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特開2024-110286配線用とい構造体及び電線の配線方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110286
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】配線用とい構造体及び電線の配線方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 17/00 20060101AFI20240807BHJP
   B61D 17/10 20060101ALI20240807BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B61D17/00 A
B61D17/10
H02G3/04 056
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014804
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】712004783
【氏名又は名称】株式会社総合車両製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 準
(72)【発明者】
【氏名】関根 眞一
(72)【発明者】
【氏名】芳川 拓
(72)【発明者】
【氏名】小花 崇樹
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357BA04
5G357BB04
5G357BC05
(57)【要約】
【課題】鉄道車両の床下配線作業のアウトワーク化を実現し、製造ラインの円滑化を図る。
【解決手段】配線用とい構造体10は、大略板状を成して複数の電線のメインの配線方向に延在し、複数の電線の結束手段を通すための通し穴が設けられた配線とい20と、配線スペースを確保しながら配線とい20を鉄道車両の床下に取り付けるための複数の取付金50とを含んでいる。このため、鉄道車両の床下に対する実際の取り付け位置を再現するように設置した配線とい20に対して、複数の電線の配線作業を行うことで、車体との位置関係を再現して配線作業を行うことができ、しかも複数の電線を固定できるため、配線作業のアウトワーク化を実現することができる。このため、床下配線の作業時間を平坦化して、製造ラインの円滑化を図ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の床下における複数の電線の配線に用いられる配線用とい構造体であって、
一方の面に前記複数の電線が載置される大略板状を成すと共に、前記複数の電線のメインの配線方向に延在し、前記複数の電線の固定用結束手段を通すための複数の通し穴が設けられた配線といと、
該配線といと前記床下との間に配線スペースを確保しながら、前記配線といを前記床下に取り付けるための複数の取付金と、を含むことを特徴とする配線用とい構造体。
【請求項2】
前記配線といに、該配線といの前記床下への取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成された補助治具に対する位置決め手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の配線用とい構造体。
【請求項3】
前記位置決め手段が、前記補助治具に設けられた位置決めピンに対応する位置決め穴であることを特徴とする請求項2記載の配線用とい構造体。
【請求項4】
前記配線といは、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の両側に、前記複数の電線が載置される面とは反対側へ向けて折り曲げられた折り曲げ部を有することを特徴とする請求項1記載の配線用とい構造体。
【請求項5】
前記配線といは、各々に前記位置決め手段が設けられた複数の第1とい部材が前記配線方向に並べられた構成を有し、
前記複数の取付金は、少なくとも前記第1とい部材同士が隣接する位置の各々に、該隣接する第1とい部材同士を接続する態様で、リベット乃至ボルトにより取り付けられることを特徴とする請求項2記載の配線用とい構造体。
【請求項6】
前記複数の取付金の各々は、二股部と該二股部を接続する接続部とを有する大略コの字状を成し、前記二股部の先端側が前記第1とい部材に取り付けられると共に、前記接続部が前記床下に取り付けられ、
更に、2つ以上の前記取付金に跨るようにして、該取付金の前記二股部の、前記コの字状における外側に相当する部分に、リベット乃至ボルトにより取り付けられる電線支持部材を含むことを特徴とする請求項5記載の配線用とい構造体。
【請求項7】
前記配線といは、前記配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材から選定された、少なくとも1つの前記第2とい部材により構成され、
該第2とい部材は、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、前記配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に、前記取付金が挿通される挿通孔が設けられ、
前記複数の取付金の各々は、前記第2とい部材の、前記複数の電線が載置される載置面と反対側の面に取り付けられるとい取付部と、該とい取付部から前記挿通孔を通って前記載置面側に立設する立設部と、該立設部から前記幅方向に延びて前記床下に取り付けられる床下取付部と、を含むことを特徴とする請求項2記載の配線用とい構造体。
【請求項8】
前記取付金の前記とい取付部が、前記第2とい部材に対して、リベット結合と溶接結合との少なくとも一方により取り付けられることを特徴とする請求項7記載の配線用とい構造体。
【請求項9】
鉄道車両の床下に複数の電線を配線する方法であって、
一方の面に前記複数の電線が載置される大略板状を成すと共に、前記複数の電線のメインの配線方向に延在し、前記複数の電線の固定用結束手段を通すための複数の通し穴が設けられた配線といを設置し、
前記配線とい上に、前記複数の電線を配線し、
前記複数の電線を配線した状態の前記配線といを、該配線といと前記床下との間に配線スペースを確保した状態で、複数の取付金を介して前記床下に取り付けることを特徴とする電線の配線方法。
【請求項10】
前記配線といを、該配線といの前記床下への取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成された補助治具に対して、位置決め手段を介して設置し、
前記補助治具に設置した状態の前記配線とい上に、前記複数の電線を配線することを特徴とする請求項9記載の電線の配線方法。
【請求項11】
前記配線といの、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の両側に、前記複数の電線が載置される面とは反対側へ向けて折り曲げた折り曲げ部を形成し、
該折り曲げ部を利用して、前記配線とい上に配線された前記複数の電線から分岐する電線を案内及び固定することを特徴とする請求項9記載の電線の配線方法。
【請求項12】
各々に前記位置決め手段を設けた複数の第1とい部材を、前記配線方向に並べることで前記配線といを構成し、
少なくとも前記第1とい部材同士が隣接する位置の各々において、該隣接する第1とい部材の双方にリベット乃至ボルトにより前記取付金を取り付けることで、前記隣接する第1とい部材同士を接続することを特徴とする請求項10記載の電線の配線方法。
【請求項13】
前記配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材から、少なくとも1つの前記第2とい部材を選定して前記配線といとして使用し、
該第2とい部材の、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、前記配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に、前記取付金を挿通するための挿通孔を設け、
前記複数の取付金として、前記第2とい部材の、前記複数の電線が載置される載置面と反対側の面に取り付けられるとい取付部と、該とい取付部から前記挿通孔を通って前記載置面側に立設する立設部と、該立設部から前記幅方向に延びて前記床下に取り付けられる床下取付部と、を含む取付金を利用することを特徴とする請求項10記載の電線の配線方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の床下における複数の電線の配線に用いられる配線用とい構造体と、それを用いた電線の配線方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車体の製造ラインにおいて、車体床下における電線の配線作業は、所定の製造スケジュールに従って、車体が配線作業のための作業場に到着したタイミングで行われる。そして、製造ラインにおける他の工程と同様に、配線作業には、標準的な作業時間が設定されているが、電線の数量や配線の複雑さなどに応じて作業時間が変動する。具体的に、例えば鉄道の先頭車両などの車体は、配線作業のボリュームが多いため、標準作業時間を超過する傾向にあり、中間車両などの車体は、配線作業のボリュームが少ないため、標準作業時間よりも早く終わる傾向にある。なお、特許文献1、2には、配線ダクトを利用して、鉄道車両の床下に配線を行う構造の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭53-143307号公報
