(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110190
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ドアガード
(51)【国際特許分類】
E05C 17/06 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
E05C17/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014626
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
(72)【発明者】
【氏名】沼田 健一
(57)【要約】
【課題】扉が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されたときにも扉に傷が付くことを防止できるドアガードを提供する。
【解決手段】
ドアガードは、アーム部材10と、係止ピン20とを具備する。アーム部材10は、長孔状の差込部11を有する。差込部11は、出入口を閉じているときの扉1の表面に沿って横方向X1に軸状部材を差込み可能である。また、アーム部材10は、横方向X1に沿って配される回動軸12を中心に回動可能に、扉1及び扉枠2の一方に取付けられる。係止ピン20は、横方向X1に沿って進退可能に、扉1及び扉枠2の他方に取付けられる。また、係止ピン20は、アーム部材10の差込部11に差込まれ、差込部11におけるアーム部材10との係合によって一定の角度範囲で開閉可能に扉1を係止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口を閉じているときの扉(1)の表面に沿って横方向(X1)に軸状部材を差込み可能である長孔状の差込部(11)を有し、前記横方向(X1)に沿って配される回動軸(12)を中心に回動可能に、前記扉(1)及び扉枠(2)の一方に取付けられるアーム部材(10)と、
前記横方向(X1)に沿って進退可能に、前記扉(1)及び前記扉枠(2)の他方に取付けられ、前記アーム部材(10)の前記差込部(11)に差込まれ、前記差込部(11)における前記アーム部材(10)との係合によって一定の角度範囲で開閉可能に前記扉(1)を係止する軸状の係止ピン(20)
とを具備するドアガード。
【請求項2】
前記係止ピン(20)は、円柱状の軸部(21)、及び前記軸部(21)よりも大径であり、前記軸部(21)の先端に形成される円形状の頭部(22)を有し、
前記アーム部材(10)の前記差込部(11)は、前記アーム部材(10)の基端側の第1端部(11a)、及び前記アーム部材(10)の先端側の第2端部(11b)を有し、前記第1端部(11a)には、前記係止ピン(20)の前記頭部(22)を挿通可能である円形状の挿通部(11c)が形成され、前記差込部(11)の前記挿通部(11c)以外の幅は、前記係止ピン(20)の前記頭部(22)を通さず、前記軸部(21)は通す幅(W1)に設定される、請求項1に記載のドアガード。
【請求項3】
前記アーム部材(10)は、互いに平行である一対の端面(41a)を有する角板片状であり、前記一対の端面(41a)に一対の溝部(41b)を有し、前記扉(1)及び前記扉枠(2)の一方にビスによって固定されるチャンネル部材(41)と、前記チャンネル部材(41)の前記一対の溝部(41b)とスライド式に嵌合される一対の突状部(42a)、前記ビスを覆う覆い部(42b)、及び前記回動軸(12)を支持する支持部(42c)を有する台座部材(42)とを含む固定手段(40)によって、前記回動軸(12)を中心に回動可能に、前記扉(1)及び前記扉枠(2)の一方に取付けられる、請求項1又は請求項2に記載のドアガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアガードに関し、特に、開き戸等の扉に設置されるドアガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸等の扉に設置されるドアガードとして、特許文献1には、アーム部材と、受け部材とを具備するドアガードが記載されている。アーム部材は、横方向に回動可能に扉枠に取付けられる。受け部材は、アーム部材と係合可能に扉に取付けられる。特許文献1に記載のドアガードによれば、アーム部材と受け部材との係合によって、一定の角度範囲で扉が開くように係止でき、ドアの隙間から来訪者を確認したり、物品を受け渡したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のドアガードは、一定の角度範囲で扉が開くように係止するという本来の使用目的の外に、例えばホテルの客室に設置される場合には、清掃中にオートロックが掛からないように、アーム部材を扉と扉枠との間に挟み込み、扉が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されることがある。
