(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110345
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】自動分析装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014890
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲史
(72)【発明者】
【氏名】村田 達也
(72)【発明者】
【氏名】生田目 富夫
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健司
(72)【発明者】
【氏名】村松 友美
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA09
2G058CB08
2G058CB15
2G058CD04
2G058CD23
2G058CF01
2G058CF17
2G058EA07
2G058ED03
2G058ED15
2G058ED22
2G058ED38
2G058GA01
2G058GB03
2G058GB05
2G058GB06
2G058GE01
2G058GE03
(57)【要約】
【課題】自動分析装置において、ユーザの作業負担を軽減しつつ、正常なピアッシングアームの降下動作を実現すること。
【解決手段】実施形態に係る自動分析装置は、試料が収容され、上面がキャップにより封止される試料容器を撮像する第1撮像部と、前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器に収容された試料の液面の高さを取得する液面取得部と、前記液面取得部が取得した前記液面の高さに基づいて、前記試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を保持するピアッシングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作を制御するピアッシング制御部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が収容され、上面がキャップにより封止される試料容器を撮像する第1撮像部と、
前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器に収容された試料の液面の高さを取得する液面取得部と、
前記液面取得部が取得した前記液面の高さに基づいて、前記試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を保持するピアッシングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作を制御するピアッシング制御部と、
を備える自動分析装置。
【請求項2】
前記ピアッシング制御部が決定する前記降下動作に関するパラメータには、ピアッシングアームの降下量が、少なくとも含まれている、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記第1撮像部は、前記試料容器が当該自動分析装置の制御下に入った後、前記ピアッシングアームの降下動作に入るまでの間に、前記試料容器を撮像する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記ピアサ針が前記試料容器のキャップを穿孔する際に、前記試料容器のキャップと、前記ピアサ針の先端部と、この先端部の周囲で前記試料容器に収容された試料とを撮像する第2撮像部と、
前記第2撮像部により撮像された画像データに基づいて、前記ピアサ針が前記試料容器のキャップを正常に貫通しているか否かを判定する第1判定部と、
をさらに備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記第1判定部において、前記ピアサ針が前記試料容器のキャップを正常に貫通していないと判定された場合に、警告を出力する警告部を、さらに備える、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記第1判定部において、前記ピアサ針が前記試料容器のキャップを正常に貫通していないと判定された場合に、前記第2撮像部により撮像された画像データを保存する画像保存部を、さらに備える、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記第1判定部において、前記ピアサ針が前記試料容器のキャップを正常に貫通していないと判定された場合に、前記第2撮像部により撮像された画像データを当該自動分析装置の外部に送信する、画像送信部を、さらに備える、請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項8】
当該自動分析装置の外部に設けられた、前記試料容器を当該自動分析装置まで搬送する外部搬送装置に、当該自動分析装置は接続されており、
前記第1撮像部は、前記外部搬送装置で前記試料容器が搬送されている間に、前記試料容器を撮像する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記試料容器がラックに保持されてラックサンプラに格納されている、又は、前記試料容器がディスクサンプラに格納されている、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記液面取得部は、前記試料容器が保持されるラックに関する情報を、前記画像データ以外から取得する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項11】
前記液面取得部が取得した前記液面の高さに基づいて、前記試料を吸引するサンプリングプローブを保持するサンプリングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記サンプリングアームの降下動作を制御する吸引制御部を、さらに備える、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項12】
前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器の種類を特定できるか否かを判定する第2判定部を、さらに備え、
前記液面取得部は、前記第2判定部において、前記試料容器の種類を特定できない場合に、前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器に収容された試料の液面の高さを取得する、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項13】
前記ピアッシング制御部は、前記第2判定部において、前記試料容器の種類を特定できる場合に、前記試料容器の種類に基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作を制御する、請求項12に記載の自動分析装置。
【請求項14】
前記試料容器は、少なくとも部分的に形成された透明部を有しており、前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データにおいては、前記試料容器に収容された試料の液面の高さが前記透明部を介して取得可能である、請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項15】
試料が収容され、上面がキャップにより封止される試料容器を撮像する工程と、
撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器に収容された試料の液面の高さを取得する工程と、
取得した前記液面の高さに基づいて、前記試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を保持するピアッシングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作を制御する工程と、
を備える自動分析装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、分析対象の成分を含む患者の血液等の試料に種々の検査項目に対応する試薬を添加し、試料に含まれる特定の成分に試薬を反応させる。自動分析装置は、この反応を、例えば光学的に測定することで、検査項目に対応した試料の成分を分析する。
【0003】
この血液等の試料を分析する場合、血液等の試料は、キャップで上面を封止する試料容器で保管される。自動分析装置において、試料容器の上面がキャップで封止されている場合、試料を吸引するサンプリングプローブを試料容器に挿入するのに先立ち、ピアサ針を保持するピアッシングアームが、試料容器の上方から降下して、試料容器のキャップを穿孔する降下動作が行われる。このピアッシングアームの降下動作に際しては、予め設定されたピアッシングアームの降下量に基づいて、ピアッシングアームを降下し、ピアサ針によりキャップを穿孔している。このピアッシングアームの降下量は、ピアサ針の先端が試料容器のキャップを穿孔し、かつ、ピアサ針の先端が試料に接触しない位置に降下するように、試料容器及びキャップの種類毎に設定されている。
【0004】
しかし、試料容器及びキャップの種類は多数存在するため、ピアッシングアームの降下量が設定されていない試料容器及びキャップが存在する場合もある。この場合、自動分析装置において、ピアッシングアームの降下量が設定されていない試料容器及びキャップを使用できず、新しい試料容器及びキャップを使用する場合には、試料容器及びキャップに対するピアッシングアームの降下量を設定する必要があるため、ユーザの作業負担が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-133925号公報
【特許文献2】特表2016-510418号公報
【特許文献3】国際公開第2021/066165号公報
【特許文献4】特開2019-158639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の1つは、自動分析装置において、ユーザの作業負担を軽減しつつ、正常なピアッシングアームの降下動作を実現することである。但し、本明細書及び図面の開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る自動分析装置は、試料が収容され、上面がキャップにより封止される試料容器を撮像する第1撮像部と、前記第1撮像部により撮像された前記試料容器の画像データに基づいて、前記試料容器に収容された試料の液面の高さを取得する液面取得部と、前記液面取得部が取得した前記液面の高さに基づいて、前記試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を保持するピアッシングアームの降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、前記ピアッシングアームの降下動作を制御するピアッシング制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図。
【
図2】
図1に示す自動分析装置における分析機構の構成の一例を示す図。
