(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110305
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】車両アンテナ用筐体構造
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20240807BHJP
H01Q 1/42 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014828
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀和
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA05
5J046AA06
5J046MA09
5J046MA16
5J047AA05
5J047AA06
5J047EA05
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】ねじボスの設置位置の設計自由度も高く、また強固なねじボスを有する車両アンテナ用筐体構造を提供する。
【解決手段】車両アンテナ用筐体構造は、第1筐体10と、第2筐体20と、貫通孔30と、ねじボス40と、捩じれ制限嵌合部50とからなる。第2筐体20は、第1筐体10に当接する側壁21を有し、第1筐体10と共に内部空間を画定する。貫通孔30は、第1筐体10に配置され、締結ねじが貫通する。ねじボス40は、第2筐体20に配置され、貫通孔30と同軸に締結ねじがねじ込まれる。捩じれ制限嵌合部50は、貫通孔30とねじボス40とが当接する位置に配置され、締結ねじのねじ込みによるねじボスの40捩じれを制限するように嵌合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間にアンテナが収容される車両アンテナ用筐体構造であって、該車両アンテナ用筐体構造は、
第1筐体と、
前記第1筐体に当接する側壁を有し、第1筐体と共に内部空間を画定する第2筐体と、
前記第1筐体と第2筐体の一方に配置され、締結ねじが貫通する貫通孔と、
前記第1筐体と第2筐体の他方に配置され、貫通孔と同軸に締結ねじがねじ込まれるねじボスと、
貫通孔とねじボスとが当接する位置に配置され、締結ねじのねじ込みによるねじボスの捩じれを制限するように嵌合する捩じれ制限嵌合部と、
を具備することを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記捩じれ制限嵌合部は、締結ねじの軸方向に突出する捩じれ制限用凸部と、捩じれ制限用凸部に嵌合する捩じれ制限用凹部とからなることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記捩じれ制限用凸部は、ねじボスの側面まで延在する補強リブからなり、前記捩じれ制限用凹部は、貫通孔の側部に延在することを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車両アンテナ用筐体構造であって、さらに、前記貫通孔とねじボスとが当接する位置に配置され、貫通孔とねじボスとが同軸となるように嵌合する軸制限嵌合部を具備することを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両アンテナ用筐体構造において、
前記貫通孔は、貫通ボスからなり、
前記軸制限嵌合部は、貫通ボスとねじボスの一方に設けられ、他方のボスの周囲壁を囲むように嵌合するボス凹部からなることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項6】
請求項5に記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記捩じれ制限嵌合部は、ボス凹部の内側に設けられる内側凸部と、内側凸部に嵌合する捩じれ制限用凹部と、からなることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記ねじボスは、第2筐体の側壁の撓み得る位置に配置されることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項8】
請求項7に記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記撓み得る位置は、側壁の第1筐体に当接する端部近傍であることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【請求項9】
請求項5に記載の車両アンテナ用筐体構造において、前記撓み得る位置は、側壁の薄壁面であることを特徴とする車両アンテナ用筐体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両アンテナ用筐体構造に関し、特に、内部空間にアンテナが収容される車両アンテナ用筐体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両アンテナには、車両ルーフに固定されるルーフアンテナや、車内のダッシュボードに配置されるETC(Electronic Toll Collection System)用アンテナ、LPWA(Low Power, Wide Area)用アンテナ等、種々のものが存在する。これらの車両アンテナは、一般的に筐体に囲まれた装置であり、筐体の内部空間にアンテナが収容されるものである。
