部210に対して部品Eを補給することが可能な場合には、複数の部品供給部210に対して部品Eを補給する作業をまとめて行うまとめ補給が行われることになる。また、部品Eを補給する作業が発生していない場所に関しては、部品Eを補給する作業がスキップされる(行われない)ことになる。
【0058】
また、部品補給ルートRAを設定する際には、部品補給ルートRAを設定するための画面が、運行管理装置30の表示部33に表示される。ユーザは、表示部33に表示された設定画面を表示し、操作部32を用いたユーザの入力操作を行うことにより、1または複数の部品補給ルートRAを設定することを行う。ルート取得部31aは、操作部32を用いたユーザの入力操作に基づいて、1または複数の部品補給ルートRAを取得して設定するように構成されている。
【0059】
〈部品補給周期〉
また、本実施形態では、図9に示すように、部品補給周期C1は、部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の移動時間と、部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の作業時間とに基づいて、決定されている。具体的には、部品補給周期C1は、移動時間と作業時間とを互いに加算することにより、決定されている。より具体的には、部品補給周期C1は、移動時間と、作業時間と、予め決められた付加時間(余裕時間)とを、互いに加算することにより、決定されている。部品補給周期C1は、移動時間+作業時間+付加時間により表される。
【0060】
部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の移動時間は、部品補給ルートRAの長さと、作業者Wまたは部品補給ロボット4の標準移動速度とに基づいて、決定されている。具体的には、移動時間は、部品補給ルートRAの長さを、作業者Wまたは部品補給ロボット4の標準移動速度により除算することにより、決定されている。移動時間は、部品補給ルートRAの長さ×標準移動速度により表される。なお、標準移動速度は、実験などにより予め求めることが可能である。
【0061】
また、本実施形態では、部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の作業時間は、作業者Wまたは部品補給ロボット4の標準作業時間と、部品補給ルートRAによる部品Eの想定補給数(リールRの本数)とに基づいて、決定されている。具体的には、作業時間は、作業者Wまたは部品補給ロボット4の標準作業時間に、部品補給ルートRAによる部品Eの想定補給数を乗算することにより、決定されている。作業時間は、標準作業時間×想定補給数により表される。
【0062】
また、標準作業時間は、たとえば、作業者Wにより部品Eを補給する作業を行う場合、作業者Wが部品Eを交換する時間および作業を確認する時間などを含んでいる。また、標準作業時間は、たとえば、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業を行う場合、部品補給ロボット4が部品Eを交換する時間および部品補給ロボット4が部品実装装置20にドッキングする時間などを含んでいる。標準作業時間は、実験などにより予め求めることが可能である。想定補給数としては、たとえば、過去の基板Pの生産により得られた実績値、実際に実施した部品Eを補給する実験により得られた実験値、生産計画から得られる推測値、および、ハード的な上限値などを用いることが可能である。なお、ハード的な上限値とは、作業者Wが使用する作業台車に積載可能な数の上限値、および、部品補給ロボット4に積載可能な数の上限値などである。
【0063】
また、本実施形態では、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業を行う場合、部品補給周期C1は、バッテリ4dの容量に基づいて、決定されている。具体的には、部品補給周期C1は、バッテリ4dの容量(Wh)と、バッテリ4dの標準残量(%)と、部品補給ロボット4の消費電力(W)と、移動時間と作業時間とを互いに加算した巡回時間(h)とに基づいて、決定されている。ここで、バッテリ4dの容量(Wh)にバッテリ4dの標準残量(%)を乗算した値を、消費電力により除算した値が、部品補給ロボット4の駆動可能時間となる。また、部品補給ロボット4は駆動可能時間を超えて駆動することができない。このため、部品補給周期C1は、巡回時間が駆動可能時間未満になるという条件を満たすように、決定されている。
【0064】
また、部品補給周期C1を設定する際には、部品補給周期C1を設定するための画面が、運行管理装置30の表示部33に表示される。ユーザは、表示部33に表示された設定画面を表示し、操作部32を用いた入力操作を行うことにより、1または複数の部品補給周期C1を設定することを行う。部品補給周期取得部31bは、操作部32を用いたユーザの入力操作に基づいて、1または複数の部品補給周期C1を取得して設定するように構成されている。具体的には、部品補給周期取得部31bは、ユーザにより入力されたパラメータに基づいて、部品補給周期C1を取得して設定するように構成されている。たとえば、部品補給周期取得部31bは、標準移動速度、標準作業時間、想定補給数、バッテリ4dの容量および付加時間などのユーザにより入力されたパラメータに基づいて、部品補給周期C1を取得して設定するように構成されている。
