(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110289
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240807BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240807BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20240807BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20240807BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20240807BHJP
【FI】
A61B5/02 310F
A61B5/022 300F
A61B5/1455
A61B5/256 220
A61B5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014807
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】東狐 義秀
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
(72)【発明者】
【氏名】岡西 孝晃
(72)【発明者】
【氏名】阿部 康輔
(72)【発明者】
【氏名】宗平 脩平
(72)【発明者】
【氏名】久保 大
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C127
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA16
4C017AA19
4C017AB02
4C017AC04
4C017AC16
4C017AC28
4C017BD04
4C017BD05
4C017EE01
4C017EE15
4C017FF15
4C017FF17
4C038KK01
4C038KL07
4C038VB12
4C038VC02
4C127AA02
4C127BB03
4C127LL13
(57)【要約】
【課題】人体の腕部に装着するタイプの生体情報測定装置において、多機能化及び小型化を両立可能にする技術を提供する。
【解決手段】人体の腕部に装着して用いられる生体情報測定装置であって、装着状態において前記腕部に接触する側に位置する底部、及び前記接触面とは反対側に位置する表面を含む本体筐体と、前記本体筐体内部に収容される第1基板及び第2基板を有する光電センサ基板セットを有しており、前記本体筐体には、前記底部において少なくとも一部が透光性を有するように形成された光電センサ収容部が設けられており、前記光電センサ収容部には少なくとも前記第1基板が収容される、生体情報測定装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の腕部に装着して用いられる生体情報測定装置であって、
装着状態において前記腕部に接触する側に位置する底部、及び前記接触面とは反対側に位置する表面を含む本体筐体と、
前記本体筐体内部に収容され、発光素子及び受光素子を備える第1基板、及び前記第1基板と電気的に接続され前記第1基板よりも前記表面側に位置する第2基板を有する光電センサ基板セットと
を有しており、
前記底部において、少なくとも一部に透光性を有する箇所が設けられており、
前記本体筐体内部において、前記表面から前記腕部へ向かう方向である第1方向から見て前記透光性を有する箇所を含む領域には光電センサ収容部が設けられており、
前記光電センサ収容部には少なくとも前記第1基板が収容されるとともに、前記発光素子及び前記受光素子は前記第1方向から見て前記透光性を有する箇所に位置するように配置されている、
ことを特徴とする、生体情報測定装置。
【請求項2】
前記第2基板は両面実装基板であり、少なくとも前記発光素子の発光及び前記受光素子の受光に係る信号処理のための回路を備えている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記人体の血圧を測定するためのカフを含む血圧測定手段を有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記カフと前記本体を接合する接合部が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記底部において、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域であってかつ前記接合部を含む領域に、前記カフを前記本体筐体に固定するカフカバーが設けられている、
