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特開2024-110293電気コネクタ装置、リセプタクルコネクタ及びプラグコネクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110293
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電気コネクタ装置、リセプタクルコネクタ及びプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6582 20110101AFI20240807BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240807BHJP
【FI】
H01R13/6582
H01R12/71
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014813
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】谷川 智彦
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FB02
5E021FB11
5E021FB14
5E021FC19
5E021FC21
5E021LA09
5E021LA15
5E223AB59
5E223BA01
5E223BA06
5E223BA07
5E223BB01
5E223CC09
5E223CD01
5E223CD02
5E223DA33
5E223DB08
5E223EA02
5E223EA13
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB25
5E223EB32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンタクトの基板接続部で電磁遮蔽する電気コネクタ装置を提供する。
【解決手段】電気コネクタ装置1は、基板5実装の第1コネクタ2と、基板接地した導電性部材3と、電気ケーブル6に接続して第1コネクタとの嵌合で電気ケーブルと基板を電気接続する第2コネクタ4を備え。第1コネクタは、基板と電気接続する基板接続部21cを有し、第1と第2コネクタの嵌合で第2コネクタを介し電気ケーブルと電気接続する導電性リセプタクル端子21と、基板接地のリセプタクル端子のうち、幾つかのリセプタクル端子を覆う導電性リセプタクルシェル22を備え。導電性部材は、基板実装面5aの、第2コネクタに対向する領域をリセプタクルシェルと実装面に沿って囲み、第2コネクタは嵌合で、リセプタクルシェルと導電性部材と接触し、リセプタクル端子をリセプタクルシェルと導電性部材と共同で覆う配置の導電性第1シェル43。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された第1コネクタと、
前記基板に接地された導電性部材と、
信号線に接続されるとともに前記第1コネクタと嵌合すると、前記信号線と前記基板とを電気的に接続する第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタは、
前記基板と電気的に接続する基板接続部を有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合すると前記第2コネクタを介して前記信号線と電気的に接続する導電性の複数のリセプタクル端子と、
前記基板に接地されるとともに複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆う導電性のリセプタクルシェルと、を備え、
前記導電性部材は、
前記基板の実装面のうち、前記第1コネクタと嵌合する前記第2コネクタに対向する対向領域を前記リセプタクルシェルと共同で前記実装面に沿って囲むように配置され、
前記第2コネクタは、
前記第1コネクタと嵌合すると、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と接触し、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と共同で前記リセプタクル端子を覆うよう配置される導電性のプラグシェルを備える、
電気コネクタ装置。
【請求項2】
前記導電性部材は、前記リセプタクルシェルと別体に設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項3】
前記導電性部材には、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合すると、前記プラグシェルと接触する接触突片が設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項4】
前記リセプタクル端子として、
前記対向領域のうちの第1領域に前記基板接続部が配列された第1リセプタクル端子と、
前記対向領域のうちの前記第1領域とは異なる第2領域に前記基板接続部が配列された第2リセプタクル端子と、を備え、
前記リセプタクルシェルが、前記第1領域寄りに配置され、
前記導電性部材が、前記第2領域寄りに配置されている、
請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項5】
前記第2領域に配列された前記第2リセプタクル端子の前記基板接続部は、前記リセプタクルシェルから前記導電性部材に向かって張り出している、
請求項4に記載の電気コネクタ装置。
【請求項6】
前記リセプタクルシェルには、第1係合部が設けられ、
前記プラグシェルには、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合したときに前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられている、