【0005】
特許文献1に記載のドアガードが、アーム部材を扉と扉枠との間に挟み込み、扉が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されると、扉とアーム部材との衝突によってアーム部材が変形したり、扉に傷が付いたりすることがある。アーム部材の変形等は、アーム部材を交換するだけですみ、比較的に修復が容易であるが、扉に傷が付くとその修復は容易ではない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、扉が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されたときにも扉に傷が付くことを防止できるドアガードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示するドアガードは、アーム部材(10)と、係止ピン(20)とを具備する。前記アーム部材(10)は、長孔状の差込部(11)を有する。前記差込部(11)は、出入口を閉じているときの扉(1)の表面に沿って横方向(X1)に軸状部材を差込み可能である。また、前記アーム部材(10)は、前記横方向(X1)に沿って配される回動軸(12)を中心に回動可能に、前記扉(1)及び扉枠(2)の一方に取付けられる。前記係止ピン(20)は、前記横方向(X1)に沿って進退可能に前記扉(1)及び前記扉枠(2)の他方に取付けられる。また、前記係止ピン(20)は、前記アーム部材(10)の前記差込部(11)に差込まれ、前記差込部(11)における前記アーム部材(10)との係合によって一定の角度範囲で開閉可能に前記扉(1)を係止する。
【0008】
本願に開示するドアガードにおいて、前記係止ピン(20)は、円柱状の軸部(21)、及び円形状の頭部(22)を有する。前記頭部(22)は、前記軸部(21)よりも大径であり、前記軸部(21)の先端に形成される。前記アーム部材(10)の前記差込部(11)は、前記アーム部材(10)の基端側の第1端部(11a)、及び前記アーム部材(10)の先端側の第2端部(11b)を有する。前記第1端部(11a)には、円形状の挿通部(11c)が形成される。前記挿通部(11c)は、前記係止ピン(20)の前記頭部(22)を挿通可能である。前記差込部(11)の前記挿通部(11c)以外の幅は、前記係止ピン(20)の前記頭部(22)は通さず、前記軸部(21)は通す幅(W1)に設定される。
【0009】
本願に開示するドアガードにおいて、前記アーム部材(10)は、チャンネル部材(41)と台座部材(42)とを含む固定手段(40)によって、前記回動軸(12)を中心に回動可能に、前記扉(1)及び前記扉枠(2)の一方に取付けられる。前記チャンネル部材(41)は、互いに平行である一対の端面(41a)を有する角板片状であり、前記一対の端面(41a)に一対の溝部(41b)を有し、前記扉(1)及び前記扉枠(2)の一方にビスによって固定される。前記台座部材(42)は、一対の突条部(42a)、前記ビスを覆う覆い部(42b)、及び前記回動軸(12)を支持する支持部(42c)を有する。前記一対の突条部(42a)は、前記チャンネル部材(41)の前記一対の溝部(41b)とスライド式に嵌合される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るドアガードによれば、扉が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されたときにも扉に傷が付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るドアガードを示す斜視図である。
【
図2】(a)
図1のドアガードをドア及びドア枠に取付けたときの上面図である。(b)
図1のドアガードをドア及びドア枠に取付けたときの正面図である。
【
図3】(a)
図1のドアガードの動作の第1段階を示す上面図である。(b)
図1のドアガードの動作の第2段階を示す上面図である。(c)