【特許文献2】実開平04-009364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したような配線作業の作業時間の変動は、車体の製造ラインの流れを阻害する場合がある。また、このような作業時間の変動をカバーするために、例えば、作業ボリュームが少ない車体の配線作業の余剰時間を利用して、作業ボリュームが多い車体のための配線作業を、車体の到着よりも先に進めておく方法が考えられる。しかしながら、車体がない状態では、車体と電線との位置関係を再現することや、配線した電線などを固定しておくことが困難であるため、実現には至らなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鉄道車両の床下配線作業のアウトワーク化を実現し、製造ラインの円滑化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)鉄道車両の床下における複数の電線の配線に用いられる配線用とい構造体であって、一方の面に前記複数の電線が載置される大略板状を成すと共に、前記複数の電線のメインの配線方向に延在し、前記複数の電線の固定用結束手段を通すための複数の通し穴が設けられた配線といと、該配線といと前記床下との間に配線スペースを確保しながら、前記配線といを前記床下に取り付けるための複数の取付金と、を含む配線用とい構造体。
【0007】
本項に記載の配線用とい構造体は、配線とい及び複数の取付金を含み、配線といは、大略板状を成しており、その一方の面に複数の電線が載置され、それら複数の電線のメインの配線方向に延在している。また、配線といには、複数の通し穴が設けられており、これらの通し穴に複数の電線に巻かれた状態の結束手段が通されることで、配線といに載置された複数の電線が結束及び固定されるようになっている。このような配線といは、鉄道車両の床下における電線の配線ルートに応じて、2つ以上用いられてもよい。一方、複数の取付金は、配線といを鉄道車両の床下に取り付けるためのものであり、この際、配線といと鉄道車両の床下との間に、配線とい上に載置される複数の電線のための配線スペースが確保されるように、配線といが床下に対して取り付けられる。
【0008】
このため、配線といは、取付金を介して鉄道車両の床下に取り付けられる前は、例えば作業台や長尺板の上などで自由な配置に設置されるものとなるため、鉄道車両の床下に対する実際の取り付け位置が再現されるように設置されるものとなる。このような状態で配線とい上に複数の電線が配線されることで、鉄道車両の実際の車体が作業場になくても、車体との位置関係が再現されて、配線作業が行われることとなる。この際、複数の電線は結束手段を介して配線といに固定されるため、それらの位置が強固に保持されるものとなる。これにより、鉄道車両の床下の配線作業の、実際の車体を必要としないアウトワーク化が実現されるものとなる。加えて、配線といが作業台上などに設置されていれば、配線といの上方側が空いた状態で配線作業が行われるものとなるため、車体の床下に配線といを取り付けた状態で配線作業を行う場合よりも、効率よく作業が進められるものとなる。これらによって、鉄道車両の車体の製造ラインの円滑化が図られるものである。
【0009】
(2)上記(1)項において、前記配線といに、該配線といの前記床下への取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成された補助治具に対する位置決め手段が設けられている配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、配線といに、補助治具に対する位置決め手段が設けられており、この補助治具は、配線といを鉄道車両の床下に取り付ける際の取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成されている。このため、配線といは、位置決め手段を介して補助治具に位置合わせされることで、鉄道車両の床下に対する実際の取り付け位置が再現された状態で、補助治具に設置される。従って、補助治具に設置された状態の配線とい上に複数の電線が配線されることで、鉄道車両の実際の車体が作業場になくても、車体との位置関係が高精度で再現されて、あたかも車体があるかのような環境で、配線作業が行われることとなる。しかも、複数の電線が結束手段を介して配線といに固定されることに加えて、配線といは補助治具に対して位置決め手段を介して位置が固定されるため、それらの位置が強固に保持されるものとなる。
【0010】
更に、補助治具の上方側に配線といが設置される構成であれば、配線といの上方側が空いた状態での配線作業が、問題なく行われるものである。また、補助治具に設置されて配線された状態の配線といは、モジュールとして扱われるものとなり、鉄道車両の車体が作業場に到着したら、そのまま取付金を介して車体の床下に取り付けられるものである。そして、配線といが床下に取り付けられたら、配線といから補助治具が取り外され、以降は、配線された複数の電線の床下機器への接続などが行われる。このような構成によって、例えば、配線作業のボリュームが少ない車体の余剰な作業時間が利用されて、配線作業のボリュームが多い車体の配線作業が先に進められる、といった対応が行われるものとなる。このため、車体の床下配線の作業時間が平坦化され、鉄道車両の車体の製造ラインが、より一層円滑化されるものである。
【0011】
(3)上記(2)項において、前記位置決め手段が、前記補助治具に設けられた位置決めピンに対応する位置決め穴である配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、補助治具に対する配線といの位置決め手段を具体化したものであって、補助治具に位置決めピンが設けられると共に、その位置決めピンに対応する位置決め穴が配線といに設けられたものである。これにより、補助治具に対する配線といの位置精度が向上され、換言すれば、鉄道車両の車体に対する配線といの取り付け位置の再現度が向上されるものである。更に、配線といに設けられた位置決め穴は、配線といから補助治具が取り外された後は、例えば、後付けの取付金具を固定するためのリベット又はボルトの穴や、高圧電線の支持部材を取り付けるための穴など、多目的に利用されるものである。
【0012】
(4)上記(1)項において、前記配線といは、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の両側に、前記複数の電線が載置される面とは反対側へ向けて折り曲げられた折り曲げ部を有する配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、配線といに折り曲げ部が設けられたものであり、この折り曲げ部は、配線といの、平面視で複数の電線のメインの配線方向と直交する幅方向の両側が、複数の電線が載置される面とは反対側へ向けて折り曲げられることで形成されている。このような折り曲げ部が利用されて、配線とい上に配線された複数の電線から分岐する電線が、配線といにおける電線の載置面側を上方としたときの下方に案内されると共に、結束手段などで固定されるため、電線の分岐作業が効率よく行われるものとなる。
【0013】
(5)上記(2)項において、前記配線といは、各々に前記位置決め手段が設けられた複数の第1とい部材が前記配線方向に並べられた構成を有し、前記複数の取付金は、少なくとも前記第1とい部材同士が隣接する位置の各々に、該隣接する第1とい部材同士を接続する態様で、リベット乃至ボルトにより取り付けられる配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、配線といが複数の第1とい部材により構成されたものであって、これら複数の第1とい部材は、各々に補助治具に対する位置決め手段が設けられており、複数の電線のメインの配線方向に並べられる。すなわち、第1とい部材の各々は、鉄道車両の床下に対する実際の取り付け位置が再現されるように、位置決め手段を介して補助治具に設置される。また、配線といが2つ以上用いられる場合は、配線といの各々を構成するように、複数の第1とい部材が2つ以上に分けられて並べられる。なお、第1とい部材の各々は、配線といと同様に大略板状を成すものであり、結束手段用の通し穴も設けられている。
【0014】
そして、複数の取付金は、配線といを構成する複数の第1とい部材を鉄道車両の床下に取り付ける役割に加えて、上記のように並べられた複数の第1とい部材同士を接続する役割を担うようになっている。このため、複数の取付金は、少なくとも第1とい部材同士が隣接する位置の各々において、隣接する第1とい部材の双方に跨って双方に対して取り付けられる。このとき、複数の取付金の各々は、リベット乃至ボルトにより、隣接する第1とい部材の双方に取り付けられる。これにより、配線用とい構造体の全体が、溶接作業を行うことなく組み立てられるものとなり、溶接作業が不要な溶接レスが実現される。従って、限られた溶接作業者を確保する必要がなく、また、品質管理が困難な溶接箇所がなくなるため、多くの溶接作業を要した従来のとい構造と比較して、品質が向上されるものである。
【0015】
更に、本項に記載の配線用とい構造体は、上記のような組み立ての前は、複数の第1とい部材の各々と複数の取付金の各々とに、分割された状態で取り扱われるものである。このため、製造や輸送が容易になり、長尺物から組み立てていた従来のとい構造と比較して、コストが削減されるものとなる。しかも、各鉄道車両に必要とされる配線といの長さに応じて、利用される第1とい部材の数量が調整されればよいため、仕様が異なる様々な鉄道車両に柔軟に対応するものとなる。
【0016】
(6)上記(5)項において、前記複数の取付金の各々は、二股部と該二股部を接続する接続部とを有する大略コの字状を成し、前記二股部の先端側が前記第1とい部材に取り付けられると共に、前記接続部が前記床下に取り付けられ、更に、2つ以上の前記取付金に跨るようにして、該取付金の前記二股部の、前記コの字状における外側に相当する部分に、リベット乃至ボルトにより取り付けられる電線支持部材を含む配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、複数の取付金の各々が大略コの字状を成しており、コの字状の二股部分に相当する二股部と、それら二股部の間で二股部を接続する接続部とを有している。そして、二股部の先端側(接続部と反対側)が、上記(5)項で言及したように第1とい部材に取り付けられ、接続部が鉄道車両の床下に取り付けられる。
【0017】
