(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110315
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】パッキン嵌め込み装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/00 20060101AFI20240807BHJP
B25B 27/14 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
F16J15/00 C
B25B27/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014842
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】511279519
【氏名又は名称】株式会社タイショー
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】白石 修
【テーマコード(参考)】
3C031
【Fターム(参考)】
3C031EE31
(57)【要約】
【課題】パッキンの嵌め込み作業を簡易化し、嵌め込みにかかる時間を短縮する。
【解決手段】バルブ21の主面23に形成されたOリング20が挿入される溝22の外周面22Aの第一縁部35に対し、内周面12の第一角部31が略一致するようにして設置される外側治具11と、溝22の内周面22Bの第二縁部36に対し、外周面16の第二角部32が略一致するようにして設置される内側治具14と、を備え、第一端面12のうち第一角部31と反対側の第三角部33を含む一部12Aと、第二端面16のとの離隔距離が、主面23から離隔するほど広がるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の主面に形成されたパッキンが嵌め込まれる溝の開口部分における幅方向一端面側の第一縁部に対し、略一致する第一角部を含む第一端面を有する外側治具と、
前記開口部分における幅方向他端面側の第二縁部に対し、略一致する第二角部を含む第二端面を有する内側治具と、
を備え、
前記第一端面のうち少なくとも前記第一角部と反対側の第三角部を含む一部と、前記第二端面のうち少なくとも前記第二角部と反対側の第四角部を含む一部との離隔距離が、前記主面から離隔するほど広がる、
パッキン嵌め込み装置。
【請求項2】
前記第一端面における前記一部以外の他部、及び、前記第二端面における前記一部以外の他部のうち、少なくとも一方が、前記主面に対して略垂直方向に形成される、
請求項1に記載のパッキン嵌め込み装置。
【請求項3】
前記第二端面は、前記パッキンを装着することができる形状である、
請求項1又は2に記載のパッキン嵌め込み装置。
【請求項4】
前記内側治具は、前記第二端面に前記パッキンが装着された状態において、当該パッキンを介して前記外側治具に対して係止される、
請求項3に記載のパッキン嵌め込み装置。
【請求項5】
前記外側治具は、前記対象物に固定される、
請求項4に記載のパッキン嵌め込み装置。
【請求項6】
前記第一端面と前記第二端面との隙間に対して嵌脱自在な介挿治具を更に備える、
請求項5に記載のパッキン嵌め込み装置。
【請求項7】
前記第三角部及び前記第四角部のうち少なくとも一方は、曲面形状である、
請求項1に記載のパッキン嵌め込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッキン嵌め込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置において真空状態を実現するチャンバに設けられたバルブなどには、下記特許文献1に開示されるようなフッ素系の硬質樹脂からなる耐久性の高いOリングなどのパッキンが用いられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような硬質樹脂からなるパッキンを、例えばあり溝のような逆テーパ状の溝に嵌め込む場合、パッキンの可撓性が低いために手作業で嵌め込むことが困難であることから、作業に長い時間を要する。
【0005】
そこで本発明は、パッキンの嵌め込み作業を簡易化し、嵌め込みにかかる時間を短縮することができる、パッキン嵌め込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一態様に係るパッキン嵌め込み装置は、対象物の主面に形成されたパッキンが嵌め込まれる溝の開口部分における幅方向一端面側の第一縁部に対し、略一致する第一角部を含む第一端面を有する外側治具と、前記開口部分における幅方向他端面側の第二縁部に対し、略一致する第二角部を含む第二端面を有する内側治具と、を備え、前記第一端面のうち少なくとも前記第一角部と反対側の第三角部を含む一部と、前記第二端面のうち少なくとも前記第二角部と反対側の第四角部を含む一部との離隔距離が、前記主面から離隔するほど広がる。
