(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110201
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電力分配制御システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240807BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240807BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/46
H02J3/38 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014643
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 慎平
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】堤 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】塚本 諄
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA04
5G066AE01
5G066AE03
5G066AE09
5G066HA17
5G066HB01
5G066HB06
5G066JA12
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】複数の施設間で余剰電力を適切に分配できるようにする。
【解決手段】実施形態の電力分配制御システムは、明るさ情報取得部と、使用電力情報取得部と、データベース生成部と、演算部と、を備える。明るさ情報取得部は、各施設内の所定領域の明るさを示す明るさ情報を取得する。使用電力情報取得部は、各照明設備の使用電力を示す使用電力情報を取得する。データベース生成部は、各施設から取得した明るさ情報と使用電力情報とに基づいて、施設毎又は照明設備毎に明るさと使用電力とが対応付けられた情報を含むデータベースを生成する。演算部は、各発電設備の発電力の予測値である予測発電力を示す情報とデータベースとに基づいて、送電元となる施設である送電元施設と送電先となる施設である送電先施設とを決定し、送電元施設から送電先施設への送電量を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが照明設備及び発電設備を有する複数の施設間で電力を分配するための処理を実行する電力分配制御システムであって、
各前記施設内の所定領域の明るさを示す明るさ情報を取得する明るさ情報取得部と、
各前記照明設備の使用電力を示す使用電力情報を取得する使用電力情報取得部と、
各前記施設から取得した前記明るさ情報と前記使用電力情報とに基づいて、前記施設毎又は前記照明設備毎に明るさと使用電力とが対応付けられた情報を含むデータベースを生成するデータベース生成部と、
各前記発電設備の発電力の予測値である予測発電力を示す情報と前記データベースとに基づいて、送電元となる前記施設である送電元施設と送電先となる前記施設である送電先施設とを決定し、前記送電元施設から前記送電先施設への送電量を算出する演算部と、
を備える電力分配制御システム。
【請求項2】
前記演算部は、前記データベースに基づいて、前記所定領域の現在の明るさに対応する、当該所定領域と同一の前記施設内に存在する前記照明設備の前記使用電力の予測値である予測使用電力を算出し、前記予測使用電力に基づいて前記送電量を算出する、
請求項1に記載の電力分配制御システム。
【請求項3】
前記演算部は、前記予測使用電力と前記予測発電力との差分に基づく余剰電力又は不足電力を前記施設毎に算出し、算出された前記余剰電力又は前記不足電力に基づいて前記送電元施設及び前記送電先施設を決定する、
請求項2に記載の電力分配制御システム。
【請求項4】
前記送電元施設から前記送電先施設への送電の実行中において、前記送電元施設の前記余剰電力が当初の前記送電量に対応する電力より小さくなった場合に、警報を出力する警報処理部、
を更に備える請求項3に記載の電力分配制御システム。
【請求項5】
前記警報処理部は、前記発電設備により発電された電力を蓄電する蓄電設備に蓄えられた蓄電量を考慮して余剰電力を算出する、
請求項4に記載の電力分配制御システム。
【請求項6】
前記データベース生成部は、明るさと使用電力との新規な組み合わせを前記データベースに追加する処理を行う、
請求項1に記載の電力分配制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力分配制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の道路上に設置された照明設備を制御する技術として、周辺の明るさや交通状況等に応じて照明設備の発光量を変化させる技術が利用されている。また、このような照明設備をその近辺に設置された太陽光発電システム等の発電設備により発電された電力により駆動させる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-195205号公報
