(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110302
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】監視システム、監視装置、監視方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20240807BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240807BHJP
B61L 25/04 20060101ALI20240807BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240807BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240807BHJP
【FI】
B61B1/02
H04N7/18 D
B61L25/04
B61L23/00 Z
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014825
(22)【出願日】2023-02-02
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇大
(72)【発明者】
【氏名】石河 範明
(72)【発明者】
【氏名】野間 拓耶
(72)【発明者】
【氏名】植草 秀明
【テーマコード(参考)】
3D101
5C054
5H161
5L096
【Fターム(参考)】
3D101AD11
5C054DA09
5C054FA00
5C054FC12
5C054FE12
5C054HA18
5C054HA26
5H161AA01
5H161CC11
5H161MM01
5H161MM15
5H161NN10
5H161PP01
5H161PP11
5H161QQ01
5H161QQ03
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA69
5L096HA09
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】より簡易にドアにおける異物の挟み込みを検知することが可能な技術を提供する
【解決手段】一実施形態に係る監視システム100は、駅STのホームPFに設置され、ホームPFに停車している鉄道車両200のドアDRが設けられる側面を含む画像を取得する撮像部110と、撮像部110により取得される画像に含まれる人を認識する人認識部120と、撮像部110により取得される画像の全領域のうちの人が含まれる第1の領域以外を対象として、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知する検知部140と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のホームに設置され、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像を取得する撮像部と、
前記画像に含まれる人を認識する認識部と、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知部と、を備える、
監視システム。
【請求項2】
第1の抽出部を備え、
前記認識部は、前記画像の中の前記人が含まれる矩形領域を認識し、
前記第1の抽出部は、前記矩形領域に基づき、前記画像の中の前記第1の領域以外の領域を抽出し、
前記検知部は、前記第1の抽出部により抽出される領域で、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記矩形領域の中から前記人が映っている前記第1の領域を抽出する第2の抽出部を備え、
前記第1の抽出部は、前記第2の抽出部により抽出される前記第1の領域以外の領域を抽出する、
請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記第1の抽出部は、前記画像の中の前記鉄道車両の側面に該当する第2の領域のうちの前記第1の領域以外の領域を抽出する、
請求項2に記載の監視システム。
【請求項5】
前記認識部は、前記画像の中の前記鉄道車両の側面に該当する前記第2の領域で前記人を認識する、
請求項4に記載の監視システム。
【請求項6】
前記鉄道車両の側面の前後方向での撮像範囲が互いに異なり且つ前記前後方向で隣り合う前記撮像部同士の撮像範囲の一部が重複する、複数の前記撮像部を備える、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記検知部は、前記前後方向で隣り合う前記撮像部同士のそれぞれにより取得される前記画像に基づき、双方の前記撮像部の撮像範囲に含まれる同じ前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する、
請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記ホーム又は前記鉄道車両の運転室若しくは車掌室に設けられ、前記検知部の検知結果を表示する表示部を備える、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項9】
駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識部と、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知部と、を備える、
監視装置。
【請求項10】
情報処理装置が、駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識ステップと、
前記情報処理装置が、前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知ステップと、を含む、
監視方法。
【請求項11】
情報処理装置に、
駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識ステップと、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知ステップと、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、鉄道車両のドアごとに、2枚のドアパネルの突合せ部分を撮像範囲に含むカメラを設け、カメラの画像に基づきドアにおける異物の挟み込み(戸挟み)を検知する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術では、鉄道車両のドアごとにカメラが設けられる必要がある。また、例えば、ドアごとの画像を解析する必要が生じ、その結果、画像解析のために必要なハードウェアリソースが増大を招く必要がある。そのため、ドアにおける異物の挟み込みの検知を実現するための構成が複雑になる可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、より簡易にドアにおける異物の挟み込みを検知することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