請求項1に記載の電気コネクタ装置。
【請求項7】
複数の信号線に一対一で接続された導電性の複数のプラグ端子と、
複数の前記プラグ端子のうち、少なくとも幾つかの前記プラグ端子を覆う導電性のプラグシェルと、
を備えるプラグコネクタと嵌合するリセプタクルコネクタであって、
基板と電気的に接続する基板接続部を有する導電性の複数のリセプタクル端子と、
複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆うとともに前記基板に接地される導電性のリセプタクルシェルと、
前記基板に接地され、前記基板の実装面のうち、前記リセプタクルコネクタと嵌合する前記プラグコネクタに対向する対向領域を前記リセプタクルシェルと共同で前記実装面に沿って囲むように配置された導電性部材と、を備え、
前記リセプタクルコネクタが前記プラグコネクタと嵌合すると、前記リセプタクル端子は、一対一で前記プラグ端子と接触し、
前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材は、前記プラグシェルと接触し、前記基板接続部を前記プラグシェルと共同で覆うように配置される、
リセプタクルコネクタ。
【請求項8】
前記リセプタクル端子として、
前記対向領域のうちの第1領域に前記基板接続部が配列された第1リセプタクル端子と、
前記対向領域のうちの前記第1領域とは異なる第2領域に前記基板接続部が配列された第2リセプタクル端子と、を備え、
前記リセプタクルシェルが、前記第1領域寄りに配置され、
前記導電性部材が、前記第2領域寄りに配置されており、
前記第2領域に配列された前記第2リセプタクル端子の前記基板接続部は、前記リセプタクルシェルから前記導電性部材に向かって張り出している、
請求項7に記載のリセプタクルコネクタ。
【請求項9】
基板と電気的に接続する基板接続部を有する導電性の複数のリセプタクル端子と、
前記基板に接地されるとともに複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆う導電性のリセプタクルシェルと、
前記基板に接地され、前記リセプタクルシェルに隣接して実装された導電性部材と、
を備えるリセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタであって、
複数の信号線と一対一で接続された導電性の複数のプラグ端子と、
複数の前記プラグ端子のうち、少なくとも幾つかの前記プラグ端子を覆う導電性のプラグシェルと、
を備え、
前記リセプタクルコネクタが前記プラグコネクタと嵌合すると、前記プラグ端子は、前記リセプタクル端子と一対一で接触し、
前記プラグシェルは、前記リセプタクルシェルと接触するとともに前記導電性部材の方に張り出して前記導電性部材と接触して、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と共同で前記リセプタクル端子を覆うように配置される、
プラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ装置、リセプタクルコネクタ及びプラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される相互係合コネクタ装置は、基板に接続されるリセプタクルコネクタと、同軸ケーブルに接続され、基板の実装面の法線方向にリセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタとから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-139175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リセプタクルコネクタにおけるコンタクトの基板接続部(図7に19aで示される)は、外部に露出している。そのため、通電時に電磁ノイズが漏洩する可能性があり、電磁ノイズの遮蔽性能向上が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情の下になされたものであり、コンタクトの基板接続部における電磁遮蔽を行うことができる電気コネクタ装置、リセプタクルコネクタ及びプラグコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係る電気コネクタ装置は、
基板に実装された第1コネクタと、
前記基板に接地された導電性部材と、
信号線に接続されるとともに前記第1コネクタと嵌合すると、前記信号線と前記基板とを電気的に接続する第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタは、
前記基板と電気的に接続する基板接続部を有し、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合すると前記第2コネクタを介して前記信号線と電気的に接続する導電性の複数のリセプタクル端子と、
前記基板に接地されるとともに複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆う導電性のリセプタクルシェルと、を備え、
前記導電性部材は、
前記基板の実装面のうち、前記第1コネクタと嵌合する前記第2コネクタに対向する対向領域を前記リセプタクルシェルと共同で前記実装面に沿って囲むように配置され、
前記第2コネクタは、
前記第1コネクタと嵌合すると、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と接触し、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と共同で前記リセプタクル端子を覆うよう配置される導電性のプラグシェルを備える。
【0007】
この場合、前記導電性部材は、前記リセプタクルシェルと別体に設けられている、
こととしてもよい。
