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特開2024-110310射出成形機および射出成形機の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110310
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】射出成形機および射出成形機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240807BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240807BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/03
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014834
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 達哉
(72)【発明者】
【氏名】林 真二
(72)【発明者】
【氏名】牧野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 篤史
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM06
4F206JQ82
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】タイバーを保護するタイバーカバーを設けた射出成形機の構造を簡素化する。
【解決手段】射出成形機10は、固定金型32および可動金型38と、固定盤26と、可動盤34と、タイバー24と、タイバーカバー52、62と、を備えている。固定盤26は、ベッド22に固定的に設けられている。可動盤34は、可動金型38が取り付けられる可動側取付面36を備え、型開閉方向に位置変更可能に設けられている。タイバー24は、固定盤26、可動盤34に挿通されている。タイバーカバー52は、固定側取付面28に取り付けられ、タイバー24の少なくとも上方を覆うと共に、ベッド22に対して間隔をあけて位置している。タイバーカバー62は、可動側取付面36に取り付けられ、タイバー24の少なくとも上方を覆うと共に、ベッド22に対して間隔をあけて位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出部から成形材料が射出される金型と、
前記金型が取り付けられる金型取付面を備え、型開閉方向に対向して複数設けられた盤体であって、1つがベッドに固定的に設けられ、少なくとも1つが前記ベッドの上で前記型開閉方向に位置変更可能に設けられた前記盤体と、
前記盤体又は前記盤体の取付部材に挿通されるタイバーと、
作業者が足を乗せることが可能なタイバーカバーであって、いずれかの前記盤体の前記金型取付面又は前記盤体の取付部材の当該金型取付面に対向する対向面に取り付けられ、前記タイバーの少なくとも上方を覆うと共に、前記ベッドに対して間隔をあけて位置する前記タイバーカバーと、
を備える、射出成形機。
【請求項2】
前記タイバーカバーは、
前記型開閉方向に沿って延び、作業者の足を乗せることが可能な平板部と、
前記平板部の前記型開閉方向の端部に設けられ、前記金型取付面又は前記対向面に取り付けられた取付部と、
前記平板部のうち前記型開閉方向と交差する方向としての交差方向の端部から前記ベッドが位置する側へ延びる側板部と、を備える、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記タイバーと前記平板部とが対向する方向を上下方向として、
前記側板部は、前記上下方向と交差する斜め方向に延びる傾斜壁を有する、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記平板部には、前記平板部を補強する補強部が固定されている、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記側板部は、前記平板部の前記交差方向の両端部に設けられている、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項6】
前記取付部は、前記型開閉方向から見て、前記平板部と前記側板部とで囲まれている、
請求項5に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記タイバーカバーに対する前記交差方向の一方側には、作業者が足を乗せることが可能な作業ステップが設けられ、
前記側板部は、前記交差方向から見て、前記平板部と前記作業ステップとの間に位置している、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項8】
前記タイバーと前記平板部とが対向する方向を上下方向として、
前記平板部は、上板部と、前記上板部よりも前記上下方向の高さが低い中板部と、前記中板部よりも前記上下方向の高さが低い下板部と、を備え、
前記上下方向から見て、前記中板部および前記下板部は、それぞれ前記上板部と前記交差方向に並び、且つ前記中板部と前記下板部は、前記型開閉方向に並んでいる、
請求項2に記載の射出成形機。
【請求項9】
複数の前記盤体は、固定盤と、前記固定盤に対して前記型開閉方向に位置変更可能な可動盤と、前記固定盤と前記可動盤との間に位置し前記固定盤および前記可動盤に対して前記型開閉方向に位置変更可能な中間盤と、を有し、
前記タイバーカバーは、前記中間盤の取付部材の前記対向面に取り付けられている、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項10】
前記タイバーカバーは、作業者が乗ることで導通状態と非導通状態とが切り替わる検出部を備える、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項11】
前記型開閉方向に沿って移動可能な踏板部材と、
前記踏板部材を前記型開閉方向に移動させる踏板駆動部と、
をさらに備える、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の射出成形機。
【請求項12】
射出部から成形材料が射出される金型と、
前記金型が取り付けられる金型取付面を備え、型開閉方向に対向して複数設けられた盤体であって、1つがベッドに固定的に設けられ、少なくとも1つがベッドの上で前記型開閉方向に位置変更可能に設けられた前記盤体と、
前記盤体又は前記盤体の取付部材に挿通されるタイバーと、
作業者が足を乗せることが可能なタイバーカバーであって、いずれかの前記盤体の前記金型取付面又は前記盤体の取付部材の当該金型取付面に対向する対向面に取り付けられ、前記タイバーの少なくとも上方を覆うと共に、前記ベッドに対して間隔をあけて位置する前記タイバーカバーと、
前記型開閉方向に沿って移動可能な踏板部材と、
前記踏板部材を前記型開閉方向に移動させる踏板駆動部と、
前記型開閉方向の閉位置と開位置に移動可能な開閉扉であって、前記閉位置で前記金型を覆い、前記開位置で前記金型を露出させる前記開閉扉と、
を備える射出成形機の制御方法であって、以下の工程を含む前記射出成形機の制御方法:
(a)前記開閉扉が前記開位置に向けて移動した場合に、前記踏板部材を前記金型取付面又は前記対向面から離れる側へ移動させる工程;
(b)前記開閉扉が前記閉位置に向けて移動した場合に、前記踏板部材を前記金型取付面又は前記対向面に近づく側へ移動させる工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機および射出成形機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、射出成形機が示されている。射出成形機は、タイバーを跨ぐ踏板フレームを有している。踏板フレームは、ベッドに固設されたガイドレールに支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-064017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の踏板フレームは、ベッドに固設されたガイドレール等の部材によって支持されている。つまり、タイバーを保護する部材を設けるために特許文献1のような支持構造を用いた場合、ベッドに支持部材を設ける必要がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、タイバーを保護するタイバーカバーを設けた射出成形機の構造を簡素化することにある。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による射出成形機では、作業者が足を乗せることが可能なタイバーカバーが、いずれかの盤体の金型取付面又は盤体の取付部材の金型取付面に対向する対向面に取り付けられている。さらに、タイバーカバーは、タイバーの少なくとも上方を覆うと共に、ベッドに対して間隔をあけて位置している。
【0007】
一実施形態による射出成形機の制御方法は、開閉扉の開位置への移動が開始された後に、踏板部材をタイバーカバーから離れる側へ移動させる工程と、開閉扉の閉位置への移動が開始された後に、踏板部材をタイバーカバーに近づく側へ移動させる工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る射出成形機によれば、タイバーを保護するタイバーカバーを設けた射出成形機の構造を簡素化することができる。
【0009】
本開示に係る射出成形機の制御方法によれば、タイバーを保護するタイバーカバーを設けた射出成形機の構造を簡素化するとともに使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態に係る射出成形機の全体図である。
図2図1の射出成形機の平面図である。
図3図1の射出成形機の固定盤の金型取付面側をタイバーの軸方向(可動盤側)から見た正面図である。
図4図1の射出成形機の可動盤の金型取付面側をタイバーの軸方向から見た正面図である。
図5図3の固定盤に取り付けられたタイバーカバーを示す斜視図である。
図6図5のタイバーカバーの断面図(図3のA-A線断面図)である。
図7A】変形例1のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図7B】変形例2のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図8A】変形例3のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図8B】変形例4のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図9A】変形例5のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図9B】変形例6のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図10A】変形例7のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図10B】変形例8のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図11】変形例9の固定盤の金型取付面側をタイバーの軸方向から見た断面図である。
図12A】変形例10のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図12B図12Aのタイバーカバー等の平面図である。
図13A】変形例11のタイバーカバーおよびタイバーを型開閉方向から見た断面図である。
図13B図13Aのタイバーカバー等の平面図である。
図14】変形例12のタイバーカバー等を幅方向の操作側から見た断面図である。