ことを特徴とする、請求項3に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記本体筐体を前記腕部に装着するためのベルトを有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記ベルトを前記本体筐体に固定するための固定部が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記人体の体温を測定するための温度センサを含む体温測定手段を有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記温度センサが収容されるとともに前記体温を前記温度センサに伝達する温度センサ収容部が設けられている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
非接触給電の方式により電力の供給を受けるための受電部を有し、
前記光電センサ収容部は前記第1方向から見て前記本体筐体の中央部に設けられおり、
前記受電部は、前記本体筐体内部の前記底部側において前記光電センサ基板セットに近接して配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記光電センサ収容部は装着状態において前記腕部に向かって突出するように形成され
ている、
ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア関連の技術分野に属し、特に生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を、個人が自ら日常的に測定機器によって測定し、当該測定結果を健康管理に活用することが一般的に行われるようになってきている。このことから、携帯性を重視した機器の需要が高まっており、多くの携帯型測定装置が提案されている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
特許文献1には、発光部及び受光部を備える光電脈波(PPG:Photo Plethysmography)センサにより装着部の血管の血流から脈波を検出し、これに基づいて脈拍算出する腕時計型の生体情報測定装置が開示されている。具体的には、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)と受光素子であるPD(Photo Diode)を、人体との接触面側に向けて突出した曲面を有する透光部内に配置することで、受光素子が受光する反射光の強度を向上させることができる旨が記載されている。
【0004】
PPGセンサは、血管の近くに配置されるほど(即ち、人体との接触度が高いほど)センサが得る脈波波形の品質を向上させることができる。このため、特許文献1のように、PPGセンサを人体との接触面側に設け、かつできるだけ人体との接触度を高めるようにすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ウェアラブル端末においては、複数の生体情報を測定できるようにすること(多機能化)と、できる限り装着性を良くするために小型化・軽量化することの両立が求められている。そして、特許文献1に記載のような腕時計型の生体情報測定装置において、多機能化のために様々なセンサや構造物を設置しようとすると、人体と接触する側(即ち上記の例ではPPGセンサが配置されるのと同じ側)に配置することが望ましいといった場合も多い。
【0007】
しかしながら、PPGセンサのための回路基板を、装置筐体内において人体との接触面側に配置すると、多機能化のための他の生体情報センサやその他の構成を人体との接触面側に設けることが難しくなってしまう。仮に、PPGセンサのための回路基板と、他の構成を人体との接触面側に配置した場合には装置が大型化し、装着性が悪くなってしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑み、人体の腕部に装着するタイプの生体情報測定装置において、多機能化及び小型化を両立可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る生体情報測定装置は以下の構成を採用する。
即ち、
人体の腕部に装着して用いられる生体情報測定装置であって、
装着状態において前記腕部に接触する側に位置する底部、及び前記接触面とは反対側に位置する表面を含む本体筐体と、
前記本体筐体内部に収容され、発光素子及び受光素子を備える第1基板、及び前記第1基板と電気的に接続され前記第1基板よりも前記表面側に配置される第2基板を有する光電センサ基板セットと、を有しており、
前記底部において、少なくとも一部に透光性を有する箇所が設けられており、
前記本体筐体内部において、前記表面から前記腕部に向かう方向である第1方向から見て前記透光性を有する箇所を含む領域には光電センサ収容部が設けられており、
前記光電センサ収容部には少なくとも前記第1基板が収容されるとともに、前記発光素子及び前記受光素子は、前記第1方向から見て前記透光性を有する箇所に位置するように配置されている、
ことを特徴とする、生体情報測定装置である。
【0010】
上記のような構成によれば、光電センサのための基板を2枚に分けたうえで、これを生体情報測定装置の本体の厚み方向に配置することができるため、光電センサのための基板が設置される領域の面積を平面視において低減することができる。これにより、生体情報測定装置の本体筐体の平面視のサイズを小型化することができる。或いは、本体筐体の平面視のサイズを大きくすることなく、本体筐体と人体との接触面側に他の生体センサ等の様々な構成物を設けて、装置の多機能化を図ることができる。
