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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110193
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】デジタルマルチメータ
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
G01R19/165 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014629
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】390003539
【氏名又は名称】ハカルプラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100155457
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】三井 利男
(72)【発明者】
【氏名】今堀 知之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 大介
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA22
2G035AB01
2G035AB04
2G035AC01
2G035AC02
2G035AC03
2G035AD26
(57)【要約】
【課題】高価なソフトウエアや通信システムを要することなく、デジタルマルチメータの利便性を高める。
【解決手段】デジタルマルチメータ1は、入力された電流及び電圧に対応する電気信号を生成する入力部3と、入力部3で生成された電気信号に基づいて、電流及び電圧を含む各種電気量の値を演算する演算部4と、演算部4で演算した各種電気量の値を表示する液晶表示部6とを備え、液晶表示部6に、コード画像21を表示可能とした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された電流及び電圧に対応する電気信号を生成する入力部と、前記入力部で生成された電気信号に基づいて各種電気量の計測値を演算する演算部と、前記演算部で演算した各種電気量の計測値を表示する液晶表示部とを備えたデジタルマルチメータであって、
前記液晶表示部にコード画像を表示可能としたデジタルマルチメータ。
【請求項2】
前記液晶表示部に、埋め込まれた情報の種類が異なる複数種の前記コード画像を選択的に表示可能である請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項3】
前記コード画像が、前記各種電気量の計測値が埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項4】
前記演算部が、前記コード画像を生成して前記液晶表示部に表示させる請求項3に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項5】
操作部を備え、
作業者が前記操作部を操作することで、前記演算部が、そのときの前記各種電気量の計測値を演算すると共に、当該計測値が埋め込まれた前記コード画像を生成して前記液晶表示部に表示させる請求項4に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項6】
前記コード画像が、当該デジタルマルチメータの固有情報が埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項7】
前記コード画像が、当該デジタルマルチメータの設定値が埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項8】
前記コード画像が、当該デジタルマルチメータと無線接続するための情報が埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項9】
前記コード画像が、当該デジタルマルチメータに関する情報が掲載されたホームページのURLが埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【請求項10】
前記コード画像が、当該デジタルマルチメータの製造時の情報が埋め込まれたものである請求項1に記載のデジタルマルチメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルマルチメータに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルマルチメータ(以下、単に「メータ」とも言う。)は、ビルや工場等の受配電設備に設けられ、入力された電流及び電圧に基づいて、電流、電圧、及び電力量等の各種電気量を演算して表示するものである(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
定期的な検針時や、電気系統に不具合が生じたときには、作業者が、メータの表示部に表示された各種電気量の値を目視で読み取って確認する。この場合、作業者がメータの表示部に表示された値を読み間違えるミスが生じ得る。
【0004】
