(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110298
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240807BHJP
【FI】
G06Q30/0601 312
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014820
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】523038193
【氏名又は名称】Homerooom株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆介
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB50
5L030BB53
5L049BB50
5L049BB53
(57)【要約】
【課題】物品等の販売や所有者を管理し、好ましい態様での流通を実現する情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、情報処理システムによって実行される情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、付与ステップと、取得ステップと、判定ステップとを備える。付与ステップでは、会員に対して発行されたアカウントに、該会員の本人認証を行った認証方法に応じた会員種別を付与する。取得ステップでは、取引対象の物品に付された取引種別を取得する。判定ステップでは、会員種別と取引種別とを比較し、該比較の結果に応じて物品の取り引きの可否を判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理システムによって実行される情報処理方法であって、
付与ステップと、取得ステップと、判定ステップとを備え、
前記付与ステップでは、会員に対して発行されたアカウントに、該会員の本人認証を行った認証方法に応じた会員種別を付与し、
前記取得ステップでは、取引対象の物品に付された取引種別を取得し、
前記判定ステップでは、前記会員種別と前記取引種別とを比較し、該比較の結果に応じて前記物品の取り引きの可否を判定する
情報処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理方法において、
発行ステップを備え、
前記発行ステップでは、本人認証を行った希望者に対して、該希望者が前記会員でないことを条件に、前記会員としてのアカウントを発行する
情報処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記付与ステップでは、同一の会員に対して複数のアカウントが発行された場合には、該複数のアカウントの少なくとも一部のアカウントに付与された会員種別を変更する
情報処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理方法において、
前記会員は、前記物品の取り引きを事業として行う事業者を含む
情報処理方法。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理方法において、
管理ステップを備え、
前記管理ステップでは、前記アカウントと関連付けて前記物品の取り引きの履歴を管理する
情報処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の情報処理方法において、
変更ステップを備え、
前記変更ステップでは、前記物品の取り引きの履歴に基づいて、該履歴と関連付けられたアカウントに付与された会員種別を変更する
情報処理方法。
【請求項7】
請求項5に記載の情報処理方法において、
前記物品は、ユニークな識別情報が付与され、
前記管理ステップでは、前記識別情報と前記アカウントと関連付けて前記物品の取り引きの履歴を管理し、
前記物品の取り引きの履歴は、非代替トークンをアカウント間で取引することでブロックチェーン上に記録される
情報処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理方法において、
前記物品は、前記識別情報が記録されたICチップが付加される、
情報処理方法。
【請求項9】
請求項7に記載の情報処理方法において、
課金ステップを備え、
前記課金ステップでは、前記物品の取り引きに際して、前記非代替トークンの生成に際して設定された権利移転報酬受領者への報酬額を算出し、該算出した報酬額を前記物品の譲渡人と譲受人との少なくとも一方に課金する
情報処理方法。
【請求項10】
請求項7に記載の情報処理方法において、
受付ステップを備え、
前記受付ステップでは、前記識別情報とともに、再登録要求を受け付け、
前記管理ステップでは、前記再登録要求を受け付けた場合には、前記識別情報と前記アカウントと関連付けた新たな非代替トークンをブロックチェーン上に記録する
