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  • 特開-画像処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110303
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240807BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20240807BHJP
   G06F 11/14 20060101ALI20240807BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240807BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B41J29/00 C
G06F3/00 A
G06F11/14 602D
B41J29/38 301
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014826
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】楠滝 泉
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061BB08
2C061HJ10
2C061HN15
2C061HV05
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
(57)【要約】
【課題】単純な構成で、回路基板の交換時に不揮発性メモリに格納された固有の情報を保持できる手法を提供する。
【解決手段】画像処理に係る動作制御を行うための第1回路を含む第1回路基板と、第1回路と協働して画像処理を実行する第2回路を含む第2回路基板と、動作制御に用いる固有の情報を格納し第2回路基板に設けられて第1回路が読み書きを行う不揮発性の固有データメモリと、読み書きのために第1回路基板と第2回路基板とを接続する接続線と、を備える画像処理装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理に係る動作制御を行うための第1回路を含む第1回路基板と、
前記第1回路と協働して前記画像処理を実行する第2回路を含む第2回路基板と、
前記動作制御に用いる固有の情報を格納し前記第2回路基板に設けられて前記第1回路が読み書きを行う不揮発性の固有データメモリと、
前記読み書きのために前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する接続線と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記接続線は、前記第1回路が前記固有データメモリに対する読み書きを行うための信号線、前記第1回路のグラウンドと前記固有データメモリのグラウンドとを接続するグラウンド線、および前記第1回路の電源と前記固有データメモリの電源とを接続する電源線を備え、コネクタを介して前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記信号線、前記グラウンド線および前記電源線は、前記第1回路と前記第2回路を接続しない請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1回路は、制御プログラムを格納し読み書き可能な不揮発性のプログラムメモリと、
前記第2回路と通信する通信回路とを備え、
前記通信回路を介した前記第2回路との通信が不能になった場合、前記固有データメモリに格納されたデータを読み出して前記プログラムメモリの空き領域に復元する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1回路は、読み書き可能な不揮発性メモリであって制御プログラムを格納するプログラムメモリを備え、
予め定められたユーザからの指示を受けた場合、前記固有データメモリに格納されたデータを読み出して前記プログラムメモリの空き領域に復元する請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1回路は、前記固有データメモリにデータが格納されていないと判定した場合、前記プログラムメモリに復元され格納されているデータを読み出して前記固有データメモリに復元する請求項4または5に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不揮発性のメモリを備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、画像処理装置等の装置は、装置の制御や管理に係る各種のデータを扱う。それらの中には、電源オフ状態でも保持しておくべきデータが含まれる。そのようなデータは、不揮発性の記憶素子に格納しておくのが好適である。