例えば、下記の特許文献1に示された点検支援システムでは、作業者が、検針用のターミナルの撮像部でメータの表示部を撮像し、ターミナルに組み込まれた認識手段が、撮影画像に写った数字から各種電気量の値(検針値)を認識する。これにより、作業者が目視により確認する場合と比べて、人為的なミスを回避できる。
【0005】
また、上記の点検支援システムでは、メータの表面に、当該メータの識別情報が埋め込まれた識別コード(例えば二次元バーコード)を貼り付けている。この識別コードをターミナルの撮像部で撮像し、当該識別コードに埋め込まれた識別情報に基づいて、検針値が入力される入力項目を決定することにより、検針値を誤った入力項目に入力することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6514310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の点検支援システムでは、ターミナルに、撮影画像に写った数字からその数値を認識する高価なソフトウエアが必要となるため、コスト高を招く。
【0008】
また、メータに貼り付けられた識別コードは、異なるものに貼り替えない限り変更することはできない。そもそも、上記の識別コードは、当該メータの識別情報(例えば、当該メータが「第1メータ」であることを示す情報)が埋め込まれたものであるため、変更する必要が無い。このように、引用文献1には、当該メータの識別情報などの固定的な情報を識別コードに埋め込んでメータに貼り付けることが示されているに過ぎない。
【0009】
例えば、有線あるいは無線通信により各メータとコンピュータとを接続すれば、作業者による目視作業を要することなく、いつでも各メータからコンピュータに検針値等を送信することができる。しかし、全てのメータをコンピュータと通信可能に接続するためにはコストがかかる。
【0010】
以上のような事情から、本発明は、高価なソフトウエアや通信システムを要することなく、デジタルマルチメータの利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、入力された電流及び電圧に対応する電気信号を生成する入力部と、前記入力部で生成された電気信号に基づいて各種電気量の計測値を演算する演算部と、前記演算部で演算した各種電気量の計測値を表示する液晶表示部とを備えたデジタルマルチメータであって、
前記液晶表示部にコード画像を表示可能としたデジタルマルチメータを提供する。
【0012】
このように、本発明に係るメータでは、各種電気量(電流、電圧、電力量等)の計測値を表示する液晶表示部に、コード画像(例えば、二次元バーコード)を表示可能とした。作業者は、液晶表示部に表示されたコード画像を読取機(スマートフォン等)で読み取ることで、当該コード画像に埋め込まれた情報を取得することができる。コード画像から情報を読み取るソフトウエアは、撮影画像に写った数字からその数値を認識するソフトウエアと比べて安価であるため、低コストな手法でメータから情報を正確に取得することができる。
【0013】
上記のメータは、液晶表示部に、埋め込まれた情報の種類が異なる複数種のコード画像を選択的に表示可能とすることが好ましい。これにより、作業者は、何れかのコード画像を選択して液晶表示部に表示させることで、当該コード画像に埋め込まれた情報を簡単に取得することができる。
【0014】
例えば、演算部で演算された各種電気量の計測値が埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。作業者が、液晶表示部に表示された上記のコード画像を読取機で読み取ることで、このコード画像に埋め込まれた各種電気量の計測値を取得することができる。これにより、メータの演算部が演算した各種電気量の計測値を、読み間違うことなく正確に取得することができる。
【0015】
上記の各種電気量の計測値に関するコード画像は、演算部が生成して液晶表示部に表示させることができる。特に、メータが操作部を備え、作業者が操作部を操作することで、演算部が、そのときの各種電気量の計測値を演算すると共に、当該計測値が埋め込まれたコード画像を生成して液晶表示部に表示させることが好ましい。この場合、作業者が操作部を操作し、液晶表示部に表示された上記のコード画像を読み取ることで、そのときの各種電気量の計測値をリアルタイムで取得することができる。
【0016】
また、メータの固有情報が埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。作業者が、液晶表示部に表示された上記のコード画像を読取機で読み取ることで、当該メータの固有情報を取得できるため、他のメータと間違う事態を確実に防止できる。
【0017】
また、メータの設定値が埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。メータを稼働させるためには、様々な項目(VT比やCT比等)の設定値が入力されるが、受配電設備のメンテナンス時や不具合発生時に、メータの設定値を確認することがある。この場合、メータの設定値が埋め込まれたコード画像を液晶表示部に表示させ、このコード画像を読取機で読み込むことで、メータの設定値を現場で簡単に取得することができる。
【0018】
また、メータと無線接続するための情報が埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。このコード画像を読取機で読み取ることで、メータと読取機とが無線通信可能に接続された状態(すなわち、ペアリングされた状態)となるため、メータ内の任意の情報を読取機に転送することができる。