図15】変形例13のタイバーカバーに作業者が足を乗せた状態を示す説明図である。
図16】変形例13のタイバーカバー等を型開閉方向から見た断面図である。
図17】変形例14のタイバーカバー等を型開閉方向から見た断面図である。
図18】本開示の第2実施形態に係る射出成形機の全体図である。
図19図18の射出成形機の型開時の平面図である。
図20図18の射出成形機の中間盤をタイバーの軸方向の固定側から見た正面図である。
図21図18の射出成形機のブロック図である。
図22図18の射出成形機の可動側のタイバーカバーおよび踏板部材を示す斜視図である。
図23図22の踏板部材の展開状態を示す斜視図である。
図24図23のタイバーカバーおよび踏板部材の平面図である。
図25図18の射出成形機で安全扉の開閉動作に伴う踏板部材の展開動作および収納動作の各工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の射出成形機の各実施形態および各変形例を図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載および図面は、適宜簡略化されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。同様の機能を有する構成には、対象となる構成に対して寸法や形状がそれぞれ一部異なる構成も含まれる。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1には、第1実施形態の射出成形機10が示されている。射出成形機10は、工場の床面2に設置されている。以下の説明では、床面2が水平面に沿った面であると仮定して、各方向を定義すると共に各構成の配置を説明する。射出成形機10は、可動盤34が水平方向に設けられたタイバー24に沿って型開閉される横型の射出成形機である。
【0013】
<<射出成形機の構成>>
図2に示されるように、射出成形機10は、一例として、射出装置12と、本体カバー部16と、安全扉17と、操作ユニット18と、型締装置20と、を含む。
【0014】
<本体カバー部および安全扉>
本体カバー部16は、一例として、射出装置12の一部と型締装置20とを覆っている。本体カバー部16の一部には、開口部16Aが形成されている。開口部16Aは、作業者Wが通過可能な大きさを有する。開閉扉である安全扉17は、扉駆動部19によってスライドされることで、開口部16Aを開閉させる。なお扉駆動部19は必須のものではなく、作業者Wが手動で開閉するものでもよい。
【0015】
<操作ユニット>
操作ユニット18は、射出成形機10の各部の動作を制御可能なユニットである。操作ユニット18は、作業者Wによって操作される。また、操作ユニット18は、制御部30を含んでいる。
【0016】
<射出装置>
図1に示されるように、射出装置12は、成形材料を射出する射出部の一例である。射出装置12は、加熱シリンダ13と、スクリュー14と、ノズル15と、を有する。加熱シリンダ13の内部には、成形材料の一例である樹脂材料Rが投入される。加熱シリンダ13の内部で溶融された樹脂材料Rは、スクリュー14の回転によって混練されると共に加熱シリンダ13の前方に貯留される。そして、樹脂材料Rは、ノズル15から、後述するキャビティCVの内部へ射出(注入)される。
【0017】
<型締装置>
型締装置20は、ベッド22と、タイバー24と、固定盤26と、固定金型32と、可動盤34と、可動金型38と、シリンダ機構部42と、型開閉機構部46と、タイバーカバー52、62、64(図2)と、を備えている。さらに、型締装置20は、タイバーホルダ23と、踏台48(図3)と、を備えている。固定盤26と可動盤34は、後述する型開閉方向に対向して複数設けられた盤体の一例である。
【0018】
型締装置20は、型開閉機構部46により可動盤34を固定盤26に対して移動させた後で、型締機構部であるシリンダ機構部42により型締めを行うものである。射出成形機10は、シリンダ機構部42と型開閉機構部46が独立して設けられた比較的大型の成形機である。比較的大型の成形機とは、一例として、型締力が10000(kN)以上で70000(kN)以下のものを意味している。なお、比較的大型の成型機として、上記とは異なる値の型締力を有していてもよい。
【0019】
((タイバー))
タイバー24の数は、一例として、4本である。タイバー24は、それぞれ、後述する固定盤26の四隅近傍に支持されると共に、後述する型開閉方向に沿って、可動盤34の四隅近傍に挿通されている。タイバー24は、円柱状に形成されている。タイバー24は、中心軸C(図5)を有している。タイバー24の一部の外周面24Aには、ねじ溝24Bが形成されている。
【0020】
タイバー24の中心軸Cが延びる軸方向を「型開閉方向」とする。型開閉方向は、一例として、水平方向に沿っている。以後、射出成形機10の各部の説明では、当該各部の型開閉方向の中央に対して、固定盤26が設けられた側を「固定側」とする。また、可動盤34が設けられた側を「可動側」とする。矢印Yは、型開閉方向のうち可動側から固定側に向かう方向を表している。
【0021】
型開閉方向と交差する交差方向の一例であり、且つ型開閉方向と直交する方向を「幅方向」とする。幅方向は、水平方向に沿っている。幅方向のうち操作ユニット18(図2)が設けられた側を「操作側」とする。操作側は、交差方向の一方側の一例である。また、操作側とは反対側を「非操作側」とする。矢印Xは、幅方向のうち、非操作側から操作側に向かう方向を表している。
【0022】
射出成形機10の高さ方向であり、且つ型開閉方向および幅方向のそれぞれと直交する方向を「上下方向」とする。上下方向は、鉛直方向に沿っている。上下方向の位置が高い側を「上側」とし、位置が低い側を「下側」とする。矢印Zは、上下方向のうち、下側から上側に向かう方向を表している。
【0023】
((ベッド))
図2に示されるように、ベッド22は、型締装置20の基台であり、床面2(図1)に設置されている。ベッド22の上端部には、水平面に沿った上面22Aが形成されている。上面22Aには、複数の安全マット29が設けられている。複数の安全マット29は、作業者Wが載ることで荷重が作用した場合、制御部30に検知信号を送る。制御部30は、当該検知信号を受信している間は、射出成形機10の各部の動作を禁止する。また、上面22Aの一部には、型開閉方向に沿って延びる一対のガイドレール31(図4)が設けられている。一対のガイドレール31は、後述する可動盤34を型開閉方向に沿って案内する。
【0024】
((タイバーホルダ))
図1に示されるように、タイバーホルダ23は、ベッド22の可動側端部に固定されている。タイバーホルダ23は、上面22Aから上側へ直立されている。タイバーホルダ23は、4本のタイバー24の可動側端部を支持している。
【0025】
((固定盤))
固定盤26は、ベッド22に固定的に設けられた盤体の一例である。固定盤26は、上面22Aから上側へ直立している。固定盤26の下端部は、ベッド22に固定的に設けられている。「固定的に設けられている」とは、固定盤26がベッド22に完全に固定されているものだけでなく、固定盤26が、例えば、撓み逃がしを介してベッド22に設けられることで、固定盤26の位置が変わるものも含む概念である。
【0026】
固定盤26には、固定盤26を型開閉方向に貫通する貫通部27(すり鉢部)が形成されている。貫通部27には、加熱シリンダ13およびノズル15が挿入されている。固定盤26の可動側の端部には、金型取付面の一例である固定側取付面28が形成されている。換言すると、固定盤26は、固定側取付面28を備えている。
【0027】
図3に示されるように、固定側取付面28は、幅方向および上下方向に沿って広がる平坦な面である。固定側取付面28には、金型のうち固定金型32を取り付けるための取付手段であるボルト穴、T溝、クランパ装置、電磁石などの少なくとも一つが設けられている。固定盤26は、可動側から見て、4つの隅部26Aと、4つの隅部26Aに囲まれた中央部26Bと、を有する。4本のタイバー24は、4つの隅部26Aに支持されている。また、4本のタイバー24は、型締時に、後述する型締機構部であるシリンダ機構部42(図1)が動作することで、型開閉方向の固定側へ移動可能である。
【0028】
((固定金型))
固定金型32は、射出装置12から樹脂材料Rが射出される金型の一例である。固定金型32は、固定側取付面28に取り付けられている。固定金型32には、一例として、型開閉方向の固定側に向けて窪んだ凹部33が設けられている。
【0029】
((可動盤))
図4に示されるように、可動盤34は、ベッド22の上で型開閉方向に位置変更可能に設けられた盤体の一例である。可動盤34の下端部は、上面22Aに載っている。可動盤34は、上面22Aから上側へ直立されている。可動盤34は、後述する型開閉機構部46(図1)や型締機構部であるシリンダ機構部42が動作することで、型開閉方向の固定側又は可動側へ移動可能である。つまり、可動盤34は、固定盤26に対する型開閉方向の位置を変更可能に設けられている。可動盤34の型開閉方向の固定側端部には、金型取付面の一例である可動側取付面36が形成されている。換言すると、可動盤34は、可動側取付面36を備えている。
【0030】
可動側取付面36は、幅方向および上下方向に沿って広がる平坦な面である。可動側取付面36には、金型のうち固定金型38を取り付けるための取付手段であるボルト穴、T溝、クランパ装置、電磁石などの少なくとも一つが設けられている。本発明において固定側取付面28、可動側取付面36を含む金型取付面とは、単に金型が取り付けられる部分のみを指すものでは無く、金型が取り付けられる盤面全体(シリンダ機構部42の可動盤34側の面も含む)を指すものである。可動盤34は、固定側から見て、4つの隅部34Aと、4つの隅部34Aに囲まれた中央部34Bと、を有している。タイバー24は、隅部34Aを型開閉方向に貫通している。
【0031】
図1に示されるように、可動盤34の可動側端部には、ハーフナット37が設けられている。ハーフナット37は、タイバー24のねじ溝24Bとの噛み合いが可能に配置されている。型締め動作を行う場合に、ハーフナット37の溝とねじ溝24Bが噛み合う。この状態で、シリンダ機構部42が動作することで、型締めが可能となっている。なお可動盤34は、ベッド22の上面のガイド部材に載置されるとともにタイバー24にガイドされてベッド22の上(上面)で型開閉方向に位置変更可能なものと、タイバー24のみに保持されてベッド22の上(上方)で型開閉方向に位置変更可能なものの双方が含まれる。
【0032】
((可動金型))
図4に示されるように、可動金型38は、射出装置12から樹脂材料Rが射出される金型の一例である。可動金型38は、可動側取付面36に取り付けられている。可動金型38には、一例として、型開閉方向の可動側に向けて突出した凸部39が設けられている。ここで、固定金型32(図3)と可動金型38が型開閉方向に接触する状態を「型閉状態」とする。また、可動金型38が固定金型32に対して型開閉方向に最も離れた状態を「型開状態」とする。型閉状態では、凹部33(図3)と凸部39とで、キャビティCV(図1)が形成される。キャビティCVには、既述の樹脂材料Rが射出される。換言すると、固定金型32および可動金型38には、樹脂材料Rが射出される。従って樹脂材料Rが供給される流路の無い可動金型38も射出装置12から樹脂材料Rが射出される金型に該当する。
【0033】
((シリンダ機構部))
図1に示されるように、型締機構部であるシリンダ機構部42は、固定盤26の四隅近傍のタイバー24が貫通する部位に合わせて設けられている。シリンダ機構部42は、ピストン43を備えている。ピストン43の一部は、タイバー24の型開閉方向の固定側端部を構成している。シリンダ機構部42は、ピストン43に油圧を作用させることで、タイバー24を固定側に移動させる。つまり、シリンダ機構部42は、可動金型38を固定側に移動させる型締め動作が可能となっている。このように、型締装置20では、型閉状態での型締め動作が可能となっている。
【0034】
