(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110362
(43)【公開日】2024-08-15
(54)【発明の名称】微細突起具の検査方法、検査装置、製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/95 20060101AFI20240807BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01N21/95 Z
A61M37/00 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023014918
(22)【出願日】2023-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉腰 正人
【テーマコード(参考)】
2G051
4C267
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB01
2G051AB03
2G051BA01
2G051BA10
2G051BB01
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051DA06
4C267AA72
4C267CC01
4C267GG07
4C267GG09
4C267HH30
(57)【要約】
【課題】微細突起具を精度よく検査することができる微細突起具の検査方法を提供すること。
【解決手段】微細突起具2の検査方法であって、突起部2Bが突設された側において基材2Aの表面に光を照射しながら、反射光を受光することによって該表面を突起部2Bと共に撮像し、第1の画像を取得する第1画像取得工程と、突起部2Bが突設されていない側において該表面とは反対側の面に光を照射しながら、微細突起具2を透過した透過光を突起部2Bが突設された側において受光することによって該表面を突起部2Bと共に撮像し、第2の画像を取得する第2画像取得と、第1及び第2の画像から、突起部2Bの形状情報を取得する工程と、突起部3Bに関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出工程と、情報算出工程で算出された情報に基づいて、微細突起具2の良否を判定する良否判定工程と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の検査方法であって、
前記基材表面を境として前記突起部が突設された側において前記基材表面に光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、前記微細突起具からの反射光を他方の側において斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像し、第1の画像を取得する第1画像取得工程と、
前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に光を照射しながら、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側において前記基材表面に対して斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像し、第2の画像を取得する第2画像取得工程と、
第1の画像から、前記突起部の形状情報を取得する第1情報取得工程と、
第2の画像から、前記突起部の形状情報を取得する第2情報取得工程と、
第1情報取得工程において取得した前記形状情報と、第2情報取得工程において取得した前記形状情報とから、前記突起部に関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出工程と、
前記情報算出工程で算出された情報に基づいて、前記微細突起具の良否を判定する良否判定工程と、
を有する、微細突起具の検査方法。
【請求項2】
第2画像取得工程において、
前記基材表面とは反対側の面に照射する前記光は、前記基材表面とは反対側の面に、前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射し、
前記微細突起具を透過した前記透過光は、前記突起部を境としてこれの他方の側から斜め方向に受光される、請求項1に記載の微細突起具の検査方法。
【請求項3】
第2画像取得工程における、前記基材表面とは反対側の面に照射する前記光の入射角度θL2を調整することによって、第2画像取得工程において、前記突起部全体が暗く、突起部不存在部が明るい状態の第2の画像が取得されるようにする、請求項2に記載の微細突起具の検査方法。
【請求項4】
第2画像取得工程においては、前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に、光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側における、前記一方の側と同じ側において斜め方向に受光することによって第2の画像を取得する、請求項1に記載の微細突起具の検査方法。
【請求項5】
第2画像取得工程における、前記基材表面とは反対側の面に照射する前記光の入射角度θL3を調整することによって、第2画像取得工程において、前記突起部全体が明るく、突起部不存在部が暗い状態の第2の画像が取得されるようにする、請求項4に記載の微細突起具の検査方法。
【請求項6】
透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の検査装置であって、
前記基材表面を境として前記突起部が突設された側において前記基材表面に光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射する第1照明手段と、前記微細突起具からの反射光を他方の側において斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像する第1撮像手段とを備える第1画像取得部と、
前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に光を照射する第2照明手段と、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側において前記基材表面に対して斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像する第2撮像手段とを備える第2画像取得部と、
第1撮像手段が撮像した画像から、前記突起部の形状情報を取得する第1情報取得部と、
第2撮像手段が撮像した画像から、前記突起部の形状情報を取得する第2情報取得部と、
第1情報取得部が取得した前記形状情報と、第2情報取得部が取得した前記形状情報とから、前記突起部に関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出部と、
前記情報算出部が算出した情報に基づいて、前記微細突起具の良否を判定する良否判定部と、
を有する、微細突起具の検査装置。
【請求項7】
第2画像取得部において、
第2照明手段は、前記基材表面とは反対側の面に、前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射するように配されており、
第2撮像手段は、前記微細突起具を透過した前記透過光を、前記突起部を境としてこれの他方の側から斜め方向に受光するように配されている、請求項6に記載の微細突起具の検査装置。
【請求項8】
第2画像取得部においては、
第2照明手段は、前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に、光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射するように配されており、
第2撮像手段は、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側における、前記一方の側と同じ側において斜め方向に受光することによって第2の画像を取得するように配されている、請求項6に記載の微細突起具の検査装置。