【0007】
また、本発明の第二態様では、前記第一端面における前記一部以外の他部、及び、前記第二端面における前記一部以外の他部のうち、少なくとも一方が、前記主面に対して略垂直方向に形成される。
【0008】
また、本発明の第三態様では、前記第二端面は、前記パッキンを装着することができる形状である。
【0009】
また、本発明の第四態様では、前記内側治具は、前記第二端面に前記パッキンが装着された状態において、当該パッキンを介して前記外側治具に対して係止される。
【0010】
また、本発明の第五態様では、前記外側治具は、前記対象物に固定される。
【0011】
また、本発明の第六態様では、前記第一端面と前記第二端面との隙間に対して嵌脱自在な介挿治具を更に備える。
【0012】
また、本発明の第七態様では、前記第三角部及び前記第四角部のうち少なくとも一方は、曲面形状である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るパッキン嵌め込み装置によれば、パッキンの嵌め込み作業を簡易化し、嵌め込みにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るパッキン嵌め込み装置の概略的上面図である。
【
図5】Oリングが嵌め込まれた溝周辺の拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るパッキン嵌め込み装置をバルブに設置した状態を示す断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るパッキン嵌め込み装置を用いてOリングを溝に押し込む様子を説明する拡大断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る介挿治具が挿入された状態を説明する拡大断面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る押込治具の概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては極力同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
【0016】
===実施形態===
≪構成≫
図1は、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と記載)に係るパッキン嵌め込み装置1の概略的上面図であり、
図2は、
図1のII-II断面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、パッキン嵌め込み装置1は、外側治具11、及び、内側治具14を主要部として備え、後述するバルブ21に設置される。なお、外側治具11と内側治具14とは別体である。
【0018】
図2に示すように、外側治具11は、後述するバルブ21に対応する形状であり内側に空間を有した環状の枠体15と、枠体15の上面13側の端部における内周側に形成されたフランジ部13Aとを備えている。
【0019】
また、内側治具14は、後述する弾性変形可能な環状のOリング20を装着可能な外周面16(第二端面)を有する板状部材である。また、内側治具14の長手方向の側面と短手方向の側面との間の角部は、曲面形状となっている。
【0020】
図3は、対象物であるバルブ21の概略的上面図であり、
図4は、
図3のIV-IV断面図である。
図3及び
図4に示すように、本実施形態においては、バルブ21が略直方体状であるものとする。また、バルブ21の主面23には、環状の溝22が主面23の外周に沿うようにして形成されている。
【0021】
図5は、溝22周辺の拡大断面図である。
図5に示すように、溝22の断面形状は逆テーパ状、すなわち、あり溝であり、溝22にはOリング20が嵌め込まれる(
図5では、参考のため、既に溝22にOリング20が嵌め込まれている状態を表している)。
【0022】
詳しくは、溝22の外周面22A及び内周面22Bは、溝22の奥側に向けて拡径する方向に傾斜する面となっている。これにより、溝22の奥の拡径部22Cは、溝22の開口側よりも、
図5に破線で示す幅方向に広がっている。
【0023】
また、溝22の開口部分の幅は、自然状態のOリング20の直径よりも狭くなっている。そのため、従来は、Oリング20を溝22に押し込む際に、Oリング20の可撓性が低いために手作業で嵌め込むことが困難となっていた。
【0024】
なお、以下では、溝22の開口部分における外周面22A(破線で示す溝22の幅方向一端面)側の縁部を第一縁部35と呼称し、溝22の開口部における内周面22B(破線で示す溝22の幅方向他端面)側の縁部を第二縁部36と呼称する。
【0025】
図6は、パッキン嵌め込み装置1をバルブ21に設置した状態を示す断面図である。
図6に示すように、パッキン嵌め込み装置1は、バルブ21に設置され、Oリング20が装着されるものである。
【0026】