【特許文献2】特表2016-517622号公報
【特許文献3】特開2014-60127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような照明設備と発電設備とを備える施設(例えばトンネル、サービスエリア、インターチェンジ等)において、発電設備の発電力が照明設備の使用電力を上回る場合には、余剰電力が発生することとなる。このような余剰電力を複数の施設間で適切に分配可能なシステムの構築が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電力分配制御システムは、それぞれが照明設備及び発電設備を有する複数の施設間で電力を分配するための処理を実行する。電力分配制御システムは、明るさ情報取得部と、使用電力情報取得部と、データベース生成部と、演算部と、を備える。明るさ情報取得部は、各施設内の所定領域の明るさを示す明るさ情報を取得する。使用電力情報取得部は、各照明設備の使用電力を示す使用電力情報を取得する。データベース生成部は、各施設から取得した明るさ情報と使用電力情報とに基づいて、施設毎又は照明設備毎に明るさと使用電力とが対応付けられた情報を含むデータベースを生成する。演算部は、各発電設備の発電力の予測値である予測発電力を示す情報とデータベースとに基づいて、送電元となる施設である送電元施設と送電先となる施設である送電先施設とを決定し、送電元施設から送電先施設への送電量を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の電力分配システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態の中央監視システム及び施設内の制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のデータベースのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態のデータベース生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態の分配制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態の警報処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態について説明する。
【0008】
図1は、実施形態の電力分配システムSの構成の一例を示す図である。電力分配システムSは、中央監視システム1(電力分配制御システムの一例)、複数の施設2A,2B,…、送電網5及び通信網6を含む。以下、複数の施設2A,2B,…を区別する必要がない場合には、これらを施設2と記載する場合がある。
【0009】
施設2は、高速道路等の道路上に設けられる施設であって、例えばトンネル、サービスエリア(パーキングエリア)、インターチェンジ等であり得る。各施設2は、照明設備11、発電設備12、蓄電設備13、受変電設備14、受光装置15及び制御装置16を有する。
【0010】
照明設備11は、各施設2内に設置され、施設2の種類毎に異なる。例えば、施設2がトンネルである場合、当該施設2の照明設備11は、トンネル内に設置された照明等であり得る。また、施設2がサービスエリアである場合、当該施設2の照明設備11は、駐車場の照明、商業施設内の照明等であり得る。
【0011】
発電設備12は、施設2内又はその近辺に設置され、施設2内の照明設備11を駆動させるための電力を発生させる設備であり、例えば太陽光発電システム等であり得る。太陽光発電システムには、例えばソーラーパネル、パワーコンディショナ等が含まれ得る。なお、発電設備12は、太陽光発電システムに限定されるものではない。
【0012】
蓄電設備13は、発電設備12により発電された電力を蓄電する。蓄電設備13には、蓄電池等が含まれ得る。
【0013】
受変電設備14は、高圧電力を照明設備11に適合する電圧に変圧して照明設備11に配電する設備である。高圧電力には、電力会社により管理される送電網5から供給される電力、同一の施設2内の発電設備12又は/及び蓄電設備13から供給される電力等が含まれ得る。受変電設備14は、公知の技術を適宜利用して構成され得るものであるが、例えば変圧器、分電盤、制御基板、計測器等を利用して構成され得る。
【0014】
受光装置15は、施設2内の所定領域の明るさを計測する装置である。所定領域とは、照明設備11の制御に利用される明るさを計測可能な領域であり、例えば照明設備11の設置位置から所定距離以内の領域等であり得る。所定領域は、照明設備11の種類に応じて異なる。例えば、照明設備11がトンネル内の照明である場合、所定領域は、トンネルの入口又は出口付近の領域であり得る。また、照明設備11が駐車場や道路等に設置された路上照明である場合、所定領域は、当該路上照明の設置位置の近傍の領域であり得る。受光装置15により計測される明るさを示す指標値は、例えば照度(lx)、輝度(cd/m2)等であり得る。
