(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110203
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】シャフト保持具、プレート、回転防止具、振れ防止具、着脱制御装置、プレートラック装置
(51)【国際特許分類】
A63B 21/072 20060101AFI20240807BHJP
A63B 24/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A63B21/072 B
A63B24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014645
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】519050761
【氏名又は名称】株式会社ONE SLASH ONE
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】巳野 聡央
(72)【発明者】
【氏名】福原 義久
(57)【要約】
【課題】 シャフトへのプレートの自動着脱を可能にする。
【解決手段】 本発明のシャフト保持具はシャフト保持部材とシャフト保持部材のシャフトを保持した状態を維持するロック部材を備えたものである。本発明のプレートは筐体内に本発明のシャフト保持具が設けられたものである。本発明の回転防止具はシャフト保持具のアームに取り付けられるアームカバーと、シャフトに取り付けられる回転防止アタッチメントを備えたものである。本発明の振れ防止具はプレートの厚さ方向外側の面に接触する接触部を備えたものである。本発明の着脱制御装置はロック部材を移動させる駆動手段を備えたものである。本発明のプレートラック装置は、プレートを収納するプレート収納部と本発明の着脱制御装置を有する収納台座部を備えたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーベルのシャフトを保持するシャフト保持具であって、
前記シャフトを保持するシャフト保持部材と、
前記シャフト保持部材の前記シャフトを保持した状態を維持するロック部材を備えた、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項2】
請求項1記載のシャフト保持具において、
シャフト保持部材として、回転可能に連結された第一アーム及び第二アームを備えた、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項3】
請求項2記載のシャフト保持具において、
第一アームはシャフトの外周に沿った形状の第一湾曲部を備え、
第二アームはシャフトの外周に沿った形状の第二湾曲部を備え、
前記第一アーム及び第二アームの回転に伴い、前記第一湾曲部及び第二湾曲部が前記シャフトを互いに反対側から挟み込むことで、シャフト保持部材が前記シャフトを保持する、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項4】
請求項3記載のシャフト保持具において、
第一アームは、第一湾曲部から突設された第一突出部を備え、
第二アームは、第二湾曲部から突設された第二突出部を備え、
前記第一アーム及び第二アームによってシャフトが挟み込まれた状態で、ロック部材が前記第一突出部及び第二突出部に係合することで、シャフトの保持状態が維持される、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項5】
請求項3記載のシャフト保持具において、
第一湾曲部と第二湾曲部の間にシャフトが収まる第一セット部が設けられた、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項6】
請求項4記載のシャフト保持具において、
第一突出部と第二突出部の間にロック部材が収まる第二セット部が設けられた、
ことを特徴とするシャフト保持具。
【請求項7】
バーベルのシャフトに取り付けるプレートであって、
中空の筐体内に請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシャフト保持具が設けられた、
ことを特徴とするプレート。
【請求項8】
バーベルのシャフトに取り付けるプレートの回転を防止する回転防止具であって、
前記プレートが請求項7記載のプレートであり、