【請求項9】
透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の製造方法であって、
請求項6~8の何れか一項に記載の微細突起具の検査装置を用いる工程を有する、微細突起具の製造方法。
【請求項10】
透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の製造装置であって、
請求項6~8の何れか一項に記載の微細突起具の検査装置を有する、微細突起具の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材表面上に少なくとも1つの微細な突起部が突設された微細突起具の検査方法、検査装置、製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野や美容分野等において、マイクロニードルアレイと称される微細突起具が注目されている。この微細突起具は、マイクロニードルと称される微細な針状の多数の突起部をシート状の基材の上に規則的に配列した状態で突設して構成されている。このような微細突起具を皮膚の表面に貼ることによって、痛みを伴うことなく、注射器による薬剤等の投与と同等の効能が得られる。
【0003】
ところで、かかる微細突起具は、種々の方法によって製造されるが、製造された微細突起具に対しては、基材上に突設された針状の多数の突起部の形状・寸法精度や、異物の付着、折れ等の欠損、バリの発生の有無等が検査される。その検査方法として、出願人は特許文献1に記載の検査方法を提案している。特許文献1には、微細突起具の基材表面を境として突起部が突設された側において基材表面に光を突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、該微細突起具からの反射光を他方の側から斜め方向に受光ことによって基材表面を突起部と共に撮像し、撮像された画像を画像処理した結果に基づいて突起部の良否を判定する方法が記載されている。
【0004】
また特許文献2には、微細突起具の突起部が突設された基材表面をシート第1面、その反対側の面(裏面)をシート第2面とした場合に、シート第2面から照射光を斜めに照射することによって、突起部の先端部分が暗く、根元部分が明るい状態を作り出した上で、突起部を撮像する方法が記載されている。
【0005】
また出願人は、シート状物の検査方法として、特許文献3に記載の検査方法を提案している。特許文献3には、第1シート状部材と、第1シート状部材上に配され、第1シート状部材よりも面積が小さいシート状物の検査方法が記載されている。同文献の検査方法では、赤外線画像及び可視光線画像に基づいてシート状部材の配置状態の良否を判定する。赤外線画像は、第1シート状部材と、第2シート状部材の全域とを含む領域に対して赤外線を照射し、その照射領域における透過光又は反射光を撮像して得られる。可視光線画像は、第1シート状部材と、第2シート状部材の全域とを含む領域に対して可視光線を照射し、その照射領域における透過光又は反射光を撮像して得られる。
【0006】
また特許文献4には、錠剤が収納されたシートに付着した異物を検査する技術が記載されている。同文献には、シートの一方の面に反射光を照射して撮像することにより得られた反射画像と、シートの他方の面に透過光を照射して撮像することにより得られた透過画像とに基づいて異物を検査することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-85862号公報
【特許文献2】特開2016-166769号公報
【特許文献3】特開2021-25811号公報
【特許文献4】国際公開第2015/136598号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の検査方法では、突起に光を照射したときに突起の影が生じてしまう。そのため、突起の影と重なる位置に異物が存在している場合や、複数の突起が配されており、一の突起の影と重なる位置に他の突起の先端部が位置している場合に、微細突起具の検査を精度よく行うことについて改良の余地があった。
特許文献2の検査方法では、シート第2面側から光を照射し、シート第1面側から微細突起具を撮像し、得られた画像を用いて微細突起具の検査を行っている。即ち、特許文献2の検査方法では、微細突起具を透過した透過光を受光することによって撮像された画像のみを用いて検査を行っている。そのため、撮像された画像において、微細突起具における突起部全体の輪郭を明瞭に捉えることが困難であり、例えば、突起部の高さを算出することが困難である。
特許文献3及び4は、シートの検査方法であり、突起部が突設された微細突起具の検査を行うことは困難である。
本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る、微細突起具の検査方法及び検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の検査方法であって、
前記基材表面を境として前記突起部が突設された側において前記基材表面に光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、前記微細突起具からの反射光を他方の側において斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像し、第1の画像を取得する第1画像取得工程と、
前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に光を照射しながら、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側において前記基材表面に対して斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像し、第2の画像を取得する第2画像取得工程と、
第1の画像から、前記突起部の形状情報を取得する第1情報取得工程と、
第2の画像から、前記突起部の形状情報を取得する第2情報取得工程と、
第1情報取得工程において取得した前記形状情報と、第2情報取得工程において取得した前記形状情報とから、前記突起部に関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出工程と、
前記情報算出工程で算出された情報に基づいて、前記微細突起具の良否を判定する良否判定工程と、
を有する、微細突起具の検査方法を提供するものである。
【0010】
また本発明は、透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の検査装置であって、
前記基材表面を境として前記突起部が突設された側において前記基材表面に光を前記突起部を境としてこれの一方の側から斜め方向に照射する第1照明手段と、前記微細突起具からの反射光を他方の側において斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像する第1撮像手段とを備える第1画像取得部と、
前記基材表面を境として前記突起部が突設されていない側において前記基材表面とは反対側の面に光を照射する第2照明手段と、前記微細突起具を透過した透過光を前記突起部が突設された側において前記基材表面に対して斜め方向に受光することによって前記基材表面を前記突起部と共に撮像する第2撮像手段とを備える第2画像取得部と、
第1撮像手段が撮像した画像から、前記突起部の形状情報を取得する第1情報取得部と、
第2撮像手段が撮像した画像から、前記突起部の形状情報を取得する第2情報取得部と、
第1情報取得部が取得した前記形状情報と、第2情報取得部が取得した前記形状情報とから、前記突起部に関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出部と、
前記情報算出部が算出した情報に基づいて、前記微細突起具の良否を判定する良否判定部と、
を有する、微細突起具の検査装置を提供するものである。
【0011】
また本発明は、透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の製造方法であって、
