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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110257
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】栽培装置および栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/04 20060101AFI20240807BHJP
   A01G 9/00 20180101ALI20240807BHJP
【FI】
A01G31/04 A
A01G31/04 Z
A01G9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014749
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】新木 輝亮
(72)【発明者】
【氏名】松永 浩司
(72)【発明者】
【氏名】八倉 弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉英
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英則
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314NA13
2B327NE09
2B327TA04
2B327TA09
2B327TA27
2B327TC11
2B327TC18
(57)【要約】
【課題】栽培工程において保持具の共連れを抑えることが図れる栽培装置を提供する。
【解決手段】栽培装置は、搬送路110が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の保持具20を搬送方向に移動可能に支持する搬送路110を備える。栽培装置は、保持具が搬送方向に移動することに応じて、保持具を係止する係止状態と保持具を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる係止機構部30を備える。搬送路の一端12に位置する第1の保持具が移動することで、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて移動する。これに動きにより、係止機構部30は、非係止状態から、第2の保持具を係止する係止状態に切り換わる構成を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、
搬送路が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の前記保持具を前記搬送方向に移動可能に支持する搬送路(110)と、
前記保持具が前記搬送方向に移動することに応じて、前記保持具を係止して前記保持具の移動を阻止する係止状態と前記保持具を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる係止機構部(30,130)と、
を備え、
前記係止機構部は、前記非係止状態において、複数の前記保持具のうち、前記搬送路の一端(12)に位置する第1の保持具が移動することに伴い、前記第1の保持具に隣接する第2の保持具と前記第1の保持具との間隔が一旦広がった後、前記第2の保持具が前記第1の保持具寄りに共連れされて移動するタイミングで、前記非係止状態から、前記第2の保持具を係止する前記係止状態に切り換わる構成を有する栽培装置。
【請求項2】
前記係止機構部は、前記第2の保持具に隣接する第3の保持具が前記第2の保持具に接近する移動に伴い前記第3の保持具によって押し込まれて、前記第2の保持具を係止する前記係止状態から前記第2の保持具の係止を解除する前記非係止状態に切り換わる構成を有する請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記係止機構部は、基部(301)と、前記搬送方向において、前記基部の一端側に位置する第1の係止部(304)と前記基部の他端側に位置する第2の係止部(305)とを含み、
前記第1の係止部の内側面と前記第2の係止部の先端とは、前記保持具の前記搬送方向の長さよりも前記搬送方向に長く離間して設けられている請求項1または請求項2に記載の栽培装置。
【請求項4】
前記第1の係止部は、前記基部に対して前記保持具に向けて突出し前記搬送路の前記一端側の外面が先端に近づくほど前記搬送路の他端側に位置するように傾斜する面取り形状を有する爪部を含み、
前記第2の係止部は、前記基部に対して前記保持具に向けて突出し前記搬送路の一端側の外面と他端側の外面との両方において前記第2の係止部の先端に近づくほど先細りするように傾斜する面取り形状を有する爪部を含む請求項3に記載の栽培装置。
【請求項5】
前記第1の係止部は、前記第1の係止部よりも前記搬送路の前記一端側から前記第1の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止せず、前記第1の係止部よりも前記搬送路の他端側から前記第1の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止する構成を有し、
前記第2の係止部は、前記第2の係止部よりも前記搬送路の他端側から前記第2の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止せず、前記第2の係止部よりも前記搬送路の前記一端側から前記第2の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止しない構成を有する請求項3に記載の栽培装置。
【請求項6】
前記第1の係止部と前記第2の係止部は、非係止状態から係止状態へ重力方向にまたは付勢力方向に変位する請求項3に記載の栽培装置。
【請求項7】
前記係止機構部は、重力によって重力方向に摺動可能な状態で、支持されており、
前記第1の係止部と前記第2の係止部は、前記非係止状態において前記保持具の被係止部上端よりも上方に位置し、前記係止状態において前記保持具の被係止部上端よりも下方に位置する請求項6に記載の栽培装置。
【請求項8】
前記搬送路は、並走して設けられた第1の搬送路と第2の搬送路とを含んでおり、
前記第1の搬送路を移動可能である前記保持具に対して前記係止状態と前記非係止状態とにわたって切り換わる第1の係止機構部と、前記第2の搬送路を移動可能である前記保持具に対して前記係止状態と前記非係止状態とにわたって切り換わる第2の係止機構部とを一体に支持する単一の支持部材(40)を備える請求項1または請求項2に記載の栽培装置。
【請求項9】
前記搬送路の前記一端から前記第1の保持具を取り出す作業を行い、前記第2の保持具と前記第1の保持具との間隔が一旦広がった後、前記第2の保持具が前記第1の保持具寄りに共連れされて、前記第2の保持具を移動させるロボット装置(21,210)を備える請求項1に記載の栽培装置。
【請求項10】
前記搬送路の他端から前記保持具を搬入して、前記第3の保持具を前記搬送路の前記一端に向けて押し込むロボット装置(21,210)を備える請求項2に記載の栽培装置。
【請求項11】
ロボット装置(21,210)が、搬送路(110)が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の保持具のうち、前記搬送路の一端(12)に位置する第1の保持具を前記搬送路から取り出すために前記第1の保持具を移動させる工程と、
さらに前記第1の保持具が移動することに伴い、前記第1の保持具に隣接する第2の保持具と前記第1の保持具との間隔が一旦広がった後、前記第2の保持具が前記第1の保持具寄りに共連れされて移動して、前記第2の保持具を係止しない非係止状態から、係止機構部(30,130)が前記第2の保持具を係止して前記第2の保持具の移動を阻止する係止状態に切り換わる工程と、
