(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110269
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014767
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】郭 旭冉
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
(72)【発明者】
【氏名】小松 大飛
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼沼 達
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB08
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】一対の外部電極間での短絡を抑制する電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品ED1は、素体1と外部電極10,20とを備える。素体1は、主面と、第一方向D1で互いに対向する側面1c,1dと、第二方向D2で互いに対向する側面1e,1fを含む。外部電極10,20は、主面に配置されており、第一方向D1で互いに離間している。外部電極10は、領域R1と領域R2とを含む。領域R1は、第一方向D1で外部電極20と対向すると共に、素体1内に位置している端縁11e,11fを含む。領域R2は、領域R1と連続すると共に、主面から露出している。外部電極20は、領域R3と領域R4とを含む。領域R3は、第一方向D1で領域R1と対向すると共に、素体1内に位置している端縁21e,21fを含む。領域R4は、領域R3と連続すると共に、主面1aから露出している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面と、第一方向で互いに対向すると共に前記主面と隣り合う一対の第一側面と、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に前記主面と隣り合う一対の第二側面を含む素体と、
前記主面に配置されており、前記第一方向で互いに離間している第一外部電極及び第二外部電極と、
を備え、
前記第一外部電極は、
前記第一方向で前記第二外部電極と対向すると共に前記素体内に位置している端縁を含む、第一領域と、
前記第一領域と連続すると共に前記主面から露出している第二領域と、を含み、
前記第二外部電極は、
前記第一方向で前記第一領域と対向すると共に前記素体内に位置している端縁を含む、第三領域と、
前記第三領域と連続すると共に前記主面から露出している、第四領域と、を含む、電子部品。
【請求項2】
前記第一外部電極及び前記第二外部電極それぞれの全体は、前記主面に直交する方向から見て、前記一対の第一側面をそれぞれ含む一対の第一仮想面と、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の第二仮想面と、で画成される領域に位置している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第二領域及び前記第四領域のそれぞれは、前記一対の第一側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、前記主面に直交する方向から見て位置する外縁を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第二領域及び前記第四領域のそれぞれは、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、前記主面に直交する方向から見てそれぞれ位置する一対の外縁を含む、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第一領域及び前記第三領域のそれぞれは、前記主面に直交する方向から見て、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面から離間している、請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記一対の第二仮想面のそれぞれと前記第一領域との前記第二方向での離間距離は、前記第一領域の前記第一方向での長さより大きく、
前記一対の第二仮想面のそれぞれと前記第三領域との前記第二方向での離間距離は、前記第三領域の前記第一方向での長さより大きい、請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第一外部電極の面積に対する前記第一領域の面積の割合と、前記第二外部電極の面積に対する前記第三領域の面積の割合とは、0.1~0.2である、請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている電子部品は、素体と、素体に配置されていると共に互いに離間している一対の外部電極と、を備える(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電子部品では、以下の理由から、一対の外部電極が短絡するおそれがある。
外部電極上には、電子部品の実装性を高めるために、めっき膜が形成されることがある。めっき膜が外部電極上に形成される際に、めっき膜が、素体上で、外部電極から成長することがある。たとえば、めっき膜が、一対の外部電極のそれぞれから、素体上で成長する場合、一対の外部電極の間隔が、実質的に、狭まる。この場合、一対の外部電極が短絡するおそれがある。めっき膜が素体上で成長する現象は、めっき伸びと呼ばれる。
【0005】
本発明の一つの態様は、一対の外部電極間での短絡を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る電子部品は、素体と、第一外部電極及び第二外部電極と、を備える。素体は、主面と、第一方向で互いに対向すると共に主面と隣り合う一対の第一側面と、第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に主面と隣り合う一対の第二側面を含む。第一外部電極及び第二外部電極は、主面に配置されており、第一方向で互いに離間している。第一外部電極は、第一領域と第二領域とを含む。第一領域は、第一方向で第二外部電極と対向すると共に、素体内に位置している端縁を含む。第二領域は、第一領域と連続すると共に、主面から露出している。第二外部電極は、第三領域と第四領域とを含む。第三領域は、第一方向で第一領域と対向すると共に、素体内に位置している端縁を含む。第四領域は、第三領域と連続すると共に、主面から露出している。