【0003】
このようなアンテナの内部空間を画定する筐体は、例えばアンテナカバーとアンテナベースとからなるものである。一般的に、アンテナカバーとアンテナベースは、ねじにより固定される。例えば特許文献1に開示のように、アンテナカバーにねじボスが設けられ、ねじボスに対応するアンテナベースの位置に貫通孔が設けられている。貫通孔を介してねじボスに締結ねじを螺合することによって、アンテナカバーとアンテナベースが固定されている。このようなねじボスは、アンテナカバーの頂部付近の側壁から下方に延在している。
【0004】
ねじボスを設ける際には、アンテナカバーの頂部付近から下端にわたって側壁にねじボスが接触した状態で設けられると、側壁の板厚に差が出るため、樹脂成形の際にアンテナカバーの表面側にヒケが発生してしまうおそれがある。このため、ねじボスは、頂部付近にのみ接触すると共に側壁にはあまり接触しないようにしつつ、アンテナカバーの頂部付近から下方に延在するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アンテナ筐体は年々小型化されている一方、アンテナ性能を考えるとなるべく内部空間が広いことが好ましい。このため、ねじボスによる内部空間の圧迫を減らすためには、ねじボスは側壁になるべく寄せて設けることが好ましい。したがって、ねじボスを、側壁の下端近傍から延在するように設けることが考えられる。側壁の下端近傍にねじボスを設ければ、内部空間の圧迫は抑えられる。また、側壁へのねじボスの接触面積を減らせば、ヒケの発生も抑えられる。
【0007】
ところが、締結ねじのねじ込みにより、ねじボスが捩じれてしまうおそれがある。例えば、側壁の下端近傍にねじボスを設けた場合、このようなねじボスの捩じれが生じてしまうと、ねじボスの捩じれに引っ張られ、ねじボスが設けられる側壁の下端が撓んでしまう。側壁の下端が撓んでしまうと、アンテナカバーとアンテナベースとの合わせ目がずれてしまい、防水性能や美感が損なわれてしまう。さらに、締結ねじのねじ込みによりねじボスが捩じれることで、ねじボスが捩じ切られてしまうおそれもあった。
【0008】
したがって、ねじボスの設置位置の設計自由度が高く、また強固なねじボスを有する車両アンテナ用筐体構造の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ねじボスの設置位置の設計自由度も高く、また強固なねじボスを有する車両アンテナ用筐体構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による車両アンテナ用筐体構造は、第1筐体と、第1筐体に当接する側壁を有し、第1筐体と共に内部空間を画定する第2筐体と、第1筐体と第2筐体の一方に配置され、締結ねじが貫通する貫通孔と、第1筐体と第2筐体の他方に配置され、貫通孔と同軸に締結ねじがねじ込まれるねじボスと、貫通孔とねじボスとが当接する位置に配置され、締結ねじのねじ込みによるねじボスの捩じれを制限するように嵌合する捩じれ制限嵌合部と、を具備するものである。
【0011】
ここで、捩じれ制限嵌合部は、締結ねじの軸方向に突出する捩じれ制限用凸部と、捩じれ制限用凸部に嵌合する捩じれ制限用凹部とからなるものであれば良い。
【0012】
また、捩じれ制限用凸部は、ねじボスの側面まで延在する補強リブからなり、捩じれ制限用凹部は、貫通孔の側部に延在するものであっても良い。
【0013】
さらに、貫通孔とねじボスとが当接する位置に配置され、貫通孔とねじボスとが同軸となるように嵌合する軸制限嵌合部を具備するものであっても良い。
【0014】
また、貫通孔は貫通ボスからなり、軸制限嵌合部は貫通ボスとねじボスの一方に設けられ、他方のボスの周囲壁を囲むように嵌合するボス凹部からなるものであれば良い。
【0015】
また、捩じれ制限嵌合部は、ボス凹部の内側に設けられる内側凸部と、内側凸部に嵌合する捩じれ制限用凹部と、からなるものであっても良い。
【0016】
また、ねじボスは、第2筐体の側壁の撓み得る位置に配置されるものであっても良い。
【0017】
ここで、撓み得る位置は、側壁の第1筐体に当接する端部近傍であっても良い。
【0018】