【0065】
また、図10に示すように、部品補給周期取得部31bは、部品補給ルートRAと、部品補給周期C1と、部品補給ルートRAに含まれる経由地および経由の順番とを対応付けた運行管理データを作成するように構成されている。図10に示す例では、部品補給ルートRA1と、1800秒の部品補給周期C1と、部品実装ライン2Aの部品実装装置20の側面20a、20bの位置(経由地)および経由の順番とが、対応付けられている。また、部品補給ルートRA2と、3600秒の部品補給周期C1と、部品実装ライン2Bの部品実装装置20の側面20a、20bの位置(経由地)および経由の順番とが、対応付けられている。また、部品補給ルートRA3と、5400秒の部品補給周期C1と、部品実装ライン2Cの部品実装装置20の側面20a、20bの位置(経由地)および経由の順番とが、対応付けられている。作成された運行管理データは、記憶部35に記憶される。
【0066】
また、実際に基板Pを生産する際には、記憶部35に記憶された運行管理データに基づいて、管理部31dが、作業者Wまたは部品補給ロボット4による部品Eを補給する作業の運行を管理する。具体的には、管理部31dは、部品補給ルートRAに基づいて作業者Wまたは部品補給ロボット4の移動を管理するように構成されている。また、管理部31dは、部品補給周期C1に基づいて作業者Wまたは部品補給ロボット4の作業タイミングを管理するように構成されている。
【0067】
〈部品切れ周期〉
また、図11に示すように、基板データ装置40の制御部41の基板データ作成部41aは、部品実装装置20における部品供給部210のセット位置ごとの部品名および実装点数の情報、および、基板Pを1枚当たり生産するのに要するサイクルタイムの情報などを含む基板データを作成するように構成されている。また、本実施形態では、基板データ装置40の制御部41の部品切れ周期取得部41bは、基板Pの生産前に、1包装分の部品Eの数(1本のリールRに保持されている部品Eの数)と、部品Eの実装点数と、基板Pのサイクルタイムとに基づいて、部品切れ周期C2を取得するように構成されている。
【0068】
具体的には、部品切れ周期取得部41bは、基板データ作成部41aにより作成された基板データに基づいて、部品名と、部品Eの実装点数と、基板Pのサイクルタイムとを取得するように構成されている。また、部品切れ周期取得部41bは、取得した部品名に基づいて、部品データベース(図示せず)に記憶された部品データから、取得した部品名の部品Eの1包装分の数を取得するように構成されている。また、部品切れ周期取得部41bは、取得した1包装分の部品Eの数を取得した部品Eの実装点数により除算した値に、基板Pのサイクルタイムを乗算することにより、部品切れ周期C2を取得するように構成されている。また、この処理をセット位置ごとに行うことにより、部品切れ周期取得部41bは、全てのセット位置の部品Eの部品切れ周期C2を取得するように構成されている。また、部品切れ周期取得部41bは、全てのセット位置の部品Eの部品切れ周期C2のうち、最も値が小さい部品切れ周期C2を、所定の種類の基板Pの部品切れ周期C2として決定するように構成されている。また、この処理を基板Pの種類ごとに行うことにより、部品切れ周期取得部41bは、生産予定の全ての種類の基板Pの部品切れ周期C2を取得するように構成されている。また、部品切れ周期取得部41bは、決定した部品切れ周期C2を基板データに対応付けた状態で、記憶部45に記憶させるように構成されている。
【0069】
図10に示す例では、種類Aの基板Pの部品切れ周期C2として、2345秒が決定されている。また、種類Bの基板Pの部品切れ周期C2として、4567秒が決定されている。また、種類Cの基板Pの部品切れ周期C2として、9876秒が決定されている。また、種類Dの基板Pの部品切れ周期C2として、2222秒が決定されている。また、種類Eの基板Pの部品切れ周期C2として、5678秒が決定されている。また、種類Fの基板Pの部品切れ周期C2として、3333秒が決定されている。
【0070】
〈生産する基板Pの振り分け〉
また、図12に示すように、生産計画装置50の制御部51の生産計画作成部51aは、運行管理装置30から部品補給周期C1を含む運行管理データを取得するとともに、基板データ装置40から部品切れ周期C2を含む基板データを取得するように構成されている。また、生産計画作成部51aは、取得した部品補給周期C1と、取得した部品切れ周期C2とに基づいて、基板Pの生産計画を作成するように構成されている。
【0071】
具体的には、生産計画装置50の制御部51の振り分け部51bは、部品補給周期C1と、部品切れ周期C2とに基づいて、複数の部品実装ライン2に、生産する基板Pを振り分けるように構成されている。より具体的には、振り分け部51bは、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるように、複数の部品実装ライン2に、生産する基板Pを振り分けるように構成されている。振り分け部51bは、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上となりかつ部品切れ周期C2と部品補給周期C1とが近い部品実装ライン2に振り分けられるように、複数の部品実装ライン2に、生産する基板Pを振り分けるように構成されている。
【0072】