【
図3】
図2に示す分析機構が備えるピアッシングアーム及びピアッシング駆動機構の構成の一例を示す斜視図。
【
図4】
図3に示すピアッシングアームが備えるピアサ針の構成の一例を示す図。
【
図5】
図1に示す自動分析装置におけるサンプリングプローブ及びピアサ針の移動軌道を示した模式図。
【
図6】
図1に示す自動分析装置で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図7】第1実施形態に係る自動分析装置において、試料ラック上の試料容器と第1撮像部のレイアウトの一例を概念的に示す図。
【
図8】ピアサ針による穿孔動作及びサンプリングプローブによる吸引動作により、ピアサ針及びサンプリングプローブが降下する様子を説明する図。
【
図9】第2実施形態に係る自動分析装置におけるラックサンプラのレイアウトの一例を示す図。
【
図10】第3実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図。
【
図11】
図10に示す自動分析装置で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャート図。
【
図12】第3実施形態に係る自動分析装置において、試料ラック上の試料容器と第1撮像部と第2撮像部のレイアウトの一例を概念的に示す図。
【
図13】第4実施形態に係る自動分析装置に外部搬送装置が接続された場合の構成の一例を示す図。
【
図14】第5実施形態に係る自動分析装置において、試料容器が格納されるディスクサンプラの構成の一例を説明する図。
【
図15】第7実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図。
【
図16】
図15に示す自動分析装置で実行される降下動作制御処理の内容を説明する図。
【
図17】第7実施形態に係る自動分析装置において、試料ラック上の試料容器と第1撮像部とバーコード読み取り部とのレイアウトの一例を概念的に示す図。
【
図18】第8実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図。
【
図19】
図18に示す自動分析装置で実行される降下動作制御処理の内容を説明する図。
【
図20】変形例に係る自動分析装置において、全面が透明部で構成された試料容器の構成の一例を示す図。
【
図21】変形例に係る自動分析装置において、一部が透明部で構成された試料容器の構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る自動分析装置及びその制御方法を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。本実施形態においては、この自動分析装置1は、例えば、血液凝固分析装置である。以下においては、被検体から採取した試料が血液であり、自動分析装置1が血液凝固分析装置である場合を一例として本実施形態を説明するが、尿などの他の種類の試料や、生化学検査を実施する自動分析装置などの他の種類の自動分析装置に対しても本実施形態は適用可能である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インターフェース5と、出力インターフェース6と、通信インターフェース7と、記憶回路8と、制御回路9とを備えて構成されている。
【0012】
分析機構2は、被検者の検体である血液検体と、各検査項目で用いられる試薬である凝固試薬とを混合した混合液を生成する。また、分析機構2は、検査項目によっては、所定の倍率で希釈した標準液と、この検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、血液検体と試薬との混合液や標準液と試薬との混合液の光学的な物性値を連続的に測定する。この測定により、例えば、透過光強度、吸光度、散乱光強度等で表される標準データ、及び被検データが生成される。
【0013】
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、血液検体の凝固に関する検量データ、及び分析データを生成するプロセッサである。解析回路3は、例えば、記憶回路8から解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って標準データ、及び被検データを解析する。なお、解析回路3は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0014】
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。特に駆動機構4は、後述するピアッシングアームを駆動するためのピアッシング駆動機構41を備えている。
【0015】
入力インターフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された血液検体に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インターフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インターフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インターフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース5の例に含まれる。
【0016】
出力インターフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インターフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
【0017】
通信インターフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インターフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
【0018】
記憶回路8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0019】
記憶回路8は、解析回路3で実行される解析プログラム、及び制御回路9に備わる機能を実現するための制御プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを血液検体毎に記憶する。記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、又は通信インターフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。
【0020】
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
【0021】
図2は、
図1に示す自動分析装置1における分析機構の構成の一例を示す図である。この
図2に示すように、本実施形態に係る分析機構2は、反応ディスク201と、恒温部202と、ラックサンプラ203と、試薬庫204と、サンプリングアーム206と、サンプリングプローブ207と、試薬分注アーム208と、試薬分注プローブ209とを備えて構成されている。
【0022】
反応ディスク201は、複数の反応容器(キュベット)2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、検体の分析動作中、反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ポリプロピレン(PP)又はアクリルにより形成されている。
【0023】
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
【0024】
ラックサンプラ203は、複数の試料容器2035を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持しており、これら複数の試料容器2035には、測定を依頼された検体である血液検体が収容されている。
図2に示す例では、5本の試料容器2035を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
【0025】
ラックサンプラ203には、試料ラック2031を搬送する搬送領域2032が設けられている。すなわち、この搬送領域2032を使用して、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで、試料ラック2031が搬送される。搬送領域2032では、長手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
【0026】
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器2035を所定のサンプリング位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域2032から引き込む引き込み領域2033が設けられている。サンプリング位置は、例えば、サンプリングプローブ207の上下方向への移動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器2035の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域2033では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。
【0027】
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器2035を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域2034が設けられている。戻し領域2034では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
【0028】
試薬庫204は、標準液、及び血液検体に対して実施される各検査項目で用いられる試薬等を収容する複数の試薬容器100を保冷しながら保持する。試薬庫204内には、回転テーブルが回転自在に設けられている。回転テーブルは、複数の試薬容器100を円環状に載置して保持する。なお、本実施形態において、
図2では図示していないが、試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。
【0029】
サンプリングアーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。サンプリングアーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプリングアーム206は、一端にサンプリングプローブ207を保持する。
【0030】
サンプリングプローブ207は、サンプリングアーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器2035から試料を吸引するためのサンプリング位置が設けられている。また、サンプリングプローブ207の回動軌道上には、サンプリングプローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ分注するための試料分注位置が設けられている。試料分注位置は、例えば、サンプリングプローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0031】