【0011】
また、前記第2基板は両面実装基板であり、少なくとも前記発光素子の発光及び前記受光素子の受光に係る信号処理のための回路を備えていてもよい。
【0012】
また、前記生体情報測定装置は、前記人体の血圧を測定するためのカフを含む血圧測定手段をさらに有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記カフと前記本体を接合する接合部が設けられていてもよい。
【0013】
なお、上記の態様においては、本体筐体内にポンプ、弁、流路などのカフに空気を供給するための機構を備え、カフは装置の装着のための構成と一体的に人体の腕部に巻き付けられるように構成されていてもよい。このような構成であれば、装置を大型化することなく、オシロメトリック法による血圧測定と、光電脈波測定とを行うことが可能なウェアラブル型の生体情報測定装置を提供することができる。また、前記底部において、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域であってかつ前記接合部を含む領域に、前記カフを前記本体筐体に固定するカフカバーが設けられていてもよい。
【0014】
また、前記生体情報測定装置は、前記本体筐体を前記腕部に装着するためのベルトをさらに有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記ベルトを前記本体筐体に固定するための固定部が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成にすることで、腕時計型の生体情報測定装置において、本体を腕部に装着するためのベルトを固定する部位を、本体筐体の側周面側でなく底部側にも配置することが可能になるため、装置のデザインの自由度を高めることができる。
【0016】
また、前記生体情報測定装置は、前記人体の体温を測定するための温度センサを含む体温測定手段をさらに有し、
前記底部の、前記第1方向から見て前記光電センサ収容部が設けられていない領域の少なくとも一部において、前記温度センサが収容されるとともに前記体温を前記温度センサに伝達する温度センサ収容部が設けられていてもよい。
【0017】
このような構成であれば、装置を大型化することなく、光電脈波測定に加えて、体温の測定も行うことが可能なウェアラブル型の生体情報測定装置を提供することができる。
【0018】
また、前記生体情報測定装置は、非接触給電の方式により電力の供給を受けるための受電部を有し、
前記光電センサ収容部は前記第1方向から見て前記本体筐体の中央部に設けられおり、
前記受電部は、前記本体筐体内部の前記底部側において前記光電センサ基板セットに近接して配置されていてもよい。
【0019】
近年、非接触による給電方式が普及してきており、その多くは送電部が設けられるパッド上に、受電側装置を設置して給電を行う構成であるため、受電側の装置においては受電部を装置底部側に設けることを要する。この点、上記のような構成であれば、本体筐体を前記底部側が下になるようにして送電側のパッド上に設置することができるため、非接触給電方式を採用するのに好適である。
【0020】
また、前記光電センサ収容部は装着状態において前記腕部に向かって突出するように形成されていてもよい。上述のように、PPGセンサは人体との接触度が高いほどセンサが得る脈波波形の品質を向上させることができるため、このような形状は好適である。
【0021】
なお、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人体の腕部に装着するタイプの生体情報測定装置において、多機能化及び小型化を両立可能にする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る生体情報測定装置の概略を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る生体情報測定装置の概略を示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る生体情報測定装置を手首に装着した際の配置関係を示す説明図である
【
図4】
図4は、実施形態に係る生体情報測定装置を側面から見た際の概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る生体情報測定装置の光電センサ収容部近傍の概略的案断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る生体情報測定装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第1の変形例に係る説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第2の変形例に係る説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第3の変形例に係る説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない
限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0025】
(装置構成)
図1は、本実施形態に係る生体情報測定装置1の構成の概略を示す外観斜視図である。また、
図2は、本実施形態に係る生体情報測定装置1の構成の概略を示す側面図である。
図1、
図2に示すように、生体情報測定装置1は概略、本体部10と、ベルト部20を有する腕時計型のウェアラブル装置であり、人体の手首Tに装着した状態で脈波(脈拍)、血圧値、心電波形などの生体情報を測定することができる。
図3に、本実施形態に係る生体情報測定装置1を手首Tに装着した際の手首と生体情報測定装置1の各構成との配置関係を示す。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本体部10は、本体筐体11及び後述するカフカバー16を含んで構成される。本体筐体11には、ディスプレイ12(例えば有機ELディスプレイなど)、操作ボタン13a及び13b、ラグ14などが設けられるとともに、光電センサ用の基板が収容される光電センサ収容部15が設けられている。なお、本実施形態においてはディスプレイ12が形成される側を本体筐体11の表面とし、光電センサ収容部15が形成される側を本体筐体11の底部とする。また、以下では本体筐体11の表面の側を上側、本体筐体11の底部側を下側と表現することがある。なお、本実施形態において、操作ボタン13a及び13bは導体で形成されており、心電波形測定のための電極としても機能する。
【0027】
光電センサ収容部15は平面視で本体筐体11の中央部分の領域に位置し、底部において透光性を有する樹脂カバー(
図1、2では図示せず)で覆われるとともに、
図2及び
図3に示すように、装着状態においてカフカバー16よりも手首T側に突出するように形成されている。
【0028】
ベルト部20は、生体情報測定装置1を手首Tに固定するためのベルト21及び面ファスナ25の他、手首Tにある動脈を圧迫するための第1押圧カフ22及び第2押圧カフ23、圧脈波を検出するためのセンシングカフ24を含んで構成される。なお、各カフ22、23、24と本体筐体11との接続部分はカフカバー16によって覆われている。カフカバー16は、各カフ22、23、24と本体筐体11との接続部分を保護するとともに、各カフ22、23、24を本体筐体11に固定する機能も有している。
【0029】
次に、
図4及び
図5に基づいて、本体筐体11の内部構成について説明する。
図4は本体筐体11を側面から見た際の概略的な断面図であり、
図5は
図4における光電センサ収容部15付近を拡大した図である。
図4に示すように、本体筐体11内部には、充電池191、制御基板17、圧電ポンプ131、弁132、圧力センサ133、流路板134などが収容されている。また、本体筐体11の底部近傍において凸状に形成された光電センサ収容部15が設けられており、光電センサ収容部15には、第1基板101及び第2基板102からなる光電センサ基板セット100が収容されている。
【0030】
本体筐体11の底部において、平面視で光電センサ収容部15が設けられていない領域、の一部には、本体筐体11(より具体的には筐体内の流路板134)と第1押圧カフ22及びセンシングカフ24とを接続する第1接続部135と、同じく本体筐体11と第2押圧カフ23とを接続する第2接続部136が設けられている。そして、第1接続部135及び第2接続部136は、本体底部において光電センサ収容部15の外周に相当する領域に設けられるカフカバー16によって覆われた構造になっている。また、
図5において示すように、光電センサ収容部15に位置する箇所の底部は透明な樹脂製の透光カバー151で覆われた構成となっている。
【0031】
充電池191は、例えばリチウムイオン電池などの汎用の二次電池を採用することができ、図示しない充電端子を介して電力の供給を受けることで、繰り返し充電することができる。また、制御基板17は、図示しないCPUなどのプロセッサ、RAMなどのメモリなどが実装されており、生体情報測定装置1全体の制御を司る。また、圧電ポンプ131、弁132、圧力センサ133、流路板134、第1押圧カフ22、第2押圧カフ23、センシングカフ24は、血圧測定に係る構成である。
【0032】
次に、光電センサ収容部15及び光電センサ基板セット100について説明する。
図5に示すように、光電センサ収容部15は、本体筐体11の底部から人体と接触する側に向けて突出する空間となっている。そして、該空間内には、第1基板101と第2基板が上下二段に積層された光電センサ基板セット100が収容されている。なお、第1基板101と第2基板は、導電性のコンタクトピン103で接続されており、二枚一組で機能する。
【0033】
第1基板101には基板の下側の面に、第1LED111、第2LED113の2つの発光素子と、第1フォトダイオード(PD)112、第2PD121の2つの受光素子が設けられている。なお、本実施形態においては、第1LED111は緑色の照射光を照射し、第2LED113は緑色の他に、赤色及び/又は赤外線を照射する。また、第1LED111、第2LED113、第1PD112、第2PD121のそれぞれを隔離するように、隔離壁152が設けられている。