駅のホームに設置され、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像を取得する撮像部と、
前記画像に含まれる人を認識する認識部と、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知部と、を備える、
監視システムが提供される。
【0007】
また、本開示の他の実施形態では、
駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識部と、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知部と、を備える、
監視装置が提供される。
【0008】
また、本開示の更に他の実施形態では、
情報処理装置が、駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識ステップと、
前記情報処理装置が、前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知ステップと、を含む、
監視方法が提供される。
【0009】
また、本開示の更に他の実施形態では、
情報処理装置に、
駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する認識ステップと、
前記画像の全領域のうちの前記人が含まれる第1の領域以外を対象として、前記ドアにおける異物の挟み込みを検知する検知ステップと、を実行させる、
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
上述の実施形態によれば、より簡易にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】撮像部の配置及び撮像範囲の一例を示す図である。
【
図3】撮像部の配置及び撮像範囲の他の例を示す図である。
【
図4】人認識部による認識処理の結果の一例を示す図である。
【
図8】検知部による検知結果の一例を示す図である。
【
図9】比較例に係る監視システムの検知部による検知結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0013】
[監視システムの一例]
図1~
図8を参照して、監視システム100の一例について説明する。
【0014】
図1は、監視システム100の一例を示す図である。
図2は、撮像部110の配置及び撮像範囲の一例を示す図である。
図3は、撮像部110の配置及び撮像範囲の他の例を示す図である。
図4は、人認識部120による認識処理の結果の一例を示す図である。
図5は、マスク処理の一例を示す図である。
図6は、監視範囲の具体例を示す図である。具体的には、
図6は、
図2の撮像部110A~110Cのそれぞれにより取得される画像6A,6B,6Cに指定される監視範囲MR_A,MR_B,MR_Cを示す図である。
図7は、マスク処理の他の例を示す図である。
図8は、検知部140による検知結果の一例を示す図である。
【0015】
尚、
図3では、便宜的に、3台の撮像部110が撮像部110A~110Cにより区別されている。同様に、
図4では、便宜的に、4台の撮像部110が撮像部110A~110Dにより区別されている。
【0016】
監視システム100は、駅STに設置され、駅STのホームPFやホームPFに入線し停車する鉄道車両200の状況を監視する。
【0017】
例えば、監視システム100は、駅STに停車中の鉄道車両200のドアDRが閉じられた場合、ドアDRにおける異物の挟み込みの有無を監視する。
【0018】
監視システム100は、撮像部110と、人認識部120と、前処理部130と、検知部140と、表示部150とを含む。
【0019】
撮像部110は、ホームPFに設けられ、鉄道車両200のドアDRが設けられる側面を含む撮像範囲を撮像する。これにより、撮像部110は、鉄道車両200の側面を含む画像を取得することができる。
【0020】
例えば、撮像部110は、ホームPFに常設される単眼型の監視カメラであり、ホームPFの天井部に取り付けられる。
【0021】
例えば、
図1に示すように、撮像部110は、1台設けられ、その撮像範囲は、監視範囲全体をカバーするように設定される。
【0022】
また、
図2、
図3に示すように、撮像部110は、複数台設けられてもよい。
【0023】
図2に示すように、本例では、5両編成の鉄道車両200に対して、3台の撮像部110(撮像部110A~110C)が設けられる。また、
図3に示すように、本例では、6両編成の鉄道車両200に対して、3台の撮像部110(撮像部110B~110D)が設けられる。
【0024】
例えば、
図2の撮像部110A~110Cは、互いに異なる撮像範囲IR_A,IR_B,IR_Cを有する。そして、撮像部110A~110Cは、撮像範囲IR_A,IR_B,IR_Cの全体で、鉄道車両200(5両編成)の前後方向のホームPF側の全てのドアDRを含む、鉄道車両200の側面部分を撮像可能な撮像範囲を有する。これにより、後述の検知部140は、全ての撮像部110の画像に基づき、鉄道車両200のホームPF側の全てのドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【0025】
また、
図3の他の例では、
図2の一例に対して、6両編成の鉄道車両200に合わせて、最後尾の車両の側面を撮像可能な撮像部110Dが追加される。一方、
図3の他の例では、
図2の一例に対して、先頭車両の側面全体及び2両目の車両の側面の一部を撮像可能な撮像部110Aが省略される。運転室がある先頭車両付近のドアDRについては、運転士が目視によって異物の挟み込みの有無等を監視可能だからである。
【0026】
尚、
図2の一例についても、
図3の他の例と同様に、撮像部110Aが省略されてもよい。
図3の他の例についても、
図2の一例と同様に、撮像部110Aが設けられてもよい。
【0027】
また、
図2の撮像部110A~110Cは、ホームPFの長手方向(即ち、5両編成の鉄道車両200の前後方向)に並ぶように配置され、隣り合う撮像部110同士は、撮像範囲が重なるように配置されてもよい。同様に、
