(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110209
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ブッシュの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
F16B 4/00 20060101AFI20240807BHJP
F16F 1/38 20060101ALI20240807BHJP
B60K 5/12 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
F16B4/00 E
F16F1/38 S
B60K5/12 J
B60K5/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014654
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】河野 通嘉
【テーマコード(参考)】
3D235
3J059
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB23
3D235BB25
3D235CC01
3D235EE04
3D235EE09
3D235EE23
3J059AE01
3J059BA42
3J059BC06
3J059CC01
3J059GA01
(57)【要約】
【課題】板状の部材に対するブッシュの取り付け強度の向上を図る。
【解決手段】板状の部材10Aの長手方向の端部に板状の部材10Aの厚さ方向に貫通するブッシュ取り付け孔12が設けられている。ブッシュ取り付け孔12の縁部から板状の部材10Aの厚さ方向の一方に突出する円筒状のバーリング部14が設けられている。バーリング部14には、ブッシュ18の凹部26に係合しブッシュ18の軸心方向の移動を阻止する係止片16が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の部材に設けたバーリング部に、内筒と外筒とそれらの間に設けられた弾性部材とからなるブッシュの前記外筒を圧入して取り付けるブッシュの取り付け構造であって、
前記外筒の外周部に凹部を設け、
前記バーリング部に前記凹部に係止し前記ブッシュの軸心方向の移動を阻止する係止片を設けた、
ことを特徴とするブッシュの取り付け構造。
【請求項2】
前記凹部と前記係止片は前記外筒の周方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載のブッシュの取り付け構造。
【請求項3】
前記係止片と前記凹部との係止により前記ブッシュの軸心方向の両方向のうちの一方への前記ブッシュの移動が阻止され、
前記外筒の外周部に前記バーリング部に係止し前記ブッシュの軸心方向の両方向のうちの他方への前記ブッシュの移動を阻止する膨出部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のブッシュの取り付け構造。
【請求項4】
前記膨出部は、前記外筒の外周部の全周にわたって形成されている、
ことを特徴とする請求項3記載のブッシュの取り付け構造。
【請求項5】
前記弾性部材の周方向にわたってすぐり部と中実部とが交互に設けられ、
前記凹部は、前記中実部に対応する前記外筒の外周部の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のブッシュの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブッシュの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパワープラントとサスペンションクロスメンバとを連結することにより、パワープラントが発生するトルクの反力や振動が車体に伝わることを抑制するロールロッドが提供されている。
ロールロッドは板状の部材で形成され、その長手方向の一端が前ブッシュを介してパワープラントに連結され、他端が後ブッシュを介してサスペンションクロスメンバに連結されている(特許文献1参照)。
前後のブッシュは、内筒と外筒とそれらの間に設けられた弾性部材とから構成され、前後のブッシュは、それらの外筒をロールロッドに形成されたバーリング部に圧入することで胴部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにブッシュは圧入によってロールロッドに取り付けられることでロールロッドに対するブッシュの取り付け強度は一定程度確保されている。
しかしながら、車両の衝突時などに発生する大きな力が加わった場合を考慮すると、ロールロッドに対するブッシュの取り付け強度をさらに向上させることが望まれている。
また、ロールロッドのような板状の部材にブッシュを圧入によって取り付ける構造は、サスペンションのロアアームやトレーリングアームにおいても同様であることから、このような板状の部材に対するブッシュの取り付け強度をさらに向上させることが望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、板状の部材に対するブッシュの取り付け強度の向上を図る上で有利なブッシュの取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、板状の部材に設けたバーリング部に、内筒と外筒とそれらの間に設けられた弾性部材とからなるブッシュの前記外筒を圧入して取り付けるブッシュの取り付け構造であって、前記外筒の外周部に凹部を設け、前記バーリング部に前記凹部に係止し前記ブッシュの軸心方向の移動を阻止する係止片を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ブッシュの外筒の外周部に凹部を設け、バーリング部に凹部に係止しブッシュの軸心方向の移動を阻止する係止片を設けたので、車両の衝突などによって生じる大きな力がブッシュに加わったとしても、ブッシュの軸心方向の移動を阻止することができ、板状の部材に対するブッシュの取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態に係るブッシュの取り付け構造の説明図であり、(A)は断面図、(B)は(A)のうち外筒のB-B線断面図である。