また、撓み得る位置は、側壁の薄壁面であっても良い。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両アンテナ用筐体構造には、ねじボスの設置位置の設計自由度も高く、また強固なねじボスを有するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の車両アンテナ用筐体構造を説明するための概略分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部を説明するための概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部の他の例を説明するための概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の軸制限嵌合部を説明するための概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部及び軸制限嵌合部の他の例を説明するための概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部及び軸制限嵌合部のさらに他の例を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の貫通孔がボスではない例を説明するための概略分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の貫通孔がボスではない他の例を説明するための概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。
図1は、本発明の車両アンテナ用筐体構造を説明するための概略分解斜視図である。本発明の車両アンテナ用筐体構造は、内部空間にアンテナが収容されるものである。ここで、内部空間に収容されるアンテナには、ラジオ用アンテナやGNSS用アンテナ、電話用アンテナ等、種々のアンテナが含まれ、特に特定のものに限定されるものではない。また、複数のアンテナを組み合わせたものが内部空間に収容されても良い。さらに、アンテナには、アンテナエレメント以外にコイルや回路基板等、アンテナ周辺装置も含まれるものであっても良い。また、車両アンテナには、ルーフアンテナやETC用アンテナ、LPWA用アンテナ等、種々の車両アンテナが含まれる。そして、外観を画定する筐体の形状についても図示例には特に限定されず、例えばシャークフィン形状や三角形状等、内部空間を有するものであれば如何なるものであっても良い。
【0022】
図1に示される通り、本発明の車両アンテナ用筐体構造は、第1筐体10と、第2筐体20と、貫通孔30と、ねじボス40と、捩じれ制限嵌合部50とから主に構成されている。
【0023】
第1筐体10は、図示例ではベースカバーとなるものを示した。第1筐体10は、例えば樹脂成形されれば良い。第1筐体10には、例えば回路基板等が設置されれば良い。また、例えばルーフアンテナの場合には、第1筐体10は金属ベースであっても良い。なお、第1筐体10は、図示例では板状のものを示したが、本発明はこれに限定されず、適宜側壁を有するものであっても良い。さらに、第1筐体10には、ケーブル挿通用の孔等が設けられても良い。
【0024】
第2筐体20は、第1筐体10と共に内部空間を画定するものである。また、第2筐体20は、側壁21を有するものである。側壁21は、第1筐体10に当接するものである。なお、側壁21は、適宜防水パッドを介在して第1筐体10に当接しても良い。第2筐体20は、図示例ではトップカバーとなる例を示した。なお、本発明は図示例に限定されず、逆に第1筐体10がトップカバーであり、第2筐体20がベースカバーであっても良い。また、図示例では、第2筐体20を回転させ内部空間側が分かるような状態を示している。締結ねじ(図示せず)により第1筐体10に第2筐体20が固定される際には、第2筐体20は、第1筐体と共に内部空間を画定するように、図示例の状態から回転させて第1筐体10に固定される。
【0025】
なお、図示例の第1筐体10や第2筐体20の形状については、あくまでも一例であり、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、第2筐体20がインナーカバーとアウターカバーを用いる2重カバーであっても良い。この場合には、インナーカバーが第2筐体20にあたるものとなる。
【0026】
また、貫通孔30が第1筐体10に配置されている。貫通孔30は、締結ねじが貫通するものである。具体的には、第1筐体10の裏面(外部)から締結ねじが貫通孔30を貫通するように構成されている。貫通孔30は、単に締結ねじを貫通させるものであり、ねじ切りされているようなものではない。ここで、図示例の貫通孔30は、円筒型の貫通ボスからなるものを示した。貫通ボスとして構成される貫通孔30は、例えば回路基板に開けられた固定用孔に挿通されても良い。
【0027】
そして、ねじボス40が第2筐体20に配置されている。ねじボス40は、貫通孔30と同軸に締結ねじがねじ込まれるものである。ねじボス40は、締結ねじがねじ込まれるものであるため、締結ねじ用にねじ切りされたり、締結ねじとして用いられるタッピングねじによりセルフタップされたりするものであれば良い。図示例のねじボス40は、円筒型のものを示した。ここで、本発明の車両アンテナ用筐体構造では、ねじボス40の設置位置は特に限定されるものではない。しかしながら、車両アンテナ筐体としては、以下に説明するような位置にねじボス40が配置されることが好ましい。例えば図示例のように、側壁21の第1筐体10に当接する端部近傍(下端近傍)にねじボス40が配置されれば良い。このようにねじボス40を設ければ、内部空間の圧迫は抑えられる。また、例えば、ねじボス40が側壁21に接触する部分を板状端部として接触面積を減らすことで、側壁21に対するヒケの発生も抑えられる。