【0007】
上記一つの態様では、第一領域及び第三領域のそれぞれが含む端縁は、第一方向で互いに対向している。各端縁は、素体内に位置している。したがって、めっき膜が、第一外部電極及び第二外部電極のそれぞれに形成される場合でも、めっき伸びが、各端縁から生じがたい。第一外部電極と第二外部電極との間隔が、狭まりがたい。この結果、上記一つの態様は、第一外部電極と第二外部電極との短絡を抑制する。
第一領域及び第三領域のそれぞれが含む端縁は、素体内に位置している。したがって、上記一つの態様は、素体と、第一外部電極及び第二外部電極との接続強度を向上する。
【0008】
上記一つの態様では、第一外部電極及び第二外部電極それぞれの全体は、主面に直交する方向から見て、一対の第一側面をそれぞれ含む一対の第一仮想面と、一対の第二側面をそれぞれ含む一対の第二仮想面と、で画成される領域に位置していてもよい。
第一外部電極及び第二外部電極それぞれの全体が、一対の第一仮想面と一対の第二仮想面とで画成される領域に位置している構成では、電子部品が電子機器にはんだ実装される際に、はんだフィレットが形成される領域が増加しがたい。したがって、本構成は、電子機器への、電子部品の実装密度を向上し得る。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0009】
上記一つの態様では、第二領域及び第四領域のそれぞれは、一対の第一側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、主面に直交する方向から見て位置する外縁を含んでもよい。
第二領域及び第四領域のそれぞれが、上記外縁を含む構成では、第二領域及び第四領域の、第一方向での各長さが増加する。したがって、本構成は、第二領域及び第四領域の各面積を増加させ得る。この結果、本構成は、電子部品の実装強度を向上し得る。
【0010】
上記一つの態様では、第二領域及び第四領域のそれぞれは、一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、主面に直交する方向から見てそれぞれ位置する一対の外縁を含んでもよい。
第二領域及び第四領域のそれぞれが、上記一対の外縁を含む構成では、第二領域及び第四領域の、第二方向での各長さが増加する。したがって、本構成は、第一外部電極及び第二外部電極の各面積を増加させ得る。この結果、本構成は、電子部品の実装強度を向上し得る。
【0011】
上記一つの態様では、第一領域及び第三領域のそれぞれは、主面に直交する方向から見て、一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面から離間していてもよい。
第一領域及び第三領域のそれぞれが、上記一対の仮想面から離間している構成では、第一領域及び第三領域のそれぞれが含む端縁が、素体内に確実に位置しやすい。したがって、本構成は、第一外部電極と第二外部電極との短絡を確実に抑制する。
【0012】
上記一つの態様では、一対の第二仮想面のそれぞれと第一領域との第二方向での離間距離は、第一領域の第一方向での長さより大きくてもよい。一対の第二仮想面のそれぞれと第三領域との第二方向での離間距離は、第三領域の第一方向での長さより大きくてもよい。
一対の第二仮想面のそれぞれと第一領域との第二方向での離間距離が、第一領域の第一方向での長さより大きい構成では、第一領域が、一対の第二仮想面のそれぞれから確実に離間する。一対の第二仮想面のそれぞれと第三領域との第二方向での離間距離が、第三領域の第一方向での長さより大きい構成では、第三領域が、一対の第二仮想面のそれぞれから確実に離間する。したがって、第一領域及び第三領域のそれぞれが含む端縁が、素体内により一層確実に位置しやすい。この結果、これらの構成は、第一外部電極と第二外部電極との短絡をより一層確実に抑制する。
【0013】
上記一つの態様では、第一外部電極の面積に対する第一領域の面積の割合と、第二外部電極の面積に対する第三領域の面積の割合とは、0.1~0.2であってもよい。
上記各割合が、0.1~0.2である構成は、第一外部電極及び第二外部電極との接続強度を向上すると共に、第二領域及び第四領域の各面積を確保し得る。したがって、本構成は、電子部品の実装強度を確保し得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様は、一対の外部電極間での短絡を抑制する電子部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る電子部品を示す底面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る電子部品を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本明細書では、
図1~
図8を参照しながら、電子部品ED1の構成及び製造方法を説明する。電子部品ED1は、たとえば、積層インダクタを含む。本実施形態では、電子部品ED1は、積層インダクタによって構成されている。
【0017】
図1は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
図3は、本実施形態に係る電子部品を示す底面図である。
図4及び
図5は、本実施形態に係る電子部品を示す側面図である。
図6及び
図7は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図8は、本実施形態に係る電子部品を示す分解斜視図である。
【0018】
図1~
図8を参照しながら、電子部品ED1の構成を説明する。電子部品ED1は、素体1、外部電極10,20、及び内部導体30を備えている。内部導体30は、外部電極10,20に電気的に接続されている。
【0019】
素体1は、たとえば、直方体形状を呈している。素体1は、互いに対向している一対の主面1a,1bと、互いに対向している一対の側面1c,1dと、互いに対向している一対の側面1e,1fと、を有している。素体1の表面は、主面1a,1b及び四つの側面1c,1d,1e,1fを含む。主面1a,1b及び四つの側面1c,1d,1e,1fのそれぞれは、矩形状を呈する。たとえば、側面1c,1dが、一対の第一側面を含む場合、側面1e,1fは、一対の第二側面を含む。
【0020】
本実施形態では、主面1aは、実装面を構成している。電子部品ED1が電子機器に実装される際に、主面1aは、電子機器と対向する。上記電子機器は、回路基板又は電子部品を含む。主面1bが、実装面を構成してもよい。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、及び、各角が丸められている形状を含む。
【0021】