図1のドアガードの動作の第3段階を示す上面図である。
【
図4】(a)実施形態のアーム部材を示す上面図である。(b)実施形態のアーム部材を示す側面図である。
【
図5】(a)実施形態のピン部材及び移動手段を示す正面図である。(b)実施形態のピン部材及び移動手段を示す上面図である。(c)
図5(a)のA-A矢視断面図である。
【
図6】(a)実施形態の移動手段のレール部材を示す正面図である。(b)実施形態の移動手段のレール部材を示す側面図である。(c)実施形態の移動手段のレール部材を示す底面図である。
【
図7】(a)
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第1状態を示す側面図である。(b)
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第2状態を示す側面図である。(c)
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第3状態を示す側面図である。(d)
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第4状態を示す側面図である。
【
図8】
図1のドアガードがイレギュラーな方法で使用されるときの上面図である。
【
図9】(a)実施形態の固定手段のチャンネル部材を示す正面図である。(b)
図9(a)のB-B矢視断面図である。(c)
図9(a)のC-C矢視断面図である。
【
図10】実施形態の固定手段を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るドアガードを図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0013】
〈実施形態〉
以下に、
図1から
図3を参照して、本発明の実施形態に係るドアガードを説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るドアガードを示す斜視図である。
図2(a)は、
図1のドアガードをドア及びドア枠に取付けたときの上面図である。
図2(b)は、
図1のドアガードをドア及びドア枠に取付けたときの正面図である。
図3(a)は、
図1のドアガードの動作の第1段階を示す上面図である。
図3(b)は、
図1のドアガードの動作の第2段階を示す上面図である。
図3(c)は、
図1のドアガードの動作の第3段階を示す上面図である。
【0014】
図1から
図3に示すように、実施形態に係るドアガードは、アーム部材10と、係止ピン20とを具備し、扉1を一定の角度範囲(
図3(c)のα1)で開閉可能に係止する装置である。実施形態においては、扉1は開き戸である。
【0015】
アーム部材10は、長孔状の差込部11を有する。差込部11は、出入口を閉じているときの扉1の表面に沿って横方向X1に軸状部材を差込み可能である。また、アーム部材10は、横方向X1に沿って配される回動軸12を中心に回動可能に扉1及び扉枠2の一方に取付けられる。実施形態は、内開きの扉1にドアガードが設置される場合を示し、アーム部材10は、扉枠2に取付けられる。以下、アーム部材10が扉枠2に取付けられるものとして説明する。
【0016】
係止ピン20は、横方向X1に沿って進退可能に扉1及び扉枠2の他方に取付けられる。実施形態は、内開きの扉にドアガードが設置される場合を示し、係止ピン20は、扉1に取付けられる。以下、係止ピン20が扉1に取付けられるものとして説明する。また、係止ピン20は、
図1に一点鎖線によって示す直線Lに沿ってアーム部材10の差込部11に差込まれ、差込部11におけるアーム部材10との係合によって、
図3(c)に示すように、一定の角度範囲で開閉可能に扉1を係止する。係止ピン20は、
図2に実線によって示す非係合位置においては扉1を係止せず、
図2に一点鎖線によって示す係合位置において扉1を係止する。係止ピン20の係合位置は、非係合位置よりも横方向X1に進んだ位置である。
【0017】
また、
図3(a)に示す第1段階においては、係止ピン20は、未だ差込部11に差込まれておらず、
図3(b)に示す第2段階においては、係止ピン20は差込部11に差込まれており、
図3(c)に示す第3段階においては、係止ピン20は差込部11に差込まれた状態を保っている。
【0018】
次に、
図4から
図6を参照して、アーム部材10及びピン部材20を更に詳細に説明する。
図4(a)は、実施形態のアーム部材を示す上面図である。