サンプリングプローブ207は、駆動機構4によって駆動され、サンプリング位置、又は試料分注位置において上下方向に移動する。また、サンプリングプローブ207は、後述の吸引制御機能の制御に従い、サンプリング位置の直下に位置する試料容器2035から試料を吸引する。また、サンプリングプローブ207は、吸引制御機能の制御に従い、吸引した試料を、試料分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。
【0032】
試薬分注アーム208は、反応ディスク201と試薬庫204との間に設けられている。試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試薬分注アーム208は、一端に試薬分注プローブ209を保持する。
【0033】
試薬分注プローブ209は、試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、試薬吸引位置が設けられている。試薬吸引位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬庫204の回転テーブルに円環状に載置される試薬容器100の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。また、試薬分注プローブ209の回動軌道上には、試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応容器2011へ分注するための試薬分注位置が設定されている。試薬分注位置は、例えば、試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
【0034】
試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の試薬吸引位置、及び試薬分注位置において上下方向に移動する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、試薬吸引位置で停止している試薬容器100から試薬を吸引する。また、試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した試薬を、試薬分注位置の直下に位置する反応容器2011へ分注する。
【0035】
さらに、
図2に示される本実施形態に係る分析機構2は、ピアッシングアーム300と、ピアサ針310と、ピアサ駆動軸320とを備える。このピアッシングアーム300、ピアサ針310及びピアサ駆動軸320の構成について、
図2乃至
図4を参照して、詳細に説明する。
図3は、
図2に示す分析機構2が備えるピアッシングアーム300及びピアッシング駆動機構41の構成の一例を示す斜視図である。
図4は、
図3に示すピアッシングアーム300が備えるピアサ針310の構成の一例を示す図である。
【0036】
ピアッシングアーム300は、
図2に示すように、サンプリングアーム206と同様に、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。ピアッシングアーム300は、ピアサ駆動軸320を介して、
図3に示すピアッシング駆動機構41により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。また、ピアッシングアーム300は、
図3及び
図4に示すように、一端にピアサ針310を保持し、他端がピアサ駆動軸320に取り付けられる。
【0037】
ピアサ針310は、
図2に示すように、ピアッシングアーム300の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。ピアサ針310は、サンプリングプローブ207の試料の吸引のため、試料容器2035の上面を封止するキャップを穿孔する。ピアサ針310がキャップを穿孔可能なように、本実施形態においては、このキャップは、例えばゴム栓により構成されている。ピアッシングアーム300の回動軌道上には、サンプリングアーム206と共通のサンプル吸引位置が位置する。ピアサ針310は、駆動機構4によって駆動され、サンプル吸引位置において上下方向に移動することによりキャップを穿孔する。
【0038】
ピアサ駆動軸320は、ピアッシング駆動機構41に取り付けられる。また、ピアサ駆動軸320には、
図2乃至
図4に示すように、ピアッシングアーム300が取り付けられる。ピアサ駆動軸320は、ピアッシング駆動機構41の駆動に従い、ピアッシングアーム300を鉛直方向に上下動又は水平方向に回動させる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る分析機構2においては、その内部に、反応ディスク201に保持可能な反応容器2011と同数の測光ユニットが設けられている。本実施形態においては、測光ユニットは、反応容器2011に光を照射し、反応容器2011内の試料と試薬との混合液を透過した光を検出するとともに、この混合液で散乱した光を検出する。測光ユニットは、これらの検出した光の強度を測定結果として、解析回路3に出力する。
【0040】
再び
図1に示すように、解析回路3は、記憶回路8に記憶されている解析プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、解析回路3は、解析プログラムを実行することで、解析機能31、及び複合解析機能32を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって解析機能31、及び複合解析機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが解析プログラムを実行することにより解析機能31、及び複合解析機能32を実現しても構わない。
【0041】
解析機能31は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析する機能であり、解析部の一例である。具体的には、例えば、解析機能31において解析回路3は、標準データに基づいて凝固時間を算出し、算出した凝固時間から検量データを生成する。解析回路3は、生成した検量データを制御回路9へ出力する。
【0042】
また、解析機能31において解析回路3は、例えば、被検データを解析することで、混合液中の凝固の過程を測定する。解析回路3は、被検データに基づいて血液凝固反応についての受光強度変化を取得する。なお、以下では、受光強度変化を反応曲線と言うこととする。解析回路3は、反応曲線における変曲点、及び飽和到達点等を凝固終了点として検出する。このときの変曲点、及び飽和到達点等の検出は、数学的なアルゴリズム、例えば、反応曲線の1次微分、2次微分、又は他の演算法を用いて実施される。解析回路3は、検出した凝固終了点に基づき、凝固点と、凝固点に到達する時間である凝固時間を算出する。
【0043】
また、解析回路3は、検査項目によっては、算出した凝固時間と、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値等を算出する。解析回路3は、凝固終了点、凝固点、凝固時間、及び濃度値等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0044】
複合解析機能32は、分析機構2により生成される2種類の被検データを複合して解析する機能であり、複合解析部の一例である。具体的には、複合解析機能32において解析回路3は、透過光を検出して得られる被検データと、散乱光を検出して得られる被検データとを取得する。解析回路3は、透過光についての被検データに基づく反応曲線、及び、散乱光についての被検データに基づく反応曲線から、血液検体の凝固に関する情報、例えば、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を算出する。
【0045】
複合解析機能32は、例えば、制御回路9からの制御、及び解析機能31での解析結果に従って実施される。例えば、解析回路3は、制御回路9からの指示に応じ、複合解析機能32を実施する。また、解析回路3は、例えば、解析機能31において、反応が弱い試薬を添加した後、想定よりも反応が遅い等の場合、複合解析機能32を実施する。
【0046】
そして、解析回路3は、凝固終了点、凝固点、及び凝固時間等を含む分析データを制御回路9へ出力する。
【0047】
図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、制御プログラムを実行することで、システム制御機能91と、撮像制御機能92と、液面取得機能93と、ピアッシング制御機能94と、吸引制御機能95とを有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91と、撮像制御機能92と、液面取得機能93と、ピアッシング制御機能94と、吸引制御機能95とが実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが制御プログラムを実行することにより、これらの各種機能を実現しても構わない。
【0048】
システム制御機能91は、入力インターフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。例えば、システム制御機能91において制御回路9は、検査項目に応じた解析を実施するように解析回路3を制御する。
【0049】
また、詳しくは後述するが、撮像制御機能92は試料が収容された試料容器2035の撮像を制御する機能であり、液面取得機能93は撮像された試料容器2035の画像データに基づいて試料の液面を取得する機能であり、ピアッシング制御機能94は、ピアッシングアーム300の降下動作を制御して、ピアサ針310による試料容器2035のキャップの穿孔動作を制御する機能であり、吸引制御機能95は、サンプリングプローブ207による吸引動作を制御する機能である。
【0050】
なお、
図1に示したシステム制御機能91、撮像制御機能92、液面取得機能93、ピアッシング制御機能94、及び、吸引制御機能95は、それぞれ、本実施形態におけるシステム制御部、撮像制御部、液面取得部、ピアッシング制御部、及び、吸引制御部を構成している。
【0051】
以上が、本実施形態に係る自動分析装置1の全体構成の説明である。次に
図5を参照して、サンプリングプローブ207及びピアサ針310の移動軌道について説明する。
【0052】
図5は、
図1に示す自動分析装置におけるサンプリングプローブ207及びピアサ針310の移動軌道を示した模式図である。紙面の面内方向が水平方向であり、紙面に垂直な方向が上下方向である。この
図5は、サンプリングアーム206およびサンプリングプローブ207と、ピアッシングアーム300およびピアサ針310との動作を模式的に示している。
【0053】
サンプリングプローブ207は、試料の吸引および吐出を行う先端が下方に位置するように、サンプリングアーム206の先端部に装着されている。サンプリングアーム206は、水平面内を、サンプリングプローブ駆動軸210を中心に回動駆動される。そして、サンプリングアーム206が回動駆動することにより、サンプリングプローブ207が水平面内において円弧状の回動軌道に沿って回動する。具体的には、サンプリングプローブ207は、水平面内において円弧状の軌道を描くように移動し、その移動可能な範囲が軌道TR1で示される。