【0028】
このとき、側壁の撓み得る位置にねじボスを配置すると、何も対策をしなければ、従来技術で説明した通り、締結ねじのねじ込みによりねじボスが捩じれ、この捩じれに引っ張られて側壁の下端が撓んでしまうおそれがある。また、例えば車両アンテナのアンテナ受信特性改善等のために、第2筐体20の側壁21を薄壁面で構成する場合もある。このような薄壁面は撓み得る位置となる。しかしながら、以下に説明する通り、本発明の車両アンテナ用筐体構造によれば、捩じれ制限嵌合部50を設けることで、ねじボスが捩じられることがないため、側壁の撓み得る位置にねじボスを配置した場合であっても、側壁が撓むおそれはない。
【0029】
以下、本発明の車両アンテナ用筐体構造の最も特徴とする捩じれ制限嵌合部について説明する。
図2は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部を説明するための概略図であり、
図2(a)が概略分解斜視図であり、
図2(b)が概略側面図である。図中、
図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図2(a)は、貫通孔とねじボスを回転させ当接部が分かるような状態を示している。そして、
図2(b)は、貫通孔とねじボスを同軸に嵌合させる際の概略側面図である。なお、図示例は、貫通孔とねじボスの部分のみを示し、他の部分は図示を省略した。
【0030】
捩じれ制限嵌合部50は、貫通孔30とねじボス40とが当接する位置に配置され、締結ねじのねじ込みによるねじボス40の捩じれを制限するように嵌合するものである。なお、貫通孔30とねじボス40とが当接する位置とは、必ずしも当接面である必要はなく、当接する位置近傍を含むものである。
図2に示される例は、捩じれ制限嵌合部50が、捩じれ制限用凸部51と、捩じれ制限用凹部52とからなるものである。図示例では、捩じれ制限用凸部51がねじボス40側に設けられ、捩じれ制限用凹部52が貫通孔30側に設けられている。捩じれ制限用凸部51は、締結ねじの軸方向に突出するものである。即ち、捩じれ制限用凸部51は、ねじボス40の周囲壁頂部に設けられ、貫通孔30側に向かって突出している。また、捩じれ制限用凹部52は、この捩じれ制限用凸部51に嵌合するように位置合わせされている。図示例の捩じれ制限用凹部52は、貫通ボスからなる貫通孔30の周囲壁頂部に設けられる溝により提供されている。
【0031】
このように構成された本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部50を用いれば、締結ねじによりねじボス40に締結ねじをねじ込んだ場合であっても、ねじボス40の捩じれ制限用凸部51が貫通孔30の捩じれ制限用凹部52に嵌合しているため、ねじボス40が捩じれることがない。したがって、ねじボス40の設置位置が側壁の撓み得る位置であったとしても、ねじボス40が捩じれないため、側壁が撓むこともない。このため、ねじボス40は、内部空間を圧迫しないような位置に容易に配置することが可能となる。このように、本発明の車両アンテナ用筐体構造は、ねじボス40の設置位置の設計自由度が高い。さらに、例えばアンテナ受信特性改善のために、第2筐体20の側壁21の一部を薄壁面としている場合であっても、この薄壁面に対してもねじボス40を配置することが可能である。逆に言えば、本発明の車両アンテナ用筐体構造を用いれば、第2筐体20の側壁21の強度が低く撓み得るものであっても、そこにねじボス40を配置することで、ねじボス40を介して第1筐体10に強固に側壁21が固定されることになるため、撓み得る側壁21が強化されることにもなる。
【0032】
さらに、従来技術のようなねじボスの場合には、締結ねじをねじ込む際の力によりねじボスが筐体から千切られないように、ねじボスは筐体に対して強固に固定されていなければならなかった。しかしながら、本発明によれば、ねじボス40は貫通孔30により捩じれ方向が固定されているため、捩じり方向に対しては、ねじボス40が第2筐体20に強固に固定される必要がない。即ち、ねじボス40の筐体に対する固定力を、第1筐体10と第2筐体20に分散していることになる。したがって、第2筐体20に対するねじボス40の設置面積も小さくすることが可能となるので、第2筐体20のヒケの問題もさらに起こりにくくなる。
【0033】
次に、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部の他の例について説明する。
図3は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部の他の例を説明するための概略図であり、
図3(a)が概略分解斜視図であり、
図3(b)が概略側面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図3(a)は、貫通孔とねじボスを回転させ当接部が分かるような状態を示している。そして、
図3(b)は、貫通孔とねじボスを同軸に当接させる際の概略側面図である。なお、図示例は、貫通孔とねじボスの部分のみを示し、他の部分は図示を省略した。