図4(b)は、実施形態のアーム部材を示す側面図である。
図5(a)は、実施形態のピン部材及び移動手段を示す正面図である。
図5(b)は、実施形態のピン部材及び移動手段を示す上面図である。
図5(c)は、
図5(a)のA-A矢視断面図である。
図6(a)は、実施形態の移動手段のレール部材を示す正面図である。
図6(b)は、実施形態の移動手段のレール部材を示す側面図である。
図6(c)は、実施形態の移動手段のレール部材を示す底面図である。
【0019】
図4に示すように、アーム部材10は、実施形態においては、緩やかな円弧を描くように延びるレバー状の部材であり、アーム部材10の基端部には、軸孔13が形成されている。軸孔13には、回動軸12が挿通される
【0020】
アーム部材10の差込部11は、緩やかな円弧を描くように延びており、アーム部材10の基端側の第1端部11a、及びアーム部材10の先端側の第2端部11bを有する。第1端部11aには、円形状の挿通部11cが形成される。扉1が開閉可能に係止される角度範囲(α1)は、軸孔13と第2端部11bとの距離に応じて決まる。
【0021】
また、アーム部材10は、
図1、及び
図2(b)に示すように、扉1が閉じているときに、先端が下を向くように垂れ下がった状態となり、挿通部11cが、横方向X1においてピン20と正対するように扉枠2に取付けられる。
【0022】
図5に示すように、係止ピン20は、円柱状の軸部21、及び円形状の頭部22を有する。頭部22は、軸部21よりも大径であり、軸部21の先端に形成される。また、頭部22は、係止ピン20の先端に向かって径が大きくなるように、側面がテーパ状に形成される。
【0023】
図4に示した差込部11の挿通部11cは、係止ピン20の頭部22を挿通可能であり、係止ピン20は、挿通部11cにおいて横方向X1に差込部11に差込まれる。差込部11の挿通部11c以外の幅は、係止ピン20の頭部22を通さず、軸部21は通す幅W1に設定される。
【0024】
以上のとおり、実施形態に係るドアガードによれば、係止ピン20が、円柱状の軸部21、及び円形状の頭部22を有し、アーム部材10の差込部11が、アーム部材10の基端側に係止ピン20の頭部22を挿通可能である挿通部11cを有し、差込部11の挿通部11c以外の幅は、係止ピン20の頭部22は通さず、軸部21は通す幅W1に設定される。従って、扉1が閉まっているときに係止ピン20が挿通部11cにおいて差込部11に横方向X1に差込まれ、扉1を開くように力が加えられると、頭部22が抜け止めとなり、係止ピン20は、差込部11におけるアーム部材10との係合によって、一定の角度範囲で開閉可能に扉1を係止する。
【0025】
図5に示すように、係止ピン20は、移動手段30によって、横方向X1に沿って進退可能に、扉1及び扉枠2の他方、実施形態においては扉1に取付けられる。移動手段30は、横方向X1に沿って延びる直方体状のスライダ31と、横方向X1に沿って延びる扁平な直方体状のレール部材32とを有する。
図5(a)及び
図5(b)においては、実線によって係合位置に在るときの係止ピン20及びスライダ31が示され、二点鎖線によって非係合位置に在るときの係止ピン20及びスライダ31が示されている。
【0026】
移動手段30のスライダ31は、長手方向における横方向X1に向かう端面に係止ピン20が一体的に突設される。また、スライダ31は、横方向X1に沿って延びるように溝状の係合部31aが形成され、係合部31aと平行に、一定長さのガイド溝31cが形成される。係合部31aは、横方向X1に沿って摺動可能にレール部材32と係合し、ガイド溝31cの底面には、一対の窪み31bが形成される。
【0027】
移動手段30のレール部材32は、止めネジ32aによって、扉1に取付けられる。レール部材32には、横方向X1に沿って延びるように突条状の被係合部32bが形成される。被係合部32bは、スライダ31の係合部31aと横方向X1に沿って摺動可能に係合され、スライダ31は、一定の長さL1の範囲でレール部材32に対し横方向X1に沿って移動可能に固定され、係止ピン20は、非係合位置と係合位置との間で移動可能となる。
【0028】
スライダ31がレール部材32に対し移動可能とされる範囲(長さL1)は、規制手段32cによって規制される。規制手段32cは、スプリング32dと、鋼球32eと、円筒状のスライドガイド32jとを含む。スプリング32dは、鋼球32eをスライダ31に向かって付勢し、鋼球32eは、長さL1だけ離れてスライダ31に形成される一対の窪み31bと嵌合し、2つの窪み31bの位置においてスライダ31を仮に固定する。スライドガイド32jは、鋼球32eを介しスプリング32dによってスライダ31に向かって付勢されており、ガイド溝31cと摺動可能に嵌合する。ガイド溝31cの長さと、2つの窪み31bの位置とが、スライダ31がレール部材32に対し移動可能とされる範囲(長さL1)と対応している。