上述の微細突起具の検査装置を用いる工程を有する、微細突起具の製造方法を提供するものである。
【0012】
また本発明は、透明又は半透明な基材表面上に少なくとも1つ以上の微細な突起部が突設された微細突起具の製造装置であって、
上述の微細突起具の検査装置を有する、微細突起具の製造装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の微細突起具の検査方法及び検査装置によれば、微細突起具を精度よく検査することができる。
本発明の製造方法及び製造装置によれば、高品質な微細突起具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の検査方法の好ましい一実施形態に用いられる検査装置のシステム構成図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す検査装置における第1照明手段と第1撮像手段との位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す検査装置における第2照明手段と第2撮像手段との位置関係を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査方法の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査方法の第1画像取得工程において第1照明手段から出射する光の経路を示す光線図であり、
図8(b)は、第1実施形態に係る第1画像取得工程において得られる第1の画像の一例を示す写真である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査方法の第2画像取得工程において第2照明手段から出射する光の経路を示す光線図であり、
図9(b)は、第1実施形態に係る第2画像取得工程において得られる第2の画像の一例を示す写真である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る第2照明手段と第2撮像手段との位置関係の変形例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る検査装置のシステム構成図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る製造装置における第2照明手段と第2撮像手段との位置関係を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の微細突起具の製造装置の好ましい一実施形態に係る製造装置のシステム構成図である。
【
図14】
図14(a)~(e)は微細突起具の製造方法をその工程順に示す断面図である。
【
図15】
図15(a)は、第1実施形態に係る第1の画像について、濃淡値を計測する計測領域を設定した状態を示す図であり、
図15(b)は、第1実施形態に係る第2の画像について、濃淡値を計測する計測領域を設定した状態を示す図であり、
図15(c)は、第2実施形態に係る第2の画像について、濃淡値を計測する計測領域を設定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の第1実施形態を添付図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査装置の構成を
図1に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査装置のシステム構成図であり、図示の検査装置1は、不図示の移動手段によって搬送される複数の微細突起具2のそれぞれに対して検査を行うものであって、以下のように構成されている。なお、
図1においては、説明の便宜上、微細突起具2を1つのみ図示している。
【0016】
図1に示す検査装置1は、検査対象である各微細突起具2を検査領域へ位置決めする位置決め機構3と、第1の画像を取得する第1画像取得部10と、第2の画像を取得する第2画像取得部20と、第1の画像及び第2の画像を画像処理する画像処理部7と、検査装置1の動作を制御するコントローラー8とを含んで構成されている。位置決め機構3としては、例えば、電動アクチュエータを用いることができる。なお、スカラロボットやベルトコンベア等の不図示の移動手段によって、検査対象である各微細突起具2を位置決め機構3へと移載してもよい。
【0017】
第1画像取得部10は、第1照明手段4と第1撮像手段5とを含んでいる。第1照明手段4は、微細突起具2の基材表面を境として突起部2Bが突設された側において該基材表面に光を突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に照射するようになされている。第1撮像手段5は、微細突起具2からの反射光を他方の側において斜め方向に受光することによって基材表面を突起部2Bと共に撮像するようになされている。
【0018】
第2画像取得部20は、第2照明手段6と第2撮像手段5とを含んでいる。第2照明手段6は、微細突起具2の基材表面を境として突起部2Bが突設されていない側において該基材表面とは反対側の面に、突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に光を照射するようになされている。第2撮像手段5は、微細突起具2を透過した透過光を突起部2Bが突設された側において基材表面に対して斜め方向に受光することによって該基材表面を突起部2Bと共に撮像するようになされている。本実施形態では、1つのカメラ5を、第1撮像手段及び第2撮像手段の両方として用いている。なお、第1撮像手段と第2撮像手段とは、別々のカメラであってもよい。
【0019】
画像処理部7は、第1撮像手段が撮像した画像から、微細突起具2の突起部2Bの形状情報を取得する第1情報取得部と、第2撮像手段が撮像した画像から、微細突起具2の突起部2Bの形状情報を取得する第2情報取得部と、第1情報取得部が取得した前記形状情報と、第2情報取得部が取得した前記形状情報とから、前記突起部に関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出部とを含んでいる。
画像処理部7は、画像処理によって得られた結果に基づいて微細突起具2の良否を判定する良否判定部を含んでいる。
【0020】
ここで、本実施形態における検査対象としての微細突起具2は、医療分野や美容分野において使用されるマイクロニードルアレイと称されるものであるが、その構成の詳細を
図2~
図4に基づいて以下に説明する。
【0021】
すなわち、
図2は微細突起具の斜視図、
図3は
図2の一部を拡大して示す斜視図、
図4は
図3のA-A線断面図であり、図示の微細突起具2は、矩形シート状の基材2Aの上面(表面)に複数(図示例では、3×3=9個)の微細な突起部(マイクロニードル)2Bを規則正しく整然と突設して構成されている。なお、この微細突起具2は光を透過させる透光性の透明又は半透明の熱可塑性樹脂によって構成されており、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等若しくはこれらを組み合わせたものが用いられる。微細突起具2において、基材2A及び突起部2Bは、同一の材料によって構成されている。
【0022】
ところで、微細突起具2の各突起部2Bは、
図3及び
図4に詳細に示すように、先端(上端)が針状に尖った中空円錐状を成しており、基材2Aの表面から垂直かつ一体に立設されている。そして、この突起部2Bの側面の上部1箇所には、円孔状の開孔部2aが斜めに穿設されている。この開孔部2aは、薬剤等を吐出するためのものであって、
図4に示すように、斜め外側方に向かって拡径するテーパ孔として形成されている。薬剤には、肌の状態を改善し得る美容成分を含む美容液等も含まれる。美容成分としては、例えばコラーゲンや各種のビタミン、プラセンタ等が挙げられる。
【0023】
以上のように構成された微細突起具2は、後述のように画像処理によって検査されるが、この検査においては、各突起部2Bの形状・寸法、折れなどの欠損、異物の付着や開孔部2aにおけるバリの有無等が検査される。なお、各突起部2Bの形状・寸法の検査においては、各突起部2Bの高さH、先端部の先端径L、開孔部2aの開孔径(直径)dと開孔位置h(