((型開閉機構部))
型開閉機構部46は、ベッド22に設けられている。型開閉機構部46は、一例として、サーボモータとボールねじ機構とを組合せた構造を含む。型開閉機構部46は、制御部30(図2)によって動作が制御されることで、可動盤34を接触位置と退避位置の一方に移動させる。接触位置は、可動金型38と固定金型32とが接触したときの可動盤34の型開閉方向の位置である。退避位置は、可動金型38が固定金型32から最も離れたときの可動盤34の型開閉方向の位置である。このように、型開閉機構部46は、固定盤26に対する可動盤34の開閉動作を行う。
【0035】
((踏台))
図3に示されるように、踏台48は、安全扉17より内側(型締装置20のある側)の後述するタイバーカバー52に対する幅方向の操作側に設けられている。踏台48は、床面2から上側へ直立している。踏台48は、一例として、上下方向の高さが異なる複数の踏板48Aを有する。踏板48Aは、作業者W(図2)が足を乗せる作業ステップの一例である。なお、以後の説明では、作業者Wが示された図番の記載を省略する。
【0036】
((タイバーカバー))
タイバーカバー52とタイバーカバー64は、固定側取付面28の下側のタイバー24が挿通される部分の近傍に取り付けられている。タイバーカバー52は、下側且つ操作側の隅部26Aを通るタイバー24の型開閉方向の一部を、少なくとも上方から覆っている。タイバーカバー64は、下側且つ非操作側の隅部26Aを通るタイバー24の型開閉方向の一部を、少なくとも上方から覆っている。従ってタイバー24の上方のみにしか足を乗せることが可能なタイバーカバー52、64が存在しない場合も本発明のタイバーカバーに該当する。
【0037】
図4に示されるように、タイバーカバー62とタイバーカバー64は、可動側取付面36にのみ直接取り付けられている。タイバーカバー62は、下側且つ操作側の隅部34Aを通るタイバー24の型開閉方向の一部を上側から覆っている。タイバーカバー64は、下側且つ非操作側の隅部34Aを通るタイバー24の型開閉方向の一部を上側から覆っている。また固定側取付面28や可動側取付面36に水平方向に金型交換される際に使用される金型交換用ローラが同じ高さに複数個列設される場合、タイバーカバー52、63、64の最上面の高さは、前記ローラの最上面の高さよりも低くなっている。
【0038】
図3および図4に示されるように、タイバーカバー62は、一例として、タイバーカバー52を型開閉方向に反転させた対称の構成を有している。このため、タイバーカバー62を構成する各部の詳細については、タイバーカバー52の各部と同じ符号を付して説明を省略する。なお、タイバーカバー52、62、64は、作業者Wが足を乗せることが可能な強度を有している。タイバーカバー52、62、64は、ベッド22に対して上下方向に間隔をあけて位置している。換言すると、タイバーカバー52、62、64は、ベッド22に支持されておらず、ベッド22とは間隔をあけて位置する。タイバーカバー52、62、64は、固定盤20や可動盤34等の台盤の金型取付面である固定側取付面28や可動側取付面36に片持ち梁の状態に取付られている。
【0039】
図5および図6に示されるように、操作側の下側のタイバー24の少なくとも上方を覆うタイバーカバー52は、一例として、平板部54と、取付部55と、側板部56と、補強部59と、を備えている。平板部54とタイバー24は、上下方向に間隔をあけて対向している。前記平板部54の裏面とタイバー24の円周面の最上部との間隔は、これに限定されるものではないが、3mmないし100mm、より望ましくは5mmないし20mmの間隔となっている。前記間隔が短すぎるとタイバー24の上面に付着したゴミ等を除去することが難しく、また平板部54に作業者が乗ってタイバーカバー52、62、64が撓んだ場合に、前記平板部25の裏面がタイバー24と接触する可能性がある。また前記間隔が長すぎるとタイバーカバー52、62、64の位置が高くなりすぎて、作業者Wがタイバーカバー52、62、64の平板部54の上面に足を乗せたり、タイバーカバー52、62、64を跨いだりするのが容易ではなくなる。また金型交換時に金型を上下のタイバー24、24の間から横入れ搬送する場合にタイバー24に対するタイバーカバー52、62、64の位置が高すぎると高さの高い金型が搬入できなくなる。
【0040】
(平板部)
平板部54は、上下方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。平板部54は、上下方向の上側の上面54Aと、下側の下面54Bとを有する。平板部54は、型開閉方向に沿って延びている。平板部54は、作業者Wの足が乗る部位である。平板部54は、上側から見た場合、型開閉方向に沿った辺と幅方向に沿った辺とを有する四角形状に形成されている。平板部54の操作側端部は、踏台48(図3)の非操作側端部まで延びている。
【0041】
(取付部)
取付部55は、平板部54の型開閉方向の固定側端部に設けられている。取付部55は、平板部54から上下方向の下側へ固定側取付面28と平行に延びている。取付部55は、型開閉方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。取付部55は、型開閉方向から見て、幅方向の寸法が上下方向の寸法よりも長い矩形状に形成されている。取付部55には、ボルト61の軸部を挿通可能な複数の孔部が形成されている。取付部55は、一例として、4本のボルト61を固定盤26に締結することで、固定側取付面28に取り付けられている。
【0042】
(側板部)
側板部56は、平板部54の幅方向の両端部に設けられている。側板部56は、平板部54の幅方向の両端部からベッド22(図1)に向けて、下側(ベッド22が位置する側)へ延びている。また、側板部56は、平板部54の固定側端部から可動側端部までに亘って設けられている。側板部56は、幅方向から見て、平板部54と踏板48A(図3)との間に位置している。換言すると、側板部56は、蹴板として機能するように設けられている。
【0043】
具体的には、側板部56は、幅方向の操作側の側壁57と、非操作側の側壁58とを有する。側壁57および側壁58は、幅方向から見て、型開閉方向の寸法が上下方向の寸法よりも長い矩形状に形成されている。また、側壁57および側壁58は、それぞれ同程度の大きさを有している。幅方向から見て、側壁57の下端および側壁58の下端は、タイバー24の上端よりも下側に位置し、且つタイバー24の下端よりも上側に位置している。側壁57とタイバー24との幅方向の間隔は、一例として、側壁58とタイバー24との幅方向の間隔よりも大きい。
【0044】
(補強部)
図5に示されるように、補強部59は、下面54Bの一部から下側へ延びている。補強部59は、幅方向に厚さを有する板状に形成されている。補強部59は、幅方向から見て、型開閉方向の寸法が上下方向の寸法よりも長い矩形状に形成されている。補強部59の上端は、下面54Bに溶接により固定されている。補強部59の固定側端は、取付部55に溶接により固定されている。これにより、補強部59は、平板部54が荷重を受けた場合、平板部54の変形を抑制する。
【0045】
つまり、補強部59は、平板部54を補強している。補強部59の下端は、側板部56の下端と幅方向に並ぶように位置している。補強部59とタイバー24との幅方向の間隔は、一例として、側壁58とタイバー24との幅方向の間隔よりも小さい。ただし補強部59は、平板部54の幅方向の長さが短い場合は設けない場合もあり必須のものではない。
【0046】
図3に示されるように、取付部55は、型開閉方向から見て、平板部54と側板部56とで囲まれている。つまり、取付部55は、固定側取付面28に取り付けられた状態で、平板部54と側板部56とで覆われており、作業者Wからは視認されない状態にある。なお、平板部54、側板部56および取付部55で囲まれた空間は、可動側および下側に向けて解放されている。
【0047】
タイバーカバー64は、一例として、平板部66と、取付部67と、側板部68とを備えている。
【0048】
(平板部)
反操作側の下側のタイバー24の少なくとも上方を覆うタイバーカバー66の平板部66は、上下方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。また、平板部66は、平板部54と同様の形状を有している。平板部66の幅方向の寸法は、平板部54の幅方向の寸法よりも短く、且つタイバー24の直径に相当する寸法よりも長い。平板部66は、作業者Wが足を乗せることが可能な部位である。平板部66は、タイバー24と上下方向に間隔をあけて、且つタイバー24よりも上側に位置している。平板部66の上下方向の位置は、平板部54の上下方向の位置とほぼ揃っている。
【0049】
(取付部)
取付部67は、平板部66の型開閉方向の固定側端部に設けられている。取付部67は、平板部66から上下方向の下側へ延びている。取付部67は、取付部55と同様の形状を有している。取付部67の幅方向の寸法は、取付部55の幅方向の寸法よりも短く、且つタイバー24の直径に相当する寸法よりも長い。取付部67は、一例として、2本のボルト61を固定盤26に締結することで、固定側取付面28に取り付けられている。
【0050】
(側板部)
側板部68は、平板部66の幅方向の両端部に設けられている。側板部68は、平板部66の幅方向の両端部から下側へ延びている。側板部68は、一例として、側板部56と同様の構成を有する。
【0051】
図4に示されるように、タイバーカバー62は、一例として、平板部54と、取付部55と、側板部56と、補強部59と、を備えている。取付部55は、ボルト61を用いて可動側取付面36に取り付けられている。
【0052】
図1に二点鎖線および実線で示されるように、型閉状態で、固定側取付面28と可動側取付面36との型開閉方向の間隔に相当する長さL1は、タイバーカバー52の型開閉方向の長さL2と、タイバーカバー62の型開閉方向の長さL3(=L2)との和よりも長い。換言すると、可動盤34が固定盤26に対して型開閉方向に移動した場合、タイバーカバー52とタイバーカバー62は、接触しない。なお前記の型開閉方向の間隔に相当する長さL1よりもタイバーカバー52の型開閉方向の長さL2とタイバーカバー62の型開閉方向の長さL3を加算した長さのほうが長くなるようにタイバーカバー52、62を取り付けてもよい。その場合は、前記タイバーカバー52、62が型閉時に当接しないようにいずれか一方のタイバーカバーは他方のタイバーカバーに対してより一層上方またはタイバー24に対して外側に設けられる。
【0053】
<<射出成形機の作用>>
以下、図1から図6までを参照して、射出成形機10の作用について説明する。
【0054】
射出成形機10では、作業者Wが、点検、清掃、金型交換等の作業を行うために、固定盤26又は可動盤34に近づいて作業する場合や、操作側のタイバー24と非操作側のタイバー24との間に侵入して作業する場合等がある。作業者Wは、安全扉17を開放させた後、固定盤26の周辺、又は可動盤34の周辺に向けて移動する。
【0055】
作業者Wは、型開された可動金型32側に向かう場合、射出成形機10の外側に位置する床面2又は作業用ステップから、踏台48の複数の踏板48Aを踏んで上がり、タイバーカバー52の平板部54に上がる。そして、必要に応じて、固定盤26と可動盤34の間のスペースのベッド22上に載置された安全マット29付きの作業台に降りる。また、作業者Wは、型開された可動金型38側に向かう場合、床面2又は作業用ステップから、踏台48の複数の踏板48Aを踏んで上がり、タイバーカバー62の平板部54に上がる。そして、必要に応じて、固定盤26と可動盤34との間のスペースのベッド22上に載置された安全マット29付きの作業台に降りる。
【0056】
このように、作業者Wは、タイバーカバー52に乗ることで、タイバー24との接触を回避しつつ型締装置20の内部へ移動することができる。なお、作業者Wは、非操作側のタイバーカバー64に乗る場合、非操作側に他の踏台を配置して上がってもよい。
【0057】