このため、取付金のコの字状の内側部分に、配線とい(第1とい部材)と鉄道車両の床下との間の配線スペースが確保され、配線とい上に配線される複数の電線が取付金の各々により囲われる態様となる。従って、複数の取付金は、複数の電線が配線とい上に配線された後に配線といに取り付けられることとなり、配線作業時には補助治具に設置された複数の第1とい部材に取付金が取り付けられていない。このため、取付金が配線作業の妨げになったり、取付金に起因して電線が破損しないように配慮する必要があったりすることがなく、効率よく配線作業が行われるものとなり、作業性及び品質が向上されるものである。
【0018】
また、本項に記載の配線用とい構造体は、電線支持部材を更に含み、この電線支持部材は、2つ以上の取付金に跨るようにして、これらの取付金の二股部の、コの字状における外側に相当する部分に、リベット乃至ボルトにより取り付けられる。ここで、大略コの字状の取付金は、上述したように配線とい上に配線される複数の電線を囲うため、取付金が取り付けられて鉄道車両の床下に取り付けられた配線といには、後から追加の電線を配線することが困難である。そこで、上記のような電線支持部材が取付金の外側に取り付けられることで、追加の電線が電線支持部材に沿って配線されるものとなり、追加の配線作業が問題なく行われるものとなる。しかも、電線支持部材はリベット乃至ボルトにより取り付けられるため、溶接レスが維持されたまま、追加の配線に対応するものである。
【0019】
(7)上記(5)(6)項において、前記複数の第1とい部材は、前記配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第1とい部材から選定される配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、複数の第1とい部材が、電線のメインの配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第1とい部材から選定される。すなわち、第1とい部材として、長さが異なる2種類以上のものが用意され、各鉄道車両に必要な配線といの長さに応じて、適切な長さを有する第1とい部材が必要な数量だけ選定される。このとき、必要な配線といの長さや配線ルートなどに応じて、種類が異なる或いは種類が同じ2つ以上の第1とい部材が選定されてもよく、それらが電線の配線方向に並べられて或いは離れて使用されてもよい。これにより、仕様が異なる様々な鉄道車両に柔軟に対応するものとなる。
【0020】
(8)上記(2)項において、前記配線といは、前記配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材から選定された、少なくとも1つの前記第2とい部材により構成され、該第2とい部材は、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、前記配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に、前記取付金が挿通される挿通孔が設けられ、前記複数の取付金の各々は、前記第2とい部材の、前記複数の電線が載置される載置面と反対側の面に取り付けられるとい取付部と、該とい取付部から前記挿通孔を通って前記載置面側に立設する立設部と、該立設部から前記幅方向に延びて前記床下に取り付けられる床下取付部と、を含む配線用とい構造体。
【0021】
本項に記載の配線用とい構造体は、配線といが少なくとも1つの第2とい部材により構成されるものであり、配線といに用いられる第2とい部材は、電線のメインの配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材から選定される。すなわち、第2とい部材として、長さが異なる2種類以上のものが用意され、各鉄道車両に必要な配線といの長さに応じて、配線といを構成する適切な長さを有する第2とい部材が選定される。このとき、必要な配線といの長さや配線ルートなどに応じて、種類が異なる或いは種類が同じ2つ以上の第2とい部材が選定されてもよく、それらが電線の配線方向に並べられて或いは離れて使用されてもよい。これにより、仕様が異なる様々な鉄道車両に柔軟に対応するものとなる。
【0022】
また、それ単体で配線といを構成することもある第2とい部材は、当然のことながら、結束手段用の通し穴や補助治具に対する位置決め手段が設けられ、配線といと同様に大略板状を成している。更に、第2とい部材には、複数の取付金の各々が挿通される挿通孔が設けられ、これらの挿通孔は、平面視で電線のメインの配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に穿設される。そして、複数の取付金の各々は、とい取付部と立設部と床下取付部とを含み、とい取付部は、第2とい部材の、複数の電線が載置される載置面とは反対側の面に取り付けられる。立設部は、第2とい部材の載置面と反対側にあるとい取付部から連続して形成され、第2とい部材に設けられた挿通孔を通って、第2とい部材の載置面側に立設する。床下取付部は、立設部から連続して形成され、電線のメインの配線方向と直交する幅方向に延在して、鉄道車両の床下に取り付けられる。
【0023】
上記のような構成の取付金は、配線といとして使用される第2とい部材が選定された後、選定された第2とい部材に取り付けられ、取付金が取り付けられると共に位置決め手段を介して補助治具に設置された状態の第2とい部材に対して、配線作業が行われる。すなわち、第2とい部材に取付金が取り付けられていても、第2とい部材の載置面側では、幅方向の中央近傍で立設する立設部を挟んだ幅方向の両側が空いているため、取付金が配線作業の妨げになることはなく、作業性及び品質が向上されるものである。しかも、配線作業後の配線といが、取付金を介して鉄道車両の床下に取り付けられた後であっても、配線といの幅方向の両側は空いているため、配線とい上に追加の電線が容易に配線されるものとなる。また、本項に記載の配線用とい構造体は、少なくとも1つの第2とい部材及び複数の取付金で構成されるため、部品点数が削減されており、更に第2とい部材の長さが抑制されることで、製造や輸送が容易になり、長尺物から組み立てていた従来のとい構造と比較して、コストが削減されるものとなる。
【0024】
(9)上記(8)項において、前記取付金の前記とい取付部が、前記第2とい部材に対して、リベット結合と溶接結合との少なくとも一方により取り付けられる配線用とい構造体。
本項に記載の配線用とい構造体は、複数の取付金の各々が第2とい部材に取り付けられる際に、各取付金のとい取付部が、リベット結合と溶接結合との少なくとも一方によって第2とい部材に取り付けられるものである。すなわち、各取付金のとい取付部は、リベット結合のみによって、溶接結合のみによって、或いはリベット結合と溶接結合との併用によって、第2とい部材に取り付けられる。これにより、リベット結合のみによって取り付けられる場合は、配線用とい構造体の全体が、溶接作業を行うことなく組み立てられるものとなり、溶接作業が不要な溶接レスが実現される。従って、限られた溶接作業者を確保する必要がなく、また、品質管理が困難な溶接箇所がなくなるため、多くの溶接作業を要した従来のとい構造と比較して、品質が向上されるものである。
【0025】
これに対し、とい取付部が溶接結合のみによって取り付けられる場合は、配線用とい構造体の全体のうち、取付金のみが溶接で取り付けられるため、従来のとい構造と比較して、品質管理が困難な溶接箇所が削減され、品質が向上されるものである。また、とい取付部がリベット結合と溶接結合との併用によって取り付けられる場合は、配線用とい構造体の全体のうち、取付金の一部のみが溶接で取り付けられる。このため、従来のとい構造と比較して、品質管理が困難な溶接箇所がより削減され、品質が向上されるものである。
【0026】
(10)鉄道車両の床下に複数の電線を配線する方法であって、一方の面に前記複数の電線が載置される大略板状を成すと共に、前記複数の電線のメインの配線方向に延在し、前記複数の電線の固定用結束手段を通すための複数の通し穴が設けられた配線といを設置し、前記配線とい上に、前記複数の電線を配線し、前記複数の電線を配線した状態の前記配線といを、該配線といと前記床下との間に配線スペースを確保した状態で、複数の取付金を介して前記床下に取り付ける電線の配線方法。
(11)上記(10)項において、前記配線といを、該配線といの前記床下への取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成された補助治具に対して、位置決め手段を介して設置し、前記補助治具に設置した状態の前記配線とい上に、前記複数の電線を配線する電線の配線方法。
【0027】
(12)上記(10)項において、前記配線といの、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の両側に、前記複数の電線が載置される面とは反対側へ向けて折り曲げた折り曲げ部を形成し、該折り曲げ部を利用して、前記配線とい上に配線された前記複数の電線から分岐する電線を案内及び固定する電線の配線方法。
(13)上記(11)項において、各々に前記位置決め手段を設けた複数の第1とい部材を、前記配線方向に並べることで前記配線といを構成し、少なくとも前記第1とい部材同士が隣接する位置の各々において、該隣接する第1とい部材の双方にリベット乃至ボルトにより前記取付金を取り付けることで、前記隣接する第1とい部材同士を接続する電線の配線方法。
【0028】
(14)上記(11)項において、前記配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材から、少なくとも1つの前記第2とい部材を選定して前記配線といとして使用し、該第2とい部材の、平面視で前記配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、前記配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に、前記取付金を挿通するための挿通孔を設け、前記複数の取付金として、前記第2とい部材の、前記複数の電線が載置される載置面と反対側の面に取り付けられるとい取付部と、該とい取付部から前記挿通孔を通って前記載置面側に立設する立設部と、該立設部から前記幅方向に延びて前記床下に取り付けられる床下取付部と、を含む取付金を利用する電線の配線方法。
