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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110263
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】建材の施工構造、建材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 1/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
E04D1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014759
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 泰治
(57)【要約】
【課題】建材の種類を少なくすることができ、建築物による制約も少ない建材の施工構造を提供する。
【解決手段】施工面10の斜め端部11に施工された端部材2と、斜め端部11以外の部分に施工された通常材3と、通常材3と端部材2との間に施工された調整材4と、を備える。斜め端部11が延びる方向に、連続する所定段数に施工される複数の端部材2で構成される複数の端部材群5が、斜め端部11の延びる方向に沿って施工されている。各端部材群5において、当該端部材群を構成する複数の端部材2が互いに同一形状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面の斜め端部に施工された端部材と、前記斜め端部以外の部分に施工された通常材と、前記通常材と前記端部材との間に施工された調整材と、を備え、
前記斜め端部が延びる方向に、連続する所定段数に施工される複数の前記端部材で構成される複数の端部材群が、前記斜め端部の延びる方向に沿って施工されており、
各前記端部材群において、当該端部材群を構成する複数の端部材が互いに同一形状である、
建材の施工構造。
【請求項2】
前記端部材群を構成する端部材と前記斜め端部の縁との間の隙間が、所定範囲である、
請求項1に記載の建材の施工構造。
【請求項3】
前記端部材群の種類が、前記施工面の勾配によって設定される、
請求項1又は2に記載の建材の施工構造。
【請求項4】
前記端部材は、反転使用可能である、
請求項1又は2に記載の建材の施工構造。
【請求項5】
施工面の斜め端部に施工される端部材と、前記斜め端部以外の部分に施工される通常材と、前記通常材と前記端部材との間に施工される調整材と、を用いる建材の施工方法であって、
前記斜め端部が延びる方向に複数の前記端部材を連続して所定段数に施工することによって、前記斜め端部の延びる方向に沿って複数の端部材群を形成する工程を含み、
各前記端部材群となる前記複数の端部材が互いに同一形状である、
建材の施工方法。
【請求項6】
各前記端部材群となる前記複数の端部材は、前記斜め端部に施工される前に切断される端部材を含む、
請求項5に記載の建材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材の施工構造及び建材の施工方法に関する。より詳細には、本発明は、端部材と、通常材と、調整材と、を備える建材の施工構造及び建材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長尺横葺きモジュール屋根材の屋根材配置方法が記載されている。この屋根材配置方法は、勾配を有する屋根を備える建物の屋根を形成する際に用いられるものである。前記屋根は隅棟又は谷を有し、屋根材を桁方向に複数枚並べ、前記屋根材を段方向に複数段並べる屋根である。
【0003】
前記屋根材の働き長さの水平投影寸法が前記建物の設計単位寸法の整数分の一であり、前記屋根材の働き幅寸法が前記働き長さの水平投影寸法の二倍以上の整数倍である。また、前記屋根材を軒先から陸棟にむかって流れ方向で一段毎に配置する際に、前記屋根材は配置する屋根面の桁方向に対して一方の端部からもう一方の端部方向に前記屋根材の働き長さの水平投影寸法の整数倍をずらして配置する。
【0004】