図4参照)、肉厚T等が検査される。
【0024】
先端径Lは、任意の方法に算出することができる。先端径Lは、例えば、以下のように求めることができる。まず、突起部2Bの先端部を、
図4に示すように拡大観察する。次に、両側辺1a,1bの内の一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを想定し、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを想定する。そして、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを、突起部2Bの先端径とすることができる。
【0025】
ここで、
図1に示す検査装置1の第1画像取得部10における第1照明手段4と第1撮像手段5との位置関係を
図5に基づいて以下に説明する。
【0026】
図5は第1照明手段4と第1撮像手段5との位置関係を示す図であり、同図に示すように、第1照明手段4及び第1撮像手段5は、微細突起具2の基材2Aの平面を境としてこれの上側(微細突起具2の突起部2Bが突設された側)に相対向して斜めに設置されている。具体的には、第1照明手段4は、その光が微細突起具2の突起部2Bに向かって斜めに照射されるように斜めに傾けて設置されている。このときの光の微細突起具2(基材2Aの上面)への入射角度(水平面からの角度)を図示のようにθ
L1とすると、この入射角度θ
L1は、微細突起具2に光を照射したときに、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態を作り出し、後述のように第1撮像手段5によって撮像される微細突起具2の画像において、基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)が最大となる角度に設定されている。
【0027】
ところで、第1照明手段4と微細突起具2との距離L1は、光の強度が確保できる限り、大きいほど、すなわち、微細突起具2に対してより遠くから光を照射することが好ましい。つまり、微細突起具2に遠くから光を当てた方が光が平行になるため、第1撮像手段5によって撮像される微細突起具2の輪郭(エッジ)が明確になる。本実施形態では、第1照明手段4と微細突起具2との距離L1を100~150mmに設定した。また、第1実施形態では、第1照明手段4の光源として、短波長の青色光を出射する青色LED(青色発光ダイオード)と拡散板とによって構成されるLEDフラット照明(拡散光タイプ)を用いた。ここで、光源としては、青色LEDに限定されることはなく、赤色LED、白色LEDなどを用いることもできる。また白熱灯、蛍光灯、ナトリウム灯などを用いることもできる。本実施形態では、第1照明手段4は、拡散光を出射する構成としているが、平行光を出射する構成としても良い。平行光を出射する構成として、スポット照明と集光レンズを組み合わせた構成や同軸照明を使用することが好ましい。スポット照明や同軸照明を使用することで、微細突起具2に対して近くから光を照射した場合においても、微細突起具2の輪郭(エッジ)が明確になるため、第1照明手段4と微細突起具2との距離L1を短くすることができ、省スペース化が可能である。さらに、微細突起具2に対して近くから光を照射できるため、第1撮像手段5に入射する光の量を多くすることができる。第1撮像手段5に入射する光の量を多くすることにより、第1撮像手段5の絞り値を大きくすることができるため、第1撮像手段5の被写界深度を一層深くすることができる。第1撮像手段5の被写界深度を一層深くすることにより、微細突起具2の形状や輪郭が一層明確な第1の画像を容易に取得することができるようになる。
【0028】
他方、第1撮像手段5は、検査対象である微細突起具2を挟んで第1照明手段4とは反対側に対向して斜めに設置されている。すなわち、第1撮像手段5は、第1照明手段4から出射して微細突起具2で反射した光を受光することができるよう斜めに傾けて設置されている。このときの第1撮像手段5による撮像角度(水平面からの角度)を図示のようにθC1とした場合、この撮像角度θC1は、小さい方がピントが合い易いために50°以下に設定することが好ましく、45°以下に設定することがより好ましい。撮像角度θCが50°を超えると、微細突起具2の突起部2Bの先端と根元部とにピントが同時に合い難くなる。
【0029】
また、撮像角度θC1と光の入射角度θL1との差|θC1-θL1|は、10°以下、好ましくは5°以下、より好ましくは3°以下、更に好ましくは1°以下に設定される。これにより、基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)を大きくすることができる。第1実施形態では、θC1=θL1=45°に設定した。なお、第1撮像手段5と微細突起具2との距離L2は、検査カメラ5のレンズの焦点距離や必要な視野によって設定されるが、第1実施形態では、L2=80mmに設定した。
【0030】
次に、
図1に示す検査装置1の第2画像取得部20における第2照明手段6と第2撮像手段5との位置関係を
図6に基づいて以下に説明する。
【0031】
図6は第2照明手段6と第2撮像手段5との位置関係を示す図であり、同図に示すように、第2照明手段6及び第2撮像手段5は、微細突起具2の基材2Aの平面を境としてこれの下側(微細突起具2の突起部2Bが突設されていない側)及び上側(微細突起具2の突起部2Bが突設された側)にそれぞれ設置されている。具体的には、第2照明手段6は、微細突起具2の基材2Aの平面を境としてこれの下側に配されており、微細突起具2の基材表面とは反対側の面に光を照射するようになされている。また第2照明手段6は、微細突起具2の突起部2Bを境としてこれの一方の側に配されている。また第2照明手段6は、照明の発光面6aを微細突起具2の基材表面に対して斜めに配している。このときの光の微細突起具2(基材2Aの下面)への入射角度(水平面からの角度)を図示のようにθ
L2とすると、この入射角度θ
L2は、微細突起具2に光を照射したときに、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態を作り出し、後述のように第2撮像手段5によって撮像される微細突起具2の画像において、基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)が最大となる角度に設定されている。この入射角度θ
L2は、第2の画像において、突起部2Bの輪郭が強調されるようにする観点から、好ましくは60°以下、より好ましくは50°以下、更に好ましくは45°以下である。
【0032】
ところで、第2照明手段6と微細突起具2との距離L3は、光の強度が確保できる限り、大きいほど、すなわち、微細突起具2に対してより遠くから光を照射することが好ましい。つまり、微細突起具2に遠くから光を当てた方が光が平行になるため、第2撮像手段5によって撮像される微細突起具2の輪郭(エッジ)が明確になる。本実施形態では、第2照明手段6と微細突起具2との距離L3を100~150mmに設定した。また、第1実施形態では、第2照明手段6の光源として、短波長の青色光を出射する青色LED(青色発光ダイオード)と拡散板とによって構成されるLEDフラット照明(拡散光タイプ)を用いた。ここで、光源としては、青色LEDに限定されることはなく、赤色LED、白色LEDなどを用いることもできる。また白熱灯、蛍光灯、ナトリウム灯などを用いることもできる。本実施形態では、第2照明手段6は、拡散光を出射する構成としているが、平行光を出射する構成としても良い。平行光を出射する構成として、スポット照明と集光レンズを組み合わせた構成や同軸照明を使用することが好ましい。第2照明手段6において、行光を出射する構成としてスポット照明や同軸照明を使用することの利点は、第1照明手段6において、平行光を出射する構成としてスポット照明や同軸照明を使用することの利点と同様である。具体的には、第2照明手段6と微細突起具2との距離L3を短くすることができるので、省スペース化が可能であり、また、第2撮像手段5に入射する光の量を多くすることができる。第2撮像手段5に入射する光の量を多くすることにより、第2撮像手段5の絞り値を大きくすることができるため、第2撮像手段5の被写界深度を一層深くすることができる。第2撮像手段5の被写界深度を一層深くすることにより、微細突起具2の形状や輪郭が一層明確な第2の画像を容易に取得することができるようになる。