【0015】
制御装置16は、施設2内の照明設備11や受変電設備14等を制御するための各種処理を実行する情報処理装置である。制御装置16は、受光装置15と施設2内の通信網を介して接続し、受光装置15による計測結果を取得可能に構成されている。また、制御装置16は、公衆通信回線等を含む適宜な通信網6を介して中央監視システム1と通信可能に構成されている。制御装置16の具体的な機能については後述する。
【0016】
中央監視システム1は、複数の施設2間で電力を分配するための処理を実行するコンピュータシステムである。中央監視システム1は、通信網6を介して各施設2内の制御装置16と通信可能に構成され、各制御装置16から送信される情報等に基づいて、各施設2内の受変電設備14等を制御するための処理を実行する。中央監視システム1は、適宜な情報処理装置、記憶装置、通信装置、ユーザインターフェース等を利用して構成され得るものであり、例えば単体のコンピュータにより構成されてもよいし、複数のコンピュータが連携して構成されてもよい。中央監視システム1の具体的な機能については後述する。
【0017】
図2は、実施形態の中央監視システム1及び施設2内の制御装置16の機能構成の一例を示す図である。中央監視システム1は、通信部101、明るさ情報取得部102、使用電力情報取得部103、データベース生成部104、発電予測部105、演算部106及び警報処理部107を有する。これらの機能部101~107は、中央監視システム1を構成するハードウェアとソフトウェアとの協働により構成される。また、これらの機能部101~107のうち少なくとも一部が専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0018】
施設2内の制御装置16は、通信部201、調光制御部202、計測部203及び出力制御部204を有する。これらの機能部201~204は、制御装置16を構成するハードウェアとソフトウェアとの協働により構成される。また、これらの機能部201~204のうち少なくとも一部が専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0019】
各施設2の調光制御部202は、同施設2内の受光装置15により計測された所定領域の明るさを示す明るさ情報に基づいて、同施設2内の照明設備11の発光量を調整する調光処理を行う。明るさ情報は、照度等の明るさを示す指標値の時系列変化を示す情報、すなわち、指標値と当該指標巍が検出された検出日時とが対応付けられた情報等であり得る。調光処理は、照明設備11の種類等に応じて異なる。例えば、照明設備11がトンネル内の照明であり、所定領域がトンネルの入口又は出口付近の領域である場合、調光制御部202は、所定領域が明るいほど発光量が大きくなるように、且つ所定領域が暗いほど発光量が小さくなるように照明を調整する。また、例えば、照明設備11がサービスエリアの駐車場の照明であり、所定領域が当該駐車場である場合、調光制御部202は、所定領域が明るいほど発光量が小さくなるように、且つ所定領域が暗いほど発光量が大きくなるように照明を調整する。
【0020】
各施設2の計測部203は、施設2内の照明設備11の使用電力を計測する。使用電力は、単位時間あたりに照明設備11で消費される電気エネルギーを示すパラメータであり、照明設備11の構造や発光量等に応じて変化する。計測部203による計測結果は、使用電力の時系列変化を示す情報、すなわち、使用電力と当該使用電力が検出された検出日時とが対応付けられた情報等である使用電力情報として出力される。
【0021】
中央監視システム1の通信部101と各施設2の通信部201とは、通信網6を介して通信を確立する。各施設2の通信部201は、調光制御部202から取得される明るさ情報と計測部203から取得される使用電力情報とを、通信網6を介して中央監視システム1の通信部101に送信する。
【0022】
中央監視システム1の明るさ情報取得部102は、通信部101により受信された各施設2の明るさ情報を取得する。中央監視システム1の使用電力情報取得部103は、通信部101により受信された各施設2の使用電力情報を取得する。
【0023】
中央監視システム1のデータベース生成部104は、明るさ情報取得部102により取得された明るさ情報と、使用電力情報取得部103により取得された使用電力情報と、に基づいて、データベースDBを生成する。データベースDBは、施設2毎又は照明設備11毎に所定領域の明るさと照明設備11の使用電力とが対応付けられた情報を含む。
【0024】
図3は、実施形態のデータベースDBのデータ構造の一例を示す図である。
図3において、データベースDBに含まれる情報として、施設2と、照明設備11と、所定領域の明るさと、照明設備11の使用電力と、が対応付けられたデータテーブルが例示されている。