側面1c,1dは、第一方向D1で互いに対向する。側面1e,1fは、第二方向D2で互いに対向する。主面1a,1bは、第三方向D3で互いに対向する。第一方向D1は、第二方向D2に交差すると共に、第三方向D3に交差する。第一方向D1は、たとえば、第二方向D2に直交すると共に、第三方向D3に直交する。第二方向D2は、第三方向D3に交差する。第二方向D2は、たとえば、第三方向D3に直交する。本実施形態では、第三方向D3は、主面1aに直交する。
【0022】
主面1a,1bのそれぞれは、側面1c,1dを連結するように第一方向D1に延在していると共に、側面1e,1fを連結するように第二方向D2に延在している。側面1c,1dのそれぞれは、主面1a,1bを連結するように第三方向D3に延在していると共に、側面1e,1fを連結するように第二方向D2に延在している。側面1e,1fのそれぞれは、主面1a,1bを連結するように第三方向D3に延在していると共に、側面1c,1dを連結するように第一方向D1に延在している。主面1a,1bのそれぞれは、四つの側面1c,1d,1e,1fと隣り合う。側面1c,1dのそれぞれは、側面1e,1fと隣り合う。主面1a,1bのそれぞれは、四つの側面1c,1d,1e,1fのそれぞれと間接的に隣り合ってもよい。
【0023】
第一方向D1での素体1の長さは、たとえば、約0.4mmである。第二方向D2での素体1の長さは、たとえば、約0.2mmである。第三方向D3での素体1の長さは、たとえば、約0.2mmである。本実施形態では、たとえば、第一方向D1が、素体1の長手方向である。
【0024】
外部電極10,20は、主面1aに配置されている。外部電極10,20は、第一方向D1で互いに離間している。外部電極10は、外部電極20よりも側面1c寄りに配置されている。外部電極20は、外部電極10よりも側面1d寄りに配置されている。たとえば、外部電極10が、第一外部電極を含む場合、外部電極20は、第二外部電極を含む。
【0025】
外部電極10は、領域R1と、領域R1と連続する領域R2と、を含んでいる。領域R1は、第一方向D1で外部電極20と対向する。領域R1は、面領域11aと面領域11bとを有している。面領域11aは、素体1と接している。面領域11bは、第三方向D3で面領域11aと対向している。面領域11bは、端縁11dを含んでいる。端縁11dは、第一方向D1で、外部電極20と対向している。
【0026】
領域R2は、面領域12aと面領域12bとを有している。面領域12bは、第三方向D3で面領域12aと対向している。面領域12aは、素体1と接している。領域R2は、主面1aから露出している。本実施形態では、領域R2の全体が、主面1aから露出している。たとえば、領域R1が、第一領域を含む場合、領域R2は、第二領域を含む。
【0027】
領域R1と領域R2とは、第三方向D3から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、第二方向D2から見て、面領域11bは、面領域12bから離れるに従って、たとえば、単調に素体1に近づいている。面領域11bを含む部分は、第二方向D2から見て、矩形状を呈してもよい。
【0028】
領域R1は、一対の端縁11e,11fを含んでいる。端縁11e,11fは、第二方向D2で互いに対向している。端縁11e,11fは、領域R1の第二方向D2での両端を規定する。端縁11eは、第三方向D3から見て、端縁11fよりも側面1e寄りに位置する。端縁11fは、第三方向D3から見て、端縁11eよりも側面1f寄りに位置する。
【0029】
領域R2は、外縁12cと、一対の外縁12e,12fと、を有している。外縁12cは、領域R2の第一方向D1での一端を規定する。外縁12cは、第三方向D3から見て、領域R1よりも側面1c寄りに位置する。外縁12e,12fは、領域R2の第二方向D2での両端を規定する。外縁12eは、第三方向D3から見て、外縁12fよりも側面1e寄りに位置する。外縁12fは、第三方向D3から見て、外縁12eよりも側面1f寄りに位置する。
【0030】
本実施形態では、側面1c,1d,1e,1fは、仮想面に含まれる。仮想面は、たとえば、一対の仮想面PL1c,PL1dと、一対の仮想面PL2e,PL2fと、を含む。仮想面PL1c,PL1dは、側面1c,1dをそれぞれ含む。仮想面PL1cは、側面1cを含み、仮想面PL1dは、側面1dを含む。仮想面PL1cは、主面1aと直交する。仮想面PL1dは、主面1aと直交し、かつ、第一方向D1で仮想面PL1cと対向する。仮想面PL2e,PL2fは、側面1e,1fをそれぞれ含む。仮想面PL2eは、側面1eを含み、仮想面PL2fは、側面1fを含む。仮想面PL2eは、主面1aと直交し、仮想面PL1c及び仮想面PL1dと直交する。仮想面PL2fは、第二方向D2で仮想面PL2eと対向すると共に、主面1aと直交し、かつ、仮想面PL1c及び仮想面PL1dと直交する。たとえば、仮想面PL1c,PL1dが、一対の第一仮想面を含む場合、仮想面PL2e,PL2fは、一対の第二仮想面を含む。
【0031】
外部電極10の全体は、第三方向D3から見て、仮想面PL1c,PL1dと、仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置している。領域R1及び領域R2それぞれの全体は、第三方向D3から見て、仮想面PL1c,PL1dと、仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置している。
【0032】
領域R1は、第三方向D3から見て、仮想面PL2e,PL2fから離間している。端縁11eは、第三方向D3から見て、仮想面PL2eから離間している。端縁11fは、第三方向D3から見て、仮想面PL2fから離間している。
領域R2では、外縁12cは、第三方向D3から見て、領域R1よりも仮想面PL1c寄りに位置する。本実施形態では、外縁12cは、仮想面PL1cに、第三方向D3から見て位置している。外縁12eは、仮想面PL2eに、第三方向D3から見て位置している。外縁12fは、仮想面PL2fに、第三方向D3から見て位置している。
【0033】
本実施形態では、仮想面PL2eと領域R1との第二方向D2での離間距離L1eは、領域R1の第一方向D1での長さL1dより大きい。離間距離L1eは、仮想面PL2eと端縁11eとの第二方向D2での距離で規定される。仮想面PL2fと領域R1との第二方向D2での離間距離L1fは、領域R1の第一方向D1での長さL1dより大きい。離間距離L1fは、仮想面PL2fと端縁11fとの第二方向D2での距離で規定される。長さL1dは、たとえば、15~50μmである。外部電極10の面積に対する領域R1の面積の割合は、たとえば、0.1~0.2である。外部電極10の面積は、外部電極10の、領域R1及び領域R2を含む全領域の面積である。