【0054】
また、サンプリングアーム206は、サンプリングプローブ駆動軸210が上下方向に移動することにより、上下方向に移動する。そして、サンプリングアーム206が上下方向に移動することにより、サンプリングプローブ207が上下方向に移動する。本実施形態においては、例えば、サンプリング位置である位置P1にて、サンプリングプローブ207は上下方向に移動する。
【0055】
ピアッシングアーム300は、サンプリングアーム206とは別の位置にサンプリングアーム206よりも低い高さで設置されている。ピアッシングアーム300の先端部には、ピアサ針310が先端を下方に向けた状態で保持されている。サンプリングアーム206と同様に、ピアッシングアーム300は、ピアサ駆動軸320を中心に水平面内で回動駆動する。この回動駆動により、ピアサ針310を水平面内において円弧状の軌道に沿って移動させる。具体的には、ピアサ針310は、水平面内において円弧上の軌道を描くように移動し、その移動可能な範囲が軌道TR2で示される。
【0056】
また、ピアッシングアーム300は、ピアサ駆動軸320が上下方向に移動することにより、上下方向に移動する。そして、ピアッシングアーム300が上下方向に移動することにより、ピアサ針310が上下方向に移動する。本実施形態においては、例えば、サンプリング位置である位置P1にて、ピアサ針310は上下方向に移動する。
【0057】
サンプリング位置は、軌道TR1および軌道TR2の共通位置に設けられる。具体的には、サンプリングプローブ207の軌道TR1上であり、且つ、ピアサ針310の軌道TR2上である位置P1に、サンプリング位置が設定される。この位置P1において、ピアサ針310による試料容器2035のキャップの穿孔と、サンプリングプローブ207による試料の吸引が行われる。
【0058】
図6は、
図1に示す自動分析装置1で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャート図である。この降下動作制御処理では、試料容器2035を撮像し、撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、ピアッシングアーム300の降下動作を制御し、サンプリングアーム206の降下動作を制御して、試料の吸引を行う。この降下動作制御処理は、制御回路9が記憶回路8に記憶されている降下動作制御処理プログラムを読み出して実行することにより実現される処理である。
【0059】
この降下動作制御処理が実行される前提として、本実施形態に係る自動分析装置1においては、ラックサンプラ203に、試料ラック2031に保持された試料容器2035が投入される。この試料容器2035のラックサンプラ203への投入は、ユーザが行うようにしてもよいし、機械装置が自動的に行うようにしてもよい。
【0060】
まず、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1が実行する降下動作制御処理においては、自動分析装置1は、試料容器2035の撮像を行う(ステップS10)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における撮像制御機能92が試料容器2035の撮像を行う。この撮像により、自動分析装置1は、試料容器2035の画像データを取得することができる。
【0061】
図7は、本実施形態に係る自動分析装置1において、試料ラック2031上の試料容器2035と第1撮像部のレイアウトの一例を概念的に示す図である。この
図7に示すように、本実施形態に係るラックサンプラ203には第1撮像部301が設けられている。この第1撮像部301は、試料ラック2031に保持されている試料容器2035を撮像することが可能であり、この撮像により、試料容器2035に収容されている試料も撮像される。撮像制御機能92は、この第1撮像部301を用いて試料容器2035を撮像することにより、試料容器2035及びその試料容器2035に収容されている試料の画像データを取得する。
【0062】
この第1撮像部301による試料容器2035の撮像は、例えば、1つの試料ラック2031に対して1回行われる。この
図7の例では、1回の撮像で5本の試料容器2035の撮像が行われる。但し、第1撮像部301による試料容器2035の撮像は、1本の試料容器2035に対して1回ずつ行われるようにしてもよい。この場合、
図7の例では、1つの試料ラック2031において、5回の撮像が行われる。
【0063】
次に、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、第1撮像部301により撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する(ステップS12)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における液面取得機能93は、試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する。
【0064】
図7に示すように、本実施形態においては、自動分析装置1は、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを、画像データを解析することにより算出する。ここでは、例えば、試料ラック2031の底面を基準位置とし、この基準位置からの高さを、例えば、XXmmというように、試料の液面の高さを算出する。
【0065】
また、本実施形態においては、事前に遠心分離機を用いて、採取した試料である血液が血漿と血球とに分離されている。すなわち、
図7においては、試料の上層部が血漿410を示しており、試料の下層部が血球411を示している。この
図7に示す例では、制御回路9の液面取得機能93は、基準位置である試料ラック2031の底面から血漿410の液面までの高さをXXmmとして算出する。なお、試料容器2035に収容された試料は、血漿410と血球411に限られるものではなく、検査する試料やその前処理の内容により種々のものが存在する。例えば、試料である血液は、血漿410と血球411ではなく、血清と血餅に試料容器2035内で分離されていることもある。
【0066】
なお、上述したステップS10における第1撮像部301の撮像回数は1回に限られず、複数回撮像するようにしてもよい。例えば、複数の異なるタイミングで、あるいは、複数の異なる角度で、試料容器2035を撮像することにより、複数の画像データを取得しておくようにしてもよい。複数の画像データが取得されている場合、ステップS12において、液面取得機能93は、複数の画像データの解析を行い、より精度の高い液面の高さを取得することができる。
【0067】
次に、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、液面取得機能93が取得した液面の高さに基づいて、試料容器2035のキャップを穿孔するピアサ針310を保持するピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを決定する(ステップS14)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9におけるピアッシング制御機能94が、この降下動作に関するパラメータを決定する。
【0068】
図7に示すように、本実施形態においては、制御回路9におけるピアッシング制御機能94は、試料容器2035に収容された試料の液面の高さXXmmに基づいて、ピアサ針310の先端部の降下位置を特定する。この降下位置を特定することにより、ピアッシングアーム300の降下量を特定することができる。
【0069】
なお、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータは、ピアッシングアーム300の降下量だけでなく、ピアッシングアーム300の降下動作に関する他の要素が含まれてもよい。例えば、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータには、降下位置までの降下速度や、降下開始時の加速度や降下停止時の減速度を含めるようにしてもよい。つまり、本実施形態に係る制御回路9におけるピアッシング制御機能94が決定する降下速度に関するパラメータには、ピアッシングアーム300の降下量が少なくとも含まれていると表現することができる。
【0070】
次に、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、ステップS14で決定されたパラメータに基づいて、ピアッシングアーム300の降下動作を制御する。(ステップS16)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9におけるピアッシング制御機能94が、ステップS14で決定されたパラメータに基づいて、ピアッシングアーム300の降下動作を制御して、ピアサ針310を降下させる。
【0071】
次に、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、サンプリングアーム206の降下動作を制御する。(ステップS18)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における吸引制御機能95が、サンプリングアーム206の降下動作を制御して、サンプリングプローブ207を降下させる。本実施形態においては、制御回路9における吸引制御機能95は、静電容量を用いた液面検知に基づいて、サンプリングアーム206を制御して、サンプリングプローブ207を試料の液面を検知した位置から一定量降下させる。
【0072】
次に、
図6に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、試料の吸引を行う(ステップS20)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における吸引制御機能95が、サンプリングアーム206に保持されたサンプリングプローブ207の先端部から、所定量の試料の吸引を行う。
【0073】
図8は、ピアサ針310による穿孔動作及びサンプリングプローブ207による吸引動作により、ピアサ針310及びサンプリングプローブ207が降下する様子を説明する図である。
図8(a)に示すように、ステップS14において、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータが決定されると、ピアッシング制御機能94は、ステップS16において、ピアッシングアーム300が降下することにより、ピアサ針310を降下する。これにより、
図8(b)に示すように、ピアサ針310は、試料容器2035のキャップCPを穿孔して、ピアサ針310の先端部の降下位置まで降下する。つまり、ピアサ針310は、
図8(b)に示すように、試料容器2035のキャップCPを穿孔しつつ、試料容器2035に収容された試料の液面の上方に位置づけられる。そして、