そして、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、壁際部、三又部、陸棟曲がり部、谷部などの全ての屋根端部に規格化した形状の屋根材を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6860944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明では、屋根端部に施工される屋根材が規格化されているので、確かに屋根材の種類を抑えることができるが、建物の設計寸法と連動した屋根材(屋根材、調整屋根材、屋根端部の規格化屋根材)を配置するものであるため(段落0013参照)、実際は、建物の設計寸法が屋根材形状によって制約を受けるため、建物の設計自由度が高くない。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされており、建材の種類を少なくすることができ、建築物による制約も少ない建材の施工構造及び建材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る建材の施工構造は、施工面の斜め端部に施工された端部材と、前記斜め端部以外の部分に施工された通常材と、前記通常材と前記端部材との間に施工された調整材と、を備える。前記斜め端部が延びる方向に、連続する所定段数に施工される複数の端部材で構成される複数の端部材群が、前記斜め端部の延びる方向に沿って施工されている。各前記端部材群において、当該端部材群を構成する複数の端部材が互いに同一形状である。
【0009】
本発明の一態様に係る建材の施工方法は、施工面の斜め端部に施工される端部材と、前記斜め端部以外の部分に施工される通常材と、前記通常材と前記端部材との間に施工される調整材と、を用いる建材の施工方法である。前記斜め端部が延びる方向に複数の前記端部材を連続して所定段数に施工することによって、前記斜め端部の延びる方向に沿って複数の端部材群を形成する工程を含む。各前記端部材群となる前記複数の端部材が互いに同一形状である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建材の施工構造及び建材の施工方法は、1つの端部材群を構成する複数の端部材が同一形状であるため、端部材群毎の形状で端部材の種類を用意すればよく、段毎で異なる形状の端部材を使用する場合に比べて、建材の種類を少なくすることができ、また、調整材を用いることで、段毎で異なる寸法差を調整材で吸収することができ、建築物による制約も受けにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る建材の施工構造の実施形態1を示す概念図である。
図2図2Aは、同上の端部材を示す概念図である。図2Bは、同上の調整材の一例を示す概念図である。図2Cは、同上の調整材の他の一例を示す概念図である。
図3図3A図3Gは、それぞれ、同上の端部材を示す概念図である。
図4図4A図4Dは、それぞれ、同上の端部材の梱包状態を示す概念図である。
図5図5A図5Cは、それぞれ、従来の端部材の一例を示す概念図である。
図6図6は、本発明に係る建材の施工構造の実施形態2を示す概念図である。
図7図7A図7Eは、それぞれ、同上の端部材を示す概念図である。
図8図8A図8Cは、それぞれ、同上の端部材の梱包状態を示す概念図である。
図9図9は、本発明に係る建材の施工構造の実施形態3を示す概念図である。
図10図10A図10Bは、それぞれ、同上の端部材を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る建材の施工構造について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0013】
(実施形態1)
1.概要
本実施形態の建材1の施工構造は、施工面10に複数の建材を施工した構造である。施工面10は、建材1を施工するための下地である。施工面10には平面視で斜めに傾斜した斜め端部11を有する。建材1は、端部材2と、通常材3と、調整材4と、を備える。端部材2は、施工面10の斜め端部11に施工されている。通常材3は、施工面10の斜め端部11以外の部分に施工されている。調整材4は、通常材3と端部材2との間に施工されている。また本実施形態の建材の施工構造は、複数の端部材群5を備える。複数の端部材群5は、斜め端部11の延びる方向の一端から他端に亘って施工されている。各端部材群5は複数の端部材2を備えて構成されている。各端部材群5を構成する複数の端部材2は、斜め端部11が延びる方向に連続する所定段数に施工されている。そして、端部材群5の各々を構成する複数の端部材2が互いに同一形状である。
【0014】
本実施形態では、各端部材群5を構成する複数の端部材2は、全て同一形状に形成されている。このため、端部材群5毎に応じた形状の端部材2の種類を用意すればよく、段毎で異なる形状の端部材2を使用する場合に比べて、建材の種類を少なくすることができる。例えば、総段数が20段で、端部材群5の数が4つの場合、端部材群5の数と同数の4種類の端部材2を20個用意すればよい。一方、段毎に異なる形状の端部材2を使用する場合は、段数と同数の20種類の端部材2を用意しなければならない。従って、本実施形態では、形状の異なる端部材2の種類を少なくすることができる。
【0015】
また、本実施形態では、通常材3と端部材2との間に調整材4を施工することで、各端部材群5を同一形状の複数の端部材2で構成したことにより、段毎で生じる異なる寸法差を調整材4で吸収することができ、建築物による制約も受けにくい。