【0008】
前記導電性部材には、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合すると、前記プラグシェルと接触する接触突片が設けられている、
こととしてもよい。
【0009】
前記リセプタクル端子として、
前記対向領域のうちの第1領域に前記基板接続部が配列された第1リセプタクル端子と、
前記対向領域のうちの前記第1領域とは異なる第2領域に前記基板接続部が配列された第2リセプタクル端子と、を備え、
前記リセプタクルシェルが、前記第1領域寄りに配置され、
前記導電性部材が、前記第2領域寄りに配置されている、
こととしてもよい。
【0010】
前記第2領域に配列された前記第2リセプタクル端子の前記基板接続部は、前記リセプタクルシェルから前記導電性部材に向かって張り出している、
【0011】
前記リセプタクルシェルには、第1係合部が設けられ、
前記プラグシェルには、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが嵌合したときに前記第1係合部と係合する第2係合部が設けられている、
こととしてもよい。
【0012】
本発明の第2の観点に係るリセプタクルコネクタは、
複数の信号線に一対一で接続された導電性の複数のプラグ端子と、
複数の前記プラグ端子のうち、少なくとも幾つかの前記プラグ端子を覆う導電性のプラグシェルと、
を備えるプラグコネクタと嵌合するリセプタクルコネクタであって、
基板と電気的に接続する基板接続部を有する導電性の複数のリセプタクル端子と、
複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆うとともに前記基板に接地される導電性のリセプタクルシェルと、
前記基板に接地され、前記基板の実装面のうち、前記リセプタクルコネクタと嵌合する前記プラグコネクタに対向する対向領域を前記リセプタクルシェルと共同で前記実装面に沿って囲むように配置された導電性部材と、を備え、
前記リセプタクルコネクタが前記プラグコネクタと嵌合すると、前記リセプタクル端子は、一対一で前記プラグ端子と接触し、
前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材は、前記プラグシェルと接触し、前記基板接続部を前記プラグシェルと共同で覆うように配置される。
【0013】
前記リセプタクル端子として、
前記対向領域のうちの第1領域に前記基板接続部が配列された第1リセプタクル端子と、
前記対向領域のうちの前記第1領域とは異なる第2領域に前記基板接続部が配列された第2リセプタクル端子と、を備え、
前記リセプタクルシェルが、前記第1領域寄りに配置され、
前記導電性部材が、前記第2領域寄りに配置されており、
前記第2領域に配列された前記第2リセプタクル端子の前記基板接続部は、前記リセプタクルシェルから前記導電性部材に向かって張り出している、
こととしてもよい。
【0014】
本発明の第3の観点に係るプラグコネクタは、
基板と電気的に接続する基板接続部を有する導電性の複数のリセプタクル端子と、
前記基板に接地されるとともに複数の前記リセプタクル端子のうち、少なくとも幾つかの前記リセプタクル端子を覆う導電性のリセプタクルシェルと、
前記基板に接地され、前記リセプタクルシェルに隣接して実装された導電性部材と、
を備えるリセプタクルコネクタと嵌合するプラグコネクタであって、
複数の信号線と一対一で接続された導電性の複数のプラグ端子と、
複数の前記プラグ端子のうち、少なくとも幾つかの前記プラグ端子を覆う導電性のプラグシェルと、
を備え、
前記リセプタクルコネクタが前記プラグコネクタと嵌合すると、前記プラグ端子は、前記リセプタクル端子と一対一で接触し、
前記プラグシェルは、前記リセプタクルシェルと接触するとともに前記導電性部材の方に張り出して前記導電性部材と接触して、前記リセプタクルシェル及び前記導電性部材と共同で前記リセプタクル端子を覆うように配置される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンタクトの基板接続部における電磁遮蔽を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る電気コネクタ装置の斜視図である。
図2図1の電気コネクタ装置を構成する第1コネクタ及び第2コネクタの斜視図である。
図3】同軸ケーブルの一部を示す斜視図である。
図4】第1コネクタの分解斜視図である。
図5】(A)は、リセプタクル端子の配列を示す図である。(B)は、リセプタクル端子、リセプタクルシェル及び導電性部材の上面図である。(C)は、リセプタクル端子、リセプタクルシェル及び導電性部材の底面図である。
図6】導電性部材の斜視図である。
図7】第2コネクタ(プラグコネクタ)の分解斜視図である。
図8】第2コネクタを底面より視る斜視図である。
図9】(A)は、ハウジングを除く第1コネクタのリセプタクルシェルの図1のIX-IX線断面図である。(B)は、ハウジングを除く電気コネクタ装置の図1のIX-IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。本実施形態では、適宜、図面に表されたXYZの3軸直交座標系にしたがって説明を行う。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る電気コネクタ装置1は、第1コネクタ2と、導電性部材3と、第2コネクタ4と、を備える。見方を変えると、本実施の形態に係る電気コネクタ装置1は、第1コネクタ2及びすなわち導電性部材3を有するリセプタクルコネクタと、第2コネクタ4であるプラグコネクタと、を備えるものとすることができる。
【0019】
第1コネクタ2は、基板5に実装される。導電性部材3は、第1コネクタ2に隣接して基板5に実装され、基板5に接地される。第2コネクタ4は、信号線としての電気ケーブル6に接続される。
【0020】
[基板]