そして、(10)~(14)項に記載の電線の配線方法は、各々、上記(1)、(2)、(4)、(5)、(8)項の配線用とい構造体を利用して実行されることで、上記(1)、(2)、(4)、(5)、(8)項の配線用とい構造体と同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上記のような構成であるため、鉄道車両の床下配線作業のアウトワーク化を実現することができ、製造ラインの円滑化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体を例示する斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体を示す平面及び側面の二面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体の配線といを構成する第1とい部材の三面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体の配線といを構成する、図3と形状が異なる第1とい部材の三面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体に用いられる取付金の三面図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体を示す平面及び側面の二面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体の一部を拡大して示す斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体の配線といを構成する第2とい部材の三面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体に用いられる一方の取付金の三面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体に用いられる他方の取付金の三面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体に模擬位置を提供する補助治具の斜視図である。
図12】補助治具に配線といが設置された様子を示す斜視図である。
図13】配線とい上に複数の電線が配線された様子を示す斜視図である。
図14】本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体が鉄道車両の床下に取り付けられた様子を車両下側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいて説明する。ここで、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略することとし、また、図面の全体を通して、同一部分若しくは相当する部分は、同一の符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10を説明するための構成の一例を示しており、図1の配線用とい構造体10は、補助治具80に設置されると共に、複数の電線Wが配線された状態で図示されている。本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、鉄道車両の床下U(図14参照)における、主に低圧の複数の電線Wの配線に用いられるものである。
【0032】
図1の配線用とい構造体10は、説明の便宜上、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12と、本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体14と、本発明の第3実施形態に係る配線用とい構造体16とが、組み合わされて構成されている。しかしながら、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、第1実施形態に係る配線用とい構造体12と、第2実施形態に係る配線用とい構造体14と、第3実施形態に係る配線用とい構造体16とのうち、任意の1つのみ或いは任意の2つ以上が組み合わされて構成されてもよい。
【0033】
ここからは、各実施形態に係る配線用とい構造体12、14、16について詳細に説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、図2に示すように、配線とい20、複数の取付金50、及び電線支持部材74を含んでいる。配線用とい構造体12は、複数の電線Wの配線時に、配線とい20の図2(a)で視認できる面上に複数の電線Wが載置され、それら複数の電線Wのメインの配線方向(図2における左右方向)に延びている。第1実施形態に係る配線用とい構造体12の配線とい20は、複数の第1とい部材22が複数の電線Wのメインの配線方向に並べられた構成を成しており、本実施形態では4つの第1とい部材22が並べられている。
【0034】
4つの第1とい部材22のうち、図2における左端に位置する第1とい部材22は、図3に示すように、大略板状を成しており、平面視略矩形の矩形部22aと、その図3(a)及び(b)における左側に位置する突出部22bとを有している。矩形部22aには、平面視で電線Wのメインの配線方向と直交する幅方向(図3(a)における上下方向)の両側に折り曲げ部36が設けられており、これらの折り曲げ部36は、電線Wが載置される面とは反対側(図3(b)における下側、図3(c)における右側)に向けて折り曲げられている。また、矩形部22aには、複数の通し穴30、複数の位置決め穴34、及び複数の取付金取付穴38が穿設されている。
【0035】
複数の通し穴30は、第1とい部材22上に載置される複数の電線Wの結束及び固定に用いられる、結束バンドなどの結束手段を通すためのものであって、電線Wのメインの配線方向に延在する大略矩形状を成し、本実施形態では矩形部22aに6箇所設けられている。図3(a)における上側に設けられた2つの通し穴30と、下側に設けられた2つの通し穴30とは、折り曲げ部36の一部にまで及んでいる。残りの2つの通し穴30は、図3(a)における上下方向(幅方向)の中央から僅かに上側にシフトした位置に形成されている。複数の位置決め穴34は、第1とい部材22(換言すれば配線とい20)を、図1などに示す補助治具80に設置する際の位置決め手段32として設けられたものである。本実施形態の位置決め穴34は、矩形部22aと突出部22bとの間近傍と、図3(a)における右端近傍とにおける、上下方向の中央から僅かに上側にシフトした位置の2箇所に形成されている。
【0036】
複数の取付金取付穴38は、第1とい部材22に取付金50を取り付ける際に利用されるものであって、具体的には、リベット又はハックボルトなどの各種のボルトが通されるものである。本実施形態では、図3(a)を参照して、矩形部22aと突出部22bとの間近傍における上端近傍の2箇所及び下端近傍の2箇所と、右端近傍における上端近傍の1箇所及び下端近傍の1箇所との、合計で6つの取付金取付穴38が設けられている。一方、突出部22bには、矩形部22aにおける通し穴30に相当する切欠き30が、図3(a)における上下方向の中央から僅かに上側にシフトした位置に設けられている。
【0037】
図2に示された4つの第1とい部材22のうち、中間に位置する2つの第1とい部材22の各々は、図4に示すように、図3に示した第1とい部材22から突出部22bを除いた矩形部22aと類似した構成を有している。すなわち、図4の第1とい部材22は、平面視で大略矩形の板状を成しており、折り曲げ部36、6つの通し穴30、2つの位置決め穴34、及び4つの取付金取付穴38が設けられている。取付金取付穴38が図4(a)のような平面視で四隅に設けられた4つである点を除いて、図4の第1とい部材22は、各要素の役割、位置、数量などは図3の第1とい部材22の矩形部22aと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。他方、図2に示された4つの第1とい部材22のうち、図2における右端に位置する第1とい部材22は、図3の第1とい部材22と左右対称の構成を有しているため、同じく詳しい説明は省略する。なお、第1とい部材22の各々は、配線とい20に求められる役割を果たし得る適切な硬度を有する、例えば鋼材などで形成される。また、配線とい20を構成する複数の第1とい部材22は、複数の電線Wのメインの配線方向に互いに異なる所定長を有する、少なくとも2種類の第1とい部材22から選定されてもよい。そのような2種類以上の第1とい部材22には、図3及び図4に示したような第1とい部材22に限らず、それらと異なる所定長のものが含まれていてよい。
【0038】
図2を参照して、複数の取付金50は、配線とい20上に複数の電線Wの配線スペースを確保しながら、配線とい20を鉄道車両の床下Uに取り付けるためのものであり、図2(b)には、床下Uを構成する横梁Tが二点鎖線で図示されている。第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、複数の取付金50として5つの取付金50Aを含み、図2における左右両側の2つの取付金50Aを除いた3つの取付金50Aが、隣接する第1とい部材22同士を接続するように取り付けられている。すなわち、それら3つの取付金50Aは、配線とい20を構成する4つの第1とい部材22を接続する役割も担っている。このため、第1実施形態に係る配線用とい構造体12では、配線とい20を構成する第1とい部材22の数量に応じて、取付金50Aの数量も増減することになる。
【0039】