情報処理方法。
【請求項11】
請求項5に記載の情報処理方法において、
特定ステップを備え、
前記特定ステップでは、所定条件に基づいて前記会員を特定し、
前記所定条件は、前記物品の所有期間と、前記物品の所有数と、前記物品の種類との少なくとも1つを含む
情報処理方法。
【請求項12】
少なくとも1つの装置からなる情報処理システムであって、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える
情報処理システム。
【請求項13】
プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報処理方法の各ステップを実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な物品が流通される機会が増加し、特に個人間の物品の売買の機会が盛んになっている。なお、ブロックチェーン技術を利用して作品証明を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個人間の取り引きの機会が増大することに伴い、悪質な買い占めや転売により、物品や電子情報(電子コンテンツ等)の正常な流通が阻害され、また、複製品等が出回ることもある。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、物品等の販売や所有者を管理し、好ましい態様での流通を実現する情報処理方法、情報処理システム及びプログラムを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報処理システムによって実行される情報処理方法が提供される。この情報処理方法は、付与ステップと、取得ステップと、判定ステップとを備える。付与ステップでは、会員に対して発行されたアカウントに、該会員の本人認証を行った認証方法に応じた会員種別を付与する。取得ステップでは、取引対象の物品に付された取引種別を取得する。判定ステップでは、会員種別と取引種別とを比較し、該比較の結果に応じて物品の取り引きの可否を判定する。
【0007】
本発明の一態様によれば、物品等の販売や所有者を管理することができ、好ましい態様での流通を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置1を用いたシステムの構成例を示した図である。
【
図3】情報処理装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置1の動作の流れの概略を示すアクティビティ図である。
【
図5】アカウント発行の流れを示すアクティビティ図である。
【
図6】アカウントの紐づけの流れを示すアクティビティ図である。
【
図7】取引の制御の流れを示すアクティビティ図である。
【
図9】権利の移転管理の流れを示すアクティビティ図である。
【
図10】販売処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図11】販売処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図12】転売処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本開示の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置1を用いたシステムの構成例を示した図である。同図に示すように、情報処理装置1は、複数の情報処理端末2(情報処理端末2-1~情報処理端末2-nを総称するものである)と、複数のユーザ端末3(ユーザ端末3-1~ユーザ端末3-mを総称するものである)と、店舗サーバ4とが、ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。なお、店舗サーバ4は、複数台であってもよく、無くてもよい。
【0014】
情報処理装置1は、物品等の販売や所有者を管理する装置である。情報処理端末2は、ブラウザ又は専用のソフトウェアが稼働し、情報処理装置1との通信が可能な装置であり、主に店舗で用いられる。ユーザ端末3は、ブラウザ又は専用のソフトウェアが稼働し、情報処理装置1との通信が可能な装置であり、主に物品等の所有者や、購入を検討している者が用いるものである。店舗サーバ4は、店舗が会員等を管理する際に用いるものである。ネットワーク5は、例えば、インターネットを含むものである。なお、情報処理端末2と、ユーザ端末3は、いずれも、デスクトップ型、ノート型のコンピュータ、タブレット、スマートフォン等のコンピュータで実現することができるものである。
【0015】
2.情報処理システムの構成