基板5は、例えば電子回路又は電子部品が実装されるプリント配線基板又はフレキシブルプリント基板であり、例えば電子機器に収容される。第1コネクタ2は、ハンダ接続等により、基板5の実装面5aに形成された図示しない信号電極及び接地電極に接続される。導電性部材3は、ハンダ接続等により、基板5の実装面5aに形成された接地電極に接続される。
【0021】
本実施の形態では、基板5の実装面5aは、XY平面に平行であるものとする。したがって、実装面5aの法線方向がZ軸方向となる。本実施の形態では、適宜、XY面に平行な面を「水平面」とし、+Z方向を「上」方向とし、-Z方向を「下」方向として説明を行う。
【0022】
[電気ケーブル]
電気ケーブル6は、電子機器に収容される基板5間で電気信号を伝送するために用いられる。本実施の形態では、電気ケーブル6は、同軸ケーブルである。電気ケーブル6は、図3に示すように、内部導体6aと、絶縁体6bと、外部導体6cと、保護被膜6dと、を備える。内部導体6aは、線状に延びる金属線(例えば銅線)で構成される。絶縁体6bは、内部導体6aの周面を覆う。外部導体6cは、円筒状である金属編組線からなり、かつ、絶縁体6bの周面を覆う。保護被膜6dは、外部導体6cの周面を覆う。電気ケーブル6により、内部導体6aと外部導体6cとの間に電位差による信号伝送が可能となる。
【0023】
図2に示すように、第1コネクタ2と第2コネクタ4とは、基板5の実装面5aの法線方向(Z軸方向)に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成される。図1に示すように、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると、基板5と電気ケーブル6とが電気的に接続され、基板5上の電気回路及び電子部品と電気ケーブル6との間で信号の伝送が可能となる。
【0024】
[第1コネクタ]
まず、第1コネクタ2の詳細な構成について説明する。図2に示すように、第1コネクタ2は、X軸方向に長尺かつ平板状のコネクタである。
【0025】
図4に示すように、第1コネクタ2は、基板5に対面するリセプタクルハウジング20と、複数のリセプタクル端子21と、リセプタクルシェル22と、を含んで構成される。
【0026】
[リセプタクルハウジング]
リセプタクルハウジング20は、第1コネクタ2の母体を形成する。リセプタクルハウジング20は、矩形状の外形を有し、X軸方向を長手方向としている。リセプタクルハウジング20は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成される。
【0027】
リセプタクルハウジング20は、リセプタクルシェル22に覆われた状態で、X軸方向に並列配置された複数のリセプタクル端子21を保持する。リセプタクルハウジング20は、リセプタクル端子21とリセプタクルシェル22との間に介在し、両者を絶縁する。
【0028】
リセプタクルハウジング20の+Z方向を向いた上面には、第2コネクタ4のプラグハウジング40の凸部40a(図8参照)を収容する凹部20aが設けられている。凹部20aの開口は、リセプタクルハウジング20の長手方向であるX軸方向に延びている。
【0029】
また、リセプタクルハウジング20には、リセプタクル端子21がそれぞれ挿入される貫通孔20bが設けられている。貫通孔20bは、凹部20aの開口部近傍において、X軸方向に沿って所定ピッチで配列されている。貫通孔20bの列は、凹部20aのY軸方向の両側にそれぞれ一列ずつ設けられている。一方の貫通孔20bの列と、他方の貫通孔20bの列とは、X軸方向に沿って配列周期の半分だけずれて形成されている。
【0030】
また、リセプタクルハウジング20の凹部20aのX軸方向に沿った2つの内壁面には、Z軸方向に延びる溝部20cがY軸方向に配列された溝の配列が形成されている。一方の内壁面に設けられた溝部20cは、他方の内壁面寄りに設けられた貫通孔20bと、X軸方向に関して同じ位置に設けられている。また、他方の内壁面に設けられた溝部20cは、一方の内壁面寄りに設けられた貫通孔20bと、X軸方向に関して同じ位置に設けられている。
【0031】
[リセプタクル端子]
複数のリセプタクル端子21は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工されて形成される導電性の部材である。図4に示すように、リセプタクル端子21には、係止部21aと、接触部21bと、基板接続部21cと、が設けられている。リセプタクル端子21は、図5(A)に示すように、板厚方向がX軸方向となるように並べられた状態で、それぞれの係止部21aが貫通孔20b(図4参照)に対し下から上へ挿入される。これにより、リセプタクル端子21がリセプタクルハウジング20に固定保持される。
【0032】
リセプタクル端子21がリセプタクルハウジング20に固定されると、接触部21bは、リセプタクルハウジング20の凹部20aに張り出した状態となる。接触部21bは、凹部20aに第2コネクタ4のプラグハウジング40の凸部40a(図8参照)が嵌合すると、凸部40aに設けられたプラグ端子41に押されて内壁面に形成された溝部20c内で変位し、プラグ端子41と一対一で電気的に接続される(図9(B)参照)。
【0033】
また、リセプタクル端子21がリセプタクルハウジング20に固定されると、基板接続部21cは、図4に示すように、実装面5aに沿って配列される状態となる。
【0034】
このように、リセプタクルハウジング20にリセプタクル端子21を挿入することにより、図5(A)に示すように、X軸方向に配列されるリセプタクル端子21の列が2列形成される。このリセプタクル端子21の列が実装され、第1コネクタ2と嵌合する第2コネクタ4に対向する基板5の実装面5aの領域を、第2コネクタ4に対向する対向領域FAともいう。対向領域FAにおいて、一方の端子列と他方の端子列とでは、リセプタクル端子21は、Y軸方向に沿って逆向きとなる。これにより、一方の貫通孔20bの列に係止部21aが挿入されリセプタクルハウジング20に固定されたリセプタクル端子21の基板接続部21cと、他方の貫通孔20bの列に挿入されたリセプタクル端子21の基板接続部21cとは、実装面5a内で互いに逆方向に延びるように配置される。