【
図2】(A)は板状の部材の平面図、(B)は係止片の斜視図である。
【
図3】第2の実施の形態に係るブッシュの取り付け構造の説明図であり、(A)断面図、(B)は(A)のうち外筒のB-B線断面図である。
【
図4】
図3(A)のうち外筒のC-C線断面図である。
【
図5】第3の実施の形態に係るブッシュの取り付け構造の説明図であり、(A)は断面図、(B)は係止片の斜視図である。
【
図6】第4の実施の形態に係るブッシュの取り付け構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態では、本発明のブッシュの取り付け構造が車両のパワープラントとサスペンションクロスメンバとを連結するロールロッドに適用された場合について説明する。
図1(A)、
図2(A)に示すように、ロールロッド10は板金からなる細長状の板状の部材10Aから構成されている。
板状の部材10Aの長手方向の端部に板状の部材10Aの厚さ方向に貫通するブッシュ取り付け孔12が設けられている。
ブッシュ取り付け孔12の縁部から板状の部材10Aの厚さ方向の一方に突出する円筒状のバーリング部14が設けられている。
バーリング部14には、後述するブッシュ18の凹部26に係合しブッシュ18の軸心方向の移動を阻止する係止片16が形成されている。
本実施の形態では、係止片16は、バーリング部14の軸心を中心として周方向に等間隔をおいて3つ形成されており、それぞれバーリング部14の周方向に沿った均一幅を有しており、係止片16を除くバーリング部14の内周面は均一半径の円筒面で形成されている。
図1(A)、
図2(A)、(B)に示すように、各係止片16は、バーリング部14の先端に至るにつれてバーリング部14の半径方向内側に変位する傾斜で設けられている。
各係止片16は、バーリング部14の半径方向内側を向いた係止片内面1602と、係止片内面1602の幅方向の両端に位置する一対の係止片側面1604と、先端に位置する係止片先端面1606とを備えている。
【0009】
図1(A)、(B)に示すように、ブッシュ18は、金属製の内筒20、外筒22と、弾性部材24とを備えている。
内筒20および外筒22は円筒状を呈している。
外筒22は、内筒20より短い軸心方向の長さと、内筒20の外径よりも大きな内径とを有している。
内筒20は、ボルトナットなどの締結部材を介して不図示のパワープラントあるいはサスペンションクロスメンバと連結される箇所である。
弾性部材24は、内筒20と外筒22との間に設けられ、ゴムなどの従来公知の様々な弾性材料で形成されている。
弾性部材24は内筒20が挿入される内周面と、外筒22に挿入される外周面とを備えている。
弾性部材24の内周面は内筒20の外周面に加硫接着され、弾性部材24の外周面は外筒22の内周面に加硫接着されている。
【0010】
図1(A)、(B)に示すように、外筒22の外周部には、係止片16が係脱可能に係止する凹部26が設けられ、凹部26は、外筒22の外周部に周方向に等間隔をおいて3つ設けられている。
凹部26は、係止片内面1602が係止する内面用係止面2602と、一対の係止片側面1604が係止する一対の側面用係止面2604と、係止片先端面1606が係止する先端面用係止面2606とを備えている。
【0011】
次に、板状の部材10Aへのブッシュ18の取り付けについて説明する。
図1(A)に示すように、バーリング部14を下方に向けた板状の部材10Aの上方においてブッシュ18の軸心をバーリング部14の軸心と合致させ、かつ、バーリング部14の係止片16とブッシュ18の凹部26との位相を合致させた状態で、ブッシュ18を下方に移動させ、ブッシュ取り付け孔12に圧入していく。
ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧接された状態で、ブッシュ18を軸心方向に移動させると、やがて、各係止片16が各凹部26に係止する。
詳細には、係止片16が凹部26に入り込み、係止片16の係止片内面1602が内面用係止面2602に対向し、係止片16の一対の係止片側面1604が凹部26の一対の側面用係止面2604に係止し、係止片16の係止片先端面1606が凹部26の先端面用係止面2606に係止することで、ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧入された状態でブッシュ18が板状の部材10Aに取り付けられる。
本実施の形態では、ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧入された状態で、係止片16の係止片先端面1606が凹部26の先端面用係止面2606に係止することでブッシュ18の軸心方向の両方向のうち一方への移動を阻止する。
また、ブッシュ18の軸心方向の両方向のうち他方への変位により係止片16の係止片内面1602が凹部26の内面用係止面2602に係止することでブッシュ18の軸心方向の両方向のうちの他方への移動を阻止する。