【0019】
また、当該メータに関する情報(例えば、取扱説明書やトラブルシューティング)が掲載されたホームページのURLが埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。このコード画像を読み取ることで、メータに関する情報が掲載されたホームページに現場で簡単にアクセスすることができる。
【0020】
また、メータの製造時の情報が埋め込まれたコード画像を、液晶表示部に表示することができる。例えばメータに不具合が生じた場合、液晶表示部に上記のコード画像を表示させ、このコード画像を読取機で読み込むことで、当該メータの製造時の情報(例えば、製造工程のデータや検査工程のデータ)を現場で簡単に取得することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、高価なソフトウエアや通信システムを要することなく、必要な情報をメータから簡単に取得することができるため、メータの利便性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るデジタルマルチメータのブロック図である。
図2】上記デジタルマルチメータの正面図である。
図3】上記デジタルマルチメータの動作を説明するためのフロー図である。
図4】上記デジタルマルチメータの動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明の一実施形態に係るデジタルマルチメータ1は、ビルや工場等の受配電設備に設けられるものであり、具体的には、受電盤あるいは配電盤の筐体の中に設置される。メータ1は、図1に示すように、電源部2、入力部3、演算部4、記憶部5、液晶表示部6、操作部7、及び出力部8を有する。
【0025】
入力部3は、受配電設備内の電気回路に接続される。電気回路から入力部3に電流及び電圧が入力されると、入力部3は、入力された電流及び電圧に対応する電気信号を生成する。
【0026】
演算部4は、入力部3で生成された電気信号に基づいて、各種電気量を演算する。各種電気量は、例えば電流及び電圧を含む。本実施形態では、各種電気量として、電流、電圧、電力、無効電力、力率、周波数、電力量、無効電力量、高調波電流、高調波電圧が演算される。尚、上記の電力量のうち、不要なものは省略してもよい。また、上記以外の他の電気量を追加してもよい。
【0027】
記憶部5は、演算部4で演算した各種電気量を記憶する。例えば、演算部4で定期的に各種電気量を演算し、これらを記憶部5に記憶する。このとき、演算部4で定期的に演算した各種電気量を記憶部5に蓄積してもよいし、演算部4で演算した各種電気量で、それ以前に記憶部5に記憶された各種電気量を上書きすることで、最新の値に更新してもよい。
【0028】
記憶部5には、予め、以下のような項目の情報、及び当該情報が埋め込まれたコード画像が記憶されている。
・メータ1の固有情報
・メータ1の設定値
・無線接続用ID
・メータ1に関する情報が掲載されたホームページのURL
・メータ1の製造時の情報
【0029】
メータ1の固有情報は、当該メータ1を特定するための情報であり、例えば、当該メータ1の形式、製造番号、製造年、及び定格のうちの一又は複数の情報を含む。
【0030】
メータ1の設定値は、メータ1を設定するために入力した情報であり、例えば、VT比、CT比、アナログ出力、パルス出力、警報出力、通信のうちの一又は複数の設定値を含む。
【0031】
無線接続用IDは、メータ1と無線通信可能に接続するための情報である。本実施形態の無線接続用IDは、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信可能とする(すなわちペアリングする)ための情報である。
【0032】
メータ1に関する情報が掲載されたホームページのURLは、当該メータ1の取り扱い方法に関する情報(例えば、取扱説明書やトラブルシューティングなど)が掲載されたホームページのURLである。
【0033】
メータ1の製造時の情報は、当該メータ1の製造時に取得した情報であり、例えば、当該メータ1の製造工程におけるデータ(例えば製造条件の設定値など)や、検査工程におけるデータ(例えば校正値データなど)を含む。
【0034】
液晶表示部6は、図2に示すように、筐体9の前面に設けられる。液晶表示部6は、セグメント液晶部10と、フルドット液晶部20とを有する。セグメント液晶部10は、予め定められたパターンのみを表示可能な領域であり、例えば、数値表示部11、12、13、バー表示部14、アラーム出力表示部15、接点入力表示部16等が設けられる。数値表示部11、12、13に、上述した各種電気量の中から選択した電気量を表示することができる。例えば、上段の数値表示部11には電圧、中段の数値表示部12には電流、下段の数値表示部13には電力量を表示することができる。
【0035】
フルドット液晶部20には、任意の画像を表示することが可能である。図示例では、フルドット液晶部20に、コード画像21と、当該コード画像21に埋め込まれた情報の項目22が表示される。コード画像21は、例えば一次元バーコードや二次元バーコードであり、図示例では二次元バーコードである。図示例では、フルドット液晶部20に1個のコード画像21及びその項目22が表示されているが、フルドット液晶部20に複数のコード画像及びそれらの項目を表示してもよい。
【0036】