次に、情報処理装置1を含む情報処理システムの構成について説明する。情報処理システムは、少なくとも1つの装置からなる情報処理システムであり、情報処理システムでは、後述する情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える。この情報処理システムは、例えば、情報処理装置1により構成される。
図2は、情報処理装置1の構成を示した図である。同図に示すように、情報処理装置1は、処理部11と、記憶部12と、一時記憶部13と、外部装置接続部14と、通信部15とを有しており、これらの構成要素が情報処理装置1の内部において通信バス16を介して電気的に接続されている。
【0016】
処理部11は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)により実現されるもので、記憶部12に記憶された所定のプログラムに従って動作し、種々の機能を実現する。
【0017】
記憶部12は、様々な情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。これは、例えばハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスにより実現される。なお、記憶部12は、情報処理装置1と通信可能な別の装置に配するようにすることも可能である。
【0018】
一時記憶部13は、揮発性の記憶媒体である。これは、例えばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリにより実現され、処理部11が動作する際に一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶する。
【0019】
外部装置接続部14は、例えばユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)や高精細度マルチメディアインターフェース(High-Definition Multimedia Interface:HDMI(登録商標))といった規格に準じた接続部であり、キーボード等の入力装置やモニタ等の表示装置を接続可能としている。
【0020】
通信部15は、例えばローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)規格に準じた通信手段であり、情報処理装置1とローカルエリアネットワークやこれを介したインターネット等のネットワーク5との間の通信を実現する。
【0021】
なお、情報処理装置1には、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能であり、複数のコンピュータを用いて情報処理装置1を構成することも可能である。
【0022】
3.情報処理装置1の機能
次に、情報処理装置1の機能について説明する。情報処理装置1は、物品等の販売や所有者を管理するもので、プログラムにしたがって動作する。このプログラムは、少なくとも1つのコンピュータに、後述する情報処理方法の各ステップを実行させる。具体的には、記憶部12に記憶されているプログラム、つまり、ソフトウェアに基づいて、ハードウェアである処理部11が動作することで、後述する各機能部を実現する。このとき、処理部11は、必要に応じて、記憶部12と、一時記憶部13と、外部装置接続部14と、通信部15とを動作させる。
【0023】
図3は、情報処理装置1の機能的な構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報処理装置1は、付与部101と、取得部102と、判定部103と、発行部104と、管理部105と、変更部106と、課金部107と、受付部108と、特定部109とを備える。これらは、それぞれ、付与ステップと、取得ステップと、判定ステップと、発行ステップと、管理ステップと、変更ステップと、課金ステップと、受付ステップと、特定ステップとを実行する。
【0024】
4.情報処理装置1の動作
次に、情報処理装置1の動作の概要について説明する。
図4は、情報処理装置1の動作の流れの概略を示すアクティビティ図である。情報処理装置1は、情報処理端末2やユーザ端末3等の要求に応じて動作し、アカウント処理要求を受け付ければ、アカウント処理を実行し(A101)、取引要求を受け付ければ、取引制御処理を実行し(A102)、その他のイベント要求を受け付ければ、イベント処理を実行する(A103)。
【0025】
4-1.アカウント処理
ここで、A101のアカウント処理の詳細について説明する。アカウント処理では、アカウントの発行と、店舗等で発行された他のアカウントとの紐づけを行う。
図5は、アカウント発行の流れを示すアクティビティ図である。
【0026】