また、ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧入された状態で、外筒22の係止片16の一対の係止片側面1604がバーリング部14の凹部26の一対の側面用係止面2604に係止することでブッシュ18の軸心方向を中心とした回転方向の移動を阻止する。
【0012】
本実施の形態によれば、ブッシュ18の外筒22の外周部に凹部26を設け、バーリング部14に凹部26に係止しブッシュ18の軸心方向の移動を阻止する係止片16を設けたので、車両の衝突などによって生じる大きな力がブッシュ18に加わったとしても、ブッシュ18の軸心方向の移動を阻止することができ、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
【0013】
また、本実施の形態によれば、凹部26と係止片16は外筒22の周方向に間隔をおいて複数設けられているので、凹部26のそれぞれに対して係止片16のそれぞれが係止することにより、ブッシュ18の軸心を中心とする回転方向の移動を阻止することができ、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上でより有利となる。
【0014】
(第2の実施の形態)
次に
図3、
図4を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態において第1の実施の形態と同様の部分、部材については同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について重点的に説明する。
図3(A)、(B)に示すように、第2の実施の形態では、外筒22の外周部に半径方向外側に膨出する膨出部28が設けられている点が第1の実施の形態と異なり、それ以外の部分については第1の実施の形態と同様である。
【0015】
膨出部28は、バーリング部14に係止しブッシュ18の軸心方向の両方向のうちの他方への移動を阻止するものであり、
図3(B)、
図4に示すように、外筒22の3つの凹部26と位相をずらして外筒22の外周部に周方向に等間隔をおいて3つ設けられている。
膨出部28は、バーリング部14側に向いた係止面2802を備えている。
第2の実施の形態では、ブッシュ18がバーリング部14に圧入された状態で、膨出部28の係止面2802がバーリング部14の基端に係止する。
【0016】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な効果が奏される他に、ブッシュ18の軸心方向の両方向のうちの他方への移動が、係止片内面1602と内面用係止面2602との係止に加え、係止面2802とバーリング部14とが係止するので、ブッシュ18の軸心方向の他方への移動をより確実に阻止することができ、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上でより有利となる。
【0017】
なお、第2の実施の形態では、膨出部28を外筒22の外周部の周方向に間隔をおいて複数設けた場合について説明したが、膨出部28を外筒22の外周部の全周にわたって形成してもよい。
この場合には、膨出部28によって外筒22の強度剛性を高めることができるため、車両の衝突時などに大きな力が外筒22に加わった場合に外筒22の変形を抑制する上で有利となり、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上でより一層有利となる。
【0018】
(第3の実施の形態)
次に、
図5を参照して第3の実施の形態について説明する。
図5に示すように、第3の実施の形態では、バーリング部14に形成した3つの係止片30の形状、および、外筒22の3つの凹部32の形状が第1、第2の実施の形態と異なっている。
係止片30は、バーリング部14の先端と離れた箇所から切り離され、その先部がバーリング部14の半径方向内側に変位して設けられている。
係止片30はバーリング部14の半径方向内側を向いた係止片内面3010と、係止片30の幅方向の両端に位置する一対の係止片側面3012と、係止片30の先端に位置する係止片先端面3014とを有している。
外筒22の外周部には、係止片30が係脱可能に係止する凹部32が設けられると共に、バーリング部14の先端が係止する係止面3402を有する膨出部34が設けられ、凹部32は、外筒22の外周部に周方向に等間隔をおいて3つ設けられ、膨出部34は外筒の外周部の全周に設けられている。
凹部32は、バーリング部14の先端が係止する係止片基端面用係止面3202と、係止片内面3010が対向する内面用係止面3204と、一対の係止片側面3012が係止する一対の側面用係止面(不図示)と、係止片先端面3014が係止する先端面用係止面3206とを備えている。
係止片基端面用係止面3202は、膨出部34の係止面3402で形成されている。
【0019】
次に、板状の部材10Aへのブッシュ18の取り付けについて説明する。
バーリング部14を下方に向けた板状の部材10Aの下方においてブッシュ18の軸心をバーリング部14の軸心と合致させ、かつ、バーリング部14の係止片30とブッシュ18の凹部32との位相を合致させた状態で、ブッシュ18を上方に移動させ、ブッシュ取り付け孔12に圧入していく。
ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧接された状態で、ブッシュ18を軸心方向に移動させると、やがて、各係止片30が各凹部32に係止する。
詳細には、係止片30が凹部32に入り込み、バーリング部14の先端が凹部32の係止片基端面用係止面3202に係止すると共に、係止片30の係止片先端面3014が凹部32の先端面用係止面3206に係止する。