図12に示す例では、部品補給周期C1が1800秒の部品実装ライン2Aに、部品切れ周期C2が2345秒の種類Aの基板Pの生産、部品切れ周期C2が2222秒の種類Dの基板Pの生産、および、部品切れ周期C2が3333秒の種類Fの基板Pの生産が振り分けられている。また、部品補給周期C1が3600秒の部品実装ライン2Bに、部品切れ周期C2が4567秒の種類Bの基板Pの生産が振り分けられている。また、部品補給周期C1が5400秒の部品実装ライン2Cに、部品切れ周期C2が9876秒の種類Cの基板Pの生産、および、部品切れ周期C2が5678秒の種類Eの基板Pの生産が振り分けられている。
【0073】
また、図13に示すように、振り分け部51bは、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分けた場合に、複数の部品実装ライン2の間における基板Pの生産量(生産枚数および生産時間など)が不均等であった場合、複数の部品実装ライン2の間において基板Pの生産量が均等になるように、生産する基板Pの振り分けの調整を行うように構成されている。振り分け部51bは、生産量が多い部品実装ライン2から生産量が少ない部品実装ライン2に基板Pの生産を振り分け直すことにより、複数の部品実装ライン2の間において基板Pの生産量が均等になるように、生産する基板Pの振り分けの調整を行うように構成されている。この際、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上の条件を満たすため、部品補給周期C1が大きい方から部品補給周期C1が小さい方へ基板Pの生産を振り分け直すことは可能である。一方、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上の条件を満たさなくなるため、部品補給周期C1が小さい方から部品補給周期C1が大きい方へ基板Pの生産を振り分け直すことはできない。
【0074】
そこで、本実施形態では、生産計画装置50の制御部51の部品数調整部51cは、部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さい場合、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるように、部品Eの数の調整を行うように構成されている。具体的には、部品数調整部51cは、基板データにおいて部品実装装置20の部品供給部210のセット位置に空きがあるか否かを確認し、セット位置に空きがある場合、空いているセット位置に、最も値が小さい部品切れ周期C2と同種の部品Eをセットするように、基板データを変更するように構成されている。すなわち、部品数調整部51cは、最も値が小さい部品切れ周期C2と同種の部品Eのセット数を増加させることにより、部品Eの数の調整を行うように構成されている。この処理は、最も値が小さい部品切れ周期C2と同種の部品Eを積み増すことを意味しているため、積み増した部品Eの部品切れ周期C2が大きくなる。これにより、最も値が小さい部品切れ周期C2が、2番目に値が小さかった部品切れ周期C2に更新される。この処理を部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるまで行うことにより、部品数調整部51cは、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるように、部品Eの数の調整を行うように構成されている。これにより、部品補給周期C1が小さい方から部品補給周期C1が大きい方へ基板Pの生産を振り分け直すことが可能になる。
【0075】
なお、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分ける際に、部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さい場合に、部品数調整部51cにより部品Eの数の調整を行ってもよい。
【0076】
また、生産計画装置50が、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分ける例を説明したが、これに限られない。図14に示すように、基板データ装置40の制御部41が、振り分け部41dと、部品数調整部41eとを含む生産計画作成部41cを含んでいてもよい。なお、振り分け部41dは、振り分け部51bと同様の構成である。また、部品数調整部41eは、部品数調整部51cと同様の構成である。たとえば、生産する基板Pの種類が随時変更されるユーザでは、生産計画装置50が、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分ける構成を採用し、生産する基板Pの種類がある程度決まっているユーザでは、基板データ装置40が、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分ける構成を採用することが可能である。
【0077】
〈部品切れ周期と部品補給周期との照合〉
また、本実施形態では、図15に示すように、運行管理装置30の制御部31の照合部31cは、部品実装装置20による基板Pの生産開始時に、生産する基板Pに対応する部品切れ周期C2を部品実装装置20から受信し、受信した部品切れ周期C2と、部品実装装置20に対応する部品補給周期C1とを照合するように構成されている。
【0078】