ロボット装置(21,210)が、前記搬送路の他端から保持具を搬入して、前記第2の保持具に隣接する第3の保持具を前記搬送路の一端に向けて押し込む工程と、
前記第3の保持具が前記第2の保持具に接近する移動に伴い前記第3の保持具によって押し込まれて、前記係止機構部が前記第2の保持具を係止する係止状態から前記第2の保持具の係止を解除する非係止状態に切り換わる工程と、
を備える栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、保持具を搬出入する栽培装置および栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、搬送路から保持具を取り出す際に、保持具に保持された植物の根が絡み合った場合でも、保持具の共連れを抑制できる係止機構を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6850441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、弾性体によって得られる係止力に大きく依存する係止機構を有するため、係止機構の設定において制約が大きい。特許文献1に記載の技術は、保持具の共連れを抑制する点に関して、改善の余地がある。
【0005】
この明細書における開示の目的は、栽培工程において保持具の共連れを抑えることが図れる栽培装置および栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された栽培装置の一つは、栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、搬送路が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の保持具を搬送方向に移動可能に支持する搬送路(110)と、保持具が搬送方向に移動することに応じて、保持具を係止して保持具の移動を阻止する係止状態と保持具を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる係止機構部(30,130)と、を備え、
係止機構部は、非係止状態において、複数の保持具のうち、搬送路の一端(12)に位置する第1の保持具が移動することに伴い、第1の保持具に隣接する第2の保持具と第1の保持具との間隔が一旦広がった後、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて移動するタイミングで、非係止状態から、第2の保持具を係止する係止状態に切り換わる構成を有する。
【0008】
この栽培装置によれば、第1の保持具が移動することに伴って、第1の保持具と第2の保持具の間隔が一旦広がる。ここで互いの根が絡まっている場合は、その根の絡まりが伸びきった時点で、第2の保持具は第1の保持具寄りに共連れされて移動していく。互いに根が絡まっていて第1の保持具と第2の保持具とが共連れ状態である場合には、例えば第1の保持具の搬出時に第2の保持具との間隔が一旦広がる。さらに第1の保持具が移動すると、根の絡まりが伸びきった状態において第2の保持具が共連れされることで第2の保持具が引っ張られて第1の保持具寄りに移動する。この第2の保持具の移動に伴い、係止機構部が第2の保持具を係止する状態に切り換わる。このように第1の保持具と第2の保持具とが共連れ状態であるときには、第1の保持具の搬出動作により、第2の保持具が係止されるので共連れ状態の進行を抑止できる。したがって、この栽培装置は、栽培工程において保持具の共連れを抑えることを図ることができる。
【0009】
開示された栽培方法の一つは、ロボット装置(21,210)が、搬送路(110)が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の保持具のうち、搬送路の一端(12)に位置する第1の保持具を搬送路から取り出すために第1の保持具を移動させる工程と、
さらに第1の保持具が移動することに伴い、第1の保持具に隣接する第2の保持具と第1の保持具との間隔が一旦広がった後、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて移動して、第2の保持具を係止しない非係止状態から、係止機構部(30,130)が第2の保持具を係止して第2の保持具の移動を阻止する係止状態に切り換わる工程と、
ロボット装置(21,210)が、搬送路の他端から保持具を搬入して、第2の保持具に隣接する第3の保持具を搬送路の一端に向けて押し込む工程と、
第3の保持具が第2の保持具に接近する移動に伴い第3の保持具によって押し込まれて、係止機構部が第2の保持具を係止する係止状態から第2の保持具の係止を解除する非係止状態に切り換わる工程と、
を備える。
【0010】
ロボット装置は第1の保持具を取り出す工程を行う。この工程の過程で、さらに第2の保持具と第1の保持具との間隔が広がった後、第2の保持具が第1の保持具に引っ張られることで第2の保持具が係止状態に切り換わる。この工程により、第2の保持具が係止されるので第1の保持具の搬出時に共連れ状態の進行を抑止できる。さらにロボット装置は、搬送路の他端から保持具を搬入して、第3の保持具を搬送路の一端に向けて押し込む。これにより、第3の保持具によって押し込まれて、係止機構部が第2の保持具を係止する係止状態から第2の保持具の係止を解除する非係止状態に切り換わる工程が行われる。これらの工程により、第1の保持具の搬出動作時に第2の保持具の共連れ状態を抑制し、さらに第2の保持具を係止状態から非係止状態に変更することができる。したがって、この栽培方法は、栽培工程において保持具の共連れを抑えることが図れるとともに、第2の保持具を搬出可能な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の栽培装置が適用される可搬式ラックを示す図である。
図2】栽培装置に係る制御構成を示す図である。
図3】保持具と係止機構部とを示す平面図である。
図4】保持具、係止機構部等に係る、搬送路を横断する横断面図である。
図5】搬送路に沿う方向について、保持具、係止機構部等を示した図である。
図6】保持具の搬出前状態を示す図である。
図7】共連れなし時の、一端から保持具を搬出する動作の一例を示す図である。
図8】共連れなし時の、他端から保持具を搬入した状態を示す図である。
図9】共連れなし時の、搬出入完了状態を示す図である。
図10】共連れあり時に、保持具の搬出動作における係止状態を示した図である。
図11】搬出完了後の状態から非係止状態への移行を示した図である。
図12】保持具の逆送り搬入前状態を示す図である。
図13】保持具の逆送り搬入動作の一例を示す図である。
図14】搬入された保持具が逆送りされた状態を示す図である。
図15】保持具をさらに逆送り搬入した状態を示す図である。
図16】逆送り搬入時の係止状態を示す図である。
図17】逆送り搬入時のロック解除状態を示した図である。
図18】第2実施形態における、係止機構部に係る、搬送路を横断する横断面図である。
図19】搬送路に沿う方向について係止機構部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
第1実施形態
栽培装置の一例を開示する第1実施形態について図1図17を参照しながら説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、X方向、Y方向、Z方向と示す。この明細書ではX方向とY方向とによって規定される平面が水平面に沿っている。Z方向が鉛直方向に沿っている。
【0014】
明細書に開示する栽培装置は、屋内にて水耕栽培によって苗状態から収穫可能な状態にまで成長した植物を収穫するために、保持具を搬出、搬入する装置である。成長した植物は、例えば図1に示すような可搬式ラック1に収容されている。可搬式ラック1は、底部に設けられた車輪により搬送可能に構成されている。
【0015】