取付金50Aの各々は、図5に示すように、大略コの字状を成し、二股部52とこれらの二股部52を接続する接続部54とを有している。二股部52の先端側(図5(b)における下端側)には、略直角に内側へと折り曲げられた先端部52aが形成されており、そこにとい取付穴56が2つずつ、合計で4つ設けられている。そして、取付金50Aは、配線とい20の端部に用いられる図3に示したような第1とい部材22の、矩形部22aと突出部22bとの間近傍に設けられた4つの取付金取付穴38に、先端部52aに設けられた4つのとい取付穴56が位置合わせされて、先端部52aが第1とい部材22の裏面側(図3(b)における下面側)に重ねられる。この状態で、4つの取付金取付穴38と4つのとい取付穴56とに、リベットやハックボルトなどが挿入され、それらによって取付金50Aが第1とい部材22に対して取り付けられる。このように、配線とい20の図2における左右両側に位置する2つの取付金50Aは、各々が1つの第1とい部材22にのみ取り付けられる。
【0040】
これに対し、隣接する第1とい部材22同士を接続する3つの取付金50Aは、隣接する第1とい部材22の双方に跨って取り付けられる。まずは、配線とい20の端部に用いられる図3のような第1とい部材22と、配線とい20の中間に用いられる図4のような第1とい部材22とを接続する場合について言及する。この場合は、端部用の第1とい部材22の図3(a)における右端近傍の2つの取付金取付穴38と、中間用の第1とい部材22の図4(a)における左端近傍の2つの取付金取付穴38とに、取付金50Aの4つのとい取付穴56が位置合わせされて、取付金50Aの先端部52aが2つの第1とい部材22の裏面側に重ねられる。この状態で、4つの取付金取付穴38と4つのとい取付穴56とに、リベットやハックボルトなどが挿入され、それらによって取付金50Aが2つの第1とい部材22に対して取り付けられる。
【0041】
同様に、配線とい20の中間に用いられる図4のような第1とい部材22同士を接続する場合は、一方の第1とい部材22の図4(a)における右端近傍の2つの取付金取付穴38と、他方の第1とい部材22の図4(a)における左端近傍の2つの取付金取付穴38とに、取付金50Aの4つのとい取付穴56が位置合わせされて、取付金50Aの先端部52aが2つの第1とい部材22の裏面側に重ねられる。この状態で、4つの取付金取付穴38と4つのとい取付穴56とに、リベットやハックボルトなどが挿入され、それらによって取付金50Aが2つの第1とい部材22に対して取り付けられる。なお、取付金50Aの各々は、詳しくは後述するが、配線とい20を構成する複数の第1とい部材22上に複数の電線Wが配線された後に、第1とい部材22に対して取り付けられる。
【0042】
図5を参照して、更に取付金50Aには、2つの梁取付穴58と2つの支持部材取付穴60とが設けられている。2つの梁取付穴58は、接続部54に互いに間隔を空けて長円状に穿設されており、図2(b)に示すように、第1実施形態に係る配線用とい構造体12を鉄道車両の床下Uを構成する横梁Tに取り付ける際に、ボルトなどが挿通されるものである。2つの支持部材取付穴60は、二股部52に1つずつ穿設されており、後述するように電線支持部材74の取り付けの際に利用されるものである。取付金50Aは、取付金50に求められる役割を果たし得る適切な硬度を有する、例えば鋼材などで形成される。
【0043】
電線支持部材74は、配線とい20に対して複数の取付金50Aが取り付けられた後に、主に低圧の追加の電線を配線する場合の支えの役割を果たすものであり、図2に示すように、本実施形態では電線支持部材74A及び74Bの2種類の電線支持部材74が用いられている。電線支持部材74Aは、平面視略矩形の板状の載置部74aと、載置部74aから略直角に折れ曲がって設けられた2つの取付部74bとを有している。そして、電線支持部材74Aは、取付金50Aの外側から、取付部74bに設けられた取付穴と、取付金50Aの二股部52に設けられた支持部材取付穴60とが位置合わせされて、それらに挿入されるリベットやハックボルトなどを介して取付金50Aに取り付けられる。このため、電線支持部材74Aは、2つの取付金50Aに跨ってそれらの外側に取り付けられ、図2の実施形態では取付金50Aを挟んだ2箇所に取り付けられている。このような構成の電線支持部材74Aは、載置部74a上に追加の電線が載置されるように配線され、それが結束手段などを介して電線支持部材74Aに固定される。
【0044】
これに対し、電線支持部材74Bは、長尺矩形の平板状を成すものであって、長手方向に間隔を空けた3箇所に取付穴が設けられている。そして、電線支持部材74Bは、取付金50Aの外側から、3箇所に設けられた取付穴と、取付金50Aの二股部52に設けられた支持部材取付穴60とが位置合わせされて、それらに挿入されるリベットやハックボルトなどを介して取付金50Aに取り付けられる。このため、電線支持部材74Bは、3つの取付金50Aに跨ってそれらの外側に取り付けられ、図2の実施形態では取付金50Aを挟んだ2箇所に取り付けられている。このような構成の電線支持部材74Bは、電線支持部材74Bに沿って追加の電線が配線され、それが結束手段などを介して電線支持部材74Bに固定される。なお、電線支持部材74の各々は、例えば鋼材などによって形成される。
【0045】
ここで、図2に示される第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、複数の電線Wの図示などは省略しているが、鉄道車両の床下Uに取り付けられた状態のものである。このため、後述するように複数の電線Wの配線時などに用いられる補助治具80から取り外された状態であって、これにより、第1とい部材22に設けられた、補助治具80に対する位置決め手段32としての位置決め穴34が空くこととなる。そこで、図2の実施形態では、そのように空いている位置決め穴34の一部が利用されて、主に動力系などの高圧電線を支えるための高圧用電線支持部材76が、第1とい部材22の裏面側に取り付けられている。高圧用電線支持部材76は、鋼材などで形成され、ボルトなどによって第1とい部材22に取り付けられる。
【0046】
続いて、図6図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体14について説明する。第2実施形態に係る配線用とい構造体14は、図6に示すように、配線とい20を構成する第2とい部材24と、複数の取付金50とを含んでいる。配線用とい構造体14は、複数の電線Wの配線時に、配線とい20を構成する第2とい部材24の載置面24a上に複数の電線Wが載置され、それら複数の電線Wのメインの配線方向(図6における左右方向)に延びている。配線用とい構造体14の配線とい20は、複数の電線Wのメインの配線方向に互いに異なる所定長を有する、少なくとも2種類の第2とい部材24から選定された第2とい部材24により構成される。例えば、図8(a)~(c)と図8(d)~(f)とには、そのように長さが異なる2種類の第2とい部材24A及び24Bを図示しており、図6に示される配線とい20には、図8(a)~(c)の第2とい部材24Aが選定されて採用されている。
【0047】
図示のように、図8(a)~(c)の第2とい部材24Aは、平面視略矩形の大略板状を成しており、平面視で電線Wのメインの配線方向と直交する幅方向(図8(a)における上下方向)の両側に折り曲げ部36が設けられている。これらの折り曲げ部36は、電線Wが載置される載置面24aとは反対側(図8(b)における下側、図8(c)における右側)に向けて折り曲げられている。また、第2とい部材24Aには、複数の通し穴30、複数の位置決め穴34、複数の取付金取付穴38、及び複数の挿通孔40が穿設されている。
【0048】
複数の通し穴30は、載置面24a上に載置される複数の電線Wの結束及び固定に用いられる、結束バンドなどの結束手段を通すためのものであって、電線Wのメインの配線方向に延在する大略矩形状を成し、第2とい部材24Aには18箇所設けられている。図8(a)における上側に設けられた6つの通し穴30と、下側に設けられた6つの通し穴30とは、折り曲げ部36の一部にまで及んでいる。残りの6つの通し穴30は、図8(a)における上下方向(幅方向)の中央から僅かに上側にシフトした位置に形成されている。複数の位置決め穴34は、第2とい部材24(換言すれば配線とい20)を、図1などに示す補助治具80に設置する際の位置決め手段32として設けられたものである。第2とい部材24Aの位置決め穴34は、何れも図8(a)における上下方向の中央から僅かに上側にシフトした位置の、左から1つ目及び2つ目の通し穴30の間に2箇所、配線方向(左右方向)の中央近傍に2箇所、及び右から1つ目及び2つ目の通し穴30の間に2箇所の、合計で6箇所に形成されている。
【0049】
複数の挿通孔40は、第2とい部材24Aに取付金50が取り付けられる際に、取付金50が挿通されるものであって、図8(a)における左右方向に延在する大略矩形状を成している。図8(a)で確認できるように、複数の挿通孔40は、図中左側の2つの位置決め穴34の間と、配線方向(図中左右方向)の中央近傍の2つの位置決め穴34の間と、図中右側の2つの位置決め穴34の間との、合計で3箇所に形成されている。複数の取付金取付穴38は、第2とい部材24に取付金50を取り付ける際に利用されるものであって、具体的には、リベット又はハックボルトなどの各種のボルトが通されるものである。第2とい部材24Aには、図8(a)を参照して、図中左側の挿通孔40を挟む幅方向両側に2箇所ずつ、図中左右方向中央近傍の挿通孔40を挟む幅方向両側に2箇所ずつ、及び図中右側の挿通孔40を挟む幅方向両側に2箇所ずつの、合計で12個の取付金取付穴38が設けられている。
【0050】
一方、図8(d)~(f)の第2とい部材24Bは、第2とい部材24Aよりも配線方向の長さが短いものであって、それに対応するように、複数の通し穴30、複数の位置決め穴34、複数の取付金取付穴38、及び複数の挿通孔40の数量が、第2とい部材24Aよりも少なくなっている。これらの点を除いて、第2とい部材24Bは、各要素の役割や位置関係などは図8(a)~(c)の第2とい部材24Aと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。なお、第2とい部材24の各々は、第1とい部材22と同様に、配線とい20に求められる役割を果たし得る適切な硬度を有する、例えば鋼材などで形成される。