【0034】
外部電極20は、領域R3と、領域R3と連続する領域R4と、を含んでいる。領域R3は、第一方向D1で領域R1と対向する。領域R3は、面領域21aと面領域21bとを有している。面領域21aは、素体1と接している。面領域21bは、第三方向D3で面領域21aと対向している。面領域21bは、端縁21cを含んでいる。端縁21cは、第一方向D1で、外部電極10と対向している。
【0035】
領域R4は、面領域22aと面領域22bとを有している。面領域22bは、第三方向D3で面領域22aと対向している。面領域22aは、素体1と接している。領域R4は、主面1aから露出している。本実施形態では、領域R4の全体が、主面1aから露出している。たとえば、領域R3が、第三領域を含む場合、領域R4は、第四領域を含む。
【0036】
領域R3と領域R4とは、第三方向D3から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、第二方向D2から見て、面領域21bは、面領域22bから離れるに従って、たとえば、単調に素体1に近づいている。面領域21bを含む部分は、第二方向D2から見て、矩形状を呈してもよい。
【0037】
領域R3は、一対の端縁21e,21fを含んでいる。端縁21e,21fは、第二方向D2で互いに対向している。端縁21e,21fは、領域R3の第二方向D2での両端を規定する。端縁21eは、第三方向D3から見て、端縁21fよりも側面1e寄りに位置する。端縁21fは、第三方向D3から見て、端縁21eよりも側面1f寄りに位置する。
【0038】
領域R4は、外縁22dと、一対の外縁22e,22fと、を有している。外縁22dは、領域R4の第一方向D1での一端を規定する。外縁22dは、第三方向D3から見て、領域R3よりも側面1d寄りに位置する。外縁22e,22fは、領域R4の第二方向D2での両端を規定する。外縁22eは、第三方向D3から見て、外縁22fよりも側面1e寄りに位置する。外縁22fは、第三方向D3から見て、外縁22eよりも側面1f寄りに位置する。
【0039】
外部電極20の全体は、第三方向D3から見て、仮想面PL1c,PL1dと、仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置している。領域R3及び領域R4それぞれの全体は、第三方向D3から見て、仮想面PL1c,PL1dと、仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置している。
【0040】
領域R3は、第三方向D3から見て、仮想面PL2e,PL2fから離間している。端縁21eは、第三方向D3から見て、仮想面PL2eから離間している。端縁21fは、第三方向D3から見て、仮想面PL2fから離間している。
領域R4では、外縁22dは、第三方向D3から見て、領域R3よりも仮想面PL1d寄りに位置する。本実施形態では、外縁22dは、仮想面PL1dに、第三方向D3から見て位置している。外縁22eは、仮想面PL2eに、第三方向D3から見て位置している。外縁22fは、仮想面PL2fに、第三方向D3から見て位置している。
【0041】
本実施形態では、仮想面PL2eと領域R3との第二方向D2での離間距離L3eは、領域R3の第一方向D1での長さL3cより大きい。離間距離L3eは、仮想面PL2eと端縁21eとの第二方向D2での距離で規定される。仮想面PL2fと領域R3との第二方向D2での離間距離L3fは、領域R3の第一方向D1での長さL3cより大きい。離間距離L3fは、仮想面PL2fと端縁21fとの第二方向D2での距離で規定される。長さL3cは、たとえば、15~50μmである。外部電極20の面積に対する領域R3の面積の割合は、0.1~0.2である。外部電極20の面積は、外部電極20の、領域R3及び領域R4を含む全領域の面積である。
【0042】
素体1は、たとえば、素体領域E1、素体領域E2、及び素体領域E3を有している。素体領域E1は、主面1aを含んでいる。素体領域E2は、素体領域E1と主面1bとの間に位置する。素体領域E3は、主面1bを含んでいる。素体領域E1は、部分P1を含む。部分P1は、外部電極10,20と接するように、外部電極10と外部電極20との間に位置している。
領域R1では、面領域11bは、部分P1で覆われている。端縁11e,11fは、部分P1で覆われている。領域R1は、素体1で覆われている。領域R1は、素体1内に位置している。本実施形態では、領域R1の全体が、素体1内に位置している。領域R1は、素体1内に埋もれている。本実施形態では、領域R1の全体が、素体1内に埋もれている。面領域11b及び端縁11e,11fは、たとえば、素体1内に埋もれている。
領域R3では、面領域21bは、部分P1で覆われている。端縁21e,21fは、部分P1で覆われている。領域R3は、素体1に覆われている。領域R3は、素体1内に位置している。本実施形態では、領域R3の全体が、素体1内に位置している。領域R3は、素体1内に埋もれている。本実施形態では、領域R3の全体が、素体1内に埋もれている。面領域21b及び端縁21e,21fは、たとえば、素体1内に埋もれている。
【0043】
電子部品ED1は、たとえば、外部電極10上に、めっき膜15を有する。めっき膜15は、たとえば、電子部品ED1の実装性を高めるために、外部電極10上に形成される。めっき膜15は、主面1aから露出している領域R2に形成される。本実施形態では、めっき膜15は、面領域12b上及び外縁12c,12e,12f上に形成される。外縁12c上に形成されためっき膜15は、たとえば、仮想面PL1cよりも素体1の外側に位置する。外縁12e上に形成されためっき膜15は、たとえば、仮想面PL2eよりも素体1の外側に位置する。外縁12f上に形成されためっき膜15は、たとえば、仮想面PL2fよりも素体1の外側に位置する。めっき膜15は、素体1内に位置する領域R1に形成されない。めっき膜15は、端縁11e,11fに形成されない。
【0044】
電子部品ED1は、たとえば、外部電極20上に、めっき膜25を有する。めっき膜25は、たとえば、電子部品ED1の実装性を高めるために、外部電極20上に形成される。めっき膜25は、主面1aから露出している領域R4に形成される。本実施形態では、めっき膜25は、面領域22b上及び外縁22d,22e,22f上に形成される。外縁22d上に形成されためっき膜25は、たとえば、仮想面PL1dよりも素体1の外側に位置する。外縁22e上に形成されためっき膜25は、たとえば、仮想面PL2eよりも素体1の外側に位置する。外縁22f上に形成されためっき膜25は、たとえば、仮想面PL2fよりも素体1の外側に位置する。めっき膜25は、素体1内に位置する領域R3に形成されない。めっき膜25は、端縁21e,21fに形成されない。