可搬式ラック1は、上下方向に間隔をあけて設置された複数の棚11を備えている。各棚11には、それぞれ植物を保持する複数の保持具が設けられている。可搬式ラック1は、保持具を搬送可能な複数の搬送路110を備えている。搬送路110は、例えば、互いに平行な一対のレールである。このレールは、円形状または四角形状の断面形状を有している。各棚11は図3等に示す搬送路110を備えている。一つの搬送路110には、搬送路110が延びる方向に複数の保持具が移動可能に設けられている。一つの搬送路110は、搬送路110が延びる方向に保持具とスペーサとを移動可能に備えることができる。搬送路110は、図面ではX方向に延びているが、Y方向に延びるように設置されている構成でもよい。
【0016】
保持具およびスペーサは、搬送路110から搬出可能であり、搬送路110に対して搬入可能な部材である。スペーサには、植物を生育しない、または植物を保持していない保持具を用いることができる。可搬式ラック1は、搬出入方向について一方部が他方部よりも低く位置するように、傾斜した搬送路110を備える構成でもよい。この場合は、例えば搬出側が搬入側よりも低い位置になるように構成することが好ましい。
【0017】
図1に示すように、各棚11は、X方向およびY方向に並ぶ複数の植物を備えている。収穫可能な状態に成長した植物は、植物を保持する保持具が設けられた棚11と、上方に隣り合う棚11との間に収まるように上方に延びている。
【0018】
図2図3に示すように、栽培装置は、搬送路110、保持具20、および係止機構部30を備えている。複数の保持具20は、搬送路110が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配されている。搬送路110は、複数の保持具20を搬送方向に移動可能に支持している。さらに栽培装置は、把持部21の動作、ハンド部210の動作を制御する制御部100を備えている。
【0019】
把持部21は、ロボット装置のハンド部210における先端部に備えられている。把持部21は、制御部100によって作動が制御される。一対の把持部21は、把持する対象物である物体を両側から挟むように掴む一対のチャック部を含んでいる。ロボット装置は、把持部21とハンド部210とユニット本体部とを備える。ハンド部210は、端部に、保持具およびスペーサを掴む把持部21を備えている。培地は、保持具20の筒状部201内で植物を保持している。培地は、例えば、寒天等のゲル状培地を用いてもよいし、ウレタン、ロックウール等の固形培地を用いてもよい。ハンド部210は、把持部21によって支持された保持具20の姿勢を変化させることができる装置として機能する
【0020】
制御部100は、ハンド部210の作動と把持部21の作動とを個別に制御することができる。ハンド部210は、保持具20やスペーサの搬出および搬入を行うように制御される構成でもよい。ユニット本体部は、制御部100を含み、制御部100によってハンド部210を前後方向、左右方向、上下方向に移動させる。ユニット本体部は、ハンド部210を、前後方向、左右方向および上下方向の各方向に移動させるための機構部を有する。各機構部は、例えば、所定方向に伸びるビームと、ビームに従って移動するスライダと、所定方向への駆動源としてのモータ等を含んで構成されている。ユニット本体部は、制御部100によって把持部21を、閉じる方向および開く方向に動作させる。
【0021】
図2に示すように、制御部100は、ROMおよびRAM等のメモリとCPUとを含むマイクロコンピュータとその周辺回路とを含んで構成されている。制御部100は、メモリに記憶された収穫制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。各種制御対象機器には、把持部21、ハンド部210等が含まれる。また、制御部100は、メモリに記憶された栽培制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された制御対象機器の作動を制御する構成でもよい。メモリはコンピュータやプロセッサによって読み取り可能な各種プログラムと各種情報を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリは揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。
【0022】
制御部100の入力側には、周辺機器が接続されている。カメラ41は、周辺機器の一例であり、制御部100の出力側に接続されている機器の作動を制御するための制御用センサとして機能する。カメラ41は、保持具20で保持されている植物の生育段階を確認したり、各部材の位置や姿勢などの状態を認識したりするための撮影装置である。
【0023】
制御部100は、ハンド部210、把持部21の作動を制御して、保持具20を掴んで保持具20の搬出と搬入とを実行する搬出入制御部100Aを備える。搬出入制御部100Aは、図6図17に示すように、保持具20を掴んで、搬送路110に一列に並ぶ保持具20を搬送路110に沿って移動させる動作を実行する。
【0024】
次に保持具20の構成について説明する。図3図4は、第1実施形態の保持具20を示している。保持具20は、平板部202と、平板部202に対して直交する方向に延びる筒状部201と、搬送路110に沿って延びるガイド部203とを備えて形成されている。筒状部201は、栽培対象である植物を保持可能な保持部である。ガイド部203は、筒状部201の両側において平板部202から突出する側壁である。ガイド部203は、搬送路110の外側において搬送路110に沿うように延びている。ガイド部203は、保持具20を搬送路110に沿って移動可能なようにガイドしている。
【0025】
筒状部201は、内部に培地を充填可能な軸方向長さを有している。筒状部201は、上端開口部と下端開口部とを含んでいる。上端開口部と下端開口部は、筒状部201の両端部に開口部を形成しており、同等の開口面積と開口形状に形成されている。保持具20は、筒状部201の上端開口部寄りの部位に、径方向外側に突出するストッパ部2011を備えている。ストッパ部2011は、筒状部201において、ストッパ部2011よりも下方に位置する部分に対して径方向外側に突出している。ストッパ部2011は、例えば、筒状部201の上端開口部の部位に対して、径方向外側に放射状に突出するフランジ形状である。
【0026】
一対の把持部21は、一対のチャック部によって筒状部201を両側から挟んで保持具20を直接掴んでいる。一対の把持部21は、ストッパ部2011よりも下方の位置において筒状部201を掴むように制御されている。ストッパ部2011は、筒状部201において一対の把持部21が掴んでいる部分よりも径方向外側に突出している。この構成により、把持部21の把持力が低下した場合や適切に把持できない場合には、把持部21がストッパ部2011に接触して保持具20の落下を抑えることに寄与する。
【0027】
栽培装置は、搬送路110の搬送方向に並んでいる複数の保持具20のうち、少なくとも所定位置の保持具20を係止して拘束可能な機能を有する係止機構部30を備える。図3から図5は、第1実施形態の係止機構部30を示している。係止機構部30は、保持具20が搬送方向に移動する位置に応じて、保持具20を係止する係止状態と保持具20を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる。係止機構部30は、搬送路110において所定の位置に設置されている。
【0028】
各係止機構部30は、一つの保持具20を係止する係止状態を実行するように設けられている。例えば図3図4に示すように、係止機構部30は、隣合う搬送路110のそれぞれに設けられた保持具20に対して、各々の状態に応じて個別に係止状態を形成するように設置されている。したがって、2つの係止機構部30は、2つの搬送路110の隣合う方向に対応するように隣り合って設置されている。この2つの係止機構部30は、搬送路110における所定の位置において、単一の支持部材40によって一体に支持されている。
【0029】