今日、種々のタイプの不揮発性メモリが市場に提供されている。HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)は、大容量のデータを格納する不揮発性メモリとして知られている。それらに比べて小容量のデータを格納する不揮発性メモリとしてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が知られている。
【0003】
装置の制御データ等を格納する不揮発性メモリとしては、HDDやSSDのような大容量のものが必要になることはあまりなく、EEPROMに格納できる程度の場合が多い。EEPROMは、データ容量が比較的小さく安価なことから、電気機器の制御を行う制御回路基板に多用されている。
電気機器が故障するなどして制御回路基板の交換が必要になる場合、制御回路基板に搭載されているEEPROMも一緒に交換されることになる。その場合、EEPROMに格納されているデータを交換後の制御回路基板に移して格納するデータ移行の処理が必要である。データ移行の処理に手間やコストを要しない構成が望まれている。
【0004】
これに関して、次のものが提案されている。プリンタの複数の制御基板のそれぞれに不揮発性メモリを設け、それぞれの不揮発性メモリは、書き込まれた情報を相互にバックアップする。それによって、各基板の故障により基板を交換する際にも、不揮発性メモリの付け替えを必要とせずに、不揮発性メモリに保持された情報を基板の付け替え後においても復元できるようにしたものである(例えば、特許文献1参照)。
また、次のものが提案されている。複写元の不揮発性メモリとデータを送受信するための複写元側コネクタが設けられた複写元基板と、複写先の不揮発性メモリが設けられ、データを送受信するための複写先側コネクタが設けられた複写先基板とを治具で接続する。治具側コネクタの一方を複写元側コネクタに、他方を複写先側コネクタに接続すると、複写元基板と複写先基板とに設けられた回路(アドレス設定部)によって複写元の不揮発性メモリと複写先の不揮発性メモリのアドレスが設定される。複写元基板と複写先基板の何れか一方または両方に設けられた制御部が、複写元の不揮発性メモリから複写先の不揮発性メモリにデータを複写する(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-047694号公報
【特許文献2】特開2009-258876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1にも記載されているが、不揮発性メモリを基板に着脱可能な状態に設けて回路基板の交換時に付け替える従来手法は、余分なコストや付け替えの手間がかかる。さらに、基板に着脱可能な状態にすることが容易なDIP型の不揮発性メモリおよびそれに用いるソケットの入手が困難になりつつある。
特許文献1の構成によれば、不揮発性メモリの付け替えを必要とせずに交換前の基板に搭載された不揮発性メモリの情報を復元できるが、それを実現するために、例えば印字を行う毎に不揮発性メモリに書き込まれた情報を相互にバックアップしており、その処理のための負担が生じる。
特許文献2の構成によれば、相互バックアップの負担は生じないが、別途サービス用の治具を用意する必要が生じる。
本開示は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、制御部に大きな負担をかけることなく、またコストアップを抑えられる単純な構成で、回路基板の交換時に不揮発性メモリに格納された固有の情報を保持できる手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、画像処理に係る動作制御を行うための第1回路を含む第1回路基板と、前記第1回路と協働して前記画像処理を実行する第2回路を含む第2回路基板と、前記動作制御に用いる固有の情報を格納し前記第2回路基板に設けられて前記第1回路が読み書きを行う不揮発性の固有データメモリと、前記読み書きのために前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する接続線と、を備える画像処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示による画像処理装置において、固有データメモリは、第2回路基板に設けられ接続線を介して第1回路が読み書きを行うので、故障等により第1回路基板を交換した場合に固有データメモリを付け替える作業やデータを複写する作業を必要とせず、単純な構成で、回路基板の交換時に不揮発性メモリに格納された固有の情報を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示において、画像処理装置の回路基板の構成例を示すブロック図である。
図2図1に示すエンジン制御基板を交換する際に、固有データメモリに格納されたデータが保持される様子を示す説明図である。
図3図1に示す画像制御基板を交換する際に、固有データメモリに格納されたデータを維持する手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、本開示を限定するものと解されるべきではない。
≪画像処理装置の構成≫