外側治具11については、バルブ21の外周面24に対して枠体15の内周面15Aが嵌合するとともに、フランジ部13Aがバルブ21の主面23上に載置されることで、バルブ21に固定される。
【0027】
また、内側治具14は、Oリング20が装着された状態で、外周面16がフランジ部13Aと対向するようにして主面23上に載置される。
【0028】
ただし、このOリング20は、材質が硬質樹脂から成る弾性変形可能な環状のものであり、自然状態においては円環状となっているが、内側治具14の外周面16に装着した状態においては、外周面16の形状に合わせて略直方体状(ただし四つの角部は曲面形状)となる。
【0029】
図7は、パッキン嵌め込み装置1を用いてOリング20を溝22に押し込む様子を説明する拡大断面図である。
なお以下では、外側治具11における、フランジ部13Aの内周面12(第一端面)のうち主面23側の角部を第一角部31と呼称し、内周面12のうち第一角部31と反対側の角部を第三角部33と呼称する。
また、内側治具14における外周面16のうち主面23側の角部を第二角部32と呼称し、外周面16のうち第二角部32と反対側の角部を第四角部34と呼称する。
【0030】
図7に示すように、外側治具11は、第一縁部35(
図5参照)に対し第一角部31が略一致するようにして設置される。なお、ここでの略一致とは、溝22の幅方向において、第一縁部35を中心としてOリング20の直径の20%以内の範囲に、第一角部31が設置された状態を指すものとする。ただし、第一縁部35に対し第一角部31が完全に一致した状態が好ましい。
【0031】
また、内周面12は、内周面12の第三角部33を含む一部12Aが、主面23から離れるほど外周面16との離隔距離が広がるように傾斜した面となっており、第一角部31を含む他部12Bが、主面23に対して略垂直な面となっている。なお、ここでの略垂直とは、80°~100°を指すものとする。ただし、他部12Bが主面23に対して垂直な面(90°)である状態が好ましい。なお、略垂直の定義については、以下同様である。
【0032】
内側治具14は、第二縁部36に対し第二角部32が略一致するようにして設置される。なおここでの略一致とは、溝22の幅方向において、第二縁部36を中心として、Oリング20の直径の20%以内の範囲に、第二角部32が設置された状態を指すものとする。ただし、第二縁部36に対し第二角部32が完全に一致した状態が好ましい。
【0033】
そして、内周面12の一部12Aと外周面16との離隔距離は、主面23から離隔するほど広がるものとなる。
【0034】
また、既に説明したが、外周面16は、弾性変形可能な環状のOリング20を装着することができる形状(周長)である。
【0035】
内周面12は、Oリング20の外周に対応する形状であり、外周面16にOリング20が装着された状態の内側治具14は、Oリング20を介して外側治具11に対して係止される。
【0036】
図8は、介挿治具17が挿入された状態を説明する拡大断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係るパッキン嵌め込み装置1は、介挿治具17を更に備えている。
【0037】
介挿治具17は、外側治具11の内周面12と内側治具14の外周面16との隙間にOリング20が設けられていない状態において、当該隙間に対して嵌脱自在である。また、介挿治具17は、介挿部17A、及び、載置部17Bを備えている。
【0038】
介挿部17Aは、上記隙間に対応する形状であり、上記隙間に対して嵌脱自在である。また、介挿部17Aの基端側に形成される載置部17Bは、平板状であり、介挿部17Aが上記隙間に嵌合した状態において、外側治具11の上面13に載置される。ただし、載置部17Bは、外側治具11の上面13ではなく内側治具14の上面に載置されるものとしてもよい。
【0039】
なお、図示されていないが、介挿治具17は、溝22の延在方向(
図8の紙面に対して垂直方向)の幅が短く、少なくとも、バルブ21の短手方向における溝22の延在長未満であるものとする。
【0040】
図9は、押込治具18の概略的斜視図である。
図9に示すように、本実施形態に係るパッキン嵌め込み装置1は、押込治具18を更に備えている。
【0041】
押込治具18は、
図6及び
図7の状態のOリング20を、溝22へ向けて押し込むことができる治具である。押込治具18は、先端部18A、及び、把持部18Bを備えている。
【0042】
先端部18Aは、外側治具11の内周面12と内側治具14の外周面16との隙間に対して挿入可能であり、当該隙間にあるOリング20を溝22に押圧することが可能な面を有している。先端部18Aの基端側に形成される把持部18Bは、先端部18Aの延伸方向に延伸しており、作業者の手で把持することが可能な略円柱形状である。なお、先端部18Aの上記面は延伸方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0043】