【0034】
一方、第2基板102には、図示しないが、コンデンサ、アンプ回路、A/D(Analog-to-Digital)変換回路などが実装されている。なお、第2基板102は両面実装基板であってもよい。このように、光電センサ基板セット100を、第1基板101と第2基板102とからなる上下二段の積層構造とすることで、1枚の基板に全ての部品を実装する場合に比べて、基板を平面視した際の面積を大きく低減することが可能になる。
【0035】
(装置の機能構成)
次に、生体情報測定装置1の機能構成について説明する。
図6は、生体情報測定装置1の機能構成を示すブロック図である。
図6に示すように、本実施形態に係る生体情報測定装置1は、脈波測定部110、血中酸素飽和度(SpO2)測定部120、血圧測定部130、心電波形測定部140、表示部150、操作部160、通信部170、記憶部180、電源部190、の各機能部を有している。これらの機能部は、制御基板17のプロセッサがメモリからプログラムを読み出して実行することによって、生体情報測定装置1の各構成を制御することによって実現される。
【0036】
脈波測定部110は、第1LED111、第2LED113、第1PD112を含んで構成され、いわゆる光電脈波法で脈波を測定し、脈拍を算出する。具体的には、第1LED111、第2LED113から緑色光を照射させて生体内で反射した反射光を第1PD112で受光することにより、心臓の拍動に伴って変化する血流量(血管の容量変化)を検出して脈波を測定する。
【0037】
SpO2測定部120は、第2LED113及び第2PD114を含んで構成され、第2LED113から照射された赤色光或いは赤外線の反射光を第2PD114で受光することにより、反射光の強度から血中酸素飽和度を測定する。
【0038】
血圧測定部130は、圧電ポンプ131、弁132、圧力センサ133、流路板134、第1押圧カフ22、第2押圧カフ23、センシングカフ24を含んで構成され、いわゆるオシロメトリック法により血圧を測定する。オシロメトリック法による血圧測定につい
ては周知の技術であるため詳細な説明は省略する。
【0039】
心電波形測定部140は、操作ボタン13a、13b、本体筐体11の底部に設けられる底部側電極(図示せず)、及び心電波形計測回路(図示せず)を含んで構成され、いわゆるI誘導の方式で、心電波形を測定する。具体的には、装着状態において一方の腕の手首Tに接触する底部側電極と、電極として機能する操作ボタン13a又は13bに触れた他方の手の指との電位差に基づいて、心電波形を測定する。
【0040】
表示部150は、ディスプレイ12を含んで構成され、生体情報の測定結果やメニュー画面などの各種の情報を表示する。操作部160は、操作ボタン13a及び13bを含んで構成され、これらを介してユーザーの入力操作を受け付ける。通信部170は、無線通信用のアンテナ(図示せず)を含み、例えばBLE通信により、情報処理端末などの他の電子機器と情報通信を行う。なお、有線通信のための端子を備えていてもよい。
【0041】
記憶部180は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置(図示せず)を含んで構成され、アプリケーションプログラム、測定された生体情報などの各種の情報を記憶する。また、RAMに加えて、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を備えていてもよい。電源部190は、充電池191を含んで構成され、生体情報測定装置1を構成する各部への電力供給源として機能する。
【0042】
(本実施形態の効果)
本実施形態の生体情報測定装置1では、光電センサによって脈波や血中酸素飽和度を測定可能である。そして、上述のように、光電センサに係る基板を、第1基板101及び第2基板102からなる上下二段構成の光電センサ基板セット100としたことで、光電センサに係る基板の面積を平面視において低減した。このため、装置全体のサイズを大型化することなく、本体筐体11の底部にオシロメトリック法による血圧測定のための構成、具体的にはベルト部20の各カフとの接続部、及びカフカバー16を配置することが可能となっている。
【0043】
<変形例>
なお、上記実施形態では、本体筐体11の底部において、光電センサ収容部15の外周に相当する領域には、カフとの接続部及びそれを覆うカフカバー16が配置されていたが、本発明の実施形態はこのような態様に限定されない。例えば、血圧測定をオシロメトリック法ではなく、光電センサによって取得される容積脈波の情報を用いた血圧推定によって行う方法で行う場合には、カフやその接続部、カフカバー16などの構成を省略することができる。あるいは、そもそも血圧値を測定するための機能を持たない装置に本発明を適用することも可能である。以下では、本体筐体11の光電センサ収容部15の外周に相当する領域の少なくとも一部にカフカバー16以外の構成要素を配置する変形例について説明する。なお、以下の説明において、実施形態1の生体情報測定装置1と共通する構成要素については同一の符号を用い、詳細な説明を省略する。
【0044】
(変形例1)