図1は、本開示における制御回路基板を備えた画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように画像処理装置100は、エンジン制御基板10、画像制御基板20、操作ユニット基板40、スキャナ制御基板41を備える。
エンジン制御基板10は、画像処理装置100の動作を制御する第1回路を含み、本開示の第1回路基板に相当する。第2回路基板20は、画像処理、ユーザインターフェースおよびジョブの制御に係る処理を行う第2回路と、固有データメモリ30とを含む画像制御基板20を含み、本開示の第2回路基板に相当する。操作ユニット基板40は、装置の状態や操作に係る情報を表示する表示デバイス、ユーザの操作を検出する入力デバイスを含む。スキャナ制御基板41は、原稿を読み取るイメージセンサを含む。
【0011】
第1回路は、ハードウェアとして第1プロセッサ12を中心として、第1制御プログラムを格納する不揮発性の第1プログラムメモリ13や、図1に不図示の入出力回路、機内通信回路等を含む。第1プロセッサ12が第1プログラムメモリ13に格納された第1制御プログラムを実行することで、動作制御部14およびカウンタ制御部15の機能が実現される。鎖線枠で示すものは、ハードウェアと第1プロセッサ12が実行するソフトウェアとの有機的な結合により実現される機能を示す。
【0012】
動作制御部14は、画像処理装置100の動作を制御する。カウンタ制御部15は、画像処理装置100が実行するジョブに係る出力をカウントする。例えば、プリントジョブおよびコピージョブの印刷出力、スキャンジョブで読み取られた原稿画像のページ数等である。それらのカウント値はユーザへの課金の根拠や画像処理装置100のメインテナンス管理に用いられる。
【0013】
第2回路21は、ハードウェアとして第2プロセッサ22を中心として、第2制御プログラムを格納する第2プログラムメモリ23や画像処理用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含む。第2プロセッサ22が第2プログラムメモリ23に格納された第2制御プログラムを実行することで、操作制御部24、ジョブ制御部25、画像処理部26および印刷データ処理部27の機能が実現される。鎖線枠で示すものは、ハードウェアと第2プロセッサ22が実行するソフトウェアとの有機的な結合により実現される機能を示す。
【0014】
操作制御部24は、操作ユニット基板40の表示デバイスおよび入力デバイスを介したユーザインターフェースに係る制御を行う。ジョブ制御部25は、画像処理装置100が実行するスキャナ、プリンタ、コピー等のジョブに係る制御を行う。画像処理部26は、スキャナ制御基板41のイメージセンサにより読み取られた原稿の画像に対する処理を行う。また、印刷を行うべき画像データに対する画像処理を行う。印刷データ処理部27は、印刷データを展開してラスタライズする処理を行う。印刷データは、例えばネットワーク50を介して接続された外部の機器(一例は図1に示すPC200)から取得される。
【0015】
第2回路基板20は、第2回路21の他に固有データメモリ30を含む。固有データメモリ30は、第1回路の動作制御に係る固有のデータを格納する読み書き可能な不揮発性のメモリである。動作制御に係る固有のデータの例は、動作に係る装置固有の調整値や上述したジョブに係るカウントデータである。固有データメモリ30の具体的な素子の種類の好適な例として、オンボードタイプのシリアルEEPROMが挙げられる。シリアルデータ復元の方式は種々あるが、この実施形態ではIC BUS(登録商標)とする。ただし、それに限らず、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)など他のシリアルデータ復元方式であってもよい。IC BUSでは、SCL(シリアル・クロック・ライン)およびSDA(シリアル・データ・ライン)の最低2本の信号線31によってシリアルデータ復元を行うことが可能である。第1プロセッサ12は、そのIC BUSの信号線31を介して固有データメモリ30に対するデータの読み書きを行う。
【0016】
なお、図1には、好ましい態様として、固有データメモリ30のグラウンド(GND)および電源(Vcc)の端子も第1回路11と接続される例を示している。即ち、固有データメモリ30のグラウンドおよび電源は、第1回路のグラウンドおよび電源にコネクタを介して接続されており第2回路のグラウンドおよび電源(図1に不図示)に接続されていない。この態様によれば、第2回路のグラウンドや電源の変動があってもその影響を受けずに固有データメモリの読み書きを安定して行うことが可能である。ただし、これは好ましい態様であり、本開示の実施の形態2とする。この態様によれば、前記固有データメモリが前記第1回路基板にあるとした場合と同様に信号線、グラウンドおよび電源で第1回路と接続されるので、第1回路は固有データメモリがあたかも第1回路基板上にあるかのように読み書きを行うことができる。
【0017】