図3の撮像部110B~110Dは、ホームPFの長手方向(即ち、6両編成の鉄道車両200の前後方向)に並ぶように配置され、隣り合う撮像部110同士は、撮像範囲が重なるように配置されてもよい。これにより、後述の検知部140は、隣り合う2つの撮像部110の双方の画像を用いて、撮像範囲が重複する部分に存在するドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、例えば、あるドアDRに異物の挟み込みが発生しているにも関わらず、何等かの理由で一方の画像を用いてそのドアDRにおける異物の挟み込みが検知できなくても、他方の画像を用いてそのドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる場合がある。逆に、例えば、あるドアDRに異物の挟み込みが発生していないにも関わらず、何等かの理由で一方の画像を用いてそのドアDRにおける異物の挟み込みが検知されても、他方の画像を用いてそのドアDRにおける異物の挟み込みがないと判定することができる場合がある。よって、検知部140は、一方の画像に基づく対象のドアDRの異物の挟み込みの検知結果と、他方の画像に基づく対象のドアDRの異物の挟み込みの検知結果とを総合的に判断し、対象のドアDRにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0028】
撮像部110は、例えば、駅STの営業時間内で、1/30秒ごとに、画像を取得しそのデータを出力する。撮像部110は、人認識部120と一対一の通信線やローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)等を通じて通信可能に接続され、撮像部110の出力(画像のデータ)は、人認識部120に取り込まれる。
【0029】
人認識部120は、撮像部110により取得される画像に基づき、画像解析を行い、その画像に含まれる(映っている)人を認識する。
【0030】
人認識部120は、所定の処理周期ごとに、撮像部110から入力される最新の画像データに基づき、画像に含まれる人の認識処理を行い、元データ(画像データ)及び認識処理の結果を出力する。認識処理の結果には、人の認識の有無、及び人が認識された場合の画像の中の人が含まれる領域(例えば、矩形領域)を表す情報が含まれる。
【0031】
人認識部120の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、人認識部120は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータ(情報処理装置)を中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。補助記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等である。インタフェース装置には、例えば、撮像部110や前処理部130等の監視システム100の他の構成要素と通信を行うための通信インタフェースが含まれる。また、インタフェース装置には、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースが含まれる。これにより、人認識部120は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込み、補助記憶装置にインストールすることができる。また、情報処理装置は、更に、CPUと連動する高速演算装置を含んでもよい。高速演算装置は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を含む。
【0032】
例えば、人認識部120は、画像データから得られる局所特徴量や画像データそのものに基づき、学習済みモデルを適用して、画像の中の人を認識し、画像上でのその人が含まれる領域を推定する。
【0033】
学習済みモデルは、例えば、教師データセットを用いて、ベースの学習モデルが機械学習(教師あり学習)されることにより得られる。学習済みモデルは、人認識部120において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよいし、人認識部120とは別の情報処理装置において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよい。例えば、教師データセットに含まれる個々の教師データは、入力データとしての画像から得られる画像特徴量或いは画像データそのものと、出力データとしての画像上の人が含まれる画像部分を指定するデータとの組み合わせである。これにより、学習済みモデルは、画像データから得られる画像特徴量や画像データそのものを入力として、画像上の人を認識し、画像上の人が含まれる領域(矩形領域)のデータを出力することができる。例えば、学習済みモデルは、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)を中心に構成され、教師データに基づくバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)が適用されることによりDNNの機械学習が効率化される。また、学習済みモデルは、画像データを入力として画像データから人を認識可能なU-Netを含んでもよい。
【0034】
また、人認識部120は、画像データの特徴点や局所特徴量等に基づき、パターンマッチング等のルールベースのアルゴリズムを適用し、画像の中の人を認識してもよい。
【0035】
例えば、
図4に示すように、撮像部110により取得された画像400には、ホームPFに隣り合うように停車している鉄道車両200と共に、ホームPFに立っている人Mが映っている。本例では、人認識部120は、撮像部110により取得された最新の画像400から人Mを認識し、人Mが含まれる矩形領域401を推定する。
【0036】
人認識部120は、前処理部130と一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて通信可能に接続され、人認識部120の出力(画像データ、及び認識処理の結果)は、前処理部130に取り込まれる。
【0037】
前処理部130は、検知部140による処理のための前処理を行う。前処理部130は、人認識部120の出力が取り込まれると、その中に含まれる画像データに対して前処理を施す。
【0038】
前処理部130の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、前処理部130は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータ(情報処理装置)を中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM等である。補助記憶装置は、例えば、HDDやSSDやフラッシュメモリやEEPROM等である。インタフェース装置には、例えば、人認識部120や検知部140等の監視システム100の他の構成要素と通信を行うための通信インタフェースが含まれる。また、インタフェース装置には、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースが含まれる。これにより、前処理部130は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込み、補助記憶装置にインストールすることができる。また、情報処理装置は、更に、CPUと連動する高速演算装置を含んでもよい。高速演算装置は、例えば、GPUやFPGAやASIC等を含む。
【0039】