または、作業者Wは、タイバーカバー52、62等の上に立って固定金型32や可動金型38の上部の作業を行うことも可能である。
【0058】
タイバーカバー52、62、64では、取付部55、67が、複数のボルト61を用いて固定側取付面28又は可動側取付面36に締結されている。ここで、作業者Wがタイバーカバー52の平板部54に乗った場合、平板部54に作用する荷重に対して、ボルト61の締結部分が抵抗する。これにより、タイバーカバー52は、作業者Wが乗った場合に生じる変形を抑制することができる。なお、タイバーカバー62、64についても、タイバーカバー52と同様の作用を得ることができる。
【0059】
以上、説明した通り、射出成形機10では、タイバーカバー52、62、64が、作業者Wを支持することができる。このため、ベッド22の上面22Aに、タイバーカバー52、62、64を支持する支持構造を設けなくて済むので、タイバー24を保護する場合に、ベッド22での作業スペース(安全マット29)のレイアウトの自由度が低下することを抑制できたり、タイバーカバー用のレールを設ける必要がなくなったりするので射出成形機の構造を簡素化することができる。
【0060】
射出成形機10では、タイバーカバー52について、作業者Wが平板部54に乗った場合、側板部56の固定側端面と、固定側取付面28とが接触していることで、平板部54に作用する荷重に対して抵抗する。これにより、平板部54の上下方向の変形を抑制することができる。
【0061】
また、作業者Wが平板部54に乗るために足を上げた場合で且つ足のつま先が平板部54に届いていない場合、作業者Wのつま先は、側板部56に接触する場合がある。これにより、作業者Wのつま先が、平板部54よりも下側に進入することがなくなるので、作業者Wが平板部54に乗り易くなる上に、つま先がタイバー24に接触しなくなる。タイバーカバー62、64についても、同様の作用を得ることができる。
【0062】
射出成形機10では、補強部59が平板部54を下側から補強しているので、平板部54の上下方向の変形をさらに抑制することができる。タイバーカバー62についても、同様の作用を得ることができる。
【0063】
射出成形機10では、側板部56が平板部54の幅方向の両端部に設けられている。これにより、操作側から平板部54に乗る場合と、非操作側から平板部54に乗る場合との両方で、作業者Wのつま先が平板部54よりも下側に進入することがなくなる。タイバーカバー62、64についても、同様の作用を得ることができる。
【0064】
射出成形機10では、取付部55は、可動盤側の型開閉方向から見て、平板部54と側板部56とで囲まれている。換言すると、取付部55は、平板部54の上面54Aよりも下側に位置している(上面54Aよりも上側に露出されていない)。このため、作業者Wが平板部54に乗る動作を行う場合に、取付部55が作業者Wの移動の邪魔になることを抑制できる。タイバーカバー62、64についても、同様の作用を得ることができる。
【0065】
射出成形機10では、側板部56が、幅方向から見て、平板部54と踏板48Aとの間に位置している。これにより、作業者Wが踏板48Aから平板部54に上がる場合、作業者Wのつま先が平板部54よりも下側へ進入しなくなるので、作業者Wが踏台48から平板部54に上がり易くなる。タイバーカバー62についても同様の作用を得ることができる。
【0066】
〔タイバーカバーの各変形例〕
次に、図7Aから図17までを参照して、第1実施形態のタイバーカバー52(図1)の変形例である、変形例1から変形例14までの各タイバーカバーについて説明する。タイバーカバー52と同一又は同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、変形例1から変形例14までの各タイバーカバーは、一例として、固定側取付面28(図3)に取り付けられているが、可動側取付面36(図4)に取り付けられてもよい。また、各タイバーカバーは、ベッド22には支持されていない。
【0067】
<変形例1>
図7Aには、変形例1として、タイバーカバー72が示されている。タイバーカバー72は、タイバー24の型開閉方向の一部を上側から覆っている。タイバーカバー72は、平板部54と、取付部55と、側板部74と、を備えている。側板部74は、操作側の側板部75と、非操作側の側板部76とを有する。
【0068】
側板部75は、平板部54の操作側端部から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁75Aと、縦壁75Aの下端部から操作側且つ下側へ延びる傾斜壁75Bと、傾斜壁75Bの下端から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁75Cと、を有している。
【0069】
側板部76は、平板部54の非操作側端部から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁76Aと、縦壁76Aの下端部から非操作側且つ下側へ延びる傾斜壁76Bと、傾斜壁76Bの下端から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁76Cと、を有している。このように、側板部74は、傾斜壁75B、76Bを有している。傾斜壁75Bが延びる方向、傾斜壁76Bが延びる方向は、それぞれ、上下方向と交差する斜め方向の一例である。
【0070】
側板部75では、上下方向又は幅方向から見た場合、傾斜壁75Bが、縦壁75Aと縦壁75Cとの間に位置している。これにより、例えば、平板部54に対する操作側で工具が落下した場合、当該工具は、傾斜壁75Bと接触することで、タイバー24から離れる側へ移動する。これにより、落下した工具がタイバー24の下側に侵入するのを抑制することができる。
【0071】
また、傾斜壁75Bは、斜め方向に延びている。換言すると、傾斜壁75Bは、型開閉方向から見た場合に、直角に近い角部を有していない。このため、作業者Wのつま先が引っ掛かりにくくなるので、作業者Wが平板部54に上り易くなる。なお、側板部76についても、側板部75と同様の作用を得ることができる。
【0072】
<変形例2>
図7Bには、変形例2として、タイバーカバー78が示されている。タイバーカバー78は、タイバー24の型開閉方向の一部を上側から覆っている。タイバーカバー78は、平板部54と、取付部55と、側板部81と、を備えている。側板部81は、操作側の側板部82と、非操作側の側板部83とを有する。
【0073】
側板部82は、平板部54の操作側端部から操作側且つ下側へ、斜め方向に延びる傾斜壁である。側板部83は、平板部54の非操作側端部から非操作側且つ下側へ、斜め方向に延びる傾斜壁である。このように、側板部81が、縦壁を有していなくてもよい。タイバーカバー78についても、タイバーカバー72(図7A)と同様の作用を得ることができる。
【0074】
<変形例3>
図8Aには、変形例3として、タイバーカバー84が示されている。タイバーカバー84は、平板部54と、取付部55と、側板部85と、を備えている。側板部85は、平板部54の操作側の端部から下側へ延びている。つまり、側板部85は、平板部54の操作側のみに設けられている。タイバーカバー84では、操作側について、タイバーカバー52(図5)と同様の作用を得ることができる。なお本発明において側壁部85があると作業者のつま先がタイバー24に当たる可能性が減るという効能やタイバーカバー24の強度を増加させるという効能を備えるが、側壁部85は必須のものではない。本発明のタイバーカバーはタイバー24の少なくとも上方を覆うものであればよく、タイバー24の上方のみを覆う平板部等の板体から構成されるものでもよい。その場合タイバーカバーの平板部等の幅方向の長さは、タイバー24の直径よりも長いことが好ましい。また本発明においてタイバーカバーは、タイバー24を隠すほどに覆うものやカバーするものではなくてもよく、少なくともタイバー24の上部(好ましくは最上部)を含む部分に対向するものであればよい。
【0075】
<変形例4>
図8Bには、変形例4として、タイバーカバー86が示されている。タイバーカバー86は、平板部54と、取付部55と、側板部87と、を備えている。側板部87は、操作側の側板部88と、非操作側の側板部89とを有する。
【0076】
側板部88は、平板部54の操作側端部から操作側且つ下側へ延びる湾曲壁88Aと、湾曲壁88Aの下端部から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁88Bと、を有している。湾曲壁88Aは、型開閉方向から見て、タイバー24の径方向の外側に向けて湾曲されている。
【0077】
側板部89は、平板部54の非操作側端部から非操作側且つ下側へ延びる湾曲壁89Aと、湾曲壁89Aの下端部から上下方向に沿って下側へ延びる縦壁89Bと、を有している。湾曲壁89Aは、型開閉方向から見て、タイバー24の径方向の外側に向けて湾曲されている。このように、湾曲壁88A、89Aを用いることで角部を無くし、あるいは、角部の数を減らせるので、作業者Wが平板部54に上り易くなる。更に変形例4のタイバーカバー86の上部に平面部54を備えず、上部も含めて全てを湾曲壁(湾曲部)から構成したものでもよい。その場合上部の湾曲壁(湾曲部)の上面は比較的滑りにくい部材で構成することが望ましい。また本発明において「作業者が足を乗せることが可能なタイバーカバー」とは、作業者Wがタイバーカバーの上に乗った際に加えられる荷重に耐えうることが重要であり、作業者Wが射出成形機10等の型開された固定金型32と可動金型38の間のベッド22上のスペースに入る場合に、絶対にタイバーカバーに一度足を置いてから前記スペースに入るということを意味するものではない。
【0078】
<変形例5>
図9Aには、変形例5として、タイバーカバー92が示されている。タイバーカバー92は、タイバーカバー64に、保持部材93および摺動部材94が追加されている。保持部材93は、平板部66の下面66Aに溶接されている。保持部材93の上下方向の下端部には、曲面93Aが形成されている。曲面93Aは、タイバー24に対する上側に位置している。
【0079】
摺動部材94は、型開閉方向から見て上側に湾曲した板状に形成されている。摺動部材94の上面部は、曲面93Aに固定されている。摺動部材94の下端部は、タイバー24の外周面24Aのうち、中心軸Cよりも上側の一部と接触している。摺動部材94は、一例として、フッ素樹脂を含む摺動材(低摩擦材)から成る。このため、タイバー24が摺動部材94に対して型開閉方向に移動しても、摺動部材94の摩耗が抑制されている。
【0080】
タイバーカバー92では、平板部66が、保持部材93および摺動部材94を介してタイバー24に支持されている。これにより、作業者Wが平板部66に乗った場合に、平板部66に作用する荷重の一部をタイバー24が負担するので、平板部66の変形をさらに抑制することができる。
【0081】
<変形例6>
図9Bには、変形例6として、タイバーカバー95が示されている。タイバーカバー95は、タイバーカバー64の各部に加えて、複数のコイルバネ96と、踏板97と、切替スイッチ98と、ストッパー99と、を備える。なお、平板部66は、固定側取付面28(図3)に取り付けられた基部の一例である。
【0082】
複数のコイルバネ96は、平板部66に支持された弾性部材の一例である。複数のコイルバネ96は、上下方向に沿って弾性変形が可能である。複数のコイルバネ96の下端は、平板部66の上面66Bに取り付けられている。複数のコイルバネ96の上端は、後述する下面97Aに取り付けられている。
【0083】
踏板97は、上下方向に厚さを有する平板状に形成されている。踏板97は、下面97Aを有する。踏板97は、複数のコイルバネ96に支持されている。踏板97は、作業者Wが乗ることで平板部66に対する上下方向の位置が変わる変位部材の一例である。
【0084】