【0045】
外部電極10,20は、導電材料を含む。導電材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、Sn、又は、Wを含む。導電材料は、たとえば、Ag-Pd合金、Ag-Cu合金、Ag-Au合金、又は、Ag-Pt合金を含む。外部電極10,20それぞれの厚みは、たとえば、5~20μmである。
【0046】
めっき膜15,25は、たとえば、Niめっき膜、Snめっき膜、Cuめっき膜、又はAuめっき膜を含む。電子部品ED1は、これらのめっき膜の多層構造を有してもよく、Niめっき膜と、Niめっき膜上に形成されたAuめっき膜とを含んでいてもよい。めっき膜15,25の厚みは、たとえば、1~6μmである。
【0047】
内部導体30は、素体1内に配置されている。本実施形態では、内部導体30は、素体領域E2内に配置されている。内部導体30の一部は、素体領域E1内に配置されている。内部導体30は、たとえば、コイル部31とスルーホール部32とを含んでいる。コイル部31は、たとえば、複数のコイル導体31b~31eによって形成されている。コイル部31は、たとえば、螺旋状を呈している。本実施形態では、コイル部の軸心方向は、第三方向D3である。コイル導体31b~31eは、第三方向D3から見て、少なくとも一部が互いに重なるように配置されている。コイル導体31b~31eは、主面1a,1b及び側面1c,1d,1e,1fから離間している。
【0048】
スルーホール部32は、たとえば、スルーホール導体33と、スルーホール導体34と、スルーホール導体35とによって形成されている。スルーホール導体33は、複数のスルーホール導体層33c~33fによって形成されている。スルーホール導体34は、スルーホール導体層34fによって形成されている。スルーホール導体35は、スルーホール導体35a~35e,35p~35tによって形成されている。複数のコイル導体31b~31eは、対応するスルーホール導体35a~35dによって互いに電気的に接続されている。複数のスルーホール導体層33c~33fは、対応するスルーホール導体35p~35rによって互いに電気的に接続されている。
【0049】
スルーホール導体33は、コイル部31と外部電極10とを電気的に接続している。スルーホール導体33は、第三方向D3に延在している。スルーホール導体33の主面1b寄りの端部が、内部導体30の主面1b寄りの一端に接続されている。本実施形態では、スルーホール導体33の主面1b寄りの端部が、コイル導体31bの一端に接続されている。スルーホール導体33は、コイル導体31bと外部電極10とを電気的に接続している。スルーホール導体33は、第三方向D3から見て、コイル部31よりも側面1c寄りに配置されている。
【0050】
スルーホール導体34は、コイル部31と外部電極20とを電気的に接続している。スルーホール導体34は、第三方向D3に延在している。スルーホール導体34の主面1b寄りの端部が、内部導体30の主面1a寄りの一端に接続されている。本実施形態では、スルーホール導体34の主面1b寄りの端部が、コイル導体31eの一端に接続されている。スルーホール導体34は、コイル導体31eと外部電極20とを電気的に接続している。スルーホール導体34は、第三方向D3から見て、スルーホール導体33よりも側面1d寄りに配置されている。
【0051】
素体1は、たとえば、複数の層2a~2fが積層されて形成されている。本実施形態では、複数の層2a~2fの積層方向は、第三方向D3である。複数の層2a~2fは、実際には互いの境界が視認できない程度に一体化されている。層2a~2fは、たとえば、絶縁体層3a~3fを有している。
【0052】
層2aは、絶縁体層3aを含んでいる。層2aは、素体1の最上層を構成し、層2aの主面2qは、素体1の主面1bに相当する。層2bは、絶縁体層3bと、絶縁体層3bに配置されたコイル導体31bとを含んでいる。層2cは、絶縁体層3cと、絶縁体層3cに配置されたコイル導体31c及びスルーホール導体層33cとを含んでいる。層2bと層2cとの間には、スルーホール導体35a,35bが配置されている。スルーホール導体35aは、コイル導体31bの一端とコイル導体31cの一端とを接続している。スルーホール導体35bは、コイル導体31bの他端とスルーホール導体層33cとを接続している。
【0053】
層2dは、絶縁体層3dと、絶縁体層3dに配置されたコイル導体31d及びスルーホール導体層33dとを含んでいる。層2cと層2dとの間には、スルーホール導体35cとスルーホール導体35pとが配置されている。スルーホール導体35cは、コイル導体31cの他端とコイル導体31dの一端とを接続している。スルーホール導体35pは、スルーホール導体層33cとスルーホール導体層33dとを接続している。
【0054】
層2eは、絶縁体層3eと、絶縁体層3eに配置されたコイル導体31e及びスルーホール導体層33eとを含んでいる。層2dと層2eとの間には、スルーホール導体35dとスルーホール導体35qとが配置されている。スルーホール導体35dは、コイル導体31dの他端とコイル導体31eの一端とを接続している。スルーホール導体35qは、スルーホール導体層33dとスルーホール導体層33eとを接続している。
【0055】
層2fは、絶縁体層3fと、絶縁体層3fに配置されたスルーホール導体層33f及びスルーホール導体層34fとを含んでいる。層2eと層2fとの間には、スルーホール導体35eとスルーホール導体35rとが配置されている。スルーホール導体35eは、コイル導体31eの他端とスルーホール導体層34fとを接続している。スルーホール導体35rは、スルーホール導体層33eとスルーホール導体層33fとを接続している。層2fは、素体1の最下層を構成し、層2fの主面2pは、素体1の主面1aに相当する。層2fには、外部電極10,20が配置される。部分P1は、外部電極10と外部電極20との間に位置する。
【0056】
層2fと外部電極10との間には、スルーホール導体35sが配置され、層2fと外部電極20との間には、スルーホール導体35tが配置されている。スルーホール導体35sは、スルーホール導体層33fと外部電極10とを接続している。スルーホール導体35tは、スルーホール導体層34fと外部電極20とを接続している。本実施形態では、層2fは、第三方向D3に積層される二つの層を含んでいてもよい。層2fが二つの層を含む構成では、たとえば、二つの層の間にスルーホール導体層が配置される。スルーホール導体35sは、二つの層の間に配置されるスルーホール導体層を介して、スルーホール導体層33fと外部電極10とを接続する。スルーホール導体35tは、二つの層の間に配置されるスルーホール導体層を介して、スルーホール導体層34fと外部電極20とを接続する。