具体的には、部品実装装置20の制御部207は、基板Pの生産開始前に、基板データ装置40または生産計画装置50から、生産する基板Pに対応する基板データを取得するように構成されている。また、部品実装装置20の制御部207は、基板Pの生産開始時に、取得した基板データの部品切れ周期C2を、運行管理装置30に送信するように構成されている。運行管理装置30の制御部31の照合部31cは、部品切れ周期C2を送信した部品実装装置20に対応する部品補給周期C1を、運行管理データから取得するように構成されている。また、運行管理装置30の制御部31の照合部31cは、部品実装装置20から受信した部品切れ周期C2と、運行管理データから取得した部品補給周期C1とを照合するように構成されている。
【0079】
また、運行管理装置30の制御部31の照合部31cは、照合結果を部品実装装置20に送信するように構成されている。また、部品実装装置20の制御部207は、運行管理装置30から受信した照合結果に基づいて、作業者Wに正常または異常を知らせる通知を行うように構成されている。具体的には、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上であるという照合結果の場合には、部品実装装置20の制御部207は、照合結果が正常であることを作業者Wに通知するように構成されている。また、部品切れ周期C2が部品補給周期C1未満であるという照合結果の場合には、部品実装装置20の制御部207は、照合結果が異常であることを作業者Wに通知(警告)するように構成されている。
【0080】
(生産管理システムの制御処理の全体)
図16を参照して、本実施形態の生産管理システム3による制御処理の全体をシーケンス図に基づいて説明する。なお、生産計画装置50で、複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分ける例について説明する。
【0081】
図16に示すように、まず、ステップS1において、ルート取得部31aにより、部品補給ルートRAが取得される。また、ステップS1において、部品補給周期取得部31bにより、部品補給周期C1が取得される。また、ステップS1において、部品補給ルートRAと、部品補給周期C1とを含む運行管理データが取得される。
【0082】
そして、ステップS2において、運行管理装置30から生産計画装置50に、運行管理データが送信される。
【0083】
そして、ステップS3において、基板データ作成部41aにより、基板データが作成される。
【0084】
そして、ステップS4において、部品切れ周期取得部41bにより、部品切れ周期C2が取得される。
【0085】
そして、ステップS5において、基板データ装置40から生産計画装置50に、部品切れ周期C2を含む基板データが送信される。
【0086】
そして、ステップS6において、生産計画作成部51aにより、生産計画が作成される。また、ステップS6において、振り分け部51bにより、複数の部品実装ライン2への生産する基板Pの振り分けが行われる。また、ステップS6において、必要な場合には、部品数調整部51cにより、部品Eの数の調整(基板データの変更)が行われる。
【0087】
そして、ステップS7において、生産計画装置50から部品実装装置20に、基板データが送信される。
【0088】
そして、ステップS8において、部品実装装置20により、基板データが読み込まれる。
【0089】
そして、ステップS9において、部品実装装置20から運行管理装置30に、部品切れ周期C2が送信される。
【0090】
そして、ステップS10において、照合部31cにより、部品補給周期C1と部品切れ周期C2との照合が行われる。
【0091】
照合結果が正常であれば、部品実装装置20による基板Pの生産が開始される。基板Pの生産中には、管理部31dにより、基板Pの生産前に取得した部品補給ルートRAおよび部品補給周期C1で、部品Eを補給する作業を行うように、作業者Wまたは部品補給ロボット4が管理される。
【0092】
(基板の振り分けの制御処理)
図17を参照して、本実施形態の生産計画装置50による基板Pの振り分けの制御処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、部品補給周期C1が1800秒の部品実装ライン2A、部品補給周期C1が3600秒の部品実装ライン2B、および、部品補給周期C1が5400秒の部品実装ライン2Cに、基板Pを振り分ける例について説明する。また、フローチャートの各処理は、振り分け部51bにより行われる。
【0093】
図17に示すように、まず、ステップS11において、部品実装ライン2A~2Cの各々の部品補給周期C1が読み込まれる。
【0094】
そして、ステップS12において、読み込んだ部品補給周期C1が降順にソートされる。
【0095】
そして、ステップS13において、生産する基板Pごとの部品切れ周期C2が順番に解析される。
【0096】
そして、ステップS14において、生産する基板Pのうちの対象の基板Pの部品切れ周期C2が、部品実装ライン2Cの部品補給周期C1である5400秒以上であるか否かが判断される。対象の基板Pの部品切れ周期C2が5400秒以上である場合、ステップS15に進む。
【0097】
そして、ステップS15において、部品補給周期C1が5400秒の部品実装ライン2Cに、対象の基板Pの生産が振り分けられる。
【0098】
また、ステップS14において、対象の基板Pの部品切れ周期C2が5400秒未満である場合、ステップS16に進む。