例えば、人認識部120により人が認識されていない場合、前処理部130は、人認識部120から取り込まれる画像(即ち、撮像部110により取得された最新の画像)の中から監視範囲に相当する領域を抽出する。監視範囲に相当する領域は、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知するために予め設定される。例えば、監視範囲は、撮像部110により取得される画像の中の鉄道車両200の側面に相当する領域である。
【0040】
具体的には、撮像部110により取得された最新の画像に対して、マスク処理を施すことにより、撮像部110により取得された最新の画像の中の監視範囲の画像を抽出する。
【0041】
例えば、
図5に示すように、撮像部110により取得された最新の画像500と、画像500における抽出したい領域を特定する基準画像510の画像間演算処理によって、画像500の中の監視範囲の画像520を抽出する。抽出したい領域は、監視範囲に相当する領域である。
【0042】
撮像部110の位置及び姿勢は、固定されている。そのため、撮像部110により取得される画像500の中の監視範囲に相当する領域は予め固定される。
【0043】
基準画像510は、例えば、白と黒等、"0"と"1"で表される2値化画像である。基準画像510は、画像500でマスクされるマスク領域511と、画像500からの抽出対象の抽出領域512とを含む。マスク領域511は、画像500において、鉄道車両200の側面以外のものが映る領域に相当し、ホームPF、並びに鉄道車両200の上部及び上方等が映る領域である。抽出領域512は、監視範囲に相当する鉄道車両200のドアDRが設けられる側面部分に相当する領域である。これにより、前処理部130は、画像500の中のマスク領域511がマスクされ、鉄道車両200の側面部分に対応する監視範囲のみが表示される画像520を抽出することができる。
【0044】
また、
図6に示すように、撮像部110A~110Cのそれぞれにより取得される画像6A~6Cごとに、監視範囲MR_A,MR_B,MR_Cが規定され、その監視範囲に合わせたマスク処理が行われる。
【0045】
本例では、画像6A~6Cの監視範囲MR_A,MR_B,MR_Cは、互いに、鉄道車両200のホームPF側のドアDRが重複して含まれないように設定される。つまり、検知部140は、鉄道車両200のホーム側の任意のドアにおける異物の挟み込みの検知(異物の挟み込みの有無の判定)を、画像6A~6Cの何れか1つのみによって行う。そのため、本例では、画像6Aにおいて、監視範囲MR_Aは、鉄道車両200の側面に相当する全領域のうちの鉄道車両200の前後方向の一部の区間に限定されている。同様に、画像6Bにおいて、監視範囲MR_Bは、鉄道車両200の側面に相当する全領域のうちの鉄道車両200の前後方向の一部の区間に限定されている。同様に、画像6Cにおいて、監視範囲MR_Cは、鉄道車両200の側面に相当する全領域のうちの鉄道車両200の前後方向の一部の区間に限定されている。
【0046】
尚、画像6A,6Bの監視範囲MR_A,MR_Bは、互いに、鉄道車両200のホームPF側のドアDRの一部が重複して含まれるように設定されてもよい。同様に、画像6B,6Cの監視範囲MR_B,MR_Cは、互いに、鉄道車両200のホームPF側のドアDRの一部が重複して含まれるように設定されてもよい。これにより、検知部140は、例えば、監視範囲MR_A,MR_Bに重複して含まれるドアDRについて、画像6A,6Bの双方に基づき、対象のドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、検知部140は、対象のドアDRにおける異物の挟み込みをより適切に検知することができる。
【0047】
一方、人認識部120により人が認識されている場合、前処理部130は、撮像部110により取得された最新の画像の中から、監視範囲に相当する領域から人が含まれる矩形領域を除外した領域を抽出する。
【0048】
例えば、
図7に示すように、撮像部110により取得された最新の画像700と画像700における抽出したい領域を特定する基準画像710との画像間演算処理によって、画像700の中の監視範囲から人が含まれる領域を除外した画像720を抽出する。
【0049】
画像700は、
図4の画像400に相当し、ホームPFに人Mが立っている。そのため、本例では、人認識部120によって、人Mを含む矩形領域が認識処理の結果として出力されている。
【0050】
基準画像710は、上述の基準画像510と同様、2値化画像である。基準画像710は、画像700でマスクされるマスク領域711と、画像700からの抽出対象の抽出領域712とを含む。マスク領域711は、人M等の遮蔽物がないと仮定したときに、画像700における鉄道車両200の側面以外のものが映る領域と、人Mを含む矩形領域との和集合に相当する領域である。具体的には、マスク領域711は、上述の基準画像510におけるマスク領域511と、人Mに対応する矩形領域711Aとの和集合に相当する領域である。抽出領域512は、監視範囲に相当する鉄道車両200のドアDRが設けられる側面部分に相当する領域から人Mに対応する矩形領域711Aを除外した領域である。これにより、前処理部130は、画像700の中のマスク領域711がマスクされ、鉄道車両200の側面部分に対応する監視範囲から人Mを含む矩形領域が除外された領域のみが表示される画像720を抽出することができる。
【0051】
尚、人認識部120により人が認識されている場合であっても、人が含まれる矩形領域が監視範囲に重複しない場合、前処理部130は、撮像部110により取得される最新の画像の中の監視範囲に相当する領域のみの画像を抽出する。以下、後述の他の例(
図10)の場合についても同様である。
【0052】
前処理部130は、検知部140と一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて通信可能に接続され、前処理部130の出力(前処理後の画像)は、前処理部130に取り込まれる。前処理後の画像は、撮像部110により取得された最新の画像の中の監視範囲に相当する領域のみの画像、或いは、撮像部110により取得された最新の画像の中の監視範囲に相当する領域から人を含む矩形領域が除外された領域のみの画像である。
【0053】
尚、前処理部130は、人認識部120により認識された人を含む矩形領域のみをマスク処理した画像を抽出してもよい。また、前処理部130は、2段階で前処理を行ってもよい。例えば、第1段階として、前処理部130は、撮像部110により取得された最新の画像の中の鉄道車両200の側面部分に相当する領域のみの画像(例えば、画像520)を抽出する。そして、人認識部120は、前処理部130による第1段階の前処理後の画像に含まれる人を認識する処理を行う。ここで、人認識部120により人が認識される場合、第2段階として、前処理部130は、第1段階の前処理後の画像から人認識部120により認識された人を含む領域を除外した画像(例えば、画像720)を抽出する。
【0054】