情報処理装置1は、アカウントの発行の要求を受け付けると、当該要求者に対して氏名等の基本情報の入力を要求し(A1101)、入力された基本情報を取得して(A1102)、アカウントを作成する(A1103)。ここで作成したアカウントは、情報処理装置1の内部でのものであり、正規に発行されたものではない。一方で、情報処理装置1は、アカウントの種別変更の要求を受け付けると、当該要求者に対して発行済のアカウントのアカウント情報の入力を要求し(A1104)、入力されたアカウント情報を取得して(A1105)、種別変更の対象となるアカウントを特定する(A1106)。また、アカウント情報の入力を受け付ける際には、認証処理を行ってもよい。なお、アカウントは、情報処理装置1を利用するための会員に対して発行されるもので、会員には、物品の取り引きを事業として行う事業者を含むものとする。
【0027】
続いて、情報処理装置1は、当該要求者に対して、個人証明情報の入力を要求する(A1107)。この個人証明情報の入力要求に応じて個人証明情報が入力されると、その個人証明情報を取得し(A1108)、取得した個人証明情報に応じて会員種別を判定する(A1109)。例えば、個人情報証明が顔写真付き公的機関発行証明書又はそれに類するものであれば、会員種別を「A」、顔写真付き非公的機関発行証明書又はそれに類するものであれば、会員種別を「B」、SMS(Short Message Service)による応答又はそれに類するものであれば、会員種別を「C」、自己申告のみであれば、会員種別を「D」と判定する。この会員種別は、レベルとして上位のレベルが下位のレベルを包含するものであってもよく、それぞれが別個のものであってもよい。
【0028】
一方、個人証明情報の入力要求に対して、その入力が否定された場合には、会員種別の判定は行わずに、予め定めた会員種別を、当該アカウントに付与するものとする。
【0029】
個人証明情報に応じて会員種別を判定又は個人証明情報の入力が否定されると、情報処理装置1は、判定した会員種別又は予め定めた会員種別を該当するアカウントに付与し(A1110)、要求者に対するアカウントの発行又は会員種別の変更を行う(A1111)。
【0030】
このように、アカウントの発行では、発行ステップと、付与ステップとを含む処理を行う。つまり、発行ステップでは、本人認証を行った希望者に対して、該希望者が会員でないことを条件に、会員としてのアカウントを発行し、付与ステップでは、会員に対して発行されたアカウントに、該会員の本人認証を行った認証方法に応じた会員種別を付与することとなる。なお、同一人に対してアカウントの重複発行を許容し、付与ステップにおいて、同一の会員に対して複数のアカウントが発行された場合には、該複数のアカウントの少なくとも一部のアカウントに付与された会員種別を変更するようにすることも可能である。
【0031】
続いて、アカウントの紐づけについて説明する。
図6は、アカウントの紐づけの流れを示すアクティビティ図である。情報処理装置1は、アカウントの紐づけの要求を受け付けると、当該要求者に対して、会員アカウントでのログインを要求する(A1111)。そして、ログインでの認証が成功すると、紐づけ対象となる店舗等が発行した対象アカウントの情報の入力を要求する(A1112)。入力された対象アカウントが認証に対応するものであれば、その対象アカウントの認証処理を行う(A1113)。ここでの認証処理は、例えば、店舗サーバ4とAPI(Application Programming Interface)による接続によりを行われる。なお、紐づけ対象となる対象アカウントは、会員である店舗が発行したアカウントであるため、認証に対応するか否か、対応する場合の認証方法等は、既知の情報であるため、これを参照して行うことになる。
【0032】
対象アカウントの認証に成功するか、認証に対応していなければ、情報処理装置1は、重複確認を行う(A1114)。ここでの重複確認は、紐づけしようとしている対象アカウントが既に紐づけ済みか否かを確認するもので、対象アカウントが要求者の会員アカウントに紐付けられていないことはもちろんのこと、他人の会員アカウントに紐付けられていないことも確認する。そして、重複がなければ、情報処理装置1は、要求者の会員アカウントに対象アカウントを紐づけて(A1115)、処理を終了する。
【0033】
4-2.取引制御処理
次に、A102の取引制御処理の詳細について説明する。なお、以下では、取り引きの当事者に販売者を含む場合を例として説明するが、個人間の取り引きであっても、同様に処理される。取引制御処理では、取引の制御に加え、権利の移転管理を行う。
図7は、取引の制御の流れを示すアクティビティ図である。なお、ここでは、物品等を購入しようとする購入者が、情報処理装置1に接続した場合を例として説明する。
【0034】