栽培装置は、支持部材40と、支持部材40によって支持されて隣合う係止機構部30とを上方から覆っているカバー31を備える。支持部材40は、搬送路110に対する所定の位置に設置されている。カバー31は、各係止機構部30や支持部材40に対して外部からの荷重や異物が及ばないように保護し、係止機構部30の円滑な摺動状態が得られることに寄与する。
【0030】
隣合う係止機構部30のうち、一方側に位置するものを第1の係止機構部とし、他方側に位置するものを第2の係止機構部とする。第1の係止機構部は、隣合う搬送路110のうち、第1の搬送路を移動可能である保持具20に対して係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる機能を有する。第2の係止機構部は、隣合う搬送路110のうち、第2の搬送路を移動可能である保持具20に対して係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる機能を有する。第1の係止機構部と第2の係止機構部は、同様の構成を有する。
【0031】
支持部材40は、連結部401と支柱部402と一対の摺動支持部403とを含んでいる。連結部401は、図4に示すように、第1の係止機構部と第2の係止機構部とが並ぶ方向に延びる形状を有している。連結部401は、さらに図5に示すように、係止機構部30を安定して支持するために、係止機構部30や搬送方向に延びる形状を有している。支柱部402は、連結部401から延びている部分であり、連結部401を支持している。一対の摺動支持部403は、第1の係止機構部と第2の係止機構部のそれぞれを摺動可能に支持している部分であり、連結部401において長手方向の両側に設けられている。支柱部402は、連結部401におけて、一対の摺動支持部403の間に位置する部分に結合している。
【0032】
図4図5に示すように、摺動支持部403は、係止機構部30を、重力方向に摺動可能に支持している。摺動支持部403は、係止機構部30を、付勢部材によって付勢される付勢力方向に摺動可能に支持している構成でもよい。この場合、付勢部材は、係止機構部30に対して保持具20側へ付勢する付勢力を与えるばねなどの弾性部材を含んで構成できる。付勢方向は、上下方向に限定されず、重力方向、または重力方向以外の方向に設定される。この構成によれば、係止機構部30を係止状態と非係止状態とにわたって重力方向以外の方向、例えば水平方向に変位させることができる。
【0033】
図4図5に示すように、第1の係止部と第2の係止部は、非係止状態と係止状態とにわたって重力方向にまたは付勢力方向に摺動可能に変位する。係止機構部30は、搬送方向に細長い形状である基部301と、基部301と一体に設けられた単数または複数の被支持部302とを備える。係止機構部30は、図5に示すように、搬送方向において基部301の一端側と他端側とのそれぞれに位置する被支持部302を備える構成でもよい。被支持部302は、摺動支持部403内に挿通された状態で重力または付勢力に応じて摺動可能に変位する。この摺動可能な構成によれば、係止機構部30の全体を、大きく傾くことがないように平行移動させることができる。
【0034】
係止機構部30は、被支持部302よりも先端側の部位に、径方向外側に突出するストッパ部303を備えている。ストッパ部303は、被支持部302よりも径方向外側に突出する形状である。ストッパ部303は、例えば、被支持部302に対して、径方向外側に放射状に突出するフランジ形状である。ストッパ部303は、摺動支持部403によって支持されている部分よりも径方向外側に突出している。この構成により、係止機構部30が大きく変位した場合でも、摺動支持部403がストッパ部303に接触して係止機構部30の過剰な変位を抑えることに寄与する。
【0035】
係止機構部30は、搬送方向において、基部301の一端側に位置する第1の係止部304と、基部301の他端側に位置する第2の係止部305とを備える。第1の係止部304、第2の係止部305は、基部301から、搬送路110側や保持具20側に突出する爪状の部分である。第1の係止部304の爪部は、平坦、湾曲面、または角に形成された先端を有している。第1の係止部304を形成する爪部は、搬送路110の一端側の外面3041において先端に近づくほど搬送路110の他端側に位置するように傾斜する面取り形状を有する。
【0036】
第1の係止部304の爪部は、搬送路110の一端側または係止機構部30の外側を向いている外面3041が先端に近づくほど内側に位置するように形成されている。外面3041は、保持具20における他端側の側面20Lに対して傾斜する面をなしている。外面3041は、保持具20が第1の係止部304に対して接近してきたときに、側面20Lの上端に位置する角部に対して斜めに接触するように形成されている。第1の係止部304の爪部は、搬送路110の他端側または係止機構部30の内側を向いた外面が保持具20の一端側の側面20Rに略平行な面または傾斜する面になるように形成されている。この外面は、第1の係止部304の爪部における内側面である。第1の係止部304の爪部における搬送路110の他端側を向く外面は、基部301に対して略直交する、または傾斜する内側面である。
【0037】
このように第1の係止部304は、第1の係止部よりも搬送路の一端12側から第1の係止部に向けて搬送されてくる保持具20を係止しない構成を備えている。さらに第1の係止部304は、第1の係止部よりも搬送路110の他端側から第1の係止部に向けて搬送されてくる保持具20を係止する構成を備えている。
【0038】
第2の係止部305の爪部は、平坦、湾曲面、または角に形成された先端を有している。第2の係止部305の外面3052は、先端よりも、搬送路110の他端側または外側に位置する面である。第2の係止部305を形成する爪部は、搬送路110の他端側の外面3052において先端に近づくほど搬送路110の一端側に位置するように傾斜する面取り形状を有する。外面3052は、保持具20が第2の係止部305に対して接近してきたときに、側面20Rの上端に位置する角部に対して斜めに接触するように形成されている。第2の係止部305の外面3051は、先端よりも、搬送路110の一端側または内側に位置する面である。第2の係止部305の爪部は、搬送路110の一端側または係止機構部30の内側を向いている外面3051が先端に近づくほど外側に位置するように形成されている。外面3051は、保持具20が第2の係止部305に対して接近してきたときに、側面20Lの上端に位置する角部に対して斜めに接触するように形成されている。第2の係止部305の爪部は、先端の両側において傾斜面を有する先細り形状を有している。
【0039】
このように第2の係止部305は、第2の係止部よりも搬送路110の他端側から第2の係止部に向けて搬送されてくる保持具20を係止しない構成を有する。さらに第2の係止部305は、第2の係止部よりも搬送路の一端12側から第2の係止部に向けて搬送されてくる保持具20を係止しない構成を有する。
【0040】
図5に示すように、保持具20の搬送方向の長さW2は、側面20Rと側面20Lの距離に相当する。第1の係止部304の先端と第2の係止部305の先端との距離W1は、長さW2よりも長くなっている。したがって、第1の係止部304の先端と第2の係止部305の先端とは、保持具20の搬送方向の長さよりも搬送方向に長く離間している。
【0041】
次に、植物栽培の工程における、搬送路110に配置された保持具20と係止機構部30との位置関係について、図6図17を参照して説明する。図6図9は、根の絡まりによる共連れがない状態を示している。保持具20を一端12側へ順送りする動作について、図6図11を参照して説明する。
【0042】
図6は搬送路110の一端12に位置する保持具20の搬出前状態の一例を示している。図6に示す栽培過程の一例状態では、搬送路110の一端12から他端に向かって順に保持具20A、保持具20B、保持具20Cが並んでいる。図6に示す状態では、第1の係止部304と第2の係止部305は、保持具20Aと保持具20Bに上面に載っている。係止機構部30は、保持具20Aと保持具20Bの上にまたがって配置されており、どの保持具も係止しない非係止状態になっている。
