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特開2024-110253電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置
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  • 特開-電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110253
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240807BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240807BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240807BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240807BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240807BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20240807BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/02 B
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014738
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】堀 貴之
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CB06
5G503EA05
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC13
5H125BC21
5H125CD02
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE29
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置を提供する。
【解決手段】電動車両の充電アラートの制御方法は、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する充電アラートの制御方法である。この制御方法は、バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積工程と、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと充電時間の長さとに基づいて所望個別充電率値を推定する推定工程と、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更する変更工程を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する充電アラートの制御方法であって、
前記バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積工程と、
前記蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと前記充電時間の長さとに基づいて前記所望個別充電率値を推定する推定工程と、
前記初期設定充電率値を前記所望個別充電率値に変更する変更工程を含む
ことを特徴とする電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項2】
前記推定工程において、前記蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データにおいて前記バッテリの充電時間が相対的に長いほどその充電開始時の充電率値を重み付けし加重平均して算出した限界充電率値を前記所望個別充電率値とすることを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項3】
前記電動車両が充電器で充電可能な場所で充電されずに駐車している際における駐車開始時の充電率値とその駐車時間との駐車開始時充電率値-駐車時間データを取得し蓄積する他の蓄積工程を更に含み、
前記推定工程において、前記蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データ及び前記蓄積された駐車開始時充電率値-駐車時間データに基づいて前記所望個別充電率値を推定するに当たり、
前記所望個別充電率値を、限界充電率値と前記限界充電率値よりも大きい非限界充電率値との間に含まれる値とし、
前記限界充電率値を、前記蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データにおいて前記バッテリの充電時間が相対的に長いほどその充電開始時の充電率値を重み付けし加重平均して算出した値とし、
前記非限界充電率値を、前記蓄積された駐車開始時充電率値-駐車時間データにおいて前記電動車両の駐車時間が相対的に長いほどその駐車開始時の充電率値を重み付けして加重平均した算出した値とする
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項4】
前記蓄積工程において、蓄積された充電率値-充電時間データの数が一定数未満の場合には、前記初期設定充電率値を前記所望個別充電率値に変更せず、かつ、
蓄積された充電率値-充電時間データの数が一定数以上の場合であって、新たに取得された充電率値-充電時間データが前記蓄積された充電率値-充電時間データに対して外れ値であり、その後前記外れ値が取得される場合には前記外れ値を蓄積する一方、その後前記外れ値が取得されない場合には前記外れ値を蓄積せず、
前記推定工程において、前記蓄積された充電率値-充電時間データとして現在から一定期間の過去までの充電率値-充電時間データを用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項5】
前記電動車両の他の運転者又は他の電動車両の所望個別充電率値と劣化時充電率値との関係性を示す所望個別充電率値-劣化時充電率値データを取得する取得工程を更に含み、
前記推定工程において、前記蓄積された充電率値-充電時間データ及び前記取得された所望個別充電率値-劣化時充電率値データに基づいて前記所望個別充電率値を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項6】
前記運転者の前記所望個別充電率値に対する特性タイプを判別する判別工程を更に含み、
前記推定工程において、前記蓄積された充電率値-充電時間データ及び前記判別された特性タイプに基づいて前記所望個別充電率値を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項7】