【0025】
ここでは施設2の種類としてトンネル、SA(サービスエリア)及びIC(インターチェンジ)が例示されている。また、トンネルの照明設備11としてトンネル内に設置された照明である内部照明が例示され、SAの照明設備11としてSA内の駐車場に設置された照明である駐車場照明が例示され、ICの照明設備11として料金所に設置された料金所照明が例示されている。
【0026】
「明るさ」の列に記載されているL1~L3は、各施設2内の所定領域の明るさに応じて定められたランクを示すものであり、ここでは明るい(例えば照度が高い)ほどランクが高くなるように設定されている例が示されている。例えば、照度が第1閾値より低い場合にはL1となり、照度が第1閾値以上であり且つ第1閾値より高い第2閾値以下である場合にはL2となり、照度が第2閾値より大きい場合にはL3となる。なお、上記「明るさ」の定義方法は単なる例示である。例えば、ランクの分割数は照明の種類等に応じて異なってもよい。また、「明るさ」はランク分け以外の方法で定義されてもよい。
【0027】
ここで例示するデータベースDBでは、施設2毎又は照明設備11毎に所定領域の明るさ(ランクL1~L3)と照明設備11の使用電力とが対応付けられている。明るさと使用電力との間の増減関係は、照明設備11の種類に応じて異なる。例えば、トンネルの内部照明については、所定領域(例えば当該トンネルの入口又は出口付近)が明るいほど発光量が大きくなり、所定領域が暗いほど発光量が小さくなるため、当該内部照明の使用電力は、明るさのランクが低いほど小さくなり、明るさのランクが高いほど大きくなる。また、SAの駐車場照明やICの料金所照明については、所定領域(例えば駐車場内や料金所付近)が明るいほど発光量が小さくなり、所定領域が暗いほど発光量が大きくなるため、当該駐車場照明や料金所照明の使用電力は、明るさのランクが低いほど高くなり、明るさのランクが高いほど低くなる。なお、
図3における使用電力の値は単なる例示である。
【0028】
上記のようなデータベースDBは、公知の技術を適宜利用して生成されればよいが、例えば、明るさ情報に含まれる検出日時と、使用電力情報に含まれる検出日時と、が一致する明るさと使用電力とを対応付けること等により生成され得る。
【0029】
図2に戻り、中央監視システム1の発電予測部105は、各施設2の発電設備12(
図1参照)の発電力を予測する。発電力の予測は、公知の手法を適宜利用して実現されればよいが、例えば発電設備12が太陽光発電システムである場合には、各発電設備12の発電能力や気象情報等に基づいて実行され得る。発電予測部105による予測結果は、各発電設備12の発電力の予測値である予測発電力として出力される。
【0030】
中央監視システム1の演算部105は、発電予測部105により予測された各発電設備12の予測発電力とデータベースDBとに基づいて、送電元となる施設2である送電元施設と送電先となる施設2である送電先施設とを決定し、送電元施設から送電先施設への送電量を算出する。演算部105は、例えば、データベースDBに基づいて、各施設2の所定領域の現在の明るさに対応する、当該施設2内に存在する照明設備11の使用電力の予測値である予測使用電力を算出(導出)し、各施設2の予測使用電力に基づいて、送電元施設から送電先施設への送電量を算出する。また、演算部105は、例えば、予測使用電力と予測発電力との差分に基づく余剰電力又は不足電力を施設2毎に算出し、算出された余剰電力又は不足電力に基づいて送電元施設及び送電先施設を決定する。
【0031】
警報処理部107は、送電元施設から送電先施設への送電の実行中において、送電元施設の余剰電力が当初の送電量に対応する電力より小さくなった場合に、所定の形式で警報を出力する。このとき、警報処理部107は、送電元施設の蓄電設備13に蓄えられた蓄電量を考慮して現在の余剰電力を算出してもよい。警報は、例えば、中央監視システム1に備えられるディスプレイやスピーカ等の出力装置を介して出力され得る。警報の内容は適宜設定されるべきものであるが、例えば、インバランス料金が発生する可能性を通知する内容等が含まれ得る。
【0032】
図4は、実施形態のデータベース生成処理の一例を示すフローチャートである。中央監視システム1の明るさ情報取得部102及び使用電力情報取得部103は、各施設2から送信された明るさ情報及び使用電力情報を取得する(S101)。その後、データベース生成部104は、取得された明るさ情報が示す明るさと、取得された使用電力情報が示す使用電力と、の組み合わせが新規であるか否か、すなわち当該組み合わせが現在のデータベースDB内に存在しないか否かを判定する(S102)。
【0033】
当該明るさと使用電力との組み合わせが新規でない場合(S102:No)、本ルーチンは終了し、データベースDBは更新されない。一方、当該明るさ情報と使用電力との組み合わせが新規である場合(S102:Yes)、当該組み合わせに対応する施設2と照明設備11と明るさと使用電力とを対応付けた情報をデータベースDBに追加する(S103)。上記のような処理により、送電元施設及び送電先施設の決定や、送電元施設から送電先施設への送電量の算出等を行うための有用なデータベースDBを生成できる。