【0043】
図7は、ロボット装置が図6の状態から保持具20Aを把持して搬送路110の一端12から取り出す作業を行うことを示している。例えば、この作業は、保持具20Aに保持された植物が収穫可能な状態になった場合に、収穫作業の一つとしてロボット装置によって行われる。あるいは、この作業は、スペーサを搬送路110の一端12から取り出す場合にロボット装置によって行われる。ロボット装置は、把持した保持具20Aを図7の破線矢印の向きに引き出して、搬送路110の一端12から上方に取り出す。前述したように、図7の状態は根の絡まりによる共連れがない場合であるため、引き出された保持具20Aに連れ立って保持具20Bは移動しない。したがって、図7に示すように、係止機構部30の第2の係止部305は保持具20Bの上面に載ったままである。
【0044】
図8は、図7に示す状態から、搬送路110の他端に保持具を搬入した状態を示している。例えば、この作業は、新たに生育する植物を保持する予定である保持具を、他端から搬送路110に搬入するために行われる。搬入された保持具は、一端12まで順送りされる過程で収穫可能な状態まで生育する植物を保持することになる。あるいは、この作業は、スペーサを他端から搬送路110に搬入する場合にも実施することができる。
【0045】
ロボット装置は、把持した保持具を搬送路110の他端に搬入する。他端に搬入された保持具によって搬送路110上の複数の保持具が順送りされるため、保持具20Cが隣の保持具20Bを一端12側へ押すことになる。保持具20Bの移動により、第1の係止部304は保持具20Bの上面に載り、第2の係止部305は保持具20Cの上面に載るようになる。この過程で、保持具20Bの他端側の側面20Lと保持具20Cの一端側の側面20Rとの間隔は、第2の係止部305の搬送方向幅W3よりも小さい。したがって、第2の係止部305は、保持具20Bと保持具20Cの間に嵌ることなく、保持具20Bの上面から保持具20Cの上面へ円滑に移動する。
【0046】
さらに他端から搬入した保持具を一端12側へ移動させると、図8の状態から図9の状態に移行する。図9は、共連れなし時の、保持具の搬出入完了状態を示している。保持具20Bは保持具20Cに押されて、さらに一端12側に移動し、保持具20Dが保持具20Cに隣接している。図6の状態から図9の状態にかけて、係止機構部30は非係止状態を維持している。
【0047】
図10図11は、一例として、根の絡まりによって保持具20Aと保持具20Bとの間で共連れが生じている状態を示している。図10は、搬送路110の一端12から保持具20Aを搬出する際に、係止機構部30によって隣の保持具20Bを係止する係止状態の一例を示している。図6図10図11において、保持具20A、保持具20B、保持具20Cは、それぞれ第1の保持具、第2の保持具、第3の保持具に置き換えることができる。
【0048】
前述の図7に示す非係止状態と同じように、ロボット装置が、図6の状態から保持具20Aを把持して搬送路110の一端12から上方に取り出す。保持具20Aを取り出す作業が進行すると、保持具20Bと保持具20Aの間隔が広がり、その後保持具20Bが引っ張られて一端12へ向けて移動する。これは、絡まっている根同士が伸びきった時点で、隣合う保持具の共連れが起こるからである。
【0049】
第1の係止部304の内側面と第2の係止部305の先端との距離W1は保持具20Bの搬送方向の長さW2よりも長く、保持具20Bは2つの係止部の間に位置している。これにより、保持具20Aと保持具20Bとの間隔が第1の係止部304の搬送方向幅W4よりも大きくなり、かつ保持具20Bと保持具20Cとの間隔が第2の係止部305の搬送方向幅W3よりも大きくなる。このため、第1の係止部304が保持具20Aの上面から離れて第2の係止部305が保持具20Bの上面から離れる。係止機構部30が上面から落下して、第1の係止部304が保持具20Aと保持具20Bの間に嵌り、第2の係止部305が保持具20Bと保持具20Cの間に嵌るようになる。
【0050】
したがって、係止機構部30は、保持具20Bを係止しない非係止状態から、保持具20Bを係止して保持具20Bの移動を阻止する係止状態に切り換わる。以上により、係止状態によって保持具20Bは移動できないため、保持具20Bを切り離して保持具20Aを搬送路110の一端12から上方に取り出すことができる。
【0051】
図11は、保持具20Aの搬出を完了した状態から非係止状態に移行しようする状態を示している。図10に示す状態から、ロボット装置は、把持した保持具を搬送路110の他端に搬入する。搬送路110の他端に保持具を搬入すると、搬入された保持具によって搬送路110上の複数の保持具が順送りされる。このため、保持具20Cが一端12側へ移動して、保持具20Cにおける側面20Rの上端角部が第2の係止部305の外面3052に接触して第2の係止部305を押し上げる。側面20Rの上端角部は、保持具の被係止部上端に相当する。保持具20Cがさらに一端12側に移動すると、保持具20Cが第2の係止部305を押し上げて、第2の係止部305の先端が保持具20Cの上面の高さに持ち上がる。これにより、係止機構部30の基部301も持ち上がるので、第1の係止部304の先端も保持具20Cの上面と同じ高さに持ち上がる。そして、第2の係止部305は保持具20Cの上面に載り第1の係止部304は保持具20Bの上面に載るようになり、係止状態から非係止状態に切り換わる。
【0052】
係止状態では、保持具20Bの他端側の側面20Lと保持具20Cの一端側の側面20Rとの間隔は、第2の係止部305の搬送方向幅W3よりも大きい。係止状態から非係止状態に切り換わると、保持具20Bの他端側の側面20Lと保持具20Cの一端側の側面20Rとの間隔が、搬送方向幅W3よりも小さくなる。したがって、第2の係止部305は、保持具20Bと保持具20Cの間に嵌ることなく、保持具20Cの上面を他端側へ滑るようになる。さらに他端から搬入した保持具を一端12側へ移動させると、図8に示す状態から図9に示す状態に移行する。
【0053】
次に保持具を他端側へ逆送りする動作について、図12図17を参照して説明する。図12は、保持具20Cを搬送路110の一端12に搬入する前の状態の一例を示している。図12に示す状態では、搬送路110の一端12から他端に向かって順に保持具20B、保持具20Aが並んでいる。図12に示す状態では、第1の係止部304の先端と第2の係止部305の先端は、保持具20Bの上面と同じ高さにある。係止機構部30は、係止部が保持具と保持具の間に嵌っていないため、保持具20Bを係止しない非係止状態になっている。
【0054】
図13は、図12に示す状態から、搬送路110の一端12に保持具20Cを搬入した状態を示している。図13は、保持具の逆送り搬入動作の一例を示している。例えば、この作業は、スペーサを一端12から搬送路110に搬入するために行われる。
【0055】
ロボット装置は、把持したスペーサを搬送路110の一端12に搬入する。搬送路110の一端12に搬入されたスペーサには、植物を保持していない保持具を用いることができるため、各図においてスペーサを保持具20Cとして記載している。図14に示すように、一端12に搬入された保持具20Cによって搬送路110上の複数の保持具が逆送りされる。このため、保持具20Cが隣の保持具20Bを他端側へ押すことになる。保持具20Cの逆送りにより、第1の係止部304は保持具20Cの上面に載り、第2の係止部305は保持具20Bの上面における一端側に載るようになる。
【0056】
ロボット装置は、さらに、把持したスペーサを搬送路110の一端12に搬入する。搬入されたスペーサは、図15において保持具20Dとして記載している。ロボット装置は、保持具20Dを他端側へ移動させるため、図15に示すように、保持具20Dによって搬送路110上の複数の保持具が逆送りされる。これにより、保持具20Dが隣の保持具20Cを他端側へ押すことになる。保持具20Cは、保持具20Bを他端側へ押して逆送りする。保持具20Dの逆送りにより、第1の係止部304は保持具20Dの上面に載り、第2の係止部305は保持具20Cの上面における他端側に載るようになる。