検知部140は、前処理部130の出力(前処理後の画像)に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知する。即ち、検知部140は、異物の挟み込みの有無を判定する。
【0055】
検知部140の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、検知部140は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータ(情報処理装置)を中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM等である。補助記憶装置は、例えば、HDDやSSDやフラッシュメモリやEEPROM等である。インタフェース装置には、例えば、前処理部130や表示部150等の監視システム100の他の構成要素と通信を行うための通信インタフェースが含まれる。また、インタフェース装置には、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースが含まれる。これにより、検知部140は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込み、補助記憶装置にインストールすることができる。また、情報処理装置は、更に、CPUと連動する高速演算装置を含んでもよい。高速演算装置は、例えば、GPUやFPGAやASIC等を含む。
【0056】
例えば、検知部140は、前処理後の画像のデータから得られる局所特徴量や画像のデータそのものに基づき、学習済みモデルを適用して、ドアDRにおける異物の挟み込みの有無、及び画像上の異物の位置を推定する。
【0057】
学習済みモデルは、例えば、学習データセットを用いて、ベースの学習モデルが機械学習されることにより得られる。学習済みモデルは、検知部140において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよいし、検知部140とは別の情報処理装置において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよい。例えば、学習データセットに含まれる個々の学習データは、異物の挟み込みが発生していない状態の鉄道車両200の側面部分が抽出された画像(例えば、画像520)のデータである。これにより、学習モデルは、学習データセットによって、異物の挟み込みが発生していない正常な状態を学習することができる。その結果、学習済みモデルは、ドアDRにおける異物の挟み込みが生じている画像が入力されると、ドアDRにおける異物の挟み込みありの異常状態と推定し、画像上の異常に相当する箇所を推定することができる。また、学習済みモデルは、正常状態を表す学習データと、異常状態を表す学習データとの双方を含む学習データセット(教師データセット)を用いて、ベースの学習モデルが機械学習(教師あり学習)されることにより得られてもよい。例えば、学習済みモデルは、DNNを中心に構成され、教師データに基づくバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)が適用されることによりDNNの機械学習が効率化される。
【0058】
また、検知部140は、前処理後の画像と、異物の挟み込みが発生していない正常な状態の鉄道車両200の側面部分に相当する基準画像とを比較することにより、ドアDRにおける異物の挟み込みの有無、及び画像上の異物の位置を推定してもよい。例えば、検知部140は、前処理後の画像の局所特徴量と、基準画像の局所特徴量とに基づき、既知のパターンマッチング等のルールベースのアルゴリズムを適用し、ドアDRにおける異物の挟み込みの有無、及び画像上の異物の位置を推定する。
【0059】
検知部140は、表示部150と一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて通信可能に接続され、検知部140の出力(前処理前或いは前処理後の画像データ、及び検知処理の結果)は、表示部150に取り込まれる。
【0060】
尚、人認識部120、前処理部130、及び検知部140の機能は、その少なくとも2つが1つの情報処理装置により実現されることで、全体として、2つ以下の情報処理装置によって実現されてもよい。また、人認識部120、前処理部130、及び検知部140の機能は、4つ以上の情報処理装置により分散して実現されてもよい。
【0061】
表示部150は、検知部140の検知結果を表示する。
【0062】
表示部150は、例えば、ホームPFに設置され、駅STの駅員や停車中の鉄道車両200の乗務員に対して、検知部140の検知結果を表示する。また、表示部150は、鉄道車両200の運転室や車掌室に設置され、鉄道車両200の乗務員に対して、検知部140の検知結果を表示してもよい。この場合、表示部150は、無線のローカルネットワークやブルートゥース、WiFi等の近距離通信回線等を通じて、検知部140の出力を取得する。表示部150は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。
【0063】
例えば、
図8Aに示すように、検知部140は、前処理部130による前処理後の画像800に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知する。本例では、画像800の鉄道車両200の側面部分の左側のドアDRには、異物としての傘FOが挟み込まれている。そのため、検知部140は、画像800上の傘FOの存在によって、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知し、画像800における異物としての傘FOの位置を推定する。
【0064】
図8Bに示すように、表示部150は、検知部140の検知結果を表す画像810を表示する。本例では、画像810は、画像800と、画像800に重畳して表示される画像811,812を含む。
【0065】
画像811は、ドアDRにおける異物の挟み込みが検知されたことを表す文字情報("異常(異物あり)")を含む。これにより、ホームPFの駅員や鉄道車両200の乗務員は、ドアDRにおける異物の挟み込みが発生していることを容易に認識することができる。
【0066】
画像812は、検知された異物に対応する画像部分を表す目印である。これにより、ホームPFの駅員や鉄道車両200の乗務員は、どの場所で異物の挟み込みが発生しており、その異物がどのようなものであるかを認識することができる。
【0067】
尚、表示部150に表示される画像を生成する処理は、表示部150に搭載される情報処理装置(例えば、マイクロコンピュータ)によって実施されてもよいし、検知部140により実施されてもよい。
【0068】
このように、本例では、監視システム100(検知部140)は、撮像部110により取得される画像の全領域のうちの人が含まれる矩形領域を除く領域を対象として、鉄道車両200のドアDRにおける異物の挟み込みを検知する。
【0069】
例えば、