【0016】
2.詳細
図1は、本実施形態の建材1の施工構造を示している。この施工構造は、建材1として、瓦や平板状のスレート瓦(カラーベスト(登録商標))などの屋根材を使用している屋根材の施工構造である。図1は、屋根の一面を平面視した状態を示している。本実施形態では、複数の建材1が施工面10に施工されている。施工面10は、建材1を敷設する面であって、本実施形態では、野地板などの屋根下地の表面で施工面10が構成されている。本実施形態では、施工面10の勾配(屋根勾配)が、5寸勾配である。
【0017】
施工面10は、平面視で台形に形成されている。台形の上底に対応する部分は、施工面10の棟側端部13であり、台形の下底に対応する部分は、施工面10の軒側端部12である。また、台形の一対の脚辺に対応する部分は、施工面10の斜め端部11,14として形成されている。施工面10は、棟側端部13と軒側端部12とが平行で、棟側端部13は軒側端部12よりも左右方向に寸法が短い。斜め端部11,14は棟側端部13及び軒側端部12と交差している。施工面10は、等脚台形であって、棟側端部13及び軒側端部12を二等分する仮想の基準線Pに対して線対称な図形である。また、斜め端部11と斜め端部14とは長さが等しく、軒側端部12に対する斜め端部11及び斜め端部14の狭角側の傾斜角度は等しい。
【0018】
一方の斜め端部11は、基準線Pよりも左側に形成されており、他方の斜め端部14は、基準線Pよりも右側に形成されて、一方の斜め端部11の反対側に位置している。斜め端部11,14は、例えば、寄棟屋根の場合、平屋根と妻屋根とが交わる稜線である隅棟に沿って形成される。また斜め端部11,14は、例えば、屋根の谷に沿って形成される部分であってもよいし、ケラバに沿って形成される部分であってもよい。
【0019】
建材(屋根材)1は、セメント系成形材料を成形し、養生硬化することで製造される。なお、建材1の形状及び材質は前記のみには限られない。施工面(屋根面)10には、複数の建材1が設置されている。本実施形態では、建材1は、軒側端部12に沿った方向の位置を順次ずらして施工面10上に千鳥状に配置される。また、軒側端部12に沿った方向で隣接する建材1は、一部が重なって配置されている。
【0020】
本実施形態では、建材1として、端部材2と、通常材3と、調整材4とを備える。図2Aに示すように、端部材2は、原板20を切断して形成することができる。端部材2の切断端部21は、斜め端部11の傾斜に沿う形状になるように形成される。
【0021】
また図2B及び図2Cに示すように、調整材4は、原板20を切断して形成することができる。図2Bの調整材4は、原板20を働き幅方向(左右方向)で1:2の比で分割するように切断される。これにより、長さの異なる2種類の調整材4を得ることができる。また図2Bの調整材4は、原板20を働き幅方向(左右方向)で1:2の比で分割するように切断される。これにより、同一長さの調整材4を得ることができる。
【0022】
原板20は、通常材3と同一形状で同質のものを使用することができる。また通常材3を原板20とし、通常材3を切断して端部材2及び調整材4を形成することができる。なお本明細書中において「同一形状」には、厳密な同一性までは要求されず、建築材の分野において同じ物とみなしうる程度に同じ形状であればよい。端部材2及び調整材4は、プレカット材を使用することができる。
【0023】
プレカット材は、工場等で予め所定の寸法に切断したものであり、施工現場では、切断しないか、長さ調整のために若干切断するものである。これにより、施工現場で端部材2や調整材4として使用されない廃材の発生を抑えることができる。なお、複数の端部材2及び調整材4の一部だけプレカット材を使用し、残りはプレカット材を使用せず、施工現場で切断してもよい。また複数の端部材2及び調整材4としてプレカット材を使用せず、全てを施工現場で切断してもよい。
【0024】
本実施形態では、複数の端部材2が施工面10の斜め端部11に沿って施工されている。また複数の通常材3が斜め端部11及び斜め端部14以外の部分に施工されている。また複数の調整材4が、通常材3と端部材2との間に施工されている。なお、斜め端部14には、端部材2とは製造方法が異なる複数の端部材6が建材1として施工されている。斜め端部11に施工される複数の端部材2はプレカット材として形成されている。一方、斜め端部14に施工される複数の端部材6は現場加工されたカット材として形成されている。
【0025】
プレカット材は、施工面10に施工される建材1が、連続する所定段数毎に異なる形状にプレカットされたものである。従って、複数の端部材6は、段毎に形状が異なり、施工面10に施工される建材1の段数と同じ数だけ形状の異なる複数種の端部材6が使用される。一方、プレカットされた複数の端部材2は、連続する所定段数毎に形状が異なり、施工面10に施工される建材1の段数よりも少ない数だけ形状の異なる複数種の端部材2が使用される。つまり、端部材2のほうが端部材6よりも、形状の異なる種類の数を少なくすることができる。