前記判別工程において、充電頻度、充電開始時の充電率値の偏差、及び充電開始時の充電率値の平均値からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いて前記特性タイプを判別することを特徴とする請求項6に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項8】
前記電動車両の劣化時充電率値情報、前記電動車両の周辺の天候情報、前記電動車両の走行道路情報、前記電動車両と充電器との距離情報、時刻情報及び充電率値のインジケータの目視頻度情報からなる群より選ばれた少なくとも1種の情報を取得する他の取得工程を更に含み、
前記推定工程において、前記蓄積された充電率値-充電時間データ及び前記取得された情報に基づいて前記所望個別充電率値を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項9】
前記所望個別充電率値が前記バッテリのバッテリ性能維持充電率値以上の場合には、前記所望個別充電率値をそのまま前記所望個別充電率値とし、
前記所望個別充電率値が前記バッテリのバッテリ性能維持充電率値未満の場合には、前記所望個別充電率値を前記バッテリ性能維持充電率値にする
ことを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項10】
前記所望個別充電率値の決定方法の違いにより充電アラートの形式を異ならせることを特徴とする請求項9に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項11】
デジタルキー、顔認証カメラ、重量センサー及び指紋認証センサーからなる群より選ばれた少なくとも1種を用いて前記運転者を判別することを特徴とする請求項1に記載の電動車両の充電アラートの制御方法。
【請求項12】
電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する充電アラートの制御装置であって、
前記バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積部と、
前記蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと前記充電時間の長さとに基づいて前記所望個別充電率値を推定する推定部と、
前記初期設定充電率値を前記所望個別充電率値に変更する変更部を含む
ことを特徴とする電動車両の充電アラートの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置に係り、さらに詳細には、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、充電の必要性を自動的に判定し利用者に充電要否の情報を提供する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-258856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のような方法では、運転者毎に充電したいと思う充電率値は異なるため、運転者によっては充電が不要と思っているにもかかわらず充電要の情報が来たり、充電が必要と思っているにもかかわらず充電要の情報が来なかったりすることがある。それにより、電欠やバッテリ劣化を危惧して充電率値を監視しながら運転する必要があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであって、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、バッテリに充電する際における充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積し、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データ等に基づいて所望個別充電率値を推定し、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更することにより、前記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の電動車両の充電アラートの制御方法は、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する充電アラートの制御方法である。
この制御方法は、バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積工程と、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと充電時間の長さとに基づいて所望個別充電率値を推定する推定工程と、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更する変更工程を含む。
【0008】
また、本発明の電動車両の充電アラートの制御装置は、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する充電アラートの制御装置である。
この制御装置は、バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積部と、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと充電時間の長さとに基づいて所望個別充電率値を推定する推定部と、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更する変更部を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリに充電する際における充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積し、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データ等に基づいて所望個別充電率値を推定し、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更したため、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更する電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電動車両の充電アラートの制御方法の一実施形態を実行可能なシステム構成を示すブロック図である。
図2】電動車両の充電アラートの制御方法の一実施形態の一例を示すフロー図である。
図3】運転者の所望個別充電率値に対する特性タイプの判別工程の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電動車両の充電アラートの制御方法及び制御装置について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明又は図中において充電率値をSOCと、劣化時充電率値をSOHと記載することがある。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の電動車両の充電アラートの制御方法を実行可能なシステムは、電動車両とクラウドとを備えている。電動車両は、通信部と制御部とバッテリとナビスピーカーを備えている。