図9Aに示すように、人Mが含まれる矩形領域がマスク処理されない前処理後の画像900を用いると、人MがドアDR付近に映りこんでいる場合、検知部140は、人MをドアDRに挟み込まれた異物と誤検知する可能性がある。その結果、
図9Bに示すように、表示部150は、ドアDRにおける異物の挟み込みが生じていないにも関わらず、ドアDRにおける異物の挟み込みが検知されたことを表す文字情報の画像911、及び検知された異物に対応する目印の画像912を含む画像910を表示する。そのため、駅STの駅員や鉄道車両200の乗務員は、不要な確認作業が必要になると共に、ドアDRの再度の開閉操作が必要になり、鉄道車両200の運転遅延が生じる可能性がある。
【0070】
これに対して、本例では、撮像部110により取得される画像に映っている人を含む領域がドアDRにおける異物の挟み込みの検知対象の領域から除外される。これにより、監視システム100は、ホームPFに設けられる撮像部110により取得される画像に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0071】
尚、監視システム100は、撮像部110により取得されている画像に映っている人だけでなく、人が所持している或いはホームPFに載置されている荷物(例えば、大型のスーツケースやスキー、スノーボード、ゴルフバッグ等の長尺の荷物)を認識してもよい。撮像部110により取得されている画像において、荷物が鉄道車両200の側面部分の前面に被るように映り込む場合もありうるからである。これにより、監視システム100は、撮像部110により取得される画像の全領域のうちの人及び荷物が含まれる矩形領域を除く領域を対象として、鉄道車両200のドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、監視システム100は、ドアDRにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0072】
[監視システムの他の例]
次に、
図10、
図11を参照して、監視システム100の他の例について説明する。
【0073】
以下、上述の一例(
図1)と異なる部分を中心に説明し、上述の一例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
【0074】
図10は、監視システム100の他の例を示す図である。
図11は、マスク処理の更に他の例を示す図である。
【0075】
図10に示すように、監視システム100は、上述の一例(
図1)と同様、撮像部110と、人認識部120と、前処理部130と、検知部140と、表示部150とを含む。また、本例では、監視システム100は、セグメンテーション部160を含む。
【0076】
人認識部120は、前処理部130及びセグメンテーション部160のそれぞれと一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて通信可能に接続される。例えば、人認識部120により人が認識されていない場合、人認識部120の出力(画像データ、及び認識処理の結果)は、前処理部130に取り込まれる。一方、人認識部120により人が認識されている場合、人認識部120の出力(画像データ、及び認識処理の結果)は、セグメンテーション部160に取り込まれる。
【0077】
セグメンテーション部160は、人認識部120により出力される、撮像部110の最新の画像の中の認識された人が含まれる矩形領域について、人に該当する領域と背景に該当する領域とに分割する処理(セグメンテーション)を行う。これにより、セグメンテーション部160は、人認識部120により出力される、撮像部110の最新の画像の中の認識された人が含まれる矩形領域から、人に該当する(即ち、人が映っている)領域を抽出することができる。
【0078】
セグメンテーション部160の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、セグメンテーション部160は、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータ(情報処理装置)を中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMやDRAM等である。補助記憶装置は、例えば、HDDやSSDやフラッシュメモリやEEPROM等である。インタフェース装置には、例えば、人認識部120や前処理部130等の監視システム100の他の構成要素と通信を行うための通信インタフェースが含まれる。また、インタフェース装置には、例えば、記録媒体と接続するための外部インタフェースが含まれる。これにより、セグメンテーション部160は、例えば、外部インタフェースを通じて、記録媒体から各種プログラムを取り込み、補助記憶装置にインストールすることができる。また、情報処理装置は、更に、CPUと連動する高速演算装置を含んでもよい。高速演算装置は、例えば、GPUやFPGAやASIC等を含む。
【0079】
例えば、セグメンテーション部160は、人が含まれる矩形領域の画像について、1つ1つの画素ごとに、人を表す画素か背景を表す画素かを分類する処理(セマンティックセグメンテーション)を行う。セグメンテーション部160は、例えば、学習済みモデルを用いて、セマンティックセグメンテーションを行なう。
【0080】
学習済みモデルは、例えば、教師データセットを用いて、ベースの学習モデルが機械学習(教師あり学習)されることによって得られる。学習済みモデルは、セグメンテーション部160において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよいし、セグメンテーション部160とは別の情報処理装置において、学習モデルの機械学習がされることにより生成されてもよい。例えば、教師データセットに含まれる個々の教師データは、入力としての人が映っている画像のデータと、出力としての、その画像データの画素ごとの人を表す画素か背景を表す画素かの分類を指定するデータ(特徴マップのデータ)との組み合わせである。これにより、学習済みモデルは、画像データそのものを入力として、画像上の画素ごとの人を表す画像か背景を表す画素かの分類のデータを出力することができる。例えば、学習済みモデルは、DNNを中心に構成され、教師データに基づくバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)が適用されることによりDNNの機械学習が効率化される。DNNは、例えば、画像データを入力として、画像データの画素ごとの分類を表す特徴マップを出力可能なFCN(Fully Convolutional Networks)である。
【0081】
また、セグメンテーション部160は、人と背景との境界線を探索するルールベースのアルゴリズムを適用し、人を含む矩形画像について、人の領域と背景の領域とに分割してもよい。
【0082】