図8(c)に示すように、吸引制御機能95は、ステップS18において、サンプリングアーム206の降下動作により、サンプリングプローブ207がピアサ針310の連通孔311を通過するように、サンプリングプローブ207を降下させ、サンプリングプローブ207の先端部を試料容器2035に収容されている試料に浸漬させ、ステップS20において、試料容器2035に収容されている試料の吸引を行う。
【0074】
このステップS20における吸引動作により、本実施形態に係る降下動作制御処理は、終了する。この後、この試料の吸引が終了すると、吸引制御機能95は、サンプリングプローブ207を上昇させて、ピアサ針310の連通孔311からサンプリングプローブ207を引き上げる。そして、ピアサ針310をキャップCPから引き抜いて、試料吸引のための一連の動作を終了する。そして、吸引制御機能95は、吸引した試料を反応容器2011に吐出し、上述した分析動作により試料を分析する。また、サンプリングプローブ207の洗浄後、次の試料容器2035のキャップCPを穿孔し、次の試料容器2035内の試料を吸引する降下動作制御処理が実行される。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1においては、第1撮像部301が試料の収容された試料容器2035の撮像を行い、この撮像により得られた画像データに基づいて、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを決定することとしたので、ピアサ針310を適切な位置まで降下させることができる。このため、ピアッシングアーム300の降下量が設定されていない試料容器2035及びキャップCPが使用される場合であっても、ユーザはピアッシングアーム300の降下量を設定することなく、ピアッシングアーム300の降下量が設定されていない試料容器2035及びキャップCPを使用することができるので、ユーザの作業負担を軽減することができる。また、ピアッシングアーム300の降下量を設定する時間を削減できるため、この自動分析装置1の全体的なスループットの向上を図ることができる。
【0076】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態係る自動分析装置1が備えるラックサンプラ203の形態には、様々なものが考えられる。どのようなラックサンプラ203の形態であっても、第1撮像部301は、試料容器2035が自動分析装置1の制御下に入った後、ピアッシングアーム300の降下動作に入るまでの間に、試料容器2035を撮像し、画像データを生成すれば足りる。
【0077】
図9は、上述した第1実施形態に係る自動分析装置1が備えるラックサンプラ203の1つの形態を、第2実施形態に係る自動分析装置1として模式的に示す図である。この
図9に示すように、本実施形態に係るラックサンプラ203は、試料ラック2031を搬送する搬送装置330と、搬送装置330へ試料ラック2031を投入するラック投入装置331と、搬送装置330から試料ラック2031を回収するラック回収装置332とを備えて構成されている。
【0078】
ユーザは、ラック投入装置331から、試料ラック2031を搬送装置330に投入する。試料ラック2031の投入は、ラック投入装置331が機械的に行うようにしてもよいし、ユーザが作業としてラック投入装置331を用いて行うようにしてもよい。一方で、ユーザは、ラック回収装置332で、試料ラック2031を搬送装置330から回収する。試料ラック2031の回収は、ラック回収装置332が機械的に行うようにしてもよいし、ユーザが作業としてラック回収装置332を用いて行うようにしてもよい。
【0079】
搬送装置330では、ロボットアーム333が試料ラック2031を把持して、ピアサ針310による試料容器2035のキャップCPの穿孔と、サンプリングプローブ207による試料の吸引とが行われるサンプリング位置まで、試料ラック2031及びその試料ラック2031に保持されている試料容器2035を搬送する。ロボットアーム333の数は任意であり、1つのロボットアーム333により、ラック投入装置331で投入された試料容器2035をサンプリング位置まで搬送し、さらにサンプリング終了後に、ラック回収装置332まで搬送するようにしてもよい。あるいは、複数のロボットアーム333が連携して動作することにより、同様の試料ラック2031の搬送を行うようにしてもよい。
【0080】
このような構成のラックサンプラ203においては、例えば、第1撮像部301は、ラック投入装置331で試料ラック2031が投入された際に、試料容器2035の撮像を行うようにすることができる。また、第1撮像部301は、ピアサ針310による試料容器2035のキャップCPの穿孔と、サンプリングプローブ207による試料の吸引とが行われるサンプリング位置で試料容器2035の撮像を行うようにしてもよいし、あるいは、そのサンプリング位置の手前で試料容器2035の撮像を行うようにしてもよい。
【0081】
また、ラック投入装置331からサンプリング位置まで、ロボットアーム333により搬送されている途中に、画像読み取り区間を設定し、第1撮像部301が、この画像読み取り区間で、試料容器2035を撮像するようにしてもよい。このように、第1撮像部301が試料容器2035の撮像を行う位置やタイミングは、試料容器2035が自動分析装置1の制御下に入った後、ピアッシングアーム300の降下動作に入るまでの間で、任意に設定することが可能である。
【0082】
〔第3実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを穿孔する際に、試料容器2035のキャップCPと、ピアサ針310の先端部と、この先端部の周囲で試料容器2035に収容された試料とを撮像することも可能である。第3実施形態に係る自動分析装置1においては、この撮像された画像データに基づいて、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通しているか否かを判定し、ピアサ針310試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していない場合には、その旨をユーザに警告することも可能である。また、事後的な解析のために、後述の第2撮像部が撮像した画像データを保存したり、外部に送信したりすることも可能である。以下、上述した第1実施形態に本変形例を適用した場合を例に第3実施形態を説明するが、本変形例は他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0083】
図10は、第3実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態に係る
図1に対応する図である。この
図10に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1においては、制御回路9が、判定機能96と、警告機能97と、画像送信機能98とを追加的に備えることにより構成されている。この判定機能96と、警告機能97と、画像送信機能98とも、他の機能と同様に、記憶回路8に記憶されているプログラムを制御回路9が読み出して実行することにより実現される機能である。
【0084】
図11は、
図10に示す自動分析装置1で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャートを示す図であり、上述した第1実施形態における
図6に対応する図である。この
図11に示すように、本実施形態に係る降下動作制御処理は、ステップS16のピアッシングアーム300の降下動作までは、上述した第1実施形態と同様の処理である。
【0085】
このステップS16の後、自動分析装置1は、試料容器2035の撮像を行う(ステップS30)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における撮像制御機能92は、試料容器2035のキャップCPと、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを穿孔する際に、ピアサ針310の先端部が到達した位置と、その先端部の周囲の試料の撮像を行う。
【0086】
図12は、第3実施形態に係る自動分析装置1において、試料ラック2031上の試料容器2035と第1撮像部301と第2撮像部のレイアウトの一例を概念的に示す図である。この
図12に示すように、第2撮像部302は、ピアサ針310が降下した後の試料容器2035の撮像を行う。第2撮像部302が設けられる位置は、ピアサ針310の降下位置を特定できれば、任意であるが、ピアサ針310の降下位置を特定するためには、ピアサ針310により穿孔が行われるサンプリング位置近傍に設けられる必要がある。
【0087】
また、第2撮像部302は、必ずしも、第1撮像部301と別個に設けられる必要はない。つまり、第1撮像部301が第2撮像部302を兼ねるように、自動分析装置1を構成することも可能である。
【0088】
次に、
図11に示すように、第2撮像部302により撮像された画像データに基づいて、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通しているか否かを判定する(ステップS32)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における判定機能96が、この判定処理を行う。このステップS32における判定機能96が、本実施形態における第1判定部を構成する。ここで、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通しているとは、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを貫通しており、ピアサ針310の先端部が試料容器2035に収容された試料の液面の上方に位置づけられていることである。
【0089】
すなわち、制御回路9における判定機能96が、ステップS30で取得した画像データの画像解析を行うことにより、ステップS18でピアサ針310の先端部が降下した位置を特定することができる。また、ピアサ針310の先端部の周囲も特定することができる。このため、ピアサ針310が降下して、試料容器2035のキャップCPを正常に貫通しているか否かを、制御回路9における判定機能96が判定をすることができる。
【0090】
次に、
図11に示すように、自動分析装置1は、ステップS32の判定の結果、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通しているか否かを判断する(ステップS34)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における判定機能96が、この判断処理を行う。
【0091】
そして、ステップS34において、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していると判断した場合(ステップS34:Yes)、第1実施形態と同様に、サンプリングアーム206の降下動作を制御する処理(ステップS18)を実行する。これ以降の降下動作制御処理は、上述した第1実施形態と同様である。
【0092】