【0051】
図6を参照して、複数の取付金50は、配線とい20上に複数の電線Wの配線スペースを確保しながら、配線とい20を鉄道車両の床下Uに取り付けるためのものであり、図6(b)には、床下Uを構成する横梁Tが二点鎖線で図示されている。第2実施形態に係る配線用とい構造体14は、複数の取付金50として、取付金50Bと取付金50Cとを1組とした合計で3組の取付金50B及び50Cを含んでいる。取付金50Bは、図9に示すように、略直方体状の平板が2箇所で略直角に折り曲げられたような形状を有し、2箇所の折り曲げ部分を境界とした、とい取付部66と立設部68と床下取付部70とを含んでいる。とい取付部66には、互いに間隔を空けた2箇所に、とい取付穴56が形成されており、床下取付部70には、長円状の梁取付穴58が形成されている。また、取付金50Cは、図10に示すように、とい取付部66の長さと、そのとい取付部66に設けられる2つのとい取付穴56の位置とを除いて、取付金50Bと同様の構成を有しているため、詳しい説明を省略する。
【0052】
3組の取付金50B及び50Cの各々は、第2とい部材24に設けられた3つの挿通孔40と12個の取付金取付穴38とが利用されて、図7に示すように第2とい部材24に対して取り付けられる。すなわち、取付金50B及び50Cは、立設部68を背中合わせにする態様で、第2とい部材24の挿通孔40に、とい取付部66と立設部68との接続部分近傍が挿通される。このとき、第2とい部材24の幅方向の中央近傍から僅かにシフトした位置に設けられた挿通孔40に対応するように、とい取付部66が比較的長い取付金50Bが、図7における右側に配置され、とい取付部66が比較的短い取付金50Cが、図7における左側に配置される。そして、これによって第2とい部材24の載置面24aとは反対の裏面側に位置することとなる、取付金50B及び50Cのとい取付部66に設けられたとい取付穴56が、第2とい部材24の取付金取付穴38に位置合わせされる。この状態で、とい取付穴56及び取付金取付穴38に挿入されるリベットにより、取付金50B及び50Cが第2とい部材24に対して取り付けられる。
【0053】
また、取付金50B及び50Cの、第2とい部材24の載置面24a側に立設することとなる立設部68により、載置面24aから離れた位置に床下取付部70が配置される。そして、床下取付部70に設けられた梁取付穴58は、図6(b)に示すように、第2実施形態に係る配線用とい構造体14を鉄道車両の床下Uを構成する横梁Tに取り付ける際に、取り付けのためのボルトなどが挿通される。取付金50B及び50Cは、取付金50Aと同様に、取付金50に求められる役割を果たし得る適切な硬度を有する、例えば鋼材などで形成される。また、取付金50B及び50Cの各々は、詳しくは後述するが、配線とい20を構成する第2とい部材24上に複数の電線Wが配線されるよりも前に、第2とい部材24に対して取り付けられる。なお、図示は控えるが、第2実施形態に係る配線用とい構造体14についても、第1実施形態に係る配線用とい構造体12と同様に、空いている位置決め穴34が利用されて、図2に示したような高圧用電線支持部材76が取り付けられてもよい。
【0054】
ここで、図1に示した本発明の第3実施形態に係る配線用とい構造体16は、取付金50B及び50Cの第2とい部材24に対する取り付け方法のみが、第2実施形態に係る配線用とい構造体14と異なっている。すなわち、第3実施形態に係る配線用とい構造体16は、取付金50B及び50Cが第2とい部材24に対して、リベットではなく溶接によって取り付けられたものである。溶接の際には、仮固定や位置決めをした状態で作業を行うことが好ましい。このため、第2とい部材24や取付金50B及び50Cには、取付金取付穴38やとい取付穴56に替えて、仮固定や位置決めなどのための穴や突起が設けられてもよい。このような取り付け方法以外は第2実施形態に係る配線用とい構造体14と同様であるため、第3実施形態に係る配線用とい構造体16の詳しい説明は省略する。
【0055】
次に、図11には、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10で利用する補助治具80を示している。この補助治具80は、配線とい20が取付金50を介して鉄道車両の床下Uに取り付けられる際の取り付け位置に対応する模擬位置を、配線とい20に対して提供するように構成されている。具体的に、補助治具80は、複数の電線Wのメインの配線方向に延在するフレーム部82と、フレーム部82が載置され、各々がキャスターを備えた複数(図11では4つ)の台車84とで大略構成されている。図11の補助治具80は、図1に示した配線用とい構造体10に対応するものであって、第1実施形態に係る配線用とい構造体12が載置される第1フレーム部材82aと、第2実施形態に係る配線用とい構造体14及び第3実施形態に係る配線用とい構造体16が載置される第2フレーム部材82bとが、フレーム部82に設けられている。
【0056】
第1フレーム部材82aと第2フレーム部材82bとは、鉄道車両の床下Uに取り付けられる際の、第1実施形態に係る配線用とい構造体12と、第2実施形態に係る配線用とい構造体14及び第3実施形態に係る配線用とい構造体16との位置関係が再現されるように、配線方向及び配線方向と直交する幅方向について位置が設定されている。図示のように、第1フレーム部材82aと第2フレーム部材82bとは、配線方向に連続するように設置され、幅方向については互いに異なる位置にある。第1フレーム部材82aには、5つの第1位置決めプレート86が設置されており、第1位置決めプレート86の各々には、図11(b)に示すように、第1フレーム部材82aの延在方向(配線方向)に間隔を空けて2つの位置決めピン90が設けられている。第1位置決めプレート86に設けられた位置決めピン90は、後述するように、第1実施形態に係る配線用とい構造体12の配線とい20を構成する複数の第1とい部材22が、補助治具80に対して位置決めされるために使用される。
【0057】
また、第2フレーム部材82bには、6つの第2位置決めプレート88が設置されており、第2位置決めプレート88の各々には、図11(c)に示すように、第2フレーム部材82bの延在方向(配線方向)に間隔を空けて2つの位置決めピン90が設けられている。第2位置決めプレート88は、配線方向の大きさが第1位置決めプレート86よりも大きく、それに伴って2つの位置決めピン90の間隔も第1位置決めプレート86より大きくなっている。第2位置決めプレート88に設けられた位置決めピン90は、後述するように、第2実施形態に係る配線用とい構造体14の配線とい20を構成する第2とい部材24と、第3実施形態に係る配線用とい構造体16の配線とい20を構成する第2とい部材24とが、補助治具80に対して位置決めされるために使用される。
【0058】
続いて、上述したような配線用とい構造体10を利用して、鉄道車両の車体の製造時などに、鉄道車両の床下Uに複数の電線Wを配線するための、本発明の実施の形態に係る電線の配線方法について説明する。
まず、配線対象の鉄道車両に必要な要求を満たすように、複数の電線Wの配線に用いる配線とい20の構成、すなわち、配線とい20の長さ、数量、及び設置位置を設定する。このとき、第1実施形態に係る配線用とい構造体12を利用する場合は、配線とい20を構成する第1とい部材22の数量を設定し、第2実施形態に係る配線用とい構造体14及び/又は第3実施形態に係る配線用とい構造体16を利用する場合は、2種類以上の第2とい部材24の中から、配線とい20を構成する第2とい部材24を1つ以上選定する。ここでは、説明の便宜上、図1に示したような配線用とい構造体10に対応するものとして、第1実施形態に係る配線用とい構造体12による配線とい20と、第2実施形態に係る配線用とい構造体14による配線とい20と、第3実施形態に係る配線用とい構造体16による配線とい20との、3つの配線とい20を設定したものとする。
【0059】
次に、図11に示すように、配線対象の鉄道車両の床下Uへの取り付け位置に対応した模擬位置を、配線用とい構造体10の配線とい20に提供するように構成した、補助治具80を準備する。そして、図12に示すように、補助治具80の第1フレーム部材82a上に、第1実施形態に係る配線用とい構造体12の配線とい20を構成する複数(4つ)の第1とい部材22を設置する。このとき、第1とい部材22の各々が、2つの第1位置決めプレート86に跨るようにすると共に、各第1とい部材22の配線方向の両側に設けられた位置決め手段32としての2つの位置決め穴34(図3(a)及び図4(a)参照)に、上記2つの別々の第1位置決めプレート86に設けられた位置決めピン90(図11(b)参照)が挿入されるようにする。
【0060】
更に、図12に示すように、補助治具80の第2フレーム部材82b上に、第2実施形態に係る配線用とい構造体14の配線とい20を構成する第2とい部材24と、第3実施形態に係る配線用とい構造体16の配線とい20を構成する第2とい部材24とを設置する。このとき、第2とい部材24の各々が、3つの第2位置決めプレート88に跨るようにすると共に、各第2とい部材24に設けられた位置決め手段32としての6つの位置決め穴34(図8(a)参照)に、上記3つの第2位置決めプレート88に設けられた位置決めピン90(図11(c)参照)が挿入されるようにする。また、補助治具80への設置に先立ち、第2とい部材24には、取付金50B及び50Cを予め取り付けておくものとする。すなわち、第2実施形態に係る配線用とい構造体14の配線とい20を構成する第2とい部材24には、リベットによって取付金50B及び50Cを取り付けておき、第3実施形態に係る配線用とい構造体16の配線とい20を構成する第2とい部材24には、溶接によって取付金50B及び50Cを取り付けておく。
【0061】
続いて、図13に示すように、上述したように設置した配線とい20上に、配線対象の鉄道車両に必要な複数の電線Wを配線する。このとき、第1とい部材22及び第2とい部材24の各々に設けられた複数の通し穴30(図3(a)、図4(a)、図8(a)参照)を利用して、複数の電線Wを結束手段により結束及び固定する。図13で確認できる筒状の2本の電線Wは、複数の電線Wが束ねられたものである。また、第2とい部材24上では、取付金50B及び50Cを挟んだ幅方向の両側の領域を利用して、複数の電線Wを配線してよい。