【0026】
なお、本実施形態では、本発明と従来技術とを比較するために、1つの施工面10に対して、プレカット材と現場加工材とを使用した場合を示したが、これに限らず、両方の斜め端部11、14に対してプレカット材である端部材2を使用してもよく、斜め端部14に対してプレカット材を使用する場合は端部材2と通常材3との間に調整材4を配置して寸法調整を行ってもよい。
【0027】
建材1は、反転使用可能であることが好ましい。反転使用可能とは、建材1を厚み方向で貫通する仮想の回転軸を想定し、この回転軸を中心として180°回転(反転)させても施工できることをいう。例えば、通常材3及び調整材4が平面視で長方形又は正方形であれば、反転させても同じ形状であるので、反転使用可能である。また端部材2は、反転させても同じ形状にはならないが、切断端部21が他の施工面10の斜め端部11に対応すれば、反転使用可能である。これにより、端部材2を破棄することなく有効に利用することができ、また複数の端部材2を組み合わせて梱包する際に、一部の端部材2を反転して組み合わせて梱包することができ、梱包しやすい。
【0028】
本実施形態の建材1の施工構造は、施工面10の一端(下側端部)から他端(上側端部)に向かって建材1を順次施工して形成される。施工面10が屋根面の場合は、軒側端部12から棟側端部13に向かって建材1を順次施工していく。従って、図1に示すように、まず、1段目の複数の建材1が施工面10の下側端部(軒側端部12)に沿って左右方向に施工される。次に、1段目の複数の建材1の上側(棟側端部13側)に、2段目の複数の建材1が左右方向に施工される。次に、2段目の複数の建材1の上側(棟側端部13側)に、3段目の複数の建材1が左右方向に施工される。このようにして、1段目、2段目、3段目、4段目…の順で、施工面10の上側端部(棟側端部13)まで建材1が施工される。図1では、21段目まで建材1が施工される。
【0029】
各段において、複数の建材1は、通常材3が施工された後、調整材4及び端部材2,6が施工されることが好ましい。これにより、端部材2の切断端部21を斜め端部11に沿って位置合わせしやすい。
【0030】
図1に示すように、本実施形態では、1段目は通常材3に隣接して端部材2が施工されている。すなわち、通常材3と端部材2との間に調整材4は施工されていない。
【0031】
2段目では、通常材3に隣接して調整材4が施工され、この調整材4に隣接して端部材2が施工されている。すなわち、通常材3と端部材2との間に調整材4が施工されている。調整材4には、左右方向の寸法が短い短調整材41と、左右方向の寸法が短調整材41よりも長い長調整材42と、の2種類があるが、2段目では短調整材41が使用される。
【0032】
3段目では、通常材3に隣接して調整材4が施工され、この調整材4に隣接して端部材2が施工されている。すなわち、通常材3と端部材2との間に調整材4が施工されている。3段目では長調整材42が使用される。
【0033】
4段目は、1段目と同様に、通常材3に隣接して端部材2が施工され、調整材4は使用されない。5段目は、2段目と同様に、通常材3に隣接して短調整材41が施工され、この短調整材41に隣接して端部材2が施工される。6段目は、3段目と同様に、通常材3に隣接して長調整材42が施工され、この長調整材42に隣接して端部材2が施工される。7段目以降も同様に、1~3段目と同様に、調整材4を使用しない段と、短調整材41を使用する段と、長調整材42を使用する段と、を順次繰り返して、通常材3、端部材2及び調整材4を施工していく。また、端部材6も、段毎に順次施工していく。
【0034】
なお、上記では、1段目には調整材4を使用していない。2段目には短調整材41を使用し、3段目には長調整材42を使用している。そして、4段目には調整材4を使用せず、5段目には短調整材41を使用し、6段目には長調整材42を使用している。このように施工面10の軒側の1段目から段数が増える順に、調整材4の不使用と、短調整材41の使用と、長調整材42の使用と、を1サイクルとして繰り返して建材1を施工しているが、これに限定されない。例えば、短調整材41の使用と、長調整材42の使用と、調整材4の不使用と、をこの順で1サイクルとして繰り返して建材1を施工してもよいし、長調整材42の使用と、調整材4の不使用と、短調整材41の使用と、をこの順で1サイクルとして繰り返して建材1を施工してもよい。
【0035】