【0057】
この過程で、第1の係止部304は、保持具20Cと保持具20Dの間に嵌ることなく、保持具20Cの上面から保持具20Dの上面へ円滑に移動する。これは、保持具20Cと保持具20Dの間隔が、第1の係止部304の搬送方向幅W4より小さい状態を維持しているからである。第2の係止部305は、保持具20Bと保持具20Cの間に嵌ることなく、保持具20Bの上面から保持具20Cの上面へ円滑に移動する。これは、保持具20Bと保持具20Cの間隔が、第2の係止部305の搬送方向幅W3より小さい状態を維持しているからである。図12の状態から図15の状態にかけて、係止機構部30は非係止状態を維持している。
【0058】
図16は、搬送路110の一端12から保持具20Cを搬入する際に、係止機構部30によって隣の保持具20Bを係止する係止状態であることを示している。また、図16は、係止状態となっている保持具20Bの一端12側に、保持具20Cを搬入した状態を示している。保持具20Bは第1の係止部304と第2の係止部305との間に位置している。図16は、スペーサとして用いられる保持具の逆送り搬入動作の一例を示している。
【0059】
ロボット装置は、把持した保持具20Cを搬送路110の一端12に搬入する。図16は、保持具20Cの搬入した状態から保持具20Bについて非係止状態に移行しようする状態を示している。ロボット装置は、搬入した保持具20Cが逆送りする。逆送りされた保持具20Cが他端側へ移動すると、保持具20Cにおける側面20Lの上端角部が第1の係止部304の外面3041に接触する。側面20Lの上端角部は、保持具の被係止部上端に相当する。保持具20Cの側面20Lの上端角部は、第1の係止部304の外面3041に接触して第1の係止部304を押し上げる。さらに第1の係止部304の先端が保持具20Cの上面の高さに持ち上がることにより、係止機構部30の全体が上方に変位する。そして、図17に示すように、第1の係止部304の先端は、保持具20Cの上面に載る。この状態で、係止機構部30の全体が上方に平行移動するので、第2の係止部305の先端も保持具20Cの上面と同じ高さに持ち上がる。
【0060】
保持具20Cが他端側へさらに移動すると、保持具20Cが保持具20Bを他端側に押し進めて、第2の係止部305が保持具20Bの上面に載るようになる。このように、第2の係止部305は保持具20Bの上面に載り第1の係止部304は保持具20Cの上面に載るため、係止状態から非係止状態に切り換わる。
【0061】
この実施形態で開示する栽培装置における栽培方法について説明する。栽培方法は、搬送路110に並ぶ保持具を搬送路110に沿って移動させる場合に、保持具を係止する係止状態と係止しない非係止状態とにわたって切り換える工程を含む。この切り換えに係る工程は、以下に一例として説明する手順によって実現できる。
【0062】
ロボット装置は、搬送方向に沿って一列に並んでいる複数の保持具のうち、搬送路の一端12に位置する第1の保持具を搬送路から取り出すために第1の保持具を移動させる。さらに第1の保持具が移動することに伴い、第1の保持具に隣接する第2の保持具と第1の保持具の間隔が広がる。その後、第1の保持具に引っ張られて第2の保持具が第1の保持具寄りに移動する。
【0063】
この工程と保持具間の位置関係により、第2の保持具を係止しない非係止状態から、係止機構部30が第2の保持具を係止して移動を阻止する係止状態に切り換わる。さらにロボット装置は、搬送路110の他端から保持具を搬入することにより、第2の保持具に隣接する第3の保持具を搬送路の一端12に向けて押し込むことを実施する。押し込まれた第3の保持具が第2の保持具に接近する移動に伴い、係止機構部30が第2の保持具を係止する係止状態から係止状態を解除する非係止状態に切り換わる。
【0064】
第1実施形態の栽培装置は、栽培対象である植物を保持可能な保持具20と、搬送路110と、係止機構部30とを備える。搬送路110は、搬送路110が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の保持具20を搬送方向に移動可能に支持する。係止機構部30は、保持具20が搬送方向に移動することに応じて、保持具の移動を阻止する係止状態と保持具を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる。係止機構部30は、非係止状態において、複数の保持具のうち、搬送路の一端12に位置する第1の保持具が移動することに伴い、第1の保持具に隣接する第2の保持具と第1の保持具との間隔が一旦広がった後、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて移動するタイミングで、非係止状態から、第2の保持具を係止する係止状態に切り換わる構成を有する。
【0065】
この栽培装置によれば、第1の保持具が移動することに伴い、第1の保持具と第2の保持具の間隔が一旦広がる。さらに第1の保持具の移動が進行すると第2の保持具は第1の保持具寄りに移動していく。これは、根が絡まって第1の保持具と第2の保持具とが共連れ状態である場合に、第1の保持具の搬出時に第2の保持具が引っ張られるからである。この第2の保持具の移動により、係止機構部30が第2の保持具を係止する状態に切り換わる。このように第1の保持具と第2の保持具とが共連れ状態であるときには、第1の保持具の搬出動作により、第2の保持具がロックされるので2つの保持具を分離可能になる。つまり、第1の保持具を搬送路110から搬出することにより、第2の保持具を搬送路に残すことができるので、2つの保持具の共連れ状態を解消することができる。以上により、この開示は、栽培工程において2つの保持具の共連れを抑える栽培装置を提供できる。また、この装置によれば、植物の根が絡まっているか否かに関わらず、保持具の共連れを抑制することに寄与する。
【0066】
係止機構部30は、第2の保持具を係止する係止状態から第2の保持具の係止を解除する非係止状態に切り換わる構成を有する。この係止状態は、第2の保持具に隣接する第3の保持具が第2の保持具に接近する移動に伴い第3の保持具によって押し込まれることにより、非係止状態に切り換わる。この構成によれば、搬送路の他端側からの保持具の搬送によって非係止状態に切り換えできる。これにより、非係止状態と係止状態との間の切り換え作業を保持具の動きによって制御でき、切り換えの再現性を実現できる。
【0067】
係止機構部30は、基部301と、搬送方向において、基部の一端側に位置する第1の係止部304と基部の他端側に位置する第2の係止部305とを含む。第1の係止部304の内側面と第2の係止部305の先端とは、保持具20の搬送方向の長さよりも搬送方向に長く離間して設けられている。この構成によれば、保持具20の搬送過程において、第1の係止部304と第2の係止部305との間で保持具をホールドして安定した係止状態を維持することができる。
【0068】
第1の係止部304は面取り形状を有する爪部を含む。この爪部は、基部に対して保持具に向けて突出し搬送路の一端12側の外面が先端に近づくほど搬送路の他端側に位置するように傾斜する面取り形状である。第2の係止部305は面取り形状を有する爪部を含む。この爪部は、基部に対して保持具に向けて突出し搬送路の一端12側の外面と他端側の外面との両方において第2の係止部の先端に近づくほど先細りするように傾斜する面取り形状である。
【0069】
この構成によれば、第1の係止部において傾斜する外面に接近してきた保持具の被係止部が接触して第1の係止部を押し上げる作用により非係止状態に切り換わる作動を実現できる。第2の係止部の一端側において傾斜する外面に、接近してきた保持具の被係止部が接触して第2の係止部を押し上げる作用により非係止状態に切り換わる作動を実現できる。第2の係止部の他端側において傾斜する外面に、接近してきた保持具の被係止部が接触して第2の係止部を押し上げる作用により非係止状態に切り換わる作動を実現できる。このように各係止部は、爪部の外形形状と保持具の移動向きとに応じて、係止状態から非係止状態へ切り換えを円滑に行う構成を提供する。この係止機構部は、複雑な構成を用いないで係止状態から非係止状態へ切り換えを実現することができる。