情報処理装置1は、物品等の取引の要求を受け付けると、当該要求を行った購入者に対して、会員アカウントでのログインを要求する(A1201)。そして、ログインでの認証が成功すると、情報処理装置1は、取得ステップとして、取引対象の物品に付された取引種別を取得する(A1202)。この取引種別の取得は、例えば、購入者が店舗により提供される物品等の販売ページから所望の物品等を選択することで行われる。取引種別は、例えば、会員種別が「A」である会員が対象であったり、1会員につき、1品のみであったりと、取引の条件を示すものである。続いて、情報処理装置1は、判定ステップとして、会員種別と取引種別とを比較し、その比較の結果に応じて物品の取り引きの可否を判定する(A1203)。判定の結果、取引が可能であれば、情報処理装置1は、課金ステップとして、物品等の取り引きに際して、非代替トークンの生成に際して設定された権利移転報酬受領者への報酬額を算出し、該算出した報酬額を物品の譲渡人と譲受人との少なくとも一方に課金するための報酬額の算出を行う(A1204)。ただし、物品等の最初の販売、つまり、一次流通の場合は、報酬額は、販売価格に含まれていることが一般的であるので、その場合には、報酬額を0として算出が行われる。
【0035】
ここで、報酬額について説明する。
図8は、報酬額を説明するための図である。物品等の取引においては、当該物品等の製作者40が、販売者20に対して、販売に関するルールを設定するとともに、報酬を受け取る。販売に関するルールは、販売対象となる会員種別の指定や、二次流通以降の報酬額等である。そして、設定されたルールにしたがって、販売者20からユーザ30へ物品等の販売が行われ、その後に、ユーザ30からユーザ31へ、二次流通に相当する転売が行われると、その際に、ユーザ30とユーザ31の少なくとも一方に報酬の支払いが課される。ユーザ31からユーザ32への転売に際しても同様である。これらの報酬が製作者40に支払われない場合には、例えば、後述する権利の移転を停止するなどの措置が取られることになる。
【0036】
情報処理装置1は、報酬額を算出すると、その報酬額を通知するとともに、取引の許可を通知する(A1205)。この取引の許可の通知は、ログインを行った購入者と、該当する物品等を販売する販売者の両者に対して行うようにしてもよい。
【0037】
続いて、権利の移転管理について説明する。
図9は、権利の移転管理の流れを示すアクティビティ図である。なお、ここで説明する権利の移転管理の処理は、
図7を参照して説明した取引制御処理と連続して行ってもよく、それぞれ独立して行われてもよい。
【0038】
情報処理装置1は、権利の移転管理の要求を受け付けると、当該要求を行った要求者に対して、会員アカウントでのログインを要求する(A1211)。そして、ログインでの認証が成功すると、情報処理装置1は、移転要求を受け付け(A1212)、取引条件を確認して、権利の移転の可否を判定する(A1213)。この取引条件は、例えば、譲受人の同一物品の所有数の制限等である。なお、ログインによる認証は、
図7を参照して説明した取引制御処理と連続して行う場合には、省略することもできる。
【0039】
取引条件の確認の結果、権利の移転が可能であれば、情報処理装置1は、管理ステップとして、アカウントと関連付けて物品の取り引きの履歴を記録して管理する(A1214)。関連付けるアカウントは、譲受人のアカウントである。なお、譲渡人のアカウントは、先の取引における履歴として既に管理されている。情報処理装置1は、取引の履歴を記録すると、譲受人と譲渡人の両者に権利の移転が終了した旨を通知し(A1215)、処理を終了する。
【0040】
次に、物品等の販売時の情報処理装置1と、販売者20と、ユーザ30での処理の流れを説明する。
図10は、販売処理の流れを示すシーケンス図である。まず、販売者20が、販売する物品等の陳列(ホームページ等への掲載を含む)を行い、ユーザ30が当該物品等の購入を要求すると(S101)、販売者20は、情報処理装置1へ接続し、当該物品等のユーザ30への販売の可否を確認する(S102)。その結果、情報処理装置1から、取引の許可が通知されると(S103)、販売者20は、ユーザ30へ注文を受け付けた旨の通知を行い(S104)、その後、当該物品等を発送する(S105)。もちろん、物品等を手渡しするようにしてもよい。
【0041】
そして、ユーザ30は、物品等を受領すると、その旨を販売者20に通知する(S106)。この通知は、配送者による配達通知等を利用して自動で行うようにしてもよい。受領通知を受けると、販売者20は、情報処理装置1に、権利の移転を要求し(S107)、情報処理装置1で権利の移転の処理が成されると、その旨が販売者20に通知されるとともに(S108)、ユーザ30にも通知される(S109)。
【0042】
ところで、取引される物品等には、ユニークな識別情報を付与することができ、この場合、管理ステップでは、識別情報とアカウントと関連付けて物品の取り引きの履歴を管理するようにしてもよい。具体的には、物品の取り引きの履歴は、非代替トークンをアカウント間で取引することでブロックチェーン上に記録される。ユニークな識別情報は、物品に当該識別情報が記録されるICチップを付加することにより付与するようにしてもよい。
【0043】
物品等にICチップが付加されている場合、物品等を購入したユーザがICチップに記録された情報を読み取れない場合がある。その場合には、販売者側で、ICチップに記録された情報を読み取って、権利移転を済ませた後に、ユーザへ該当する物品等を配送することもできる。