【0035】
図5(A)に示すように、実装面5a(図4参照)上の対向領域FAのうちの+Y寄りの第1領域5bに基板接続部21cが配列されたリセプタクル端子21を第1リセプタクル端子21Aとする。また、実装面5a上の対向領域FAのうちの第1領域5bとは異なる-Y寄りの第2領域5cに基板接続部21cが配列されたリセプタクル端子21を第2リセプタクル端子21Bとする。すなわち、第1コネクタ2は、リセプタクル端子21として、基板接続部21cが基板5の実装面5aにおける第1領域5bに位置する第1リセプタクル端子21Aと、基板接続部21cが基板5の実装面5aにおける第2領域5cに位置する第2リセプタクル端子21Bと、を備える。図5(B)及び図5(C)に示すように、リセプタクルシェル22は、第1領域5b寄りに配置され、導電性部材3が、第2領域5c寄りに配置されている。なお、図5(B)及び図5(C)は、説明の便宜上リセプタクルハウジング20を省略して図示している。
【0036】
また、図5(A)に示すように、それぞれの端子列のリセプタクル端子21の接触部21bは、互いに対向して、凹部20a内に突出するように配置される。
【0037】
[リセプタクルシェル]
リセプタクルシェル22は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。図4に示すように、リセプタクルシェル22は、リセプタクルハウジング20の上部を覆う上面部22aと、一対の側壁部22bと、側壁部22cと、側壁部22dと、を備える。
【0038】
図4に示すように、上面部22aは、リセプタクルハウジング20の上面を覆うようにXY平面に平行な平板状の部分である。上面部22aでは、リセプタクルハウジング20の上面のうち凹部20aに対向する領域に開口が設けられている。上面部22aには、X軸方向の両端において開口のX軸方向の両端それぞれをY軸方向に延びる縁部を形成する延出部22eが設けられている。
【0039】
一対の側壁部22bは、図4図5(B)及び図5(C)に示すように、上面部22aのX軸方向における両端の縁部から下方に折れ曲がって形成されている。各側壁部22bは、それぞれYZ平面に平行に形成される。上面部22a及び一対の側壁部22bで囲まれる空間に、リセプタクルハウジング20が配置される。一対の側壁部22bは、リセプタクルハウジング20のX軸方向の両端の側壁を覆う。図4に示すように、各側壁部22bには、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合したときに第2コネクタ4の第2係合部43d(図7参照)と係合する凹状の第1係合部22fが形成されている。第1係合部22fは、凸状であってもよい。
【0040】
側壁部22cは、上面部22aの+Y方向の縁部から下方に折れ曲がって形成されている(図9(A)及び図9(B)参照)。側壁部22cは、XZ平面に平行な側壁を形成する。図5(B)及び図5(C)に示すように、側壁部22cの下部には、基板5の実装面5a(図4参照)に接地される複数の基板接続部22gが設けられている。側壁部22cのX軸方向の両端は、一対の側壁部22bの+Y端にわずかな隙間を挟んで対向している。
【0041】
図4に示すように、側壁部22dは、上面部22aのX軸方向における両端の延出部22eの-Y方向における縁部からそれぞれ下方に折れ曲がった部材が、さらにX軸方向に延びて互いに連結するような形状となっている。側壁部22dは、リセプタクルシェル22のXZ平面に平行な側壁を形成する。上面部22aと延出部22e及び側壁部22dにより、リセプタクルハウジング20の凹部20aを露出する開口の縁部が形成される。
【0042】
また、側壁部22dのX軸方向の両端及び中央には、基板5と接続される基板接続部22gが設けられている。また、側壁部22dにおいて、基板接続部22gの間には、切り欠きが設けられている。この切り欠きの下方には、図5(A)に示す第2領域5cが形成され、図5(B)及び図5(C)に示すように、第2リセプタクル端子21Bの基板接続部21cが配置される。言い換えると、第2領域5cに配列された第2リセプタクル端子21Bの基板接続部21cは、リセプタクルシェル22から導電性部材3に向かって張り出している。なお、本実施の形態では、第2リセプタクル端子21Bを設けているが、第2リセプタクル端子21Bを設けなくてもよい。第2リセプタクル端子21Bを設けなくとも第1リセプタクル端子21Aの基板接続部21cにおける電磁遮蔽を行うことができる。このように、リセプタクルシェル22は、複数のリセプタクル端子21のうち、少なくとも幾つかのリセプタクル端子21(本実施の形態では、第1リセプタクル端子21A)を覆っていればよい。
【0043】
[導電性部材]
次に、導電性部材3の詳細な構成について説明する。図6に示すように、導電性部材3は、平板状の部材である。導電性部材3は、本体部30と、3つの延出部31と、2つの接触突片32と、を備える。
【0044】
本体部30は、X軸方向を長手方向とする板状の部分である。本体部30のX軸方向の長さは、リセプタクルシェル22のX軸方向の長さと同じである。延出部31は、本体部30のX軸方向の両端及び中央部から+Y方向に延出する板状の部分である。X軸方向の両端に配置される延出部31の+Y方向の端部は、リセプタクルシェル22の側壁部22dのX軸方向における両端の下端に形成された基板接続部22gと、それぞれ微小な隙間を挟んで対向するように配置されている。なお、X軸方向中央部の延出部31は、なくてもよい。
【0045】