【0034】
図3に示される通り、捩じれ制限嵌合部50の捩じれ制限用凸部51は、ねじボス40の側面まで延在する補強リブ51aからなる。即ち、ねじボス40の周囲壁の側面に、ねじボス40を補強するための補強リブ51aが設けられる場合、この補強リブ51aを、周囲壁頂部よりもさらに先まで延在させて、捩じれ制限用凸部51として用いることが可能である。また、捩じれ制限用凹部52は、貫通ボスからなる貫通孔30の側部に延在する例を示した。図示例の捩じれ制限用凹部52は、捩じれ制限用凸部51が嵌合するような隙間を有し、貫通孔30の周囲壁の側面から横方向に延在する平行壁52aにより構成されている。本発明の車両アンテナ用筐体構造では、捩じれ制限嵌合部50がこのように構成されても、上述の図示例と同様の効果が得られる。
【0035】
上述の図示例では、ねじボス40の捩じれを制限するための捩じれ制限嵌合部50が設けられている例について説明した。さらに、本発明の車両アンテナ用筐体構造では、貫通孔30とねじボス40とが確実に同軸となるように当接する構成としても良い。このように構成される例を、
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の軸制限嵌合部を説明するための概略図であり、
図4(a)が概略分解斜視図であり、
図4(b)が概略側面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図4(a)は、貫通孔とねじボスを回転させ当接部が分かるような状態を示している。そして、
図4(b)は、貫通孔とねじボスを同軸に当接させる際の概略側面図である。なお、図示例は、貫通孔とねじボスの部分のみを示し、他の部分は図示を省略した。
【0036】
図4に示される通り、この例では、貫通孔30とねじボス40とが同軸となるように嵌合する軸制限嵌合部53が設けられている。軸制限嵌合部53は、貫通孔30とねじボス40とが当接する位置に配置されている。この例でも、貫通孔30が貫通ボスからなるものを示した。軸制限嵌合部53は、具体的には、貫通ボスからなる貫通孔30の周囲壁55と、ねじボス40の周囲壁の内側に設けられたボス凹部54とから構成されている。ボス凹部54は、ねじボス40の周囲壁頂部の内側面を窪ませることで構成されている。ボス凹部54は、貫通孔30の周囲壁55を囲むように設けられている。ボス凹部54に貫通孔30の周囲壁55が囲まれるように嵌合することで、貫通孔30とねじボス40とが同軸となるように制限される。
【0037】
図示例のものでも、上述の捩じれ制限嵌合部50が設けられているため、ねじボス40の捩じれも制限される。具体的には、捩じれ制限嵌合部50は、ボス凹部54の内側に設けられる内側凸部51bと、これに嵌合する捩じれ制限用凹部52とからなる。内側凸部51bは、ボス凹部54の側部から中心方向に向かって突出するものを示した。また、捩じれ制限用凹部52は、貫通ボスからなる貫通孔30の周囲壁頂部に設けられる溝により提供されるものを示した。
【0038】
図4に示される例では、ねじボス40の捩じれ方向を制限するだけでなく、貫通孔30とねじボス40との軸方向を制限することが可能となる。即ち、捩じれ制限嵌合部50によりねじボス40の捩じれが無くなると共に、軸制限嵌合部53により貫通孔30とねじボス40とが同軸となって当接するため、位置合わせが容易であり、第1筐体10に第2筐体20を固定する際に、締結ねじによるねじ込みも容易となる。
【0039】
ここで、
図4に示される例では、捩じれ制限嵌合部50と軸制限嵌合部53とをそれぞれ設けた例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図5は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部及び軸制限嵌合部の他の例を説明するための概略図であり、
図5(a)が概略平面図であり、
図5(b)が概略側面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図5(a)は、貫通孔とねじボスの当接面を見た概略平面図である。そして、
図5(b)は、貫通孔とねじボスを同軸に当接させる際の概略側面図である。なお、図示例は、貫通孔とねじボスの部分のみを示し、他の部分は図示を省略した。
【0040】
図5に示される通り、捩じれ制限嵌合部50は、貫通ボスからなる貫通孔30の周囲壁頂部に設けられる捩じれ制限用凸部51cと、ねじボス40の周囲壁頂部に設けられる捩じれ制限用凹部52bとからなる。図示例では、一対の捩じれ制限用凸部51cとこれに対応する一対の捩じれ制限用凹部52bからなるものを示した。捩じれ制限用凸部51cと捩じれ制限用凹部52bにより、ねじボス40の捩じれが制限される。また、捩じれ制限用凸部51cと捩じれ制限用凹部52bは、軸方向で対向するように配置されている。このため、捩じれ制限用凸部51cと捩じれ制限用凹部52bは、軸制限嵌合部53としても機能する。即ち、捩じれ制限用凸部51cと捩じれ制限用凹部52bにより、貫通孔30とねじボス40との軸方向も制限される。
【0041】