セグメンテーション部160は、前処理部130と一対一の通信線やローカルネットワーク等を通じて通信可能に接続され、セグメンテーション部160の出力(画像データ、及び認識処理の結果)は、前処理部130に取り込まれる。
【0083】
前処理部130は、上述の一例の場合と同様、検知部140による処理のための前処理を行う。前処理部130は、人認識部120の出力が取り込まれると、その中に含まれる画像データに対して前処理を施す。
【0084】
例えば、人認識部120により人が認識されていない場合、上述の一例の場合と同様、前処理部130は、人認識部120から取り込まれる画像(即ち、撮像部110により取得された最新の画像)の中から監視範囲に相当する領域を抽出する(
図5参照)。
【0085】
一方、人認識部120により人が認識されている場合、前処理部130は、撮像部110により取得された最新の画像の中から、監視範囲に相当する領域から人に該当する領域を除外した領域を抽出する。人に該当する領域は、撮像部110により取得された最新の画像の中の人を含む矩形領域のうち、セグメンテーション部160によって人の領域として分割された領域である。
【0086】
例えば、
図11に示すように、撮像部110により取得された最新の画像1100と基準画像1110との画像間演算処理によって、画像1100の中の監視範囲から人に該当する領域を除外した画像1120を抽出する。
【0087】
基準画像1110は、上述の基準画像510,710と同様、2値化画像である。基準画像1110は、画像1100でマスクされるマスク領域1111と、画像1100からの抽出対象の抽出領域1112とを含む。マスク領域1111は、人M等の遮蔽物がないと仮定したときに、画像1100における鉄道車両200の側面以外のものが映る領域と、人Mに該当する領域との和集合に相当する領域である。具体的には、マスク領域1111は、上述の基準画像510におけるマスク領域511と、人Mに該当するマスク領域1111Aとの和集合に相当する領域である。抽出領域1112は、監視範囲に相当する鉄道車両200のドアDRが設けられる側面部分に相当する領域から人Mに該当する矩形領域711Aを除外した領域である。これにより、前処理部130は、画像1100の中のマスク領域1111がマスクされ、鉄道車両200の側面部分に対応する監視範囲から人Mに該当する領域が除外された領域のみが表示される画像1120を抽出することができる。
【0088】
検知部140は、上述の一例の場合と同様、前処理部130の出力(前処理後の画像)に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知する(即ち、異物の挟み込みの有無を判定する)。
【0089】
例えば、
図11に示すように、検知部140は、前処理部130による前処理後の画像1120に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みを検知する。これにより、検知部140は、画像1120上において、左側のドアDRにおける、人Mに該当するマスク領域1111Aと非常に近い箇所に映っている、異物としての傘FOの挟み込みを検知することができる。
【0090】
尚、人認識部120、前処理部130、検知部140、及びセグメンテーション部160の機能は、その少なくとも2つが1つの情報処理装置により実現されることで、全体として、3つ以下の情報処理装置によって実現されてもよい。また、人認識部120、前処理部130、検知部140、及びセグメンテーション部160の機能は、5つ以上の情報処理装置により分散して実現されてもよい。
【0091】
このように、本例では、監視システム100(検知部140)は、撮像部110により取得される画像の全領域のうちの人に該当する領域を除く(マスク処理した)領域を対象として、鉄道車両200のドアDRにおける異物の挟み込みを検知する。
【0092】
これにより、撮像部110により取得される画像の全領域の中で、人認識部120により出力される矩形領域をマスク処理する場合よりも、人をマスクするためのマスク領域の面積を相対的に小さくすることができる。そのため、例えば、
図12の画像1100のように、人MとドアDRに挟みこまれている異物(傘FO)とが非常に近い画像部分に映っている場合でも、異物が人をマスクするためのマスク領域によってマスクされてしまうような事態を抑制することができる。そのため、監視システム100は、ホームPFに設けられる撮像部110により取得される画像に基づき、ドアDRにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0093】
尚、上述の一例の場合と同様、監視システム100は、撮像部110により取得されている画像に映っている人だけでなく、人が所持している或いはホームPFに載置されている荷物を認識してもよい。これにより、監視システム100は、撮像部110により取得される画像の全領域のうちの人及び荷物に該当する領域を除く領域を対象として、鉄道車両200のドアDRにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、監視システム100は、ドアDRにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0094】
[作用]
次に、本実施形態に係る監視システム、監視装置、監視方法、及びプログラムの作用について説明する。
【0095】
本実施形態では、監視システムは、撮像部と、認識部と、検知部と、を備える。監視システムは、例えば、上述の監視システム100である。撮像部は、例えば、上述の撮像部110である。認識部は、例えば、上述の人認識部120である。検知部は、例えば、上述の検知部140である。具体的には、撮像部は、駅のホームに設置され、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像を取得する。駅は、例えば、上述の駅STである。ホームは、例えば、上述のホームPFである。鉄道車両は、例えば、上述の鉄道車両200である。ドアは、例えば、上述のドアDRである。また、認識部は、撮像部により取得される画像に含まれる人を認識する。そして、検知部は、撮像部により撮像される画像の全領域のうちの人が含まれる第1の領域以外を対象として、ドアにおける異物の挟み込みを検知する。第1の領域は、例えば、上述の矩形領域711Aやマスク領域1111Aである。
【0096】
また、本実施形態では、監視装置は、認識部と、検知部と、を備えてもよい。監視装置は、例えば、上述の人認識部120及び検知部140の双方の機能を有する情報処理装置である。認識部は、駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する。そして検知部は、画像の全領域のうちの人が含まれる第1の領域以外を対象として、ドアにおける異物の挟み込みを検知する。
【0097】
また、本実施形態では、情報処理装置が監視方法を実行してもよい。監視方法は、認識ステップと、検知ステップと、を含む。具体的には、認識ステップでは、情報処理装置が、駅のホームに設置される撮像部により取得される、ホームに停車している鉄道車両のドアが設けられる側面を含む画像に含まれる人を認識する。そして、検知ステップでは、情報処理装置が、画像の全領域のうちの人が含まれる第1の領域以外を対象として、ドアにおける異物の挟み込みを検知する。