また、係止片30の係止片内面3010が内面用係止面3204に対向する。
また、係止片30の一対の係止片側面3012が凹部32の一対の側面用係止面に係止する。
また、膨出部34の係止面3402がバーリング部14の先端に係止する。
このようにして、ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧入された状態でブッシュ18が板状の部材10Aに取り付けられる。
【0020】
第3の実施の形態によれば、ブッシュ18の外筒22の外周面がバーリング部14の内周面に圧入された状態で、バーリング部14の先端が凹部32の係止片基端面用係止面3202に係止すると共に、係止片30の係止片先端面3014が凹部32の先端面用係止面3206に係止することで、ブッシュ18の軸心方向の両方向のブッシュ18の移動が阻止されるので、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
さらに、膨出部34の係止面3402がバーリング部14の先端に係止するので、第1の実施の形態に比べブッシュ18の軸心方向の両方向のうち他方への移動を阻止する上でより有利となり、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上でより有利となる。
また、第1、第2の実施の形態と同様に、凹部32と係止片30は外筒22の周方向に間隔をおいて複数設けられているので、凹部32のそれぞれに対して係止片30のそれぞれが係止することにより、ブッシュ18の軸心を中心とする回転方向の移動を阻止することができ、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上でより有利となる。
【0021】
(第4の実施の形態)
次に、
図6を参照して第4の実施の形態について説明する。
図6は、ロールロッド10の一端にブッシュ18が取り付けられた状態を示す平面図である。
図6に示すように、弾性部材24の周方向にわたってすぐり部36と中実部38とが交互に設けられている。
本実施の形態では、同形同大の一対のすぐり部36が、ブッシュ18の直径方向で対向し、かつ、平面視ロールロッド10の中心線CLと交差する2箇所に設けられている。
一対のすぐり部36は、ブッシュ18の軸心方向に沿って貫通すると共に、ブッシュ18の軸心を中心として円弧状に延在して形成されている。
中実部38は、それら一対のすぐり部36の間に設けられている。
このようなすぐり部36と中実部38とを設けることにより、ブッシュ18の直径方向でかつ一対のすぐり部36を結ぶ方向における弾性部材24の剛性(ばね定数)を、ブッシュ18の直径方向でかつ対向する中実部38を結ぶ方向における弾性部材24の剛性(ばね定数)よりも低く設定するよう図られている。
言い換えると、弾性部材24のうち中実部38の部分の剛性は、すぐり部36が設けられている部分の剛性に比較して高いものとなっている。
バーリング部14の係止片16および外筒22の凹部26は、第1の実施の形態と同様に形成されており、凹部26は、中実部38に対応する外筒22の外周部の2箇所に設けられ、係止片16は凹部26に対応するバーリング部14の2箇所に設けられている。
【0022】
第4の実施の形態によれば、中実部38に対応する外筒22の部分は剛性が高い弾性部材24の部分に加硫接着され、すぐり部36に対応する外筒22の部分は剛性が低い弾性部材24の部分に加硫接着されている。
したがって、中実部38に対応する外筒22の部分は、すぐり部36に対応する外筒22の部分よりも剛性が高くなっている。
そのため、中実部38に対応する剛性が高い外筒22の箇所に凹部26を設けることにより、車両の衝突時などに大きな力が係止片16から凹部26を介して外筒22に加わった場合に外筒22の変形を抑制する上で有利となり、板状の部材10Aに対するブッシュ18の取り付け強度の向上を図る上で有利となる。
【0023】
なお、第4の実施の形態では、ブッシュ18の軸心を中心として円弧状に延在する同形同大の一対のすぐり部36がブッシュ18の直径方向で対向して設けられている場合について説明したが、すぐり部36の形状、すぐり部36の数、すぐり部36の位置などは、弾性部材24における特定の方向に対する剛性(ばね定数)の要求仕様に応じて適宜設定される。
また、第4の実施の形態に第2の実施の形態と同様の膨出部34を設けてもよく、その際、膨出部34を外筒22の外周部の全周にわたって形成するなど任意である。
また、第4の実施の形態に、第3の実施の形態と同様の係止片30、凹部32、膨出部34を設けるなど任意である。
【0024】
なお、実施の形態では、板状の部材10Aがロールロッド10である場合について説明したが、本発明は、サスペンションのロアアームやトレーリングアームなどの板状の部材にブッシュを圧入して取り付ける構造に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 ロールロッド
10A 板状の部材
12 ブッシュ取り付け孔
14 バーリング部
16 係止片
1602 係止片内面
1604 係止片側面
1606 係止片先端面
18 ブッシュ
20 内筒
22 外筒
24 弾性部材
26 凹部
2602 内面用係止面
2604 側面用係止面
2606 先端面用係止面
28 膨出部
2802 係止面
30 係止片
3010 係止片内面
3012 係止片側面
3014 係止片先端面
32 凹部
3202 係止片基端面用係止面
3204 内面用係止面
3206 先端面用係止面
34 膨出部
3402 係止面
36 すぐり部
38 中実部