このように、本実施の形態では、導電性部材3は、リセプタクルシェル22と別体に設けられて、リセプタクルシェル22と微小間隔を置いて離隔している。延出部31は、リセプタクルシェル22における基板接続部22gと隙間なく接触していてもよく、リセプタクルシェル22と一体的に形成してもよい。
【0046】
本体部30及び延出部31は、基板5の実装面5aに沿って形成されている。本体部30及び延出部31、すなわち導電性部材3と、リセプタクルシェル22の一対の側壁部22b、側壁部22cとは、実装面5a内において、全体でリセプタクル端子21を囲むように実装されている。
【0047】
接触突片32は、本体部30における延出部31間の中央位置から+Y方向に突出している。接触突片32は、本体部30から折れ曲がって、+Y方向に進むにつれて、上方に向かうように水平面に対して傾斜している。接触突片32は、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合したときに、第2コネクタ4の第2シェル44(図7参照)と接触して両者の電気的な接続を確保するために設けられている。
【0048】
[第2コネクタ]
次に、第2コネクタ4の詳細な構成について説明する。図7に示すように、第2コネクタ4は、プラグハウジング40と、プラグ端子41と、グランドバー42と、第1シェル43と、第2シェル44と、を備える。第1シェル43と、第2シェル44とで、プラグシェルが構成される。
【0049】
[プラグハウジング]
図7に示すように、プラグハウジング40は、第2コネクタ4の母体を形成する。プラグハウジング40は、矩形状の外形を有し、X軸方向を長手方向としている。プラグハウジング40は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成される。プラグハウジング40は、第1シェル43に覆われた状態で、Y軸方向に並列配置された複数のプラグ端子41を保持する。プラグハウジング40は、プラグ端子41と、グランドバー42、第1シェル43及び第2シェル44との間に介在し、両者を絶縁する。
【0050】
図8に示すように、プラグハウジング40の-Z方向を向いた下面には、第1コネクタ2のリセプタクルハウジング20の凹部20a(図4参照)と嵌合する凸部40aが設けられている。凸部40aは、下方(-Z方向)に突出しており、その突出した部分は、X軸方向に延びている。
【0051】
プラグハウジング40には、リセプタクル端子21と同じピッチでプラグ端子41が配列されるように、プラグ端子41を保持する。第1コネクタ2と、第2コネクタ4とが嵌合すると、プラグ端子41のX位置は、リセプタクル端子21のX位置と一致する。
【0052】
[プラグ端子]
複数のプラグ端子41は、例えば弾性力を有する金属の板状部材が打ち抜き加工され、さらに折り曲げ加工により形成される導電性の部材である。図7に示すように、プラグ端子41には、固定部41aと、接触部41bと、ケーブル接続部41cと、が設けられている。プラグ端子41は、X軸方向に一列に並べられる。それぞれの固定部41aがプラグハウジング40にインサート成形又は圧入することにより固定される。
【0053】
第2コネクタ4では、第1コネクタ2と嵌合すると、プラグ端子41として、第1リセプタクル端子21Aと一対一で接触する第1プラグ端子41Aと、第2リセプタクル端子21Bと一対一で接触する第2プラグ端子41Bと、が設けられている。第1プラグ端子41Aと、第2プラグ端子41Bとは、第1リセプタクル端子21A及び第2リセプタクル端子21Bと同じ順に、X軸方向に交互に配列されている。
【0054】
プラグ端子41がプラグハウジング40に固定されると、図8に示すように、接触部41bは、プラグハウジング40の凸部40aの外面の一部となる。図8に示すように、第1プラグ端子41Aの接触部41bは、凸部40aの-Y面に露出しており、第2プラグ端子41Bの接触部41bは、凸部40aの+Y面に露出している。
【0055】
図9(B)に示すように、プラグ端子41それぞれは、ケーブル接続部41cにおいて、電気ケーブル6の内部導体6aとハンダ付けにより接続される。複数のプラグ端子41は、複数の電気ケーブル6に一対一で接続されている。
【0056】
[グランドバー]
グランドバー42は、X軸方向に延びる導電性の一対の板状部材である。グランドバー42は、図7に示すように、電気ケーブル6を、その外部導体6c(図3参照)が露出した部分で挟持している。図9(B)に示すように、グランドバー42は、第1シェル43と第2シェル44に狭持されており、ハンダ接続によって電気的に接続される。
【0057】
[第1シェル]
第1シェル43は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。図7に示すように、第1シェル43は、上面部43aと、一対の側壁部43bと、側壁部43cと、を備える。
【0058】
図7及び図8に示すように、上面部43aは、プラグハウジング40の上面を覆うようにXY平面に平行な平板状の部分である。一対の側壁部43bは、上面部43aのX軸方向における両端の縁部から下方に折れ曲がって形成されている。各側壁部43bは、それぞれYZ平面に平行な側壁を形成する。上面部43a及び一対の側壁部43bで囲まれる空間に、プラグハウジング40が配置される。一対の側壁部43bは、プラグハウジング40のX軸方向の両端の側壁を覆う。各側壁部43bには、第1コネクタ2の凹状の第1係合部22f(図4参照)と係合する凸状の第2係合部43dが形成されている。なお、第1係合部22fが凸状である場合、第2係合部43dは凹状となる。
【0059】
図8に示すように、上面部43aは、プラグハウジング40から、第1コネクタ2から導電性部材3に向かって+Y方向に大きく張り出しており、第1コネクタ2と、導電性部材3とを、全部覆うことができる大きさに形成されている。
【0060】
図8に示すように、側壁部43cは、上面部43aの+Y方向の縁部から下方に折れ曲がって形成されている。側壁部43cは、XZ平面に平行な側壁を形成する。