前記プレートのシャフト保持具のアームに取り付けられるアームカバーと、
前記シャフトに取り付けられる回転防止アタッチメントを備え、
前記アームカバーと前記回転防止アタッチメントに相互に嵌合する嵌合部が設けられた、
ことを特徴とする回転防止具。
【請求項9】
バーベルのシャフトに取り付けるプレートの横振れを防止する振れ防止具であって、
前記プレートが請求項7記載のプレートであり、
前記シャフトに取り付けられる本体を備え、
前記本体はプレートの厚さ方向外側の面に接触する接触部を備えた、
ことを特徴とする振れ防止具。
【請求項10】
請求項9記載の振れ防止具において、
本体の周方向外側に突出する突設片を備えた、
ことを特徴とする振れ防止具。
【請求項11】
バーベルのシャフトに請求項7記載のプレートを着脱する着脱制御装置であって、
シャフト保持具のロック部材を移動させる駆動手段を備えた、
ことを特徴とする着脱制御装置。
【請求項12】
バーベルのシャフトに取り付けるプレートを収納するプレートラック装置であって、
収納台座部を備え、
前記収納台座部は、前記プレートを収納するプレート収納部と、当該プレート収納部に収納されたプレートの前記シャフトへの着脱を制御する着脱制御装置を備え、
前記着脱制御装置が請求項11記載の着脱制御装置である、
ことを特徴とするプレートラック装置。
【請求項13】
請求項12記載のプレートラック装置において、
収納台座部を移動させるラック用アクチュエータを備えた、
ことを特徴とするプレートラック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフト保持具、プレート、回転防止具、振れ防止具、着脱制御装置、プレートラック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、本願に先立ち、フリーウェイトトレーニングを単独で安全に行うことのできるトレーニング装置を開発した(特許文献1)。
【0003】
前記特許文献1のトレーニング装置は、枠体と、重量物を下方より支持可能な支持体と、支持体を枠体に沿って昇降移動させる移動手段と、移動手段を制御する制御手段と、重量物又はユーザの状況を検出する状況検出手段を備え、制御手段によって、状況検出手段で検出される検出信号に基づいて移動手段が制御されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来のトレーニング装置では、ユーザが自らプレートを付け替える必要があり、トレーニングの効率化の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、シャフトへのプレートの自動着脱を実現可能なシャフト保持具、プレート、回転防止具、振れ防止具、着脱制御装置及びプレートラック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[シャフト保持具]
本発明のシャフト保持具は、シャフトを保持するシャフト保持部材と、シャフト保持部材のシャフトを保持した状態を維持するロック部材を備えたものである。
【0008】
[プレート]
本発明のプレートは、中空の筐体内に本発明のシャフト保持具が設けられたものである。
【0009】
[回転防止具]
本発明の回転防止具は、プレートのシャフト保持具のアームに取り付けられるアームカバーと、シャフトに取り付けられる回転防止アタッチメントを備え、アームカバーと回転防止アタッチメントに相互に嵌合する嵌合部が設けられたものである。
【0010】
[振れ防止具]
本発明の振れ防止具は、シャフトに取り付けられる本体を備え、本体はプレートの厚さ方向外側の面に接触する接触部を備えたものである。
【0011】
[着脱制御装置]
本発明の着脱制御装置は、プレートの筐体内に設けられたシャフト保持具のロック部材を移動させる駆動手段を備えたものである。
【0012】
[プレートラック装置]
本発明のプレートラック装置は、収納台座部を備え、収納台座部は、プレートを収納するプレート収納部と、プレート収納部に収納されたプレートのシャフトへの着脱を制御する着脱制御装置を備え、着脱制御装置として本発明の着脱制御装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシャフト保持具、プレート、回転防止具、振れ防止具、着脱制御装置及びプレートラック装置を用いることで、シャフトへのプレートの自動着脱を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】電動ラック装置、バーベル及びプレートラック装置の一例を示す説明図。