【0099】
そして、ステップS16において、対象の基板Pの部品切れ周期C2が、部品実装ライン2Bの部品補給周期C1である3600秒以上であるか否かが判断される。対象の基板Pの部品切れ周期C2が3600秒以上である場合、ステップS17に進む。
【0100】
そして、ステップS17において、部品補給周期C1が3600秒の部品実装ライン2Bに、対象の基板Pの生産が振り分けられる。
【0101】
また、ステップS16において、対象の基板Pの部品切れ周期C2が3600秒未満である場合、ステップS18に進む。
【0102】
そして、ステップS18において、部品補給周期C1が1800秒の部品実装ライン2Aに、対象の基板Pの生産が振り分けられる。
【0103】
そして、ステップS15、S17およびS18のいずれかを経由して、ステップS19に進むと、ステップS19において、生産する全ての基板Pの振り分けが完了したか否かが判断される。生産する全ての基板Pの振り分けが完了していないと判断された場合、ステップS13に戻る。そして、ステップS13~S18の処理が適宜行われる。また、生産する全ての基板Pの振り分けが完了したと判断された場合、制御処理が終了される。
【0104】
(部品数調整の制御処理)
図18を参照して、本実施形態の生産計画装置50による部品数調整の制御処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、部品数調整部51cにより行われる。
【0105】
図18に示すように、まず、ステップS21において、部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さいか否かが判断される。部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さいと判断された場合、ステップS22に進む。
【0106】
そして、ステップS22において、基板データにおける部品供給部210のセット位置に空き(余裕)があるか否かが判断される。基板データにおける部品供給部210のセット位置に空きがないと判断された場合、制御処理が終了される。また、基板データにおける部品供給部210のセット位置に空きがあると判断された場合、ステップS23に進む。
【0107】
そして、ステップS23において、部品Eの数の調整を実行するか否かが判断される。部品Eの数の調整を実行しないと判断された場合、制御処理が終了される。また、部品Eの数の調整を実行すると判断された場合、ステップS24に進む。なお、ステップS23の処理は、行われなくてもよい。
【0108】
そして、ステップS24において、部品Eの数の調整が行われる。具体的には、ステップS24において、空いているセット位置に、最も値が小さい部品切れ周期C2と同種の部品Eをセットするように、基板データが変更される。これにより、最も値が小さい部品切れ周期C2が、2番目に値が小さかった部品切れ周期C2に更新される。そして、ステップS21に進む。その後、ステップS21~S24の処理が、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるまで行われると、ステップS21において、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上であると判断される。そして、制御処理が終了される。
【0109】
(部品補給周期と部品切れ周期との照合の制御処理)
図19を参照して、本実施形態の運行管理装置30および部品実装装置20による部品補給周期と部品切れ周期との照合の制御処理をシーケンス図に基づいて説明する。
【0110】
図19に示すように、まず、ステップS31において、部品実装装置20により部品切れ周期C2を含む基板データが読み込まれる。
【0111】
そして、ステップS32において、部品実装装置20から運行管理装置30に、基板データに含まれる部品切れ周期C2が送信される。
【0112】
そして、ステップS33において、照合部31cにより、部品切れ周期C2を送信した部品実装装置20に対応する部品補給周期C1が取得される。
【0113】
そして、ステップS34において、照合部31cにより、部品補給周期C1と部品切れ周期C2とが照合される。
【0114】
そして、ステップS35において、運行管理装置30から部品実装装置20に、照合結果が送信される。
【0115】
そして、ステップS36において、制御部207により、照合結果に応じた作業者Wへの通知が行われる。部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上であった(照合結果が正常であった)場合、照合結果が正常であることが作業者Wに通知される。また、部品切れ周期C2が部品補給周期C1未満であった(照合結果が異常であった)の場合、照合結果が正常であることが作業者Wに通知(警告)される。そして、制御処理が終了される。
【0116】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0117】