【0029】
また、スライダ31には、横方向X1の端面からガイド溝31cまで届くように、溝状の切欠31dが形成されており、切欠31dを介し、針等の細長い部材をガイド溝31cまで差し込むことができる。切欠31dを介しガイド溝31cまで細長い部材を差し込むと、スライドガイド32jをスプリング32dの付勢力に抗して押し戻し、スライドガイド32jとガイド溝31cとの嵌合を解除し、ガイド溝31cの長さの範囲を超えてスライダ31をスライドさせることができ、スライダ31をレール部材32から取外すことができる。従って、スライダ31と一体形成されている係止ピン20に変形等の不具合が生じたときに、係止ピン20を交換することも容易である。
【0030】
また、
図6に示すように、レール部材32は、第1挿通孔32fと、第1収容室32gと、第2収容室32hと、突出孔32iとを有する。第1挿通孔32fは、レール部材32を扉枠2に固定するための止めネジ32aが挿通される。第1収容室32gは、止めネジ32aの頭を収容する。第2収容室32hは、スプリング32d、鋼球32e、及びスライドガイド32jを収容する。突出孔32iは、鋼球32e及びスライドガイド32jを第2収容室32hから突出させるための孔である。
【0031】
次に、
図7を参照して、実施形態のドアガードの動作を説明する。
図7(a)は、
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第1状態を示す側面図である。
図7(b)は、
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第2状態を示す側面図である。
図7(c)は、
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第3状態を示す側面図である。
図7(d)は、
図3の第2段階から第3段階までのドアガードの第4状態を示す側面図である。
【0032】
図7(a)に示すように、扉1が閉まっており、扉1の戸先1aと扉枠2との間にずれがないとき、アーム部材10は、先端が下を向くように垂れ下がった状態となり、係止ピン20を差込部11に差込可能となる。
【0033】
図7(b)に示すように、係止ピン20がアーム部材10の差込部11に差込まれている状態において扉1を開けるように力が加わり、戸先1aが扉枠2から離れ始めると、アーム部材10は、係止ピン20に押され、先端が扉枠2から離れるように回動を開始する。
【0034】
図7(c)に示すように、戸先1aが扉枠2から更に離れると、アーム部材10が係止ピン20によって更に押され、アーム部材10は、先端が更に扉枠2から離れるように回動される。
【0035】
図7(d)に示すように、戸先1aと扉枠2との隙間が更に大きくなり、差込部11の第2端部11bまで係止ピン20が移動すると、差込部11における係止ピン20とアーム部材10との係合によって、扉1は、
図3(c)に示す角度範囲α1以上は開かないように係止ピン20によって係止される。
【0036】
次に、
図8を参照して、実施形態のドアガードが、扉1が閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用される場合の動作を説明する。
図8は、
図1のドアガードがイレギュラーな方法で使用されるときの上面図である。
【0037】
図8は、扉1が完全には閉まっておらず、アーム部材10は先端が下を向くように垂れ下がり、係止ピン20は、差込部11に差込まれることなく、
図5(a)に実線によって示した係合位置まで移動されている状態を示している。
図8に示されている状態においては、扉1を開いていた手が離され、扉1が閉まろうとするとき、係止ピン20がアーム部材10の外側面と当接し、扉1が完全に閉まってしまうことが避けられる。
【0038】
以上、
図1から
図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアガードによれば、アーム部材10が、横方向X1に沿って配される回動軸12を中心に回動可能に扉1及び扉枠2の一方、実施形態においては扉枠2に取付けられ、係止ピン20が、横方向X1に沿って進退可能に扉1及び扉枠2の他方、実施形態においては扉1に取付けられ、係止ピン20が、アーム部材10の差込部11に差込まれ、差込部11におけるアーム部材10との係合によって一定の角度範囲で開閉可能に扉1を係止する。