本実施形態では、斜め端部11が延びる方向に連続する所定段数に施工される複数の端部材2で端部材群5が構成されている。図1においては、1段目に施工された端部材2と、2段目に施工された端部材2と、3段目に施工された端部材2と、の3つの端部材2で、1つの端部材群5が形成されている。また4段目の端部材2と、5段目の端部材2と、6段目の端部材2と、の3つの端部材2で、他の1つの端部材群5が形成されている。また7段目の端部材2と、8段目の端部材2と、9段目の端部材2と、の3つの端部材2で、さらに他の1つの端部材群5が形成されている。このようにして、本実施形態では、斜め端部11が延びる方向に、連続する3段で施工される複数の端部材2で、1つの端部材群5が構成されている。このため、複数の端部材群5が、斜め端部11の延びる方向に沿って、施工面10の一端(下側端部)から他端(上側端部)に亘って配置されている。本実施形態では、1~18段目の端部材2で6つの端部材群5が形成されている。
【0036】
そして、1つの端部材群5に含まれている複数の端部材2は、全て同一形状である。すなわち、1~3段目の端部材2で構成される端部材群5は、3つの端部材2が同一の形状である。同様に、4~6段目の端部材2で構成される端部材群5は、3つの端部材2が同一の形状である。同様に、7~9段目の端部材2で構成される端部材群5は、3つの端部材2が同一の形状である。このように、各端部材群5を構成する複数の端部材2は全て同一形状である。また端部材群5毎に端部材2の形状(左右方向の寸法)は異なる。例えば、1~3段目の端部材群5の端部材2の形状(左右方向の寸法)は、4段目以降の他の端部材群5の端部材2の形状(左右方向の寸法)とは異なる。
【0037】
例えば、図3Aは、1~3段目で使用される端部材2を示している。図3Bは、4~6段目で使用される端部材2を示している。図3Cは、7~9段目で使用される端部材2を示している。図3Dは、10~12段目で使用される端部材2を示している。図3Eは、13~15段目で使用される端部材2を示している。図3Fは、16~18段目で使用される端部材2を示している。図3Gは、19,20段目で使用される端部材2を示している。なお、21段目の端部材2及び通常材3は、フルプレカット材又は反転使用可能な建材で形成されている。
【0038】
このように本実施形態では、数段分の端部材2が同一形状であるので、全段で異なる形状の端部材2を使用するよりも、端部材2の種類を少なくすることができる。例えば、図5A図5Cには、もう一方の斜め端部14で使用される端部材6を示している。図5Aは、3段目に施工される端部材6である。図5Bは、2段目に施工される端部材6である。図5Cは、1段目に施工される端部材6である。このように端部材6は、段毎に端部材6の形状が異なるため、段の数(21段)だけ形状の異なる端部材6を用意しなければならない。一方、端部材2は数段分で同一形状であるので、端部材2の種類(7種類)を少なくすることができる。
【0039】
上記のようにして、端部材2を通常材3と調整材4とで位置調整しながら施工した場合、斜め端部11の縁との間に隙間が生じる端部材2が存在することがある。つまり、基準線Pを基準にして通常材3を施工し、通常材3の左右方向の端部に調整材4の左右方向の端部を突付けて調整材4を施工し、端部材2の切断端部21と反対側の端部を調整材4の左右方向の端部を突付けて端部材2を施工した場合、端部材2の切断端部21と斜め端部11の縁との間に隙間が生じることがある。
【0040】
例えば、1~3段目の端部材2で構成される端部材群5では、2段目の端部材2が斜め端部11の縁との隙間が0mmであった場合、1段目の端部材2と斜め端部11の縁との間に隙間が生じ、3段目の端部材2と斜め端部11の縁との間に隙間が生じることになる。同様に、4~6段目の端部材2で構成される端部材群5では、5段目の端部材2が斜め端部11の縁との隙間が0mmであった場合、4段目の端部材2と斜め端部11の縁との間に隙間が生じ、6段目の端部材2と斜め端部11の縁との間に隙間が生じることになる。他の端部材群5においても同様な現象がおこる。
【0041】
このように各端部材群5を構成する複数の端部材2が同一形状であるため、上記のような隙間が生じることになる。そこで、本実施形態では、端部材群5の各々を構成する複数の端部材2と斜め端部11の縁との間の隙間が、所定範囲となるように設定されている。この所定範囲は、±10mm程度であることが好ましく、この範囲であると、上記隙間が生じた場合であっても、役物等で隙間をカバーすることができ、防水性等が確保しやすくなる。
【0042】