【
図2】(a)はバーベルの一例を示す正面図、(b)は(a)の部分断面図。
【
図3】(a)~(c)は大型の筐体を用いたプレートの一例を示すもの、(d)~(f)は小型の筐体を用いたプレートの一例を示すもの。
【
図5】(a)~(e)は
図4のシャフト保持具の動作説明図。
【
図6】(a)は回転防止アタッチメントの一例を示すもの、(b)はアームカバーの一例を示すもの。
【
図7】(a)は回転防止アタッチメントとアームカバーが嵌合した状態の説明図、(b)は(a)の断面説明図。
【
図8】(a)は振れ防止具の一例を示すもの、(b)は振れ防止具とプレートの接触部の説明図。
【
図9】(a)はプレートラック装置の収納台座部の一例を示す説明図、(b)は(a)の断面説明図。
【
図10】(a)~(e)は収納凹部にプレートを収納する手順の一例を示す説明図。
【
図11】(a)~(e)は他の構造の収納凹部にプレートを収納する手順の一例を示す説明図、(f)は収納凹部の他例を示す説明図。
【
図12】(a)は着脱制御装置とシャフト保持具の一例を示す説明図、(b)はシャフト保持具及び着脱制御装置を複数連結した場合の一例を示す説明図。
【
図13】(a)~(f)はプレートラック装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
本願の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として
図1に示すトレーニング装置は、電動ラック装置10、バーベル20及びプレートラック装置30を備えている。以下、各構成について詳細に説明する。
【0016】
[1.電動ラック装置]
はじめに、電動ラック装置10について説明する。電動ラック装置10は、バーベル20を用いて行う筋力トレーニング用の装置である。電動ラック装置10には、たとえば、本件出願人が先に出願した前記トレーニング装置を用いることができる。
【0017】
一例として
図1に示す電動ラック装置10は、枠体11と、バーベル20を支持する支持体12と、支持体12を枠体11に沿って昇降させる移動装置13のほか、バーベル20やユーザの状況を検出する状況検出装置や制御装置を備えている。
【0018】
<1-1.枠体>
前記枠体11は電動ラック装置10の骨組みをなす部分であり、複数本の支柱11a及び連結材11bによって箱型に構成されている。支柱11aの内側にはユーザがトレーニングを行うトレーニング空間が確保されている。
【0019】
<1-2.支持体>
前記支持体12はバーベル20を下から支える部材である。その上面にはバーベル20のシャフト21の初期位置を示すシャフト原点12aと、シャフト21をシャフト原点12aに誘導する前後傾斜面12bと、バーベル20の左右位置を調整する左右傾斜面12cが設けられている。
【0020】
<1-3.移動装置>
移動装置13は、支持体12を昇降移動させる装置であり、ガイドレール13aとガイドレール13aに沿って移動(昇降)するスライダ13bを備えている。スライダ13bは、状況検出装置から送信される情報(信号)に基づいて移動するように構成されている。
【0021】
ここで説明した電動ラック装置10の構成は一例であり、電動ラック装置10の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本願の電動ラック装置10は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0022】
[2.バーベル]
次に、バーベル20について説明する。バーベル20は、ユーザがトレーニング時に使用する道具である。一例として
図2(a)(b)に示すバーベル20は、シャフト21と、プレート22と、回転防止具23と、振れ防止具24を備えている。
【0023】
<2-1.シャフト>
一例として
図2(a)(b)に示すシャフト21は、ユーザが把持する把持部21aと、把持部21aの長手方向両外側に設けられた鍔21bと、両鍔21bの外側に設けられたプレート装着部21cを備えている。プレート装着部21cには、プレート22が取り付けられる。
【0024】
図2(b)に示すように、この実施形態の把持部21aは無垢の丸棒状であり、その長手方向両端部には丸棒状の芯材21dが連結されている。両芯材21dの把持部21a寄りの位置には、第一軸受21eを介して鍔21bが回転可能に取り付けられている。