上述のような構成とした押込治具18を用いてOリング20を溝22に向けて押し込むことで、手で押し込むよりも楽に作業を行うことができる。また、先端部18Aの上記面を傾斜させていることで、Oリング20の周方向角部を押し込む際にも楽に作業を行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、内側治具14の硬度<外側治具11の硬度とする。これにより、内側治具14を柔らかくすることで、Oリング20が溝22に向けて滑りやすく、かつ、外側治具11を硬くすることで第三角部33の摩耗を防止することができる。
【0045】
一例として、外側治具11はMCナイロンで形成され、内側治具14はテフロン(登録商標)で形成されているものとしてもよい。
【0046】
≪嵌め込み手順≫
以下、本実施形態に係るパッキン嵌め込み装置1を用いてOリング20を溝22に嵌め込む手順を説明する。
【0047】
(ステップS1)
バルブ21に外側治具11を固定する(取り付ける)。
【0048】
(ステップS2)
内側治具14の外周面16にOリング20を装着する。
【0049】
(ステップS3)
図6のように、Oリング20を装着した状態の内側治具14を、その外周面16と外側治具11の内周面12との隙間にOリング20が位置するようにして、バルブ21の主面23に載置することで、Oリング20を介して内側治具14を外側治具11に対して固定する。
【0050】
(ステップS4)
押込治具18の把持部18Bを把持しながら、先端部18AでOリング20の(延伸方向における)任意の箇所を、
図7のように、溝22に向けて押し込む。なお、この任意の箇所については、最初は主面23における長手方向中央に相当する箇所とするのが好ましい。
【0051】
Oリング20は、押込治具18によって押し込まれることで、内周面12と外周面16に案内されて溝22にスムーズに嵌入される。
【0052】
詳しくは、Oリング20は、押込治具18によって押し込まれることで、溝22の開口部分に近づくにつれて狭まる内周面12の一部12Aと外周面16とに挟まれながら弾性変形していき、溝22の開口部分の幅方向の長さ、すなわち第一縁部35と第二縁部36との離隔距離に対応した径となる。Oリング20は、そのように変形した状態で、内周面12の他部12Bと外周面16に案内され、溝22の拡径部22Cまで嵌入される。
【0053】
(ステップS5)
その後、Oリング20の上記任意の箇所に隣接する箇所に対して、ステップS4と同様の作業を行う。以降、Oリング20において、バルブ21の主面23の四辺のうち一辺に相当する範囲を、全て溝22に嵌め込むまで、同様の作業を繰り返す。
【0054】
(ステップS6)
Oリング20の上記一辺に相当する範囲を溝22に嵌め込んだ後、Oリング20の他の三辺にそれぞれ相当する範囲についても同様の作業を行う。
【0055】
ただし、対向する二辺のうち一辺に相当する範囲の作業が完了した場合、当該一辺の中央部分に相当する位置における、内周面12の一部12Aと外周面16との隙間に、介挿治具17の介挿部17Aを介挿する。これにより、内側治具14は溝22の幅方向(
図5の破線参照)において外側治具11に係止される。
【0056】
なお、上記ステップS2において内側治具14にOリング20を装着してから、ステップS3において内側治具14をバルブ21の主面23に載置したが、初めに内側治具14を主面23に載置してから、外側治具11と内側治具14との間にOリング20を介挿するようにしてもよい。いずれにしてもステップS4以降の作業は同じである。
【0057】
≪作用効果≫
本実施形態に係るパッキン嵌め込み装置1は、バルブ21(対象物)の主面23に形成されたOリング20(パッキン)が嵌め込まれる溝22の開口部分における外周面22A(幅方向一端面)側の第一縁部35に対し、略一致する第一角部31を含む内周面12(第一端面)を有する外側治具11と、前記開口部分における内周面22B(幅方向他端面)側の第二縁部36に対し、略一致する第二角部32を含む外周面16(第二端面)を有する内側治具14と、を備え、前記内周面12のうち少なくとも前記第一角部31と反対側の第三角部33を含む一部12Aと、前記外周面16のうち少なくとも前記第二角部32と反対側の第四角部34を含む一部との離隔距離が、前記主面23から離隔するほど広がる。
これにより本実施形態では、内周面12と外周面16との隙間にOリング20を挿入し、Oリング20を溝22に向けて押し込むことで、内周面12と外周面16がOリング20を案内して溝22にスムーズに嵌め込まれるので、作業を簡易化することができる。
【0058】
また本実施形態では、前記内周面12における前記一部12A以外の他部12B、及び、前記外周面16における前記一部以外の他部のうち、少なくとも一方が、前記主面23に対して略垂直方向に形成される。
これにより本実施形態では、Oリング20を押し込む際に、Oリング20が第一縁部35及び第二縁部36との摩擦で傷付くことを防ぐことができる。
【0059】
また本実施形態では、前記外周面16は、前記Oリング20を装着することができる形状である。