【0033】
他方、第2撮像手段5は、微細突起具2の基材2Aの平面を境としてこれの上側に配されている。また第2撮像手段5は、検査対象である微細突起具2を挟んで第2照明手段6とは反対側に対向して斜めに設置されている。すなわち、第2撮像手段5は、第2照明手段6から出射して微細突起具2を透過した光を受光することができるよう斜めに傾けて設置されている。このときの第2撮像手段5による撮像角度(水平面からの角度)を図示のようにθC2とした場合、この撮像角度θC2は、小さい方がピントが合い易いために50°以下に設定することが好ましく、45°以下に設定することがより好ましい。撮像角度θC2が50°を超えると、微細突起具2の突起部2Bの先端と根元部とにピントが同時に合い難くなる。
【0034】
(微細突起具の検査方法)
次に、
図1に示す検査装置1を用いて実施される本発明に係る検査方法を
図7~
図9に基づいて以下に説明する。
【0035】
図7は本発明の第1実施形態に係る微細突起具の検査方法の流れを示すフローチャート、
図8は同検査方法の第1画像取得工程において第1照明手段4から出射する光の経路を示す光線図である。
図9は同検査方法の第2画像取得工程において第2照明手段6から出射する光の経路を示す光線図である。
【0036】
本実施形態に係る検査方法は、
a)第1照明手段4が照射する光の入射角度θ
L1と、第2照明手段6が照射する光の入射角度θ
L2とを調整する照明角度調整工程と、
b)微細突起具2を位置決めする位置決め工程と、
c)基材表面を境として突起部2Bが突設された側において第1照明手段4によって微細突起具2に光を斜め方向から照射しながら、該微細突起具2からの反射光を第1撮像手段5によって斜め方向から受光することによって微細突起具2を撮像し、第1の画像を取得する第1画像取得工程と、
d)基材表面を境として突起部2Bが突設されていない側において第2照明手段6によって微細突起具2に光を斜め方向から照射しながら、該微細突起具2を透過した透過光を、突起部2Bは突設された側において第2撮像手段5によって基材表面に対して斜め方向に受光することによって微細突起具2を撮像し、第2の画像を取得する第2画像取得工程と、
e)第1の画像から、突起部2Bの形状情報を取得する第1情報取得工程と、
f)第2の画像から、突起部2Bの形状情報を取得する第2情報取得工程と、
g)第1情報取得工程において取得した形状情報と、第2情報取得工程において取得した形状情報とから、突起部2Bに関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する情報算出工程と、
h)情報算出工程で算出された情報に基づいて、微細突起具2の良否を判定する良否判定工程とを有する。
本実施形態に係る検査方法の詳細を
図7に示すフローチャートに沿って以下に説明する。
【0037】
不図示の移動手段によって微細突起具2が所定の検査領域に移動すると、検査が開始される(ステップS1)。
検査が開始された後、第1照明手段4及び第2照明手段6が照射する光の入射角度θL1,θL2が検知される(ステップS2)。入射角度θL1,θL2を検知した結果、いずれかが適切でない場合(ステップS2:Yes)、適切な角度となるように入射角度θL1,θL2が調整される(照明角度調整工程:ステップS3)。入射角度θL1が適切であるとは、第1照明手段4により微細突起具2に光を照射したときに、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態が作り出され、第1画像取得工程において撮像される第1の画像において基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)が最大となるように、第1照明手段4の入射角度θL1が設定されていることを意味する。入射角度θL2が適切であるとは、第2照明手段6により微細突起具2に光を照射したときに、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態が作り出され、第2画像取得工程において撮像される第2の画像において基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)が最大となるように、第2照明手段6の入射角度θL2が設定されていることを意味する。
照明角度調整工程では、不図示の照明角度調整機構により、第1照明手段4及び第2照明手段6の角度を調整することによって、入射角度θL1,θL2を調整することができる。照明角度調整機構としては、例えば、回転機構を有するロータリーアクチュエータ等が挙げられる。
【0038】
その後、コントローラー8からの制御信号によって
図1に示すように位置決め機構3が駆動され、この位置決め機構3によって微細突起具2が検査領域の所定位置に正確に位置決めされる(位置決め工程:ステップS4)。このように微細突起具2が所定の検査位置に正確に位置決めされると、コントローラー8は、画像処理部7を介して、第1画像取得部の第1照明手段4及び第1撮像手段5に対してトリガ信号(撮像要求信号)を発信する(ステップS5)。
【0039】
上述のようにコントローラー8から第1照明手段4及び第1撮像手段5に対してトリガ信号(以下、「第1トリガ信号」ともいう。)が発信されると、第1トリガ信号を受信した第1照明手段4の光源が起動されて発光するとともに、第1撮像手段5も起動されて微細突起具2が第1撮像手段5によって撮像され、第1の画像が取得される(第1画像取得工程:ステップS6)。具体的には、第1照明手段4の光源が発光すると、この光源から出射する光は、微細突起具2に対して入射角度θ
L1で斜めに照射されて該微細突起具2を照明する。この場合、第1照明手段4から出射する光の一部は、
図8(a)にR1にて示すように、微細突起具2の基材2Aの表面で反射し、正反射光R1として第1撮像手段5に向かい、該第1撮像手段5によって受光される。また、他の光は、
図8(a)にR1’にて示すように、微細突起具2の突起部2Bで反射して拡散光R1’として第1撮像手段5に向うことなく拡散する。
したがって、第1撮像手段5によって撮像された微細突起具2の第1の画像(
図8(b)参照)においては、正反射光R1と拡散光R1’とのコントラスト差(濃淡差)によって、突起部2Bが暗く、他の部分が明るくなるため、突起部2Bが明瞭に観察される。第1の画像においては、特に、突起部2Bの輪郭や開孔部2aが明瞭に観察される。第1の画像においては、突起部2B全体が暗く、突起部不存在部が明るい状態となっている。
【0040】
またコントローラー8は、画像処理部7を介して、第1トリガ信号とは異なるタイミングで、第2画像取得部の第2照明手段6及び第2撮像手段5に対してトリガ信号(以下、「第2トリガ信号」ともいう。)を発信する(ステップS7)。本実施形態では、第1トリガ信号を発信し、第1の画像を撮像した後に、第2トリガ信号を発信する。
上述のようにコントローラー8から第2トリガ信号が発信されると、第2トリガ信号を受信した第2照明手段6の光源が起動されて発光するとともに、第2撮像手段5も起動されて微細突起具2が第2撮像手段5によって撮像され、第2の画像が取得される(第2画像取得工程:ステップS8)。具体的には、第2照明手段6の光源が発光すると、この光源から出射する光は、突起部2Bが突設された側とは反対側から微細突起具2を照明する。この場合、第2照明手段6から出射する光の一部は、
図9(a)にR2にて示すように、微細突起具2の基材2Aを透過して第2撮像手段5に向かって進み、第2撮像手段5によって受光される。また、他の光は、
図9(a)にR2’にて示すように、微細突起具2の突起部2Bで反射して第2撮像手段5に向かうことなく拡散する。
したがって、第2撮像手段5によって撮像された微細突起具2の第2の画像(