【0025】
両鍔21bは、円錐部21fと円錐部21fの先端側に連続する円筒部21gを備えている。両芯材21dのうち、両鍔21bの外側には第二軸受21hを介して円筒状のプレート装着部21cが回転可能に設けられている。両プレート装着部21cは両芯材21dから抜け落ちないように、ロックナット21iで保持されている。
【0026】
<2-2.プレート>
前記プレート22は、シャフト21のプレート装着部21cに装着する重さ調整用の部材である。
図3(a)~(f)に示すように、この実施形態のプレート22は、筐体22aと、筐体22a内に設けられた錘プレート22bと、シャフト保持具25を備えている。
【0027】
筐体22aは正面視略円形状の中空部材である。筐体22aの底側には平坦部22cが、円弧部22dと平坦部22cの間には下角部22eが設けられている。筐体22aの頂部側には、中心に向けて切り欠かれた切欠き溝22fが設けられている。筐体22aの内部には、錘プレート22b及びシャフト保持具25が設けられている。
【0028】
この実施形態では、筐体22aとして大きさの異なる二種類を用意してあり、筐体22a内に設ける錘プレート22bの種類や組合せを変えることによって、外形が同じで重さの異なる複数のプレート22を作れるようにしてある。
【0029】
この実施形態では、大型の筐体22aを用いて
図3(a)~(c)の三種類のプレートを、小型の筐体22aを用いて
図3(d)~(f)の三種類のプレートを用意した。プレート22の種類は、三種類より多くすることも少なくすることもできる。なお、錘プレート22bは、アルミ、鉄、真鍮、ステンレス、樹脂、ゴム等で構成することができる。
【0030】
<2-3.シャフト保持具>
前記シャフト保持具25は、プレート22をシャフト21のプレート装着部21cに装着する際に、当該プレート装着部21cを保持する部材である。
【0031】
一例として
図4に示すシャフト保持具25は、一対のアーム(第一アーム25a及び第二アーム25b)と、両アーム25a、25bの下方に配置される基体25cと、基体25cに沿って移動する二つのガイドブロック25dと、両ガイドブロック25dに固定された座板25eと、座板25eの上面に固定されたロックブロック(ロック部材)25fを備えている。
【0032】
この実施形態では、各アーム25a、25bは二枚の同形状の板材を備えている(
図6(b)参照)。各板材は、シャフト21の外周に沿った形状(略半円弧状)の湾曲部25gと湾曲部25gから外向きに突出した突出部25hを備えている。四枚の板材は交互に重ねられ、突出部25hの根元付近の位置が連結具25iで連結されている。両アーム25a、25bは、湾曲部25gの上方側の端部(以下「第一端部」という)25j側が開閉する方向に回転するようにしてある。
【0033】
連結された両アーム25a、25bの両湾曲部25g(第一アーム25aの第一湾曲部及び第二アーム25bの第二湾曲部)の内側には、シャフト21のプレート装着部21cが収まる第一セット部(以下「シャフトセット部」という)26aが、両突出部25h(第一アーム25aの第一突出部及び第二アーム25bの第二突出部)の内側(間)には後述するロックブロック25fが収まる第二セット部(以下「ブロックセット部」という)26b(
図5(b)参照)が形成される。ブロックセット部26bは、両アーム25a、25bが閉じた際に、両突出部25h間に形成される。
【0034】
この実施形態の基体25cは、底部と底部の両端から立ち上がった立設部を備えた上向きコ字状の部材である。基体25cの立設部の対向面には昇降ガイド25kが設けられている。各昇降ガイド25kには、L字状のガイドブロック25dが昇降可能に設けられている。
【0035】
基体25cの底部には開口部が設けられ、当該開口部と両ガイドブロック25dの底部間の位置にプランジャ27が設けられている。プランジャ27の種類に特に制限はないが、この実施形態ではプランジャ27としてノック式のインデックスプランジャを用いている。
【0036】
プランジャピン27aの先端には平板状の座板25eが取り付けられている。座板25eの上面には、シャフト21を保持した第一アーム25a及び第二アーム25bを、シャフト21を保持した状態で維持する(制動する)ロックブロック25fが設けられている。ロックブロック25fは、後述する着脱制御部(着脱制御装置)31b(
図12(a)(b))によって動作するようにしてある。