【0039】
従って、扉1が開かれている状態で係止ピン20が
図5(a)に実線によって示す係合位置まで移動されることによって、係止ピン20は、アーム部材10の差込部11に差込まれることなく係合位置に移動し、扉1から手を離すと、
図8に示すように、係止ピン20がアーム部材10の外側面と当接する。その結果、実施形態のドアガードが、扉1が完全に閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されたとしても、特許文献1に示されている従来のドアガードのように扉がアーム部材と衝突することがなく、扉1に傷が付くことを防止できる。
【0040】
また、
図8に示すように係止ピン20とアーム部材10とが当接している状態においては、両者の間に扉1の表面に略垂直な直線方向に力が掛かるだけである。一方、特許文献1に記載されているような従来のドアガードにおいては、アーム部材が扉と扉枠との間に挟まれると、梃子の原理によってアーム部材に大きな力が掛かり、アーム部材が変形してしまうようなことがある。実施形態のドアガードは、扉1が完全に閉まってしまうのを避けるようなイレギュラーな方法で使用されても、ドアガードに大きな力が加わることがなく、ドアガード自体の損傷も抑えることができる。
【0041】
また、
図1から
図8を参照して説明したように、実施形態に係るドアガードによれば、ドアガードを使用せずに通常どおりに扉1を開ける場合には、係止ピン20は、横方向X1において係合位置から退いた非係合位置に移動される。非係合位置においては、係止ピン20は、扉1の戸先から横方向X1に突出する長さが短いか、ほとんど突出しない状態となる。従って、特許文献1に示したような従来のドアガードにおいては受け部材が常に戸先から大きく突出している状態であるのと比較すると、係止ピン20が服に引っかかるようなことがなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【0042】
次に、
図9から
図10を参照して、実施形態の固定手段を説明する。
図9(a)は、実施形態の固定手段のチャンネル部材を示す正面図である。
図9(b)は、
図9(a)のB-B矢視断面図である。
図9(c)は、
図9(a)のC-C矢視断面図である。
図10は、実施形態の固定手段を示す分解斜視図である。
【0043】
実施形態のドアガードにおいては、アーム部材10は、チャンネル部材41と台座部材42とを含む固定手段40によって、回動軸12を中心に回動可能に扉1及び扉枠2の一方、実施形態においては扉枠2に取付けられる。
【0044】
図9に示すように、固定手段40のチャンネル部材41は、角板片状であり、互いに平行である一対の端面41aに一対の溝部41bを有する。また、チャンネル部材41は、扉枠2にビスによって固定されるものであり、
図10に示す一対の止めネジ41cが挿通される一対の第2挿通孔41d、一対の止めネジ41cの頭を収容する一対の第3収容室41eを有する。
【0045】
また、チャンネル部材41は、嵌合凹部41fと、第3挿通孔41gとを更に有する。嵌合凹部41fは、台座部材42の嵌合突起42dと嵌合する。第3挿通孔41gは、止めネジ41cが挿通される。第3挿通孔41gに挿通される止めネジ41cは、台座部材42をチャンネル部材41と扉枠2とに固定する。
【0046】
固定手段40の台座部材42は、一対の突条部42a、覆い部42b、支持部42c、嵌合突起42d、第4挿通孔42e、及びコの字状に配されている3つの板状部42fを有する。
【0047】
一対の突条部42aは、3つの板状部42fのうち水平方向において対向配置される一対の板状部42fの対向面に形成され、チャンネル部材41の一対の溝部41bとスライド式に嵌合される。
【0048】
覆い部42bは、角板状であり、外周部の三辺が3つの板状部42fの側端部と一体的に結合される。そして、覆い部42bは、チャンネル部材41の一対の第3収容室41eを覆うことによって、チャンネル部材41を扉枠2に固定する一対の止めネジ41cを覆う。
【0049】
支持部42cは、覆い部42bと一体的に結合される、対向配置された三角形状の2つの厚板状部材から形成されており、回動軸12を軸支する軸支孔42gを有し、回動軸12を支持する。
【0050】