【0034】
図5は、実施形態の分配制御処理の一例を示すフローチャートである。分配制御処理は、複数の施設2間で余剰電力を分配し合うための処理である。中央監視システム1の演算部106は、明るさ情報取得部102から各施設2の現在の明るさ情報を取得し(S201)、データベースDBに基づいて、各施設2の現在の明るさに対応する予測使用電力を算出する(S202)。例えば、
図3に例示されるデータベースDBにおいて、対象となる施設2が「トンネル1」であり、当該施設2の現在の明るさが「L1」である場合、当該施設2の照明設備11である「内部照明」の予測使用電力は、「10」となる。また、例えば、対象となる施設2が「SA1」であり、当該施設の現在の明るさが「L3」である場合、当該施設2の照明設備11である「駐車場照明」の予測使用電力は「200」となる。
【0035】
その後、演算部106は、各施設2の予測使用電力と、発電予測部105により予測された各施設2の予測発電力と、に基づいて、各施設2の余剰電力又は不足電力を算出する(S203)。また、演算部106は、各施設2の余剰電力又は不足電力に基づいて、複数の施設2から電力の送電元となる送電元施設と、電力の送電先となる送電先施設と、を決定し、送電元施設から送電先施設への送電量を算出する(S204)。そして、演算部106は、送電元施設、送電先施設、送電量等を示す情報を含む分配制御情報を生成し、通信部101は、当該分配制御情報を送電元施設及び送電先施設に送信する(S205)。
【0036】
上記のような分配制御処理によれば、各施設2の現在の明るさに対応する予測使用電力を考慮して、送電元施設及び送電先施設の決定、並びに送電量の算出を高精度に行うことが可能となる。
【0037】
図6は、実施形態の警報処理の一例を示すフローチャートである。中央監視システム1の警報処理部107は、上記のように決定された送電元施設から送電先施設への送電を行う送電処理が継続中であるか否かを判定し(S301)、送電処理が継続中でない場合(S301:No)、本ルーチンを終了する。送電処理が継続中である場合(S301:Yes)、警報処理部107は、当該送電処理における送電元施設の現在の余剰電力を算出し(S302)、算出された現在の余剰電力が継続中の送電処理における当所の送電量に対応する電力より小さいか否かを判定する(S303)。現在の余剰電力が当初の送電量に対応する電力より小さくない場合(S303:No)、ステップS301以降の処理が再度実行され、現在の余剰電力が当初の送電量に対応する電力より小さい場合(S303:Yes)、警報処理部107は、所定の形式で警報を出力する(S304)。
【0038】
上記のような警報処理によれば、実行中の送電処理が当初の予定通りに進まなくなる可能性を管理者等に通知できる。これにより、例えば、インバランス料金の発生を回避すること等が可能となる。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、施設2毎又は照明設備11毎に、施設2内の所定領域の明るさと、照明設備11の使用電力と、が対応付けられたデータベースDBが生成される。そして、当該データベースDBを利用して現在の所定領域の明るさに対応する各照明設備11の予測使用電力が算出され、当該予測使用電力を利用して各施設2における余剰電力又は不足電力が高精度に算出される。これにより、送電元施設及び送電先施設の決定、並びに送電元施設から送電先施設への送電量の算出等を適切に行うことができ、複数の施設2間における電力の分配を効率的に実行できる。
【0040】
本実施形態の機能を実現するための処理をコンピュータに実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0041】
また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもより。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また、当該プログラムをROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示されたものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1…中央監視システム(電力分配制御システム)、2,2A,2B,…施設、5…送電網、6…通信網、11…照明設備、12…発電設備、13…蓄電設備、14…受変電設備、15…受光装置、16…制御装置、101…通信部、102…明るさ情報取得部、103…使用電力情報取得部、104…データベース生成部、105…発電予測部、106…演算部、107…警報処理部、201…通信部、202…調光制御部、203…計測部、204…出力制御部、DB…データベース