【0057】
素体1において、絶縁体層3a、絶縁体層3b~3e、及び絶縁体層3fそれぞれに含まれる絶縁材料は、互いに異なっている。本実施形態では、たとえば、絶縁体層3aが、素体領域E1を構成し、絶縁体層3b~3eが素体領域E2を構成し、絶縁体層3fが素体領域E3を構成する。絶縁体層3aは、たとえば、第一無機物を含む。絶縁体層3b~3eは、たとえば、第一無機物とは異なる第二無機物を含む。絶縁体層3fは、たとえば、第一無機物を含む。本実施形態では、第一無機物は、第二無機物の硬度より大きい硬度を有する。絶縁体層3a、絶縁体層3b~3e、及び絶縁体層3fは、第一無機物を含んでもよい。絶縁体層3a、絶縁体層3b~3e、及び絶縁体層3fは、第二無機物を含んでもよい。
【0058】
第一無機物は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含む。第一無機物は、たとえば、金属酸化物を含む。金属酸化物は、たとえば、Al2O3、SrO、ZrO2、又はTiO2を含む。第一無機物は、たとえば、Fe合金を含んでもよい。第一無機物は、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでもよい。
【0059】
第二無機物は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含む。第二無機物は、たとえば、Fe合金を含んでもよい。第二無機物は、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでもよい。
【0060】
内部導体30は、導電材料を含む。導電材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又は、Wを含む。導電材料は、たとえば、Ag-Pd合金、Ag-Cu合金、Ag-Au合金、又は、Ag-Pt合金を含む。内部導体30は、たとえば、外部電極10,20と同じ導電材料を含む。内部導体30は、外部電極10,20と異なる導電材料を含んでいてもよい。
【0061】
本実施形態では、たとえば、素体領域E1は、素体領域E2の硬度より大きい硬度を有する。素体領域E3は、素体領域E2の硬度より大きい硬度を有する。本実施形態では、各素体領域E1,E2,E3の硬度は、各素体領域E1,E2,E3が含む絶縁体層3a~3fの硬度によって定められる。各素体領域E1,E2,E3の硬度は、各素体領域E1,E2,E3の機械的強度を示す指標である。素体領域E1,E2,E3の硬度は、たとえば、試験刃を用いた試験によって求められる。試験刃を用いた試験によって素体領域E1の硬度を求める場合、たとえば、素体1を第三方向D3に垂直な方向に切断し、素体領域E1での切断面を露出させる。露出した素体領域E1での切断面に、たとえば、第三方向D3で試験刃を押し当てて、素体領域E1を破断させる。本実施形態では、ニュートン単位で、素体領域E1を破断させるために必要な力を測定する。試験刃を用いた試験によって素体領域E2,E3の硬度を求める場合、これら素体領域E2,E3での切断面を露出させる。素体領域E1の場合と同じ手順に従って、素体領域E2,E3を破断させるために必要な力を測定する。
【0062】
本実施形態では、素体領域E1,E2,E3を破断させるために必要な力を測定した結果から、それぞれ、素体領域E1,E2,E3の硬度を求める。破断させるために必要な力の大きさが、硬度の大きさと相関関係を有すると見做して、破断させるために必要な力が大きい領域が、破断させるために必要な力が小さい領域よりも硬度が大きいとする。たとえば、素体領域E1を破断させるために必要な力が、素体領域E2を破断させるために必要な力より大きい場合、素体領域E1は、素体領域E2の硬度より大きい硬度を有すると見積もる。本実施形態では、一の素体領域E1,E2,E3に対して、試験刃を用いた試験を複数回行い、複数の測定結果の平均値を、当該一の素体領域E1,E2,E3の破断させるために必要な力とする。素体領域E1,E3の硬度の平均値は、素体領域E2の硬度の平均値より大きい。
【0063】
以下、電子部品ED1の製造方法の一例について説明する。電子部品ED1を製造するための各過程の順番は、互いに入れ替わってもよい。製造方法の一例では、初めに、スラリーと基材とを用意する。スラリーは、たとえば、絶縁性樹脂と溶剤とを混合した材料を含む。絶縁性樹脂は、たとえば、アクリル樹脂又はブチラール樹脂を含む。溶剤は、たとえば、エチルカルビトール又はブチルカルビトールを含む。基材は、たとえば、PETフィルムを含む。
【0064】
続いて、たとえば、ドクターブレード法によって、スラリーを基材上に塗布して、複数のグリーンシートを準備する。複数のグリーンシートは、たとえば、第一及び第二グリーンシートを含む。第一及び第二グリーンシートから素体1を形成する。第一グリーンシートは、たとえば、絶縁体層3a,3fを形成するために用いられる。第二グリーンシートは、たとえば、絶縁体層3b~3eを形成するために用いられる。絶縁体層3fを形成する第一グリーンシートは、互いに対向している第一面と第二面とを含む。
【0065】
第一グリーンシートを形成するスラリーは、たとえば、第一無機物を含む。したがって、第一グリーンシートを準備することは、第一無機物を含む第一グリーンシートを準備することを含む。本実施形態では、第一グリーンシートを準備することは、第一無機物の粒子を含む第一グリーンシートを準備することを含む。第二グリーンシートを形成するスラリーは、たとえば、第二無機物を含む。したがって、第二グリーンシートを準備することは、第二無機物を含む第二グリーンシートを準備することを含む。本実施形態では、第二グリーンシートを準備することは、第二無機物の粒子を含む第二グリーンシートを準備することを含む。
【0066】
第一グリーンシートには、スルーホール導体35s,35tのための貫通孔をそれぞれ形成する。貫通孔は、たとえば、第一グリーンシートへのレーザ光の照射によって形成される。続いて、第一グリーンシートには、外部電極10,20を形成するための導電性ペーストを付与する。本実施形態では、導電性ペーストを用い、電極パターンを第一面上に形成する。電極パターンから、外部電極10,20を形成する。電極パターンは、互いに離間する第一部分と第二部分とを含む。第一部分から、外部電極10を形成し、第二部分から、外部電極20を形成する。外部電極10,20を形成する導電性ペーストは、たとえば、Ag粒子又はAg-Pd合金粒子を含む金属粉末に、ガラス成分、アルカリ金属、有機バインダ、及び有機溶剤を混合して準備される。
【0067】