【0013】
通信部は、運転者の充電情報(例えば、充電開始時SOC、充電開始時刻、充電終了時SOC、充電終了時刻、車両位置、充電時の車両位置)をクラウドに送信し、クラウドから運転者の充電アラートを発するSOCを受信する。
【0014】
制御部は、運転者の充電アラートを発するSOCと現在SOCを比較する機能を有し、比較されたSOCに応じて充電アラート信号をナビスピーカーに送る。一方で、制御部は、運転者の充電情報を通信部に送信し、通信部から運転者の充電アラートを発するSOC信号を受け取る。
【0015】
バッテリは、現在SOC信号を制御部に送る。
【0016】
クラウドは、通信部から送信された運転者の充電情報を蓄積する機能を有し、さらに運転者の充電アラートを発するSOCを演算する機能を有する。演算された運転者の充電アラートを発するSOCを通信部に送信する。このようにして、クラウドは、電動車両の充電アラートの制御装置の蓄積部、推定部及び変更部として機能する。
【0017】
図2に示すように、工程1(図中においてS1と記載する。以下同様。)において、充電開始時SOC-充電時間データの蓄積数が一定数以上であるかを判定する。YESの場合はS2に進み、NOの場合はリターンに進む。
【0018】
S2において、毎日充電しているかを判定する。YESの場合はリターンに進み、NOの場合はS3に進む。
【0019】
S3において、充電開始時SOC-充電時間データと充電時間の長さから限界SOCを推定し、S4に進む。
【0020】
S4において、駐車開始時SOC-駐車時間データの蓄積数が一定数以上であるかを判定する。YESの場合はS6に進み、NOの場合はS5に進む。
【0021】
S5において、限界SOCを所望個別SOCに決定し、S8に進む。
【0022】
S6において、駐車開始時SOC-駐車時間データと駐車時間の長さから非限界SOCを推定し、S7に進む。
【0023】
S7において、限界SOCと非限界SOCとの間に含まれる値を所望個別SOCに決定し、S8に進む。
【0024】
S8において、所望個別SOCがバッテリ性能維持SOC以上であるかを判定する。YESの場合は、所望個別SOCをそのまま所望個別SOCとし、リターンに進む。NOの場合は、S9に進む。
【0025】
S9において、バッテリ性能維持SOCを所望個別SOCに決定し、リターンに進む。
【0026】
また、図3に示すように、S11において、毎日充電しているかを判定する。YESの場合はS12に進み、NOの場合はS13に進む。
【0027】
S12において、特性タイプが分類1であることをインプットし、リターンに進む。
【0028】
S13において、蓄積した充電開始時SOCの偏差が小さいかを判定する。YESの場合はS14に進み、NOの場合はS17に進む。
【0029】
S14において、蓄積した充電開始時SOCの平均値がバッテリ性能維持SOCよりも大きいかを判定する。YESの場合はS15に進み、NOの場合はS16に進む。
【0030】
S15において、特性タイプが分類2であることをインプットし、リターンに進む。
【0031】
S16において、特性タイプが分類3であることをインプットし、リターンに進む。
【0032】
S17において、特性タイプが分類4であることをインプットし、リターンに進む。
【0033】
次に、本実施形態の利点について説明する。本実施形態においては、バッテリに充電する際における充電開始時の充電率値とその充電時間との充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積する蓄積工程と、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データと充電時間の長さとに基づいて所望個別充電率値を推定する推定工程と、初期設定充電率値を前記所望個別充電率値に変更する変更工程を含むようにした。これにより、運転者にとって適切なSOCで充電アラートを発することができる。その結果、運転者のストレスを軽減することができる。例えば、SOC80%で走行を開始し、SOCが50%未満であるSOC40%になった段階で充電機会があれば充電したい運転者がSOC30%で充電を開始する場合、SOC80%~40%までは充電アラートを発せず、SOC40%で充電アラートを発するようにすることができる。このとき、運転者はSOC40%~SOC30%までの間だけSOCインジケータを監視すればよい。
【0034】
また、本実施形態においては、推定工程において、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データにおいてバッテリの充電時間が相対的に長いほどその充電開始時の充電率値を重み付けし加重平均して算出した限界充電率値を所望個別充電率値とした。これにより、限界充電率値に基づいた適切なSOCで充電アラートを発することができるという利点がある。その結果、運転者がSOCを常時気にするストレスを軽減することができる。なお、図3中の分類番号2~4においては、限界充電率値より一定値だけ高い状態において充電アラートを発することが好ましい。
【0035】
さらに、本実施形態においては、電動車両が充電器で充電可能な場所で充電されずに駐車している際における駐車開始時の充電率値とその駐車時間との駐車開始時充電率値-駐車時間データを取得し蓄積する他の蓄積工程を更に含む。さらに、推定工程において、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データ及び蓄積された駐車開始時充電率値-駐車時間データに基づいて所望個別充電率値を推定するに当たり、所望個別充電率値を、限界充電率値と限界充電率値よりも大きい非限界充電率値との間に含まれる値とし、限界充電率値を、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データにおいてバッテリの充電時間が相対的に長いほどその充電開始時の充電率値を重み付けし加重平均して算出した値とし、非限界充電率値を、蓄積された駐車開始時充電率値-駐車時間データにおいて電動車両の駐車時間が相対的に長いほどその駐車開始時の充電率値を重み付けして加重平均した算出した値とした。これにより、限界充電率値と非限界充電率値とに基づいたより適切なSOCで充電アラートを発することができるという利点がある。なお、図3中の分類番号2~4においては、限界充電率値より一定値だけ高い状態において充電アラートを発することが好ましい。
【0036】
さらに、本実施形態においては、蓄積工程において、蓄積された充電率値-充電時間データの数が一定数未満の場合には、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更しないようにすることができる。これにより、適切な蓄積データに基づいた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。
【0037】