図9(b)参照)においては、微細突起具2、特に突起部2Bの影が生じにくい。第2の画像においては、特に、微細突起具2の基材2Aの表面又は裏面に付着した異物や突起部2Bの先端の形状が明確に観察される。第2の画像においては、突起部2B全体が暗く、突起部不存在部が明るい状態となっている。
【0041】
次に、画像処理部7が有する第1情報取得部が、第1の画像から、突起部2Bの形状情報を取得する(第1情報取得工程:ステップS9)。第1情報取得工程で取得する形状情報としては、突起部2B自体、又は例えば開孔部2a等の突起部2Bの特定部位の形状の情報、位置の情報等が挙げられる。具体的には、突起部2Bのベース部の形状や位置、開孔部2aの形状や位置、突起部2Bの輪郭形状、等が挙げられる。ここで、突起部2Bのベース部とは、突起の根本部分を意味する。
【0042】
次に、画像処理部7が有する第2情報取得部が、第2の画像から、突起部2Bの形状情報を取得する(第2情報取得工程:ステップS10)。第2情報取得工程で取得する形状情報としては、突起部2B自体又は突起部2Bの特定部位、例えば先端部の形状の情報、位置の情報等が挙げられる。具体的には、突起部2Bの先端の形状や位置、突起部2Bの輪郭形状、等が挙げられる。また、第2情報取得工程では、第1情報取得工程において突起部2Bの影に隠れる領域の情報も取得することができ、該情報に基づいて、後述の情報算出工程において、該領域に異物が存在するか否かを算出することもできる。異物が存在するか否かを算出するためには、第2の画像は、突起部2Bに加えて、突起部2B以外の部分における基材表面も含まれるように撮像する必要がある。
【0043】
なお、第1情報取得工程で取得する形状情報と、第2情報取得工程で取得する形状情報とは逆であってもよい。具体的には、第1情報取得工程で取得する形状情報は、突起部2B自体又は突起部2Bの特定部位、例えば先端部の形状の情報、位置の情報等であってもよい。また第2情報取得工程で取得する形状情報は、突起部2B自体、又は例えば開孔部2a等の突起部2Bの特定部位の形状の情報、位置の情報等であってもよい。
【0044】
そして、第1情報取得工程及び第2情報工程それぞれで取得した形状情報に基づいて、突起部2Bに関する寸法情報又は突起部不存在部に関する情報を算出する(情報算出工程:ステップS11)。ここで、突起部2Bに関する寸法情報には、突起部2Bの高さH、先端径L、開孔部2aの開孔径d、開孔位置h等の各種寸法のみならず、突起部2Bの折れの有無、突起部2Bに付着した異物の有無、開孔部2aの周縁におけるバリの発生の有無、突起部2Bの肉厚T等が含まれる。突起部不存在部は、微細突起具2における、突起部2B以外の部分の基材表面である。突起部不存在部は、第1の画像では基材表面において突起部2Bの影になってしまう領域、又は突起部2Bと突起部2Bとの間に位置する領域を含むことが好ましい。突起部不存在部に関する情報には、微細突起具2の基材2Aの表面又は裏面に付着した異物の有無等が含まれる。
【0045】
第1情報取得工程で取得した形状情報からは、例えば、開孔径d、開孔位置h、開孔部2aの周縁におけるバリの発生の有無、突起部2Bの肉厚T等を算出する。
第2情報取得工程で取得した形状情報からは、例えば、突起部2Bの先端径L、突起部2Bの折れの有無等を算出する。
また、第1情報取得工程で取得した形状情報及び第2情報取得工程で取得した形状情報の両方から、突起部2Bの高さH、突起部2Bに付着した異物の有無、微細突起具2の基材2Aの表面又は裏面に付着した異物の有無等を算出する。例えば、突起部2Bの高さHは、高さ方向の画素数が180pixel、画素分解能が3.8μm/pixel、カメラ5の撮像角度θcが45°である場合、次式によって求めることができる。
H=180pixel×3.8μm/pixel×1/cos45°=967μm
高さ方向の画素数は、例えば、第1の画像から取得した突起部2Bのベース部の中心位置の座標と、第2の画像から取得した突起部2Bの先端位置の座標とから算出することができる。
【0046】
そして、微細突起具2が有する全ての突起部2Bについて、情報算出工程が行われたか否かを判定する(ステップS12)。情報算出工程が行われていない突起部2Bが存在する場合(ステップS12:Nо)、再度、位置決め工程を行い、情報算出工程が行われていない突起部2Bが明瞭に観察される第1の画像又は第2の画像を取得できる位置に、微細突起具2を位置決めする。その後、ステップS5からステップS11までを上述した方法と同様に行う。
【0047】
微細突起具2が有する全ての突起部2Bについて、情報算出工程が行われている場合(ステップS12:Yes)、画像処理部7が有する良否判定部が、情報算出工程で算出された情報に基づいて、微細突起具2の良否を判定する(良否判定工程:ステップS13)。具体的には、突起部2Bの外観の良否、突起部2Bの各種寸法の良否、突起部不存在部の外観の良否が判定される。全ての判定結果が良好(OK)である場合(ステップS13:OK)、画像処理部7から「OK信号」が出力され(ステップS14)、コントローラー8によって、その結果が出力される(ステップS16)。他方、いずれかの判定結果が不良(NG)である場合(ステップS13:NG)、画像処理部7から「NG信号」が出力され(ステップS15)、コントローラー8によって、その結果が出力される(ステップS16)。結果の出力は、例えば、モニター、ディスプレイ等の表示部9に、判定結果を表示させることにより行うことができる。
【0048】
以上の一連の作業によって1つの微細突起具2に対する検査が終了する(ステップS17)。別の微細突起具2の検査を行う場合、コントローラー8は、不図示の移動手段を起動し、検査済みの微細突起具2を検査領域から取り除くとともに、該別の微細突起具2を検査領域へ搬送し、該微細突起具2に対する検査を、以上と同様の手順によって実施する。
【0049】
以上のように、
図1に示す検査装置1を用いて実施される微細突起具2の検査方法においては、反射光を受光することによって撮像された第1の画像と、透過光を受光することによって撮像された第2の画像とから取得された情報に基づいて微細突起具2の良否を判定している。そのため、各画像から、取得しやすい情報を選択して取得することや、各画像から取得した情報を組み合わせた情報を算出することができるので、検査結果の精度や安定性を向上させることができる。
また、透過光を受光することによって撮像された第2の画像においては、突起部2Bの影が生じない。したがって、反射光を受光することによって撮像した場合に突起部2Bの影が生じてしまうような突起部2Bの配置パターンであっても、各突起部2B又は突起部不存在部を精度よく検査することができる。突起部不存在部の検査として、突起部不存在部に異物が存在するか否かを検査するためには、第2画像取得工程では、第2の画像として、第1の画像では基材表面において突起部2Bの影になってしまう領域(以下「影領域」ともいう。)を含む画像を取得し、情報算出工程では、第2の画像から、影領域の情報を算出し、良否判定工程では、影領域に異物があるか等の影領域の良否を判定することが好ましい。
このように、本実施形態の検査装置及び検査方法によれば、微細突起具2を精度よく検査することができる。
【0050】
本実施形態においては、
図6に示すように、第2照明手段6は、照明の発光面6aを微細突起具2の基材表面に対して斜めに配されているところ、第2照明手段6は、
図10(a)に示すように、照明の発光面6aを、微細突起具2の基材表面と垂直にした状態で光を照射するように配されていてもよい。第2照明手段6の照明の発光面6aを、微細突起具2の基材表面と垂直にした状態で光を照射するように配した場合でも、第2画像取得工程において、基材表面とは反対側の面に、突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に光を照射し、微細突起具2を透過した透過光は、突起部2Bを境としてこれの他方から斜め方向に受光することになるので、突起部2B全体が暗く、該突起部2B以外の基材表面が明るい第2の画像を取得することができる。
【0051】
第1実施形態では、位置決め機構3を間欠的に駆動させて微細突起具2の撮像を行っているが、位置決め機構3を停止させずに連続的に駆動させて微細突起具2の撮像を行ってもよい。