これにより本実施形態では、Oリング20を外周面16に装着した状態から、Oリング20を溝22に向けて押し込むことができ、押し込む際にOリング20が捻じれてしまうことを防ぐことができる。
【0060】
また本実施形態では、前記内側治具14は、前記外周面16に前記Oリング20が装着された状態において、当該Oリング20を介して前記外側治具11に対して係止される。
これにより本実施形態では、溝22に向けてOリング20を押し込む際に、外周面16の位置がずれにくくなるので、より簡易的にOリング20の嵌め込み作業を行うことができる。
【0061】
また本実施形態では、外側治具11はバルブ21に固定される。
これにより本実施形態では、溝22に向けてOリング20を押し込む際に、内周面12及び外周面16の位置がずれないので、より簡易的にOリング20の嵌め込み作業を行うことができる。
【0062】
また本実施形態では、内周面12の一部12Aと外周面16の一部との隙間に対して嵌脱自在な介挿治具17を更に備える。
Oリング20を溝22に押し込む際には、Oリング20全体を一度に押し込むことはできないので、任意の箇所を順次押し込んでいくことになる。すると、例えばバルブ21の一辺に相当する範囲のOリング20が、溝22に嵌め込まれた状態においては、対向するバルブ21の他辺に相当する範囲のOリング20を押し込もうとする際に、上記一辺側がフリー状態となっているために、内側治具14が外側治具11に係止されない状態となる。そのような場合に、介挿治具17を上記一辺側に介挿することで、内側治具14を外側治具11に対して介挿治具17によって(他辺における溝22の幅方向に)係止されることができる。
【0063】
===変形例===
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、上述した具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び下記変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0064】
例えば、上記実施形態では、溝22にOリング20が嵌め込まれるとしたが、溝22に嵌め込まれるのはOリング20に限定されるものではなく、パッキンであればよい。また、溝22の形状も限定されない。
【0065】
また、上記実施形態では、対象物であるバルブ21が直方体状であるとしたが、バルブ21の形状はこれに限定されるものではない。さらに、対象物はバルブ21に限定されるものではなく、溝22が形成されているものであればよい。
【0066】
また、上記実施形態では、内周面12は、内周面12の第三角部33を含む一部12Aが、主面23から離れるほど外周面16との離隔距離が広がるように傾斜した面となっており、第一角部31を含む他部12Bが、主面23に対して略垂直な面となっており、外周面16は、主面23に対して略垂直な面であるとした。しかしながら、反対に、内周面12を主面23に対して略垂直な面とし、外周面16を、第四角部34を含む一部が、主面23から離れるほど内周面12との離隔距離が広がるように傾斜した面とし、第二角部32を含む他部が、主面23に対して略垂直な面としてもよい。
あるいは、内周面12及び外周面16が、互いに離隔距離が広がる方向の傾斜面を有してもよい。
さらに、内周面12及び外周面16のうち傾斜を有する面については、一部のみではなく全部が傾斜する(つまり略垂直な面を有さない)ものとしてもよい。
すなわち、内周面12のうち少なくとも一部12Aと、外周面16のうち少なくとも第四角部34を含む一部との離隔距離が、主面23から離隔するほど広がるものとすればよい。
ただし、内周面12の他部12B、及び、外周面16の他部のうち、少なくとも一方(好ましくは両方)が、主面23に対して略垂直方向に形成されるようにした方が、パッキンが押し込まれる際に傷付きにくい。
【0067】
さらに、上記実施形態においては、第三角部33及び第四角部34が角状であるものとして図示していたが、第三角部33及び第四角部34のうち少なくとも一方(好ましくは両方)を、曲面形状としてもよい。これにより、パッキンが第三角部33や第四角部34に接触した場合に、パッキンが傷付くことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0068】
1…パッキン嵌め込み装置、11…外側治具、12…内周面(第一端面)、12A…一部、12B…他部、13…上面、13A…フランジ部、14…内側治具、15…枠体、15A…内周面、16…外周面(第二端面)、17…介挿治具、17A…介挿部、17B…載置部、18…押込治具、18A…先端部、18B…把持部、20…Oリング(パッキン)、21…バルブ(対象物)、22…溝、22A…外周面(幅方向一端面)、22B…内周面(幅方向他端面)、22C…拡径部、23…主面、24…外周面、31…第一角部、32…第二角部、33…第三角部、34…第四角部、35…第一縁部、36…第二縁部