本実施形態では、上記のように、基板Pの生産前に部品補給ルートRAを取得するルート取得部31aと、基板Pの生産前に部品補給周期C1を取得する部品補給周期取得部31bと、部品補給周期C1で、部品切れが発生しないように、基板Pの生産計画を作成する生産計画作成部51aと、を設ける。これにより、基板Pの生産計画自体が基板Pの生産前に取得した部品補給周期C1に基づいて作成されるので、基板Pの生産前に取得した部品補給周期C1で部品Eを補給する作業を行うことができる。その結果、部品Eを補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生することがない。これにより、部品Eを補給する作業を過度に高い頻度で行う状況が発生する場合に比べて、部品Eを補給する作業の負荷をより軽減することができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、部品補給周期C1は、部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の移動時間と、部品補給ルートRAによる作業者Wまたは部品補給ロボット4の作業時間とに基づいて、決定されている。これにより、部品補給ルートRAにより部品Eを補給する際に発生する移動時間と作業時間とを考慮して、無理なく実現可能な部品補給周期C1を容易に決定することができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、部品補給ロボット4は、バッテリ4dを含み、部品補給周期C1は、バッテリ4dの容量に基づいて、決定されている。これにより、部品補給ロボット4により部品Eを補給する作業を行う場合に、部品補給ロボット4のバッテリ4dの容量を考慮して、部品補給ロボット4のバッテリ4d切れが発生しない部品補給周期C1を容易に決定することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、作業時間は、作業者Wまたは部品補給ロボット4の標準作業時間と、部品補給ルートRAによる部品Eの想定補給数とに基づいて、決定されている。これにより、作業時間を精度よく決定することができるので、精度よく決定した作業時間に基づいて、無理なく実現可能な部品補給周期C1をより容易に決定することができる。
【0121】
また、本実施形態では、上記のように、部品補給ルートRAは、部品実装装置20を含む部品実装ライン2単位で、設定されている。これにより、部品実装ライン2単位で、部品補給ルートRAを容易に設定することができる。
【0122】
また、本実施形態では、上記のように、部品補給ルートRAは、一筆書き状である。これにより、部品補給ルートRA中に往復する部分が含まれないようにすることができるので、部品補給ルートRAを容易に短いルートにすることができる。その結果、部品補給ルートRAによる移動に要する時間を容易に小さくすることができる。
【0123】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理システム3は、基板Pの生産前に、1包装分の部品Eの数と、部品Eの実装点数と、基板Pのサイクルタイムとに基づいて、部品切れ周期C2を取得する部品切れ周期取得部41bをさらに備える。これにより、基板Pの生産前に取得した部品切れ周期C2に基づいて、部品補給周期C1で部品切れが発生しない基板Pの生産計画を容易に作成することができる。
【0124】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理システム3は、部品補給周期C1と、部品切れ周期C2とに基づいて、部品実装装置20を含む複数の部品実装ライン2に、生産する基板Pを振り分ける振り分け部51bをさらに備える。これにより、部品補給周期C1で部品切れが発生しないように複数の部品実装ライン2に生産する基板Pを振り分けることができるので、部品補給周期C1で部品切れが発生しないように複数の部品実装ライン2により基板Pを生産することができる。
【0125】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理システム3は、部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さい場合、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるように、部品Eの数の調整を行う部品数調整部51cをさらに備える。これにより、部品切れ周期C2が部品補給周期C1よりも小さい場合にも、部品切れ周期C2が部品補給周期C1以上になるように調整することができる。その結果、部品補給周期C1で部品切れが発生しない基板Pの生産計画を容易に作成することができる。
【0126】
また、本実施形態では、上記のように、生産管理システム3は、部品実装装置20による基板Pの生産開始時に、生産する基板Pに対応する部品切れ周期C2を部品実装装置20から受信し、受信した部品切れ周期C2と、部品実装装置20に対応する部品補給周期C1とを照合する照合部31cをさらに備える。これにより、部品実装装置20により誤った部品切れ周期C2の基板Pの生産(部品切れが発生する基板Pの生産)がされようとした場合に、部品実装装置20により誤った部品切れ周期C2の基板Pの生産(部品切れが発生する基板Pの生産)がされようとしていることを容易に確認することができる。その結果、警告などの対処を容易に実行することができるので、部品切れが発生することを未然に防止することができる。
【0127】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0128】