【0070】
第1の係止部304は、第1の係止部よりも搬送路の一端12側から第1の係止部に向けて搬送されてくる保持具を係止しない構成を有する。さらに第1の係止部304は、第1の係止部よりも搬送路の他端側から第1の係止部に向けて搬送されてくる保持具を係止する構成を有する。第2の係止部305は、第2の係止部よりも搬送路の他端側から第2の係止部に向けて搬送されてくる保持具を係止しない構成を有する。さらに第2の係止部305は、第2の係止部よりも搬送路の一端12側から第2の係止部に向けて搬送されてくる保持具を係止しない構成を有する。これによれば、搬送路の一端12への保持具の搬入と搬送路の他端への保持具の搬入との両方を妨げない係止機構部30を実現できる。したがって、搬送路110に対するスペーサを含む保持具の搬入や搬出が栽培工程において必要に応じて実施できる自由度の栽培装置を提供できる。
【0071】
第1の係止部304と第2の係止部305は、非係止状態から係止状態へ重力方向にまたは付勢力方向に変位する。この構成によれば、重力や付勢力を用いて係止状態に切り換わる構成を採用できるので、係止機構部の設計自由度が図れる栽培装置を提供できる。例えば、係止部を重力方向または重力方向以外の様々な方向に配置可能であり、植物の生長度に合わせたスペースや搬送路とのスペースを有効に活用できる栽培装置を提供できる。
【0072】
係止機構部30は、重力によって重力方向に摺動可能な状態で、支持されている。第1の係止部304と第2の係止部305は、非係止状態において保持具の被係止部上端よりも上方に位置し、係止状態において保持具の被係止部上端よりも下方に位置する。この構成によれば、ばねなどの弾性部材の付勢力に頼らない係止機構部を実現できるので、構成部品数を抑えて稼働率の向上が図れる栽培装置を提供できる。また、係止機構部30をばねなどの付勢力を用いずに構成できるため、適正な弾性力の設定を不要にでき、係止力の設定に要するコストや設計制約を削減できる。
【0073】
搬送路110は、並走して設けられた第1の搬送路と第2の搬送路とを含んでいる。第1の係止機構部は、第1の搬送路を移動可能である保持具20に対して係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる。第2の係止機構部は、第2の搬送路を移動可能である保持具20に対して係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる。栽培装置は、第1の搬送路に対応して設けられた換第1の係止機構部と、第2の搬送路に対応して設けられた第2の係止機構部とを一体に支持する単一の支持部材40を備える。これによれば、隣接して並走する2つの搬送路に係る2つの係止機構部を一体に支持する構成を提供できる。この構成により、並走する搬送路を複数備える栽培装置について、組付けの工数低減、部品点数の低減を図ることができる。
【0074】
栽培装置は、搬送路の一端12から第1の保持具を取り出す作業を行うロボット装置を備える。ロボット装置は、第1の保持具の搬出に伴い、第2の保持具と第1の保持具との間隔が一旦広がった後、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて、第2の保持具を移動させる。ロボット装置によって係止状態に切り換わり、第2の保持具が搬送路110に残るので、2つの保持具の共連れ状態を解消できる。この構成は、栽培工程において2つの保持具の共連れを抑える栽培装置の自動化を実現する。
【0075】
栽培装置は、搬送路110の他端から保持具を搬入して、第3の保持具を搬送路の一端12に向けて押し込むロボット装置をさらに備える。この構成によれば、搬送路の他端側から保持具を搬入するロボット装置によって、第2の保持具を係止状態から非係止状態に切り換えできる。この構成は、栽培工程において、係止状態から非係止状態に復帰可能な栽培装置の自動化を実現する。
【0076】
明細書に開示の栽培方法は、ロボット装置が搬送路の一端12に位置する第1の保持具を搬送路から取り出すために第1の保持具を移動させる工程を備える。この栽培方法は、さらに第1の保持具が移動することに伴い第2の保持具と第1の保持具との間隔が一旦広がった後、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れされて移動する。このように、第2の保持具を係止しない非係止状態から、係止機構部30が第2の保持具を係止して第2の保持具の移動を阻止する係止状態に切り換わる工程を備える。この栽培方法は、ロボット装置が搬送路110の他端から保持具を搬入して、第3の保持具を搬送路の一端12に向けて押し込む工程を備える。この栽培方法は、第3の保持具が第2の保持具に接近する移動に伴い第3の保持具によって押し込まれて、係止機構部が第2の保持具を係止する係止状態から第2の保持具の係止を解除する非係止状態に切り換わる工程を備える。
【0077】
この栽培方法によれば、ロボット装置が第1の保持具を取り出す工程によって、第2の保持具が第1の保持具寄りに共連れして第2の保持具が係止状態に切り換わる。この動作により、第1の保持具と第2の保持具との根同士が絡まっているときに、第2の保持具が係止されるので第1の保持具の搬出時に共連れ状態を解消できる。さらにロボット装置は、搬送路110の他端から保持具20を搬入して、第3の保持具を搬送路の一端12に向けて押し込む工程を行う。この工程により、第2の保持具が第3の保持具によって押し込まれて、係止機構部30が第2の保持具を係止する係止状態から非係止状態に切り換えることができる。したがって、第1の保持具の搬出動作時に第2の保持具の共連れ状態を抑制し、さらに他端からの保持具搬入により第2の保持具を係止状態から非係止状態に戻すことができる。この栽培方法は、保持具を係止状態と非係止状態とにわたって切り換え可能にするので、保持具の共連れ状態の解消と共連れなし時の保持具の搬送との両方を実施できる。
【0078】
第2実施形態
第2実施形態について図18図19を参照して説明する。第2実施形態の栽培装置は、図18図19に示す係止機構部130を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0079】
図18図19において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。各係止機構部130は、搬送路110に配された一つの保持具20を係止する係止状態を実行するように設けられている。例えば図18図19に示すように、係止機構部130は、隣合う搬送路110のそれぞれに設けられた保持具20に対して、係止状態を形成するように設置されている。したがって、2つの係止機構部130は、2つの搬送路110の隣合う方向に対応するように隣り合って設置されている。
【0080】
この2つの係止機構部130は、搬送路110における所定の位置において、単一の支持部材140によって一体に支持されている。図19に示すように、各係止機構部130は、回転軸部3011を中心に回転可能に軸支されている。回転軸部3011は、一例として、支持部材40の支柱部402に設けられている。係止機構部130が回転軸部3011を中心に回転して上下することにより、第1の係止部304と第2の係止部305は上下に変位可能である。また、第1の係止部304と第2の係止部305を上下に変位させることにより、係止機構部130は回転軸部3011を中心に回転する。
【0081】
栽培装置は、支持部材140と、支持部材140によって軸支されて隣合う係止機構部130とを上方から覆っているカバー31を備える。支持部材140は、搬送路110に対する所定の位置に設置されている。カバー31は、各係止機構部130や支持部材140に対して外部からの荷重や異物が及ばないように保護する。カバー31は、係止機構部130の円滑な回転状態が得られることに寄与する。支持部材140の連結部401は、第1の係止部304と第2の係止部305とが保持具の上面に載っている状態で、係止機構部130が接触しない位置に設けられている。