【0037】
この実施形態のシャフト保持具25は次のように動作するようにしてある。
【0038】
図5(a)に示すように、シャフトセット部26aにシャフト21がセットされていない状態では、両アーム25a、25bは自重で外側に開いた状態となる。このとき、両アーム25a、25bの湾曲部25gの連結部側の端部(以下「第二端部」という)25mが他方のアーム25a、25bの湾曲部25gの内側に位置する(
図5(a))。
【0039】
シャフトセット部26aにシャフト21がセットされると、両アーム25a、25bの第二端部25mが押し下げられ(
図5(b))、両アーム25a、25bが両湾曲部25gの第一端部25jがシャフト21の上側に被さる位置まで回転する。
【0040】
このとき、平行になった両突出部25hの間にロックブロック25fが収まるブロックセット部26bが形成される。このブロックセット部26bにロックブロック25fが収まると、ロックブロック25fと両突出部25hとが係合(当接)し、両アーム25a、25bは回転しないようにその位置に固定され、両アーム25a、25b間にシャフト21がロックされる(
図5(c))。
【0041】
一方、両アーム25a、25b間のシャフト21が保持された状態でロックブロック25fがブロックセット部26bから脱出すると、両アーム25a、25bの固定が解除される(
図5(d))。
【0042】
この状態でシャフト21が持ち上げられると、両アーム25a、25bが自重によって外側に開き、両アーム25a、25bの第二端部25mが他方のアーム25a、25bの湾曲部25gの内側に復帰する(
図5(e))。
【0043】
<2-4.回転防止具>
前記回転防止具23は、プレート装着部21cに装着したプレート22が回転するのを防止するための部材である。
図6(a)(b)に示すように、この実施形態の回転防止具23は、シャフト21のプレート装着部21cに装着される回転防止アタッチメント23aと、シャフト保持具25の両アーム25a、25bの先端に装着されるアームカバー23bを備えている。
【0044】
この実施形態の回転防止アタッチメント23aは、対向配置された二枚の立設壁23cの間に一枚の繋ぎ壁23dを備えた平面視H形状の部材である。両立設壁23cと繋ぎ壁23dで囲われた部分には、アームカバー23bが嵌合する嵌合凹部(嵌合部)23eが形成されている。嵌合凹部23eは繋ぎ壁23dを挟んで両側に設けられている。
【0045】
回転防止アタッチメント23aの両立設壁23cの底面は、プレート装着部21cの形状に沿うように湾曲面としてある。回転防止アタッチメント23aの両立設壁23cは、後述する振れ防止具24の肉薄部24b(
図8(a))に嵌合し、固定具23gで当該振れ防止具24に固定されている。回転防止アタッチメント23aはプレート22の枚数に応じた数だけ設ければよい。
【0046】
前記アームカバー23bは、回転防止アタッチメント23aの嵌合凹部23eに嵌合する嵌合凸部(嵌合部)23fを備えた中空のブロック状部材である。アームカバー23bにはアーム25a、25bを挿入するための挿入口が設けられている。アームカバー23bは、挿入口から挿入されたアーム25a、25bに固定具23gで固定されている。
【0047】
両アームカバー23bは、両アーム25a、25bが閉じたときに嵌合凸部23fが嵌合凹部23eに嵌合し、両アーム25a、25bが開いたときに嵌合凸部23fが嵌合凹部23eから抜ける(脱出する)ようにしてある。
【0048】
図7(a)(b)に示すように、アームカバー23bが装着された両アーム25a、25bによってシャフト21が保持されると、アームカバー23bの嵌合凸部23fが回転防止アタッチメント23aの嵌合凹部23eに嵌合し、シャフト保持具25の回転が防止され、結果としてプレート22の回転が防止される。
【0049】
この実施形態では、回転防止アタッチメント23a側に嵌合凹部23eが設けられ、アームカバー23b側に嵌合凸部23fが設けられた場合を一例としているが、回転防止アタッチメント23a側に嵌合凸部23fを設け、アームカバー23b側に嵌合凹部23eを設けることもできる。
【0050】
<2-5.振れ防止具>
前記振れ防止具24は、プレート22の左右方向のガタつき(横振れ)を防止するための部材である。一例として
図8(a)(b)に示す振れ防止具24は、プレート装着部21cの全周を覆うように構成されたリング状の本体24aを備えている。
【0051】