一方で、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していないと判断した場合(ステップS34:No)、自動分析装置1は、その旨を警告する(ステップS36)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における警告機能97が、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していない旨の警告を出力する。
【0093】
例えば、このステップS36の警告は、出力インターフェース6として設けられた表示回路により表示されるようにしてもよいし、印刷回路により印刷されるようにしてもよい。このステップS36を実行する警告機能97が、本実施形態における警告部を構成する。
【0094】
次に、
図11に示すように、自動分析装置1は、第2撮像部302により撮像された画像データを保存する(ステップS38)。例えば、自動分析装置1は、第2撮像部302により撮像された画像データを、記憶回路8に保存する。ユーザは、この記憶回路8に保存された画像データを事後的に解析することにより、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していない原因を究明することができる。この画像データが保存される記憶回路8は、本実施形態における画像保存部を構成する。
【0095】
記憶回路8に記憶された画像データは、ユーザにより任意のタイミングで削除されるまで保持される。あるいは、記憶回路8に記憶された画像データは、例えば、所定期間経過後に自動的に削除されるようにすることができる。この画像データが記憶回路8に記憶される期間は、予め固定的に設定されていてもよいし、あるいは、ユーザが任意に設定できるようにしておいてもよい。
【0096】
次に、
図11に示すように、自動分析装置1は、第2撮像部302により撮像された画像データを、自動分析装置1の外部に送信する(ステップS40)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における画像送信機能98が、通信インターフェース7を介して、画像データを自動分析装置1の外部に送信する。この画像送信機能98が、本実施形態における画像送信部を構成する。
【0097】
例えば、制御回路9における画像送信機能98は、第2撮像部302により撮像された画像データを、自動分析装置1の製造メーカが提供するオンラインメンテナンスコンピュータに送信してもよいし、あるいは、自動分析装置1のサービス部門のコンピュータに送信するようにしてもよい。
【0098】
そして、これにより、本実施形態に係る降下動作制御処理が終了する。すなわち、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していない場合には、その試料は分析されることなく、次の試料についての降下動作制御処理が行われる。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、制御回路9における判定機能96を追加的に設けたので、自動分析装置1は、第2撮像部302により撮像された画像データに基づいて、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通している否かを判定することができる。
【0100】
また、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、ピアサ針310が試料容器2035のキャップCPを正常に貫通していない場合には、その旨をユーザに警告するようにしたので、ユーザは、異常の発生を迅速に把握することができる。また、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、事後的な解析のために、第2撮像部302が撮像した画像データを保存したり、外部に送信したりすることができ、異常が発生した場合の迅速且つ正確な対応を期待することができる。
【0101】
なお、本実施形態に係る自動分析装置1は、画像データを保存する画像保存部と、画像データを外部に送信する画像送信部の双方を備えることとしたが、自動分析装置1は、画像保存部と画像送信部の一方を備えるようにしてもよい。換言すれば、自動分析装置1は、画像保存部と画像送信部のうちの少なくとも一方を備えるように構成することができる。
【0102】
〔第4実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1は、この自動分析装置1の外部に設けられた外部搬送装置に接続することも可能である。
図13は、第4実施形態に係る自動分析装置1に外部搬送装置が接続された場合の構成の一例を示す図である。換言すれば、
図13は、自動分析装置1と、この自動分析装置1に接続された外部搬送装置340とにより構成された、自動分析システムを示している。
【0103】
この
図13に示すように、自動分析装置1のラックサンプラ203は、外部搬送装置340に接続されている。外部搬送装置340は、試料容器2035を自動分析装置1のラックサンプラ203まで搬送する。ラックサンプラ203まで搬送された試料容器2035は、ピアサ針310による穿孔とサンプリングプローブ207による試料のサンプリングが行われるサンプリング位置まで搬送され、上述した各実施形態と同様に、自動分析装置1において降下動作制御処理が実行される。
【0104】
このような構成の自動分析システムにおいては、第1撮像部301は、外部搬送装置340に設けることが可能である。そして、第1撮像部301は、外部搬送装置340で試料容器2035が搬送されている間に、試料容器2035を撮像する。
【0105】
外部搬送装置340において、試料容器2035が試料ラック2031に保持されて搬送されている場合には、上述した各実施形態と同様に、試料ラック2031の底面を基準位置として、制御回路9における液面取得機能93は試料の液面の高さを算出することができる。
【0106】
一方で、外部搬送装置340において、試料容器2035が試料ラック2031に保持されることなく搬送されている場合には、制御回路9における液面取得機能93は、外部搬送装置340の搬送面を基準位置として、搬送面からの試料の液面の高さを算出すればよい。
【0107】
このように、上述した各実施形態に係る自動分析装置1に対して、外部搬送装置340を追加的に接続した場合でも、上述した
図6の降下動作制御処理を自動分析装置1が実行することにより、ピアッシングアーム300の降下量が設定されていない試料容器2035及びキャップCPが搬送されていた場合でも、正常なピアッシングアーム300の降下動作を実現することができる。
【0108】
〔第5実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、試料容器2035は試料ラック2031に保持されて、ラックサンプラ203に格納される構成を採用していた。しかし、試料容器2035は、ラックサンプラ203ではなく、ディスクサンプラに格納されるように構成することも可能である。このようなディスクサンプラを備える自動分析装置1の構成を、第5実施形態として説明する。
【0109】
図14は、本実施形態に係る自動分析装置1において、試料容器2035が格納されるディスクサンプラの構成の一例を説明する図である。この
図14に示すディスクサンプラ350は、自動分析装置1の内部に設けられており、円盤状のディスクの上に、試料容器2035を円周状に配置することが可能に構成されている。ユーザは、例えば、このディスクサンプラ350に、試料容器2035を入れることにより、自動分析装置1に試料容器2035をセットする。
【0110】
図14の例では、ディスクサンプラ350の外周位置に、第1撮像部301が設けられている。上述したように、第1撮像部301は、試料容器2035の撮像を行う。なお、第1撮像部301の配置は任意であり、第1撮像部301は試料容器2035と収容されている試料とが撮像できれば、どの位置でも配置可能である。
【0111】
試料を吸引するサンプリングプローブ207を保持するサンプリングアーム206は、ディスクサンプラ350に配置された試料容器2035に対して、上述した回動動作と上下動作を繰り返すことにより、試料容器2035に収容された試料を吸引して、反応容器2011に吐出する動作が実現される。
【0112】
このように、本実施形態に係る自動分析装置1のように、ディスクサンプラ350を備える構造においても、上述した
図6の降下動作制御処理を自動分析装置1が実行することにより、ピアッシングアームの降下量が設定されていない試料容器2035が搬送されていた場合でも、正常なピアッシングアーム300の降下動作を実現することができる。
【0113】
〔第6実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、試料ラック2031に関する情報は、第1撮像部301が撮像した画像データにより取得するようにしてもよいし、ラックサンプラ203にバーコード読み取り部を設けることによりバーコード読み取り部が読み取ったバーコードの情報に基づいて取得するようにしてもよい。自動分析装置1が、種々の手法で、使用されている試料ラック2031に関する情報を取得する例を、第6実施形態として説明する。
【0114】
使用されている試料ラック2031に関する情報を、第1撮像部301が撮像した画像データから取得する場合、画像データの画像解析をすることにより実現できる。例えば、制御回路9における液面取得機能93は、画像解析により、試料ラック2031の構造や大きさを取得し、試料ラック2031の種類を特定することができる。
【0115】
一方で、使用されている試料ラック2031に関する情報を、第1撮像部301が撮像した画像データ以外から取得することも可能である。
【0116】
使用されている試料ラック2031に関する情報を、ラックサンプラ203に設けられたバーコード読み取り部のバーコード読み取りで取得する場合には、試料ラック2031に貼付されたバーコードを読み取り、この読み取ったバーコードの情報に基づき、試料ラック2031に関する情報を取得する。例えば、試料ラック2031に貼付されたバーコードに、その種類や大きさに関する情報が含まれている場合には、制御回路9における液面取得機能93は、バーコード読み取りにより、これらの情報を取得することができる。
【0117】
試料ラック2031に貼付されたバーコードに、試料ラック2031を特定するユニークな識別情報が含まれている場合には、このユニークな識別情報と試料ラック2031に関する情報とを紐付けて、自動分析装置1が保持しておく。そして、バーコード読み取り部が読み取ったユニークな識別情報に基づいて、制御回路9における液面取得機能93は、試料ラック2031に関する情報を取得する。
【0118】
さらには、試料ラック2031に関する情報は、バーコード読み取り部や第1撮像部301を用いて取得するのではなく、自動分析装置1にユーザが予め設定入力するようにしてもよい。例えば、試料ラック2031が1種類であるような場合には、ユーザが、この種類に関する情報を自動分析装置1に設定入力することにより、自動分析装置1の分析動作が始まった後に、これらの情報を取得する必要はなくなる。
【0119】