【0082】
隣合う係止機構部130のうち、一方側に位置するものを第1の係止機構部とし、他方側に位置するものを第2の係止機構部とする。第1の係止機構部は、隣合う搬送路110のうち、第1の搬送路を移動可能である保持具20に対して回転する構成により、係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる。第2の係止機構部は、隣合う搬送路110のうち、第2の搬送路を移動可能である保持具20に対して回転する構成により、係止状態と非係止状態とにわたって切り換わる。係止状態と非係止状態とにわたって切り換わるときの、保持具20と係止機構部130との位置関係は、第1実施形態で説明した内容と同様である。
【0083】
回転軸部3011は、係止機構部130を、重力方向に回転可能に支持している。回転軸部3011は、係止機構部130を、付勢部材によって付勢される付勢力方向に回転可能に支持している構成でもよい。この構成によれば、係止機構部130を係止状態と非係止状態とにわたって重力方向以外の方向に変位させることができる。
【0084】
図19に示すように、第1の係止部と第2の係止部は、非係止状態と係止状態とにわたって重力方向にまたは付勢力方向に変位する。図19に実線で記載した係止機構部130の状態は、係止部が保持具20の上面に載る非係止状態である。図19に二点鎖線で記載した係止機構部130の状態は、係止状態である。
【0085】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0086】
図2図5図18図19等に示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散、統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散、統合して構成することが可能である。
【0087】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0088】
前述の実施形態において非係止状態に切り換わるときに、保持具において係止部の外面に接触する部分は、保持具の側面の上端角部に限定されない。保持具は、係止部に向かって搬送路を移動するときに係止部の外面に最初に接触する部分が、係止部を移動させる外力を与えるように構成されている。
【0089】
技術的思想の開示
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0090】
(技術的思想1)
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20)と、
搬送路が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配された複数の前記保持具を前記搬送方向に移動可能に支持する搬送路(110)と、
前記保持具が前記搬送方向に移動することに応じて、前記保持具を係止して前記保持具の移動を阻止する係止状態と前記保持具を係止しない非係止状態とにわたって切り換わる係止機構部(30,130)と、
を備え、
前記係止機構部は、前記非係止状態において、複数の前記保持具のうち、前記搬送路の一端(12)に位置する第1の保持具が移動することに伴い、前記第1の保持具に隣接する第2の保持具と前記第1の保持具との間隔が一旦広がった後、前記第2の保持具が前記第1の保持具寄りに共連れされて移動するタイミングで、前記非係止状態から、前記第2の保持具を係止する前記係止状態に切り換わる構成を有する栽培装置。
【0091】
(技術的思想2)
前記係止機構部は、前記第2の保持具に隣接する第3の保持具が前記第2の保持具に接近する移動に伴い前記第3の保持具によって押し込まれて、前記第2の保持具を係止する前記係止状態から前記第2の保持具の係止を解除する前記非係止状態に切り換わる構成を有する技術的思想1に記載の栽培装置。
【0092】
(技術的思想3)
前記係止機構部は、基部(301)と、前記搬送方向において、前記基部の一端側に位置する第1の係止部(304)と前記基部の他端側に位置する第2の係止部(305)とを含み、
前記第1の係止部の内側面と前記第2の係止部の先端とは、前記保持具の前記搬送方向の長さよりも前記搬送方向に長く離間して設けられている技術的思想1または技術的思想2に記載の栽培装置。
【0093】
(技術的思想4)
前記第1の係止部は、前記基部に対して前記保持具に向けて突出し前記搬送路の前記一端側において前記第1の係止部の先端に近づくように傾斜する面取り形状を有する爪部を含み、
前記第2の係止部は、前記基部に対して前記保持具に向けて突出し前記搬送路の前記一端側と他端側との両方において前記第2の係止部の先端に近づくように傾斜する面取り形状を有する爪部を含む技術的思想3に記載の栽培装置。
【0094】
(技術的思想5)
前記第1の係止部は、前記第1の係止部よりも前記搬送路の前記一端側から前記第1の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止せず、前記第1の係止部よりも前記搬送路の他端側から前記第1の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止する構成を有し、
前記第2の係止部は、前記第2の係止部よりも前記搬送路の他端側から前記第2の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止せず、前記第2の係止部よりも前記搬送路の前記一端側から前記第2の係止部に向けて搬送されてくる前記保持具を係止しない構成を有する技術的思想3に記載の栽培装置。
【0095】
(技術的思想6)
前記第1の係止部と前記第2の係止部は、非係止状態から係止状態へ重力方向または付勢力方向に変位する技術的思想3から技術的思想5のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0096】
(技術的思想7)
前記係止機構部は、重力によって重力方向に摺動可能に支持されており、
前記第1の係止部と前記第2の係止部は、前記非係止状態において前記保持具の被係止部上端よりも上方に位置し、前記係止状態において前記保持具の被係止部上端よりも下方に位置する技術的思想6に記載の栽培装置。
【0097】
(技術的思想8)
前記搬送路は、並走して設けられた第1の搬送路と第2の搬送路とを含んでおり、
前記第1の搬送路を移動可能である前記保持具に対して前記係止状態と前記非係止状態とにわたって切り換わる第1の係止機構部と、前記第2の搬送路を移動可能である前記保持具に対して前記係止状態と前記非係止状態とにわたって切り換わる第2の係止機構部とを一体に支持する単一の支持部材(40)を備える技術的思想1から技術的思想7のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0098】
(技術的思想9)
前記搬送路の前記一端から前記第1の保持具を取り出す作業を行い、前記第2の保持具と前記第1の保持具との間隔が一旦広がった後、前記第2の保持具が前記第1の保持具寄りに共連れされて、前記第2の保持具を移動させるロボット装置(21,210)を備える技術的思想1に記載の栽培装置。
【0099】
(技術的思想10)
前記搬送路の他端から前記保持具を搬入して、前記第3の保持具を前記搬送路の前記一端に向けて押し込むロボット装置(21,210)を備える技術的思想2に記載の栽培装置。
【符号の説明】
【0100】
12…一端、 20…保持具、 21…把持部(ロボット装置)
30,130…係止機構部、 110…搬送路、 201…筒状部(保持部)
210…ハンド部(ロボット装置)、 301…基部、 304…第1の係止部
305…第2の係止部
図1
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