図4A図4Dは、複数の端部材2を梱包する時の状態を示している。図4Aのように、1~3段目の端部材2を重ねて梱包体71~3を作成して梱包する。図4Bのように、4~6段目の端部材2を重ねて梱包体74~6を作成し、19~20段目の端部材2を重ねて梱包体719~20を作成し、梱包体74~6と梱包体719~20とを組み合わせて梱包する。このとき、各端部材2の切断端部21同士が向き合うようにして組み合わされる。図4Cのように、7~9段目の端部材2を重ねて梱包体77~9を作成し、16~18段目の端部材2は重ねて梱包体716~18を作成し、梱包体77~9と梱包体716~18とを組み合わせて梱包する。このとき、各端部材2の切断端部21同士が向き合うようにして組み合わされる。図4Dのように、10~12段目の端部材2を重ねて梱包体710~12を作成し、13~15段目の端部材2は重ねて梱包体713~15を作成し、梱包体710~12と梱包体713~15とを組み合わせて梱包する。このとき、各端部材2の切断端部21同士が向き合うようにして組み合わされる。
【0043】
このようにして特定の段の端部材2を組み合わせて梱包することで、コンパクトに梱包することができ、また、梱包を解いたときに、どの段の端部材2かが判定しやすく、施工しやすい。
【0044】
なお、本実施形態において、通常材3の左右方向(長さ方向)の寸法は、例えば、910mmとすることができ、調整材4の左右方向の寸法は、例えば、300mm~600mmとすることができ、端部材2の左右方向の寸法は、例えば、547mm~747mmとすることができるが、これに限定されるものではない。
【0045】
3.変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0046】
実施形態1では、建材1として屋根材を使用した場合について説明したが、これに限らない。例えば、建材1としては、外壁材などの壁材を使用することができ、この場合、施工面10は、壁下地である。
【0047】
実施形態1では、基準線Pを基準にして建材1を施工する場合を示したが、これに限らず、斜め端部14を基準にして建材1を施工してよい。この場合、端部材6、通常材3、調整材4、端部材2の順で施工される。
【0048】
(実施形態2)
本実施形態に係る建材1の施工構造は、施工面10、端部材2及び端部材群5の構成が実施形態1に係る建材1の施工構造と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0049】
図6に示す本実施形態では、施工面10の勾配が4寸勾配である。
【0050】
また本実施形態では、1~4段目の端部材2で構成される端部材群5は、4つの端部材2が同一の形状である。同様に、5~8段目の端部材2で構成される端部材群5は、4つの端部材2が同一の形状である。同様に、9~12段目の端部材2で構成される端部材群5は、4つの端部材2が同一の形状である。13~16段目の端部材2で構成される端部材群5は、4つの端部材2が同一の形状である。17~20段目の端部材2で構成される端部材群5は、4つの端部材2が同一の形状である。このように、各端部材群5を構成する複数の端部材2は全て同一形状である。また端部材群5毎に端部材2の形状は異なる。
【0051】
図7Aは、1~4段目で使用される端部材2を示している。図7Bは、5~8段目で使用される端部材2を示している。図7Cは、9~12段目で使用される端部材2を示している。図7Dは、13~16段目で使用される端部材2を示している。図7Eは、17~20段目で使用される端部材2を示している。
【0052】
図8A図8Cは、複数の端部材2を梱包する時の状態を示している。図8Aのように、9~12段目の端部材2を重ねて梱包体79~12を作成して梱包する。図8Bのように、5~8段目の端部材2を重ねて梱包体75~8を作成し、17~20段目の端部材2を重ねて梱包体717~20を作成し、梱包体75~8と梱包体717~20とを組み合わせて梱包する。このとき、各端部材2の切断端部21同士が向き合うようにして組み合わされる。図8Cのように、1~4段目の端部材2を重ねて梱包体71~4を作成し、17~20段目の端部材2は重ねて梱包体717~20を作成し、梱包体71~4と梱包体717~20とを組み合わせて梱包する。このとき、各端部材2の切断端部21同士が向き合うようにして組み合わされる。
【0053】
本実施形態のように、施工面10が緩勾配(4寸勾配以下)である場合、各端部材群5を構成する複数の端部材2の中で、斜め端部11に対する切断端部21の位置が大きく異なることがある。例えば、図6に示すように、一つの端部材群5の中で、最も上段に配置される端部材2aの切断端部21の斜め端部11に対する位置と、最も下段に配置される端部材2bの切断端部21の斜め端部11に対する位置と、左右方向で大きくずれることがある。このような場合、端部材2と斜め端部11の縁との間の隙間が所定範囲に収まらず、役物等で隙間をカバーしにくくなることがある。
【0054】
そこで、緩勾配の施工面10において、一つの端部材群5の中で、複数の端部材2の切断端部21の位置が斜め端部11に対してばらつく場合には、一部の端部材2を斜め端部11に沿って施工する前に切断してもよい。この場合、端部材2は、切断端部21と反対側の端部が切断される。このようにして端部材2の左右方向の寸法を調整することによって、その端部材2が属する端部材群5に適した長さに調整することができ、施工現場での廃材の低減を図ることができる。また、役物等で端部材2と斜め端部11の縁との間の隙間をカバーしやすくなり、防水性が向上する。