各本体24aの頂部には、他の部分よりも肉薄な肉薄部24bが設けられている。肉薄部24bには前述の回転防止具23の立設壁23cが固定されている。回転防止アタッチメント23aの各立設壁23c及び各振れ防止具24のうち、シャフト21と直交する面24cはプレート22との接触部として機能する。
【0052】
振れ防止具24は、図示しない固定具でプレート装着部21cに固定されている。振れ防止具24の高さは、プレート装着部21cに固定したときに、回転防止アタッチメント23aの両立設壁23cの高さと同じ又は略同じ高さとなるようにしてある。
【0053】
プレート22は重さに応じて着脱される枚数が異なり、隣のプレート22が常に装着されるとは限らない。隣にプレート22がない場合、プレート22とプレート22の間に広い空間ができてしまい、プレート22が左右に振れやすくなる。
【0054】
この点、
図8(a)(b)に示すように、プレート装着部21cに振れ防止具24を設けてプレート22側と振れ防止具24の接触面積を大きくすることで、プレート22が横振れしにくくなるというメリットがある。
【0055】
なお、この実施形態では、
図8(b)に示すように、両プレート装着部21cの一番内側の位置(同図中では右端)に設ける振れ防止具24として、リング状の本体24aから周方向外向きに突出する突設片24dを備えたもの(突設片付き振れ防止具)を用いている。
【0056】
この突設片24dは、ユーザ自らが位置合わせを行う必要がある場合に、持ち手として使用する部材であり、位置合わせの際の目印となる部材である。突設片24dは補助的に設けておくものであり、不要な場合には省略することができる。この場合、突設片付き振れ防止具に代えて、突設片24dのない振れ防止具24を用いることができる。
【0057】
この実施形態では、回転防止具23と振れ防止具24の双方を用いる場合を一例としているが、回転防止具23と振れ防止具24はいずれか一方のみを用いることもできる。また、この実施形態では、回転防止アタッチメント23aと振れ防止具24を別部材として説明しているが、回転防止アタッチメント23aと振れ防止具24は一つの部材として構成することもできる。
【0058】
ここで説明したバーベル20の構成は一例であり、バーベル20の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本願のバーベル20は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0059】
[3.プレートラック装置]
最後に、プレートラック装置30について説明する。
図1に示すように、この実施形態のプレートラック装置30は、収納台座部31と、当該収納台座部31を移動させるラック用アクチュエータ32を備えている。プレートラック装置30は、電動ラック装置10の左右に一台ずつ設けられている。
【0060】
<3-1.収納台座部>
一例として
図9(a)に示す収納台座部31は、プレート22を収納するプレート収納部31aと、プレート収納部31aに収納されたプレート22のプレート装着部21cへの着脱を制御する着脱制御部31bを備えている。
【0061】
この実施形態のプレート収納部31aは上方開口のケースであり、その内部には、仕切り壁31cで仕切られた複数(この実施形態では六つ)の収納凹部31dが横並びに設けられている。プレート収納部31aの両側壁31e及び各仕切り壁31cには、シャフト21が収まる切込み溝31fが設けられている。
【0062】
六つの収納凹部31dのうち、電動ラック装置10寄りの三つは大型のプレートを収納可能なサイズ、他の三つは小型のプレートを収納可能なサイズとしてある。
【0063】
図10(a)~(e)に示すように、各収納凹部31dは、水平底面31g、水平底面31gの両端に繋がる傾斜面31h、傾斜面31hの上側に繋がる垂直面31i及び垂直面31iの上側に繋がる外広がりの誘導面31jを備えている。
【0064】
水平底面31gの中央部には底面開口部31kが形成され、この部分に、シャフト保持具25のプランジャ27及び後述する着脱制御部31bのプッシュソレノイド(駆動手段)33が位置合わせされるようにしてある。
【0065】
収納凹部31dの上方開口の周縁に誘導面31jを設けることで、プレート22が前後にずれた状態で下降してきた際に、プレート22を収納凹部31dの正しい位置に誘導することができる。
【0066】