【0098】
また、本実施形態では、情報処理装置にプログラムを実行させてもよい。具体的には、プログラムは、情報処理装置に、認識ステップと、検知ステップとを実行させる。
【0099】
これにより、監視システム等は、ホーム側から撮像される、鉄道車両のドアを含む側面の画像に基づきドアにおける異物の挟み込みを検知する際に、ホームにいる人がドア付近に映りこみ、異物の挟み込みとして誤検知されるような事態を抑制することができる。そのため、人が映りこむ可能性が非常に高い、ホーム側から撮像される画像を利用する場合であっても、より正確にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。また、ドアごとに異物の検知のための撮像部を設ける必要もない。よって、監視システム等は、より簡易且つより正確にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【0100】
また、本実施形態では、監視システムは、第1の抽出部を備えてもよい。第1の抽出部は、例えば、上述の前処理部130である。具体的には、認識部は、撮像部により取得される画像の中の人が含まれる矩形領域を認識してもよい。矩形領域は、例えば、上述の矩形領域711Aである。また、第1の抽出部は、認識部により認識される矩形領域に基づき、撮像部により取得される画像の中の第1の領域以外の領域を抽出してもよい。そして、検知部は、第1の抽出部により抽出される領域で、ドアにおける異物の挟み込みを検知してもよい。
【0101】
これにより、監視システム等は、撮像部により取得される画像の中の人が含まれる第1の領域以外の領域を抽出することによって、抽出した画像に基づき、ドアにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0102】
また、本実施形態では、監視システムは、第2の抽出部を備えてもよい。第2の抽出部は、例えば、上述のセグメンテーション部160である。具体的には、第2の抽出部は、矩形領域の中から人が映っている第1の領域を抽出してもよい。人が映っている第1の領域は、例えば、上述のマスク領域1111Aである。
そして、第1の抽出部は、第2の抽出部により抽出される第1の領域以外の領域を抽出してもよい。
【0103】
これにより、監視システム等は、人が含まれる矩形領域のうち撮像部により取得される画像の中の人が映っている領域(即ち、人に該当する領域)のみを第1の領域として抽出することができる。そのため、監視システム等は、撮像部により取得される画像の全領域の中で、ドアにおける異物の挟み込みの検知対象外となる第1の領域を最小限の範囲に留めることができる。その結果、監視システム等は、例えば、第1の領域にドアに挟み込まれた異物が映っている画像部分が含まれてしまうような事態を抑制することができる。よって、監視システム等は、より正確にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【0104】
また、本実施形態では、第1の抽出部は、撮像部により取得される画像の中の鉄道車両の側面に該当する第2の領域のうちの上記の第1の領域以外の領域を抽出してもよい。
【0105】
これにより、監視システム等は、撮像部により取得される画像の中で、ドアにおける異物の挟み込みが生じうる、鉄道車両の側面のドア付近の領域のみの画像を用いて、ドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、監視システム等は、処理負荷を軽減することができると共に、ホームの状況等の影響を抑制し、より正確にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【0106】
また、本実施形態では、認識部は、画像の中の鉄道車両の側面に該当する第2の領域で人を認識してもよい。
【0107】
これにより、監視システム等は、ドアにおける異物の挟み込みの検知対象の領域に合わせて、人の認識を試行する対象の領域を縮小し、処理負荷を軽減することができる。
【0108】
また、本実施形態では、監視システムは、鉄道車両の側面の前後方向での撮像範囲が互いに異なり且つ前後方向で隣り合う撮像部同士の撮像範囲の一部が重複する、複数の撮像部を備えてもよい。複数の撮像部は、例えば、上述の撮像部110A~110C(
図2参照)や撮像部110B~110D(
図3参照)である。また、隣り合う撮像部同士は、例えば、撮像部110A~110Cのうちの撮像部110A及び撮像部110Bや撮像部110B及び撮像部110Cであり、撮像部110B~110Dのうちの撮像部110B及び撮像部110Cや撮像部110C及び撮像部110Dである。
【0109】
例えば、鉄道車両の一編成に含まれる車両数が非常に多い場合、異物の挟み込みの検知対象のドアが鉄道車両の前後方向で広く分散する。そのため、一台の撮像部で全てのドアを含む画像を取得すると、撮像部から離れた位置のドアにおける異物の挟み込みを適切に検知することができない可能性がある。
【0110】
これに対して、監視システム等は、複数の撮像部を用いることで、各撮像部により撮像される画像中に鉄道車両の前後方向の全範囲のドアを比較的大きく捉えることができる。そのため、監視システム等は、鉄道車両の一編成に含まれる車両数が非常に多い場合でも、より正確にドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。
【0111】
また、本実施形態では、検知部は、前後方向で隣り合う撮像部同士のそれぞれにより取得される前記画像に基づき、双方の撮像部の撮像範囲に含まれる同じドアにおける異物の挟み込みを検知してもよい。
【0112】
これにより、監視システム等は、例えば、一方の撮像部の画像に基づく対象のドアにおける異物の挟み込みの検知結果と、他方の撮像部の画像に基づく対象のドアの異物の挟み込みの検知結果とを総合的に判断し、同じドアにおける異物の挟み込みを検知することができる。そのため、監視システム等は、ドアにおける異物の挟み込みをより正確に検知することができる。
【0113】
また、本実施形態では、監視システムは、ホーム又は鉄道車両の運転室若しくは車掌室に設けられ、検知部の検知結果を表示する表示部を備えてもよい。表示部は、例えば、上述の表示部150である。
【0114】
これにより、監視システム等は、ホームの駅員や鉄道車両の乗務員に、ドアにおける挟み込みの検知結果(例えば、検知の有無や検知場所等)を通知することができる。
【0115】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 監視システム
110,110A~110D 撮像部
120 人認識部
130 前処理部
140 検知部
150 表示部
160 セグメンテーション部
200 鉄道車両
DR ドア
PF ホーム
ST 駅