【0052】
第1実施形態では、上述のように、第1画像取得工程における入射角度θ
L1を調整することにより、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態となっている第1の画像を取得している。ここで、第1の画像が「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であるか否かは、例えば、以下の方法により判断することができる。
<判断方法>
まず、第1撮像工程において撮像された第1の画像において、濃淡値を計測する計測領域を設定する(
図15(a)参照)。計測領域は、突起部2B及び突起部不存在部のそれぞれに設定する。突起部2Bの計測領域は、突起部2Bの先端を含む領域及び突起部2Bの根本を含む領域の2つの領域を含むように設定する。
図15(a)に示す例では、突起部2Bの計測領域として、先端部A1、中間部A2及び根本部A3を設定している。突起部2Bの計測領域は、4つ以上に区分してもよい。
突起不在部の計測領域は、基材2Aの表面であれば、任意の箇所を計測領域としてもよい。突起部不存在部の計測領域の大きさは、基材2A表面の濃淡平均値が表現できる大きさであれば、任意に設定することができる。ただし、第1の画像では影が発生するため、突起部不存在部の計測領域は、該影は含まないように設定することが好ましい。
図15(a)に示す例では、突起部2Bの周囲のコの字型の領域を、突起部不存在部の計測領域A4とした。
次に、計測領域A1~A4の濃淡値を測定する。濃淡値は、第1の画像をグレースケール化したときの256階調で表される値である。そして、各計測領域A1~A4内の濃淡値の平均値を算出する。以下、算出された濃淡値の平均値を、平均濃淡値という。
そして、突起部不存在部の計測領域の平均濃淡値から、突起部2Bの計測領域の平均濃淡値を引いて、差を算出する。突起部2Bの計測領域を複数設定している場合、各計測領域の濃淡値それぞれについて、前記差を算出する。
前記差が、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上である場合、「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であると判定する。突起部2Bの計測領域を複数設定している場合、各計測領域の濃淡値それぞれについて算出した前記差の全てが、上述する範囲内であるときに、「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であると判定する。
【0053】
第1画像取得工程において、撮像角度θC1を45°とし、入射角度θL1を変化させて取得した第1の画像について、上述の<判断方法>により「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であるか否か判断した結果を表1に示す。
【0054】
【0055】
第1の画像における突起部不在部A4の平均濃淡値は、200以上が好ましく、230以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。
撮像角度θC1が45°である場合、入射角度θL1は、35°以上50°以下が好ましく、40°以上45°以下がより好ましい。
【0056】
また第1実施形態では、上述のように、第2画像取得工程における入射角度θL2を調整することにより、基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態となっている第2の画像を取得している。ここで、第2の画像が「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であるか否かは、以下の点以外は上述の<判断方法>と同様の方法により判断することができる。
前記差が、好ましくは80以上、より好ましくは100以上、更に好ましくは150以上である場合、「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であると判定する。
【0057】
第2画像取得工程において、撮像角度θ
C2を45°とし、入射角度θ
L2を変化させて取得した第2の画像について、以下の点を変更した以外は上述の<判断方法>と同様にして、「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であるか否か判断した結果を表2に示す。
突起部不存在部の計測領域A4は、突起部2Bを囲むように設定した(
図15(b)参照)。
【0058】
【0059】
第2の画像における突起部不在部A4の平均濃淡値は、200以上が好ましく、230以上がより好ましく、250以上がさらに好ましい。
撮像角度θC2が45°である場合、入射角度θL2は、60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、45°以下が更に好ましい。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図11は本発明の第2実施形態に係る微細突起具の検査装置のシステム構成図であり、本図においては、
図1に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
【0061】
第2実施形態に係る検査装置1Bは、第2画像取得部における第2照明手段6と第2撮像手段5との位置関係が第1実施形態に係る検査装置1とは異なっている。第2実施形態に係る第2照明手段6は、微細突起具2の基材表面を境として突起部2Bが突設されていない側において基材表面とは反対側の面に、光を突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に照射するように配されている。
第2実施形態に係る第2撮像手段5は、微細突起具2を透過した透過光を前記突起部が突設された側における、前記一方の側と同じ側において斜め方向に受光することによって第2の画像を取得するように配されている。
【0062】
図11に示す第2実施形態に係る検査装置1Bの他の構成は、第1実施形態に係る検査装置1(
図1参照)の構成と同じであり、この検査装置1Bを用いて実施される微細突起具2に対する検査方法も第1実施形態に係る検査方法と基本的に同じである。
【0063】
但し、第2実施形態では、第2画像取得工程が第1実施形態の検査方法と異なっている。第2実施形態に係る第2画像取得工程においては、微細突起具2の基材表面を境として突起部2Bが突設されていない側において基材表面とは反対側の面に、光を突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、微細突起具2を透過した透過光を突起部2Bが突設された側における、前記一方の側と同じ側において斜め方向に受光することによって第2の画像を取得する。具体的には、第2照明手段6の光源が発光すると、この光源から出射する光は、突起部2Bが突設された側とは反対側から微細突起具2を照明する。第2照明手段6と第2撮像手段5とは、突起部2Bを境として同じ側に配されているので、第2撮像手段5は、第2照明手段6から出射し、突起部2Bを透過するとともに該突起部2Bにより反射した光R3(
図12参照)を受光する。
【0064】
第2実施形態においては、第2照明手段6は、
図12に示すように、微細突起具2の基材表面に対して斜めに配されている。第2照明手段6が照射する光の微細突起具2(基材2Aの下面)への入射角度(水平面からの角度)を図示のようにθ
L3とすると、この入射角度θ
L3は、微細突起具2に光を照射したときに、基材2Aの表面が暗く、突起部2Bの全体の輪郭が明るい状態を作り出し、後述のように第2撮像手段5によって撮像される微細突起具2の画像において、基材2Aの表面と突起部2Bとのコントラスト差(濃淡差)が最大となる角度に設定されている。この入射角度θ
L3は、第2の画像において、突起部2Bの輪郭が強調されるようにする観点から、45°以上80°以下が好ましく、45°以上60°以下がより好ましく、45°以上50°以下が更に好ましい。
【0065】