実施の形態2に対する実施の形態1は、固有データメモリ30のグラウンドおよび電源が第2回路のみに接続される態様とする。実施の形態1において、接続線32は信号線31のみである。それに対して好ましい態様である実施の形態2の接続線32は、信号線31の他にグラウンドおよび電源を含む。固有データメモリ30のグラウンドおよび電源が第1回路と第2回路の両方に接続される態様も本開示の範囲に含まれる。その態様の場合の接続線は実施の形態2と同様である。接続線32が信号線31とグラウンド線からなり電源線を含まない態様も本開示の範囲に含まれる。グラウンドのみが第1回路と第2回路に接続されて共通であり電源は個別の態様である(実施の形態3)。
【0018】
≪第1回路基板交換時の固有データ維持≫
図2は、図1に示す回路基板の構成において、エンジン制御基板10を交換しても固有データメモリのデータが保持されることを示す説明図である。図2に示す2つのエンジン制御基板10のうち上側に示すものは交換前のエンジン制御基板10を示している。下側のものが交換後の新しいエンジン制御基板10を示している。エンジン制御基板10が交換されたことにより、第1プロセッサ12を含む第1回路11は物理的に異なったものになる。一方、図2に示す2つの画像制御基板20は、便宜上、2つの基板を示しているに過ぎず、エンジン制御基板10の交換前後で同一のものである。第1回路の動作制御に係る固有のデータは第2回路基板の固有データメモリ30に格納されている。従って、エンジン制御基板10の交換前後で固有データメモリ30は同一であり、そこに格納されているデータも当然同一である。エンジン制御基板10の交換時に、従来のように固有データメモリ30を付け替えたり固有データメモリ30に格納されているデータを複写したりする必要がない。
【0019】
本開示において、固有データメモリ30は第1回路と協働して画像処理を実行する第2回路と共に第2回路基板に設けられている。固有データメモリ30を第2回路と別の単独の回路基板とする構成も考えられる。しかし、そのような構成の場合、固有データメモリ30を載せた単独の回路基板と第1回路基板との接続に専用のコネクタや基板を固定する機構が必要になる。この実施形態によれば、第1回路と協働する第2回路と同じ基板に固有データメモリ30を設けることで、第1回路と第2回路を結ぶ接続線と共通のコネクタの空き端子を用いて接続できる。また、基板を固定する機構も専用のものを必要としない。よって、固有データメモリ30を単独の回路基板とする場合に比べて部品や組み立て作業に係るコストを抑制できる。
【0020】
≪第2回路基板交換時の固有データ維持に係る手順≫
画像処理装置100の動作を制御する第1回路11は、動作を検出するセンサーや制御対象の負荷を駆動するモータ等のアクチュエータが画像処理装置100の各所に配置されている。第1回路11の外部にあるそれらセンサー類、アクチュエータ類と第1回路11とが接続線で結ばれている。センサー類、アクチュエータ類あるいはそれらと第1回路11を結ぶ接続線の接触や短絡によって第1回路11が故障する可能性がある。それに比べると、操作ユニット、画像やジョブの制御を行う第2回路21は外部との接続が少なく、第1回路11に比べると故障に伴う基板交換の可能性は低いといえる。しかし、第2回路21の故障等によって第2回路基板20の交換が必要になることもないとはいえず、その可能性を考慮しておく必要がある。なお、第2回路基板20の固有データメモリ30それ自体が故障する可能性も全くないとはいえない。しかし、第2回路21に比べて固有データメモリ30に係る回路は非常に単純であり、故障の確率は第2回路21に比べると非常に小さいことが経験からいえる。よって、第2回路21の故障による第2回路基板20の交換について以下に述べる。なお、上述の実施の形態2によれば、固有データメモリ30のグラウンドおよび電源は、第2回路のグラウンドおよび電源に接続されていないので読み書きを行う第1回路にとって信号のレベルが安定しているだけでなく、第2回路が故障していてもその影響を受けにくい点でも好ましい態様といえる。
【0021】
図3は、図1に示す画像制御基板20を交換する際に、固有データメモリ30に格納されたデータを交換の前後で維持するための手順を示す説明図である。図3に示す2つのエンジン制御基板10は、便宜上、2つの基板を示しているに過ぎず、画像制御基板20の交換前後でエンジン制御基板10は同一である。一方、画像制御基板20については、上側に示すものが交換前の画像制御基板20を示している。下側のものが交換後の新しい画像制御基板20を示している。画像制御基板20が交換されると、固有データメモリ30は物理的に異なったものになる。そこで、交換前の固有データメモリ30に格納されているデータを交換後の固有データメモリ30に複写する必要がある。そこで、画像制御基板20を交換する前に、交換前の画像制御基板20に設けられている固有データメモリ30に格納されたデータを第1回路11に退避する。退避先は、第1プログラムメモリ13である。第1プログラムメモリ13は、読み書き可能な不揮発性メモリである。第1プログラムメモリ13の具体的な素子の種類の好適な例として、フラッシュメモリが挙げられる。第1プロセッサ12は、画像制御基板20を交換するサービスエンジニアによる所定の操作を検出すると、それに応答して固有データメモリ30に格納されているデータを、第1プログラムメモリ13の空きブロックに退避する。即ち、固有データメモリ30に格納されているデータを、接続線32を介して読み出し、読み出したデータを第1プログラムメモリ13の空きブロックに書き込む。