【0055】
(実施形態3)
本実施形態に係る建材1の施工構造は、施工面10、端部材2及び端部材群5の構成が実施形態1及び2に係る建材1の施工構造と相違する。以下、実施形態1及び2と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。実施形態3で説明した構成は、実施形態1及び2で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
【0056】
図9に示す本実施形態では、施工面10の勾配が6.5寸勾配である。
【0057】
また本実施形態では、1~12段目の端部材2で構成される端部材群5は、12個の端部材2が同一の形状である。同様に、13~22段目の端部材2で構成される端部材群5は、10個の端部材2が同一の形状である。このように、各端部材群5を構成する複数の端部材2は全て同一形状である。また端部材群5毎に端部材2の形状は異なる。
【0058】
図10Aは、1~12段目で使用される端部材2を示している。図7Bは、13~22段目で使用される端部材2を示している。
【0059】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る建材1の施工構造は、施工面10の斜め端部11に施工された端部材2と、斜め端部11以外の部分に施工された通常材3と、通常材3と端部材2との間に施工された調整材4と、を備える。斜め端部11が延びる方向に、連続する所定段数に施工される複数の端部材2で構成される複数の端部材群5が、斜め端部11の延びる方向に沿って施工されている。各端部材群5において、当該端部材群5を構成する複数の端部材2が互いに同一形状である。
【0060】
この態様によれば、1つの端部材群5を構成する複数の端部材2が同一形状であるため、端部材群5毎の形状で端部材2の種類を用意すればよく、段毎で異なる形状の端部材2を使用する場合に比べて、建材の種類を少なくすることができ、また、調整材4を用いることで、段毎で異なる寸法差を調整材4で吸収することができ、建築物による制約も受けにくい。
【0061】
第2の態様は、第1の態様に係る建材1の施工構造であって、端部材群5の各々を構成する複数の端部材2と斜め端部11の縁との間の隙間が、所定範囲である。
【0062】
この態様によれば、隙間を所定範囲とすることで、複数の端部材2と斜め端部11の縁との間に大きな隙間が生じにくく、防水性等が確保しやすくなって有利である。
【0063】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る建材1の施工構造であって、端部材群5の種類が、施工面10の勾配によって設定される。
【0064】
この態様によれば、施工面10の勾配に応じて端部材群5の種類を変えることができ、施工面10の各種勾配に応じて施工することができる。
【0065】
第4の態様は、第1~3のいずれか1つの態様に係る建材1の施工構造であって、端部材2は反転使用可能である。
【0066】
この態様によれば、端部材2を形成する際に生じる廃材を少なくすることができる。
【0067】
第5の態様に係る建材1の施工方法は、施工面10の斜め端部11に施工される端部材2と、斜め端部11以外の部分に施工される通常材3と、通常材3と端部材2との間に施工される調整材4と、を用いる。斜め端部11が延びる方向に複数の端部材2を連続して所定段数に施工することによって、斜め端部11の延びる方向に沿って複数の端部材群5を形成する工程を含む。各端部材群5となる複数の端部材2が互いに同一形状である。
【0068】
この態様によれば、1つの端部材群5を構成する複数の端部材2が同一形状であるため、端部材群5毎の形状で端部材2の種類を用意すればよく、段毎で異なる形状の端部材2を使用する場合に比べて、建材の種類を少なくすることができ、また、調整材4を用いることで、段毎で異なる寸法差を調整材4で吸収することができ、建築物による制約も受けにくい。
【0069】
第6の態様は、第5の態様において、各端部材群5となる複数の端部材2は、斜め端部11に施工される前に切断される端部材2を含む。
【0070】
この態様によれば、一部の端部材2を斜め端部11に施工される前に切断することができ、施工現場での廃材の発生を低減し、また施工面10の防水性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 建材
10 施工面
11 斜め端部
2 端部材
3 通常材
4 調整材
5 端部材群
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10