第一グリーンシートには、続いて、絶縁パターンを形成するための絶縁性ペーストを付与する。絶縁パターンから、素体1を形成する。本実施形態では、絶縁性ペーストを用い、絶縁パターンを形成する。絶縁パターンは、第一部分と第二部分との間に、第一面と第一部分と第二部分とに接するように形成される。絶縁パターンは、第一無機物を含む絶縁性ペーストを含んでいる。したがって、絶縁パターンを形成することは、第一無機物を含む絶縁性ペーストを用いて絶縁パターンを形成することを含んでいる。絶縁性ペーストは、たとえば、ダイコーターによって第一グリーンシートに塗布される。絶縁パターンは、たとえば、絶縁性ペーストを乾燥させることによって形成される。
【0068】
基台を準備し、第一グリーンシートを基台上に載置する。基台は、たとえば、ポリエチレン系フィルムを含む。本実施形態では、電極パターンと絶縁パターンとが形成された第一グリーンシートを、第一部分と第二部分と絶縁パターンとが基台と接するように、基台上に載置する。
【0069】
第一グリーンシートの第二面上には、続いて、スルーホール導体層33f,34fを形成するための導電パターンを形成する導電性ペーストを付与する。導電パターンからスルーホール導体層33f,34fを形成する。
【0070】
複数の第二グリーンシートから素体1を形成する。複数の第二グリーンシートは、たとえば、絶縁体層3b~3eを形成するために用いられる。複数の第二グリーンシートには、導体パターンを形成する導電性ペーストを付与する。導体パターンは、たとえば、複数のコイル導体31b~31e及びスルーホール導体層33c~34eを形成する。導電性ペーストを用い、導体パターンを第二グリーンシートに形成する。本実施形態では、各第二グリーンシート上に、それぞれ、コイル導体31b~31e及びスルーホール導体層33c~34eを形成する導体パターンが形成される。導体パターンを形成する導電性ペーストは、たとえば、Ag粒子又はAg-Pd合金粒子を含む金属粉末に、ガラス成分、アルカリ金属、有機バインダ、及び有機溶剤を混合して準備される。
【0071】
コイル導体31e及びスルーホール導体層33eを形成する導体パターンを有する第二グリーンシートが、第一グリーンシート上に配置される。続いて、コイル導体31d及びスルーホール導体層33dを形成する導体パターンを有する第二グリーンシートが積層される。続いて、コイル導体31c及びスルーホール導体層33cを形成する導体パターンを有する第二グリーンシートが積層される。続いて、コイル導体31bを形成する導体パターンを有する第二グリーンシートが積層される。続いて、絶縁体層3aを形成する第一グリーンシートが積層される。
【0072】
本実施形態では、たとえば、グリーンシートにレーザ光を照射して貫通孔を形成する。グリーンシートに形成される貫通孔は、たとえば、スルーホール導体35b~35e,35p~35tを形成する貫通孔を含む。
【0073】
第一グリーンシート上に配置される第二グリーンシートは、二つの第二グリーンシートを含んでもよい。二つの第二グリーンシートには、導体パターンと電極パターンとを電気的に接続する導体を形成する貫通孔を形成する。二つの第二グリーンシートの一方に形成される貫通孔は、たとえば、スルーホール導体35e,35rを形成する貫通孔を含む。二つの第二グリーンシートの他方に形成される貫通孔は、たとえば、スルーホール導体35s,35tを形成する貫通孔を含む。グリーンシートに形成された貫通孔内には、たとえば、導電性ペーストを充填する。貫通孔内に充填される導電性ペーストは、たとえば、Ag粒子又はAg-Pd合金粒子を含む金属粉末に、ガラス成分、アルカリ金属、有機バインダ、及び有機溶剤を混合して準備される。
【0074】
積層された第一及び第二グリーンシートは、たとえば、積層される第三方向D3に加圧される。積層された第一及び第二グリーンシートを加圧した後、第三方向D3から見て、コイル導体31b~31eのための導体パターンが互いに重なっている積層体が形成される。本実施形態では、複数の積層体を含む積層インダクタアレイが形成される。積層インダクタアレイは、たとえば、切断機によって、所定の大きさに切断され、積層体をチップ状に切断する。所定の大きさを有する複数のグリーンチップが得られる。たとえば、グリーンチップを焼成することによって、電子部品ED1が製造される。本実施形態では、めっき法によって、たとえば、外部電極10上に、めっき膜15が形成され、外部電極20上に、めっき膜25が形成される。
【0075】
第一無機物は、第二無機物の硬度より大きい硬度を有する。第一及び第二無機物の硬度は、それぞれ、第一及び第二無機物の粒子の機械的強度を示す指標である。第一及び第二無機物の硬度は、たとえば、ナノインデンテーション試験によって求められる。第一無機物の硬度をナノインデンテーション試験によって求める場合には、たとえば、第一グリーンシートを形成するスラリーに含まれる第一無機物の粒子に微小サイズの三角錐圧子を打ち込む。三角錐圧子の先端が打ち込まれた深さを測定した結果から、第一無機物の粒子の硬度を求める。第二無機物の硬度をナノインデンテーション試験によって求める場合には、導電パターンを形成する導電性ペーストに含まれる第二無機物の粒子に微小サイズの三角錐圧子を打ち込む。三角錐圧子の先端が打ち込まれた深さを測定した結果から、第二無機物の粒子の硬度を求める。本実施形態では、第一グリーンシートを形成するスラリー、導電性ペースト、及び第二グリーンシートを形成するスラリーに対して、それぞれ、ナノインデンテーション試験を複数回行い、複数の測定結果の平均値を、第一及び第二無機物の粒子の硬度とする。第一グリーンシートを形成するスラリーに含まれる第一無機物の粒子の硬度の平均値は、第二グリーンシートを形成するスラリーに含まれる第二無機物の粒子の硬度の平均値より大きい。
【0076】
以上説明したように、電子部品ED1では、端縁11e,11f及び端縁21e,21fのそれぞれは、第二方向D2で互いに対向している。各端縁11e,11f,21e,21fは、素体1内に位置している。したがって、めっき膜15,25が、外部電極10及び外部電極20のそれぞれに形成される場合でも、めっき伸びが、各端縁11e,11f,21e,21fから生じがたい。外部電極10と外部電極20との間隔が、狭まりがたい。この結果、電子部品ED1は、外部電極10と外部電極20との短絡を抑制する。
端縁11e,11f及び端縁21e,21fは、素体1内に位置している。したがって、電子部品ED1は、素体1と、外部電極10及び外部電極20との接続強度を向上する。
【0077】
電子部品ED1では、外部電極10及び外部電極20それぞれの全体は、第三方向D3から見て、一対の仮想面PL1c,PL1dと、一対の仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置している。