また、収納凹部31dの底面を水平面とすることで、プレート22が傾いた状態で下降してきた際に、プレート22を傾きのない状態で収納凹部31dに収めることができる。
【0067】
たとえば、
図10(a)のようにプレート22が前方にずれ、且つ、傾いた状態で下降してきた場合、はじめに、プレート22の円弧部22dが誘導面31jに接触して前後方向の位置が正しく調整される(
図10(b)(c))。
【0068】
その後、前後方向の位置が調整されたプレート22は傾いた状態のまま下降し、プレート22の下角部22eが収納凹部31dの水平底面31gに接触し(
図10(d))、プレート22の傾きが是正される(
図10(e))。
【0069】
また、
図9(b)に示すように、この実施形態では、収納凹部31dの上方の開口部が広くなるように(対向する仕切り壁31c同士の距離が長くなるように)、収納凹部31dを形成する仕切り壁31cの上端側を外広がりにしてある。
【0070】
プレート22を取り付けたバーベル20は、そのプレート22の重さによってシャフト21の長手方向両端が下がるように撓むため、プレート22は鉛直に下降せず、鉛直線に対して若干の角度を以て下降することになる。
【0071】
この点、この実施形態のように、対向する仕切り壁31cの上端側を外広がりにし、収納凹部31dの開口部を広くしておくことで、下降するプレート22が傾いていても、スムーズに収納凹部31dに収める(誘導)ことができる。
【0072】
プレート22をよりスムーズに収納凹部31dに収めるため、単に開口部の仕切り壁31cを外広がりするだけでなく、収納凹部31d自体を傾けて形成することもできる。具体的には、収納凹部31dの中心軸線と鉛直線とが非平行となるように傾けておくことができる。
【0073】
収納凹部31d自体を傾けて形成する場合、すべての収納凹部31dを傾けることも一部の収納凹部31dだけを傾けることもできる。二以上の収納凹部31dを傾けて形成する場合、すべてを同じ角度だけ傾けることも、夫々又は一部を異なる角度に傾けることもできる。
【0074】
なお、収納凹部31dの形状は
図10(a)~(e)の形状に限定されるものではなく、プレート22の形状に合わせて設計することができる。
【0075】
たとえば、
図11(a)~(e)のように、プレート22の筐体22aを正方形とした場合、収納凹部31dの形状を前後の立設壁31mの高さが異なる形状とすることができる。このプレート収納部31aは、図示しないアクチュエータによって前後方向にもスライドできるようにしてある。
【0076】
図11(a)~(e)に示すように、この変形例では、傾いたプレート22に背の高い方の立設壁31mを接近させ、当該立設壁31mをプレート22の上角部22gに接触させることによってプレート22の傾きが解消し、その後、傾きが解消したプレート22がその姿勢のまま下降することで、プレート22が正しい位置に正しい角度で収納されることになる。
【0077】
このほか、他の変形例として、
図11(f)のように、プレート22の筐体22aの底面に凹陥部22hを備えた形状とし、収納凹部31dの形状を底面に当該凹陥部22hに嵌合する凸部31nを備えた形状とすること等が考えられる。
【0078】
前記着脱制御部31bは、シャフト保持具25のロックブロック25fを制御する部分である。
図12(a)(b)に示すように、着脱制御部31bはプレートラック装置30の下側に設けられている。
【0079】
この実施形態の着脱制御部31bは、プッシュソレノイド33と、プッシュソレノイド33を制御する制御部34を備えている。プッシュソレノイド33の通電のON/OFFは、制御部34からの信号によって切替えられるようにしてある。
【0080】
プッシュソレノイド33が通電するとプッシュバー33aが押し出され、シャフト保持具25のプランジャ27が押される。プランジャ27が押されるとプランジャピン27aが突出し、その先端に設けられたロックブロック25fがブロックセット部26bに収まる。これにより、両アーム25a、25bは回転しないようにその位置に固定され、両アーム25a、25b間にシャフト21がロックされる。
【0081】
一方、両アーム25a、25bの位置が固定された状態で、プッシュソレノイド33が通電するとプッシュバー33aが押し出され、シャフト保持具25のプランジャ27が押される。プランジャ27が押されるとプランジャピン27aが突出し、その先端に設けられたロックブロック25fがブロックセット部26bから脱出する。これにより、両アーム25a、25bの固定が解除され、シャフト保持具25からシャフト21が解放される。