【0061】
第1シェル43は、プラグ端子41から絶縁された状態でプラグハウジング40の外周を覆っている。第1シェル43は、プラグ端子41から発生する電磁波を遮断し、外部に漏れるのを防止する。第1シェル43は、複数のプラグ端子41のうち、少なくとも幾つかのプラグ端子41を覆っていればよい。
【0062】
[第2シェル]
図7に示すように、第2シェル44は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。図8に示すように、第2シェル44は、プラグ端子41から絶縁された状態でプラグハウジング40の内部にインサート成形されている。第2シェル44は、第2コネクタ4の下面の一部を形成している。
【0063】
複数の電気ケーブル6は、第2シェル44と一体となったプラグハウジング40に保持されるプラグ端子41及びグランドバー42と接続される。そして、これらの構成要素の上面を第1シェル43が覆い、下面を第2シェル44が覆うことにより、第2コネクタ4が形成される。
【0064】
第2シェル44は、第1シェル43とともに、電気ケーブル6の先端部分及びプラグ端子41を囲むカバーとなる。これにより、電気ケーブル6の先端部分及びプラグ端子41から電磁波が外部に漏れたり、外部から電気ケーブル6の先端部分及びプラグ端子41に混入したりするのが防止される。電気ケーブル6に接続されたグランドバー42は、このカバーの一部として機能する。
【0065】
[第1コネクタと第2コネクタとの嵌合]
図9(A)では、基板5に実装されたリセプタクルハウジング20の図示が省略された第1コネクタ2の断面図が示されている。図9(B)では、リセプタクルハウジング20及びプラグハウジング40の図示が省略された第1コネクタ2及び第2コネクタ4の断面図が示されている。
【0066】
図9(A)に示すように、第1コネクタ2は、基板5に実装されている。この状態で、図9(B)に示すように、電気ケーブル6の先端が導電性部材3の上となる向きで第2コネクタ4を第1コネクタ2及び導電性部材3の上方に位置させる。そして、第1コネクタ2におけるリセプタクルハウジング20の凹部20a(図4参照)と、第2コネクタ4におけるプラグハウジング10の凸部40a(図8参照)とを嵌合させて、第1コネクタ2と第2コネクタ4とを接続する。
【0067】
この状態で、リセプタクルシェル22の第1係合部22fと、第1シェル43の第2係合部43dとが係合し、第1コネクタ2と第2コネクタ4との接続が強固となる。この状態で、第2コネクタ4の第2シェル44が、導電性部材3の接触突片32と接触し、接触突片32の弾性力により、導電性部材3と第2シェル44とがより強固に電気的に接触するようになる。
【0068】
このように、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると、図9(B)に示すように、電気ケーブル6の内部導体6a、第2コネクタ4のプラグ端子41(プラグ端子41A、41B)、第1コネクタ2のリセプタクル端子21(リセプタクル端子21A、21B)、基板5の信号電極が接触し、これらにより、電気ケーブル6と基板5との間の信号の伝送線路が形成される。
【0069】
一方、上述のように第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると、図9(B)に示すように、電気ケーブル6の外部導体6c、グランドバー42、第1シェル43及び第2シェル44、リセプタクルシェル22及び基板5の接地電極という接地用の伝送線路が形成される。信号の伝送線路と、接地用の伝送線路を介して、電圧信号が伝送される。
【0070】
図9(A)に示す状態では、リセプタクル端子21の周囲の一部は、リセプタクルシェル22及び導電性部材3に囲まれている。導電性部材3は、基板5の実装面5aのうち、第1コネクタ2と嵌合する第2コネクタ4に対向する対向領域FA(図5(A))をリセプタクルシェル22と共同で実装面5aに沿って囲むように配置される。しかし、第2リセプタクル端子21B、特に第2リセプタクル端子21Bの基板接続部21c寄りの部分は、基板5の実装面5a内では、導電性部材3に囲まれているものの、導電性部材3の上部は、リセプタクル端子21をリセプタクルシェル22とともに囲む部材が設けられていない。
【0071】
図9(B)に示すように、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると、第2コネクタ4の第1シェル43と第2シェル44とからなるプラグシェルが、リセプタクルシェル22でカバーされていなかった部分を覆う。前述のように、プラグシェルは、リセプタクルシェル22及び導電性部材3と接触しているため、リセプタクルシェル22と、導電性部材3とともに、上述の信号の伝送線路の電磁シールドとして機能する。すなわち、第2コネクタ4のプラグシェルは、第1コネクタ2と嵌合すると、リセプタクルシェル22及び導電性部材3と接触し、リセプタクルシェル22及び導電性部材3と共同でリセプタクル端子21を覆うよう配置されている。より具体的には、プラグシェル(第1シェル43と第2シェル44とから構成される)は、図9(B)に示すように、リセプタクルシェル22と接触するとともに導電性部材3の方に張り出して導電性部材3と接触して、リセプタクルシェル22及び導電性部材3と共同でリセプタクル端子21を覆うように配置される。
【0072】
なお、電気ケーブル6が挿入される部分にはグランドバー42が形成されており、これも、リセプタクルシェル22、第1シェル43及び導電性部材3とともに電磁シールドとして作用する。
【0073】
このように、第1コネクタ2は、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると第2コネクタ4を介して電気ケーブル6と電気的に接続する導電性のリセプタクル端子21と、基板5に接地されるとともにリセプタクル端子21の一部を覆う導電性のリセプタクルシェル22と、を備える。