嵌合突起42dは、3つの板状部42fのうち、水平方向において対向配置される一対の板状部42fの間において上側に配置される板状部42fの下側面から下向きに突設される。また、嵌合突起42dは、一対の突条部42aが一対の溝部41bとスライド式に嵌合されたときに嵌合凹部41fと嵌合する。
【0051】
第4挿通孔42eは、止めネジ41cが挿通される。第4挿通孔42eに挿通される止めネジ41cは、チャンネル部材41の第3挿通孔41gにも挿通され、台座部材42とチャンネル部材41とを扉枠2に固定する。そして、第4挿通孔42eに挿通される止めネジ41cは、一対の突条部42aが一対の溝部41bとスライド式に嵌合され、嵌合突起42dが嵌合凹部41fと嵌合された状態を保つように、台座部材42をチャンネル部材41に対し固定する。
【0052】
また、第4挿通孔42eに挿通される止めネジ41cの頭は、覆い部42bに取付けられる樹脂製のカバー部材43によって覆われる。第4挿通孔42eが覆い部42bに形成される位置は、カバー部材43が、先端を下に向けるように垂れ下がったアーム部材10と覆い部42bとに挟まれる位置に設定される。従って、アーム部材10は、先端を下に向けるように垂れ下がった状態となるとき、覆い部42bとは当接せず、カバー部材43と当接することとなり、アーム部材10と台座部材42との接触によって異音が発生することが防止される。
【0053】
以上、
図9、
図10を参照して説明したように、実施形態のドアガードによれば、アーム部材10を固定する固定手段40が、チャンネル部材41と台座部材42とを含み、チャンネル部材41が、一対の溝部41bを有し、止めネジ41cによって扉1及び扉枠2の一方、実施形態においては扉枠2に取付けられ、台座部材42が、一対の溝部41bとスライド式に嵌合される一対の突条部42a、及び止めネジ41cを覆う覆い部42bを有する。覆い部42bが、チャンネル部材41を扉枠2に取付ける止めネジ41cを覆うことによって、係止ピン20が扉1を係止しているときに扉1と扉枠2との隙間から止めネジ41cを回転操作し、アーム部材10を扉枠2から取外すことが困難となり、セキュリティーを向上させることができる。また、止めネジ41cの頭が見えなくなり、ドアガードの外観を向上させることができる。
【0054】
また、
図9、
図10を参照して説明したように、実施形態のドアガードによれば、チャンネル部材41の第3挿通孔41gと台座部材42の第4挿通孔42eとに挿通され、台座部材42をチャンネル部材41に対し固定するための止めネジ41cがカバー部材43によって覆われるために、更にアーム部材10を取外すことが困難となり、更にセキュリティーを向上させることができる。また、カバー部材43が、先端を下に向けて垂れ下がっているアーム部材10と覆い部42bとの間に挟まった状態で止めネジ41cの頭を覆うことによって、アーム部材10を上向きに回動させないと止めネジ41cを回すことができず、更にセキュリティーを向上させることができるとともに、止めネジ41cの頭を隠すことができ、外観を向上させることができる。
【0055】
また、
図9、
図10を参照して説明したように、実施形態のドアガードによれば、台座部材42が、一対の突条部42aと一対の溝部41bとの嵌合、及び嵌合突起42dと嵌合凹部41fとの嵌合によってチャンネル部材41に固定され、第4挿通孔42eに挿通される止めネジ41cによってチャンネル部材41及び扉枠2に固定される。従って、扉1を開くように扉1に力が加えられたときにアーム部材10に掛かる荷重を確実に受けることができ、ドアガードの動作の信頼性を向上させることができる。
【0056】
以上、図面(
図1~
図10)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1))。
【0057】
上記実施形態においては、扉1が内開きであり、アーム部材10は扉枠2に取付けられ、係止ピン20は、扉1に取付けられている。扉1が外開きであれば、アーム部材10は扉1に取付けられ、係止ピン20は、扉枠2に取付けられる。
【符号の説明】
【0058】
X1…横方向
W1…幅
1…扉
2…扉枠
10…アーム部材
11…差込部
11a…第1端部
11b…第2端部
11c…挿通部
12…回動軸
20…係止ピン
21…軸部
22…頭部
30…移動手段
31…スライダ
32…レール部材
40…固定手段
41…チャンネル部材
41b…溝部
41c…止めネジ
42…台座部材
42a…突条部
42b…覆い部
42c…支持部
42d…嵌合突起