液晶表示部6の下方には、操作部7としての複数の操作ボタン71~76が設けられる。操作ボタン71~75を操作することで、各数値表示部11、12、13に表示する電気量の種類を変更することができる。また、操作ボタン76(CODEボタン)を押下することで、フルドット液晶部20に表示されるコード画像21及び項目22を変更することができる。
【0037】
以下、上記のメータ1の使用方法を、図3及び図4のフロー図を用いて説明する。
【0038】
まず、受配電設備内の電気回路からメータ1の入力部3に電流及び電圧が入力され、電気信号(アナログ信号)が生成される(ステップS1)。入力部3で生成されたアナログ信号が演算部4に伝達され、演算部4が、上記のアナログ信号をデジタル信号に変換すると共に(ステップS2)、このデジタル信号に基づいて各種電気量を演算する(ステップS3)。本実施形態では、入力部3からの信号に基づいて、演算部4が、電流、電圧、電力、無効電力、力率、周波数、電力量、無効電力量、高調波電流、高調波電圧を演算する。
【0039】
そして、演算部4で演算された各種電気量の計測値が、表示回路31を介して、液晶表示部6のセグメント液晶部10に表示される(ステップS4)。本実施形態では、液晶表示部6のセグメント液晶部10には、メータ1による各種電気量の計測値がリアルタイムで表示される。例えば、数値表示部11、12、13には、そのときの各種電気量(例えば、電圧、電流、及び電力量)の計測値がリアルタイムで表示される。作業者は、操作ボタン71~75を操作することにより、数値表示部11、12、13に表示される電気量の種類を変更することができる。
【0040】
本実施形態のメータ1では、演算部4が演算した各種電気量を、上記のようにセグメント液晶部10に数字として表示するだけでなく、フルドット液晶部20に画像コードとして表示することができる(ステップS5)。具体的に、作業者が、図2に示すメータ1の操作ボタン76(CODEボタン)を押下すると、演算部4が、各種電気量の計測値を演算し、当該計測値が埋め込まれたコード画像21を生成して、液晶表示部6のフルドット表示部20にコード画像21を表示させると共に、その上に当該コード画像21に埋め込まれた情報の項目22として「計測値」の文字を表示させる。
【0041】
本実施形態では、埋め込まれた情報の種類が異なる複数種のコード画像を、選択的に液晶表示部6のフルドット液晶部20に表示することができる。具体的には、「各種電気量の計測値のコード画像」、「メータ1の設定値のコード画像」、「メータ1の固有情報のコード画像」、「メータ1に関するURLのコード画像」、「無線接続用IDのコード画像」、「メータ1の製造時データのコード画像」の中から選択した1つのコード画像を、フルドット液晶部20に表示することができる。
【0042】
例えば、作業者が、図2に示すメータ1の操作ボタン76(CODEボタン)を押下すると(図4のステップS10)、演算部4が、押下回数に応じて、フルドット液晶部20に表示するコード画像を切り替える(ステップS11)。具体的には、操作ボタン76を押下する毎に、「各種電気量の計測値のコード画像」→「メータ1の設定値のコード画像」→「メータ1の固有情報のコード画像」→「メータ1に関するURLのコード画像」→「無線接続用IDのコード画像」→「メータ1の製造時データのコード画像」→「各種電気量の計測値のコード画像」の順に、フルドット液晶部20に表示されるコード画像21及び項目22が切り替わる。
【0043】
操作ボタン76を1回押下すると、フルドット液晶部20に「各種電気量の計測値のコード画像」が表示される。本実施形態では、操作ボタン76が押下されたときに、演算部4が、そのときの各種電気量の計測値を演算すると共に、当該計測値が埋め込まれたコード画像を生成し、フルドット液晶部20に表示させる。このコード画像には、演算部4で演算した各種電気量(電流、電圧、電力、無効電力、力率、周波数、電力量、無効電力量、高調波電流、高調波電圧)のうちの一又は複数の計測値が埋め込まれ、例えば上記全ての電気量の計測値が埋め込まれる。
【0044】
この状態で、作業者が、手元にある読取機(スマートフォン、タブレット型端末、バーコードリーダ等)で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機で各種電気量の計測値を取得することができる。例えば、読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、各種電気量の計測値が、読取機の表示画面に表示されると共に、読取機の記憶部に自動的に入力される。これにより、作業者による読み間違いを生じることなく、各種電気量の計測値を正確に読取機に入力することができる。また、コード画像からそれに埋め込まれたデータを読み取るソフトウエアは比較的安価であるため、低コストな手法で各種電気量を取得することができる。
【0045】
操作ボタン76をもう1回押下すると、フルドット液晶部20に「メータ1の設定値のコード画像」が表示される。この状態で、作業者が、手元にある読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機でメータ1の設定値を取得することができる。例えば、読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機の表示画面にメータ1の設定値が自動的に表示される。メータ1の設定値は、定期的な検針作業等では不要であるが、メータ1に何らかの不具合が生じたとき等に必要となることがある。そのときに上記の手順を経ることで、現場で簡単にメータ1の設定値を確認することができる。