【0062】
次に、図1に示すように、複数の電線Wから鉄道車両の床下機器などに接続するための電線Wを分岐させ、必要に応じてそれらの先端にコネクタなどを取り付ける。このとき、分岐させた電線Wの各々を、第1とい部材22及び第2とい部材24の各々に設けられた折り曲げ部36(図3図4図8参照)を利用して案内し、通し穴30及び折り曲げ部36を利用して結束手段により固定する。そして、第1とい部材22に、リベットやハックボルトなどを利用して、複数の取付金50(50A)を取り付ける。更に、複数の取付金50Aの外側(幅方向両側)に、リベットやハックボルトなどを利用して、電線支持部材74を取り付ける。ここまでの作業を、鉄道車両の実際の車体を利用することなく行い、以降は、図1に示された状態の配線用とい構造体10を、モジュール化したものとして取り扱う。
【0063】
その後、鉄道車両の車体に配線作業を行えるタイミングになったら、車体の下側にスペースが確保されるように車体を浮かせた状態で固定し、図1の状態の配線用とい構造体10を、補助治具80の台車84のキャスターを利用しながら車体の下側へと移動させる。そして、配線とい20の各々に取り付けられた複数の取付金50を、ボルトなどを利用して鉄道車両の車体の床下Uを構成する横梁Tに取り付ける(図2(b)及び図6(b)参照)。これによって、配線用とい構造体10が鉄道車両に床下Uに固定されるため、図14に示すように、配線用とい構造体10から補助治具80を取り除き、必要に応じて配線とい20の裏面側に、補助治具80を取り除いたことで空いた位置決め穴34(図3図4図8参照)などを利用して、高圧用電線支持部材76を取り付ける。このとき、2つの配線とい20に跨って、高圧用電線支持部材76を取り付けてもよい。更に、床下Uに必要な床下機器(図示省略)を設置し、配線用とい構造体10から延びる電線Wを床下機器などに接続する。ここまでの作業により、鉄道車両の床下Uにおける配線作業が終了となる。
【0064】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、図2及び図6に示すように、配線とい20及び複数の取付金50を含み、配線とい20は、大略板状を成しており、その一方の面に複数の電線W(図1及び図13参照)が載置され、それら複数の電線Wのメインの配線方向に延在している。また、配線とい20には、複数の通し穴30(図3図4図8参照)が設けられており、これらの通し穴30に複数の電線Wに巻かれた状態の結束手段を通すことで、配線とい20に載置された複数の電線Wを結束及び固定することができる。一方、複数の取付金50は、配線とい20を鉄道車両の床下U(図14参照)に取り付けるためのものであり、この際、配線とい20と鉄道車両の床下Uとの間に、配線とい20上に載置される複数の電線Wのための配線スペースが確保されるように、配線とい20が床下Uに対して取り付けられる。
【0065】
このため、配線とい20は、取付金50を介して鉄道車両の床下Uに取り付けられる前は、図11などに示される補助治具80上などに限定されることなく、例えば作業台や長尺板の上などで自由な配置に設置することができるため、鉄道車両の床下Uに対する実際の取り付け位置を再現するように設置することができる。このような状態で配線とい20上に複数の電線Wを配線することで、鉄道車両の実際の車体が作業場になくても、車体との位置関係を再現して、配線作業を行うことが可能となる。この際、複数の電線Wは結束手段を介して配線とい20に固定されるため、それらの位置を強固に保持することができる。これにより、鉄道車両の床下Uの配線作業の、実際の車体を必要としないアウトワーク化を実現することが可能となる。加えて、配線といが作業台上などに設置されていれば、配線とい20の上方側が空いた状態で配線作業を行うことができるため、車体の床下Uに配線とい20を取り付けた状態で配線作業を行う場合よりも、効率よく作業を進めることができる。これらによって、鉄道車両の車体の製造ラインの円滑化を図ることが可能となる。
【0066】
また、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、配線とい20に、補助治具80(図11参照)に対する位置決め手段32(図3図4図8参照)が設けられており、この補助治具80は、配線とい20を鉄道車両の床下Uに取り付ける際の取り付け位置に対応する模擬位置を提供するように構成されている。このため、配線とい20を、位置決め手段32を介して補助治具80に位置合わせすることで、鉄道車両の床下Uに対する実際の取り付け位置を再現した状態で、補助治具80に設置することができる(図12参照)。従って、図1に示すように、補助治具80に設置された状態の配線とい20上に複数の電線Wを配線することで、鉄道車両の実際の車体が作業場になくても、車体との位置関係を高精度で再現して、あたかも車体があるかのような環境で、配線作業を行うことが可能となる。しかも、複数の電線Wが結束手段を介して配線とい20に固定されることに加えて、配線とい20は補助治具80に対して位置決め手段32を介して位置が固定されるため、それらの位置を強固に保持することができる。
【0067】
更に、図12に示すように、補助治具80の上方側に配線とい20が設置される構成であれば、配線とい20の上方側が空いた状態での配線作業を、問題なく行うことができる。また、図1に示すような、補助治具80に設置されて配線された状態の配線とい20は、モジュールとして扱うことができ、鉄道車両の車体が作業場に到着したら、そのまま取付金50を介して車体の床下Uに取り付けることができる。そして、配線とい20が床下Uに取り付けられたら、配線とい20から補助治具80が取り外され、以降は、配線された複数の電線Wの床下機器への接続などが行われる。このような構成によって、例えば、配線作業のボリュームが少ない車体の余剰な作業時間を利用して、配線作業のボリュームが多い車体の配線作業を先に進める、といった対応を行うことができる。このため、車体の床下配線の作業時間を平坦化することができ、鉄道車両の車体の製造ラインを、より一層円滑化することが可能となる。
【0068】
また、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、図11に示すように、補助治具80に位置決めピン90が設けられると共に、図3図4、及び図8に示すように、その位置決めピン90に対応する位置決め穴34が、位置決め手段32として配線とい20に設けられたものである。これにより、補助治具80に対する配線とい20の位置精度を向上させることができ、換言すれば、鉄道車両の車体に対する配線とい20の取り付け位置の再現度を向上させることができる。更に、配線とい20に設けられた位置決め穴34は、配線とい20から補助治具80が取り外された後は、例えば、後付けの取付金具を固定するためのリベット又はボルトの穴や、高圧用電線支持部材76(図2(b)及び図14参照)を取り付けるための穴など、多目的に利用することができる。
【0069】
更に、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、図3図4、及び図8に示すように、配線とい20に折り曲げ部36が設けられたものであり、この折り曲げ部36は、配線とい20の、平面視で複数の電線Wのメインの配線方向と直交する幅方向の両側が、複数の電線Wが載置される面とは反対側へ向けて折り曲げられることで形成されている。このような折り曲げ部36を利用して、配線とい20上に配線された複数の電線Wから分岐する電線Wを、配線とい20における電線Wの載置面側を上方としたときの下方に案内することができると共に、結束手段などで固定することができるため、電線Wの分岐作業を効率よく行うことが可能となる。
【0070】
また、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、図2に示すように、配線とい20が複数の第1とい部材22により構成されたものであって、これら複数の第1とい部材22は、各々に補助治具80に対する位置決め手段32が設けられており、複数の電線Wのメインの配線方向に並べられる。すなわち、第1とい部材22の各々を、鉄道車両の床下Uに対する実際の取り付け位置が再現されるように、位置決め手段32を介して補助治具80に設置することができる。
【0071】
そして、複数の取付金50(50A)は、配線とい20を構成する複数の第1とい部材22を鉄道車両の床下Uに取り付ける役割に加えて、上記のように並べられた複数の第1とい部材22同士を接続する役割を担うようになっている。このため、複数の取付金50Aは、少なくとも第1とい部材22同士が隣接する位置の各々において、隣接する第1とい部材22の双方に跨って双方に対して取り付けられる。このとき、複数の取付金50Aの各々は、リベット乃至ボルトにより、隣接する第1とい部材22の双方に取り付けられる。これにより、配線用とい構造体12の全体を、溶接作業を行うことなく組み立てることができ、溶接作業が不要な溶接レスを実現することができる。従って、限られた溶接作業者を確保する必要がなく、また、品質管理が困難な溶接箇所がなくなるため、多くの溶接作業を要した従来のとい構造と比較して、品質を向上させることが可能となる。
【0072】
更に、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、上記のような組み立ての前は、複数の第1とい部材22の各々と複数の取付金50Aの各々とに、分割した状態で取り扱うことができる。このため、製造や輸送が容易になり、長尺物から組み立てていた従来のとい構造と比較して、コストを削減することができる。しかも、各鉄道車両に必要とされる配線とい20の長さに応じて、利用する第1とい部材22の数量を調整すればよいため、仕様が異なる様々な鉄道車両に柔軟に対応することができる。
【0073】