切替スイッチ98は、上面66Bに固定されている。切替スイッチ98は、作業者Wが乗ることにより踏板97の上下方向の変位量に応じて導通状態と非導通状態とが切り替わる検出部の一例である。基準となる変位量以上に踏板97が下がった場合、切替スイッチ98は、踏板97と接触することで導通状態となる。基準となる変位量よりも小さい変位量で踏板97が位置している場合(踏板97が平板部66から上側へ離れている場合)、切替スイッチ98は、非導通状態となる。なお、切替スイッチ98は、導通状態、非導通状態の各信号を制御部30に伝達する。
【0085】
ストッパー99は、上面66Bに取り付けられたブロック状の部材である。ストッパー99は、踏板97が設定位置よりも下側に位置しないように、踏板97と接触することで踏板97の下側への変位を規制する。なお、ストッパー99が踏板97の変位を規制しても、切替スイッチ98は導通状態となる。
【0086】
タイバーカバー95では、作業者Wが踏板97に乗っていない場合、切替スイッチ98が非導通状態となり、作業者Wが踏板97に乗った場合、切替スイッチ98が導通状態となる。これにより、作業者Wが踏板97に乗っているか否かを検知することができる。制御部30は、切替スイッチ98が導通状態の場合、射出成形機10の各部の動作を停止状態で維持する制御が可能である。なお本変形例に限らずいずれの変形例においても、タイバーカバーの平板部、または踏板部材の上面に検出部である安全マット等を貼付し、作業者が平板部や踏板部材の上面に乗ったことが検出されるようにしてもよい。
【0087】
<変形例7>
図10Aには、変形例7として、タイバーカバー102が示されている。タイバーカバー102は、平板部104A、104B、104Cと、取付部105A、105B、105Cと、側板部106と、を備えており、これらが一体化されている。タイバーカバー102は、固定側取付面28に取り付けられている。側板部106は、操作側の側壁106A、106Bと、非操作側の側壁106C、106Dとを有する。
【0088】
平板部104Aは、タイバー24よりも上側に位置し、取付部105Aで固定側取付面28に取り付けられている。平板部104Bは、タイバー24に対する操作側で且つ下側に位置し、取付部105Bで固定側取付面28に取り付けられている。平板部104Cは、タイバー24に対する非操作側で且つ下側に位置し、取付部105Cで固定側取付面28に取り付けられている。
【0089】
側壁106Aは、平板部104Aの操作側端部と、平板部104Bの非操作側端部とを上下方向に繋いでいる。側壁106Bは、平板部104Bの操作側端部から下側へ延びている。側壁106Cは、平板部104Aの非操作側端部と、平板部104Cの操作側端部とを上下方向に繋いでいる。側壁106Dは、平板部104Cの非操作側端部から下側へ延びている。このように、操作側および非操作側で、それぞれ多段のタイバーカバー102を用いることで、作業者Wは、操作側から非操作側へ、あるいは非操作側から操作側へタイバー24を越えて移動し易くなる。
【0090】
<変形例8>
図10Bには、変形例8として、タイバーカバー108が示されている。タイバーカバー108は、タイバーカバー102(図10A)の側板部106の一部が、タイバー24側へ窪んだ形状となっている。具体的には、タイバーカバー108は、タイバーカバー102に対して、側壁106Aおよび側壁106Cが、側壁108Aおよび側壁108Bに置き換えられた点が異なる。
【0091】
側壁108Aの下端部には、窪み部109Aが形成されている。窪み部109Aは、側壁108Aの上下方向に沿った部分よりもタイバー24側(非操作側)に向けて窪んでいる。側壁108Bの下端部には、窪み部109Bが形成されている。窪み部109Bは、側壁108Bの上下方向に沿った部分よりもタイバー24側(操作側)に向けて窪んでいる。
【0092】
窪み部109A、109Bには、作業者Wの足のつま先が進入可能である。このように、タイバーカバー108が窪み部109A、109Bを有することで、平板部104B、104Cで足を乗せることが可能な領域を広げることができる。なお、窪み部位109A、109Bを型開閉方向から見た形状は、角部を有する形状に限らず、曲面を有する形状であってもよい。
【0093】
<変形例9>
図11には、変形例9として、タイバーカバー112が示されている。タイバーカバー112は、タイバーカバー108(図10B)に対して、側壁106B(図10B)が側壁114Aに置き換えられ、さらに、平板部113および側壁114Bを有する点が異なる。
【0094】
側壁114Aは、平板部104Bの操作側端部から踏台48の上面まで下側に延びている。平板部113は、側壁106Dの下端部から非操作側へ幅方向に延びている。側壁114Bは、平板部113の非操作側端部から下側へ延びている。このように、タイバーカバー112は、踏台48に合わせて多段の部材として構成されている。このため、作業者Wは、踏台48からタイバー24を越えて非操作側へ移動し易くなる。
【0095】
なお、固定側取付面28のうち、平板部104Aに対する上側で且つ操作側の部位には、取っ手115が設けられているがこのような取っ手115を取り付けてもよい。作業者Wは、取っ手115を掴むことで、姿勢を安定させながら足を平板部104Bに乗せられるので、平板部104Bに乗り易くなる。
【0096】
<変形例10>
図12Aおよび図12Bには、変形例10として、タイバーカバー122が示されている。タイバーカバー122は、平板部124と、取付部125と、側板部126と、を備えている。
【0097】
平板部124は、上板部124Aと、中板部124B、124Cと、下板部124D、124Eと、を備えている。上板部124Aは、上下方向に厚さを有し、固定側取付面28から可動側へ延びている。上板部124Aは、タイバー24よりも上側に位置しており、タイバー24の型開閉方向の一部を覆っている。つまり、上板部124Aは、タイバー24と上下方向に対向している。
【0098】
中板部124B、124Cは、上板部124Aよりも上下方向の高さが低い。中板部124Bは、上板部124Aに対して操作側に位置し、固定側取付面28から可動側へ延びている。中板部124Bの型開閉方向の長さは、上板部124Aの型開閉方向の長さよりも短い。中板部124Cは、上板部124Aに対して非操作側に位置し、固定側取付面28から可動側へ延びている。中板部124Cの型開閉方向の長さは、上板部124Aの型開閉方向の長さよりも短い。
【0099】
下板部124D、124Eは、中板部124B、124Cよりも上下方向の高さが低い。上下方向から見て、下板部124Dは、中板部124Bの可動側端部の位置から可動側へ延びている。上下方向から見て、下板部124Eは、中板部124Cの可動側端部の位置から可動側へ延びている。
【0100】
取付部125は、上板部124Aの固定側端部に設けられた上取付部125Aと、中板部124B、124Cの固定側端部に設けられた下取付部125Bと、を有する。上取付部125Aおよび下取付部125Bは、それぞれ、ボルト61を用いて、固定側取付面28に取り付けられている。
【0101】
側板部126は、縦壁126A、126B、126C、126D、126E、126Fを有する。縦壁126Aは、上板部124Aの操作側端部から中板部124B又は下板部124Dまで、下側へ延びている。縦壁126Bは、上板部124Aの非操作側端部から中板部124C又は下板部124Eまで、下側へ延びている。
【0102】
縦壁126Cは、中板部124Bの操作側端部から下側へ延びている。縦壁126Dは、中板部124Cの非操作側端部から下側へ延びている。縦壁126Eは、下板部124Dの操作側端部から下側へ延びている。縦壁126Fは、下板部124Eの非操作側端部から下側へ延びている。
【0103】
上下方向から見て、中板部124B、124Cおよび下板部124D、124Eは、それぞれ上板部124Aと幅方向に並んでいる。中板部124B、124Cと下板部124D、124Eは、それぞれ型開閉方向に並んでいる。
【0104】
作業者Wは、例えば、操作側から上板部124Aに上がる場合、下板部124Dから型開閉方向に移動して中板部124Bに上がり、さらに、中板部124Bから幅方向に移動して上板部124Aに上がる。これにより、上板部124Aが高い位置にあり、且つ固定盤26と安全扉17との間のスペースが小さい構成であっても、作業者Wが上板部124Aに上がる(乗る)ことができる。
【0105】
<変形例11>
図13Aおよび図13Bには、変形例11として、タイバーカバー132が示されている。タイバーカバー132は、タイバーカバー102(図10A)に対して、平板部104B、104C(図10A)に代えて平板部132A、132Bを有する点が異なる。さらに、タイバーカバー132は、取付部105B、105C(図10A)に代えて取付部133A、133Bを有し、側壁106B、106D(図10A)に代えて側壁134A、134Bを有する点が異なる。
【0106】
取付部105A、133A、133Bでは、単数又は複数のボルト61が用いられている。平板部132Aの操作側端部は、踏台48の上方まで延びている。
【0107】
ここで、タイバー24と安全扉17との間のスペースが狭い場合、タイバーカバー132のように、平板部132Aの一部を踏台48の上方に配置することで、踏台48と平板部104Aとの間に、中間ステップとなる平板部132Aを設けることができる。
【0108】
<変形例12>
図14には、変形例12として、タイバーカバー136が示されている。タイバーカバー136は、タイバー24の型開閉方向の一部を上側から覆っている。タイバーカバー136は、平板部138と、2つのヒンジ部142と、2つの側板部146と、を備えている。なお、図14では、非操作側のヒンジ部142および側板部146が示されており、操作側のヒンジ部142および側板部146の図示は省略されている。
【0109】
作業者Wが乗ることが可能なときのタイバーカバー136の位置を「使用位置」とし、タイバーカバー136が使用されないときの位置を「非使用位置」とする。タイバーカバー136が使用位置にある場合、平板部138は、水平方向(型開閉方向)に沿って配置される。タイバーカバー136が非使用位置にある場合、平板部138は、上下方向に沿って直立されている。タイバーカバー136の各部の配置関係については、タイバーカバー136が使用位置にあるものとして説明する。
【0110】
平板部138は、上下方向に厚さを有する平板状の部位である。平板部54は、タイバー24と上下方向に間隔をあけて、且つタイバー24よりも上側に位置している。上下方向から見た場合、平板部138は、矩形状に形成されている。平板部138の固定側端部と固定側取付面28との間には、隙間が形成されている。
【0111】
ヒンジ部142は、2つの側板部146に対して幅方向の外側(操作側と非操作側)に位置している。操作側および非操作側のヒンジ部142は、それぞれ、側板部146を回転可能に支持している。ヒンジ部142は、ブラケット143と、連結ピン144と、を備えている。
【0112】
ブラケット143は、上下方向から見て幅方向と型開閉方向とに沿ったL字形状に形成されている。ブラケット143は、固定側取付面28に固定された板部143Aと、板部143Aの幅方向の端部から型開閉方向に延びる板部143Bと、を有している。板部143Bには、幅方向に貫通する貫通孔143Cが形成されている。
【0113】
連結ピン144は、型開閉方向と交差する軸の一例である。連結ピン144は、幅方向に沿った中心軸を有する円柱状に形成されている。
【0114】
側板部146は、平板部138の幅方向の両端部からそれぞれ下側へ延びている。側板部146のうち、型開閉方向の固定側端部で且つ上下方向の上端部には、R部147が形成されている。また、側板部146のうち、型開閉方向の固定側端部で且つR部147よりも下側には、端面148が形成されている。端面148は、タイバーカバー136が使用位置にある場合、固定側取付面28と面接触することで、タイバーカバー136の一方向の回転を規制する。側板部146には、幅方向に貫通する孔部149が形成されている。
【0115】