図7は、第1の変形例を示す説明図であり、本変形例に係る本体筐体11の光電センサ収容部15近傍の断面を模式的に示している。
図7に示すように、本変形例においては、(底部の法線方向から見て)本体筐体11の光電センサ収容部15の外側において、ベルト221を着脱可能に固定するベルト連結部222が設けられている。即ち、本変形例に係るベルト221は、ラグではなくベルト連結部222に対して固定される構造となっている。ベルト221とベルト連結部222の固定は、例えば、ベルト連結部222としてのメス部にベルト221側のオス部を嵌合するような構造とすることができる。
【0045】
光電センサに係る基板を上下二段構成の光電センサ基板セット100としたことで、光電センサ収容部15の空間を小さくすることができるため、本変形例のように本体筐体11の底部のスペースにベルト連結部222を設けることができる。これにより、装置の外観をスマートなものにすることができるとともに、ユーザーの嗜好やベルトの劣化などの事情に応じて、適宜ベルトを交換することが可能になる。
【0046】
(変形例2)
図8は、第2の変形例を示す説明図であり、本変形例に係る本体筐体11の光電センサ収容部15近傍の断面を模式的に示している。本変形例は、ワイヤレス給電の方式により充電池191に充電を行う構成を採用した装置の例である。ワイヤレス給電について周知の技術であるので、説明は省略する。本変形例では、
図8に示すように、本体筐体11の内部において、光電センサ収容部15の近傍にワイヤレス給電用の受電コイル192が配置された構成となっている。
【0047】
光電センサに係る基板を上下二段構成の光電センサ基板セット100としたことで、光電センサ収容部15の空間を小さくすることができるため、本変形例のように、装置底部近傍に受電コイル192を配置することが可能になる。このため、例えば図示しない送電パッドの上に本体筐体11を底部が下側に位置するように載置することで非接触による給電が可能になり、充電端子を介した感電のリスクを無くすことができる。
【0048】
(変形例3)
図9は、第3の変形例を示す説明図であり本変形例に係る本体筐体11の光電センサ収容部15近傍の断面を模式的に示している。本変形例は、オシロメトリック法による血圧測定手段を有しない代わりに、ユーザーの皮膚温度を測定する機能を設けた装置の例である。
図9に示すように、本変形例においては、本体筐体11の底部の光電センサ収容部15の外周に位置する領域の一部に、温度センサ(例えばサーミスタ)301を収容するステンレスキャップ302を配置した構成となっている。装置を装着した際には、ステンレスキャップ302がユーザーの皮膚表面に接触することで皮膚の温度がサーミスタ301に伝達され、リード線303を介して当該温度を示す信号が第2基板102に伝達される。
【0049】
光電センサに係る基板を上下二段構成の光電センサ基板セット100としたことで、光電センサ収容部15の空間を小さくすることができるため、本変形例のように、装置の底部にユーザーの皮膚に接触させる他のセンサを配置することが可能になる。
【0050】
<その他>
上記の各例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。例えば、生体情報測定装置は光電センサを備えていればよく、生体情報を取得するためのその他の機能・構成は必ずしも必須ではない。具体的には例えば、上記の各例において、心電波形を測定するための機能及び構成を備えていなくても構わない。
【0051】
また、上記の各例において、光電センサ収容部15は、本体筐体11底部において、人体側に突出する構成であったが、必ずしもこのような構成である必要はなく、本体筐体11の底部は光電センサ収容部15の領域を含め、面一の構造となっていてもよい。また、平面視において光電センサ収容部15が配置される位置も、必ずしも底部中央部近傍である必要もない。さらに、光電センサ収容部15には光電センサ基板セット100の第1基板101のみが収容されており、第2基板102については、一部又は全部が光電センサ収容部15に収容されていない状態で配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1・・・生体情報測定装置
10・・・本体部
11・・・本体筐体
12・・・ディスプレイ
13a、13b・・・操作ボタン
14・・・ラグ
15・・・光電センサ収容部
16・・・カフカバー
17・・・制御基板
20・・・ベルト部
21、221・・・ベルト
22・・・第1押圧カフ
23・・・第2押圧カフ
24・・・センシングカフ
25・・・面ファスナ
100・・・光電センサ基板セット
101・・・第1基板
102・・・第2基板
103・・・コンタクトピン
111・・・第1LED
112・・・第1PD
113・・・第2LED
121・・・第2PD
131・・・圧電ポンプ
132・・・弁
133・・・圧力センサ
134・・・流路板
135・・・第1接続部
136・・・第2接続部
151・・・透光カバー
152・・・隔離壁
191・・・充電池
192・・・受電コイル
222・・・ベルト連結部
301・・・温度センサ
302・・・ステンレスキャップ
303・・・リード線
T・・・手首