【0082】
<3-2.ラック用アクチュエータ>
前記ラック用アクチュエータ32は、収納台座部31を電動ラック装置10に近づく方向と電動ラック装置10から離れる方向に移動させるものである。この実施形態のラック用アクチュエータ32は、リニアガイド32aとリニアガイド32aに沿ってスライド移動するスライダ32bを備えている。スライダ32bには、前述の収納台座部31が固定されている。
【0083】
リニアガイド32aは、収納台座部31をシャフト原点12aに位置するシャフト21のプレート装着部21cの真下に移動できるように、シャフト21の長手方向の延長線上にシャフト21と平行に設けられている。スライダ32bはリニアガイド32aに沿って往復移動するようにしてあり、この移動に伴って収納台座部31が同方向に移動する。
【0084】
この実施形態では、プレートラック装置30は次のように動作するようにしてある。
(1)プレート22の着脱動作がはじまると、ラック用アクチュエータ32によって収納台座部31が電動ラック装置10に向けて移動を開始し、シャフト21のプレート装着部21c下方に移動する(
図13(a))。
(2)プレートラック装置30がプレート装着部21cの下方に移動すると、バーベル20が下降しはじめる(
図13(b))。
(3)バーベル20のプレート装着部21cがシャフトセット部26aに収まると、プレート装着部21cへのプレート22のロック及びアンロックが行われる(
図13(c))。
(4)プレート装着部21cへのプレート22のロック及びアンロックが完了すると、バーベル20が上昇しはじめる(
図13(d))。
(5)バーベル20が所定位置まで上昇すると、プレートラック装置30が電動ラック装置10から離れる方向に移動し、初期位置に復帰する(
図13(e)(f))。
【0085】
このように、収納台座部31は、プレート22の着脱の際に電動ラック装置10に接近し、プレート22の着脱が完了すると電動ラック装置10から離れた退避位置に戻る。プレート22の着脱時以外は退避位置に戻るようにしておくことで、トレーニング時にバーベル20がプレートラック装置30と干渉するのを防止することができる。
【0086】
ここで説明したプレートラック装置30の構成は一例であり、プレートラック装置30の構成はこの実施形態の構成に限定されるものではない。本願のプレートラック装置30は、所期の目的を達成できる範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0087】
10 電動ラック装置
11 枠体
11a 支柱
11b 連結材
12 支持体
12a シャフト原点
12b 前後傾斜面
12c 左右傾斜面
13 移動装置
13a ガイドレール
13b スライダ
20 バーベル
21 シャフト
21a 把持部
21b 鍔
21c プレート装着部
21d 芯材
21e 第一軸受
21f 円錐部
21g 円筒部
21h 第二軸受
21i ロックナット
22 プレート
22a 筐体
22b 錘プレート
22c 平坦部
22d 円弧部
22e 下角部
22f 切欠き溝
22g 上角部
22h 凹陥部
23 回転防止具
23a 回転防止アタッチメント
23b アームカバー
23c 立設壁
23d 繋ぎ壁
23e 嵌合凹部(嵌合部)
23f 嵌合凸部(嵌合部)
23g 固定具
24 振れ防止具
24a 本体
24b 肉薄部
24c 面
24d 突設片
25 シャフト保持具
25a アーム(第一アーム)
25b アーム(第二アーム)
25c 基体
25d ガイドブロック
25e 座板
25f ロックブロック(ロック部材)
25g 湾曲部(第一湾曲部、第二湾曲部)
25h 突出部(第一突出部、第二突出部)
25i 連結具
25j 第一端部
25k 昇降ガイド
25m 第二端部
26a 第一セット部(シャフトセット部)
26b 第二セット部(ブロックセット部)
27 プランジャ
27a プランジャピン
30 プレートラック装置
31 収納台座部
31a プレート収納部
31b 着脱制御部(着脱制御装置)
31c 仕切り壁
31d 収納凹部
31e 側壁
31f 切込み溝
31g 水平底面
31h 傾斜面
31i 垂直面
31j 誘導面
31k 底面開口部
31m 立設壁
31n 凸部
32 ラック用アクチュエータ
32a リニアガイド
32b スライダ
33 プッシュソレノイド(駆動手段)
33a プッシュバー
34 制御部