たとえば、上記実施形態では、運行管理装置に、ルート取得部と、部品補給周期取得部と、照合部とが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、運行管理装置以外の装置に、ルート取得部と、部品補給周期取得部と、照合部とが設けられていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、基板データ装置に、部品切れ周期取得部が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板データ装置以外の装置に、部品切れ周期取得部が設けられていてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、生産計画装置に、振り分け部と、部品数調整部とが設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、生産計画装置以外の装置に、振り分け部と、部品数調整部とが設けられていてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、テープ部品を供給するテープフィーダに部品を補給する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、トレイ部品を供給するトレイフィーダ、スティック部品を供給するスティックフィーダ、および、バルク部品を供給するバルクフィーダに部品を補給する構成に適用されてもよい。また、トレイフィーダ、スティックフィーダおよびバルクフィーダに本発明を適用する場合、これらのフィーダにはテープフィーダとは異なる作業者または部品補給ロボットが割り当てられるため、テープフィーダの部品補給ルートとは独立した部品補給ルートを設定することが可能である。また、トレイフィーダ、スティックフィーダおよびバルクフィーダに本発明を適用する場合、テープフィーダの部品切れ周期とは独立した部品切れ周期を設定することが可能である。
【0132】
また、上記実施形態では、部品補給ルートが、部品実装ライン単位で設定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図20に示す第1変形例のように、部品補給ルートRAが、部品実装装置20単位で設定されていてもよい。この場合、部品補給ルートRAは、部品実装装置20を1つの単位として設定されている。また、図21に示す第2変形例のように、部品補給ルートRAが、部品実装装置20の側面20aおよび20b単位で設定されていてもよい。この場合、部品補給ルートRAは、部品実装装置20の側面20aおよび20bを1つの単位として設定されている。また、図22に示す第3変形例のように、部品補給ルートRAが、部品実装装置20の側面20aおよび20bに設けられるバンク部211単位で設定されていてもよい。この場合、部品補給ルートRAは、部品実装装置20の側面20aおよび20bに設けられるバンク部211を1つの単位として設定されている。このように構成すれば、部品実装装置20単位、部品実装装置20の側面20aおよび20b単位、または、部品実装装置20の側面に設けられるバンク部211単位で、部品補給ルートRAを容易に設定することができる。また、部品実装装置20単位、部品実装装置20の側面20aおよび20b単位、または、部品実装装置20の側面に設けられるバンク部211単位で、部品補給ルートRAを設定する場合には、部品実装ライン2単位で部品補給ルートRAを設定する場合に比べて、部品補給ルートRAをより柔軟に設定することができる。
【0133】
また、上記実施形態では、部品補給ルートが一筆書き状である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品補給ルートが一筆書き状でなくてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、部品切れ周期が部品補給周期よりも小さい場合、部品切れ周期が部品補給周期以上になるように、部品の数の調整を行う部品数調整部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品数調整部を設けなくてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、部品実装装置による基板の生産開始時に、生産する基板に対応する部品切れ周期を部品実装装置から受信し、受信した部品切れ周期と、部品実装装置に対応する部品補給周期とを照合する照合部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、照合部を設けなくてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0137】
2 部品実装ライン
3 生産管理システム
4 部品補給ロボット
4d バッテリ
20 部品実装装置
20a、20b 側面
31a ルート取得部
31b 部品補給周期取得部
31c 照合部
41b 部品切れ周期取得部
41c、51a 生産計画作成部
41d、51b 振り分け部
41e、51c 部品数調整部
211 バンク部
C1 部品補給周期
C2 部品切れ周期
E 部品
P 基板
RA 部品補給ルート
W 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22