連結ピン144は、孔部149と貫通孔143Cとに挿通されている。このように、ヒンジ部142では、側板部146が連結ピン144を中心として回転可能となっている。換言すると、タイバーカバー136は、タイバー24と対向するときの使用位置と、タイバー24から離れたときの非使用位置とに切り替え可能である。なお側壁部146の上下方向の長さは、タイバー24の半径よりも短いことが好ましい。タイバーカバー136を固定側取付面28と略平行に収納した場合に前記固定側取付面28からの突出量を小さくするためである。
【0116】
タイバーカバー136は、非使用位置にある場合、固定金型32よりも下側に収納されるため、各金型の移動および型締め動作を邪魔しない。また、タイバーカバー136は、使用位置にある場合、タイバー24を上側から覆うため、作業者Wが平板部138に乗ることができる。このように、タイバーカバー136を回転させることで、タイバーカバー136の位置を切り替えてもよい。なお、タイバーカバー136が非使用位置にある場合、フック等の引掛部材を用いて、タイバーカバー136の姿勢を直立状態で保持させてもよい。
【0117】
<変形例13>
図15に示されるように、変形例13の射出成形機10は、固定盤26について、タイバーカバー152と、タイバーカバー64と、を備えている。また、ベッド22に対する操作側には、アングル158が設けられている。アングル158に対する操作側には、作業ステップ159が設けられている。アングル158の上面158Aの高さは、上面22Aよりも高く、且つ作業ステップ159の上面159Aと同程度の高さに揃えられている。なお、上面22Aには安全マット29(図2)が敷かれている。
【0118】
図16に示されるように、安全扉17の型締装置20側の内面17Aには、軸部21Aと、車輪21Bとが設けられている。軸部21Aは、内面17Aの下端部から幅方向に沿って延びている。車輪21Bは、軸部21Aに回転可能に設けられている。
【0119】
タイバーカバー152は、一例として、平板部153と、取付部154と、側板部156と、を備えている。
【0120】
平板部153は、上下方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。平板部153は、作業者Wの足が乗る部位である。平板部153は、タイバー24と上下方向に間隔をあけて、且つタイバー24よりも上側に位置している。
【0121】
取付部154は、平板部153の型開閉方向の固定側端部に設けられている。取付部154は、平板部153から下側へ延びている。取付部154は、一例として、3本のボルト61を固定盤26に締結することで、固定側取付面28に取り付けられている。
【0122】
側板部156は、平板部153の幅方向の両端部から下側へ延びている。具体的には、側板部156は、側壁156Aと、側壁156Bと、底壁156Cと、レール部156Dと、を備えている。側壁156Aは、平板部153の操作側端部から下側へ延びている。側壁156Bは、平板部153の非操作側端部から下側へ延びている。
【0123】
底壁156Cは、側壁156Aの下端部から幅方向に沿って外側(操作側)へ延びている。また、底壁156Cは、上面158Aに載った状態で固定されている。レール部156Dは、底壁156Cの操作側端部から上側に直立された板状の部位である。レール部156Dは、型開閉方向に延びており、車輪21Bを型開閉方向に沿って案内する。
【0124】
図15に示されるように、作業者Wは、安全扉17が開放された状態で、作業ステップ159から底壁156Cおよび平板部153を経由して、上面22Aに到達する。
【0125】
図16に示されるように、タイバーカバー152では、タイバーカバー152の一部であるレール部156Dが車輪21Bを案内することで、安全扉17が型開閉方向に沿って開閉される。このように、タイバーカバー152の一部に安全扉17を案内する案内部を一体的に設けることで、射出成形機10の構造を簡素化することができる。
【0126】
<変形例14>
図17に示されるように、変形例14の射出成形機10は、タイバーカバー162を備えている。また、アングル158には、案内部材161が設けられている。
【0127】
案内部材161は、上面158Aに固定された底板部161Aと、底板部161Aの操作側端部から上側に直立したレール部161Bと、を有している。レール部161Bは、車輪21Bを型開閉方向に沿って案内する。
【0128】
タイバーカバー162は、一例として、平板部163と、取付部164と、側板部165と、を備えている。
【0129】
平板部163は、上下方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。平板部163は、作業者Wの足が乗る部位である。平板部153は、タイバー24と上下方向に間隔をあけて、且つタイバー24よりも上側に位置している。平板部163は、底板部161Aと幅方向に並んでいる。
【0130】
取付部164は、平板部163の型開閉方向の固定側端部に設けられている。取付部164は、平板部163から上下方向の下側へ延びている。取付部164は、一例として、3本のボルト61を固定盤26に締結することで、固定側取付面28に取り付けられている。
【0131】
側板部165は、平板部163の非操作側端部から下側へ延びている。このように、案内部材161を単独でアングル158に設けて、タイバーカバー162がレール部161Bを有していない構成としてもよい。
【0132】
なお上記の変形例1ないし14は全てタイバー24の下方にはタイバーカバーや側板部同士を連結する接続部材が設けられていない。しかし本発明においてはタイバー24の下方にもベッド22とは間隔をあけてタイバ-カバーや側壁部同士を連結する接続部材を設けてもよい。前記のようにタイバーカバーを構成することによりタイバーカバー自体を堅牢にすることが期待できる。
【0133】
〔第2実施形態〕
図18には、第2実施形態の射出成形機170が示されている。射出成形機170は、床面2に設置されており、射出成形機10は、可動盤202や中間部材212が水平方向に設けられたタイバー24に沿って移動される横型の射出成形機である。なお、射出成形機10(図1)と同一又は同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。射出成形機170は、比較的大型の成形機である。
【0134】
<<射出成形機の構成>>
射出成形機170では、複合成形品を成形可能である。射出成形機170は、一例として、固定側射出装置172と、可動側射出装置174と、本体カバー部16と、安全扉17および操作ユニット176(図19)と、型締装置200と、を含む。
【0135】
<固定側射出装置および可動側射出装置>
固定側射出装置172および可動側射出装置174は、それぞれ、成形材料を射出する射出部の一例である。固定側射出装置172と可動側射出装置174は、それぞれ、射出装置12(図1)と同様の構成を有している。なお、固定側射出装置172と可動側射出装置174とでは、投入される樹脂材料R(図1)の種類が異なっている。
【0136】
<操作ユニット>
図19および図21に示されるように、操作ユニット176は、射出成形機170の各部の動作を制御可能なユニットである。操作ユニット176は、作業者Wによって操作される。操作ユニット176は、制御部180と、操作部186と、表示部188と、を備えている。操作ユニット176では、作業者Wによる手動操作と、制御部180のプログラムによる自動操作とが切り替え可能である。
【0137】
制御部180は、パーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)182およびメモリ184を有する。CPU182およびメモリ184は、共通のバス183に接続されている。
【0138】
メモリ184に記憶されたプログラムをCPU182が実行されることによって、射出成形機170の各種の処理が実現される。制御部180では、操作部186、表示部188、固定側射出装置172、可動側射出装置174、扉駆動部192、可動盤駆動部194、中間盤駆動部195、エアシリンダー196および扉検知センサ198に対して情報の送信、受信が可能となっている。
【0139】
操作部186は、複数の操作キーおよび開閉スイッチ187を含む複数のスイッチを有する。開閉スイッチ187は、安全扉17の開閉を切り替えるためのスイッチである。表示部188は、一例として、液晶パネルで構成されている。表示部188には、射出成形機170についての各種の情報を表示可能である。
【0140】
<安全扉>
図19に示されるように、安全扉17は、型開閉方向の閉位置と開位置とに移動可能な開閉扉の一例である。安全扉17は、閉位置で、後述する固定金型204および可動金型208を覆う(安全扉17の外側から金型に当接できない状態とする)。安全扉17は、開位置で、固定金型204および可動金型208を露出させる(安全扉18の外側から金型に当接できる状態)。換言すると、安全扉17が閉位置にある場合、開口部16Aが閉じられた状態となる。安全扉17が開位置にある場合、開口部16Aが開放された状態となる。
【0141】
<扉駆動部>
扉駆動部192(図21)は、モータを含み、開閉スイッチ187が押されると安全扉17を型開閉方向に沿って移動させる。具体的には、扉駆動部192は、安全扉17を閉位置と開位置の一方から他方へ駆動する。
【0142】
<可動盤駆動部等>
可動盤駆動部194(図21)は、モータおよびボールねじを含んでおり、後述する固定盤202に対して、可動盤206を型開閉方向に沿って移動させる。中間盤駆動部195(図21)は、モータおよびボールねじを含んでおり、固定盤202又は可動盤206に対して、後述する中間盤(回転盤)218を型開閉方向に沿って往復移動させ、さらに、中間盤218の固定側と可動側とを180°反転(回転)させる。
【0143】
扉検知センサ198(図21)は、安全扉17の型開閉方向の位置を検知する。つまり、扉検知センサ198は、開口部16Aが開放された状態では、安全扉17が開位置にあることを検知し、開口部16Aが閉じられた状態では、安全扉17が閉位置にあることを検知する。
【0144】
<型締装置>
図18および図19には、型締装置200が示されている。型締装置200は、ベッド22の上面22Aに配置されている。型締装置200は、ベッド22と、タイバーホルダ23と、4本のタイバー24と、固定盤202と、固定金型204と、可動盤206と、可動金型208と、中間盤218と中間金型222と下フレーム216等を含む中間部材212、タイバーカバー52A、53A、64A、224、234と、を備えている。
【0145】
固定盤202、中間盤218および可動盤206は、複数の盤体の一例である。固定盤202は、ベッド22に固定的に設けられた盤体の一例である。中間盤218および可動盤206は、型開閉方向に位置変更可能に設けられた盤体の一例である。固定盤202と中間盤218は、型開閉方向で対向している。中間盤218と可動盤206は、型開閉方向で対向している。固定金型204、可動金型208および中間金型222は、金型の一例である。
【0146】
さらに、型締装置200は、シリンダ機構部42と、踏台48と、可動盤駆動部194、中間盤駆動部195およびエアシリンダー196(図21)と、を備えている。可動盤駆動部194および中間盤駆動部195は、型開閉機構部として機能する。
【0147】
((固定盤))
固定盤202は、一例として、固定盤26(図1)と同様に構成されている。このため、固定盤202の詳細な説明は省略する。固定盤202は、型開閉方向の可動側の端面である固定側取付面203を有する。固定側取付面203は、金型取付面の一例であり、金型取付部分以外の部分も含んでおり、幅方向および上下方向に沿って広がる平坦な面である。
【0148】
((固定金型))
固定金型204は、固定側取付面203の中央部に取り付けられている。固定金型204は、中間金型222と共に型締めされることで、キャビティが形成される。当該キャビティには、固定側射出装置172から樹脂材料R(図1)が射出される。