【0022】
第1プログラムメモリ13への退避が完了したら、次の手順は画像制御基板20の交換である。画像制御基板20が交換されると、固有データメモリ30は物理的に異なったものになり、交換前の固有データメモリ30に格納されていたデータと異なる内容が格納されている。そこで、次の手順は第1プログラムメモリ13に退避している交換前の固有データメモリ30のデータを交換後の画像制御基板20の固有データメモリ30に復元することである。第1プロセッサ12は、サービスエンジニアによる所定の操作を検出すると、それに応答して第1プログラムメモリ13に格納されているデータを固有データメモリ30に復元する。即ち、第1プログラムメモリ13に格納されているデータを読み出し、読み出したデータを、接続線32を介して固有データメモリ30に書き込む。以上で述べたように、
(1)固有データメモリ30に格納されたデータを第1プログラムメモリ13に退避し、(2)画像制御基板20を交換し、
(3)第1プログラムメモリ13に退避したデータを交換後の固有データメモリ30に復元する、
手順を踏むことによって、交換前の固有データメモリ30に格納されていたデータを維持しつつ画像制御基板20を交換することができる。
【0023】
≪第1プロセッサによる第2回路の故障判定および固有データの退避≫
画像制御基板20の交換手順を述べた際に、交換前の固有データメモリ30のデータを退避する処理および交換後に復元する処理は、何れもサービスエンジニアが所定の操作を行うことにより開始されると述べた。しかし、第1プロセッサ12が第2回路21の故障を検出し、その検出に基づいて固有データメモリ30のデータを第1プログラムメモリ13に退避する処理を行ってもよい。第2回路21と第1回路11とは協働して画像処理を実行するので、第1回路11の第1プロセッサ12と第2回路21の第2プロセッサ22との間で情報をやり取りするために通信が行われる。第2回路が故障した場合、第2プロセッサ22が第1プロセッサ12に故障の状態を通知し、その通知を受けた第1プロセッサ12が画像制御基板20の交換に備えて固有データの退避を行うように構成してもよい。また、第2プロセッサ22が停止する故障の場合、第1プロセッサ12は第2プロセッサ22との通信ができないと認識する。第2プロセッサ22からの通信応答が途切れた場合、第1プロセッサ12は第2回路が故障したと推測して固有データの退避を行うようにしてもよい(実施の形態4)。そうすることで、固有データメモリ30のデータを第1プログラムメモリ13に退避させる。この態様によれば、上述の(1)の手順を人手によらず開始でき、手間と時間を省略できる。
【0024】
≪第1プロセッサによる第2回路の故障判定および固有データの退避≫
さらに、上述の(3)の手順を人手によらず開始できるようにしてもよい。例えば、固有データとしての調整値のデータやカウンタのデータと共に、固有データメモリ30の特定の記憶領域に予め定められたデータを格納するものと定めておく。第1プロセッサ12は、例えば電源オン後の初期化処理の段階で固有データメモリ30のその記憶領域を読み出す。そして、その記憶領域に所定のデータが格納されていないことおよび第1プログラムメモリ13の空きブロックに退避されたデータが格納されていることを確認する。所定のデータが格納されておらず、第1プログラムメモリ13にデータを退避した履歴がある場合、第1プロセッサ12は、固有データメモリ30を含む第2回路基板20が交換されたと判定する。その判定に基づいて、第1プロセッサ12は、第1プログラムメモリ13に退避されているデータを画像制御基板20の固有データメモリ30に復元する。この態様によれば、上述の(3)の手順を人手によらず開始でき、手間と時間を省略できる。
【0025】
本開示には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれると解されるべきである。
前述した実施の形態の他にも、本開示についての種々の変形例があり得る。それらの変形例は、本開示の範囲に属さないと解されるべきものではない。本開示に係る発明には、請求の範囲と均等の意味および本開示の範囲に属するすべての変形が含まれるべきである。
【符号の説明】
【0026】
10:エンジン制御基板、第1回路基板、 11:第1回路、 12:第1プロセッサ、 13:第1プログラムメモリ、 14:動作制御部、 15:カウンタ制御部、 20:画像制御基板、第2回路基板、 21:第2回路、 22:第2プロセッサ、 23:第2プログラムメモリ、 24:操作制御部、 25:ジョブ制御部、 26:画像処理部、 27:印刷データ処理部、 30:固有データメモリ、 31:信号線、 32:接続線、 50:ネットワーク、 40:操作ユニット基板、 41:スキャナ制御基板
100:画像処理装置、 200:PC
図1
図2
図3