さらに、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部及び軸制限嵌合部のさらに他の例を、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の捩じれ制限嵌合部及び軸制限嵌合部のさらに他の例を説明するための概略図であり、
図6(a)が概略平面図であり、
図6(b)が概略側面図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図6(a)は、貫通孔とねじボスの当接面を見た概略平面図である。そして、
図6(b)は、貫通孔とねじボスを同軸に当接させる際の概略側面図である。なお、図示例は、貫通孔とねじボスの部分のみを示し、他の部分は図示を省略した。
【0042】
図6に示される通り、貫通孔30とねじボス40とは、角筒型のものからなるものである。即ち、貫通孔30は、角筒型の貫通ボスからなるものである。この場合、捩じれ制限嵌合部50は、ねじボス40の周囲壁頂部が凸状に構成される捩じれ制限用凸部51dと、貫通孔30の周囲壁頂部の内側面を窪ませることで構成される捩じれ制限用凹部52cとからなる。捩じれ制限用凹部52cは、捩じれ制限用凸部51dの周囲壁を囲むように設けられている。貫通孔30とねじボス40とが角筒型であるため、捩じれ制限用凹部52cに捩じれ制限用凸部51dが嵌合することで、ねじボス40の捩じれが制限される。さらに、捩じれ制限用凹部52cに捩じれ制限用凸部51dが嵌合することで、貫通孔30とねじボス40とが同軸となるように制限される。なお、4角筒型のものを示したが、本発明はこれに限定されず、捩じれが制限される形状であれば、如何なる形状であっても良い。
【0043】
上述の図示例では、何れも貫通孔30は貫通ボスからなるものを示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
図7は、本発明の車両アンテナ用筐体構造の貫通孔がボスではない例を説明するための概略分解斜視図である。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図7は、貫通孔とねじボスを回転させ当接部が分かるような状態を示している。
【0044】
図示の通り、この例は、貫通孔30が単なる円形の孔からなるものである。そして、捩じれ制限用凸部51は、貫通孔30を挟んで貫通孔30の側部の両側に設けられ、ねじボス40側に向かって突出している。また、捩じれ制限用凹部52は、ねじボス40の周囲壁頂部に設けられる溝により提供されている。このように構成されても、捩じれ制限用凹部52に捩じれ制限用凸部51が嵌合することで、ねじボス40の捩じれ方向が制限されることになる。
【0045】
次に、
図8に、本発明の車両アンテナ用筐体構造の貫通孔がボスではない他の例を説明するための概略分解斜視図を示す。図中、
図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。また、
図8は、貫通孔とねじボスを回転させ当接部が分かるような状態を示している。
【0046】
図示の通り、この例では、円形の貫通孔30に捩じれ制限用凹部52が一体的に設けられている。図示例では、捩じれ制限用凹部52は、貫通孔30を挟んで貫通孔30の側部の両側に一体的に設けられている。そして、捩じれ制限用凸部51は、ねじボス40の周囲壁頂部に設けられ、貫通孔30側に向かって突出している。この例では、鍵と鍵穴のように、捩じれ制限用凹部52に捩じれ制限用凸部51が嵌合する。これにより、ねじボス40の捩じれ方向が制限されるだけでなく、貫通孔30とねじボス40との軸方向も制限されることになる。即ち、捩じれ制限嵌合部50(51,52)が軸制限嵌合部53としても機能することとなる。なお、図示例では、捩じれ制限用凸部51は補強リブ51aと別体で構成されたものを示したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図3に示されるように、補強リブ51aを捩じれ制限用凸部51として用いても良い。また、捩じれ制限用凹部52が、第1筐体10を貫通するように構成されたものを図示したが、本発明はこれに限定されず、第1筐体10の裏面まで貫通しない凹溝で構成されても良い。
【0047】
なお、本発明の車両アンテナ用筐体構造は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、貫通孔は、第1筐体と第2筐体のどちらに設けられても良く、これに対応するようにねじボスが設けられれば良い。また、捩じれ制限用凸部やこれに対応する捩じれ制限用凹部についても、それぞれ貫通孔とねじボスのどちらに設けられても良い。
【符号の説明】
【0048】
10 第1筐体
20 第2筐体
21 側壁
30 貫通孔
40 ねじボス
50 捩じれ制限嵌合部
51 捩じれ制限用凸部
51a 補強リブ
51b 内側凸部
51c 捩じれ制限用凸部
51d 捩じれ制限用凸部
52 捩じれ制限用凹部
52a 平行壁
52b 捩じれ制限用凹部
52c 捩じれ制限用凹部
53 軸制限嵌合部
54 ボス凹部
55 周囲壁