【0074】
また、第2コネクタ4は、第1コネクタ2と嵌合すると、リセプタクルシェル22及び導電性部材3と接触し、リセプタクル端子21をリセプタクルシェル22及び導電性部材3と共同で覆うよう配置される導電性のプラグシェル(第1シェル43と第2シェル44とから構成される)を備える。
【0075】
なお、図9(B)に示すように、第1コネクタ2のリセプタクルハウジング20を母体とする主要部分と、第2コネクタ4のプラグハウジング40を母体とする主要部分とは、Z軸方向と重なることなく、XY平面に沿って配置される。第2コネクタ4の主要部分は、導電性部材3の上に配置される。これにより、電気コネクタ装置1の低背化が可能となる。
【0076】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る電気コネクタ装置1によれば、リセプタクル端子21と、第1コネクタ2のリセプタクルシェル22と、導電性部材3と、第2コネクタ4のプラグシェル(第1シェル43と第2シェル44とから構成される)とで、全体を覆うことができるため、リセプタクル端子21の基板接続部21cにおける電磁遮蔽を行うことができる。
【0077】
本実施の形態では、導電性部材3は、リセプタクルシェル22と別体に設けられている。これにより、リセプタクルシェル22を延長して、導電性部材3を形成するよりも、導電性部材3の変形を防止することができる。また、個別の部品とすることにより、部品の複雑さを回避することが出来るので、それぞれの部品の精度が向上する。また、リセプタクル端子21の基板接続部21c、あるいはリセプタクルシェル22の基板接続部22gにおいて、基板5の実装面5aに対面する位置を検査することが容易となる。
【0078】
また、本実施の形態では、導電性部材3には、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合すると、第2シェル44と当接して弾性力を発生させる接触突片32が設けられている。これにより、第1コネクタ2と第2コネクタ4との電気的な接続を強固なものとすることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、リセプタクル端子21として、基板接続部21cが基板5の実装面5a上の第1領域5bに位置する第1リセプタクル端子21Aと、基板接続部21cが基板5の実装面5a上の第2領域5cに位置する第2リセプタクル端子21Bと、を備える。リセプタクルシェル22は、第1領域5b寄りに配置され、導電性部材3が、第2領域5c寄りに配置されている。このようにすれば、リセプタクル端子21及びプラグ端子41の配置の自由度が増すうえ、高密度の実装化が可能となる。
【0080】
もちろん、リセプタクル端子21及びプラグ端子41の配置を、同形のものを同じ向きで一列に並べる配置としてもよい。すなわち、第1リセプタクル端子21Aと、第2リセプタクル端子21Bにおける全ての基板接続部21cが、基板5の実装面5a内の第1領域5bに位置してもよく、第2領域5cに位置してもよい。
【0081】
また、本実施の形態によれば、リセプタクルシェル22には、第1係合部22fが設けられ、第1シェル43には、第1コネクタ2と第2コネクタ4とが嵌合したときに第1係合部22fと係合する第2係合部43dが設けられている。このようにすれば、第1コネクタ2と第2コネクタ4との物理的な接続を強固なものとすることができる。
【0082】
なお、第1係合部22fと第2係合部43dとの形状は特に上記実施の形態のものに限定されない。第1係合部22fと第2係合部43dとは、互いに係止できるようになっていればよい。
【0083】
なお、本実施の形態によれば、第1シェル43と、第2シェル44とで、プラグシェルが構成したが、プラグシェルは、いずれか一つの部品で形成したものであってもよい。
【0084】
なお、隣接する一対の電気ケーブル6で差動信号を伝送するようにしてもよい。また、一対の電気ケーブル6と一対の電気ケーブル6との間の1本の電気ケーブル6については接地用の電気ケーブル6としてもよい。また、電気ケーブル6を、同軸ケーブル以外のシールド線としてもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、電気ケーブル6がXY面に平行に延びるものとしている。しかしながら、これには限られない。電気ケーブル6は法線方向に延びていてもよいし、XY面に傾斜する方向に延びていてもよい。
【0086】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、基板間を接続するコネクタの電磁シールドに適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 電気コネクタ装置、2 第1コネクタ、3 導電性部材、4 第2コネクタ(プラグコネクタ)、5 基板、5a 実装面、5b 第1領域、5c 第2領域、6 電気ケーブル(信号線)、6a 内部導体、6b 絶縁体、6c 外部導体、6d 保護被膜、20 リセプタクルハウジング、20a 凹部、20b 貫通孔、20c 溝部、21 リセプタクル端子、21A 第1リセプタクル端子、21B 第2リセプタクル端子、21a 係止部、21b 接触部、21c 基板接続部、22 リセプタクルシェル、22a 上面部、22b、22c、22d 側壁部、22e 延出部、22f 第1係合部、22g 基板接続部、30 本体部、31 延出部、32 接触突片、40 プラグハウジング、40a 凸部、41 プラグ端子、41A 第1プラグ端子、41B 第2プラグ端子、41a 固定部、41b 接触部、41c ケーブル接続部、42 グランドバー、43 第1シェル、43a 上面部、43b、43c 側壁部、43d 第2係合部、44 第2シェル、FA 対向領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9