さらに、本実施形態においては、蓄積された充電率値-充電時間データの数が一定数以上の場合であって、新たに取得された充電率値-充電時間データが蓄積された充電率値-充電時間データに対して外れ値であり、その後外れ値が取得される場合には外れ値を蓄積する一方、その後外れ値が取得されない場合には外れ値を蓄積しないようにすることができる。これにより、適切な蓄積データに基づいた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。
【0038】
さらに、本実施形態においては、推定工程において、蓄積された充電率値-充電時間データとして現在から一定期間の過去までの充電率値-充電時間データを用いることができる。これにより、より最近の傾向を示す適切な蓄積データに基づいた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。
【0039】
さらに、本実施形態においては、運転者の所望個別充電率値に対する特性タイプを判別する判別工程を更に含み、推定工程において、蓄積された充電率値-充電時間データ及び判別された特性タイプに基づいて所望個別充電率値を推定してもよい。これにより、運転者のSOCに対する志向や特性に応じた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。また、推定精度を高めることもできる。
【0040】
また、判別工程において、充電頻度、充電開始時の充電率値の偏差、及び充電開始時の充電率値の平均値からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いて特性タイプを判別することができる。なお、図3の分類番号1の場合が充電頻度が高い場合に該当し、分類番号2~4の場合が充電頻度が低い場合に該当する。また、分類番号2、3の場合が充電開始時SOCの偏差が小さい場合に該当し、分類番号4の場合が充電開始SOCの偏差が大きい場合に該当する。さらに、充電開始時SOCの平均値をバッテリ性能維持SOCよりも大きくするには、例えば、バッテリ性能維持SOCが20%である場合には、SOCを25%程度にすることが好ましい。充電開始時SOCの平均値をバッテリ性能維持SOCよりも小さくするには、例えば、バッテリ性能維持SOCが20%である場合には、SOCを10%程度にすることが好ましい。
【0041】
さらに、本実施形態においては、所望個別充電率値がバッテリのバッテリ性能維持充電率値以上の場合には、所望個別充電率値をそのまま所望個別充電率値とし、所望個別充電率値がバッテリのバッテリ性能維持充電率値未満の場合には、所望個別充電率値をバッテリ性能維持充電率値にすることができる。これにより、バッテリ劣化を防ぐこともできる。その結果、運転者のバッテリ劣化に対するストレスを軽減することができる。なお、図3中の分類番号2~4においては、限界充電率値及びバッテリ性能維持充電率値のうち高い値より一定値だけ高い状態において充電アラートを発することが好ましい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、所望個別充電率値の決定方法の違いにより充電アラートの形式を異ならせることができる。これにより、不必要に充電アラートが発せられ続けることがない。また、充電アラートの要因に応じた充電アラートを発することができる。つまり、充電アラートの緊急性に応じて充電アラートの形式を異ならせることができ、鳴動などの音だけでなく、アナウンスによる充電アラートを採用することもできる。また、前回の運転の際に、充電アラートが発せられた場合に充電しなかった場合には、タイミングに応じて適切な充電アラートに変更することができる。その結果、適切な充電アラートが発せられるため、運転者のストレスを軽減することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、電動車両の他の運転者又は他の電動車両の所望個別充電率値と劣化時充電率値との関係性を示す所望個別充電率値-劣化時充電率値データを取得する取得工程を更に含むことが好ましい。さらに、推定工程において、蓄積された充電率値-充電時間データ及び取得された所望個別充電率値-劣化時充電率値データに基づいて所望個別充電率値を推定することが好ましい。これにより、SOHが低下していくことによって変化する限界SOCに基づいた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。
【0044】
また、本実施形態においては、電動車両の劣化時充電率値情報(SOHが小さいほど限界SOCが高くなりやすい)、電動車両の周辺の天候情報(台風、降雪、極寒、猛暑などでは限界SOCが高くなりやすい)、電動車両の走行道路情報(過去に走行実績がない道路においては限界SOCが高くなりやすい)、電動車両と充電器との距離情報(当該距離が離れているほど限界SOCが高くなりやすい)、時刻情報(深夜の時間帯)及び充電率値のインジケータの目視頻度情報(限界SOCに近づくに従って頻度が高くなる)からなる群より選ばれた少なくとも1種の情報を取得する他の取得工程を更に含むことが好ましい。さらに、推定工程において、蓄積された充電率値-充電時間データ及び取得された情報に基づいて所望個別充電率値を推定することが好ましい。これにより、上述の各種情報に応じた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。また、推定精度を高めることもできる。
【0045】
また、本実施形態においては、デジタルキー、顔認証カメラ、運転席の重量センサー及び指紋認証センサーからなる群より選ばれた少なくとも1種を用いて運転者を判別することが好ましい。これにより、上述した個人認証に基づいた所望個別SOCで充電アラートを発することができるという利点がある。また、推定精度を高めることもできる。
【0046】
以上、本発明を若干の実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0047】
本発明においては、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更すべく、バッテリに充電する際における充電開始時充電率値-充電時間データを取得して蓄積し、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データ等に基づいて所望個別充電率値を推定し、初期設定充電率値を所望個別充電率値に変更したため、電動車両のバッテリの充電アラートを発する初期設定充電率値を運転者の所望個別充電率値に変更することを骨子とする。
【0048】
従って、上記工程以外の工程は、上述した実施形態に示した構成に限定されるものではなく、適宜削除又は追加することが可能であり、詳細を変更することも可能である。
【0049】
例えば、推定工程において、蓄積された充電開始時充電率値-充電時間データにおいてバッテリの充電時間が相対的に短いほどその充電開始時の充電率値を重み付けし加重平均して算出した他の限界充電率値を所望個別充電率値とすることも可能である。特に走行開始前に短時間充電する場合に他の限界充電率値として採用することができる。
図1
図2
図3