【0149】
((可動盤))
可動盤206は、固定盤202に対して型開閉方向に位置変更可能である。可動盤206は、可動金型208が取り付けられる部分を除いて、可動盤34(図1)とほぼ同様に構成されている。このため、可動盤206の詳細な説明は省略する。可動盤206は、型開閉方向の固定側の端面である可動側取付面207を有する。可動側取付面207は、金型取付面の一例であり、金型取付部分以外の部分も含んでおり、幅方向および上下方向に沿って広がる平坦な面である。可動盤206には、型開閉方向に進退移動が可能なハーフナット37が取り付けられている。
【0150】
((可動金型))
可動金型208は、可動側取付面207の中央部に取り付けられている。可動金型208は、中間金型222と共に型締めされることで、キャビティが形成される。当該キャビティには、可動側射出装置174から樹脂材料R(図1)とは異なる樹脂材料が射出される。
【0151】
((中間部材および中間盤))
中間部材212および中間盤218は、固定盤202と可動盤206との間に位置している。中間部材212は、中間盤駆動部195(図21)によって駆動されることで、固定盤202および可動盤206に対して型開閉方向に位置変更可能である。
【0152】
図20に示されるように、中間部材212は、盤体である中間盤218をタイバー24に取り付ける取付部材である下フレーム216と、上フレーム217と、中間盤218と、前記中間盤218の回転機構と中間盤駆動部195と、を備えている。
【0153】
下フレーム216と上フレーム217は、中間盤218を回転可能に取り付ける取付部材である。下フレーム216は、固定側取付面203に型開閉方向で対向する対向面216Aと、可動側取付面207に型開閉方向で対向する対向面216Bと、を有する。下フレーム216には、下側の2本のタイバー24が挿通されている。
【0154】
上フレーム217には、上側の2本のタイバー24が挿通されている。中間盤218は、下フレーム216よりも上側で、且つ上フレーム217よりも下側に配置されている。中間盤218は、上下方向に沿った回転軸Kを中心に、下フレーム216および上フレーム217に対して回転可能である。中間盤218の回転は、中間盤駆動部195(図21)によって行われる。
【0155】
中間盤218は、型開閉方向の固定側の型取付面219Aと、可動側の型取付面219B(図18)と、を有している。型取付面219Aおよび型取付面219Bは、それぞれ、幅方向および上下方向に沿って広がる平坦な面である。
【0156】
図20に示される例では、中間盤218を含む中間部材212は、下フレーム216および上フレーム217がタイバー24にガイドされてベッド22の上方を型開閉方向に移動する。しかし下フレーム216はベッド22の上面に載置され、ベッド22のガイド部材にガイドされて型開閉方向に移動するものでもよい。そして下フレーム216には、タイバーカバー52A、53A、64A(図20)が設けられている。
【0157】
((中間金型))
図18に示されるように、中間金型222は、金型の一例であり、型取付面219Aと、型取付面219Bとにそれぞれ取り付けられている。中間金型222と固定金型204とで、固定側のキャビティが形成される。また、中間金型222と可動金型208とで、可動側のキャビティが形成される。従って樹脂材料Rが供給される流路の無い中間金型222も射出装置12から樹脂材料Rが射出される金型に該当する。
【0158】
((タイバーカバー))
図19に示されるように、固定盤212の固定側取付面203について、操作側の下側のタイバー24が挿通される部分の上方を含む部位には、タイバーカバー234が取り付けられており、非操作側の下側のタイバー24の上方を含む部位には、タイバーカバー64が取り付けられている。可動盤206の可動側取付面207について、操作側の下側のタイバー24が挿通される部分の上方を含む部位には、タイバーカバー224が取り付けられており、非操作側の下側のタイバー24が挿通される部分の上方を含む部位には、タイバーカバー64が取り付けられている。
【0159】
なお、タイバーカバー52Aとタイバーカバー53Aは、幅方向および上下方向に沿った面に対して、互いに対称となる構造を有している。このため、タイバーカバー53の具体的な説明を省略する。タイバーカバー224とタイバーカバー234は、一例として、幅方向および上下方向に沿った面に対して、互いに対称となる構造を有している。このため、タイバーカバー224について説明し、タイバーカバー234の具体的な説明を省略する。
【0160】
中間盤218の取付部材である下フレーム216(図20)で操作側の金型取付面203、207とそれぞれ対向する対向面216A、216Bであって、下側のタイバー24が挿通される部分の上方を含む部位には、タイバーカバー52A、53Aの取付部55が取り付けられている。また下フレーム216の金型取付面203、207とそれぞれ対向する対向面216A、216Bであって、非操作側の下側のタイバー24が挿通される部分の上方を含む部位には、タイバーカバー64A、64Aの取付部67が取り付けられている。
【0161】
タイバーカバー52A、53A、64、64A、224、234は、下側のタイバー24の型開閉方向の一部を、少なくとも上方から覆っている。また、タイバーカバー52A、53A、64、64A、224、234は、ベッド22に対して上下方向に間隔をあけて位置している。
【0162】
なお、中間金型222と固定金型204との型閉状態で且つ型締状態の場合、タイバーカバー234と下フレーム216に取付られたタイバーカバー53Aとは接触せず、固定盤202に取り付けられたタイバーカバー64と下フレーム216に取付られたタイバーカバー64Aとは接触しない。また、中間金型222と可動金型208との型閉状態で且つ型締状態の場合、下フレーム216に取付られたタイバーカバー52Aと可動盤206に取り付けられたタイバーカバー224とは接触せず、下フレーム216に取付られたタイバーカバー64Aと可動盤206に取り付けられたタイバーカバー64とは接触しない。
【0163】
図22に示されるように、可動盤206に取り付けられたタイバーカバー224は、一例として、タイバーカバー64と、踏板部材226と、エアシリンダー196と、シール部材232と、を備えている。
【0164】
(エアシリンダー)
エアシリンダー196は、踏板部材226を型開閉方向に移動させる踏板駆動部の一例である。エアシリンダー196は、本体部196Aと、ロッド部196Bと、を備えている。本体部196Aは、型開閉方向に沿って延びている。本体部196Aの可動側端部は、可動側取付面207に固定されている。本体部196Aには、コンプレッサーから空気が供給される。ロッド部196Bは、型開閉方向に延びる円柱状に形成されている。ロッド部196Bは、本体部に空気が供給されることで、型開閉方向の固定側と可動側とに進退(往復)移動が可能である。
【0165】
エアシリンダー196は、安全扉17(図19)が閉位置から開位置へ移動される場合(移動開始後から移動完了後の間のいずれか)には、踏板部材226をタイバーカバー64から離れる側(固定側)へ移動させる。また、エアシリンダー196は、安全扉17が開位置から閉位置へ移動される場合(移動開始後から移動完了後の間のいずれか)には、踏板部材226をタイバーカバー64に近づく側(可動側)へ移動させる。
【0166】
(踏板部材)
図22および図23に示されるように、踏板部材226は、上壁部227と、2つの側壁部228と、前壁部229と、を有する。踏板部材226は、型開閉方向の固定側に進出した場合の展開位置と、型開閉方向の可動側に退避した場合の収納位置との間で、往復移動が可能となっている。つまり、踏板部材226は、タイバー24の型開閉方向に移動可能である。
【0167】
上壁部227は、上下方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。上壁部227は、踏板部材226が収納位置にある場合に、平板部66の上面66Bに載っている。換言すると、上壁部227は、タイバー24よりも上側に位置している。上壁部227の幅方向の寸法は、平板部66の幅方向の寸法よりも大きい。上壁部227の型開閉方向の寸法は、平板部66の型開閉方向の寸法と同程度である。上壁部227は、作業者Wが足を乗せることが可能な部位である。
【0168】
側壁部228は、上壁部227の幅方向の両端部から下側へ延びている。一例として、側壁部228は、タイバー24の中心軸Cよりも下側へ延びている。側壁部228は、上壁部227の固定側端部から可動側端部までに亘って設けられている。側壁部228は、幅方向から見て、上壁部227と上面22A(図18)とのとの間に位置している。換言すると、側壁部228は、蹴板として機能するように設けられている。
【0169】
図22に示されるように、踏板部材226が収納位置にある場合に、操作側の側板部68と側壁部228との幅方向の間隔は、非操作側の側板部68と側壁部228との間隔よりも大きい。ここで、操作側の側板部68と、側壁部228と、上壁部227とで囲まれた空間を収容空間Sとする。収容空間Sには、エアシリンダー196が収容されている。
【0170】
前壁部229は、型開閉方向に厚さを有する平板状に形成された部位である。前壁部229は、上壁部227の固定側且つ操作側の端部と、操作側の側壁部228とに溶接されている。そして、前壁部229は、収容空間Sを型開閉方向の固定側から覆っている。前壁部229の可動側の面には、ロッド部196Bの固定側の先端部が取り付けられている。これにより、ロッド部196Bが型開閉方向に移動した場合、踏板部材226がロッド部196Bの移動に合わせて、型開閉方向に移動するようになっている。
【0171】
(シール部材)
図24に示されるように、シール部材232は、上下方向に厚さを有し、幅方向の寸法が型開閉方向の寸法よりも長い矩形板状に形成されている。シール部材232は、一例として、基材となるフィルム材の下面に粘着層が形成され、上面に蛍光色の塗装が施された部材である。シール部材232は、上壁部227の上面で且つ可動側端部に貼り付けられている。換言すると、シール部材232は、踏板部材226に設けられている。
【0172】
シール部材232は、段差を認識させるための標識部の一例である。具体的には、シール部材232は、踏板部材226がタイバーカバー64に対して展開された場合に、蛍光色が作業者Wに視認されることにより、タイバーカバー64と踏板部材226との上下方向の段差を認識させることが可能である。
【0173】
<<射出成形機の作用および制御方法>>
以下、図18から図25までを参照して、射出成形機170の作用および制御方法について説明する。
【0174】
図25は、射出成形機170で安全扉17の開閉動作に伴うタイバーカバー224の踏板部材226の展開動作および収納動作の各工程を示すフローチャートである。各工程の処理は、CPU182がメモリ184からプログラムを読み出すと共に展開することによって実行される。
【0175】
CPU182は、ステップS10で開閉スイッチ187の情報(開閉情報)を取得する。開情報とは、安全扉17を開ける指令情報を意味する。閉情報とは、安全扉17を閉じる指令情報を意味する。そして、ステップS12に移行する。
【0176】
CPU182は、ステップS12で安全扉17を開く動作(扉開動作)を行うか否かについて判定する。具体的には、CPU182は、開情報を取得していた場合に、扉開動作を行うと判定して、ステップS14に移行する。CPU182は、閉情報を取得していた場合に、扉開動作を行わないと判定して、ステップS10に移行する。
【0177】
CPU182は、ステップS14で安全扉17を開く動作を開始させる。具体的には、CPU182は、扉駆動部192を動作させることで、安全扉17を開位置に向けて移動させる。そして、ステップS16に移行する。
【0178】