加えて、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、図5に示すように、複数の取付金50Aの各々が大略コの字状を成しており、コの字状の二股部分に相当する二股部52と、それら二股部52の間で二股部52を接続する接続部54とを有している。そして、二股部52の先端部52aが、上述したように第1とい部材22に取り付けられ、接続部54が鉄道車両の床下Uの横梁Tに取り付けられる(図2(b)参照)。このため、取付金50Aのコの字状の内側部分に、配線とい20(第1とい部材22)と鉄道車両の床下Uとの間の配線スペースが確保され、配線とい20上に配線される複数の電線Wが取付金50Aの各々により囲われる態様となる(図1参照)。従って、複数の取付金50Aは、複数の電線Wが配線とい20上に配線された後に配線とい20に取り付けられることとなり、図13に示すように、配線作業時には補助治具80に設置された複数の第1とい部材22に取付金50Aが取り付けられていない。このため、取付金50Aが配線作業の妨げになったり、取付金50Aに起因して電線Wが破損しないように配慮する必要があったりすることがなく、効率よく配線作業を行うことができ、作業性及び品質を向上させることが可能となる。
【0074】
また、本発明の第1実施形態に係る配線用とい構造体12は、図2に示すように、電線支持部材74を更に含み、この電線支持部材74は、2つ以上の取付金50Aに跨るようにして、これらの取付金50Aの二股部52の、コの字状における外側に相当する部分に、リベット乃至ボルトにより取り付けられる。ここで、大略コの字状の取付金50Aは、上述したように配線とい20上に配線される複数の電線Wを囲うため、取付金50Aが取り付けられて鉄道車両の床下Uに取り付けられた配線とい20には、後から追加の電線を配線することが困難である。そこで、上記のような電線支持部材74を取付金50Aの外側に取り付けることで、追加の電線を電線支持部材74に沿って配線することができ、追加の配線作業を問題なく行うことができる。しかも、電線支持部材74はリベット乃至ボルトにより取り付けられるため、溶接レスを維持したまま、追加の配線に対応することができる。
【0075】
一方、本発明の第2及び第3実施形態に係る配線用とい構造体14及び16は、図6に示すように、配線とい20が少なくとも1つの第2とい部材24により構成されるものである。配線とい20に用いられる第2とい部材24は、例えば図8に示すような、電線Wのメインの配線方向に互いに異なる所定長を有する少なくとも2種類の第2とい部材24(24A、24B)から選定される。すなわち、第2とい部材24として、長さが異なる2種類以上のものが用意され、各鉄道車両に必要な配線とい20の長さに応じて、配線とい20を構成する適切な長さを有する第2とい部材24が選定される。このとき、必要な配線とい20の長さや配線ルートなどに応じて、種類が異なる或いは種類が同じ2つ以上の第2とい部材24を選定してもよく、それらを電線Wの配線方向に並べて或いは離れて使用してもよい。これにより、仕様が異なる様々な鉄道車両に柔軟に対応することができる。
【0076】
また、それ単体で配線とい20を構成することもある第2とい部材24は、当然のことながら、結束手段用の通し穴30や補助治具80に対する位置決め手段32が設けられ、配線とい20と同様に大略板状を成している。更に、第2とい部材24には、複数の取付金50の各々が挿通される挿通孔40が設けられ、これらの挿通孔40は、平面視で電線Wのメインの配線方向と直交する幅方向の中央近傍における、配線方向に互いに間隔を空けた複数の位置に穿設される。そして、複数の取付金50(50B、50C)の各々は、図9及び図10に示すように、とい取付部66と立設部68と床下取付部70とを含み、とい取付部66は、図7に示すように、第2とい部材24の、複数の電線Wが載置される載置面24aとは反対側の面に取り付けられる。立設部68は、第2とい部材24の載置面24aと反対側にあるとい取付部66から連続して形成され、第2とい部材24に設けられた挿通孔40を通って、第2とい部材24の載置面24a側に立設する。床下取付部70は、立設部68から連続して形成され、電線Wのメインの配線方向と直交する幅方向に延在して、鉄道車両の床下Uの横梁Tに取り付けられる(図6(b)参照)。
【0077】
上記のような構成の取付金50B及び50Cは、配線とい20として使用される第2とい部材24が選定された後、選定された第2とい部材24に取り付けられ、取付金50B及び50Cが取り付けられると共に位置決め手段32を介して補助治具80に設置された状態の第2とい部材24に対して、配線作業が行われる(図13参照)。すなわち、第2とい部材24に取付金50B及び50Cが取り付けられていても、第2とい部材24の載置面24a側では、幅方向の中央近傍で立設する立設部68を挟んだ幅方向の両側が空いているため、取付金50B及び50Cが配線作業の妨げになることはなく、作業性及び品質を向上させることができる。しかも、配線作業後の配線とい20が、取付金50B及び50Cを介して鉄道車両の床下Uに取り付けられた後であっても、配線とい20の幅方向の両側は空いているため、配線とい20上に追加の電線を容易に配線することができる。また、本発明の第2及び第3実施形態に係る配線用とい構造体14及び16は、少なくとも1つの第2とい部材24及び複数の取付金50B及び50Cで構成されるため、部品点数が削減されており、更に第2とい部材24の長さが抑制されることで、製造や輸送が容易になり、長尺物から組み立てていた従来のとい構造と比較して、コストを削減することが可能となる。
【0078】
また、本発明の第2実施形態に係る配線用とい構造体14は、複数の取付金50B及び50Cの各々が第2とい部材24に取り付けられる際に、各取付金50B及び50Cのとい取付部66がリベットによって第2とい部材24に取り付けられるものである。これにより、配線用とい構造体14の全体を、溶接作業を行うことなく組み立てることができ、溶接作業が不要な溶接レスを実現することができる。従って、限られた溶接作業者を確保する必要がなく、また、品質管理が困難な溶接箇所がなくなるため、多くの溶接作業を要した従来のとい構造と比較して、品質を向上させることが可能となる。
【0079】
これに対し、本発明の第3実施形態に係る配線用とい構造体16は、複数の取付金50B及び50Cの各々が第2とい部材24に取り付けられる際に、各取付金50B及び50Cのとい取付部66が溶接によって第2とい部材24に取り付けられるものである。これにより、配線用とい構造体16の全体のうち、取付金50B及び50Cのみを溶接で取り付けるため、従来のとい構造と比較して、品質管理が困難な溶接箇所を削減することができ、品質を向上させることができる。
上記のように、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、溶接レスを実現した第1実施形態に係る配線用とい構造体12と、溶接レス及び部品点数削減を実現した第2実施形態に係る配線用とい構造体14と、溶接箇所削減及び部品点数削減を実現した第3実施形態に係る配線用とい構造体16とから、配線対象の鉄道車両の状況や仕様に応じて、適切な構成を選択することができる。
【0080】
なお、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、鉄道車両の車体の製造時に有用なだけでなく、長年使用される車体の床下Uのリニューアル工事や更新工事の際の作業性や利便性の向上、電線Wを引き変える際の手間の軽減、この手間の軽減によって鉄道車両を留め置きする期間を短縮することによる鉄道事業者の経費メリット、といったことを実現するための手段の一部になり得るものである。
ここで、本発明の実施の形態に係る配線用とい構造体10は、上述したような構成に限定されるものではなく、様々な構成を取り得るものである。例えば、第1とい部材22、第2とい部材24、取付金50(50A、50B、50C)、及び電線支持部材74(74A、74B)は、各々の役割を果たし得る範囲で、形状、大きさ、及び数量が、図1図10の実施形態と異なっていてもよい。更に、折り曲げ部36は、配線とい20の電線Wが載置される面とは反対側に限らず、電線Wが載置される面側に向けて折り曲げられてもよい。加えて、折り曲げ部36は、何れの方向に折り曲げられる場合であっても、電線Wが載置される面に対して直角、或いは直角と異なる角度で折り曲げられてよい。
【0081】
また、配線用とい構造体10に利用する補助治具80も、図11に示したような構成に限定されるものではなく、配線対象の鉄道車両などに応じて、任意の構成を取り得るものである。例えば、補助治具80のフレーム部82は、複数部位に分割可能に構成されていてもよい。このような構成によれば、取り付け位置に対応する模擬位置を提供する状態に復帰できる範囲で、既に電線Wが配線されている配線用とい構造体10が設置された状態の補助治具80を折り曲げることができ、モジュールとしての配線用とい構造体10の収納スペースを削減することができる。また、このような折り曲げ時や、配線用とい構造体10の床下Uへの取り付け時などに、補助治具80のキャスターを備えた台車84を利用することで、配線用とい構造体10の移動を容易に行うことができる。
他方、本発明の実施の形態に係る電線の配線方法は、上述したような配線用とい構造体10(12、14、16)を利用して実行されることで、配線用とい構造体10(12、14、16)と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0082】
10、12、14、16:配線用とい構造体、20:配線とい、22:第1とい部材、24(24A、24B):第2とい部材、24a:載置面、30:通し穴、32:位置決め手段、34:位置決め穴、36:折り曲げ部、40:挿通孔、50(50A、50B、50C):取付金、52:二股部、54:接続部、66:とい取付部、68:立設部、70:床下取付部、74(74A、74B):電線支持部材、80:補助治具、90:位置決めピン、W:電線、U:鉄道車両の床下
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14