【0044】
ここで、物品等の販売時の情報処理装置1と、販売者20と、ユーザ30での処理の別の流れを説明する。
図11は、販売処理の流れを示すシーケンス図である。まず、販売者20が、販売する物品等の陳列(ホームページ等への掲載を含む)を行い、ユーザ30が当該物品等の購入を要求すると(S111)、販売者20は、情報処理装置1へ接続し、当該物品等のユーザ30への販売の可否を確認する(S112)。その結果、情報処理装置1から、取引の許可が通知されると(S113)、販売者20は、ユーザ30へ注文を受け付けた旨の通知を行い(S114)、その後、販売者20は、情報処理装置1に、権利の移転を要求する(S115)。情報処理装置1で権利の移転の処理が成されると、その旨が販売者20に通知されるとともに(S116)、ユーザ30にも通知される(S117)。この通知を受けると、販売者20は、当該物品等を発送する(S118)。そして、ユーザ30は、物品等を受領すると、その旨を販売者20に通知する(S119)。
【0045】
次に、ユーザ30が物品等をユーザ31に転売する際の情報処理装置1と、仲介を行う販売者21と、ユーザ30と、ユーザ31とでの処理の流れを説明する。
図12は、転売処理の流れを示すシーケンス図である。ここでは、ユーザ30が物品等を所有した状態で、ユーザ31への転売を行うものとする。なお、ユーザ30が物品等を販売者21へ委託して転売を行う場合は、先に説明した販売の流れと同様となるため、ここでの説明は省略する。
【0046】
まず、ユーザ30が販売する物品等の陳列(ホームページ等への掲載を含む)を販売者21へ要求すると(S201)、販売者21が、当該物品等の陳列を行う。このとき、販売者21は、ユーザ30が陳列する物品等の現在の所有者であるか否かの確認を行う。この確認は、物品の取引履歴から現在の所有者を特定する。この際、ICチップの読み込みによって物品を特定し、その取引履歴の確認を行ってもよい。その後、ユーザ31が当該物品等の購入を要求すると(S202)、販売者21は、情報処理装置1へ接続し、当該物品等のユーザ31への販売の可否を確認する(S203)。その結果、情報処理装置1から、取引の許可が通知されると(S204)、販売者21は、ユーザ31へ注文を受け付けた旨の通知を行い(S205)、その後、ユーザ30へ受注があった旨を通知する(S206)。
【0047】
受注の通知を受けると、ユーザ30は、当該物品等を発送する(S207)。そして、ユーザ31は、物品等を受領すると、その旨を販売者21に通知する(S208)。この通知は、配送者による配達通知等を利用して自動で行うようにしてもよい。受領通知を受けると、販売者21は、情報処理装置1に、権利の移転を要求し(S209)、情報処理装置1で権利の移転の処理が成されると、その旨がユーザ31に通知されるとともに(S210)、ユーザ30にも通知される(S211)。
【0048】
4-3.イベント処理
次に、A103のイベント処理の詳細について説明する。イベント処理では、様々な処理を行う。例えば、物品等の短期間での転売を防止する処理、権利移転を伴わずに移転が行われた物品等の再登録処理、物品等を所持するユーザに対するキャンペーン処理等を行うことができる。
【0049】
例えば、物品等の短期間での転売を防止する処理では、情報処理装置1は、変更ステップとして、物品等の取り引きの履歴に基づいて、該履歴と関連付けられたアカウントに付与された会員種別を変更する。具体的には、物品等の短期間での転売を多数行っている会員の会員種別を、取引が制限される可能性の高い会員種別に変更する。例えば、会員種別の要素として、認証方法に応じた「A」、「B」、「C」、取引履歴に応じた「a」、「b」、「c」があり、これらを組み合わせた「Aa」などを会員種別としていた場合、会員種別「Bb」を物品等の取り引きの履歴に基づいて「Bc」に変更する。また、会員種別を、認証方法に応じた会員種別Iと、取引履歴に応じた会員種別IIといったように、分けて取り扱うようにすることも可能である。
【0050】
また、権利移転を伴わずに移転が行われた物品等の再登録処理では、情報処理装置1は、受付ステップとして、物品等の識別情報とともに、再登録要求を受け付ける。そして、情報処理装置1は、管理ステップとして、再登録要求を受け付けた場合には、識別情報とアカウントと関連付けた新たな非代替トークンをブロックチェーン上に記録する。もちろん、ICチップが付加されていない物品等の再登録も可能であるが、この場合、当該物品が本物(オリジナル)であることが確認できないため、再登録が制限される場合もある。
【0051】
また、物品等を所持するユーザに対するキャンペーン処理では、情報処理装置1は、特定ステップとして、所定条件に基づいて会員を特定する。所定条件は、物品の所有期間と、物品の所有数と、物品の種類との少なくとも1つを含むもので、これにより、キャンペーン等の対象者を特定することが可能となる。