CPU182は、ステップS16で踏板部材226の展開動作を開始させる。具体的には、CPU182は、エアシリンダー196を動作させることで、踏板部材226を展開位置に向けて移動させる。そして、ステップS18に移行する。なお、ステップS16の工程は、安全扉17が開位置に向けて移動した場合(移動開始と同時、移動中、移動完了と同時、移動完了後を含む)に、踏板部材226をタイバーカバー64から離れる側へ移動させる工程の一例である。
【0179】
CPU182は、ステップS18で開閉スイッチ187の開閉情報を取得する。そして、ステップS20に移行する。
【0180】
CPU182は、ステップS20で安全扉17を閉じる動作(扉閉動作)を行うか否かについて判定する。具体的には、CPU182は、閉情報を取得していた場合に、扉閉動作を行うと判定して、ステップS22に移行する。CPU182は、開情報を取得していた場合に、扉閉動作を行わないと判定して、ステップS18に移行する。
【0181】
CPU182は、ステップS22で安全扉17を閉じる動作を開始させる。具体的には、CPU182は、扉駆動部192を動作させることで、安全扉17を閉位置に向けて移動させる。そして、ステップS24に移行する。なお、ステップS22の工程は、安全扉17が閉位置に向けて移動した場合(移動開始と同時、移動中、移動完了と同時、移動完了後を含む)に、踏板部材226をタイバーカバー64Aに近づく側へ移動させる工程の一例である。
【0182】
CPU182は、ステップS24で踏板部材226の収納動作を開始させる。具体的には、CPU182は、エアシリンダー196を動作させることで、タイバーカバー224の踏板部材226を金型取付面207に近づけた収納位置に向けて移動させる。そして、処理を終了する。
【0183】
以上、説明した通り、射出成形機170では、踏板部材226がタイバーカバー64に対して展開されるので、作業者Wが乗るスペースを広げることができる。さらに、成形処理を行う場合、踏板部材226をタイバーカバー64と重なるように収納できるので、踏板部材226が中間部材212の下フレーム216と接触することを防ぐことができる。なお踏板部材226のエアシリンダ―196による展開動作や収納動作は、安全扉17が移動開始後から移動完了までの間のいずれかの位置に移動したことをリミットスイッチ等のセンサにより検出したことにより作動を開始するようにしてもよい。この場合、安全扉17は作業者Wにより手動で開閉されるものでもよい。
【0184】
射出成形機170では、シール部材232が設けられている。これにより、踏板部材226の展開状態で、タイバーカバー64と踏板部材226との段差を作業者Wに認識させ易くすることができる。
【0185】
射出成形機170では、安全扉17の開閉に連動して、踏板部材226が展開、収納されるので、安全扉17を開閉させる場合に、踏板部材226の位置の確認作業や、踏板部材226を移動させる作業を行わなくて済む。
【0186】
射出成形機170では、中間部材212の下フレーム216にタイバーカバー52A、53A、64Aが設けられて(取り付けられて)いる。このため、作業者Wが中間盤218の周辺部で作業をする場合に、タイバーカバー52A、53A、64Aが足場となるので、タイバー24よりも上側で作業をすることができる。
【0187】
<他の変形例>
なお、本開示は、上記の各実施形態および各変形例に限定されず、その技術的思想の範囲内で種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。以下、他の変形例について説明する。
【0188】
タイバーカバー52、64が固定側取付面28に取り付けられ、タイバーカバー62、64が可動側取付面36に取り付けられていなくてもよい。あるいは、タイバーカバー62、64が可動側取付面36に取り付けられ、タイバーカバー52、64が固定側取付面28に取り付けられていなくてもよい。また、固定側取付面28および可動側取付面36のそれぞれについて、非操作側のタイバーカバー64が取り付けられていなくてもよい。また図19等に示される射出成形機盤170においても、固定側取付面203、可動側取付面207、取付部材である下フレーム216の対向面216A、216Bのいずれかにタイバーカバー52、52A、53A、54、64A、64、224、234の少なくとも一つが取り付けられていればよい。または前記タイバーカバー52等の少なくとも一つが付いてなくてもよい。従って「対向する固定的に設けられる盤体と型開閉方向に位置変更可能に設けられた盤体のうちいずれかの前記盤体の金型取付面又は前記盤体の取付部材の当該金型取付面に対向する対向面に取り付けられるタイバーカバー」とは、可動側取付面203と、中間盤218をタイバー24に取り付ける取付部材である下フレーム216の対向面216Bの双方のみまたは一方のみにタイバーカバーが設けられるものも含まれる。
【0189】
また、タイバーカバー52、62は、側板部56、68を備えていなくてもよい。タイバーカバー52は、補強部59が固定されていなくてもよい。取付部55、67は、金属製の板材を屈曲させることで設けてもよい。また、取付部55、67は、型開閉方向から見て、平板部54と側板部56とで囲まれていなくてもよい。つまり、取付部55は、平板部54から上側に延びていてもよい。同様に、取付部67は、型開閉方向から見て、平板部66と側板部68とで囲まれていなくてもよい。つまり、取付部67は、平板部66から上側に延びていてもよい。
【0190】
平板部66は、可動側取付面36のみに取り付けられてもよく、固定側取付面28および可動側取付面36の両方に取り付けられてもよい。
【0191】
タイバーカバー122について、板部の数は、3つに限らず4つ以上あってもよい。可動側のタイバーカバー224と固定側のタイバーカバー234のうち、いずれか一方を備えていなくてもよい。
【0192】
シール部材232は、タイバーカバー64に設けられていてもよい。また、シール部材232は、タイバーカバー64と踏板部材226の両方に設けられていてもよい。
【0193】
射出成形機170で安全扉17の開閉動作と踏板部材226の展開および収納動作とを連動させなくてもよい。また、射出成形機170で、タイバーカバー64の内側に踏板部材226を設けて、タイバーカバー64が踏板部材226を型開閉方向に移動可能に支持する構成として、踏板部材226をエアシリンダー196で展開、収納させてもよい。また下フレーム216に取り付けられるタイバーカバー52A、53A、64Aを踏板部材を型開閉方向に移動可能に支持する構成としてもよい。
【0194】
型開閉機構部46は、ボールねじを用いたものに限らず、トグル機構やラックピニオン機構を用いたものでもよい。また型開閉機構部に用いるアクチュエータは、電動モータに限らず油圧シリンダを用いたものでもよい。
【0195】
各平板部について、滑り止めとして、縞鋼板を用いてもよく、あるいは、パンチングメタル、金網板、複数の溝が形成された板(複数の凸部が設けられた板)を前記滑り止め作用のある部分が少なくとも上面側になるように用いてもよい。従ってタイバーカバーの平板部とは上面または下面が完全に平面状のもの以外の板を含む。
【0196】
タイバーカバー95について、平板部66は、対向面216A、216Bに取り付けられてもよい。タイバーカバー72、78、84、86、92、95、102、108、112、122、132、136、152、162のいずれかを、対向面216A、216Bに取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0197】
2 床面、10 射出成形機、12 射出装置、13 加熱シリンダ、
14 スクリュー、15 ノズル、16 本体カバー部、16A 開口部、
17 安全扉、17A 内面、18 操作ユニット、19 扉駆動部、20 型締装置、
21A 軸部、21B 車輪、22 ベッド、22A 上面、23 タイバーホルダ、
24 タイバー、24A 外周面、24B ねじ溝、26 固定盤、26A 隅部、
26B 中央部、27 貫通部、28 固定側取付面、29 安全マット、
30 制御部、31 ガイドレール、32 固定金型、33 凹部、34 可動盤、
34A 隅部、34B 中央部、36 可動側取付面、37 ハーフナット、
38 可動金型、39 凸部、42 シリンダ機構部、43 ピストン、
46 型開閉機構部、48 踏台、48A 踏板、52 タイバーカバー、
52A タイバーカバー、53 タイバーカバー、53A タイバーカバー、
54 平板部、54A 上面、54B 下面、55 取付部、56 側板部、
57 側壁、58 側壁、59 補強部、61 ボルト、62 タイバーカバー、
64 タイバーカバー、64A タイバーカバー、66 平板部、66A 下面、
66B 上面、67 取付部、68 側板部、72 タイバーカバー、74 側板部、
75 側板部、75A 縦壁、75B 傾斜壁、75C 縦壁、76 側板部、
76A 縦壁、76B 傾斜壁、76C 縦壁、78 タイバーカバー、81 側板部、
82 側板部、83 側板部、84 タイバーカバー、85 側板部、
86 タイバーカバー、87 側板部、88 側板部、88A 湾曲壁、88B 縦壁、
89 側板部、89A 湾曲壁、89B 縦壁、92 タイバーカバー、
93 保持部材、93A 曲面、94 摺動部材、95 タイバーカバー、
96 コイルバネ、97 踏板、97A 下面、98 切替スイッチ、
99 ストッパー、102 タイバーカバー、104A 平板部、104B 平板部、
104C 平板部、105A 取付部、105B 取付部、105C 取付部、
106 側板部、106A 側壁、106B 側壁、106C 側壁、106D 側壁、
108 タイバーカバー、108A 側壁、108B 側壁、109A 窪み部、
109B 窪み部、112 タイバーカバー、113 平板部、114A 側壁、
114B 側壁、115 取っ手、122 タイバーカバー、124 平板部、
124A 上板部、124B 中板部、124C 中板部、124D 下板部、
124E 下板部、125 取付部、125A 上取付部、125B 下取付部、
126 側板部、126A 縦壁、126B 縦壁、126C 縦壁、126D 縦壁、
126E 縦壁、126F 縦壁、132 タイバーカバー、132A 平板部、
132B 平板部、133A 取付部、133B 取付部、134A 側壁、
134B 側壁、136 タイバーカバー、138 平板部、142 ヒンジ部、
143 ブラケット、143A 板部、143B 板部、143C 貫通孔、
144 連結ピン、146 側板部、147 R部、148 端面、149 孔部、
152 タイバーカバー、153 平板部、154 取付部、156 側板部、
156A 側壁、156B 側壁、156C 底壁、156D レール部、
158 アングル、158A 上面、159 作業ステップ、159A 上面、
161 案内部材、161A 底板部、161B レール部、162 タイバーカバー、
163 平板部、164 取付部、165 側板部、170 射出成形機、
172 固定側射出装置、174 可動側射出装置、176 操作ユニット、
180 制御部、182 CPU、183 バス、184 メモリ、186 操作部、
187 開閉スイッチ、188 表示部、192 扉駆動部、194 可動盤駆動部、
195 中間盤駆動部、196 エアシリンダー、196A 本体部、
196B ロッド部、198 扉検知センサ、200 型締装置、202 固定盤、
203 固定側取付面、204 固定金型、206 可動盤、207 可動側取付面、
208 可動金型、212 中間部材、216 下フレーム、216A 対向面、
216B 対向面、217 上フレーム、218 中間盤、219A 型取付面、
219B 型取付面、222 中間金型、224 タイバーカバー、226 踏板部材、
227 上壁部、228 側壁部、229 前壁部、232 シール部材、
234 タイバーカバー、C 中心軸、CV キャビティ、K 回転軸、L1 長さ、
L2 長さ、L3 長さ、R 樹脂材料、S 収容空間、W 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25