第2実施形態では、第2画像取得工程において、微細突起具2の基材表面を境として突起部2Bが突設されていない側において基材表面とは反対側の面に、光を突起部2Bを境としてこれの一方の側から斜め方向に照射しながら、微細突起具2を透過した透過光を突起部2Bが突設された側における、前記一方の側と同じ側において斜め方向に受光することによって第2の画像を取得しているので、第2の画像は、突起部2B全体が明るく、該突起部2B以外の基材表面が暗い状態となる。その他、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
第2実施形態では、上述のように、第2画像取得工程における入射角度θL3を調整することにより、基材2Aの表面が暗く、突起部2Bの全体の輪郭が明るい状態となっている第2の画像を取得している。ここで、第2実施形態において、第2の画像が「基材2Aの表面が暗く、突起部2Bの全体の輪郭が明るい状態」であるか否かは、以下の点以外は上述の<判断方法>と同様の方法により判断することができる。
前記差が、好ましくは-80以上、より好ましくは-100以上、更に好ましくは-120以上である場合、「基材2Aの表面が明るく、突起部2Bの全体の輪郭が暗い状態」であると判定する。
【0067】
第2実施形態に係る第2画像取得工程において、撮像角度θ
C3を45°とし、入射角度θ
L3を変化させて取得した第2の画像について、以下の点を変更した以外は上述の<判断方法>と同様にして、「基材2Aの表面が暗く、突起部2Bの全体の輪郭が明るい状態」であるか否か判断した結果を表3に示す。
突起部不存在部の計測領域A4は、突起部2Bを囲むように設定した(
図15(c)参照)。
【0068】
【0069】
第2実施形態では、第2の画像における突起部不在部A4の平均濃淡値は、60以下が好ましく、50以下がより好ましく、40以下がさらに好ましい。
撮像角度θC3が45°である場合、入射角度θL3は、45°以上80°以下が好ましく、45°以上60°以下がより好ましく、45°以上50°以下が更に好ましい。
【0070】
次に、本発明の微細突起具の製造方法及び製造装置について説明する。
図13は、本発明の微細突起具の製造装置の好ましい一実施形態に係る製造装置のシステム構成を示す図である。
図13に示す製造装置80を用いて、微細突起具2を製造する方法について、
図13及び
図14(a)~(e)を参照しながら説明する。なお、
図14(a)~(e)は微細突起具の製造方法をその工程順に示す断面図である。本実施形態の製造方法は、本発明の検査装置、好ましくは第1実施形態又は第2実施形態の検査装置1を微細突起具2の製造ラインに設けられた検査領域に設置し、微細突起具2の製造工程中に該微細突起具2の検査を並行して行うことを特徴としている。
【0071】
図13に示す微細突起具2の製造ラインにおいては、原材料である熱可塑性樹脂から成るシート状の基材2Aが巻装されたロール40から基材2Aが上下一対のローラ41,42の図示矢印方向の回転によって送り出され、この基材2Aは、水平状態を維持して図示矢印方向に間欠的に送り出される。
【0072】
検査領域(成形領域に同じ)においては、停止した基材2Aの上下面が矩形枠状の押え部材43によって挟持され、該基材2Aの撓み変形が防がれる。また、この検査領域(成形領域)には、基材2Aの下方に成形装置50が配設されており、この成形装置50の水平なステージ51上には、成形されるべき微細突起具2の突起部2Bの外形形状と同じ形状(円錐形状)である針状の複数(図示例では、3×3=9個)の金型52(
図14(a)~(d)参照)が整然と立設されている。
【0073】
そして、微細突起具2の製造に際しては、
図14(a)に示すように、不図示の超音波装置によって金型52を超音波振動させる。すると、金型52が超音波振動によって発熱する。次に、
図12に示す成形装置50に設けられたアクチュエータ53を駆動してステージ51を上方へと移動させ、
図14(b)に示すように、加熱された金型52を基材2Aに下面側から刺入する。この結果、基材2Aには、その上面に複数(
図14には1つのみ図示)の中空円錐状の突起部2Bが立設される。
【0074】
上述のように基材2Aの上面に複数(9個)の突起部2Bが立設されると、
図14(c)に示すように、超音波装置による金型52の超音波振動が停止され、
図13に示すブロワ等の冷却装置60から突起部2Bに冷風が吹き付けられる。すると、加熱状態にある金型52と突起部2Bが冷風によって冷却され、加熱によって軟化状態にあった突起部2Bが固化する。その後、
図13に示す成形装置50のアクチュエータ53を駆動してステージ51を下降させることによって
図14(d)に示すように金型52を引き抜けば、基材2A上に複数(9個)の突起部2Bが整然と配列された状態で立設される。
【0075】
そして、最後に、
図13に示すレーザー装置70を起動し、該レーザー装置70から出射するレーザーを各突起部2Bに斜めから順次照射することによって、
図14(e)に示すように、各突起部2Bには開孔部2aが斜めに穿設され、製品としての微細突起具2が製造される。以後、ロール40から基材2Aを間欠的に送り出しながら以上の作業を繰り返すことによって、製品である微細突起具2が連続して製造される。
【0076】
ところで、本実施形態においては、微細突起具2の製造ラインの検査領域(成形領域)に設置された検査装置1によって、微細突起具2に対する検査が該微細突起具2の製造工程中に並行して行われる。ここで、検査装置1による微細突起具2の検査は第1実施形態と同じ方法によってなされるが、第3実施形態では、レーザー装置70による穿孔作業の前に検査が行われ、この検査によって算出された微細突起具2の各突起部2Bの開孔部2aの位置(穿孔されるべき開孔部2aの位置)がコントローラー8に送信される。
【0077】
すると、コントローラー8は、レーザー装置70によるレーザーの照射位置を高精度に制御する。このため、微細突起具2の各突起部2Bには、レーザー装置70から出射されるレーザーによって開孔部2aが正確に穿設され、当該微細突起具2に高い品質が確保される。
【0078】
以上のように、本実施形態の製造装置及び製造方法では、微細突起具2に対する検査を該微細突起具2の製造工程中に並行して行うようにしたため、微細突起具2の製造と検査を短時間で効率良く行うことができる。また、微細突起具2に対する検査結果をコントローラー8にフィードバックし、その結果に基づいてコントローラー8がレーザーの照射位置を制御して微細突起具2の各突起部2Bに開孔部2aを高精度に穿孔するようにしたため、製品である微細突起具2の品質が高められるという効果が得られる。
このように、本実施形態の製造装置及び製造方法によれば、高品質な微細突起具2を製造することができる。その他、第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0079】
また、本発明は、医療分野や美容分野以外に用いられる微細突起具に対しても同様に適用可能である。
【0080】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0081】
第1及び2実施形態の検査方法においては、第1画像取得工程、第2画像取得工程、第1情報取得工程、第2情報取得工程、情報算出工程及び良否判定工程をこの順で行っていたが、各工程を行う順番は、この順に限られない。例えば、第2画像取得工程を第1画像取得工程よりも先に行ってもよい。また、第2情報取得工程を第1情報取得工程よりも先に行ってもよい。また、第1画像取得工程、第1情報取得工程、第2画像取得工程、第2情報取得工程、情報算出工程及び良否判定工程の順に行ってもよいし、第2画像取得工程、第2情報取得工程、第1画像取得工程、第1情報取得工程、情報算出工程及び良否判定工程の順に行ってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,1B 検査装置
2 微細突起具
2A 微細突起具の基材
2B 微細突起部の突起部
2a 微細突起具の開孔部
3 移動手段
4 第1照明手段
5 カメラ(第1撮像手段、第2撮像手段)
6 第2照明手段
7 画像処理部
8 コントローラー