【0052】
さらに、イベント処理では、ユーザによる権利の確認等にも対応することができ、情報処理装置1に対して、ユーザが物品等の識別情報を含む問い合わせを行うことにより、情報処理装置1は、当該ユーザが登録された所持者であるか否かを回答することができる。
【0053】
7.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0054】
(1)情報処理システムによって実行される情報処理方法であって、付与ステップと、取得ステップと、判定ステップとを備え、前記付与ステップでは、会員に対して発行されたアカウントに、該会員の本人認証を行った認証方法に応じた会員種別を付与し、前記取得ステップでは、取引対象の物品に付された取引種別を取得し、前記判定ステップでは、前記会員種別と前記取引種別とを比較し、該比較の結果に応じて前記物品の取り引きの可否を判定する情報処理方法。
【0055】
(2)上記(1)に記載の情報処理方法において、発行ステップを備え、前記発行ステップでは、本人認証を行った希望者に対して、該希望者が前記会員でないことを条件に、前記会員としてのアカウントを発行する情報処理方法。
【0056】
(3)上記(1)に記載の情報処理方法において、前記付与ステップでは、同一の会員に対して複数のアカウントが発行された場合には、該複数のアカウントの少なくとも一部のアカウントに付与された会員種別を変更する情報処理方法。
【0057】
(4)上記(1)に記載の情報処理方法において、前記会員は、前記物品の取り引きを事業として行う事業者を含む情報処理方法。
【0058】
(5)上記(1)に記載の情報処理方法において、管理ステップを備え、前記管理ステップでは、前記アカウントと関連付けて前記物品の取り引きの履歴を管理する情報処理方法。
【0059】
(6)上記(5)に記載の情報処理方法において、変更ステップを備え、前記変更ステップでは、前記物品の取り引きの履歴に基づいて、該履歴と関連付けられたアカウントに付与された会員種別を変更する情報処理方法。
【0060】
(7)上記(5)に記載の情報処理方法において、前記物品は、ユニークな識別情報が付与され、前記管理ステップでは、前記識別情報と前記アカウントと関連付けて前記物品の取り引きの履歴を管理し、前記物品の取り引きの履歴は、非代替トークンをアカウント間で取引することでブロックチェーン上に記録される情報処理方法。
【0061】
(8)上記(7)に記載の情報処理方法において、前記物品は、前記識別情報が記録されたICチップが付加される、情報処理方法。
【0062】
(9)上記(7)に記載の情報処理方法において、課金ステップを備え、前記課金ステップでは、前記物品の取り引きに際して、前記非代替トークンの生成に際して設定された権利移転報酬受領者への報酬額を算出し、該算出した報酬額を前記物品の譲渡人と譲受人との少なくとも一方に課金する情報処理方法。
【0063】
(10)上記(7)に記載の情報処理方法において、受付ステップを備え、前記受付ステップでは、前記識別情報とともに、再登録要求を受け付け、前記管理ステップでは、前記再登録要求を受け付けた場合には、前記識別情報と前記アカウントと関連付けた新たな非代替トークンをブロックチェーン上に記録する情報処理方法。
【0064】
(11)上記(5)に記載の情報処理方法において、特定ステップを備え、前記特定ステップでは、所定条件に基づいて前記会員を特定し、前記所定条件は、前記物品の所有期間と、前記物品の所有数と、前記物品の種類との少なくとも1つを含む情報処理方法。
【0065】
(12)少なくとも1つの装置からなる情報処理システムであって、上記(1)乃至(11)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各ステップがなされるようにプログラムを実行可能な、少なくとも1つのプロセッサを備える情報処理システム。
【0066】
(13)プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、上記(1)乃至(11)のいずれか1つに記載の情報処理方法の各ステップを実行させる、プログラム。
もちろん、この限りではない。
【0067】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 :情報処理装置
2 :情報処理端末
2-1 :情報処理端末
2-n :情報処理端末
3 :ユーザ端末
3-1 :ユーザ端末
3-m :ユーザ端末
4 :店舗サーバ
5 :ネットワーク
11 :処理部
12 :記憶部
13 :一時記憶部
14 :外部装置接続部
15 :通信部
16 :通信バス
20 :販売者
21 :販売者
30 :ユーザ
31 :ユーザ
32 :ユーザ
40 :製作者
101 :付与部
102 :取得部
103 :判定部
104 :発行部
105 :管理部
106 :変更部
107 :課金部
108 :受付部
109 :特定部