〔第7実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、静電容量を用いた液面検知に基づいて、サンプリングアーム206の降下動作を制御して、サンプリングプローブ207を降下させることとしたが、自動分析装置1においては、液面取得機能93が取得した液面の高さに基づいて、サンプリングプローブ207を保持するサンプリングアーム206の降下動作に関するパラメータを決定し、決定されたパラメータに基づいて、サンプリングアーム206の降下動作を制御することも可能である。以下、上述した第1実施形態に本変形例を適用した場合を例に第7実施形態を説明するが、本変形例は、他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0120】
図15は、第7実施形態に係る自動分析装置の機能構成の例を示すブロック図であり、上述した第1実施形態に係る
図1に対応する図である。この
図15に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1においては、制御回路9がバーコード読み取り機能99を追加的に備えることより構成されている。このバーコード読み取り機能99も、他の機能と同様に、記憶回路8に記憶されているプログラムを制御回路9が読み出して実行することにより実現される機能である。
【0121】
図16は、
図15に示す自動分析装置1で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図6に対応する図である。この降下動作制御処理は、制御回路9が記憶回路8に記憶されている降下動作制御処理プログラムを読み出して実行することにより実現される処理である。
【0122】
まず、
図16に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1が実行する降下動作制御処理においては、自動分析装置1は、バーコードの読み取りを行う(ステップS50)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9におけるバーコード読み取り機能99が、試料容器や試料ラック2031に貼付されているバーコードの読み取りを行う。
【0123】
図17は、第7実施形態に係る自動分析装置1において、試料ラック2031上の試料容器2035と第1撮像部301とバーコード読み取り部とのレイアウトの一例を概念的に示す図であり、上述した第1実施形態における
図7に対応する図である。この
図17に示すように、本実施形態に係るラックサンプラ203には、バーコード読み取り部303が設けられている。このバーコード読み取り部303は、試料容器2035に貼付されているバーコードや、試料ラック2031に貼付されているバーコードを読み取ることが可能である。バーコード読み取り機能99は、このバーコード読み取り部303を用いてバーコードを読み取ることにより、必要に応じて、その試料容器2035の検査依頼の内容を取得することができ、また、検体の情報を取得することができる。このステップS50の後、ステップS10の試料容器2035の撮像は上述した第1実施形態と同様の処理である。
【0124】
ステップS10の後、本実施形態係る自動分析装置1は、第1撮像部301により撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する(ステップS52)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における液面取得機能93が、試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する。
【0125】
図17に示すように、本実施形態においては、自動分析装置1は、試料容器2035に収容された液面の高さを、画像データを解析することにより算出する。ここでは、例えば、試料ラック2031の底面を基準位置とし、この基準位置からの高さを、例えば、XXmmというように、試料の液面の高さを算出する。
【0126】
なお、本実施形態においては、事前に遠心分離機を用いて、採取した血液が血漿と血球とに分離されている。すなわち、
図17においては、試料の上層部が血漿410を示しており、試料の下層部が血球411を示している。このため、制御回路9の液面取得機能93は、取得した画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の種別と、複数の試料の種別毎の液面の高さを取得するようにしてもよい。
【0127】
この
図17の例では、制御回路9の液面取得機能93は、基準位置である試料ラック2031の底面から血漿410の液面までの高さをXXmmとして算出し、基準位置である試料ラック2031の底面から血球411の液面までの高さをYYmmとして算出するようにしてもよい。なお、試料の種別は、血漿410と血球411に限られるものではなく、検査する試料やその前処理の内容により種々のものが存在する。例えば、試料の種別として、血漿410と血球411ではなく、血清と血餅に試料容器2035内で分離されていることもある。また、試料容器に1つの試料種別のみが収容されている場合には、試料ラック2031の底面から試料の液面の高さのみを算出することもある。これらは、第1撮像部301により撮像された画像データの解析を、液面取得機能93が行うことにより、それぞれの種別の液面の高さを算出することができる。
【0128】
なお、上述したステップS10における第1撮像部301の撮像回数は1回に限られず、複数回撮像するようにしてもよい。例えば、複数の異なるタイミングで、あるいは、複数の異なる角度で、試料容器2035を撮像することにより、複数の画像データを取得しておくようにしてもよい。複数の画像データが取得されている場合は、ステップS52において、液面取得機能93は、複数の画像データの解析を行い、より精度の高い液面の高さを取得することができる。このステップS52の後、ステップS14の処理は上述した第1実施形態における降下動作制御処理と同様の処理である。
【0129】
次に、
図16に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、液面取得機能93が取得した液面の高さに基づいて、試料を吸引するサンプリングプローブ207を保持するサンプリングアーム206の降下動作に関するパラメータを決定する(ステップS54)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における吸引制御機能95が、この降下動作に関するパラメータを決定する。
【0130】
図17に示すように、本実施形態においては、制御回路9における吸引制御機能95は、試料容器2035に収容された試料の液面の高さXXmmに基づいて、サンプリングプローブ207の先端部の降下位置を特定する。この降下位置を特定することにより、サンプリングアーム206の降下量を特定することができる。また、制御回路9における吸引制御機能95は、この降下位置までの降下速度を特定する。ここで、降下速度のパラメータには、定速状態の速度だけでなく、サンプリングアーム206の降下開始時の加速度や降下停止時の減速度も、含まれるようにしてもよい。
【0131】
なお、本実施形態においては、液面取得機能93が試料の種別と、試料の種別毎の液面の高さを取得する場合もある。このため、制御回路9における吸引制御機能95は、液面取得機能93が取得した試料の種別と、試料の種別毎の液面の高さに基づいて、降下動作に関するパラメータを決定するようにしてもよい。例えば、
図17の例において、血球411を吸引する必要があるときは、その液面の高さがYYmmであることから、制御回路9における吸引制御機能95は、サンプリングプローブ207の先端部が血球411の存在する位置となるように、サンプリングアーム206の降下量を決定するようにしてもよい。
【0132】
また、制御回路9における吸引制御機能95が決定する降下動作に関するパラメータは、サンプリングアーム206の降下量と、サンプリングアーム206の降下速度だけでなく、降下動作に関する他の要素が含まれていてもよい。換言すれば、本実施形態に係る制御回路9における吸引制御機能95が決定する降下速度に関するパラメータには、サンプリングアーム206の降下量と、サンプリングアーム206の降下速度とが、少なくとも含まれていると表現することができる。このステップS54の後、ステップS16の処理は上述した第1実施形態における降下動作制御処理と同様の処理である。
【0133】
次に、
図16に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、ステップS54で決定されたパラメータに基づいて、サンプリングアーム206の降下動作を制御する(ステップS56)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における吸引制御機能95が、ステップS54で決定されたパラメータに基づいて、サンプリングアーム206の降下動作を制御して、サンプリングプローブ207を降下させる。
【0134】
より具体的には、本実施形態に係る自動分析装置1においても、吸引制御機能95は、
図8(c)に示すように、サンプリングアーム206の降下動作により、サンプリングプローブ207が降下し、サンプリングプローブ207の先端部が試料容器2035に収容されている試料に浸漬する。例えば、ステップS56において、血漿410を吸引する必要のある検査の場合、サンプリングプローブ207の先端部が、血漿410まで到達するように、サンプリングアーム206の降下量がパラメータとして設定されている。なお、血球411を吸引する必要のある検査の場合、サンプリングプローブ207の先端部が血球411まで到達するように、サンプリングアーム206の降下量がパラメータとして設定されてもよい。このため、サンプリングプローブ207の先端部は、血漿410ではなく、血球411の位置まで降下することができる。
【0135】
次に、
図16に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、サンプリングアーム206の降下動作が停止した位置で、試料の吸引を行う(ステップS20)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における吸引制御機能95が、サンプリングアーム206に保持されたサンプリングプローブ207の先端部から、所定量の試料の吸引を行う。この試料の吸引動作により、本実施形態に係る降下動作制御処理が終了する。
【0136】
この降下動作制御処理が終了した後、本実施形態に係る自動分析装置1は、サンプリングアーム206を上昇させて、吸引した試料を反応容器2011に吐出し、上述した分析動作により試料の分析を行う。また、サンプリングプローブ207は洗浄された後、次の試料を吸引するための降下動作制御処理が実行される。
【0137】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1においては、第1撮像部301が試料の収容された試料容器2035の撮像を行い、この撮像により得られた画像データに基づいて、サンプリングアーム206の降下動作に関するパラメータを決定することとしたので、サンプリングプローブ207を適切な位置まで高速で降下させて、試料の吸引を行うことができる。このため、自動分析装置1が所定時間内に行うことができる検査の回数を増加させることができ、この自動分析装置1の全体的なスループットの向上を図ることができる。
【0138】