【0046】
操作ボタン76をもう1回押下すると、フルドット液晶部20に「メータ1の固有情報のコード画像」が表示される。この状態で、作業者が、手元にある読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機で各種電気量の情報を取得することができる。例えば、読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、メータ1の固有情報(形式、製造番号、製造年等)が、読取機の表示画面に表示されると共に、読取機の記憶部に入力される。こうしてメータ1の固有情報を取得することで、当該メータ1と他のメータを間違う事態を回避できる。
【0047】
ところで、従来のメータは、固有情報が記載されたシール等が、メータの表示部以外の領域(例えば側面)に貼り付けられていることが多かった。この場合、作業者は、受配電設備の扉を開けて、メータの固有情報を確認する必要があるため、受配電設備内の高電圧部に触れないように注意しながら慎重に作業する必要があった。これに対し、上記のようにメータ1の前面に設けられた液晶表示部6に表示されたコード画像は、受配電設備の扉に設けられた窓を介して外部から見えるため、受配電設備の扉を開けることなくメータ1の固有情報を確認することが可能となり、作業性が高められる。
【0048】
操作ボタン76をもう1回押下すると、フルドット液晶部20に「URLのコード画像」が表示される。この状態で、作業者が、手元にある読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機で当該URLのホームページを閲覧することができる。例えば、読取機に、メータ1の取扱説明書(設定方法)やトラブルシューティングが掲載されたホームページを表示させれば、作業者が、現場でこのホームページを見ながら作業を行うことができる。また、フルドット液晶部20に、そのときの液晶表示部6(セグメント液晶部10)の表示画面に関する説明等が掲載されたホームページのURLのコード画像が表示されるようにしてもよい。このコード画像を読取機で読み取ることで、読取機の表示部に、そのときのメータ1の液晶表示部6の画面に関する説明が表示されるため、作業者は、その説明を見ながらメータ1の操作等を行うことができる。
【0049】
操作ボタン76をもう1回押下すると、フルドット液晶部20に「無線接続用IDのコード画像」が表示される。この状態で、作業者が、手元にある読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機とメータ1との無線接続(例えば、ブルートゥース(登録商標)通信等の近距離無線通信のペアリング)が自動で行われる。これにより、読取機とメータ1とが無線通信可能に接続されるため、メータ1内のあらゆる情報を読取機に転送することが可能となる。
【0050】
操作ボタン76をもう1回押下すると、フルドット液晶部20に「メータ1の製造時データのコード画像」が表示される。この状態で、作業者が、手元にある読取機で上記のコード画像を読み取ることにより、読取機の表示部にメータ1の製造時の情報が表示される。メータ1の製造時のデータは、通常の検針作業等では不要であるが、メータ1に何らかの不具合が生じたとき等に必要となることがある。そのとき、上記のように読取機で上記のコード画像を読み取ることで、現場で簡単にメータ1の製造時のデータを確認することができる。
【0051】
図3に示すように、演算部4で演算された各種電気量の値は、出力回路32を介して外部に出力される。具体的に、図3に示すように、各種電気量の値を、アナログ信号として出力したり(ステップS6)、無線通信手段を介して出力したり(ステップS7)、パルス信号として出力したり(ステップS8)、接点を介して出力したり(ステップS9)することができる。
【0052】
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と同様の点については重複説明を省略する。
【0053】
コード画像を表示する項目は、上記の実施形態に限られない。例えば、「各種電気量の計測値のコード画像」、「メータ1の設定値のコード画像」、「メータ1の固有情報のコード画像」、「メータ1に関するURLのコード画像」、「無線接続用IDのコード画像」及び「メータ1の製造時データのコード画像」のうち、一又は複数の項目を省略してもよい。あるいは、他の項目のコード画像を追加してもよい。
【0054】
また、上記の項目のうち、複数の項目の情報を1個のコード画像に埋め込んでもよい。例えば、演算部4が、各種電気量の計測値及びメータ1の固有情報を埋め込んだコード画像を生成し、このコード画像をフルドット液晶部20に表示させてもよい。このコード画像を読取機で読み取ることで、メータ1の固有情報とこのメータ1で計測された計測値とが紐づけられた状態で読取機で取得されるため、メータ1の計測値を他のメータの計測値と間違う事態を確実に防止できる。
【符号の説明】
【0055】
1 デジタルマルチメータ
2 電源部
3 入力部
4 演算部
5 記憶部
6 液晶表示部
7 操作部
8 出力部
9 筐体
10 セグメント液晶部
11、12、13 数値表示部
14 バー表示部
15 アラーム出力表示部
16 接点入力表示部
20 フルドット液晶部
21 コード画像
22 項目
31 表示回路
32 出力回路
71-76 操作ボタン
図1
図2
図3
図4