電子部品ED1では、電子部品ED1が電子機器にはんだ実装される際に、はんだフィレットが形成される領域が増加しがたい。したがって、電子機器への、電子部品ED1の実装密度が向上し得る。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。
【0078】
電子部品ED1は、領域R2及び領域R4のそれぞれは、仮想面PL1c,PL1dに、第三方向D3から見て位置する外縁12c,22dを含む。
電子部品ED1では、領域R2及び領域R4の、第一方向D1での各長さが増加する。したがって、電子部品ED1は、領域R2及び領域R4の各面積を増加し得る。この結果、電子部品ED1の実装強度が向上し得る。
【0079】
電子部品ED1では、領域R2は、仮想面PL2e,PL2fに、第三方向D3から見てそれぞれ位置する一対の外縁12e,12fを含む。領域R4は、仮想面PL2e,PL2fに、第三方向D3から見てそれぞれ位置する一対の外縁22e,22fを含む。
電子部品ED1では、領域R2及び領域R4の、第二方向D2での各長さが増加する。したがって、電子部品ED1は、外部電極10及び外部電極20の各面積を増加させ得る。この結果、電子部品ED1の実装強度が向上し得る。
【0080】
電子部品ED1では、領域R1及び領域R3のそれぞれは、第三方向D3から見て、一対の仮想面PL2e,PL2fから離間している。
電子部品ED1では、端縁11e,11f,21e,21fが、素体1内に確実に位置しやすい。したがって、電子部品ED1は、外部電極10と外部電極20との短絡を確実に抑制する。
【0081】
電子部品ED1では、離間距離L1e,L1fは、長さL1dより大きい。離間距離L3e,L3fは、長さL3cより大きい。
電子部品ED1では、領域R1が、一対の仮想面PL2e,PL2fのそれぞれから確実に離間し、領域R3が、一対の仮想面PL2e,PL2fのそれぞれから確実に離間する。したがって、端縁11e,11f,21e,21fが、素体1内により一層確実に位置しやすい。この結果、電子部品ED1は、外部電極10と外部電極20との短絡をより一層確実に抑制する。
【0082】
電子部品ED1では、外部電極10の面積に対する領域R1の面積の割合と、外部電極20の面積に対する領域R3の面積の割合とは、0.1~0.2である。
電子部品ED1は、外部電極10及び外部電極20との接続強度を向上すると共に、領域R2及び領域R4の各面積を確保し得る。したがって、電子部品ED1の実装強度が確保され得る。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0084】
電子部品ED1では、外部電極10及び外部電極20それぞれの全体は、第三方向D3から見て、一対の仮想面PL1c,PL1dと、一対の仮想面PL2e,PL2fと、で画成される領域に位置していなくてもよい。外部電極10及び外部電極20それぞれの全体が、仮想面PL1c,PL1dと仮想面PL2e,PL2fとで画成される領域に位置している構成では、上述したように、電子部品ED1が電子機器にはんだ実装される際に、はんだフィレットが形成される領域が増加しがたい。したがって、電子機器への、電子部品ED1の実装密度が向上し得る。
【0085】
本実施形態では、電子部品ED1は、積層インダクタであるとして説明したが、本発明を適用可能な電子部品は、積層インダクタに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層セラミックコンデンサ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、及び積層固体電池を含む。
【0086】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
主面と、第一方向で互いに対向すると共に前記主面と隣り合う一対の第一側面と、前記第一方向に交差する第二方向で互いに対向すると共に前記主面と隣り合う一対の第二側面を含む素体と、
前記主面に配置されており、前記第一方向で互いに離間している第一外部電極及び第二外部電極と、
を備え、
前記第一外部電極は、
前記第一方向で前記第二外部電極と対向すると共に前記素体内に位置している端縁を含む、第一領域と、
前記第一領域と連続すると共に前記主面から露出している第二領域と、を含み、
前記第二外部電極は、
前記第一方向で前記第一領域と対向すると共に前記素体内に位置している端縁を含む、第三領域と、
前記第三領域と連続すると共に前記主面から露出している、第四領域と、を含む、電子部品。
(付記2)
前記第一外部電極及び前記第二外部電極それぞれの全体は、前記主面に直交する方向から見て、前記一対の第一側面をそれぞれ含む一対の第一仮想面と、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の第二仮想面と、で画成される領域に位置している、付記1に記載の電子部品。
(付記3)
前記第二領域及び前記第四領域のそれぞれは、前記一対の第一側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、前記主面に直交する方向から見て位置する外縁を含む、付記1又は2に記載の電子部品。
(付記4)
前記第二領域及び前記第四領域のそれぞれは、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面のうち対応する仮想面に、前記主面に直交する方向から見てそれぞれ位置する一対の外縁を含む、付記1~3のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記5)
前記第一領域及び前記第三領域のそれぞれは、前記主面に直交する方向から見て、前記一対の第二側面をそれぞれ含む一対の仮想面から離間している、付記1~4のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記6)
前記一対の第二仮想面のそれぞれと前記第一領域との前記第二方向での離間距離は、前記第一領域の前記第一方向での長さより大きく、
前記一対の第二仮想面のそれぞれと前記第三領域との前記第二方向での離間距離は、前記第三領域の前記第一方向での長さより大きい、付記5に記載の電子部品。
(付記7)
前記第一外部電極の面積に対する前記第一領域の面積の割合と、前記第二外部電極の面積に対する前記第三領域の面積の割合とは、0.1~0.2である、付記1~6のいずれか一つに記載の電子部品。
【符号の説明】
【0087】
1…素体、1a…主面、1c,1d,1e、1f…側面、10…外部電極、11e,11f…端縁、12c,22d…外縁、20…外部電極、21e,21f…端縁、D1…第一方向、D2…第二方向、ED1…電子部品、L1e,L1f,L3e,L3f…離間距離、PL1c,PL1d,PL2e,PL2f…仮想面、R1,R2,R3,R4…領域。