すなわち、従来のように、降下途中のサンプリングプローブ207を用いて液面を検知する必要がなくなることから、正確で高速化可能なサンプリングアーム206の降下動作を実現することができる。さらには、サンプリングプローブ207が液面を検知して降下動作を停止するまでのタイムラグが発生しないことから、試料の残量が少ない場合でも、試料容器2035の底部にサンプリングプローブ207の先端部が衝突することなく、試料の吸引を行うことができる。
【0139】
しかも、本実施形態に係る自動分析装置1の制御回路9における液面取得機能93は、試料容器2035に収容された試料の種別毎に液面の高さを取得することとしたので、検査に必要となる種別の試料を、サンプリングプローブ207の先端部から的確に吸引できるように、サンプリングアーム206の降下量を制御することができる。このため、試料容器2035に収容された様々な種別の試料を、その分量に応じて吸引することができるようになる。
【0140】
〔第8実施形態〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、第1撮像部301により撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035の種類を特定できるか否かを判定し、試料容器の種類を特定できない場合に、第1撮像部301により撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得するようにしてもよい。以下、上述した第1実施形態に本変形例を適用した場合を例に第8実施形態を説明するが、本変形例は他の実施形態にも同様に適用可能である。
【0141】
図18は、第8実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図を示しており、上述した第1実施形態における
図1に対応する図である。この
図18に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1において、制御回路9が、判定機能96を追加的に備えることにより構成されている。この判定機能96も、他の機能と同様に、記憶回路8に記憶されているプログラムを制御回路9が読み出して実行することにより実現される機能である。
【0142】
図19は、
図18に示す自動分析装置1で実行される降下動作制御処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した第1実施形態における
図6に対応する図である。この
図19に示すように、本実施形態に係る降下動作制御処理は、ステップS10の処理は、上述した第1実施形態と同様の処理である。
【0143】
このステップS10の後、自動分析装置1は、試料容器2035の種類を特定できるか否かを判定する(ステップS60)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9における判定機能96が、第1撮像部301により撮像された画像データに基づいて、試料容器2035の種類を特定できるか否かを判定する。このステップS60における判定機能96が、本実施形態における第2判定部を構成する。
【0144】
すなわち、上述したステップS10で撮像された試料容器2035の画像データを画像解析することにより、画像データにおける試料容器2035の大きさや形状、及び/又は、キャップCPの形状や大きさ、色などと、記憶回路8に記憶されている試料容器2035に記憶されている試料容器2035に関する情報又はキャップCPに関する情報とを比較することにより、試料容器2035の種類が特定できるか否かを判定する。
【0145】
そして、ステップS60において、試料容器2035の種類を特定できない場合(ステップS60:No)、第1実施形態と同様に、第1撮像部301により撮像された試料容器2035の画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する処理(ステップS12)を実行する。このステップS12及びステップS14の処理は、上述した第1実施形態と同様である。
【0146】
一方で、ステップS60において、試料容器2035の種類を特定できる場合(ステップS60:Yes)、自動分析装置1は、試料容器2035の種類に基づくピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを決定する(ステップS62)。具体的には、自動分析装置1の制御回路9におけるピアッシング制御機能94は、記憶回路8から、特定された試料容器2035の種類に基づくピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを取得することにより、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを決定する。
【0147】
このピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータは、ピアッシングアーム300の降下量だけでなく、降下動作に関する他の要素が含まれてもよい。例えば、ピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータには、降下位置までの降下速度や、降下開始時の加速度や降下停止時の減速度を含めるようにしてもよい。つまり、本実施形態に係る制御回路9におけるピアッシング制御機能94が決定する降下速度に関するパラメータには、ピアッシングアーム300の降下量が少なくとも含まれていると表現することができる。なお、ステップS62において、液面位置を特定するようにしてもよい。このように液面位置を特定することにより、試料容器2035のキャップCPを穿孔しつつ、試料容器2035に収容された試料の液面の上方に位置づけことができる。
【0148】
次に、
図19に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、ステップS14で決定されたパラメータ、又は、ステップS62で決定されたパラメータに基づいて、上述した第1実施形態と同様に、ピアッシングアーム300の降下動作を制御する処理(ステップS16)を実行する。これ以降の降下動作制御処理は、上述した第1実施形態と同様である。
【0149】
このステップS20における吸引動作により、本実施形態に係る降下動作制御処理は、終了する。この後、この試料の吸引が終了すると、吸引制御機能95は、サンプリングプローブ207を上昇させて、ピアサ針310の連通孔311からサンプリングプローブ207を引き上げる。そして、ピアサ針310をキャップCPから引き抜いて、試料吸引のための一連の動作を終了する。そして、吸引制御機能95は、吸引した試料を反応容器2011に吐出し、上述した分析動作により試料を分析する。また、サンプリングプローブ207の洗浄後、次の試料容器2035のキャップCPを穿孔し、次の試料容器2035内の試料を吸引する降下動作制御処理が実行される。
【0150】
以上のように、本実施形態に係る自動分析装置1によれば、第1撮像部301が試料の収容された試料容器2035の撮像を行い、この撮像により得られた画像データに基づいて、試料容器2035の種類を特定できるか否かを判定し、試料容器2035の種類を特定できる場合には、記憶回路8から、特定された試料容器2035の種類に基づくピアッシングアーム300の降下動作に関するパラメータを取得して、パラメータを決定することとしたので、試料容器2035の種類を特定できる場合には、画像データに基づいて、試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得する必要がなく、液面の高さを取得するための画像解析に要する時間を低減することができ、自動分析装置1の全体的なスループットの向上を図ることができる。
【0151】
〔変形例〕
上述した各実施形態に係る自動分析装置1においては、第1撮像部301が試料容器2035を撮像することにより、その試料容器2035に収容された試料の液面の高さを取得するようにしている。このため、試料容器2035は、収容されている試料の液面が撮像した画像データに含まれるように、少なくとも部分的に透明部が形成されていなければならない。つまり、試料容器2035に形成された透明部を介して、試料の液面の高さを画像解析により取得できるようになる。
【0152】
図20は、変形例に係る自動分析装置1において、全面が透明部で構成された試料容器2035の構成の一例を示す図である。このように試料容器2035の全面を透明部360で構成することにより、どのような角度からでも、第1撮像部301が試料容器2035を撮像することができるようになり、取得した画像データに基づいて、収容された試料の液面の高さを取得することができるようになる。
【0153】
図21は、変形例に係る自動分析装置1において、一部が透明部で構成された試料容器2035の構成の一例を示す図である。このように試料容器2035の一部を透明部360で構成することにより、試料容器2035の強度を向上させることができる。
【0154】
図20及び
図21のいずれの例においても、撮像された試料容器2035の画像データを画像解析することにより、試料容器2035に収容されている試料の液面の高さが、透明部360を介して取得可能である。換言すれば、透明部360は、画像データを画像解析することにより、試料の高さが取得可能な程度の透明度を有している。このため、試料容器2035は、微量な試料を収容するサンプルカップや、透明度の高いガラス瓶などにより構成することも可能である。
【0155】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザの負担を軽減しつつ、正常にピアッシングアームを降下させることができ、自動分析装置1の全体的なスループットの向上を図ることができる。
【0156】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路8から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路8に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路8に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0157】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0158】
1…自動分析装置
2…分析機構
3…解析回路
4…駆動機構
5…入力インターフェース
6…出力インターフェース
7…通信インターフェース
8…記憶回路
9…制御回路
31…解析機能
32…複合解析機能
41…ピアッシング駆動機構
91…システム制御機能
92…撮像制御機能
93…液面取得機能
94…ピアッシング制御機能
95…吸引制御機能
96…判定機能
97…警告機能
98…画像送信機能
99…バーコード読み取り機能
100…試薬容器
300…ピアッシングアーム
301…第1撮像部
302…第2撮像部
303…バーコード読み取り部
310…ピアサ針
311…連通孔
320…ピアサ駆動軸
330…搬送装置
331…ラック投入装置
332…ラック回収装置
333…ロボットアーム
340…外部搬送装置
350…ディスクサンプラ
360…透明部
410…血漿
411…血球